エマージング市場の対外債務支払能力の向上と 世界の債券

エマージング市場対先進国市場: エマージング市場の対外債務支払能力の向上と
世界の債券投資家への影響
要旨
ƒƒ 本レポートでは、流動性を
要因とする相場急落に対
するエマージング・ソブリ
ン債の脆弱性に関し、投
資家への手引きとなるよ
う、ソブリン流 動性指標
を紹介し、その内容を定
義する。
ƒƒ エマージング債券への投
資にあたり、現在市場で
有効な様々な選択肢に関
して、当社のソブリン流動
性指標に基づき幾つかの
示唆を行う。
ƒƒ エマージング・ソブリン債
の多くは、対外債務(ドル
建て)支払能力という意
味では、2008年と比較し
てよりよい状況にあり、長
期ソルベンシー指標も健
全性を示しているように
見受けられる。
ƒƒ エマージング・ソブリン債
の流動性ポジションのモ
ニタリングは、エマージン
グ市場のすべての資産ク
ラス(クレジット、金利お
よび外国為替)に目を向
ける世界の債券投資家に
とって、防御の第一線とし
て有効に機能する。
序論
先進国のソブリン債については、流動性とソルベンシー・リスクに対する懸念の高まり
がここ数年市場を支配してきた。これは、多くの先進国のソブリン格付が引き下げられ
たことや、過去18カ月における主要経済指標が徐々に悪化していることから窺い知るこ
とができる。
2011年の夏の終わりに、主要経済指標の悪化が見られたことや、2年超に亘る上昇相場
が続いていたリスク資産の相対的なバリュエーション妙味が低下したことから、投資家
は世界経済の長期的拡大に対して疑念を抱き、先進国が長期的に低迷するなか、ファン
ダメンタルズが好調なエマージング諸国が、具体的にどのような経済運営を行っていくの
かという疑問をもつこととなった。
このレポートでは、流動性を要因とする(資産クラス横断的な)相場急落に対するエマー
ジング・ソブリン債の脆弱性に関して、投資家への手引きとなるよう、ソブリン流動性指
標を紹介しその定義を明確にし、エマージング債券への投資にあたり、現在世界の投資
家にとって有効な様々な選択肢、即ち、クレジット、金利および外国為替への投資の有
効性について説明する。
また、過去15年間の債務持続可能性分析におけるデータが示す傾向についてエマージン
グ諸国と先進国の比較を行い、投資家がすべての国々をモニターするにあたり、更に重
要な幾つかの財政傾向を指摘する。
当社は、ハード・カレンシー(交換性の高い通貨)の流動性分析は、長い間、カントリー・リ
スク分析の一部とされてきたことを強調したい。そして、ウエスタン・アセットのエマージン
グ運用チームが、広範な地域および国々におけるこのリスクをどのように定義し評価する
かについて解説する。このレポートでは、ここ10年に亘り見られる通り、先進国とは対照的
図表1
各国債券の格付け
Moody's Ratings Scale (Foreign Currency Government Bond Rating)
投資適格国債
Aaa
Aa1
Aa2
Aa3
A1
A2
A3
Baa1
Baa2
Baa3
オーストラリア オーストリア カナダ
デンマーク
フランス ドイツ
ニュージーランド ノルウェー シンガポール 英国 米国
ベルギー
香港
クウェート
カタール
チリ
中国
サウジアラビア 台湾
日本
チェコ
エストニア
イスラエル
韓国
オマーン スロヴァキア スペイン
イタリア
マルタ
ポーランド
マレーシア
南アフリカ
バーレーン
リトアニア
メキシコ
ロシア
タイ
ブラジル
ブルガリア
カザフスタン
コロンビア
アラブ首長国連邦
クロアチア ハンガリー
アイスランド インド
スロヴェニア
トリニダード
&トバゴ
パナマ
ペルー
ルーマニア チュニジア
投機的格付け国債
Ba1
Ba2
Ba3
B1
B2
B3
グアテマラ
インドネシア アイルランド
エルサルバドル ヨルダン
モロッコ
ウルグアイ
フィリピン
ポルトガル
トルコ
エジプト
レバノン
モンゴル パラグアイ
ジャマイカ
モルドバ ニカラグア
グルジア
ボリビア
ドミニカ
カンボジア
ホンジュラス ベネズエラ
アルゼンチン
ベラルーシ
ベリーズ
べトナム
出所:ムーディーズ。2011年10月31日現在
Source: Moody's. As of 31 Oct 11
© Western Asset Management Company 2011. 当資料の著作権は、
ウエスタン・アセット・マネジメント株式会社およびその関連会社(以下「ウエ
スタン・アセット」
という)に帰属するものであり、
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マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
に、エマージング諸国の信用格付が引き上げ傾向にあることが珍しくなくなってきていること
を背景に、エマージング諸国と先進国の実証比較を行う。当社は、この実証比較という方法
は信頼性が高く、正当であり、ファンダメンタルズ的裏付けがあると確信している。
「従来のエマージング諸国」と先進国が信用格付の同じ表の中に表される(図表1)というだ
けではなく、実際に流動性があり投資可能な債券を選択する上で同じ土俵に乗っているとい
う意味合いから、世界的なマクロ経済の動向や相対的バリュー投資の機会を評価する上でこ
の種の実証比較は益々重要になるであろう。ウエスタン・アセットのブロード・エマージング債
券戦略はアクティブ運用であり、最終的な目標は、投資対象国のファンダメンタルズの現状と
中長期的な方向性に関し見解を策定することである。エマージング諸国と先進国といった二
つのグループのファンダメンタルズが(債務持続可能性の観点から)一見異なる方向へ進むよ
うに見えるとすれば、債券へのグローバルな投資機会が拡大するなか、エマージング諸国に
対する「従来型の」分析手法を先進国にまで拡大することは、極めて当然のことである。
ウエスタン・アセットのソブリン流動性指標であるL1とL2の導入
数年前、ウエスタン・アセットは幅広いエマージング市場を対象にした一連のソブリン流動
性指標を社内に導入した。これらの指標はL1およびL2と呼ばれる。経済のファンダメンタル
ズが改善し、エマージング諸国の社債市場および現地通貨建て債券市場における新規発
行が急増してから数年が経ち、当社では、対外流動性ショックに対する各国の影響度を探
るため、個別のエマージング国における外貨準備高とそのフローの総額をより良く記録し
測定することが必要であった。エマージング諸国の企業によるハード・カレンシー(米ドル)
での借り入れが増加しており、外国人投資家による現地通貨建て債券市場への参入の増加
もみられるなか、この種のスクリーニング・ツールを使用することは、もはや任意ではなく必
要不可欠なのである。
このL1およびL2という流動性指標は、一国の民間資本市場に対する短期債務支払の割合を
(年数で)示したものである。これらの指標は、全面的に、大規模な市場の閉鎖が発生した
場合において、一国が対外債務総額を返済できる期間を示すことを意図している。これら
の指標を構築する当社の理論的根拠は、市場が著しく逼迫する際、債券市場はしばしば、概
して長期ソルベンシー指標を除外して(詳細はこのレポートの末尾に記載)、一国による極め
て短期の流動性へのアクセスにことのほか焦点を当てるという観測に基づいている。このよ
うなパニックに陥った市場の反応は、現実とは対照的に、
マクロ経済や財政、政治にかかるリ
スクが深刻であるという認識によりしばしば引き起こされる。とはいえ、これらのリスクは何
らかの形で存在する。現時点では、実のところ、この認識は現実のものとなっており、特に先
進国では顕著である。
L1は一 国の 経常収 支
と対外利払い総額(無
利子の当座預金)およ
(一国の経常収支と対外利払い総額(無利子の当座預金)および外貨準備高の合計)
び 外貨 準 備 高の 合 計
L1=
を、民間および国際資
民間および国際資本市場への対外債務の返済額
本 市 場 への対外債 務
(一国の経常収支と対外利払い総額
(無利子の当座預金)
および外貨準備高の合計 の返済額で除すること
により求められる(図
+ 過去5年における年間FDIの資本流入額で下位2位の数値の平均値 )
L2=
表2を参照)。公的部門
民間および国際資本市場への対外債務の返済額
(国際機関やその他外
出所:ウエスタン・アセット
Source: Western Asset
国企業等)への対外債
務返済額を控除したの
は、国際金融市場が逼迫する際、ソブリン発行体による債務の繰り延べがほぼ必ず行われて
いるという観測に基づくものである。L2は、L1(海外直接投資(FDI)において資本流入超で
ある国に対する指標)の分子に、過去5年における年間FDIの資本流入額で下位2位の数値の
平均値を加えることから、L1よりも保守的な指標である。
図表2
Western Asset Liquidity Measures
ウエスタン・アセットの流動性指標
ウエスタン・アセット 2011年11月
2
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
図表3では、2011年に予測されるL1およびL2の流動性スコアを2008年および1998年(アジ
ア通貨危機)と比較し、特定のエマージング諸国(インドネシアを除き、すべて投資適格国)
の検証を行っている。他に特別な条件がない限り、L1またはL2のスコアが高い国は対外債
務支払能力が高く、流動性を焦点とする攻撃に対する同国通貨の安定性は(恐らく)より
高い。また、エマージング市場全般における通貨の更なる安定により、投資家は、現地通
貨建てエマージング債券市場に参加することにより、各国に対して見解を表明する機会を
かつてないほど得ることになる。
図表3
ウエスタン・アセットのL1およびL2の各国国債流動性指標
L1 の比較: 2011年 vs. 2008年および1998年
1998
ブラジル
1
チリ
6
コロンビア
1
メキシコ
1
4
ペルー
5
中国
2
インド
4
インドネシア
8
韓国
10
マレーシア
2
ロシア
2008 2011
3
4
3
1
3
3
2
2
10
6
30
30
8
8
4
3
11
8
26
26
5
4
変化:
変化:
+2
-4
+2
+1
+6
+25
+6
0
+3
+16
+3
-1
+2
+1
0
+5
0
+1
+2
+3
0
+1
1998-2011 2008-2011
L2の比較: 2011年 vs. 2008年および1998年
1998
1
ブラジル
チリ
9
コロンビア
3
1
メキシコ
5
ペルー
7
中国
2
インド
インドネシア 5
7
韓国
11
マレーシア
4
ロシア
2008 2011
4
4
3
1
4
4
2
2
11
6
31
31
9
8
4
3
11
8
27
27
5
4
変化:
変化:
+3
-6
+1
+1
+6
+24
+7
-1
+4
+16
+1
-1
+2
+1
0
+5
0
+1
+2
+3
0
+1
1998-2011 2008-2011
Source: Moody's,JPモルガン、
J.P. Morgan
and Western
Asset
Management.単位は年を四捨五入しています。
As of 31 Oct 11
出所:ムーディーズ、
ウエスタン・
アセット。
2011年10月31日現在。
Ratios expressed as number of years. Numbers reflect rounding
図表3からわかる通り、過去15年間に多くのエマージング諸国に見られた経常収支の大幅な
(黒字への)転換は、多額かつ現在も継続中の外貨の増加を伴い、多くのエマージング諸国
でL1およびL2の流動性指標の急激な改善を促した。この変化は、過去、複数の地域で発生
した通貨危機の際に見られた流動性プロファイルと比較して、実質的により好ましいもの
になっていることを示している。例えば、L2を見れば、マレーシアは、2011年時点で民間資
本市場への債務返済を27年間賄うことができ、1998年の時点からすれば16年の改善とな
った。現在の世界景気を鑑み、それぞれの国の流動性指標が依然堅調であることを踏まえ
ると、当社の最新の流動性指標の市場に対する意味合いには、多くのエマージング諸国の
ソブリン発行体が対外資産を保有することに対し十分なサポートとなることが含まれる。エ
マージング各国のL1およびL2指標が堅調であることから、特定の事業法人が抱える決済お
よび交換性リスクは比較的低水準であるように見受けられる(特に多額の外貨を獲得する
事業法人において)。そのため、当社は、ソブリンと同等の米ドル建ての投資対象に中長期
的に投資をする代わりに、堅実な投資適格国における社債を通じて各国への見解を表明
することに一層意欲的に取り組んでいく。
最近のソブリン信用格付の世界的な動向
過去数カ月、欧州全般で多くの動きが見られたように、ソブリン信用格付の引き下げが市
場心理を支配してきた。米国は、S&Pより不可侵な領域であった「AAA」の長期信用格付を
失い、Moody’sは日本の格付をAa2からAa3へ格下げした(チリや中国と同格付であり、カタ
ールやアラブ首長国連邦よりも低い水準である。)。しかしながら、6月だけで、Fitchはコロン
ビアを投資適格水準(BBB-)に引き上げ、
「BBB-」であるハンガリーの格付見通しを「弱含み」
から「安定的」へ変更した。Moody’sもブラジルの格付を1ノッチ引き上げ「Baa2」とし(見通
しを強含みに維持していることから近い将来格上げの可能性がある)、フィリピンをBa2から
Ba3へ格上げした。また、Fitchはパナマを「BBB-」から「BBB」へと格上げした。
ウエスタン・アセット 2011年11月
3
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
エマージング・ソブリン債への投資はほとんどの投資家にとって投資適格債
への投資を意味するが、一方でハイ・イールド債への投資機会は急速に拡大
している
エマージング・ソブリン債およびエマージング社債の格付が投資適格または改善傾向にある
状況は今日では一般的になってきている。このことから、エマージング債という資産クラスに
対するエクスポージャーを構築する手段に幅が出てきている。今年の出来事を見ると、過去
数世紀の状況に対し、現在の世界秩序が逆転現象を起こしていることを確信させられる。更
に、このような格付の上昇傾向には、その裏付けや実質的なファンダメンタル要因がしっかり
と存在し(下記の表を参照)、この先、多くの先進国の代替資産と比較しても、エマージング
債という資産クラスの魅力を高めることになるであろう。
例えば、当社が社債リスクを取る上で選好するエマージング諸国では、その国のソブリン債
がより好ましい状態にあると思えれば思えるほど(言い換えると、カントリー・リスクが低い
と思えるほど)、その国のクレジット・カーブが押し下げられる見込みが強まり、クロスオー
バー社債(投資適格とハイ・イールドの間に位置するBBB格及びBB格の格付けを投資対象
とするもの)やハイ・イールド社債への投資機会を模索する可能性が高まる。当社の投資方
針は、エマージング市場に投資するポートフォリオ全般およびエマージング社債に特化する
ポートフォリオにおいては、魅力的であると判断した国を一貫してオーバーウエイトするとい
うものであることから、エマージング・ハイ・イールド社債でも、最大のエクスポージャーとな
るのは、国別分析で妙味の高いと判断した国の社債となる。
当然ながら、いかなる市場においてもハイ・イールドの発行体への投資は、クレジット・イベン
トにより投資家が損失を被るリスクを高める。当社のエマージング社債投資へのアプローチ
は、当該国家自体に起因する損失の可能性を限定することから入る。言い換えると、いかな
るポートフォリオ(いかなる格付水準)であっても、純粋なボトムアップ・アプローチによるエ
マージング社債投資は失敗すると当社が考えている根拠である。
エマージング市場対先進国市場:過去15年における両者の対戦考察
以下に掲げる表は過去15年間のエマージング市場と先進国市場における主要な国々の債務
持続可能性トレンドをまとめ、対比させることを意図している。持続的に歳入を増やすことの
できる政府の能力およびその本気度の測定基準が、この議論の論点である。これらの指標は
今日よく知られるところの政府債務持続可能性を測る指標(国有資産売却による利益/損失
は除外)に直接関連している。即ち、
「当初」債務のGDP比率、プライマリー・バランス(金利
変動を考慮)、そして経済成長である。特別なことが起こらない限り、主要エマージング諸国
は、多くの先進国と比較して非常に好ましい経済状況で2012年を迎えるであろう。以下の表
では、JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・グローバル(EMBIグロー
バル、エマージング市場ソブリン債のベンチマーク指標)における構成比で上位8カ国を使用
し、流動性があり投資可能なエマージング債券(上位8カ国でEMBIグローバルの65%強を占
める)と主要先進国(GDP規模順)との対比から傾向を測ることとする。
ウエスタン・アセット 2011年11月
4
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
1. 名目GDP(米ドル)
:これらの表に見られる傾向は、昨今では特に驚くべきことではな
い。1999年と比較すると、エマージング経済は世界経済においてより多くの生産活動
を担うようになってきており、事実上一つの「大陸」を形成しつつある。すなわち、エ
マージング諸国からすれば、先進国経済を必要としなくなっているということである。
図表4は、1999年から2012年におけるEMBIグローバル上位8カ国の米国に対する名
目GDPの絶対値比較である。この間の変化は目を見張るものがある。
図表4
各国の名目GDP比較(対米国、単位百万米ドル):エマージング国対先進国
Nominal USD GDP (USD, Milliions): EM vs. DM
国名
米国比
(1999)
米国比
(2012)
変化率:2012
対 1999 (%)
5.2%
2.1%
5.8%
2.0%
1.1%
0.8%
1.5%
0.9%
8.2%
13.6%
16.8%
5.2%
2.6%
1.5%
5.6%
2.2%
3.0%
11.5%
11.0%
3.2%
1.6%
0.7%
4.1%
1.3%
16,032
5,812 48.7%
3,617 23.1%
2,213 12.9%
1,512 6.7%
305
1.3%
36.3%
22.6%
13.8%
9.4%
1.9%
-12.5%
-0.6%
0.9%
2.8%
0.6%
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011F 2012F
エマージング国(一部)
481
ロシア
196
ブラジル
537
トルコ
185
べエズエラ
98
76
フィリピン
インドネシア 140
コロンビア
86
581
260
602
200
117
76
165
84
622
307
554
196
123
71
162
99
649
346
506
233
93
77
201
98
700
432
552
303
83
80
237
95
760
591
664
392
113
87
257
117
849
764
882
483
144
99
288
147
9,268
4,515
2,144
1,199
618
120
9,817
4,760
1,905
1,097
582
115
10,286
4,116
1,891
1,117
609
131
10,642
3,968
2,017
1,219
686
147
11,142
4,328
2,442
1,507
884
195
11,868
4,669
2,745
1,728
1,044
230
12,638
4,638
2,788
1,778
1,130
242
メキシコ
952 1,036 1,096 883 1,040 1,188 1,310
990 1,300 1,667 1,232 1,480 1,869 2,185
1,089 1,367 1,639 1,572 2,030 2,428 2,687
531 647 730 615 735 763 827
183 226 311 326 235 312 419
118 144 167 161 194 217 248
367 432 509 540 681 795 898
163 207 242 232 284 309 359
先進国(一部)
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
13,399
4,465
2,919
1,863
1,235
265
14,062
4,449
3,329
2,116
1,442
311
14,369
4,846
3,635
2,297
1,594
347
14,119
5,130
3,330
2,111
1,470
327
14,660
5,660
3,464
2,147
1,473
319
15,240
5,876
3,503
2,150
1,442
303
Source:
Western Asset
Management
Calculations,
Moody's,
JPMorgan, Bloomberg.
As of 31 Oct 11
出所:ウエスタン・
アセット、
ムーディーズ、
JPモルガン、
ブルームバーグ。
2011年10月31日現在
ウエスタン・アセット 2011年11月
5
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
2. 名目GDPと購買力平価ベースGDP(米ドル、一人当たり)
:この表では、原則として、そ
れぞれの国における潜在的な税収基盤を表している。税収基盤が大きいほど、その国
の債務返済能力が高いということである。更には、一人当たり所得の上昇は政治的安
定を意味することが証明されている。ソブリン信用格付の決定要因の実証研究にお
いて、一人当たり所得は、概して、統計的に非常に重要な意味を持つ。図表5および図
表6における、エマージング諸国および先進国の傾向の対比は、特に購買力平価でみ
た場合、そのデータがすべてを物語っている。
図表5
名目GDP(米ドル、一人当たり):エマージング国対先進国
GDP Per Capita (USD): EM vs. DM
国名
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
4,268
2,909
ロシア
4,932
ブラジル
2,966
トルコ
べエズエラ 3,739
フィリピン 1,120
インドネシア 1,089
コロンビア 2,668
4,420
1,845
4,748
3,086
3,901
891
475
2,419
4,976
1,339
3,194
2,753
4,105
1,017
688
2,081
5,928
1,784
3,540
2,937
4,819
990
800
1,989
6,284
2,101
3,137
2,906
4,963
899
779
2,442
6,491
2,378
2,825
3,400
3,683
951
954
2,394
6,932
2,984
3,043
4,371
3,250
967
1,111
2,274
30,567
34,103
26,469
20,616
14,377
10,196
31,789
31,000
26,855
21,275
15,177
10,966
33,259
35,619
26,123
20,807
15,376
11,021
34,784
37,473
23,171
19,013
14,373
10,495
36,082
32,371
22,967
19,609
14,958
11,966
36,978
31,134
24,446
21,327
16,611
13,415
38,378
33,889
29,587
26,163
21,037
17,654
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010 2011F 2012F トレンド
9,839
9,146
7,189
8,864
8,231
1,624
1,924
4,675
10,308
11,744
8,536
9,881
11,119
1,850
2,238
5,385
8,217
8,684
8,112
8,214
11,474
1,751
2,349
5,088
9,579
10,543
10,368
9,703
8,063
2,068
2,928
6,127
10,835
13,358
12,279
9,938
10,474
2,277
3,381
6,570
11,824
15,674
13,450
10,636
13,811
2,558
3,773
7,525
+
+
+
+
+
+
+
+
46,627
34,818
40,468
35,641
32,130
27,767
47,209
37,945
44,264
38,382
34,988
30,884
45,989
40,174
40,670
35,057
31,986
28,939
47,310
44,319
42,396
35,403
32,014
28,174
48,724
46,016
42,958
35,190
31,239
26,656
50,782
45,513
44,472
35,981
32,675
26,739
+
+
+
+
+
+
エマージング国(一部)
メキシコ
7,445
4,108
3,610
5,582
4,317
1,036
1,187
2,763
8,233
5,337
4,740
6,786
5,423
1,156
1,315
3,406
9,136
6,947
5,789
7,365
6,778
1,349
1,653
3,728
先進国(一部)
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
40,498
36,548
33,269
29,700
24,461
20,796
42,733
36,295
33,811
30,332
26,042
21,819
44,873
34,947
35,429
31,614
27,989
23,777
Source: Western Asset アセット、
Managementムーディーズ、
Calculations, Moody's,
JPMorgan, Bloomberg.
Trend is relative
to 10-year average. As of 31Fは予測値です。
Oct 11
出所:ウエスタン・
JPモルガン、
ブルームバーグ。
トレンドは10年の平均、
2011年10月31日現在
図表6
購買力平価ベースGDP(米ドル、一人当たり):エマージング国対先進国
GDP Per Capita PPP (USD): EM vs. DM
国名
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009 2010 2011F 2012F
1999年から
の変化率
エマージング国(一部)
7,811
6,000
6,859
ブラジル
6,143
トルコ
べエズエラ 5,974
フィリピン 3,749
インドネシア 3,149
コロンビア 6,275
8,167
5,894
6,876
6,258
5,937
3,642
2,807
6,233
8,447
6,360
6,935
6,026
5,482
3,726
2,893
5,945
9,059
7,086
7,366
6,519
5,685
3,985
3,028
6,208
9,303
7,362
7,051
8,320
8,797
2,300
2,485
5,764
9,563
8,038
7,264
8,364
8,011
2,398
2,607
5,914
10,970
9,262
7,404
8,478
7,413
2,521
2,754
6,219
30,372
24,721
22,759
22,492
18,470
14,810
31,360
24,638
23,525
23,150
19,489
15,409
32,750
24,983
24,330
23,761
20,402
16,314
33,989
26,210
25,481
25,036
21,571
17,438
35,344
26,195
26,862
27,130
22,596
19,932
36,197
26,814
27,578
26,804
24,067
21,598
37,572
27,483
28,556
27,134
24,745
22,699
メキシコ
ロシア
11,638
10,263
8,074
9,800
8,865
2,750
2,983
6,696
12,592
11,861
8,505
10,977
9,924
2,927
3,217
7,204
13,820
15,016
9,029
12,413
11,107
3,125
3,461
7,836
14,547
16,812
9,750
13,163
12,156
3,379
3,740
8,540
15,314
20,377
10,367
14,068
12,749
3,518
4,001
8,803
14,337
18,945
10,427
13,885
12,341
3,546
4,205
8,870
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
70%
198%
50%
130%
125%
-5%
45%
49%
46,458
33,535
35,502
31,749
32,209
28,451
47,210
33,799
37,140
32,695
32,994
30,285
46,436
32,443
36,449
31,909
32,545
29,663
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
42%
30%
50%
34%
60%
82%
先進国(一部)
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
40,309
29,039
29,890
27,411
25,954
24,155
42,534
30,310
31,364
28,144
27,377
24,640
44,663
31,861
33,698
30,232
30,323
26,995
Source: Western Asset Management Calculations, Moody's, JPMorgan, Bloomberg. Trend is relative to 10-year average. As of 31 Oct 11
出所:ウエスタン・アセット、ムーディーズ、JPモルガン、ブルームバーグ。トレンドは10年の平均、Fは予測値です。2011年10月31日現在
ウエスタン・アセット 2011年11月
6
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
3. 一般政府債務/GDP比率:その国の経済規模に対して政府はどれだけ債務を保有し
ているのかは、GDPに対する一般政府債務比率からわかる(図表7)。他に特別な条件
がない限り、債務を履行するキャッシュ・フロー(このケースでは、名目GDP)に対して
債務負担が増えるほど、デフォルト・リスクが高まることを意味する。メキシコを除く
EMBIグローバル上位8カ国は10年トレンドで見ると改善の傾向を示しており(GDPの
28%であるメキシコの債務/GDP比率は高水準とはいえないが)、その一方で、主要
先進国は悪化の方向へ向かっている。
図表7
一般政府債務/GDP比率(%):エマージング国対先進国
General Government Debt/GDP (%): EM vs. DM
1997
国名
メキシコ
ロシア
ブラジル
トルコ
べエズエラ
フィリピン
インドネシア
コロンビア
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
1998
1999
2000
2001
2002
2003
25
44
43
46
33
56
25
23
26
56
55
43
30
56
76
28
26
73
59
55
29
60
89
38
23
60
65
51
27
65
100
46
23
40
54
78
30
66
77
41
24
34
63
74
37
71
65
47
22
27
60
67
48
78
58
47
71
97
60
118
65
114
68
118
60
115
63
112
64
131
60
114
62
112
58
139
59
109
59
112
46
152
59
109
56
104
48
161
60
106
53
102
50
167
64
104
49
97
2004
2005
2006
2007
2008
2009
21
7
58
39
20
56
35
38
24
6
58
40
14
57
33
38
28
7
63
46
18
57
29
40
27
9
57
42
25
55
26
37
27
9
57
41
23
54
25
38
28
8
58
40
21
52
24
38
–
+
+
+
+
+
+
+
53
188
65
104
36
105
57
195
66
106
40
111
69
216
74
116
53
127
79
220
83
119
60
143
89
229
82
120
70
152
92
233
81
120
72
160
–
–
–
–
–
–
エマージング国(一部)
21
20
56
59
38
78
55
44
52
178
66
104
46
99
20
13
56
52
33
71
45
44
21
8
56
46
24
64
39
41
先進国(一部)
52
192
68
106
43
100
52
191
68
107
40
106
2010 2011F 2012F トレンド
出所:ウエスタン・
アセット、ムーディーズ、
JPモルガン、
ブルームバーグ。
トレンドは10年の平均、
2011年10月31日現在
Source: Western Asset Management
Calculations, Moody's,
JPMorgan, Bloomberg.
Trend is realtive
to 10-year average. As of 31Fは予測値です。
Oct 11
4. 一般政府債務/歳入比率:GDPに対する債務の比率が低いことは良いことだが、も
し政府が債務を履行するための税収を得られない場合(前述の一人当たりの所得
に関する考察を参照)、依然、大きな問題が噴出する可能性がある。やはり、EMBIグ
ローバルの上位8カ国において、メキシコを除いては10年トレンドで見れば改善して
おり、主要先進国は悪化の方向である。その上、多くの先進国はエマージング諸国
の大多数に比べて一人当たりの所得が高いものの、それぞれの政府における税負担
を支える観点からは、先進国の人口は次第に逼迫傾向にあるとみられる。図表8の
比率はこの点を明らかにしている。
図表8
一般政府債務/歳入比率(%):エマージング国対先進国
General Government Debt/Revenue (%): EM vs. DM
1998
1999
2000
2001
2002
2003
143
ロシア
124
ブラジル
NA
トルコ
233
べエズエラ 145
フィリピン
286
インドネシア 221
コロンビア
94
173
350
165
192
178
324
491
112
154
235
185
228
171
371
477
155
131
160
194
192
139
421
679
182
123
108
158
256
145
421
425
150
135
93
181
239
166
487
409
209
131
74
173
214
204
525
348
224
205
324
130
244
172
262
194
385
130
246
169
249
182
430
129
246
162
244
162
454
128
241
155
237
137
497
132
242
146
254
152
553
136
238
137
252
168
581
144
233
128
250
国名
1997
メキシコ
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
2004
2005
2006
2007
2009
125
16
156
122
67
355
196
150
132
14
150
123
57
360
165
149
152
21
161
133
85
392
186
154
156
22
139
119
130
391
166
155
144
22
143
116
110
363
156
155
144
23
144
115
107
344
147
154
–
+
+
+
+
+
+
+
161
598
148
223
88
264
179
617
151
230
107
277
242
726
165
250
154
341
268
716
192
259
168
365
309
724
190
262
192
361
297
737
188
260
194
377
–
–
–
–
–
–
エマージング国(一部)
125
55
159
190
159
540
311
198
172
623
152
235
120
259
118
33
154
162
118
478
260
189
123
21
153
139
81
396
204
174
先進国(一部)
166
641
156
242
109
259
161
621
155
235
98
271
2010 2011F 2012F トレンド
2008
Source: Western Asset Management
Calculations, Moody's,
JP Morgan, Bloomberg.
Trend is relative
to 10-year average. As of 31
Oct 11
出所:ウエスタン・
アセット、ムーディーズ、
JPモルガン、
ブルームバーグ。
トレンドは10年の平均、
Fは予測値です。
2011年10月31日現在
ウエスタン・アセット 2011年11月
7
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
5. プライマリー・バランス:歳入総額から歳出総額(利払いを除く)を引いたものが政
府債務の持続可能性を測る主要指標である。正の数字が高い(黒字)ほど政府の
債務水準を抑制する効果がある。特に債務/GDP比率が分岐点となる100%を超え
る際には顕著である。EMBIグローバル上位8カ国の2012年の見通しは長期的なトレ
ンドを下回ると予想されるが、多くのエマージング諸国のプライマリー・バランスが
依然黒字となっていることから(図表9を参照)、大きく下振れることはないと考え
られる。同表の先進国市場を見た場合、2007年から2008年にかけての金融危機以
前でさえも、債務/GDP比率が上昇傾向にあることは驚きであろう。
図表9
一般政府プライマリー・バランス/GDP(%):エマージング国対先進国
General Government Primary Balance/GDP (%): EM vs. DM
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2.5
ロシア
-2.8
ブラジル
NA
トルコ
0.1
べエズエラ NA
3.3
フィリピン
インドネシア 1.4
コロンビア -1.1-
1.1
-1.4
0.3
4.6
-1.4
1.9
1.2
0.9
1.6
2.3
2.6
2.0
1.0
-0.2
1.4
-2.3
2.0
6.9
2.8
6.0
0.9
0.2
2.4
-0.3
2.2
5.7
2.5
5.1
-1.4
0.7
3.3
0.0
0.8
3.0
2.3
4.4
0.6
-0.6
3.6
0.1
1.1
3.0
3.4
5.3
0.3
0.6
1.7
0.8
2.4
-2.6
0.7
6.5
1.5
4.0
3.5
-4.2
1.2
4.8
1.2
5.0
3.6
-5.8
1.7
4.9
2.3
5.0
4.1
-6.0
4.5
5.8
2.4
4.0
3.1
-3.5
0.2
3.2
2.4
2.0
-0.6
-5.7
-0.7
2.7
2.2
0.7
-2.8
-5.3
-1.1
1.6
2.2
-0.7
国名
メキシコ
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010 2011F 2012F トレンド
0.1
7.1
3.2
4.3
4.6
2.5
0.8
2.5
0.3
4.7
3.4
2.9
0.1
2.3
1.6
3.2
0.0
-6.5
2.0
-0.2
-3.7
-0.3
0.1
0.8
-0.8
-3.6
3.0
0.6
-0.8
-0.2
1.0
0.1
-0.6
-0.2
2.8
1.2
-0.6
0.2
-0.1
-0.1
-0.7
-1.3
2.5
1.4
-4.5
0.3
-0.1
0.1
–
–
–
–
–
–
–
–
-0.5
-1.6
3.0
3.5
3.5
-2.0
-1.6
-1.8
2.8
2.5
-2.6
-4.8
-8.7
-7.9
-0.4
-0.8
-9.3
-10.3
-7.6
-7.1
-0.9
-0.1
-7.3
-4.9
-9.6
-7.5
0.4
0.8
-4.4
-1.9
-5.5
-5.8
1.2
1.9
-2.3
0.5
–
–
+
+
–
+
エマージング国(一部)
1.1
6.1
3.8
6.0
1.8
1.5
1.3
1.6
-2.7
-3.2
-1.0
1.2
1.6
-2.5
1.2
9.1
3.9
6.5
4.6
2.8
1.8
1.7
0.4
9.0
3.1
6.0
2.0
4.0
1.5
1.8
先進国(一部)
-2.0
-2.2
-0.5
0.3
2.8
-0.8
-0.8
-1.9
1.2
1.3
3.6
-1.4
出所:ウエスタン・
JPモルガン、
ブルームバーグ。
トレンドは10年の平均、
Fは予測値です。
2011年10月31日現在
Source: Western Assetアセット、
Managementムーディーズ、
Calculations, Moody's,
JPMorgan, Bloomberg.
Trend is relative
to 10-year average. As of 31
Oct 11
ウエスタン・アセット 2011年11月
8
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
6. インフレ:
(歴史的に見て、特にエマージング諸国では)政府の財政構造問題を示す
兆候の一つに高いインフレ率がある。これは通常、政府が税金や相応の政府債務
を通じて財政支出を賄うことを躊躇する、または出来ないことを意味する。これは
また、政治の安定性を測る非常に重要な指標でもある。理由は明らかである。過去
15年間に亘り政治及び経済改革を通じてインフレの抑制を行ってきたことは、エマ
ージング経済にソブリン・レベルでの安定性をもたらしてきた、まさに重要な要因の
一つである。ますます裕福になる現地の預金者にとって、現地通貨が価値の貯蔵手
段となり、エマージング・ソブリンのバランス・シートにおいて「脱ドル化」を促す重
大な前向きの要因となったからである。エマージング諸国の大部分は現在、何らか
の形でのインフレ・ターゲット政策の下、政治・経済が運営されているが、当社は、こ
の安定性は継続するとみており、従って、今後数年間、規模の奥深さと幅広さで(もち
ろん、機会においても)、現地通貨建てエマージング債券市場の著しい成長が見込ま
れるであろうと考える。
図表10
前年末比のCPI変化率:エマージング国対先進国
Percent Change in CPI Year-End Over Year-End: EM vs. DM
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
15.7
ロシア
11.0
ブラジル
5.2
トルコ
99.1
べエズエラ 37.6
5.9
フィリピン
インドネシア 10.3
コロンビア 17.7
18.6
84.4
1.7
69.7
29.9
9.7
77.6
16.7
12.3
36.5
8.9
68.8
20.0
6.7
3.8
9.2
9.0
20.2
6.0
39.0
13.4
4.3
9.3
8.8
4.4
18.6
7.7
68.5
12.3
4.1
12.5
7.6
5.7
15.1
12.5
29.7
31.2
2.6
10.0
7.0
4.0
12.0
9.3
18.4
27.1
3.0
5.1
6.5
2.3
1.8
2.0
2.0
2.0
5.5
1.5
0.6
0.4
2.0
1.4
4.7
2.2
-1.1
1.1
1.7
2.9
2.7
3.4
-0.2
2.1
2.5
4.0
3.1
1.6
-1.2
1.6
2.4
2.7
3.0
2.4
-0.3
1.2
2.8
4.0
3.4
1.9
-0.4
1.0
2.6
2.6
3.1
国名
メキシコ
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010 2011F 2012F トレンド
3.7
11.9
4.5
8.4
22.5
3.9
6.6
5.7
6.5
13.4
5.9
10.1
31.9
8.0
11.1
7.7
3.6
8.8
4.3
6.5
26.9
4.3
2.8
2.0
4.4
8.8
5.9
6.4
27.4
3.0
7.0
3.2
3.6
8.5
6.1
7.0
30.0
4.5
7.3
3.4
3.3
7.5
5.1
5.4
31.0
4.0
5.9
3.7
+
+
+
+
–
+
+
+
4.1
0.7
3.1
2.6
4.2
3.9
0.1
0.4
1.1
2.3
1.4
2.0
2.7
-1.5
0.9
1.0
0.8
2.6
1.5
0.0
1.0
1.5
3.0
5.2
2.4
0.5
1.2
1.7
2.0
1.4
2.1
0.6
1.2
1.8
1.0
1.5
+
–
+
+
+
+
エマージング国(一部)
5.2
11.7
7.6
9.4
19.2
8.0
6.4
5.5
3.3
0.2
2.3
2.0
3.2
3.1
3.3
10.9
5.7
7.7
14.4
6.7
17.1
4.8
4.0
9.0
3.1
9.6
17.0
4.3
6.6
4.5
先進国(一部)
3.4
-0.1
1.4
2.0
3.7
3.6
2.5
0.3
1.4
1.8
2.7
2.9
出所:ウエスタン・アセット、ムーディーズ、JPモルガン、ブルームバーグ。トレンドは10年の平均、Fは予測値です。2011年10月31日現在
Source: Western Asset Management Calculations, Moody's, JPMorgan, Bloomberg. Trend is relative to 10-year average. As of 31 Oct 11
ウエスタン・アセット 2011年11月
9
マージング市場対先進国市場:エマージング市場の対外債務支払能力の向上と世界の債券投資家への影響
7. 名目および実質GDP成長率:GDPが一貫して高い伸びを示すことは、どの国において
も、将来、現状の債務負担を返済し易くなることを意味する。エマージング市場の、先
進国よりも高水準のGDP伸び率と図表11において示される全く衰えを見せないトレン
ドは、これらの国々が、増加していく(概して若年の)労働力の一体化に次第に効力を
発揮していくことを明確に示している。従って、当社が予測する一人当たり所得の上昇
が全般的に促進されれば、エマージング市場におけるこれまでの長年に亘る良好なマ
クロ経済のトレンドは今後数十年間続くであろう。
図表11
GDPの前年比成長率(現地通貨建て):エマージング国対先進国
Nominal GDP Year-Over-Year % Change (Local Currency): EM vs. DM
国名
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
25.7
15.5
ブラジル
20.5
トルコ
95.2
べエズエラ 42.5
フィリピン 11.7
インドネシア 17.9
コロンビア 20.8
21.2
6.1
11.8
81.8
19.2
9.8
52.3
15.4
19.5
83.4
11.8
47.6
18.7
11.7
15.1
7.9
19.5
51.5
13.1
61.8
34.2
12.7
26.4
15.4
5.7
22.4
10.4
44.1
11.7
8.2
18.4
8.4
7.8
21.1
13.5
45.9
21.2
9.2
12.6
8.5
20.6
22.3
15.0
29.8
24.5
8.9
9.0
10.9
6.2
0.9
2.1
4.5
6.3
10.6
5.3
-1.3
2.6
4.0
7.0
8.8
6.0
-0.7
2.4
3.3
7.3
6.5
5.9
0.9
2.5
5.7
8.7
10.4
3.4
-2.1
2.5
4.8
8.0
7.4
3.5
-0.8
1.4
3.7
7.1
7.0
4.7
0.8
1.0
3.1
7.4
10.1
メキシコ
ロシア
米国
日本
ドイツ
イタリア
スペイン
ギリシャ
2004
2005
2006
2007
エマージング国(一部)
13.5
28.6
14.2
22.9
58.4
12.9
12.7
12.8
6.5
1.0
2.2
4.2
7.4
7.4
2008
2009
2010 2011F 2012F トレンド
7.9
26.9
10.6
16.1
43.0
11.8
21.8
10.5
12.2
24.6
10.4
16.9
29.5
10.8
20.2
13.0
9.1
23.5
12.3
11.2
23.5
10.2
17.5
12.0
7.8
24.6
12.9
12.7
37.3
11.4
24.8
10.7
-2.2
-5.6
4.6
0.2
4.8
3.6
13.8
5.5
10.1
14.9
13.7
16.0
44.5
10.9
14.4
7.1
7.9
21.4
10.8
10.3
32.5
9.5
12.2
8.6
7.2
13.2
10.3
9.4
34.5
9.2
11.0
8.8
–
–
–
–
+
–
–
–
6.5
0.9
1.4
2.7
8.1
5.2
6.0
1.5
3.8
3.9
8.3
8.5
5.0
1.0
4.6
4.1
7.0
7.5
2.2
-4.6
2.0
1.4
3.3
4.3
-1.7
-3.7
-3.4
-3.1
-3.1
-0.8
3.8
0.4
4.2
1.9
0.8
-2.1
4.0
-0.4
3.6
2.6
2.0
-1.0
5.2
2.2
3.5
3.2
3.3
-0.8
+
+
+
+
–
–
先進国(一部)
Source: Western Asset Management
Calculations, Moody's,
JPMorgan, Bloomberg.
Trend is relative
to 10-year average. As of 31Fは予測値です。
Oct 11
出所:ウエスタン・
アセット、ムーディーズ、
JPモルガン、
ブルームバーグ。
トレンドは10年の平均、
2011年10月31日現在
結論
いわゆるエマージング諸国と先進国は、いまや信用格付とグローバル債券市場という二つ
の領域で互いに交差し衝突し合っている。先進国市場の銀行セクターでは流動性不足が
続いており、先進国ソブリン市場ではギリシャから始まった連鎖反応が市場を押さえつ
けている。世界の債券投資家は、ソブリン流動性リスクを取るにあたり、有望で投資可能
な代替投資対象の存在する成長市場(すなわちエマージング市場)を構成する国々をよ
りよくスクリーニングすることが求められる。このレポートで紹介した指標、L1とL2は、投
資家がまさにそのことを行えるように設計されている。その上、これらの指標は、特に、従
来の債務持続可能性指標と比較して、このグループが優位にあることと併せて考えた場
合に、多くのエマージング諸国の対外債務(ドル建て)支払能力を大局的に把握するのに
役立つ。ボトムアップ・リサーチと併用する際、世界の債券投資家は、特定の国の貿易相
手国に対する為替レート管理能力を評価するにあたりこれらの指標を使用することが出
来る。このリサーチとこれらの指標の組み合わせも、特定の国の社債セクターにおける決
済リスクの度合いを見極めるための予防策の最良のものである。手短に言えば、
「旧来
型の」エマージング・ソブリンの流動性分析を、増加傾向にある投資適格国に適用するこ
とは、債券における全ての資産クラス、即ちクレジット、金利および外国為替にわたり、投
資対象を模索する世界の債券投資家にとって、予防策の最良のものとしてしっかりと機
能するということである。
ウエスタン・アセット 2011年11月
10
リスク・ディスクロージャー
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ウエスタン・アセット・マ
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