最近のヨーロッパの 終末期医療立法の紹介

最近のヨーロッパの
終末期医療立法の紹介
イギリス
ドイツ
2005年意思能力法
事前指示法
弁護士
渡辺
裕介
イギリス 2005年意思能力法
(Mental Capacity Act 2005)
 2005年4月7日成立、2007年10月1日施行
 特定の時点における特定の意思決定を行う能力
の有無の判定(無能力の判断基準)
 能力を欠く人のためにどのような行為・意思決定
がなされるべきか(最善の利益原則)
 永続的代理権制度
 保護裁判所制度
 独立意思能力代弁人制度
終末期医療・介護現場での問題
意思能力の判定
① 介護の場合
② 医療行為の場合
最善利益の判断
① 介護、医療行為の場合
② 重大な医療行為の場合
能力喪失前の本人の意思
 考慮すべき事項
① 本人の過去及び現在の要望及び感情
② 本人の意思決定に影響を与えたであろう信念及び
価値観
③ 本人に能力があれば考慮したであろうその他の要
素
 治療を要求する書面が存在する場合
(例外)医学上不必要あるいは不適切で本人の最善の
利益とならない場合
能力喪失前の本人の意思(2)
 治療を拒否する書面が存在する場合(24条)
① 治療拒否ができるための要件
• 18歳以上の個人であり、かつ
• 治療に関する事前の意思決定を行う能力がある
② 生命維持装置を拒否する場合の要件
• 文書になっていること
• 本人及び証人の署名
• 生命に危険が及んでもなお当該意思決定を適用
する旨の明確な記述があること
ドイツ事前指示法
 2009年6月18日成立、2009年9月1日施行
 同意能力のある成年たる患者の事前指示書に
より、同意患者が能力を失ったときに、世話人が
患者の意思を尊重して世話する。
 事前指示書がない場合には、世話人は患者の
意思を推定して、医師の措置に同意又は拒否を
決定する。
治療中止について
治療中止により患者が死亡する恐れがあ
る場合には、事前指示書のほかに、下記
①、②のいずれかが必要
① 後見裁判所の許諾
② 世話人と医師の間で、患者の意思に合致し
ていることの合意