コンピュータサイエンスとコンピュータ

SENAC,Vol.28,No,4,1995.10よ
情報 セ キ ュ リテ ィ
グラフ,ア ル ゴ リズ ム,Ⅲ
云:載
り車
コ ンピュニ タサイ エ ンスと コ ンピュー タ
東北大学大 学院情報科学研究科
及 び工 学部情報 工 学科 教授
西関 隆 夫
コ ンピュータサイエ ンス ( 計算機科学) と コ ンピュータが密接 な関係 にあるの は
ー
当然 であるが, 米 国で単 にセオ リ と呼ばれて い る理論計算 機科学 の分野 と コ ン
ー
ピュータ特 に大型 コ ンピュータや ス ーパ コ ンピュ タの利用 との関係 は必ず しも密
ー
ー
接ではない. セ オ リーの分野の研究者 の大部分 はパ ソコンや ワ クステ シ ョンを
利用す る ことはあ って も, 大 型機や スパ コ ンを利用 して いないので はな いだ ろ う
ー
か。 しか も, そ の利用 も, ワ ープ ロや電子 メ ルの送受信 に しか利用 して いないこ
ー
とが 多い。か く言 う私 も 1 9 6 8 年頃の学部 3 , 4 年 生の時 に, 紙 テ プ入力 で使 い勝
ー
手が悪 く, 現 在 のパ ソコ ン程度 の能力 しかない当時の大計セ ンタ の計 算機 を利用
して, F F T ( 高 速 ファ リェ変換 ) の プ ログラムを組み, バ ッチ処理 の結果 が学 内便
で送 られ て くるのを今 か今か とじりじり しなが ら2 , 3 日 待 って, ピ リオ ド 1 個 忘
れてそのプ ログラムが動 かない こ とがわか り, が っか りす るとい うよ うな辛 い経験
ー
ー
を何度 も したせいか, そ れ以降私 自身が大計 セ ンタ の コンピュ タを利用す る こ
とはほとんどな くなって しまった。
セオ リーはそ もそ も計算 とは何 ぞや とい う根本 的な問題 に答 えた り, こ の手 の 問
題解 くには これ これ の計 算量が ど う して も必要 なんだと証明 した り, い ろい ろな
一
‐
討算量 の 問題 の クラスの構造を調 べ た り, 効 率 のよいアル ゴ リズ ムの統 的設 計
ー
造を工夫 し
理論を与えた り, ア ル ゴ リズ ムの解析法 を開発 した り, 種 々なデ タ1 構
一
た りす る理論である. ア ル ゴ リズ ムの設 計法の 例 として分割統治法がある。化点
2 ) 時 間かかるにもかかわ らず, F F T を 使 えば
のフー リェ変換 を計算す るのに θ( 化
°
である。
θ( ?1弓0 g ?)み
時 間で済んで しま うが, こ の F F T の 背景 にあるのが分割統 治法
この手法を用 いて多 くの実用 的な問題 に対 して高速なアル ゴ リズ ムが設計 され て き
た.
セオ リーは コ ンピュータの発達 とともに進展 してきた若 い学問の分野 であ り, セ
.―
ー
オ リー とコンピュー タは車の両輪 のよ うな もので ある。セオ リ は ヨ ンピュ 夕の
現実か ら遊離 した理論 のための理論 にな っては い けない。そのために も理論家 も
ー
もっとコンピュー タを利用 して大規模 の リアル デ タの問題を計算す る経験 が必要
だと自戒 している。現在 の大計 セ ンターの システムは当時と比べれ ば格段 に使 い勝 '
ー
手がよい ものとなっているが, 理 論家を コ ンピュ タに向わせるために も, 更 なる
ー
利用環境の向上が望まれ る。 また, 三 次元 アニ メ シ ョンな どを授業や研究 室紹介
に用 いたいのでマルチメデ ィア関連設備 の充実 も是非お願 い したい。
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