NEWS CLIPPING in May

本事業は日本財団の助成を得て実施されています
造船関連海外情報の提供
NO. 212/16 June 2011
BY JETRO SINGAPORE – SHIPBUILDING DIVISION & SHIP MACHINERY DIVISION
NEWS CLIPPING in May
シンガポール
シンガポール籍船、アフリカで海賊襲撃
シンガポール海洋港湾管理局(MPA)は4月30日夜、シンガポール籍の製品タンカーがア
フリカ沖で海賊に乗り込まれたと発表した。この船はMTジェミニ号で、同日午前11時
50分に緊急信号を送信した。海賊が乗り込んだのはタンザニアのダルエスサラーム沖
120海里の海上とみられる。インドネシア人13人、中国人4人、韓国人4人、ミャンマ
ー人3人の船員が乗務しており、船長と機関長は韓国人。船舶管理のグローリー・シ
ップ・マネジメントによれば、同船は2万8000トンの粗パーム油を積んで4月16日にイ
ンドネシアのクアラ・タンジュンを出発、ケニア・モンバサへ向かっていた。同社の
シンガポール事務所は30日の午後船長と衛星電話で会話したが、その後通信が切断さ
れた。近年、特に東アフリカのソマリア沖で海賊が増加している。4月前半、シンガ
ポール空軍はパトロール機フォッカー50と人員38人をアデン湾上空からの海賊監視
に出動させた。3カ月現地で任務にあたる。
《May 2, 2011, The Straits Times》
ケッペル、7億7200万USドルのリグ受注
ケッペル・コーポレーションの子会社、ケッペルFELSはノルウェー・オスロのSDスタ
ンダード・ドリリングからジャッキ式リグ4隻の新造を受注した。受注額は7億7200万
USドルで、引渡しは2013年後半から14年前半。スタンダード・ドリリングは10年11月
にもケッペルFELSにジャッキ式リグ1隻を発注し、2隻の仮発注もしたほか、ケッペル
FELSが建造中のジャッキ式リグ2隻と、2隻分の仮発注をクリアウォーター・キャピタ
ル・パートナーズから取得した。この取引でクリアウォーターはスタンダード・ドリ
リングの最大株主となり、新規受注分も合わせると両社合計でケッペルFELSのBクラ
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ス・リグを7隻保有することになる。このほど契約した4隻の新規受注で、ケッペルFELS
の年始以来の受注額は64億シンガポールドルに達した。ケッペルFELSのウォン・コク
セン社長は「ケッペルFELSのBクラス・リグは業界の基準となった。今回の受注を含め、
半年以下でBクラスを19隻受注した」と述べた。クリアウォーターのマネージング・
パートナー、ロブ・ペティー氏は「東南アジア、中東、西アフリカで掘削が活発化し
ており、アジアの掘削市場における商機は大きい」とみている。スタンダード・ドリ
リングのエスペン・ルンダース最高財務責任者は「今回の新造発注は、世界的なリグ
買い替えの動きの一環だ。市場では老朽化した2級のリグより高級リグが好まれるた
め、当社も買い替えを加速する」と述べた。ケッペルFELSはこれまでに世界各地で33
隻のBクラス・リグを引き渡した。Bクラスはケッペルの技術部門、オフショア・テク
ノロジー・ディベロップメントが開発。稼動時間が長く、温暖化ガスの排出量や排出
物が最小で、環境負荷が尐ない。
《May 16, 2011, The Business Times Singapore》
JTC、新オフショア海洋センターの運営業者入札開始
シンガポール政府系JTCコーポレーションは同国西端のトゥアス・ビュー・エクステ
ンションに12月に完成するオフショア海洋センター(OMC)の運営業者の入札を開始し
た。広さは13ヘクタールで、最大20社の接岸施設を作ることができ、オフショア海洋
産業の物資供給・支援の拠点となる。この近くにはセムコープ・マリンが西部ジュロ
ン地区から造船所を移転する計画で、206ヘクタールの敶地を開発中。海洋港湾管理
局(MPA)も市中心部の港湾管理事務所を同地に移す方針だ。OMCの開発は海洋・オフシ
ョア産業から沿岸用地の需要が増えていることに対応した。同国西部のオフショア産
業供給・支援拠点のニーズにも応える。以前、ジュロンに供給・支援拠点があったが、
東部ロヤン地区の大型施設に移転していた。OMCは政府が沿岸用地の基礎開発を手が
けたため、企業の設備投資額は軽減する。JTCは高付加価値企業のシンガポール進出
や、既存企業の拡大を誘致できると期待している。10年以上の業界経験が応札の条件。
応札業者には新事業誘致、埠頭の利用拡大、海岸施設の最大限活用、利用者への高付
加価値サービスの提供に関する提案をしてもらう。また水の使用量や温暖化ガス排出
量の削減などの環境対策や、安全、セキュリティー対策も入札で検討する。OMCの開
発は5400万シンガポールドルでマレーシアのムヒバー・エンジニアリングが手がけて
いる。10年9月に着工した。
《May 19, 2011, The Business Times Singapore》
オフショア産業、業績見通し好調
証券アナリストはオフショア産業の今後の見通しを好調と予想している。リグ建造大
手のケッペル・コーポレーションとセムコープ・マリンは、売上高がそれぞれ横ばい・
下落とさえなかったが、コスト削減で利益は上昇した。ペトロブラスの発注案件で株
価は目先不安定に動くと予想されるものの、OCBCリサーチのアナリスト、ロウ・ペイ
ハン氏は「リグ市場の見通しは引き続き上向きだ」と24日付のリポートで予想した。
DMGリサーチのジェイソン・ソウ氏は特にケッペルの年初来受注額が66億シンガポー
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ルドル、受注残が97億シンガポールドルに上っており、「年間受注額は07年の74億シ
ンガポールドルを超え、過去最高となる」と予想した。オフショア石油ガス田の探索・
生産の活発化が背景にある。CIMBのリム・シウキー氏は「造船所の生産能力が限界に
近づいており、新造価格は上昇、支払い条件も改善する」と述べた。リグ建造企業と
比べてオフショア支援船企業はやや低調だが、その中でも注目株はある。エズラ・ホ
ールディングスの第2四半期(2010年12月~11年2月)は純利益が23%減益となったもの
の、拡大計画が関心を呼んでいる。OCBCのロウ氏は「AMCの買収など最近の動きは、
オフショア・サービス市場で世界的な企業となろうとしていることの表れ」として、
同銘柄の買いを推奨した。エジオン・ホールディングスも4月にアラスカの合弁事業
で注目を集め、11~12年のコア利益で大幅増益が予想されている。テクニクス・オイ
ル&ガスも第2四半期決算が売上高32%増、純利益67%増と好調。ロイヤン造船所の拡
大、油田探索事業が有望と見られる。AMフレーザー証券のリー・ユエジャー氏は「利
ザヤが40~70%ともいわれるオフショア供給基地事業で、小粒ながら存在感を出して
いる」と指摘した。
《May 25, 2011, The Business Times Singapore》
コスコSの業績をアナリストが懸念
中国の海運大手、中遠集団の子会社であるコスコ・コーポレーション・シンガポール
(コスコS)は、親会社の財務不正に続き、再度投資家の懸念にさらされている。顧
客のセバン・ドリリングの親会社、セバン・マリンの財務悪化が原因だ。証券アナリ
ストはコスコSの業績悪化リスクが高まったと指摘している。石油サービスのセバ
ン・マリンは5月20日、株価の60%下落を受け、2億7500万USドルの増資計画を中止し
た。流動株の水準が、既存の資金調達で合意した最低限度を5月31日までに下回ると
の警告も発した。セバン・マリンの取締役でもあるセバン・ドリリングの最高経営責
任者が個人的理由で辞任したことで事態はさらに不透明になった。セバン・ドリリン
グはコスコSが抱える受注残59億USドルの10%を占める。コスコSは現在、セバン・ド
リリング向けにリグを1隻建造中で、DBSビッカーズによれば30~40%は完成済み。ま
た最近、コスコSはセバン・ドリリングと10億5000万USドルの半潜水型(セミサブ)リ
グ2隻の建造受注で趣意書に調印しており、実現すればセバン・ドリリングがコスコS
の受注残に占める割合は22%に増える。セバン・ドリリングのオスロ証券取引所への
新規上場により受注は確定するが、ブックビルディングの段階で需要は低く、上場も
難航した。セバン・マリンの窮状がコスコSのリスク要因となるのは、趣意書の破棄
で2隻分の受注が消滅するだけでなく、セバン・ドリリングが債務支払い不能に陥る
可能性があるためだ。フィリップ証券のアナリスト、ニコラス・ロウ氏は「セバン・
マリンはコスコのオフショア受注のほとんどを占める重要なパートナーで、設計など
専門能力の提供もしている」とし、セバン・マリンの行く末がコスコのオフショア事
業の将来に影響を与えると指摘した。ただコスコSの株価下落は小幅にとどまってい
る。26日、新顧客のKSエナジーから3億5600万USドルの受注を発表したことが下支え
となった。DBSビッカーズのアナリストは「コスコの契約相手はセバン・ドリリング
であり、セバン・マリンではない。セバン・ドリリングはセバン・マリンとのクロス
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デフォルト条項を廃止する方向だ。新規上場でコスコへの前払い金に十分な資金調達
もできた」と前向きに見ている。
《May 28, 2011, The Business Times Singapore》
マレーシア
タンジュン・ペレパス港、今年750万TEU実現へ
MMCコープが運営するタンジュン・ペレパス港(PTP)は2011年第1四半期、コンテナ取
扱高が179万TEUと前年同期を18%上回った。年間取扱高予想の750万TEUは達成できそ
うだ。MMCのハスニ・ハルン社長は、マースク・ライン、エバグリーン・グループな
ど大手顧客の取扱高の伸びが高成長に貢献したと述べた。通年の伸び率見込みは前年
比15%増で、今年も連続成長の記録を伸ばしそうだ。PTPの取扱高は01年から10年間、
年平均14%のペースで伸びている。10年にはコンテナ取扱高で世界17位に入った。海
運会社のコスト意識の高まりはPTPにとっては追い風となるとみている。キークレー
ンの1時間あたりの積み上げ・積み下ろしは35回と、生産性・効率の面でも世界水準だ
った。PTPのコンテナ取扱能力は850万TEU。全長4.3キロメートルの12バースで、大型
船の入港も可能。一方、MMCが70%を保有するジョホール港も、近隣にパシルグダン
地域があり、集荷拠点として重要な役割を果たしている。ジョホール港は世界最大の
植物油タンクを抱え、ロンドン金属取引所(LME)の倉庫用地に認定されているアジア
で数尐ない港。年次成長を続けており、MMCにとっては安定した収入源となっている。
ジョホール港の10年の貨物取扱高は、乾貨物、バラ積み貨物、液体貨物を合わせ、貨
物重量トン数で前年比9%増の1570万FWTだった。コンテナ取扱高は同4%増の87万
6000TEUだった。
《May 13, 2011, Bernama Daily Malaysian News》
インドネシア
新海運法、カボタージュ規則の導入で調整
運輸省のスナルヨ海運局長は7日ジャカルタで、カボタージュ規則の実施と港湾局設
立が、新海運法において問題とならないよう見直しをしたと語った。2008年5月制定
の海運法は、7日同日完全施行となった。運輸省はカボタージュ規則がインドネシア
の石油ガス産業にとって障害とならないよう、2010年運輸省規則を改正した11年運輸
省規則を発行、オフショア石油ガス業界で外国船の使用を認めた。この決定は同産業
を支援する政府の取り組みの一環。海運法にはインドネシア海域で運航する船を国内
所有に限るカボタージュ規則が含まれている。この規則は11年1月1日から一般の船舶
に適用となったが、石油ガス掘削・生産現場では外国船の使用が認められていた。国
内企業にはこれらの活動に使う高度技術の設備や専門人員が不足しているためだ。ス
ナルヨ局長はまた、港湾省設立のための技術的手続きを発表。港湾省設立を定めた新
海運法の施行が、国営港湾運営会社ペリンドの事業に影響を与えないことを強調し
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た。これまではペリンドが港湾運営と監督を兼務していたが、港湾局の設立により民
間企業や地方政府の港湾事業参入が容易になる。新海運法はまた、外資・国内の民間
企業がペリンドⅠ、Ⅱ、Ⅲと組まなくてもインドネシアの港湾を運営できることを定
めた。業界はカボタージュ規則の完全実施を歓迎している。ブルリアン・ラジュ・タ
ンカーの石油ガス子会社、PTブアナ・リスチャ・タマのヘンリアント・クスウェンデ
ィ社長は「カボタージュ規則で国内の運輸企業がシェアを拡大できる」と語った。
《May 9, 2011, The Jakarta Post》
インドネシア船員、政府に海運労働条約批准を要求
インドネシア船員組合(KPI)は政府に国際労働機関(ILO)の海事労働条約(MLC)を即時
批准するよう求めた。KPIのソニー・パティセラノ書記は11日、「批准に問題がある
なら関係者と討議すべきだ」と主張した。ソニー書記はインドネシアが批准しなけれ
ば、条約が施行されてからインドネシア人船員が問題に直面すると語った。同書記は
また、政府が労働法を見直して船員を「特別分野」の職業に指定することを求めた。
漁業・海洋産業は特別分野に区分けされているが、今日まで多くの職業訓練校卒の人
材が業界の求める基準に達していないのが実態だ。MLCは2006年に制定したが、30国
が批准するまで施行できない。これまでに批准した国はバハマ、ボスニア・ヘルツェ
ゴビナ、ブルガリア、カナダ、マーシャル諸島、クロアチア、リベリア、ノルウェー、
パナマ、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、スペイン、スイスの12カ国。
《May 12, 2011, Asia Pulse》
インドネシア、LNGタンカーの造船所建設へ
インドネシアの造船会社3社が合計2兆4000億ルピアを投資して乾ドックを建設する。
2013年に完成の予定で、LNGタンカー造船所建設への第一歩となるとみられる。ハイ
テク産業局のブディ・ダルマディ局長が19日、明らかにした。アルペニ・グループと
ドク・コジャ・バハリ・グループはそれぞれバタム島に、ダヤ・ラダル・ウタマ・グ
ループは東ジャワのラモンガンに建設する。ブディ局長は「乾ドックは同国初のLNG
タンカー造船所の卵となる」と語った。政府はLNGタンカー造船所の建設に向けた具
体的な準備をすでに開始した。LNGタンカー造船技術を学ばせるため、100人の技術者
を韓国、中国など造船大国に派遣した。
《May 20, 2011, Asia Pulse》
インドネシア、ソマリアの海賊に軍事攻撃を決意
5000万USドル相当のフェロニッケルと20人の船員を乗せたインドネシアの8900トン
のバラ積み船、シナル・クドゥス号がロッテルダムに向かう途中、ソマリアの海賊に
ハイジャックされた。インドネシアの船がソマリアの海賊の攻撃にあったのはこれが
初めて。インドネシア国軍は船の奪回に向け、46日間と過去30年間で最長の軍事作戦
において、攻撃も辞さない決意だった。船のオーナーであるサムデラ海運が300万US
ドルの身代金を支払い、インドネシア特殊部隊が銃撃戦で海賊を4人射殺して作戦は
終了したが、国軍は誘導ミサイル装備フリゲート艦、強襲揚陸艦、ヘリコプター、数
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百人の兵士を配備しており、事態によっては大型の軍勢を投入する準備をしていた。
人質解放交渉が決裂したときには軍が攻撃を今にも開始するところだった。アナリス
トは上空援護なく、敵の抵抗についても米国とシンガポールからわずかな情報がある
だけの状況での救助は極度に危険だったと述べた。事件は現在捜査中だが、シナル・
クドゥス号は3月16日未明にアデン湾の入り口の500キロメートル南、陸地から200キ
ロメートルの沖で、海賊の襲撃にあったとみられる。海賊はこの船を使って攻撃範囲
を広げ、さらに大型の船を襲う計画だった。しかししばらく北上したのち、南東に引
き返し、ほかの2隻のハイジャック船のある陸から8キロメートルの係留点に到着し
た。サムデラのデビッド・バトゥバラ副社長はハイジャックの知らせを受けてすぐに
ジョコ・スヤント治安担当調整相、マルティ・ナタレガワ外相、アグス・スハルトノ
国軍司令官と緊密に連絡を取った。政府はまず交渉する道を選んだが、同時に緊急事
態に備えた。ハイジャックが起こって1週間後、フリゲート艦ヨス・スダルソ号とア
ブドゥル・ハリム・ペルダナクスマ号がジャカルタのタンジュン・プリオク港を出発。
スリランカ・コロンボで米海軍特殊部隊と国軍特殊部隊100人を乗せたインドネシア
空軍のボーイングB737機と合流し、ソマリアへ向かった。一方、インドネシアの諜報
部隊はケニアから、国際海事局(IMB)の情報で海賊が26隻のハイジャック船と520人の
人質を拿捕しているとされる南部へ向かった。マルティ外相はカイロへ飛び、ソマリ
アのモハメド・アブドゥラ・オマール外相に交渉決裂の際は攻撃する可能性があると
伝えた。4月6日、インドネシアの実行部隊はオマーン近くへ後退し、400人の海兵隊
と陸軍戦略予備部隊が7500トンのドック方両用輸送艦2隻で到着するのを待った。交
渉が順調に進んだため、諜報員の護衛で輸送係が身代金を持ってジャカルタからセイ
シェルに飛び、サムデラがチャーターしたプロペラ機で4時間かけてシナル・クドゥ
ス号で受け渡しをした。しかし身代金受け渡しから2日後の4月28日、第2の海賊リー
ダーが船に乗り込み、身代金を900万USドルに引き上げるよう要求した。船長が積荷
の価値を実際より多い1億7000万USドルと主張したためとみられる。バトゥバラ副社
長はこの要求を拒否、通信を中断してインドネシア政府に攻撃開始の可能性ありと通
知した。数時間緊迫が続いたが、海賊側の最初の交渉者が電子メールで「今ある金を
すべて受け取る」と伝えたため、現金を船付近に落下させ、全面攻撃は回避した。一
方、海賊35人が船を離れるまで10分かかり、その間に別の海賊グループが乗船を試み
た。特殊部隊が2隻の船でこの海賊を阻止し、銃撃戦で4人を射殺、船を奪回した。2011
年1~5月の間にソマリアで起こった海賊襲撃事件はこれで139件と、10年より大幅に
増えた。米国、インド、韓国、ロシア、マレーシアもインドネシア同様、海賊に対し
て強硬手段で応じている。
《May 30, 2011, Straits Times》
インドネシア、クルーズ産業に成長の可能性
「インドネシアはクルーズ産業が成長する潜在性が大きいにもかかわらず、可能性を
生かしきっていない」。30日、文化観光省が主催したクルーズ産業に関する国際セミ
ナーで、クルーズコンサルタントのウグ・ラミー氏が語った。同氏は同国の港湾が設
備、安全性、清潔、政策の点で未整備だと指摘、「国際水準に達している港はインド
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ネシアにはない」と述べた。国際水準のクルーズ港とは、大型クルーズ船が入港でき、
多数の旅客の乗り降りに対応できる施設があり、港と係留施設が国際船舶および港湾
施設保安(ISPS)コードに準じている上、魅力があり、清潔な環境をもたなければなら
ない。インドネシアの入国管理・カボタージュの政策もクルーズ産業に悪影響を与え
ていると同氏は語った。「港湾当局はクルーズ船の活動をよりよく理解しなければな
らない」とし、入国管理手続きを整備する必要性を強調。インドネシア国内、特に東
部はクルーズ需要が伸びているにもかかわらず、多くのクルーズ会社がカボタージュ
規則のせいで市場参入をためらっていると指摘した。カボタージュ規則により、イン
ドネシア海域で運航する船は国内資本の所有船に限られている。政府はクルーズとオ
フショア産業をこの規則の適用から除外しているものの、「クルーズ会社は政府が直
前に予想外の決定を下すことを恐れ、リスクをとることを避けている。インドネシア
政府は、クルーズ産業にかかる税金や条件を明記した規則を公式発表すべきだ」と語
った。クルーズ大手ロイヤル・カリビアン・インターナショナルのニコラス・アンタ
リス港長も同様の懸念を表明。「インドネシアの港は大型クルーズ船が入港できるよ
う、水深11メートルまで浚渫し、バースを改良しなければならない。障害者向けの設
備と清潔さの向上も必要だ」とし、「クルーズ顧客は帰国後、インドネシアのイメー
ジを自国で広める。いいイメージを植えつけることが重要だ」と述べた。サプタ・ニ
ルワンダル観光局長によれば、インドネシアには2011年、178隻のクルーズ船が入港
し、11万3875人の旅客が利用した。12年には2015隻、13万7279人に増える見通し。ジ
ェロ・ワチク文化観光相は「クルーズ産業の利益となるように規制を改善する」と述
べた。「インドネシアのクルーズ市場は大きいが、まだ需要に応えられていない」と
し、国営会社、港湾運営会社、省庁特に運輸省との協力で改善する考えを述べた。
《May 31, 2011, The Jakarta Post》
タイ
タイ港湾局、バンコク港渋滞問題に対応
タイ港湾局はバンコク港の渋滞解消に向け、コンテナ取扱システムの改善に取り組ん
でいる。すでに輸出向けのコンテナ・ヤードを拡張し、スペースの稼働率も引き上げ
た。貨物の取扱効率をこれまでの70~75%から、80~90%に高めた。クレーン付きの
輸入船は港の西側から入港することにした。またコンテナの積み替え時間をターミナ
ルにつき45日から30日に短縮するため、港の設備すべてを修理しており、7月には完
成する。港湾局のチャレムチャイ局長は26日、次の連休には渋滞が緩和するとの見方
を述べた。港内にコンテナが積みあがるのを抑えるため、荷主は連休も作業を継続し
なければならない。チャレムチャイ局長は「バンコク港はスペースが不足している」
とし、「輸出貨物が輸入貨物より尐なければバンコク港の混雑は悪化する」と述べた。
タイ商工会議所は港湾局の不効率経営が混雑の原因だとし、組織改変を求めた。港湾
局は渋滞が港の修復工事で荷役作業が滞ったために起こったと認めた。輸出業者は貨
物の振り替えのため、コストがかさんでいる。《May 27, 2011, The Nation》
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ベトナム
ベトナム政府、ビナシンの融資延長を承認
ベトナム政府は国営造船会社、ビナシンの融資返済期限を延長する計画を承認した。
ベトナム開発銀行によるビナシンへの輸出信用融資は、支払い不履行となっている。
グエン・シン・フン副首相が調印した通告によれば、政府はこの支払い期限を約2年
後まで延長する財務省の提案に合意した。フン副首相はこの通告で、ビナシンに生産
事業計画を見直すよう求めた。ビナシンが財務破綻に陥ってから契約が打ち切りにな
り、買い手を失った船舶を、買い取ってくれるパートナーを探さなければならないと
も指摘した。2010年5月にビナシンのグエン・ゴック・スー会長は、同社の債務総額
が86兆6000億ドンあると語っている。複数の建設プロジェクトと造船事業における債
務で、ベトナム石油ガス公社とベトナム海運総公社(ビナラインズ)がこれらの船を買
い取ったことで債務は63兆ドンに縮小した。ビナシンは現在、130隻・21億USドル相
当の造船契約を抱えている。うち57隻は輸出向けで、73隻は国内向け。政府は財務省、
産業貿易省、運輸省、計画投資省の提案を受け、4月に通告2611/VPCD-KTTH号を発行
した。《May 6, 2011, Asia Pulse》
政府監査局、ビナシンの調査終了
ベトナム政府の総合監査局は国営造船大手ビナシンの調査を終了した。チャン・バ
ン・チュエン局長が25日、汚職防止会議で明らかにした。監査局は談合、汚職などの
違法行為を発見、ビナシンの過去の幹部の責任を明確にし、首相に報告書を提出した。
チュエン局長によれば首相は選挙で忙しく、報告書について意見していないが、首相
の認可が下り次第、報告書を公表する。監査局は見つかった不正の刑事責任の訴追に
向け、さらに調査を進める。また監査局は警察にビナシン幹部による9件の汚職を通
告、刑事法に基づき取り調べを続けるよう提案した。発覚したのは1兆ドンの社債の
不正利用やドンクアット造船所の第1期工事による59億ドンの損失など。チュエン氏
は、これらのプロジェクトを承認・監視した政府関係者も責任が問われると述べた。
資本金60兆ドン未満のビナシンが、86兆ドンの債務を抱え、破産寸前に陥ったずさん
経営で、これまでに元会長2人を含む同社幹部7人が逮捕された。グエン・タン・ズン
首相は国会で、首相と内閣が責任をとると述べ、徹底的な調査を求めたが、3月後半
に共産党最高幹部の政治局メンバーであるグエン・シン・フン氏が、首相・内閣の過
誤は軽度だったとして「党は閣僚に自己批判を求めた」と、最も軽い問責の決定を発
表した。
《May 26, 2011, Vietnam News Brief Service》
バンフォン港の開発工事、再開メドたたず
ベトナム南中部のカインホア省バンフォン国際港の開発工事が1年以上中断したま
ま、再開のメドが立っていない。開発を手がけるビナラインズの第1海洋プロジェク
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ト担当グエン・ゴック・クイ理事は「首相の決定次第で再開する」と語った。2009年10
月着工の同港は、総工費36億USドルで2020年完成を目指し、ベトナムのハブ港となる
と期待されている。第1期工事でコンテナ取扱高9000TEUの施設を整備するが、完成予
定まであと5カ月に迫ったにもかかわらず、現場は閑散としている。工事中断は地質
再調査のため。当初の調査掘削は不十分で、杭打ち工事の設計に欠陥が出た。1メー
トルにつき1000万ドンの杭のうち、まだ6%しか打っていない。また高金利環境で資金
調達が難航しているのも一因。ただ資金についてはバンフォン経済特区のホアン・デ
ィン・フィー副理事はビナラインズが提供すると確約した。港の設計の変更が続いた
ことも問題だ。コンテナ取扱能力は当初の計画の6000TEUから8000TEU、9000TEUと相
次ぎ引き上げられた。クイ理事は経済の急成長で港の取扱需要が高まっているためと
説明した。バリア・ブンタウ省のチーバイ・カイメップ港も取扱高が9000TEUだ。ま
た1万2000~1万5000TEUのコンテナ船が入れるよう設計を中途変更することで政府が
合意した。カインホア人民委員会の報告によれば、バンフォン経済特区は101件のプ
ロジェクトを誘致したものの、完全に開業したのは16件のみ。45億USドルのナンバン
フォン石油精製所や38億USドルのバンフォン電気センターなどの開発計画が大幅に
遅れている。
《May 26, 2011, Asia Pulse》
オーストラリア
南オーストラリア州、大水深港の調査開始に青信号
南オーストラリア州政府は、アデレード北部ボニーソン港の大水深港・輸出施設開発
に先立ち、豪フリンダーズ・ポーツ・ホールディングス主導の企業連合、スペンサー・
ガルフ・ポーツ・リンクス(SGPL)による環境調査の開始を認めた。同州のパトリック・
コンロン・インフラ相が16日、発表した。「提案によれば、大水深港の開発コストは
6億~7億豪ドルで、すべて民間資金でまかなう。3キロメートルの突堤、コンベアシ
ステム、既存鉄道網と港湾を結ぶ27キロメートルの線路の建設を含む」とコンロン・
インフラ相は述べた。年間5000万トンの鉄鉱石を取り扱い、南オーストラリアの工業
ブームを支えると期待される。SGPLはフリンダーズのほか、レイトン・コントラクタ
ーズ、マッコーリー・キャピタル、BIS産業物流、オーストラリア鉄道線路会社から
なる企業連合。州政府とSGPLは今月、プロジェクト実施の条件で合意した。大水深港
開発計画は以前、ワイアラ地区の居住者からビーチと海岸へのアクセスに関して、ま
た巨大イカの生息地であるとして、環境への影響の懸念が表明されていた。南オース
トラリア州グリーン党のマーク・パーンネル議員は「開発当事者の環境調査はリスク
を過小評価し、問題解決能力を課題評価する傾向がある」として、政府に独立団体に
よる環境調査実施の資金提供を求めた。同氏は「多量の鉱物運搬船の移動は流出事故
などのリスクがある」とし、「巨大イカの集団生息地として知られている世界唯一の
地域であり、事故があれば影響は大きい」と主張した。
《May 16, 2011, Asia Pulse》
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インド
アダニ、豪石炭港を取得
アダニ・グループのムンドラ港特別経済区(MPSEZL)は世界各地の5社を負かし、オース
トラリア・クイーンズランド州アボット・ポイント港を99年間運営する権利を取得し
た。価格は900億ルピー(18億豪ドル)で、MPSEZLはすべて現金で支払う。インドの港
湾企業にとって最大の買収案件。手続きは間もなく終了する。MPSEZLはインド最大の
民間港湾運営会社。同案件はアダニ・グループにとって9カ月間で3件目の海外進出。
2010年8月には豪リンク・エナジーの炭鉱を1260億ルピーで買収。11年1月にはインド
ネシア、タンジュン・カラットの港湾・鉄道を16億5000万USドルで取得した。今回の
港湾買収は、オーストラリアでの石炭事業と相乗効果がある。北クイーンズランド貨
物港(NQBP)が所有するアボット・ポイントX50石炭ターミナル(APCT)は年間5000万ト
ンの取扱能力を持つ完全自動の港で、クイーンズランドの石炭出荷に活用できる。
MPSEZLは同港買収後、取扱能力を8000万トンに引き上げる計画。MPSEZLのB・ラビ最
高財務責任者(CFO)は「同港の収入は2011年の1億1000万豪ドルから16年には3億500万
豪ドルへ、ほぼ3倍増となる」と予想した。MPSEZLの港湾取扱能力は5000万トンで、
買収により12年には1億トンに倍増する。20年には2億トンに増やす計画だ。アダニ・
グループのガウタム・アダニ会長は「世界的に事業を拡大する方針で、戦略的に適合
する買収の機会を探していた」と述べた。MPSEZLはムンドラ港以外にダヘジ港を運営
し、ハジラ港とモルムガオ石炭港を開発中。ビサカパトナム州でも石炭ターミナルの
開発で合意済みだ。2010年にMPSEZLはオーストラリアのダンジョン・ポイントで石油
積み出し港の開発契約に調印した。豪州政府が港湾開発地を外国企業にリースしたの
はこれが初めて。ラビCFOは「来年までに着工する」と述べた。
《May 4, 2011, The Statesman》
インド最高裁、政府の港湾独占防止策を支持
インドの最高裁判所は民間企業による港湾運営の独占を規制する政府決定を合法で
あるとして、支持した。アルタマス・カビル判事とシリアク・ジョセフ判事からなる
最高裁法廷は、「中央政府はその権限内で、港湾施設が民間企業1社または1企業連合
の手に集中するのを防ぐ政策を導入することができる。港湾施設の使用権が、ある企
業の完全な支配化におかれることで、海運産業の不利益になるのを防ぐためのもので
ある」との判決を下した。最高裁は、ツチコリン港湾局が第8バース・コンテナ・タ
ーミナルの入札で港湾運営会社PSAシカルの参加を禁止したことに関する同社の申し
立てを棄却した。一方、最高裁はジャワハルラル・ネルー港湾局に対し、第4コンテ
ナ・ターミナルの入札にオランダのAPMターミナルズの参加を認めるよう命じた。2009
年6月29日にAPMターミナルは、同社とCONCORの合弁事業であるGTIが第4コンテナ・タ
ーミナルの入札資格を剥奪されたとの通告を受けた。APMはその前の第3コンテナ・タ
ーミナルの330メートル延長工事の入札でも、「前回のコンテナ・ターミナルのBOT(開
発・運営・譲渡)入札で落札したマースクA/SとCONCOR連合、その子会社と関連会社は、
今回の入札に参加を禁止する」と定めたジャワハルラル・ネルー港湾局の07年通告に
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より、入札から除外されていたとして、最高裁に訴えていた。最高裁は「既存の政策
に基づき一つの入札から除外されたAPMは、次の入札からは除外されるべきではない」
との判決を下した。政府は健全な競争を維持し、大型港が一部の民間企業に集中する
のを防ぐため、最高裁の決定に従うとし、そのために差別的措置をとることは恣意的
ではないと述べた。
《May 19, 2011, The Economic Times》
ムンバイ港湾局、解撤業者と土地抗争
ムンバイで最大の土地を所有するムンバイ港湾局は、新たな不法占拠問題に直面して
いる。解撤業者が海岸の1エーカーの土地を占拠しているためだ。ムンバイ港で解撤
される老朽船は近年急増している。ラクリ・ブンデル南部の土地使用権をめぐり、解
撤業者のIBトレーディングが港湾局をボンベイ高等裁判所に訴えた。IBトレーディン
グは268万ルピーの前払い金を納付済みで、6月26日まで合法的にスクラップ用の船MV
ハンジョンメン号を陸揚げ作業する権利があるにもかかわらず、港湾局が撤去を求め
ていると主張した。港湾局はこの申し立てを「虚偽」とし、「IBトレーディングは土
地占有を主張しているが、ムンバイ港湾局もLBS1、LBS2、LBS4の3区画を所有してい
る。IBトレーディングは解撤作業を故意に遅らせ、あるいは隠蔽し、ムンバイ港湾局
が他の解撤業者に土地を使用させるのを阻んでいる」と述べた。25日には別の解撤業
者のカイニヤ・スチールがLBS5の区画の土地使用の手続きをしたにもかかわらず、IB
トレーディングが占拠しているために使えない事態となった。港湾局は「海岸の土地
は個人所有ではなく、前払い金を支払い、手続きをした業者に港湾局が振り分けるこ
とになっている」とし、「解撤作業が80%終了したら他の業者に明け渡すのが規則だ」
と述べた。これに対し、IBトレーディング側は「当社の作業が80%終了したとの理解
は誤り」と反駁。港湾局は「IBトレーディングが5月10日に現地当局に提出した書類
により作業が80%終了したことが証明できる」と対抗した。港湾局は海岸に解撤用の
船を陸揚げする土地を18区画所有し、年中混雑している。港湾局筋は「インドは世界
の船のゴミ捨て場となっている」と語った。港湾局は高裁に、19日にIBトレーディン
グに与えた暫定救済命令を無効にし、申し立てを棄却するよう求めた。
《May 31, 2011, The Times of India》
スリランカ
スリランカ、北部の港をインドの援助で開発
スリランカ政府は北部ジャフナ半島のカンケサントゥライ港をインドの援助で開発
する。浚渫で大水深にし、防波堤を建設する。政府スポークスマンが明らかにした。
内閣は港湾再建に関するマヒンダ・ラジャパクサ首相の提案を承認済みで、スリラン
カはインドと援助に関する覚書に調印する。政府は発行した文書ではカンケサントゥ
ライ開発はスリランカの安全保障上、また北部半島地域の社会開発上、重要なプロジ
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ェクトの一つだ」と説明した。ジャフナ半島のインフラは30年続いた内戦のため破壊
され、開発が送れていたが、09年5月の内戦終了後、再建が進んでいる。
《May 5, 2011, Asia Pulse》
バングラデシュ
中国政府、ソナディア港開発に視察団
中国政府の視察団5名が30日、バングラデシュのシャジャハン・カーン海運相ほか海
運省高官と会い、19億USドルの大水深港開発への出資計画について協議した。バング
ラデシュ政府は貿易拡大に対応するため、コックス・バザール地区に大水深港を建設
する計画で、中国政府は設計・建設・運営に参加する見通し。会談にはバングラデシ
ュ側からチッタゴン港湾局会長、大水深港プロジェクト最高経営責任者も出席した。
関係者筋によれば中国政府はすでに出資を承認しており、過半数を取得したい考え
で、港の利用も計画しているという。海運省の高官は「今回の会談は出資に関する初
期の話し合いだ。中国政府が出資についてなんらかの合意をすること期待する」と述
べた。昨年、バングラデシュのシェイク・ハシナ首相が訪中した際、中国側にバング
ラデシュへの資金援助を求めた。3月22日にはディプ・モニ外相が、中国に港湾開発
への支援の意図があると明らかにした。31日には中国国営企業の招商局からの視察団
員がソナディア港用地を訪問する。中国側は1カ月以内に港湾建設の詳細計画を提出
する見通しだが、ソナディア港の喫水が14メートル程度しかないため、「更なる調査
が必要だ」としている。大水深港のシャフィク・ウラー最高経営責任者は「中国側は
喫水18メートルを望んでいる」と述べた。詳細提案の提出後に両国は再度会談する予
定だ。招商局はスリランカの大水深港の開発も手がけており、同様のインフラの建
設・運営の経験が豊富。チッタゴン港の貨物取扱高は年平均12%のペースで拡大して
いる。ソナディア港は2055年の完成を目指し、3期に分けて開発。第1期は16年に完成
する。政府はすでに162万USドルをかけた事前調査を終了した。
《May 30, 2011, May 31, 2011, The Financial Express (Bangladesh)》
アラブ首長国連邦
ADONATCO&NGSCOとドライドックス、協力強化
ドバイのドライドックス・ワールドはアブダビ国営石油会社(ADNOC)傘下のアブダビ
国営タンカー会社(ADONATCO)および国営ガス輸送会社(NGSCO)との協力を強化すると
発表した。中東の石油ガス産業と貿易を拡大するため。ドライドックス・ワールドの
カミス・ジュマ・ブアミン会長とアリ・オバイド・アル-ヤボウニ・ゼネラルマネー
ジャーとの会談で合意した。ADNATCO&NGSCOはUAEの石油、液化天然ガス(LNG)を世界
に輸送している。両社は石油ガス輸送の将来の戦略についての意見交換もした。ドラ
イドックス・ワールドは現在、ADNATCO&NGSCOのLNGタンカー2隻、バラ積み船1隻をド
バイ造船所で修繕中。年初にはRORO船1隻も修繕した。ブアミン会長は両社の協力の
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重要性を強調、「サービスは効率と生産性にかかっている。技術・安全・納期厳守も重
要だ」と語り、「スピードと正確さ、品質が造船所の仕事の最優先課題だ」と述べた。
さらに「当社の優秀運営プログラムは実績管理、オペレーション、資源のムダの削減、
安全、環境管理の開発に力を入れている。ドライドックス・ワールドは高い造船能力
と社内の工学・技術能力を持ち、ドバイ、バタム、シンガポールのすべての造船所で
ADNATCO&NGSCOの幅広いニーズに応えることができる」とした。一方アル-ヤボウニ氏
は「ドライドックス・ワールドが当社のニーズに合うようすべてのことをすると信じ
ている」と語った。
《May 5, 2011, Emirate News Agency (WAM)》
ドライドックス、インドにプラットフォーム船建造
ドバイの造船・船舶修理大手、ドライドックス・ワールドはインド・ムンバイの建設
会社、アフコンズから自昇式プラットフォーム船の建造を受注した。船は「AF SEPサ
ムラット」号。ドライドックスはドバイの造船所で建造し、エンジニアリング、調達、
建設、引渡しを請け負う。長さ45メートルの平底バージで、最大2928トンまでジャッ
キアップが可能。主クレーンや係留ウィンチ、発電セット、ジャッキシステム、電源、
ポンプなどを備える。ドライドックスは将来戦略として機関建設産業、支援産業、石
油ガス産業に焦点を絞り、専用船や掘削リグの建造を拡大する方針。ドライドックス
のカミス・ジュマ・ブアミン会長は「この契約を機に、インドの石油ガス産業との契
約を増やしたい」と述べた。深海での石油ガス掘削が増える中、大型サービスの需要
が拡大すると同社は見ている。この船の建造は5月に開始し、12月に完成予定。
《May 30, 2011, Asia Pulse》
カタール
ラスラファン港、LNG輸出能力拡大
ラスラファン港の液化天然ガス(LNG)輸出能力は年末までに年間7700万トンと、ライ
バルであるマレーシアのビンツル港の4倍に拡大する。15年前に開港したラスラファ
ン港は、世界のLNG需要の拡大に合わせて拡張、能力を拡大した。世界の天然ガス埋
蔵量の3分の1を保有するカタールの経済は、資源価格の上昇が牽引して成長してい
る。ラスラファン港のマネージャー、フェイザル・サード氏は「経済全般の拡大プロ
グラムの進行で、ドーハ港とラスラファン港は急拡大している」と述べた。ラスラフ
ァン港は今後20年の需要拡大を視野に基本計画を組んでおり、2年後までに18億USド
ルの投資プロジェクト2件が完了する。一つはLNGタンカーやその他の船向けの乾ドッ
クと船舶修繕ヤード、造船施設で、2010年末に完成した。もう1件は港の能力拡大で、
2012年までに年間入港数が5000隻に増える。さらに45億USドルの新ドーハ港建設第1
期工事が11年第1四半期に開始した。20平方キロメートルの敶地に一般貨物ターミナ
ル、コンテナ・ターミナル、ROROバース、事務所、税関設備を建設する。第1期は14
年に完成予定。サード氏は「世界危機以降、域内・世界の貿易は安定回復し、貨物の
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輸送量は増加している。2022年、サッカーのワールドカップ開催に向けて、カタール
では今後10年間、巨大プロジェクトが数多く計画されている。港湾への投資はさらに
必要になる」と述べた。
《May 30, 2011, Oil and Gas News》
パキスタン
KS&EW、シップリフトを新設
政府はカラチ・シップヤード&エンジニアリング・ワークス(KS&EW)の船舶修繕施設に
シップリフトとトランスファー・システムを新設することを決めた。国防生産省に近
い筋の情報で明らかになった。KS&EWの施設近代化の一環。コストは2007年に承認を
受けた時点では30億ルピーとしていたが、10年3月には58億4800万ルピーに見直し、
その後中央開発部会の提言で56億4000万ルピーに再度変更した。新シップリフトは
7787トンの引き上げ能力を持ち、同時に13隻の船の保守・修理が可能。現在KS&EWは
能力2万6000DWTと1万8000DWTの計2つのドライドックを持ち、年間の作業能力は16隻。
これがシップリフト設置などの近代化で年に39隻分増える。このプロジェクトが承認
され、国際コンサルタントが雇用された。詳細の設計に取り組んだコンサルタントは、
将来大型船の需要が高まると見て、シップリフトの能力を拡大することを提案した。
計画を見直したことで支出は18億700万ルピー増えた。国防生産省によれば、当初の
計画ではシップリフトは小型船向けだったが、大型船向けに変更した。KS&EWの社長
はシップリフトの能力を拡大することで事業範囲が大きく広がるとし、完成後6年で
投資を回復できるとした。また同社は隣接している5エーカーの土地を海軍から30年
間借り入れることも決めた。敶地を拡張し、修理設備を拡大する。同社は修理施設が
限られていたことで、年間20隻の外国船の受注、5億ルピー相当を失っていた。
《May 26, 2011, Business Recorder》
本ニュースは、日本財団からの支援を得て、
(財)日本船舶技術研究協会が実施している造船・舶用機
器関連海外情報の提供の一環として、(社)日本中小型造船工業会及び(社)日本舶用工業会が(独)
日本貿易振興機構と共同で運営しているJETRO シンガポールセンター船舶部及び舶用機械部において
収集した海事情報をまとめたものです。
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