2015/5/18 ヨーロッパ経済(2) ドイツ・イギリス 世界経済入門1 5月20日 EUを主導する3か国 • EU(欧州連合)は28の加盟国から形成されているが、 経済規模には大きな格差がある • 特に上位3か国(ドイツ・イギリス・フランス)のGDPは EU全体の51.3%を占めている(2013年) EU主要国のGDP 4,000.00 3,500.00 3,000.00 2,500.00 2,000.00 名目GDP(10億ドル) 1,500.00 1,000.00 500.00 0.00 ドイツ フランス イギリス 欧州最強の経済 ドイツ経済 1 2015/5/18 ドイツの製造業 • ドイツの製造業は自動車、機械、化学などの 分野で世界的に高いシェア 欧州経済でのリーダーシップ • 欧州で最大の経済大国 ⇒EU(欧州連合)の政策を主導 • 統合前の通貨「マルク」は価値が安定 ⇒ユーロ誕生前は欧州の基軸通貨に • 現在でも、ユーロエリアの金融政策を動かす 欧州中央銀行(ECB)はドイツのフランクフルト に所在 東西ドイツの分断 • ドイツは第2次世界大戦後、東西陣営の対立 から2つの国家に分裂した 西側 ドイツ連邦共和国(西ドイツ) 東側 ドイツ民主共和国(東ドイツ) • 首都だったベルリンは東西2つの都市に別れ、 「ベルリンの壁」で分断された 2 2015/5/18 1948年には東西の対立から西ベルリンへの陸 路が封鎖された(ベルリン封鎖)、この時期の住 民の生活物資は全て空輸で運ばれた 1980年代までに、東ドイツは西ドイツに対 して経済的に大きな格差をつけられた 統一当時の東ドイツ製乗用車トラバント 西ドイツ製のフォルクス ワーゲンゴルフ 1989年「ベルリンの壁」は崩壊 ⇒1990年に西ドイツが東を編入する形 でドイツ統一が実現した 多くの市民が殺到することで 東西のゲートが開放された 3 2015/5/18 統一に伴う諸問題 • 旧東ドイツ地域のインフラなどは老朽化して いたため再建が必要 ⇒巨額の費用で財政収支が悪化 • 非効率だった旧東ドイツの企業は多くが閉鎖 ⇒旧東ドイツ地域で失業率が上昇 • 現在でも西と東では経済的格差が残っている ドイツ経済の復活 • 統一後、低迷していたドイツ経済は近年、好 調を続けている 背景としては • (1)製造業主導の経済のためリーマンショック のダメージが軽い • (2)ユーロが安くなり輸出に有利になった 他国との摩擦 • 欧州債務危機の発生 ⇒問題対処にドイツがリーダーシップ • 救済に対して厳しい条件を要求 ⇒ギリシャなどではドイツに対する反発 EUを主導するドイツのメルケル首相 4 2015/5/18 イギリス経済 大英帝国の栄光 • イギリスは18世紀までに海上覇権を確立し、 海外貿易を発展させた • 18~19世紀に世界で初めて工業化を達成し、 世界での指導的立場に立った ⇒産業革命とも呼ばれる • 同時にインド、北米、アフリカなどを植民地化 し、世界市場最大の領土を支配した ⇒現在でも英連邦(Commonwealth)を形成し ている 最盛期の帝国の領域は地球上の 陸地の約4分の1に及んだ 5 2015/5/18 欧州との関係 • イギリスは欧州内では特殊な立場にあった • (1)島国であり、地理的に大陸と分離している • (2)アメリカと言語・人種的に関係が深く、現在 でも密接な関係にある • (3)オーストラリア、カナダなど英連邦諸国とも 密接な関係にある ⇒これら事情から欧州統合への参加が遅れる • 現在でも共通通貨ユーロに参加せず、独自の 通貨ポンドを使用している 世界をリードする金融市場 • ロンドンの金融市場は国際的な金融仲介の 拠点として世界をリードしている • 外国為替ではアメリカを引き離して取引高世 界最大の市場 • ロンドン市場の金利は世界中の取引で参照 される ⇒LIBOR(ライボー:ロンドン銀行間金利) ロンドンのシティ(the City)と呼ばれる 約1平方マイル(2.9㎢)が金融市場の 中心である 6 2015/5/18 シティの歴史(1) • 海運と貿易で世界をリードしたイギリスでは 損害保険や貿易金融などの金融サービスが 発展した • 中央銀行や国債市場といった金融インフラ が早期に整備された ⇒19世紀以降、世界的な金融センターに発展 16~17世紀、カリブ海貿易で海賊の襲撃に よる損害が深刻であり、イギリスで損害保険 が発達する一因となった イメージ 本物 シティの歴史(2) • 第2次世界大戦後はイギリスの国力低下など により地盤沈下 • 1986年に証券市場の規制緩和(ビッグバン) によってロンドン市場の取引高が回復 ⇒日本の金融市場改革の手本に • 市場の主導権はアメリカなど海外の金融機 関に移る ⇒「ウィンブルドン化」と呼ばれる 7 2015/5/18 2000年代の前半、イギリスはGDPの3 割が金融・不動産業という金融主導の 経済の元で好景気を享受した この時期、イギリス では金融・不動産業 が急速に成長した リーマンショック後の苦闘 • リーマンショックではイギリスも複数の大手金 融機関が国有化されるなど大きなダメージ • 好景気を主導した金融・不動産部門が失速 ⇒成長率の低迷、失業率の上昇 • 2012年、市場金利LIBORの不正操作が発覚 ⇒ロンドン市場の信頼性に疑問 8
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