校長だよ り 平成26年7月9日 第6号 知多市立旭南中学校 発行責任者:石井友和 え ん ま 閻魔様って知ってる? 今の子は、死んだらそのまま。天国も地獄も信じないようです。 ばち 我々が子どもの頃は、よく「悪いことをすると、罰が当たって地獄 に堕ちるぞ。」「嘘ついたら、閻魔さんに舌を抜かれるぞ。」と言わ れたものです。先日朝会で閻魔様のことを話しましたが、知らない 子もたくさんいました。我々は閻魔さんを怖い存在ととらえていま すが、どういう人物か意外と知られていません。子どもたちに閻魔 大王について話をしました。 閻魔様はアダムとイブのアダム この世に初めて人間として生まれたのが、みなさんご存じの通り、 アダムとイブです。このアダムとイブはキリスト教、ユダヤ教の旧約 聖書に出てくるお話ですが、実はインド神話にも同じような話があり ます。インドでは、この世に初めて出た人間がヤマとヤミー。兄と妹 の兄弟です。ヤマ(yama)とヤミー(yami)はとてもなかよしですが、人 間ですから、いつかは死にます。先に死んだのが、ヤマ。死後、ヤマ は天上界をつくり、その主となります。他方、妹のヤミーは兄の死を 嘆き悲しみます。いつまでも悲嘆にくれています。そこで、ヤマは、 ヤミーに悲しみを忘れさせるために夜をつくります。夜ができたこと で一日ができ、時がヤミーの悲しみを癒やします。 閻魔大王誕生 ヤマは天上界の主となりましたが、その後、命尽きた人間が天上界に やってくる。ヤマはすべての人間を受け入れていましたが、中にはとん でもない悪人もいる。そこで、ヤマは悪いことをした人間を受け入れる 地獄界をつくり、自らはその主となります。そして、死んだ人間の生前 の行いを調べ、地獄に送るか天上界(極楽)に送るかを決定する役割を担う ようになります。閻魔大王誕生です。 この閻魔大王、さすが、人間の祖先です。その心根は優しく、人々のしあわせを願ってや まない人物でした。閻魔様は重い罪を犯したものが来ると、どうしてそんな悪いことをする のかと深く悲しみながら地獄に送ります。そして、そのものを地獄に送るとともに同じ辛さ、 苦しさを自分にも科しているのだそうです。 優しさとは?いい人とは? まつ この話は、閻魔様が祀ってあるお寺で知りました。この日本、優 しさや思いやりといった耳に心地よい言葉が至る所で使われます。 逆に、「正しいことは正しい、間違ったことは許さん。 」といった閻 魔様のような怖い人は少なくなりました。みんな思いやりのある優 しい人ならいいですが、どうも周りから嫌われないように、よく思 われるように顔色を伺っている人も増えたように思います。親が子 どもの顔色を伺う、子どもが友達の顔色を伺う、先生が親の顔色を伺う。間違っていること でも、なにか変だなと思うことでも、自分の考えを言わない。心の中で、 「人のことだから、 まあいいか。」と納得させる。やがてそれに慣れ、自分に害を及ばさなければ素通りしてい く。最近の世の中どうもおかしな気がします。いじめの陰湿化もこういった悪しき個人主義 が一因になっているような気がします。 朝会で、子どもたちに「いい人ってどんな人?」と投げかけました。我々がいい人という のはいけないことはいけないと毅然としてしている人ではなく、自分に優しくしてくれる人、 人当たりのいい人をいっていることが多いように思います。人はさまざまな人と関わって生 活しています。家族、友人、先輩後輩、同僚、先生、保護者、地域の人。互いに是は是、非 は非と言える、互いを高め合い、エネルギーをもらえる関係を築いていきたいなと思います。
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