PDFファイル - アイティーアイ株式会社

地域医療を
担うドクター
院内スタッフ
院内スタッフの
スタッフの自主性を
自主性を引き出す
そして感謝
そして感謝
vol.2
vol.2
医療法人社団 道顕会
原内科クリニック
原内科クリニック
熊本県八代市は城下
町として栄え人口 14
万人。
平成 9 年 10 月 1 日、
その地で「原内科クリ
ニック」を開業。
今年で 13 年目を迎え
る診療所である。
院長 原 道顕 先生
「転院を
転院を促す」心苦しさから
心苦しさから開業
しさから開業を
開業を決意
八代市内の基幹病院に勤務し診療に従事していた原院長に、
「終の棲家と思っていたのに、私をなぜ追い出すの?」患者さんから
思いがけない言葉。
急性期病院であれば患者さんの体調が安定すると、転院するよ
うに告げなければならない。
原院長が転院を促すと、転院したくないという患者さんの表情や
言葉に心苦しさを憶える日々。
「私は開業医に向いていないと思いますが、患者さんに転院を促
すことは、何か中途半端な診療をやっているような気がしました。当
時、患者さんを受ける施設も少なく、思い切って開業をしようと思い
ました。」
「私は、医療だけをやってきました。経営・管理面は事務長(院長
夫人)に任せています。」と話す院長。
原院長は、最初から医学を目指した訳ではない。大学は理学部
へ入学。しかし、理学部で細胞などのミクロの研究を行っていくうち
に生命の全体像が見えないことに疑問を持ち始める。
ちょうどそんな時期、フロイトの精神分析の本と出合う。心因反応
が生体の変化を引き起こすことに興味を持った院長は、医学部受
験を目指すことに。
医学部では、精神科を勉強しようと思っていたが、自分が思って
いたものと違うということがわかり、最終的に腎臓内科を学んだ。
開業して嬉しかったことは?と尋ねると「慢性疾患の患者さんを
最後まで診れることです。勤務医時代と違って患者さんに転院のム
ンテラをしなくていいことが何よりです。(笑)」
八代市街地の北部・
高速道路のインター
チェンジより 5 分の
場所に位置し、同時
透析 48 床、入院 17
床を有する施設であ
る。
原内科クリニック
開業当初は、スタッフ教育に苦労されている。スタッフが思うよう
に動いてくれない。定着率も良くなかった。「スタッフは、なぜ理解し
てくれないのだろう。教育の仕方が悪いのだろうか。」との思いから
「何で開業したんだろうと悔やみました。」と語る事務長。
「院長をサポートするため、今まで学んだことがなかった経営・管
理について真剣に学ぼうと思い、経営については継続セミナーを受
講しました。一番の気づきは、自己変革の大切さ。スタッフが思うよ
うに動いてくれないのは、私たちが悪かったからなんですね。自分
自身が未熟であったことに気づかされました。」
そして経営管理を学びながら、スタッフと一体となった院内改革へ
の取り組みが始まる。
原内科クリニックのスタッフ教育で目を見張るのは、「長所伸展
法」を取り入れている点である。「開業当初は、スタッフの短所ばか
りが目についていました。経営管理を学ぶようになり、スタッフに目
標を持つようにさせました。そして年1回全体ミーティングの時、スタ
ッフは自分の部署のアピールポイントを発表します。例えば、『褥瘡
ケアに対して絶対の自信を持っています』とか、『伝達ミスは絶対し
ません』など。他のスタッフに自分の部署のここを見てほしいという
点をアピールさせています。他部署の仕事はなかなか見えませんし、
ラクに見えますからね。今のスタッフは、本当に頑張っていますし、
イキイキとしていると思います。今はスタッフにとても感謝していま
す。」
患者さんに満足して頂くために、スタッフ教育はとりわけ重要な経
営要因である。原内科クリニックの試行錯誤されてきたスタッフ教育
は、参考になる一例。
原内科クリニック スタッフの皆様
専門性充実と
専門性充実と
病診連携の
病診連携の大切さ
大切さ
原内科クリニックでは、外来で糖尿病や高血圧・腎臓疾患など内
科全般、また、透析室では人工腎臓とそれ以外の血液浄化療法全
般を行っている。
原院長は、昨年より近隣の基幹病院から依頼を受け、週1回腎
臓内科外来を担当している。また、基幹病院には、血管外来など自
分の専門以外の診療を頻繁に依頼されている。
「当院では、できるだけ高度な医療を患者さんに提供できるように
努力しています。当然来院された患者さんはすべて診ます。しかし、
自分の専門以外は信頼のあるドクターに早めに紹介しています。こ
れは、日々の診療で患者さんがもっと早く受診していれば重篤にな
らなかったのにと思うケースが時々あるからです。一般の方々に早
めに医療機関を受診してもらう大切さをもっと啓蒙していかなけれ
ばなりません。」
現在、全国的に糖尿病の患者さんが増加している。国も糖尿病
合併症(脳・心臓血管障害など)を削減するべく、特定健診受診を呼
びかけている。
「糖尿病からくる透析患者さんは、確かに増えています。そういう
患者さんの末梢血管障害を検査するために従来の検査法に加え、
新たに SPP(皮膚還流圧検査)を実施しています。糖尿病の患者さ
んの血管は石灰化が進行し、従来の検査法だけでは血管障害の
発見が遅れるからです。」血管障害に対して自院での対応が難しい
時は、基幹病院で治療してもらい、逆に基幹病院からは LDL 吸着
療法を依頼され、良い治療効果が得られたという。
こういった病診連携がますます進むことにより患者さんの QOL が
さらに向上していくだろう。
患者さん
患者さんだけではなく
さんだけではなく地域住民
だけではなく地域住民の
地域住民の支援も
支援も行う
リスクマネージメントの
リスクマネージメントの徹底
「当院では、スタッフから『気付きレポート(ヒヤリハットまでいかな
いが、その可能性があるもの)』や『ハートレポート(良い事だなと思
った些細な事)』の提出により、アクシデントやヒヤリハット事例が起
きる前にその兆候を知る努力をしています。」スタッフからは、年間3
00枚ほどのレポートが提出されている。また、院内では安全管理
やフットケア・薬品管理などのさまざまな委員会が活動しており、月
に一度の全体委員会で活動報告やレポート提出を行っている。病
院評価機構の項目に準じて院内マニュアルを整備しているという。
皮膚還流圧測定装
置 PAD-3000。
この装置で得られる
SPP 値は、詳細な血
流データが得られ、
下肢救済に関連す
る医師同士では共
通言語となりつつあ
る。
各部門のマニュアル
患者さんの
患者さんの視点
さんの視点で
視点でクリニックづくり
クリニックづくり
「医療従事者の視点でなく、患者さんの視点でクリニックを創るこ
とをスタッフと一緒になって徹底して取り組んでいます。」と院長。そ
の考えは、院内に浸透している。
原内科クリニックでは、耳慣れない「介護環境部」という部署があ
りケアコーディネーターとクリーンキーパーで構成されている。院長
の入院計画を基に看護士が立案する看護計画と共に介護計画を
立案し実行している。ケアコーディネーターの中には運動指導士・ヘ
ルパー1級の有資格者もいて、患者さんの QOL 向上に貢献してい
る。「寝たきりの患者さんは車イスへ、車イスの患者さんは歩きまし
ょう」を目標に運動指導を行い、目を見張る効果を上げているとい
う。
原内科クリニックを訪問すると、事務所から出てきた受付スタッフ
のさわやかな笑顔と対応に迎えられる。医療機関の第一印象は、
受付の接遇で決められるというが、まさに患者さんへの気づかい、
心配りを感じる対応である。また院内の徹底した「清掃」と「におい」
が無いことに気づく。特にトイレが臭わないのには驚かされる。毎日
午前と夕方の透析開始の間に全スタッ
フが清掃を徹底している。透析ベッドの
シーツは、毎透析ごとに交換している。
とにかく床はおろか透析装置の下にも
埃が見当たらない。原内科クリニック独
特の清掃方法と「におい」のない空間作
りを確立しており、九州人工透析研究会
でも発表されている。
「清掃を徹底しているのは、院内感染
予防のためです。清掃は基本ですが、
部屋の温度管理・空調管理もしっかり行っています。」
院長は、透析患者さんに対する栄養管理の大切さを徹底してい
る。原内科クリニックでは、栄養士とベテランの調理師が共同でこだ
わりの治療食を提供している。減塩による薄味の食事でも食欲が湧
くように、味のアクセントに気を配り、お米の選定にまで気を遣って
いる。患者さんからは、透析後更衣室でデザートの話題が出る程好
評だそうだ。
また、透析室には医療事務2名が患者さんのお世話やナビゲー
ターの役割をしている。患者さんの話や訴えを充分に聞くことにより
不安や不満を取り除き、精神的に安定されるように努めている。
地震対策については、独自の方法を行っている。地震の際に、カ
ウンターの上の透析監視装置が倒れないように、装置のゴム足を
耐震用免震脚(原内科考案商品名「リッキー」)に変更。また装置背
部を鎖固定することで、鎖のあそびの範囲で装置がカウンターの上
をすべるように設計。製品化に当たっては消防署に持ち込み、大規
模な地震を想定した実験により、装置が倒れない事を実証している。
透析機械室においても、水処理装置・透析液供給装置共に地震に
よる転倒を防止する工夫がされている。機械室内の配管も装置との
つなぎはフレキシブルホースになっており、地震の揺れによる配管
の折れを防いでいる。
また震災に備え、窓ガラスには飛散防止フィルムを張り、被害の
拡大を防いでいる。「災害時は、患者さんだけではなく、地域住民に
も炊き出しなどができるように、自家発電を一週間使用できるだけ
の重油の確保と、米の備蓄を行っています。」と院長。
最後に院長は「これから益々病診連携や診診連携を行い情報の
共有化・充実化を図ることが、地域住民にとって更に良い医療を提
供することに繋がると思います」と話された。
※本文中の「PAD-3000」「透析装置の地震対策」については、弊社
にて取扱いしております。
お気軽にお問い合わせ下さい。
施設名:医療法人社団 道顕会 原内科クリニック
場所:熊本県八代市日置町 150
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