三度のメシより 30 代からのスポーツとトレーニング が気になる

三度のメシより 30 代からのスポーツとトレーニングが気になる
人間だれしも、10 歳、20 歳の頃は元気いっぱいで。しかし、自然にいやおうなく体力は衰
えます。プロスポーツ選手も、30 歳といえば立派なベテランです。
ましてや常日頃から運動不足のビジネスマンの体力は 30 歳を超えると想像以上に衰えてき
ます。
幼児期の体力を長年調査している先生によれば、幼児が体力を維持増進させるためには、
保育園や幼稚園での歩いたり走ったりする回数(歩数)は 1 万歩以上が必要だ、という話をし
ていました。
振り返ってみれば、今の私たちと比べて、小学生時代、中学生時代、高校生時代はもっと
歩いて、もっと走っていたような気がします。
スポーツは大きく分けると、教育や疾病予防そしてレクリェーションが目的の健康づくり
のためのスポーツと、オリンピックや世界選手権等の頂上を目指す競技スポーツとに分け
られます。
実は、それらの頂上を目指す競技スポーツは必ずしも健康に良いとは限りません。
捻挫や骨折、アキレス腱断裂、十字靭帯断裂、側副靭帯断裂、腰椎分離症、頚椎捻挫、脳
震盪、など軽症から重症までさまざまな怪我が生じる場合があります。怪我だけならまだ
よいのですが、これが頚椎骨折、脊椎骨折、脳挫傷や頭部骨折などは死に至る場合があり
ます。従って、頂上を目指す競技スポーツに携わるプロの指導者は本格的な練習をスター
トする前に、本人のそのスポーツに対する身体能力適性にプラスして、「怪我することがあ
ります」「月謝や遠征費でお金がかかります」「みんなが塾に通って勉強している間あなた
は練習しているので、学校の相対成績が悪くなる場合があります」などの事柄を、本人と
保護者の承諾を得てから練習をスタートすることが多いです。そして、競技スポーツは、
選手の健康よりもそのスポーツの試合成績目標を達成するための技術の向上を最優先させ
ます。お互いに競い合うところに神髄があり、新記録をつくることやゲームに勝つことに
意義と最高の醍醐味があります。そこで毎日が体力気力の限界ぎりぎりの練習の繰り返し
となります。その結果、オーバーユース(使いすぎ症候群)、頂上に到達する前に終わってし
まう燃え尽き症候群、など肉体的にも精神的にも満身創痍になる選手もしばしばです。
頂上を目指す競技スポーツに携わっていず、30 歳を過ぎた今、このように、激しいスポー
ツは必ずしも健康に良いとはいえません。健康によいのは激しいスポーツではなく、記録
などを競わない、遊び心でやるスポーツです。頂上を目指さない草野球、サッカー、バレ
ーボール、バドミントン、バスケットボール、テニス、スキー、ゴルフと何でも結構です
が、要は勝負にこだわり過ぎたり、格好いいところを見せようとして無理をしないことで
す。ところが 30 歳ぐらいだと、まだ体力旺盛だった頃のイメージが残っているため、つい
無理をしてしまい怪我をしてしまうことがあります。学生時代にハードなスポーツをやっ
てきた人は、特にその傾向があります。
一般の方で 30 代からの健康にもっともよいといわれるのは、
ウォーキング、サイクリング、
ジョギング、水泳などの有酸素運動と呼ばれる運動です。多くの本などで紹介されていま
すが、実はこの有酸素運動の実践こそが、体力の維持・向上の大きなキーワードになるの
です。
幼児時代、小学生時代、中学生時代、高校生時代、20 代、30 代、それ以降もポケットに歩
数計(万歩計)を入れて、1 日 1 万歩以上を目指して楽しいスポーツをしたり、歩いたり、走
ったりしていたいものですね。
参考文献
楠林信正著
「30 代からのスポーツ&トレーニングのやり方」