みやぎの海岸林再生入門 - 宮城県緑化推進委員会

平成 27 年 12 月
公益社団法人宮城県緑化推進委員会
は じ め に
平成23年3月11日に発生した東日本大震災での津波による宮城
県における海岸林の被害面積は約1,400ha(内民有林約800
ha)にも及ぶ想像もできない大きな被害となりました。
被害を受けた海岸林のほとんどは、人の手によって植えられ管理さ
れてきた人工林(海岸防災林)です。
特に、仙台湾岸の海岸林は、慶長5年(西暦1600年)仙台藩祖
伊達政宗公が家来に命じて造成を行ったのが始まりとされ、以来海岸
林は、400年以上にわたって潮風や飛砂の被害を防ぐ海岸防災林と
して、地域の人々によって守り育てられてきたものでした。
このように歴史ある緑あふれる海岸林の再生には、国・県・市町村
に加え多くの皆様のご協力が必要であり、海岸林の育成にも多くの労
力と時間が必要です。
この「みやぎの海岸林再生入門」は、海岸防災林の再生植樹活動の
現地作業の手引きとして作成しましたので、今後の活動にお役に立て
ていただければ大変うれしく思います。
平成27年12月
公益社団法人宮城県緑化推進委員会
理 事 長
森
琢 男
「岩沼潮除須賀松の森」の植樹活動地(平成27年5月24日植樹)
本入門書は、「海岸防災林再生等復興支援事業」において作成されたものです。
目
第1章
第2章
次
海岸林とは
第1節
海岸林の成り立ち
・・・・・・・・・・
1
第2節
海岸林の役割
・・・・・・・・・・
2
・・・・・・・・・・
6
・・・・・・・・・・
7
9
海岸防災林の復旧計画
(宮城県農林水産部森林整備課資料)
第3章
海岸林の再生
第1節
植栽木の種類
第2節
植栽活動にあたって
1
植樹計画(植樹前の準備)
・・・・・・・・・・
2
植樹に必要な資材
・・・・・・・・・・11
3
植樹に必要な道具
・・・・・・・・・・14
4
植樹方法(手順)
・・・・・・・・・・16
第3節
植栽木の管理
1
補植
・・・・・・・・・・23
2
追肥
・・・・・・・・・・23
3
除草(下刈り・つる類の除去等)
4
清掃
・・・・・・・・・・25
5
除伐及び枯損枝葉の除去
・・・・・・・・・・25
6
病害虫防除
・・・・・・・・・・26
・・・・・・・・24
第4章
海岸林(海浜)の活用
・・・・・・・・・・27
第5章
海岸の植物(震災後に撮影した写真)
・・・・・・・・・・28
おわりに
・・・・・・・・・・30
第1章 海岸林とは
「海岸林」とは、海岸線及び海の近くに生えている森林全般のことをいい、
「海岸防災林」
第1章
海岸林とは
とは、その中でも災害の防止あるいは災害を緩和する目的で造成された森林のことをい
「海岸林」とは、海岸線及び海の近くに生えている森林全般のことをい
います。この入門書でいう「海岸林再生」とは、
「海岸防災林再生」のことを指します。
い 、「 海 岸 防 災 林 」 と は 、 そ の 中 で も 災 害 の 防 止 あ る い は 災 害 を 緩 和 す る
目的で造成された森林のことをいいます。この入門書でいう「海岸林再生」
とは、「海岸防災林再生」のことを指します。
第1節 海岸林の成り立ち
海岸林のほとんどは、人の手によって植栽され管理されてきた人工林(海岸防災林)
第1節 海岸林の成り立ち
海岸林のほとんどは、人の手によって植栽され管理されてきた人工林(海
です。
岸防災林)です。
農作物や人家が押し寄せる砂で埋もれないように、また、強い風や塩害で農作物が
農作物や人家が押し寄せる砂で埋もれないように、また、強い風や塩害で
枯れないよう、さらに、津波被害を食い止めるようにと、長い年月をかけ、海岸地域
作物が枯れないよう、さらに、津波被害を食い止めるようにと、長い年月を
かけ、海岸地域の湿地帯や砂浜を開墾し新たに造成された森林を海岸防災林
の湿地帯や砂浜を開墾し、
新たに造成されたクロマツの林を「海岸防災林」といいます。
といっております。その海岸の厳しい環境に耐えるクロマツがやがて根付き
その海岸の厳しい環境に耐えたクロマツがやがて、人々の暮らしを守るようになりま
育って、人々の暮らしを守るようになりました。
した。
宮城県の海岸林造成の歴史は古く、慶長5年(西暦1600年)仙台藩祖伊
宮城県の海岸林造成の歴史は古く、
慶長5年(西暦 1600 年)仙台藩祖伊達政宗公が、
達政宗公が、高砂村蒲生の領主和田印旛守に海浜海岸地帯の造林を命じまし
高砂村蒲生の領主和田印旛守に海浜海岸地帯の造林を命じました。そして、和田印旛
た。そして、和田印旛守は、遠州浜松(現静岡県)からクロマツの種子を取
しお よけ す か まつ りん
守は、遠州浜松(現静岡県)からクロマツの種子を取り寄せ苗畑を設け苗木を育成し、
り 寄 せ 苗 畑 を 設 け 苗 木 を 育 成 し 、「 潮 除 須 賀 松 林 」 の 造 成 を 行 っ た の が 始
しおよけすかまつりん
「潮めとされております。以来、海岸林は、400年以上にわたり、海岸防災林
除須賀松林」の造成を行ったのが始めとされています。以来、海岸林は、400 年
以上にわたり、海岸防災林として多くの先人達によって守り育てられてきました。
として多くの先人達によって守り育てられてきました。
海 岸海
林岸 林
農
地
農地
運河
運河
川川
海岸林
海岸林
漁港
漁 港
海浜
海 浜
太平洋
海岸林
海 岸林
太平洋
-1-
-
第2節 海岸林の役割
第2節
第2節
第2節
海岸林の役割
海岸林の役割
海岸林の役割
海岸林は、美しい日本の景観を形成するだけではありません。
海岸林は、美しい日本の景観を作るだけではありません。
海岸林は、美しい日本の景観を作るだけではありません。
海岸林は、美しい日本の景観を作るだけではありません。
飛んで来る砂や潮風を防ぎ、人々の暮らしを守ったり、海岸林に生育している動植
飛んで来る砂や潮風を防いだり、海岸林に生育している動植物の環境を保
飛んで来る砂や潮風を防いだり、海岸林に生育している動植物の環境を保
飛んで来る砂や潮風を防いだり、海岸林に生育している動植物の環境を保
物の生育環境を保全したり、多くの働きを担っています。
全したり、その働きはとても多く、人々の暮らしを守っているのです。
全したり、その働きはとても多く、人々の暮らしを守っているのです。
全したり、その働きはとても多く、人々の暮らしを守っているのです。
海岸林の働きは、大きく分けて4つあります。
海岸林の働きは、大きく分けて4つあります。
海岸林の働きは、大きく分けて4つあります。
①①
①防災機能
防災機能
防災機能
飛砂防止、防風、防霧、防潮とさまざまな働きで暮らしを守ります。
飛砂防止、防風、防霧、防潮とさまざまな働きで暮らしを守ります。
飛砂防止、防風、防霧、防潮とさまざまな働きで暮らしを守ります。
そして、津波の際にはそのエネルギーを弱め、被害を軽減する役割を果
そして、津波の際にはそのエネルギーを弱め、被害を軽減する役割を果
そして、津波の際にはそのエネルギーを弱め、被害を軽減する役割を果
たします。
たします。
たします。
海辺沿いの海岸林と内陸側の防風林が、住宅や農地及び工場等を飛砂、
海辺沿いの海岸林と内陸側の防風林が、住宅や農地及び工場等を飛砂、
海辺沿いの海岸林と内陸側の防風林が、住宅や農地及び工場等を飛砂、
潮風等から守ります。
潮風等から守ります。
潮風等から守ります。
石巻市渡波長浜(震災前)
石巻市渡波長浜(震災前)
石巻市渡波長浜(震災前)
名取市下増田(震災前)
名取市下増田(震災前)
名取市下増田(震災前)
仙台市若林区荒浜(震災前)
仙台市若林区荒浜(震災前)
仙台市若林区荒浜(震災前)
東松島市矢本(震災前)
東松島市矢本(震災前)
東松島市矢本(震災前)
-2-
②
環境保全機能
海岸林がCO2 を吸収し、炭素として自らに固定することで、地球温
暖化防止に役立ちます。また、さまざまな生き物に生育環境を提供し、
海の生態系も豊かにします。
海岸林及び防風林はその背後の住宅や農地(田・畑・ビニール
ハウス)を守ると共にいろいろな環境をつくり生物多様性保全
にも役立っています。。
健全な海岸林はCO2 を吸収
しています。
海岸林の中央部に湿地帯を残し、
生物多様性を保全しています。
海岸林は、家屋や運河を潮風や飛砂から守り、様々な生き物に生息
環境を提供しています。
-3-
③
地域振興機能
豊かな自然の恵みと美しい景観が、地場産業や観光産業のにぎわいを
生 み 地域振興機能
出します。また、海岸林の保護活動を通して地域コミュニティのき
③
ずなも強まります。
豊
かな自然の恵みと美しい景観が、地場産業や観光産業のにぎわいを
③③
地域振興機能
地域振興機能
生
、美
海し
岸い
林景
の観
保が
護、
活地
動
ニに
テぎ
ィわ
のい
きを
豊み
か
豊出
な
かし
自
なま
然
自す
の
然。
恵
のまみ
恵たと
み
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美
し
い
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観
が
、を
場
地通
産
場し
業
産て
や
業地
観
や域
光
観コ産
光ミ業
産ュの
業
の
に
ぎ
わ
いを
ずなも強まります。
生み
生出
みし
出ま
しす
ま。
すま
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ま、
た海
、岸
海林
岸の
林保
の護
保活
護動
活を
動通
をし
通て
し地
て域
地コ
域ミ
コュ
ミニ
ュテ
ニィ
テの
ィき
のき
ずなも強まります。
ずなも強まります。
海岸林が、農地やその生産物を守っているため、農業生産が活発化
し、地域産業の活性化が図られるようになりました。
海岸林が農地やその生産物を守っていることで、農業生産が活発
海岸
海
林
岸が
林、
が農
、地
農や
地そ
やの
そ生
の産
生物
産を
物守
をっ
守て
っい
てる
いた
るめ
た、
め農
、業
農生
業産
生が
産活
が発
活化
発化
化し、地域産業の活性化が図られるようになりました。
し、地域産業の活性化が図られるようになりました。
し、地域産業の活性化が図られるようになりました。
平成23年ふるさと海辺フォー
ラムの閖上太鼓
平成23年ふるさと海辺フォー
平成23年ふるさと海辺フォー
平成23年ふるさと海辺フォーラム
ラムの閖上太鼓
ラムの閖上太鼓
の閖上太鼓の様子
平成22年「広瀬川流域1万
人 プ ロ ジ ェ ク ト 」( 年 2 回 の
海岸清掃活動)
平成22年「広瀬川流域1万
平成22年「広瀬川流域1万
平成22年
「広瀬川流域1万人プロジェ
人
人
プ
プ
ロ
ロ
ジ
ジ
ェェ
クク
トト
」(
」(
年年
22
回回
のの
クト」(年2回の海岸清掃活動)の様子
海岸清掃活動)
海岸清掃活動)
海岸林や砂浜を利用しての観光、産業の振興に役立っています。
海の家など海岸林や砂浜を利用しての観光や海水浴利用客等へ
の対応などに役立っています。
海の
海家
のな
家ど
な海
ど岸
海林
岸や
林砂
や浜
砂を
浜利
を用
利し
用て
しの
て観
の光
観や
光海
や水
海浴
水利
浴用
利客
用等
客へ
等へ
-4-
の対応などに役立っています。
の対応などに役立っています。
④
保健・休養機能とレクリェーション機能、教育の場を提供
海岸林の中で過ごすことで、心身ともリラックスできます。
隣接する砂浜とあわせ、運動や散策などのレクリェーションの場や森
林教育の場を提供してくれます。
地元高校生や中学生に対する森林教室開催
地域の大人達が、子ども達に
対する森の教室を開催
地元保育園児の海浜教室
-5-
第2章
海岸防災林の復旧計画
第2章 海岸防災林の復旧計画
1
2
平成23年3月11日に発生した東日本大震災により被害を受けた宮城県
の海岸林面積は、約1,400ha(うち民有林約800ha)でした。
民有林の海岸防災林復旧面積
宮城県内の被害面積の内約750haを復旧します。
3
海岸林再生の目的
海岸林は、大津波により甚大な被害を受け、本来の働きがなくなりました。
このため、計画的に海岸林を造成し、本来の海岸林の働きを早期に取り戻
すことを海岸林再生の目的としています。
4
海岸防災林再生の復旧イメージ
<基本的な考え方>
〇潮害・飛砂・風害の防備など災害防止機能のほか、津波被害の軽減効
果が明らかになったことから、津波対策に係る「多重防御」の一つに
位置付けられています。
〇被災前の自然環境に近づけることを基本に、被災箇所毎の状況を踏ま
え再生方法を決定しています。
〇樹木の根系の健全な成長の確保及び津波に対して根返りしにくい林帯
を造成することから、盛土により植栽木の生育基盤を造成し、地下水
位等から2.4mの高さを確保しています。
<海岸防災林再生の復旧イメージ図>
目標とする林帯幅50~200mの確保
海側の範囲
陸側の範囲
(抵抗性クロマツを主体としたクロマツ単層林)
(マツ類+高木性広葉樹)
貞山掘
盛土による生育基盤の造成(地下水位+2.4m)
5
民有林の海岸防災林復旧計画
① 仙台湾南部海岸(仙台市七北田川以南~山元町)の海岸防災林について
は、被災規模が大きく国有林と民有林を一体的に整備する必要があるため、
林 野 庁 に よ り 民 有 林 直 轄 治 山 事 業 と し て 植 栽 を 実 施 し 、 平 成 32年 度 ま で
に植栽を完了する予定です。
② 仙 台 市 七 北 田 川 以 北 に つ い て は 、 県 が 防 災 林 造 成 事 業 で 平 成 32年 度 ま
でに植栽を完了する予定です。
(宮城県農林水産部森林整備課資料)
-6-
第3章 海岸林の再生
第3章
海岸林の再生
第1節 植栽木の種類
第1節 植栽木の種類
植栽は、それぞれの植栽地の自然条件に合った樹種を選ぶことが重要です。このこと
海岸での植栽は、それぞれの植栽地の自然条件に合った樹種を選んで植栽す
を適地適木といいます。 ることが重要です。このことを適地適木といいます。
これまでの調査
・分析から、宮城県における海岸防災林の最適樹種はクロマツであり、
これまでの調査・分析から、宮城県における海岸防災林の最適樹種はクロマ
最前線の海側にはクロマツの林を形成することが最も効果的であり、内陸側におけるク
ツであり、最前線の海側にはクロマツの単層林を形成することが最も効果的と
ロマツ以外の主林木としては、盛土などにより植栽基盤が整備されることを前提に、ア
され、クロマツ以外の主林木では、盛土などにより植栽基盤が整備されること
カマツ、コナラ、ヤマザクラ、ケヤキ、クリが適しているとされています。
を前提に、アカマツ、コナラ、ヤマザクラ、ケヤキ、クリが適しています。
【宮城県農林水産部森林整備課発行の「海岸防災林に適した植栽樹種に関す
【宮城県農林水産部森林整備課発行の「海岸防災林に適した植栽樹種に関する調査報
る調査報告書(平成24年3月)
」参照】
告書(平成24年3月)」参照】
植栽
位置
海 岸 防 災 林 に 適 し た 樹 種
クロマツの樹形
アカマツの樹形
海
岸
側
クロマツの幹(右のアカマツ
の幹の色の違いを比べて見て下
さい)
クロマツの植栽苗木
アカマツの幹(左のクロマツ
の幹の色の違いを見て下さい)
アカマツの植栽苗木
-7-
コナラ
ケヤキ
内
陸
側
内
内
コナラ
コナラ
ケヤキ
ケヤキ
陸
陸
側
側
ヤマザクラ
ク
ヤマザクラ
ヤマザクラ
ク
ク
リ
リ
リ
コ ラコラム-1 無くなって知った海岸林<被災後の地域の人々の声>
ム-1 無くなって知った海岸林
小 さ い と き か ら 、 海 岸 林 が そ こに ある の が 当 た り 前だ っ た が 、 今 回 の 津波 被 害 で 、 海岸
小さいときから、海岸林がそこにあるのが当たり前でしたが、今回の津波被害で、海岸
林が
なくなって初めて海岸林を意識した方々が多くおられます。特に、被災前は意識しな
かったが、被災後に次のように感じたという声がありました。
林がなくなって初めて海岸林を意識したという方々が多くおられます。
① 風が
強
く
な
っ て無
砂く
がな
舞っ
いて
、知
農っ
作た
物海
が岸
被林
害受けた(葉物に砂が入り込むので出荷できな
コ
コラ
ラム
ム-
-1
1 無
くな
って
知っ
た海
岸林
①風が強くなって砂が舞い、農作物が被害受けた(葉物に砂が入り込むので出荷できない)
い)
。小
小さ
さい
いと
とき
きか
から
ら、
、海
海岸
岸林
林が
がそ
そ こに
こに ある
ある の
のが
が当
当た
たり
り 前だ
前だ っ
った
たが
が、
、今
今回
回の
の 津波
津波 被
被害
害で
で、
、 海岸
海岸。
② ②海岸林は、枝葉が畑のゴミとなったり、ビニールハウスに被害を及ぼしたりして邪魔で
海林
岸
林
は
、
枝
葉
が
畑
の
ゴ
ミ
と
な
っ
た
り
、
ビ
ニ
ー
ル
ハ
ウ
ス
に
被
害
を
及
ぼ
し
た
り
し
て
邪な
魔
が
な
く
な
っ
て
初
め
て
海
岸
林
を
意
識
し
た
方
々
が
多
く
お
ら
れ
ま
す
。
特
に
、
被
災
前
は
意
識
し
林がなくなって初めて海岸林を意識した方々が多くおられます。特に、被災前は意識し
な
かったが、被災後に次のように感じたという声がありました。
であったが、海岸林がなくなってありがたさがわかった。
かったが、被災後に次のように感じたという声がありました。
① 風
風が
が強
強く
くな
なっ
って
て砂
砂が
が舞
舞い
い、
、農
農作
作物
物が
が被
被害
害受
受け
けた
た(
(葉
葉物
物に
に砂
砂が
が入
入り
り込
込む
むの
ので
で出
出荷
荷で
でき
きな
な
③ あったが、海岸林がなくなってありがたさがわかった。
洗濯物や窓が潮で汚れ、金物が錆やすくなった。
①
い)
④ ③洗濯物や窓が潮で汚れ、金物が錆やすくなった。
子供たちは、こわくて海に近寄らない
い)。
。
②
⑤ 海がすぐそこにあった・・・・海を見るのが怖い。
② 海
海岸
岸林
林は
は、
、枝
枝葉
葉が
が畑
畑の
のゴ
ゴミ
ミと
とな
なっ
った
たり
り、
、ビ
ビニ
ニー
ール
ルハ
ハウ
ウス
スに
に被
被害
害を
を及
及ぼ
ぼし
した
たり
りし
して
て邪
邪魔
魔
であったが、海岸林がなくなってありがたさがわかった。
⑥ ④子供たちは、こわくて海に近寄らない。
波の音が大きく聞こえてとても怖い。
であったが、海岸林がなくなってありがたさがわかった。
③
③ 洗濯物や窓が潮で汚れ、金物が錆やすくなった。
洗濯物や窓が潮で汚れ、金物が錆やすくなった。
⑦ ⑤海がすぐそこにあった・・・・海を見るのが怖い。
冷たい風が身にしみる。
④
④ 子供たちは、こわくて海に近寄らない
子供たちは、こわくて海に近寄らない
⑧ 海岸林が防災林であることを、改めて思い知らされた。
⑤ 海がすぐそこにあった・・・・海を見るのが怖い。
海がすぐそこにあった・・・・海を見るのが怖い。
⑥波の音が大きく聞こえてとても怖い。
⑤
⑥
⑥ 波の音が大きく聞こえてとても怖い。
波の音が大きく聞こえてとても怖い。
⑦冷たい風が身にしみる。
⑦
冷たい風が身にしみる。
⑦
冷たい風が身にしみる。
海岸林の震災前後の状況(石巻市長面地区)
⑧ 海岸林が防災林であることを、改めて思い知らされた。
海岸林が防災林であることを、改めて思い知らされた。
⑧海岸林が防災林であることを、改めて思い知らされた。
⑧
被災前:平成2年9月撮影
被災後:平成23年4月2日撮影
海岸林の震災前後の状況(石巻市長面地区)
被
被災
災前
前:
:平
平成
成2
2年
年9
9月
月撮
撮影
影
被災後:平成23年4月2日撮影
被災後:平成23年4月2日撮影
石巻市長面地区の海岸防災林(○印)
北上川(追波川)河口から釜谷及び橋浦方向を望む
(石巻市長面地区(写真中央左側)の海岸防災林(○印)
:被災前後の状況
(朝日航洋株式会社提供)
北上川(追波川)河口から釜谷及び橋浦方向を望む)
(朝日航洋株式会社提供)
(石巻市長面地区(写真中央左側)の海岸防災林(○印):被災前後の状況
(石巻市長面地区(写真中央左側)の海岸防災林(○印):被災前後の状況
北上川(追波川)河口から釜谷及び橋浦方向を望む)
(朝日航洋株式会社提供)
北上川(追波川)河口から釜谷及び橋浦方向を望む)
(朝日航洋株式会社提供)
-8-
第2節 植栽活動にあたって
1 植樹計画(植樹前の準備)
植樹の前に、全体計画を作成する必要があります。
植樹場所の広さ、植樹する時期、植樹する苗木の種類や本数、何回に分けて植樹す
るか、そのための準備作業と植樹後の維持管理(保育)については、おおよそ次のと
おりです。
(1)植樹時期
猛暑時期及び厳冬期の植樹は避けるべきでしょう。
(2)植樹場所とその広さや形と植栽本数の計算
植樹する面積により植樹の本数が決まります。
植樹面積が 0.1ha(1,000 ㎡)では、5,000 本/ ha 植えを基本とすると、0.1ha
× 5,000 本= 500 本の苗木が必要になります。この 500 本を、植穴の目印とし
て割り箸などを刺して表示(約 1.4m × 1.4m 間隔)します。(植穴の表示は植樹
日の前日には終了しておくべきでしょう。作業の方法は、16 ページを参照してく
ださい。
)
(3)植樹前の確認作業
①植樹日の決定、苗木・肥料などの注文、道具類を準備します。
②現場までの交通機関、駐車場の位置、参加人数やトイレの有無などを確認します。
③津波時の避難方法や緊急時の病院・家族への連絡方法を確認します。
④植樹作業や各業務の作業分担及び責任者を決めます。
⑤植樹作業地の状況を確認し、除草や整地が必要であれば実施します。
⑥植栽前に植穴の位置表示作業をします。
⑦植樹日の天気予報を確認します。
(4)植樹日の活動内容及び準備品の確認
①参加者と作業責任者を確認します。
②苗木・肥料・道具の必要数が揃っているか確認をします。
③作業予定時間の確認、手洗いの水(ポリタンク等)、トイレ、救急箱などの確認
をします。
④作業終了後の清掃及び忘れ物の確認をします。
(5)植樹作業の経費(次ページ参照)
①苗木・肥料等植樹にかかる資材や道具の経費の算出をします。
②植樹準備・当日の交通費、参加者の保険加入、その他飲料水などの経費の算出
をします。
(6)植樹後の維持管理(保育)
①植樹活動後の巡視を時々行うようにします。
②植樹2~3ヶ月後に枯損状況を確認します。
③枯損が植樹本数の10%を超えたら補植計画を立てます。
④巡視時に雑草の繁茂状況を調査し、必要の場合は除草や下刈りを行います。
⑤植樹した樹木の生長により、除伐や間伐等の作業を検討します。 ⑥各種調査状況を写真撮影し記録します。
-9-
【参考】
植樹作業の経費算出例
植栽面積:0.1ha(1,000㎡)
植栽苗木
①松くい虫の被害に対し抵抗性のあるクロマツ苗木2年生あるいは
3年生苗500本使用
②苗木(コンテナ苗)の価格(宮城県農林種苗農業協同組合の基準
価格で時期により変わる:例は、平成27年9月現在の2年生苗)
(例)337円/本×500本×消費税=181,980円
③植栽間隔:1.4m×1.4m(植栽地の形状や現地条件によって変わり
ます)
④肥料(山林用固形肥料:まるやま3号3:6:4を使用した場合)
1袋=20kg(約1,250個 16g/個)→苗木1本当たり3個使用
苗木500本×固形肥料3個=1,500個/1,000㎡
(参考価格:1袋当たり3,500円~4,000円程度)
⑤傷害保険(レクリェーション保険)
50円/人(保険会社や保険の種類及び保険金額により異なります)
植栽日の7日前までに申込みの必要有り、住所・氏名・年齢等が必要
実際の数量計算方法
1
植栽面積
植栽面積により苗木の本数を算出することが必要です。
植栽面積が決まっている場合は、その面積を使用して計算しますが、
決まっていない場合は、測量する必要があるので注意が必要です。
2 必要な苗木の本数
(1)植栽面積①:
㎡
(2)基準植栽本数②:1ha当たりの植栽本数5,000本
(3)苗木の必要本数:
①
㎡×②5,000本÷10,000=
3
本
必要な肥料の量(通常苗木1本当たり50g程度)
肥料成分により実質は異なりますが、一般的には次の①または②の
方法を参考にしてください。
①上記の固形肥料算出例を参考
苗木の本数
本×3個=
②固形肥料以外の場合
苗木の本数
本×50g=
- 10 -
個
g
2 植樹に必要な資材
(1)苗木
植樹する樹種は、管理者と協議して決定されますが、マツノザイセ
ン チ ュ ウ 抵 抗 性 ク ロ マ ツ 苗 (抵 抗 性 ク ロ マ ツ ) が 最 適 と 思 わ れ ま す 。
その苗は、主に、宮城県林業技術総合センターで採種され、宮城県農
林種苗農業協同組合の組合員が育てた苗です。
① 宮城県林業技術総合センターで採取
② 播種し、2週間目の発芽状況
された抵抗性クロマツ種子
③
宮城県農林種苗農業協同組合員の
苗畑のコンテナ苗(1年5ヶ月)
⑤ 普通苗(はだか苗)
④クロマツコンテナ苗(2年生)
⑥ 普通苗(根巻きした苗)
【参考】通常言われているコンテナ苗は、正式には「マルチキャビティコン
テナ苗」といい、写真③の多孔容器(コンテナ)で種子から育てた苗
のことです。
ポット苗とは異なり、根の変形や巻き付きを防ぐ容器で育て、繊維
やピートモスなどの有機材料等を培地に使用し、保水性・通気性・排
水性などの調整を行って育てています。
普通苗などと異なり、夏期間を除き植栽時期の制限等がなく、枯損
が極めて少なく植栽木の健全な成長が期待できます。
- 11 -
(2)客土材
植樹箇所の盛土の土壌条件が悪く、苗木の生育に適さない場合(岩
や石の破砕屑や粘土等の盛土材)は、客土材と盛土材を混合し、苗木
の生育に適した状態に改善することが必要です。
①
②
客
土
材
① 普通土(畑などの被覆土です。)
② 土壌改良材または培養土
植樹箇所の盛土を苗木の生育に適す
るように改善する資材で、盛土材と
混ぜて使用し、保水性やPH等の改
善を行います。
(3)肥料
盛土土壌は、土壌条件が悪く肥料分が少ないため、苗木の生長を促
すために施肥を行います。肥料は、粉状、粒状、固形又は堆肥などを
形状や効果期間を考慮し、作業の効率や使用目的により選定します。
施肥の際は、直接肥料が根に当たらないようにしましょう。(堆肥は別)
コンテナ苗木での植樹をコンテナ専用の植穴器で植える場合は、苗
木から20~30cm程度離した周囲に均等に適量を施肥します。
【参考】肥料の三要素として、窒素(N):葉肥、リン酸(P):実肥・花肥、
カリウム(K):茎・根肥としての効果が期待されています。
①堆肥:ワラ等の有機質肥料で、 ②粒状-1:植穴に客土と混合し
植穴に客土と混合して使用され、
て使用します。
土壌改良材としても適しています。
③粒状-2:植穴に客土と混合し
て使用します。
④固形:植穴の底や植え付け後の
苗木の周囲に使用可能で、作業
効率が良いため多く使用されま
す。(写真は、まるやま3号)
- 12 -
(4)支柱
支柱は、風などによる倒木を防ぐほか、苗木の揺れを防止し、根の
生育を助けるために行いますが、普通は必要ありません。しかし、植
栽箇所の防風柵や防風垣等の実施状況を見ながら、支柱が必要か検討
しましょう。
① 苗 木 の 大 き さ が 1.5m程 度 ま で
で支柱が必要な場合は、添え木
を行います。竹の支柱が適して
います。
② 中 苗 木 ( 2.0m上 ) な ど の 記 念
樹用などの場合は、丸太杭が適
しています。
(5)マルチング用資材
マルチングは、土壌の乾燥防止や地温の調整及び雑草の繁茂の防止な
どの目的で実施します。一般的には、チップ、人工マット、ワラ、コモ、
バーク堆肥などで苗木の根元周辺を被覆しますが、植栽箇所の全区域を
被覆する場合もあります。使用例は使用方法の項で説明します。
①
チップ(木材)
②
③
ワ
④
ラ
- 13 -
人工マット
コ
モ
3 植樹に必要な道具
(1)植穴の位置表示道具
植栽日の前に事前準備として、あらかじめ現場に植穴の位置を表示
しておくと植樹作業が容易です。
① 巻尺
② 荷造り用テープ
植栽間隔を
測定する場
合に使いま
す(50m
ものが使い
やすい)
あ らか じめ、
植 栽間 隔が決
まっていれば、
そ の間 隔の位
置 にテ ープで
印 をつ けてお
くと作業が容
易です。
③割り箸・テープ
植穴の位置
表示のため
に割り箸の
上部に色付
きテープを
巻きます。
青 ・黄 ・赤の
3 色が 見やす
く おす すめで
す。
(2)植穴掘削用道具
植樹用の植穴掘りの道具は、苗木の大きさや種類、植栽時の作業内
容及び植栽地盤の硬さで選びます。
① コンテナ苗木用植穴器
②
唐鍬(トウグワ)
鉄製のため少
々重いが、作業
効率が良いです。
しかし、植樹地
盤が硬い場合は
力が必要です。
③ ショベル
植栽地の盛土材
が硬い場合に使用
します。参加者が
大勢の場合は、周
囲の人が怪我をし
ないように注意す
る必要があります。
④ 移植ベラ
チップを植栽
地表面に敷いて
いる場合は、作
業が困難になる
ので、客土を行
う場合に適して
います。
- 14 -
(移植ゴテ)
土地が比較的
柔らかい場合に
適しています。
子ども達への
危険性は少ない。
子ども達によ る
活動に適してい ま
す。
(3)除草・除伐に必要な道具
植栽後の除草及び枯損枝葉や除伐等で使用する道具類は次のとおり
ですが、作業内容にあった道具を選びます。
①除草用のノコギリ鎌
比較的茎の細い・背丈の低い
雑草向き(根を切断し除去)で
す。
③
②下刈鎌
雑草が繁茂している場合や灌木
の除去に使用します。作業は周囲
に人がいない状態で行います。
左から・ノコギリ・鉈・剪定用ノコギリ・剪定ばさみ
枯損した枝葉や除伐等で使用します。
④刈払機
雑草が繁茂している場合や灌木の除去に使用しますが、植栽木を間
違って切らないよう注意しながら作業を行います。また、作業周囲に
人がいないことを確認し、怪我をしないように注意しましょう。
- 15 -
4 植樹方法(手順)
(1)苗木の管理方法
コンテナ苗木は、通常段ボールに入って植樹日に現地まで運搬されます。
根の乾燥防止や葉からの水分の蒸散防止、枯損防止のため、出来るだけ直
射日光や風が当たらないように保護しながら植樹活動を行います。
苗木はあらかじめ、肥料や水分を含ませて宮城県農林種苗農業協同組合
の生産組合員から搬入されます。
①
②
このような段ボールで搬入され
ます。
段ボールには、80~100本
の苗木が入っており、通常10本
毎に結束されています。
④
③
現地では、少しずつバケツや袋
で運び植え付けます。
ビニールシートやムシロで覆い
直射日光や風による乾燥を防ぐよ
うにします。
(2)植穴の位置測定方法
①
②
盛土施工時に表面水の排水用とし
て設けられた水路です。(幅50㎝×
深さ50㎝の水路が多い)
風化等により水路幅が崩落や浸
食を受け、施工時より広くなって
いる水路が多いため、水路肩から
60㎝離して植えます。
- 16 -
③
④
植穴間隔の表示測定作業。(間隔
は1.4m×1.4mですが、区 域 の 形
状で変わります)
植穴間隔を測定しながら割り箸
を刺し、印を付けています。
⑤
スプレーの場合
⑥
割り箸の場合
植穴の位置に青色のスプレーで
印を付けます。
(印に変更があった場合、印を消
して再度印を付け直さなければな
りません。)
分かりやすいように、割り箸に
赤いテープを巻き表示しています。
割り箸は、刺し直すだけで変更
の標示が容易にできます。
⑦
⑧
⑤の写真の縦・横の交点の表示
箇所です。
植穴の表示が終わった全景です。
一直線にそろっていると、後日
の保育管理が容易です。
- 17 -
(3)植樹(植え方)
(3)植樹(植え方)
クロマツコンテナ苗の植栽方法の参考図は次のとおりです。
クロマツコンテナ苗の植栽方法の参考図は次のとおりです。
①
①
②
②
割
割り箸を抜いて、植穴器を使用し
割り
り箸
箸を
を刺
刺し
した
た部
部分
分に
に苗
苗木
木を
を植
植
割り箸を抜いて、植穴器を使用し
えます。
穴を開けます。
えます。
穴を開けます。
③
③
④
④
植穴は、他の道具でも良く、上の
スプレーの表示部分に穴を開けま
植穴は、他の道具でも良く、上の
スプレーの表示部分に穴を開けま
写真は、ショベルを使用して植穴を
写真は、ショベルを使用して植穴を す。
す。
掘っているところです。
掘っているところです。
- 18 -
⑤
⑥
植穴にコンテナ苗木を差し込み
ます。
苗木を差し込んだら、苗木がまっ
すぐになるように、両手で少し押さ
えます。
⑦
⑧
植え終わった苗木
植え終わった植樹箇所の全景
植栽上の注意点
1 植穴部分が、凹んでいる箇所には植えられません。
(水がたまって、枯れる場合があります。
)
2 根が乾いている苗や葉の変色している苗は、植えないようにします。
(弱っているため、枯れる場合があります。
)
3 根の上部面が地表面から出ないよう、1cm程度深く植穴に差し込むように植えま
す。この場合、苗がまっすぐになるようにします。
(地表面から出た根が乾燥し枯れる場合があります。
)
4 植えた苗の根と土が密着するよう、苗木周囲の地表面を軽く手で押さえます。
(風などで苗が倒れたり、ゆれて根の活着ができなく枯れる場合があります。
)
- 19 -
(4)普通苗(はだか苗)または植穴器を使用せずに植える場合
(4)普通苗(はだか苗)または植穴器を使用せずに植える場合
植穴器を使わない場合やはだか苗(2~3年生)やポット苗を使用
(4)普通苗(はだか苗)または植穴器を使用せずに植える場合
植穴器を使わない場合やはだか苗(2~3年生)やポット苗を使用
(4)普通苗(はだか苗)または植穴器を使用せずに植える場合
して植樹する場合の植穴の大きさは、植穴の直径約30㎝で深さも
植穴器を使わない場合やはだか苗(2~3年生)やポット苗を使用
植穴の大きさは、植穴の直径約30㎝で深さも30㎝程度を掘削し
して植樹する場合の植穴の大きさは、植穴の直径約30㎝で深さも
して植樹する場合の植穴の大きさは、植穴の直径約30㎝で深さも
30㎝程度を掘削し植え付けする場合が一般的です。
植え付けする方法が一般的です。
30㎝程度を掘削し植え付けする場合が一般的です。
30㎝程度を掘削し植え付けする場合が一般的です。
ただし、被災地から採取した実生苗を内陸の畑等で育成した苗の場
ただし、被災地から採取した実生苗を内陸の畑等で育成した苗の場
ただし、被災地から採取した実生苗を内陸の畑等で育成した苗の場
ただし、被災地から採取した実生苗を内陸の畑等で育成した苗の場
合は、根鉢の大きさに合わせ植穴を大きくします。
合は、根鉢の大きさに合わせ植穴を大きくします。
合は、根鉢の大きさに合わせ植穴を大きくします。
合は、根鉢の大きさに合わせ植穴を大きくします。
①
②
①
②②
②
①①
植穴の底に肥料を行う場合は、
植穴の底に肥料を行う場合は、
植栽位置が決まったら、ショベル
植穴の底に施肥を行う場合は、
また
っら
た、
らシ
、ョ
シベ
ョル
ベ ル肥 料
肥料
植 栽植
位栽
置位が置決がま決っ
がが
直直
接接
根根
とと
当当
たた
らら
なな
いいよようう
や移植ベラ等で30×30㎝の植穴
肥
料
が
直
接
根
と
当
た
ら
な
いよう
や移植ベラ等で30×30㎝の植穴にします。
にします。
や移植ベラ等で30×30㎝の植穴
植穴の底に肥料を行う場合は、
を掘ります。客土する場合は、堀取
にします。
を掘ります。客土する場合は、堀取
苗
木
な
い
で
植
苗が
木直
のの
根根
を
丸
め
な
い
で
植い
穴穴
にに
植を掘ります。客土する場合は、堀取
栽位
置が決まったら、ショベル 肥料
接
根を
と丸
当め
た
ら
な
よ
う
った土と客土を混合する必要があり
苗
木
の
根
を
丸
め
な
い
で
植
穴
に
った土と客土を混合する必要があり
垂
直
に
立
て
、
掘
っ
た
土
を
戻
し
て
った土と客土を混合する必要があり にします。
垂直に立て、掘った土を戻して
や移植ベラ等で30×30㎝の植穴
ますが、植穴にゴミやチップを入れ
垂
直に立て、掘った土を戻して
ますが、植穴にゴミやチップを入れ
埋めます。
ますが、植穴にゴミやチップを入れ 埋めます。
を掘ります。客土する場合は、堀取
苗
木の根を丸めないで植穴に
ないようにします。
埋めます。
ないようにします。
ないようにします。
った土と客土を混合する必要があり
垂直に立て、掘っ
③
④た 土 を 戻 し て
③
④
ますが、植穴にゴミやチップを入れ
埋めます。
③
④
ないようにします。
③
④
苗木の植穴を埋めたら、両手や足
苗木の植穴を埋めたら、両手や足で
で根元を軽く押さえます。
苗木の植穴を埋めたら、両手や足で
根元を軽く押さえつけます。
根元を軽く押さえつけます。
- 20 -
苗木の植穴を埋めたら、両手や足で
植え付け完了となります。
植え付け完了となります。
植え付け完了となります。
植え付け完了となります。
(5)施肥の方法
肥料は、苗木の周囲20cm~30cm程
度のところに、必要量を埋め込みます。写真
例は、16g/個の固形肥料を3箇所3個使用
しています。
の穴
肥
料
用
の
穴
肥料用
肥料用の穴に、
固形肥料を1個
づつ埋め込み、
手でさっと土を
かけ埋め戻しま
す。
(6)支柱の設置方法
支柱は、風などによる倒木を防ぐほか、苗木の揺れを防止し、根の生育
を助けるために行いますが、普通は必要ありません。植栽箇所の防風柵や
防風垣等の実施状況を見ながら、支柱が必要か検討しましょう。
①
苗木が小さい場合は、添え木と
して行います。
②
記念樹の支柱(竹3本支柱)
作業が終わった状況です。
- 21 -
(7)マルチングの方法
マルチングは、必ず実施しなくてはならないものではありません。
津波被害木をチップに加工したものが植樹活動地にある場合は、マル
チング材として有効利用することが可能です。
①
②
植栽木のマルチングとして、苗
木の周囲のみに使用した例です。
苗木の周囲に半径50cm程度
にマルチング材を敷きます。
③
津波被害木をチップ化し現地に集積しているものをバケツで運搬し、
敷設している状況です。
④ 木材チップ以外の実施例
木材チップを袋に入れて苗木の
ワラやコモのマルチング実施例
周囲に敷設した実施例です。
(風で飛ばないように縄で対策
(鳥によるいたずらの可能性が有
が必要です)
ります)
- 22 -
第3節 植樹木の管理
第3節 植樹木の管理
1 補植
1 補植
植樹した苗木は、1~2年程度は枯損の有無などを確認し、10%以上枯れている
植樹した苗木については、1~2年程度は時々枯損の有無などを確
場合は補植を計画します。特に、葉の色が緑から黄緑に変わっている苗木は、枯損す
認し、10%以上枯れている場合は補植が必要です。特に、葉の色が
る危険があるので注意して観察しましょう。
緑から黄緑に変わっている苗木は、枯損する危険があるので注意して
観察しましょう。
(栄養不足か? 病害虫か? 水分過剰か? 確認が必要です)
(栄養不足か? 病害虫か? 地面が水分過剰か? 確認が必要です)
①
②
枯損木の状況(植栽後6ヶ月後)
①の苗を掘り起こした状況
③
新しい苗を植えます
2
④
植穴を埋め戻して補植完了
追肥
追肥は、盛土材料に肥料成分がなく植栽後に養分が必要と思われるときに
実施します。
必要な場合は、植栽2年後に固形肥料を4個(64g)実施します。
固形肥料
- 23 -
3
除草(下刈り・つる類の除去など)
植樹前及び植樹後に除草や下刈り・つる類の除去などを行います。
① 植樹前の除草作業
(大きめの雑草のみ除去します)
③
②
植樹後130日後の状況
植樹後100日後の状況
④ 雑草の繁茂状況
(年1回~2回の下刈り地)
⑤ 除草作業(名取市閖上町内会)
⑥
- 24 -
④の箇所の下刈り後状況
4
清掃
ボランティアや地域の人たちと一緒に、海岸林や海浜をきれいにする
よう心がけてください。
(下の写真は、震災前の写真)
①
海岸林内への不法投棄状況
②
林内清掃
(名取市下増田小学校児童の皆さん)
③
林内清掃(宮城県農業高等学校
生徒の皆さん)
5
④
林内清掃
(名取市閖上町内会の皆さん)
除伐及び枯損枝葉の除去
( 海 岸 林 を 適 正 な 状 態 に 維 持 管 理 す る た め に は 除 伐 や 枝打ち(枝葉の
除去)が必要となります。下の写真は震災前の写真)
①
枝が枯れ上がったり、病気で枯
れた場合には除去します。
②
枯損枝葉の除去作業
(名取市閖上小学校児童)
- 25 -
6
病害虫防除
松くい虫、マツカレハ(マツケムシ)による被害が主ですが、幼齢木
では、シンクイムシやカイガラムシ及びすす病などの被害があります。
①
②
松くい虫の被害
(石巻市)
松く い虫の 被
害
(東松島市)
③
④
松くい虫の防除
(地上からの薬
剤散布)
松く い虫の 防
除
(ヘリコプタ
ーからの薬剤
散布)
⑤
⑥
松くい虫の駆除
(伐採し薬剤に
よる駆除)
マツ ツマア カ
シンクイムシ
の幼虫
⑦
⑧
マツツマアカシ
ンクイムシによ
る芯芽の枯損状
況(芯芽の茎に
入り食害を及ぼ
す)
⑨
マツツマアカシンクイムシの防
除(スミチオン乳剤による消毒)
⑦と同じ
⑩
マツコナカイガラムシによる
すす病
- 26 -
第4章 海岸林(海浜)の活用
第4章
海岸林(海浜)の活用
海岸林が再生したときには、下記写真のような活動に利用され、地
海岸林の再生後は、様々な活動に利用され、地域の人達をはじめ多くの方々に愛され
域の人たちや皆さん方に愛される海岸林となります。
る海岸林となります。
(下の写真は、震災前の写真)
(下の写真は、震災前の写真です。
)
① 海岸林の活用(名取市閖上地区の例)
地元ボランティア団体による森の教室での様子です。
・閖上小の青空教室
・子ども達の発表会
・地元中高学生による野外活動
②
・地元子ども達への森林教室
海浜の活用(名取市閖上の海浜)
・子ども達の散歩
コース
・漂流物や海浜植物などを探しなが
らの勉強会
- 27 -
第5章 海岸の植物(震災後に撮影した写真)
第5章 海岸の植物(震災後に撮影した写真)
① クロマツ人工林
② クロマツ人工林
(岩沼市川向)
(名取市下増田)
③
クロマツ実生
(仙台市南蒲生)
④ ヤマザクラ
(岩沼市川向)
⑤ コナラ
(仙台市南蒲生)
⑥ ハマギク
(東松島市大曲)
⑦ ハマヒルガオ
(仙台市南蒲生)
⑧ ハマボウフウ
(名取市閖上)
⑨ ウンラン
(東松島市大曲)
⑩ ハマエンドウ
(岩沼市川向)
⑪ ドクウツギ
(岩沼市川向)
⑫ ニセアカシア
(東松島市牛網)
⑬ ススキ
⑭ オギ
(岩沼市川向) (東松島市牛網)
⑮ ホワイトクローバー
(岩沼市川向)
- 28 -
⑯ クズ
(岩沼市川向)
コラム-2 海岸林造成記念碑について
震災前には海岸林を造成した地域ごとに、下のような記念碑が建立されていました。碑文の内
コラム-2
海岸林造成記念碑について
コラム-2
コラム-2
コラム-2
海岸林造成記念碑について
海岸林造成記念碑について
海岸林造成記念碑について
容は、防潮や飛砂防止を図り産業振興や農業振興のため、海岸林保護組合を結成し、国・県・地
震災前には海岸林を造成した地域ごとに、下のような記念碑が建立されていました。
震災前には海岸林を造成した地域ごとに、下のような記念碑が建立されていました。
震災前には海岸林を造成した地域ごとに、下のような記念碑が建立されていました。
震災前には海岸林を造成した地域ごとに、下のような記念碑が建立されていました。
域住民が一丸となって海岸林を造成し、保護・撫育に努力したこと等を後世に伝えるため、この
碑文の内容は、防潮や飛砂防止を図り産業振興や農業振興のため、海岸林保護組合を結成し、
碑文の内容は、防潮や飛砂防止を図り産業振興や農業振興のため、海岸林保護組合を結成し、
碑文の内容は、防潮や飛砂防止を図り産業振興や農業振興のため、海岸林保護組合を結成し、
碑文の内容は、防潮や飛砂防止を図り産業振興や農業振興のため、海岸林保護組合を結成し、
国・県・部落民が一丸となって海岸林を造成し、保護・撫育に努力したこと等を後世に伝え
記念碑を建立したと記載されています。
国・県・部落民が一丸となって海岸林を造成し、保護・撫育に努力したこと等を後世に伝え
国・県・部落民が一丸となって海岸林を造成し、保護・撫育に努力したこと等を後世に伝え
国・県・部落民が一丸となって海岸林を造成し、保護・撫育に努力したこと等を後世に伝え
るため、この記念碑を建立したと記載されています。
るため、この記念碑を建立したと記載されています。
るため、この記念碑を建立したと記載されています。
るため、この記念碑を建立したと記載されています。
下の写真は、阿武隈川河口の岩沼市寺島字川向(旧納屋部落)の震災前の写真です。
下の写真は、阿武隈川河口の岩沼市寺島字川向(旧納屋部落)の震災前の写真です。
下の写真は、阿武隈川河口の岩沼市寺島字川向(旧納屋部落)の震災前の写真です。
下の写真は、阿武隈川河口の岩沼市寺島字川向(旧納屋部落)の震災前の写真です。
下の写真は、阿武隈川河口の岩沼市寺島字川向(旧納屋部落)の震災前の写真です。
現在、この集落跡地の市道沿いに下の記念碑が建立されています。
現在、この集落跡地の市道沿いに下の記念碑が建立されています。
現在、この集落跡地の市道沿いに下の記念碑が建立されています。
現在、この集落跡地の市道沿いに下の記念碑が建立されています。
現在、この集落跡地の市道沿いに下の記念碑が建立されています。
(記念碑文面の字体は旧字もあり、誤字・脱字についてはご容赦願います。
(記念碑文面の字体は旧字もあり、誤字・脱字についてはご容赦願います。
) ))
(記念碑文面の字体は旧字もあり、誤字・脱字についてはご容赦願います。
(記念碑文面の字体は旧字もあり、誤字・脱字についてはご容赦願います。
(記念碑文面の字体は旧字もあり、誤字・脱字についてはご容赦願います。
))
碑文内容(表面)
碑文内容(表面)
碑文内容(表面)
碑文内容(表面)
愛
愛
愛
愛
林
林
林
林
現在の記念碑建立箇所
現在の記念碑建立箇所
現在の記念碑建立箇所
現在の記念碑建立箇所
(岩沼市寺島字川向の市道沿い)
(岩沼市寺島字川向の市道沿い)
(岩沼市寺島字川向の市道沿い)
(岩沼市寺島字川向の市道沿い)
( 表 面 )
納
屋
海
岸
林
造
成
記
念
碑
( 表 面 )
納
屋土ノ保
海全ト岸
岸
林
造礎ヲナ
成ス海記
記
念成ノ必
碑要ヲ(
先祖カラ受継ダ納
我等 郷
産業振林
興 ノ基
岸林造念
痛表 面 )
屋
海
造
成
碑
( 表 面 )
先
祖
ラ
郷
保
基
ナ
海
造
必
ヲ
納我
岸産
林興
記岸
切ニ
感ジ
部継
落ダ
民
総等
意屋
ノ土
モノ
ト海
ニ全
昭ト
和
十業
八振
年
八ノ
月造
海礎
岸ヲ
林成
保ス
護組
合林
ヲ念
結成
シ碑
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記記
念
碑念
記
記
念
念
碑
碑碑
おわりに
本誌の編集には、多くの方々から写真や資料の提供をいただきました。厚く
感謝申し上げます。特に、表紙のイラストを作成していただきました宮城県農
林水産部林業振興課の大滝実那子様には、公務御多忙中にもかかわらずご協力
いただき感謝申し上げます。
海岸防災林再生支援植樹活動におきましては、今後も多くの方々に参加を呼
びかけていただきますようお願いします。
植樹後は、繁茂する雑草やつる類の除草(下刈り)及び除伐などの保育管理
が必要となりますので、それぞれの関係者と相談しながら保育作業の立案を行
い、よりよい海岸林の再生を目指していただけたら幸いに存じます。
最後に、当委員会は、今後とも国・県・市町村や関係者の方々と連絡を密にし、
県民の皆様に愛される海岸林の再生活動に取り組んでまいります。
平成27年12月
「みやぎの海岸林再生入門」編集メンバー(敬称略)
志野さゆり:宮城県農林水産部森林整備課治山班 技 師
佐々木周一:宮城県林業技術総合センター普及指導チーム 技術次長
小山 邦夫 :宮城県農林種苗農業協同組合 専務理事
森 曻二 :公益社団法人宮城県緑化推進委員会 海岸防災林再生専門監
表紙イラスト(敬称略)
大滝実那子:宮城県農林水産部林業振興課林業基盤整備班
技
師
編集協力(敬称略):
宮城県農林水産部森林整備課
宮城県仙台地方振興事務所林業振興部
宮城県東部地方振興事務所林業振興部
公益社団法人国土緑化推進機構
宮城県農林種苗農業協同組合
国土防災技術株式会社 執行役員 田中賢治
朝日航洋株式会社空間情報事業本部
石巻地区森林組合
ゆりりん愛護会
発
行:公益社団法人宮城県緑化推進委員会
宮城県仙台市青葉区堤通雨宮町4-17 宮城県仙台合同庁舎10階
電話 022-301-7501 FAX 022-301-7502
E-mail [email protected]
印
刷:株式会社 佐々木印刷所
宮城県仙台市宮城野区日の出町2丁目2-16
電話 022-236-1281 FAX 022-236-1284
【この冊子は、平成27年度海岸防災林再生等復興支援事業(林野庁補助事業)を活用しています。】
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MEMO
【岩沼市寺島字川向地区「岩沼潮除須賀松の森」】平成27年4月26日植樹
(上の写真は、実生のクロマツ:東松島市)
【岩沼市寺島字川向地区「岩沼潮除須賀松の森」】平成27年4月26日植樹
(上の写真は、実生のクロマツ:東松島市)