【資料8-1】 有機農産物の生産状況等の概要 独立行政法人 農林水産消費安全技術センター 1 品質の現況 (1)製品の概要 有機農産物はその生産方法に特色があり、JAS規格では農業の自然循環機能の維 持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本とし て、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する 環境への負荷をできる限り低減した栽培方法を採用したほ場において生産すること等 を規定している。JAS規格の対象は、農産物(飲食料品に限る。 )としている。 (2)JAS規格の基準 有機農産物のJAS規格では、生産方法の基準として、「ほ場」、「栽培場」、「採取 場」、「ほ場に使用する種子又は苗等」 、「ほ場における肥培管理」 、「種菌」、「ほ場にお ける栽培管理」 、「栽培場における栽培管理」、「ほ場又は栽培場における有害動植物の 防除」、「一般管理」 、「育苗管理」及び「収穫、輸送、選別、調製、洗浄、貯蔵、包装 その他の収穫以後の工程に係る管理」の事項について規定されている。その中で、生 産方法の原則及び例外的に使用することができる資材等について規定されている。 2 生産の現況 (1)農産物の生産数量 平成24年度の生産数量は、28,549,900トン(国内)であり、平成20年度と比べる と、1,611,600トン(約5%)減少している。 表1 農産物の国内の総生産数量の推移(平成20年度~平成24年度) (単位:トン) H20年度 (A) H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 (B) 増減 (B)-(A) 生産数量(国 30,161,500 29,021,000 27,563,000 27,957,100 28,549,900 -1,611,600 内) 注)生産数量として、穀類*1 、いも類*1 、豆類*1 、野菜*1 、果実*1 、荒茶*2 の 生産数量の合計値を計上。 *1:農林水産省食料需給表(H20年度~H23年度は確定値、H24年度は概算値) *2 :荒茶の総生産量は、作物統計(H20年度~H22年度は全国、H23年度~H24年 度は主産地16府県の合計値。 ) (2)国内における格付の状況 国内の平成24年度の格付数量は61,291トンである。平成20年度と比べると、5,127 トン増加している(表2) 。 有機農産物の国内生産の作物別では、平成24年度の格付数量の約70%を野菜が占 め、過去5年間、増加傾向にある(表3) 。 表2 格付状況の推移(国内) (平成20年度~平成24年度) (格付数量の単位:トン) H20年度 (A) 格付数量(国内) 格付率(%) H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 (B) 増減 (B)-(A) 56,164 57,342 56,608 58,444 61,291 +5,127 0.19 0.20 0.21 0.21 0.21 +0.02 格付数量:農林水産省消費・安全局表示・規格課調べ 格付率(%) :格付数量/生産数量(表1参照)×100 表3 品目別の格付状況の推移(国内) (平成20年度~平成24年度) (生産数量、格付数量の単位:トン) H20年度 (A) 野菜 生産数量 格付数量 H24年度 (B) 16,305,000 15,829,000 14,884,000 15,094,000 15,329,000 増減 (B)-(A) -976,000 37,036 40,288 42,467 +6,303 0.22 0.24 0.25 0.27 0.28 +0.06 生産数量 3,436,000 3,441,000 2,960,000 2,954,000 3,027,000 -409,000 格付数量 2,050 2,436 2,502 2,275 2,524 +474 0.06 0.07 0.08 0.08 0.08 +0.02 生産数量 8,823,000 8,474,000 8,554,000 8,566,000 8,692,000 -131,000 格付数量 11,278 11,565 11,005 10,028 10,342 -936 0.13 0.14 0.13 0.12 0.12 -0.01 1,098,000 853,000 732,000 918,000 1,030,000 -68,000 格付率(%) 麦 H23年度 37,644 格付率(%) 米 H22年度 36,164 格付率(%) 果実 H21年度 生産数量 格付数量 883 782 890 1,069 859 -24 0.08 0.09 0.12 0.12 0.08 ±0 生産数量 262,000 230,000 223,000 219,000 236,000 -26,000 格付数量 1,318 939 1,035 1,132 1,306 -12 0.50 0.41 0.46 0.52 0.55 +0.05 生産数量 95,500 86,000 85,000 82,100 85,900 -9,600 格付数量 1,754 1,873 2,088 1,986 2,167 +413 1.84 2.18 2.46 2.42 2.52 +0.68 142,000 108,000 125,000 124,000 150,000 +8,000 2,716 2,103 2,051 1,665 1,627 -1,089 1.91 1.95 1.64 1.34 1.08 -0.83 格付率(%) 大豆 格付率(%) 緑茶 (荒茶) 格付率(%) そ の 他 の 生産数量 農産物 格付数量 格付率(%) 計 生産数量 30,161,500 29,021,000 27,563,000 27,957,100 28,549,900 -1,611,600 格付数量 56,163 57,342 56,608 58,443 61,291 +5,128 0.19 0.20 0.21 0.21 0.21 +0.03 格付率(%) 生産数量:農林水産省食料需給表(H20年度~H23年度は確定値、H24年度は概算値) ただし、緑茶(荒茶)の総生産量は、作物統計(H20年度~H22年度は、全 国、H23年度~H24年度は主産地16府県の合計値。 ) 格付数量:農林水産省消費・安全局表示・規格課調べ (3)外国における格付の状況 外国の平成24年度の格付数量は939,351トンであり、平成20年度と比べると、1,04 1,911トン減少している(表4) 。 表4 格付状況の推移(外国)(平成20年度~平成24年度) H20年度 (A) 格付数量(外 国) 1,981,262 H21年度 704,204 H22年度 870,076 H23年度 931,856 (単位:トン) H24年度 (B) 増減 (B)-(A) 939,351 -1,041,911 さとうきび 1,366,243 212,674 238,866 256,090 342,246 -1,023,997 野菜 173,819 167,230 188,633 206,809 153,665 -20,154 大豆 93,878 90,371 103,784 79,501 92,773 -1,105 麦 83,230 7,059 8,185 8,416 15,348 -67,882 果実 76,622 24,593 85,255 46,699 71,312 -5,310 雑穀類 25,241 15,670 33,090 66,329 98,127 +72,886 その他 162,229 186,607 212,263 268,012 165,880 +3,651 農林水産省消費・安全局表示・規格課調べ (※)外国で格付された有機農産物は、主に外国で有機加工食品の原材料として使用 されているが、それ以外にも、外国で消費されたもの、日本以外に輸出された もの及び有機加工食品以外の食品に加工されたものも含まれる。 (4)規格の利用状況(認定事業者数) 認定生産行程管理者数は、前回見直し調査時と比べほぼ同じであるが、全国農家数 は、前回見直し調査時と比べ約10%減少している(表5)。 認定外国生産行程管理者は、前回見直し調査時と比べ約40%増加している(表5)。 表5 認定事業者数の状況 前回見直し時 今回 (H23.3.31集計) (H26.10現在) 認定生産行程管理者(国内) (販売農家数) 増減(%) 2,137 (1,561,000) 2,138 (1,412,000) ±0 (-10) 813 1,116 +40 認定小分け業者(国内) - 498 - 認定小分け業者(外国) - 192 - 認定輸入業者 - 81 - 認定生産行程管理者(外国) 注:生産行程管理者、小分け業者及び輸入業者は、独立行政法人農林水産消費安全技 術センター調べ 販売農家数は、農林水産省/農業構造動態調査結果(H23は確報値、H26は概算 値) 3 取引の現況 有機農産物は、直接消費者へ販売されるものと有機農産加工食品の原材料とするもの がある。販売に際して、宅配業者は有機農産物であることを特色として宣伝を行い、ス ーパーでは、専用のコーナーを設けて差別化をする等している。 なお、国産青果物の約9割は卸売市場を経由しているが、有機農産物が卸売市場で取 り扱われることは一般的ではない。 4 使用又は消費の現況 平成24年度の国内の認定生産行程管理者による格付数量は約6万トンであり、国内生 産数量の約2,900万トンに占める割合が約0.2%と少ないこと、また、宅配による直接販 売に一定量流通している状況から、消費者が一般のスーパーや小売店でJAS品を目に する機会は必ずしも多くはないと考える。 5 国際的な規格の動向 国際的な規格として、コーデックスの「有機的に生産される食品の生産、加工、表示 及び販売に関するガイドライン」(1999年制定)がある。
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