学校だよりの内容に関係するので、併せて掲載します。 ディズニーランドで

学校だよりの内容に関係するので、併せて掲載します。
ディズニーランドで清掃員(カストーディアル)として働いている松永聡美さんのお話
を「ディズニーランドの神様が教えてくれたこと」
(鎌田洋著)から紹介します。
聡美の母はパートをしながら彼女を4年制大学に通わせ卒業させ、ディズニーランドへ
就職が決まりました。
しかし配属先が清掃係りになってしまい、掃除をやらせるために大学へやったわけでは
ないと思い、上司の金田さんに配置換えをお願いする手紙を書きました。
上司の金田さんは聡美さんを呼び、
「カストーディアルの仕事をどう
思うかい」と尋ねました。聡美さんは「素晴らしいと思います。入社
する前からあこがれの仕事ですから」と答えました。
休みに家に帰って両親に説明をしても納得してくれません。
そこでチケットを入れて「今度両親でディズニーランドへ遊びに来
てくれ」とメッセージを書いた封筒を渡しました。
さっそく次の休みを利用して聡美さんの職場にお母さんは夫婦で行くことにしました。
初めてのディズニーランドは、今までに見たことがない光景でした。外国の感じという
か別世界というか、まるでここが日本だということを忘れさせるような光景でした。
聡美に内緒で来ているため、できるだけ見つからないように注意せねば・・・・と思っ
ていたものの、これでは見つけるほうが大変かと感じました。
聡美のいるエリアは金田さんから聞いていたので、聡美の持ち場へ向かいました。
スペースマウンテンという乗り物の近くを通った時、真っ白い制服を着た聡美を見つけ
ました。
手には、ほうきとチリトリを持ち、落ちているポップコーンなどを拾い集めています。
「やっぱりただの掃除だわ。お父さん帰りましょう。私、見ていられないわ」「まだ来たば
かりじゃないか。せっかくだから、もう少し見て帰ろう」「で も・・・」
「あっ!」
その時ポップコーンを持った5歳ぐらいの男の子が聡美の目の前で派手に転びました。
手にしたポップコーンは辺りにこぼれ落ち男の子は大声で泣き出しました。
近くにいた聡美は、すぐさま近寄り、男の子をヒョイと起き上がらせた」
「ぼく大丈夫?
お母さんは?」聡美はポケットに付いているポケットから絆創膏を取り出しました。
「他にいたいところない」
、男の子は「うん」と答えています。
迷子になった不安とポップコーンを落としたショックで泣いているらしいのです。
すると聡美はポケットからカードを取りだし、男の子に渡しました。
「はいこれあげる。魔法のカードよ」「魔法のカード?」「そうティンカーベルが魔法をか
けてくれるの」
「どんな魔法?」
「このカードをポップコーンのおねえさんに渡してごらん」
「ポップコーンのおねえちゃんに渡したらいっぱいにしてくれたよ」
「すごーいおねえちゃ
んのポケットって魔法のポケットみたい」
金田さんは里美のお母さんに、聡美の動きを説明しました。
「ほらお母さん、見てください。聡美さんが持ち歩いているチリトリは、まるで体の一部
のようじゃありませんか?ゲストに当ててケガをさせないためなんです。先輩から教えら
れたことは一度で覚えるまじめで思いやりのある娘さんですよ。
」
なんだかあの子が輝いて見えました。今まで見たことがないくらい輝いて見えました。
すると転んだ男の子がお姉ちゃんポケットの中に他に何が入っているの」と聞きました。
聡美はポケットの中から袋を取り出して見せました。その中には10円玉が入っていま
した。
「これはね 15 年前にお姉ちゃんが迷子になった時に、これから電話できるようにお母さん
がお守りを作ってくれたの」「へえそれは宝物だね」「今ではここにいるすべての人がケガ
をしないように持っているの」
そう言いながら迷子センターへ連れて行きました。
「あんな古いものをずっと持っていてくれたなんて」
あの子はもう立派な社会人なのだ。
すると夫は肩に手をかけ「あの子を信じてやらないか」と言いました。
私も心から聡美の仕事を応援したくなりました。
聡美には仕事の邪魔をしたくないと思い声をかけないで帰ることにしました。
すると行くところ行くところどこを見てもゴミが一つも落ちていません。
人が汚せないくらいきれいでした。
仕事の内容が立派ではなく、どんなふうにその仕事を取り組むかで人生の幸せが決まる
ことがよく分かりました。
金田さんは本家アメリカのディズニーから「そうじの神様 」が来た時に、仮設事務所の
トイレに集合させられました。
誰もが足早に通り過ぎたくなるような泥や汚れまみれのトイレを彼はおもむろに手袋を
はめると、まるでわが子を抱きかかえるようにして便器を勢いよく磨きだしました。
彼の手によって命を与えられたように輝きを取り戻しました。
「これは何だ?今までの掃除とは違う。
」
彼と同じように手を動かしたくなった金田さんと仲間の社員は、気が付けば、すべての
トイレをまばゆい輝きに取り戻してしまいました。
そのとき私たちは初めてにっこりとほほ笑みました。
かっこいい仕事などない。どんな仕事も心をこめて仕事をすることが4つの究極の幸せ
「人に必要とされること」
「人に役に立つこと」
「人に褒められること」
「人に愛されること」
に通じることだと思いました。