コンピュータ室用フリーアクセスフロアの電気亜鉛めっきウイスカ対策ガイド

コ ン ピ ュータ 室 用 フ リー ア クセ ス フ ロア の
電 気 亜 鉛 め つ き ウ イ ス カ 対 策 ガ イ ド
2002年 6月
JAFAフ リーアクセスフロフエ業会
Japan Access Floor Association
まえがき
本年 1月 社団法人電子情報技術産業協会 (JEITA)の ホームベー ジでコ ンピュー タ室で床
下か ら浮遊 した亜 鉛ウイスカが コンピュー タ機器の中に入 り込み、プリン ト基板や端子部
分 で電気的短絡 を起 こす ことが指摘 され、ウイスカヘの留意 と対策が求め られました。
当工業会では コンピュー タ室用 フリー アクセスフロアの供給を事業とする業界団体であ
ることを強 く自覚 し、この要請 に沿った対応 を会員会社 と共に推進 しています。
この一環で コ ンピュー タ室の電気亜鉛めっきウイスカ対策 のガイ ドとして作成 した もの
です。
1.コ
ンピュー タ室 の定義
一 般事務室 とは異な り、複 数 の コ ンピュー タ、サ ーバ 並 び にデ ー タ保管機器等 が設
置 され、通常 、床下空調 されて いる 24時 間稼働 の専用室。
2.亜 鉛 ウイスカ の発生 メカ ニ ズム
鋼 材 ・ 鋼 板等 (母 材 )に 電気亜鉛 め っき処理 を施 した 際 の亜 鉛 ウイスカ発生 メカ ニ ズ
ム に関 して は、過去 にい くつかの説が発表 されて います。 しか し、定説 となる決定 的
な ものは な く、現在で はそ の主 要 因 はめ っき時の析 出め っき膜 の 内部応 力で ある と言
われて います。
そ の発 生 メカ ニ ズム につ いて概 要 を説明す る と以下 の通 りです。
(1)母 材 にめ っき金属で ある亜鉛が析 出 します。
(2)金 属原子 に光沢剤等 の添加剤成分が吸着 され ます。
(3)金 属原子間 に添加剤成分が取 り込 まれ る ことによ り内部応 力が発生 し、その内部応
力は圧縮残留応 力 として残 ります 。
(4)そ の後亜 鉛 の再結晶 (注 1)が 始 まる と、内部応 力が亜鉛結晶 の正 常な成長 を妨 げ亜
鉛結晶 は、 自由な方 向 (解 放空間 )に 成長 し始 めるものが あ ります。 これが金属表
面 に現 れ る とウイスカ にな ります。
なお、溶融亜鉛め っき (注 2)は 、電気亜鉛 めっきの生成 メカ ニ ズム と全 く異な っ
てお り、亜鉛 ウイスカ の 発 生はな い もの と考 え られ ます。
(注
1)再 結 晶 とは
一 般 の金 属 は、あ る温度で結晶粒子 に変化 が生 じ、 内部応 力を解消 して、よ り安
定 した状態 になろ うとします。 この現象 を再結晶 と言 い、 この再結晶 の始 まる温度
を再結晶温度 と言 います。
再結 晶 によ って結 晶 は、小 さな結晶 を吸収 し大 き くな ります。
特 に亜 鉛や錫 は、再結 晶温度 が常温域 にあるため ウイスカが誘発 され る可能性が
あ ります。
代表的な金属 の 再結 晶温度等 を表 1に 示 します。
表
再結晶温度
Fe
Ni
Al
(注
350∼ 500
530∼ 660
150∼ 200
1
(単 位 :℃ )
再結晶温度及 び融点
再結晶温度
融点
1,535
Cu
Zn
Sn
1,458
660
200∼ 250
15∼ 50
0∼ 25
融点
1,083
419
232
2)溶 融亜鉛め っきとは
溶融亜鉛め っき鋼板の製造は、圧延鋼帯 (一 般 にコイル と呼ぶ)を 通常、溶融亜鉛
浴槽 (温 度 430∼ 460℃ )中 を高速で通過させて、亜鉛層を形成する方法で、亜鉛層 と
母材 との間で合金層を生成するのが特徴 です。また、“ドブ漬け"(加 工・ 成形され
たものを溶融亜鉛めっきすること)も 同様で、溶融亜鉛浴槽 に被処理物 を浸漬 して合
金層を生成するものです。
3.亜 鉛ウイスカの発見方法
一般 に、コンピュー タ室内等で使用 されるフリー アクセスフ ロアにお いて、亜鉛 ウ
イ スカが発生する可能性 のある箇所 としては、電気亜鉛め っき鋼板等で覆われて いる
床パ ネル の裏面や側面 (床 パネル表面は帯電防止タイル等に覆われて いる場合が殆 ど)
。
及び、電気亜鉛めっきが施 されているス トリンガー 支柱・ 耐震用平鋼等 の表面が考
えられます。
そ こで、亜鉛 ウイスカを発見す る方法 としては、床下空間の対象物 に作業用照明・
フラッシュ照明等 の光度 の強 いビーム光を、 20∼ 3 0cm離 れた所か ら光源を動か し
なが ら照射 した際、キラキラと輝 く針状 。ヒゲ状の異物を発見する ことがあ ります。
この異物そのものが、亜鉛 ウイスカである可能性があ ります。
4.ウ イスカの対策
1)ウ イスカの発 生防止
ウイスカを発生 させるおそれのある電気亜鉛め っきを排除する ことが第一です。
次 のような発生防止方法があ ります。
(1)材 質 の変更 :ス チール系材料そのものを、アル ミ系や窯業系材料に変更す る。
(2)表 面処理方法 の変更 :ス チール系材料 の表面処理を次 のもの等 に変更す る。
2
'L l i
―
│
・
塗 装 に変更す る。
・
め っきの種類 を変更す る …・溶融亜鉛め っき、 ニ ッケ ル めっき等。
・
溶融亜鉛 め っき鋼 板 を使用す る。
・
ウイスカ フ リー の 電気亜 鉛 め っきに変更す る。
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2)ウ イスカ の飛散防止
ウイスカ発 生のおそれ のな い金属 系材料 もしくは難燃性樹脂等 で 当該部品 をカバ リ
ングす る方法 は、特 に既 設品対策 に有用で 、 も しウイスカが 発 生 して も飛散 を防止 し
ます。
5。
新設施 工 時 の対応方法 と留意事項
(1)施 工 図作成や部材手配 の とき、床 パ ネルや支柱 のほか、使用す る耐震補強金物 、
枢 、ス ロー プ、落下 防止枠 な ど一つ一つ につ いて表面処理 の 方法 を確認 して 指定
す る こと。
(2)施 工の 責任者や作業者 な どに対 し、 ウイスカ対策対応 の現場であ る ことを施 工 前
の打ち合わ せで よ く知 らせてお くこと。
(3)持 ち込みの予備部材 は、手持 ち品や他現場 との共通品で ある ことが多 いので、そ
の まま使用 しな い こと。
6. 既設補修作業で の留意事項
(1)補 修 を計画 されて いる現場 が 改修 工事 の専用 区画で あるのか、稼働 中の一部分 で
あるのか を確認 して対応 を検 討す る こと。
(2)補 修 が必要な現場 の清掃や養 生 につ いては、発注者 と事 前 に打ち合わせて用具 と
方法 の確認 をす る こと。
(3)電 気亜 鉛め っき され た既設品の補修方法 として は塗装 は効果 がな い。
(4)電 気亜鉛 め っき され た既 設品 をカバ リングす る材質 は難燃性 が求 め られ る。
(5)施 工の責任者 や 作業者 な どに対 し、 ウイスカ対策対応 の現場 である ことを施 工 前
の打 ち合わせで よ く知 らせてお くこと。
(6)持 ち込 み の予備部材 は、手持 ち品や他現 場 との共通品で ある ことが 多 いので、そ
の まま使用 しな い こと。
(7)施 工 の作業者 は、コ ンピュー タ機器お よびケ ー ブル には手 を触 れな い こと。また、
ケ ー ブル を踏 まな い こと。
作業 上や む を得ず触 れ る場合 は、必ず顧客 (コ ンピュー タユー ザ ー )の 指示 の下 に
う こと。
`予 ンピュー タ室で の
(8)コ
溶剤や水 の使用 につ いては、発注者 と事 前 に打 ち合わせて使
用 の 可否 を確認す る こと。
以上
3
上
___
<禁
無 断 転 載
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コンピュータ室用フリーアクセスフロアの
電気亜鉛 めっきウイスカ対策 ガイド
2002年 6月
発
行
第 1刷 発行
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Japan Access Floor Association
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刷
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