2 研究概要 2-1 国際共同研究 Vol .1ユタ大学 拠点サブリーダー 山形大学大学院医学系研究科 分子疫学部門生命情報科学 山形大学医学部器官病態統御学講座 血液・循環分子病態学分野 久保田 功 教授 教授 I saoKubot a TakeoKat o 山形大学 21世紀 COEプログラム「地域特性を生か も成り立つか否かを検証するためのシステムを構築し、 した分子疫学研究」は山形県在住の日本人集団を対象 さらに日本人以外の人種集団において検証するシステ として生活習慣病の発症に関与する遺伝的素因を明ら ムを構築した。国外の共同研究先として米国ユタ大学 かにしようとするものである。しかし、1つの日本人 を選んた。その理由は同大学が遺伝的 QT延長症候群 集団で明らかになったことが、他の日本人集団、さら の原因遺伝子特定など分子疫学研究では世界をリード には人種の壁を越えて人類共通のものであるか否かは する立場にあり、かつ豊富なデータベースを有してい 知ることができない。この問題を解決するために、私 るからである。 達は高畠町の住民から得られた結果が舟形町の住民で 以上の経緯により、山形大学 21世紀 COEプログラ 図 1 ユタ大学との共同研究契約 22 加藤 丈夫 (生命情報内科学) ム側の山形大学医学部、地域・大学発研究所 COMEセ 山形大学、 COMEセンター及びヒュービットに開示し、 ンター(以下、COMEセンター)、ヒュービットジェ 全ての当事者間で総合的な検討を行う。同時に、各当 ノミクス株式会社(以下、ヒュービット)とユタ大学 事者は、本共同研究のもとに、教職員、研究者及び教 心血管遺伝学研究所との間に 2007年 1月 1日に共同 育研究資料の交換を行うとするものである。 研究契約が締結された(図 1) 。この共同研究の骨子は ユタ大学との共同研究はスタートしたばかりである 以下の 3点である。1)山形大学、COMEセンター及 が、既に幾つかの研究成果が得られている。山形の一 びヒュービットは、ユタ大学に対して、山形大学と 般住民を対象とした血清の脂質を規定する肝リパーゼ ヒュービットが山形(日本)の住民を対象に実施した 遺 伝 子 の 多 型 と HDLコ レ ス テ ロ ー ル と の 関 係(J 山形大学 21世紀 COEプログラムによる結果(共同研 ) 、飲酒習慣がない人を対象とし Hum Genet ,i npr es s 究の対象となる遺伝子と臨床パラメーターのみ)を開 たアルデヒド脱水素酵素 2の遺伝子多型と HDLコレ 示するとともに、その結果の遺伝的な妥当性の検証の ステロールとの関係(論文投稿中) 、GNB3多型と血糖 ための研究手法を検討する、2)ユタ大学は、山形大 値との関係(論文投稿準備中)等についてユタ地域の 学、COMEセンター及びヒュービットから開示された 一般白人集団での検討がなされている(図 2) 。今後、 分子疫学研究の統計解析結果について、ユタにて測定 分子疫学研究の研修のため若手研究者をユタ大学に派 された臨床パラメーターを用いて、遺伝的な妥当性の 遣し、生活習慣病の遺伝的素因についての共同研究の 検証研究を行う。3)ユタ大学は、当該研究の結果を、 さらなる推進を図る予定である。 図 2 研究の具体例 23 2 研究概要 2-1 国際共同研究 Vol .2「山形県舟形町研究 眼科領域における国際共同研究」 山形大学医学部情報構造統御学講座 視覚病態学分野 川崎 良 助教 RyoKawasaki 1 目 的 教授)およびオーストラリア・シドニー大学・Ce nt r e 本研究は山形県舟形研究の眼科領域の研究課題につ f orVi s i onRes ear ch,Wes t meadMi l l enni um I ns t i t ut e いて、 国際的に標準化された方法を用いて解析を行うこ (PaulMi t chel l教 授、Ji eJi nWang准 教 授)で あ る。 と、 それにより本研究が諸外国の疫学研究と比較可能性 本研究の共同研究にあたっては個人情報について特定 の高い研究となることを目的としてシドニー大学、 メル 不可能な状態に匿名化した原資料についてそれぞれの ボルン大学 (ともにオーストラリア) 、 ジョンスホプキン 研究施設で閲覧を行うことを倫理委員会において審査 ス大学 (米国) の研究者と共同研究を行うものである。 を受け、承諾された。 山形県舟形町では山形大学医学部と共同で定期的に 眼底写真の判定: 疫学研究を目的とした検診が行われてきたが 2000 眼底写真の判定については専門の判定施設で専門の判 年- 2002年の検診から眼科検診を導入した。 眼科検診 定員によって行われるのが国際的に標準となっている。 で得られたデータの解析、特に眼底写真に基づいて病 そこで舟形町で 2000年- 2002年に行われた眼科検診 変の有無、重症度の判定を行うにあたってシドニー大 の結果の中から眼底写真について個人情報について特 学およびメルボルン大学の眼科疫学研究者と情報交換 定不可能な状態に匿名化したうえでシドニー大学の専 を行った。当時、米国、オーストラリアを中心として 門 の 眼 底 写 真 判 定 施 設(FundusGr adi ngCent r e, より再現性の高い判定方法、より定量性の高い判定方 Cent r ef orVi s i onRes ear chAus t r al i a)で判定を受けた。 法が開発され大規模な疫学研究に応用され国際的な標 この判定施設は国際的に評価の高い眼科疫学研究 t he 準となっていた。そこで舟形町研究の眼科データの解 Bl ueMount ai nsEyeSt udyの判定を行った施設であ 析にあたってそれらの国際的に標準化された病変の判 る。このことでその後の研究解析においては舟形町研 定方法、および統計解析方法について情報を交換し、 究の結果と t heBl ueMount ai nsEyeSt udyの結果の 共同研究として研究を進めていくことを計画した。本 直接比較が可能となった。判定の内容は網膜細動脈硬 共同研究によって国際的に評価の高い研究となること 化所見、網膜血管径計測、網膜症、加齢黄斑変性、黄斑 が期待される。 上膜、 その他の眼底病変である。それぞれの所見の判定 は専門の訓練を受けた判定員が眼底写真以外の情報を 2 企画、研究方法 マスクした上で行い、さらにその結果を上級判定員も 共同研究施設および共同研究者: しくは網膜疾患の専門医が確認した。専門の判定員は 共同研究施設(共同研究者)はオーストラリア・メル 判定の再現性の確認のため、定期的に判定者間一致率、 ボルン大学・Ce nt r ef orEyeRes ear chAus t r al i a( Ti en 判定者内一致率について試験を受けている。その結果 、アメリカ合衆国・ジョンスホ はデータベース化されその後の統計解析に用いられた。 Yi nWong教授[写真]) プキンス大学・公衆衛生学部・疫学(J amesM.Ti el s ch 統計解析: 眼底写真の判定結果、特に眼科疾患の有無、重症度の データを解析するにあたって以下の点に主眼を置いて 共同研究機関と情報交換を行った。 (1)判定基準を国際的な標準とする。 (2)統計解析方法を他の疫学研究に合わせて行う。 (3)舟形町研究の結果と諸外国の疫学研究結果とを 比較する。 また、本研究では眼底写真の判定を Bl ueMount ai ns EyeSt udyの 判 定 施 設 で 行 っ た こ と か ら Bl ue Mount ai nsEyeSt udyの原資料を用いることにより年 齢で標準化し直接比較を行ってより詳細な比較を行っ 24 た。そ の 目 的 で シ ド ニ ー 大 学 か ら Bl μm 95%信頼区間 :1. μm)に関連 ueMount ai ns 張(+4. 69 20-8. 19 EyeSt udyの原資料の提供を受け解析を受けた。 していた。メタボリックシンドロームは網膜所見と関 連していることが明らかとなった。ただその際に、 個々 3 実 績 のメタボリックシンドローム構成因子を複数有するこ 本研究の結果は以下の論文に報告した。 とによる相乗効果は認められなかった。 (1)Kawas akiR.etal .Car di ovas cul arr i s kf act or s (4)Kawas akiR.etal .Pr eval enceandRi s kFact or s andr et i nalmi cr ovas cul ars i gnsi nanadul tJapanes e f orAgeRel at ed Macul arDegener at i on i n an Adul t popul e Popul at i on: t he Funagat a St udy. Opht hal mol ogy Japanes at i on: The Funagat a St udy. 2006;113: 13781384. Opht hal mol ogy.2008I npr es s . 本論文では非糖尿病者における網膜細動脈硬化所見の 本論文では高齢者の失明原因として重要な加齢黄斑変 有病率と網膜血管径について報告するとともに、全身 性の有病率とその危険因子について報告した。早期加 所見とのかかわりについて報告した。高齢、高血圧は 齢黄斑変性の有病率は男女とも 3. 5%で、晩期加齢黄斑 網膜細動脈硬化所見および網膜細動脈狭細化と有意に 変性の有病率は男性で 0. 8%、女性で 0. 2%であった。 関連していた。一方で網膜症は高齢と血糖値と関連し 危険因子としては高齢(10歳あたりのオッズ比 1. 01, 95%信頼区間 1. 001. 17)と喫煙習慣(オッズ比 5. 0, と関連していることが明らかとなった。 95%信頼区間 1. 025. 0)が有意に関連していた。本研 (2)Kawas akiR.etal .I mpai r ed gl ucos et ol er ance, 究 で の 有 病 率 を Bl ueMount ai nsEyeSt udy( BMES) butnoti mpai r edf as t i nggl ucos e,i sas s oci at edwi t h のもの年齢構成で標準化し直接比較したところ、早期 r et i nopat hy i n Japanes e popul at i on:t he Funagat a 加齢黄斑変性は舟形町研究で 4. 1%、BMESで 4. 4%と St udy.[ Let t er ]Di abet es ,Obes i t y and Met abol i s m. ほぼ同様であった。晩期加齢黄斑変性は女性では舟形 町研究で 0. Accept ed. 3%、BMESで 1. 7%と舟形町研究では低かっ 本論文では先の論文の結果を受け、糖尿病、糖尿病境 たが男性では舟形町研究で 1. 1%、BMESで 1. 2%とほ 界型、糖代謝異常正常それぞれでの網膜症の有病率を ぼ同様であった。これは舟形町研究で男性の 30%以上 報告した。糖尿病患者においては 23. 0%に網膜症がみ が喫煙していることによると思われた。 (I られ、糖代謝正常者、i mpai r edf as t i nggl ucos e FG)、 (5)Kawas akiR.etal .Body mas si ndex and vei n us i on.[ l et t er ]Opht hal mol ogy.2008I npr es s . i mpai r edgl ucos et ol er ance(I GT)においてもそれぞ occl れ 7. 7%,10. 3% and14. 6%に網膜症が認められた。糖 本論文では網膜静脈閉塞症の有病率とその危険因子に ており、非糖尿病者においても網膜症がみられ血糖値 尿病、糖尿病境界型では年齢、性別などで調整を行っ つ い て 報 告 し た。網 膜 中 心 静 脈 閉 塞 症 の 有 病 率 は たうえでも正常型に比べて有意に網膜症が多く認めら 0. 06%、網膜中心静脈分子閉塞症は 0. 47%に認められ れた。さらに糖尿病境界型を I GTと I FGとに分けて解 た。危険因子としては網膜細動脈所見である網膜細動 析すると、I GTでは有意に網膜症が多くみられるのに 、 脈口径不同(オッズ比 5. 8,95%信頼区間 1. 325. 7) 対し、I FGでは正常型における網膜症の有病率と有意 網膜細動脈血中反射亢進(オッズ比 8. 0,95%信頼区 な差は見られなかった。以上より、網膜症は糖尿病境 (オッズ比 7. 間 1. 834. 5)に加え低 BMI 9,95%信頼区 界型特に I GTにおいても有意に多く認められること 間 1. 542)が有意に関連していた。 が明らかとなった。 (3)Kawas akiR.etal .The Met abol i c Syndr ome 4 今後の展望 and Ret i nal Mi cr ovas cul ar Si gns i n a Japanes e 現在、舟形町研究の 2000年- 2002年データをさら Popul at i on:TheFunagat aSt udy.Br i t i s h Jour nalof に用いてその他の眼底疾患の有病率について(研究課 題:黄斑上膜の有病率と危険因子) 、また遺伝子解析結 Opht hal mol ogy.2008;92:161166. 本論文では網膜細動脈硬化所見、網膜血管径、網膜症 果と眼科所見(Angi ot ens i nConver t i ngEnzyme遺伝 がメタボリックシンドロームおよびその構成因子とど 子多型と網膜所見、 β3adr ener gi cr ecept or遺伝子多型 のように関連しているかを報告した。メタボリックシ と網膜所見)との関連を中心に解析を進めている。 ンドロームは I nt er nat i onalDi abet esFeder at i onの定 また、2005年- 2007年には 5年後の舟形町研究の 義で診断した。メタボリックシンドロームの個々の構 新たに導入した検診に 追跡調査が行われた。今後は 1) 成因子と網膜所見には以下のような関連が認められ 基づく眼科疾患の有病率(視力障害、屈折異常、角膜 た:肥満とびまん性静脈拡張および網膜症、高血圧と 所見、網膜疾患) 、2)眼科疾患の 5年発症率(網膜症、 網膜細動脈の局所狭細化・動静脈交叉現象・血柱反射 加齢黄斑変性、黄斑上膜)およびその危険因子の解析、 亢進・びまん性狭細、高トリグリセリド血症と血柱反 3)全身疾患の 5年発症率に関連する眼科所見(動脈 射亢進。メタボリックシンドローム自体は網膜症 (オッ 硬化所見と高血圧、肥満、糖尿病、脳卒中、虚血性心 ズ比 1. 64,95%信頼区間 :1. 022. 64)とびまん性静脈拡 疾患など)について明らかにすることを計画している。 25 2 研究概要 2-2 各事業担当者の研究概要 P28 消化器 Commondi s eas e発症にかかわる遺伝素 P38 慢性腎臓病の分子疫学研究 因に関する研究―個の健康科学をめざして Mol ecul ar epi demi ol ogi cal r es ear ch i n Ge net i c Backgr ound ofCommon Di s eas es chr oni cki dneydi s eas e oft heDi ges t i veOr gans :Towar dPer s onal i zed 今田 恒夫 山形大学医学部器官統御学講座循 Heal t hSci ence 環・呼吸・腎臓内科学分野 准教授 河田 純男 山形大学理事・副学長、消化器病 態制御内科学 P40 脳卒中検診とデータベース作成 Ce r ebr al s t r oke medi cal checkup and a P30 パーキンソン病、脳血管障害および糖尿病の分 dat abas ecr eat i on 子疫学研究 嘉山 孝正 山形大学大学院医学系研究科生命 A mol ecul ar epi demi ol ogi cal s t udy on 環境医科学専攻臨床的機能再生部門神経機能再 sdi s eas e,cer ebr ovas cul ardi s eas es Par ki ns on’ 生学講座 教授 anddi abet esmel l i t us . 加藤 丈夫 山形大学大学院生命環境医科学 専攻分子疫学部門生命情報内科学講座 教授 P42 ウイルスおよび生活習慣に起因する肝炎に関す る研究統合データベースの構築 Es t abl i s hment oft he i nt egr at ed dat abas e P32 糖尿病の分子疫学研究・教育 s ys t em concer ni ng t he r es ear ch of vi r al Popul at i onbas ed genet i c anal ys i s f or at eds t eat ohepat i t i s hepat i t i sandl i f es t yl er el det er mi ni ng t ype 2di abet es s us cept i bi l i t y 斎藤 貴史 山形大学医学部器官病態統御学講 genes 座消化器病態制御内科学分野 准教授 大門 真 山形大学大学院生命環境医科学専攻 分子疫学部門生命情報内科学講座 准教授 P44 歩行障害の病態に関する分子疫学的研究・教育 Mol ecul arbas i sofgai tdi s t ur bance:Genet i c P34 糖尿病の分子疫学研究・教育 anal ys i s of Char cot Mar i eToot h di s eas ei n Funagat aSt udy s Japanes epat i ent 富永 真琴 山形大学医学部器官統御学講座液 早坂 清 山形大学医学部発達生体防御学講座 性病態診断医学分野 教授 小児医科学分野 教授 P36 眼疾患の分子疫学的研究 P46 虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患の分子疫学 ―舟形町研究をもとに― 研究 Popul at i on bas ed genet i c anal ys i s of Mol ecul arepi demi ol ogy ofcor onar y ar t er y ocul ardi s eagent heFunagat aSt udy di s eas e and chr oni c obs t r uct i ve pul monar y 山下 英俊 山形大学医学部情報構造統御学講 di s eas e 座視覚病態学分野 教授 久保田 功 山形大学医学部器官病態統御学 講座循環・呼吸・腎臓内科学分野 教授 26 P48 中高年女性の健康に関する分子疫学研究・教育 Mol ecul ar Epi demi ol ogy f or t he P58 インターロイキン 21による免疫制御機構の解 析 Pos t menopaus alWomen' sHeal t h Anal ys i s of I mmunor egul at i on by 倉智 博久 山形大学医学部発達生体防御学講 I nt er l euki n21 座女性医学分野 教授 浅尾 裕信 山形大学医学部発達生体防御学講 座免疫学分野 教授 P50 高畠町住民を対象とした生活習慣、食習慣、運 動習慣に関する疫学調査 P60 生体機能における脂質性二次メッセンジャー代 An e pi demi ol ogi cal s ur vey of l i f es t yl e, 謝酵素の機能的役割の解析と地域特性を生かし di et ar yhabi tandexer ci s ehabi ti nTakahat a た分子疫学研究 深尾 彰 FUNCTI ONAL I MPLI CATI ONS OF THE 山形大学大学院医学系研究科生命 環境医科学専攻社会環境予防医学部門公衆衛生 DI ACYLGLYCEROLKI NASEFAMI LY 学講座 教授 後藤 薫 山形大学医学部情報構造統御学講座 組織細胞生物学分野 教授 P52 Cyt ochr omeP4502C19遺伝多型が健常人の人 格特徴に与える影響 P62 疾患の分子細胞学的病態機序の解明 I nf l uence of cyt ochr ome P4502C19 Cr i t i cal r ol ef or mi t ochondr i al oxi dat i ve pol ymor phi s m ont heper s onal i t yt r ai t s phos phor yl at i on i nt he act i vat i on oft umor 大谷 浩一 山形大学医学部発達生体防御学講 s uppr es s or sBaxandBak 座発達精神医学分野 教授 北中 千史 山形大学医学部器官機能統御学講 座腫瘍分子医科学分野 教授 P54 生活習慣病としての循環器疾患の病態解明と治 療の基礎的研究・教育 P64 「地域特性を生かした分子疫学研究」画像診断お Bas i cr es ear choncel l ul armechani s ms and よび解析 MRIを用いた脳病態の解明 t her apeut i cbas i sofcar di ovas cul ardi s eas es El uci dat i on of mechani s ms of cer ebr al 石井 邦明 山形大学医学部器官機能統御学講 di s eas esus i ngMRI 座循環薬理学分野 教授 細矢 貴亮 山形大学医学部環境病態統御学講 座映像解析制御学分野 教授 P56 活性酸素のかかわる疾患に対する抗酸化・レ ドックス系による防御機構 Ant i oxi dant / r edox s ys t em as pr ot ect i ve P66 遺伝子改変マウスを利用した病態モデルの確立 と生体内遺伝子発現解析 mechani s m agai ns t di s eas es caus ed by Es t abl i s hment of di s eas e model s and r eact i veoxygens peci es anal ys i s on i n vi vo gene expr es s i on us i ng 藤井 順逸 山形大学大学院医学系研究科生命 genemani pul at edmi ce 環境医科学専攻分子疫学部門生体分子機能学講 中島 修 山形大学遺伝子実験施設 准教授 座 教授 27 2 研究概要 消化器 Commondi sease発症にかかわる遺伝素因に関する研究 ― 個の健康科学をめざして Genet i cBackgroundofCommonDi seasesoft heDi gest i veOrgans:TowardPersonal i zedHeal t hSci ence 拠点リーダー 山形大学理事(副学長) Pr of i l e 河田 純男 Sumi oKawat a Emai l :t kat o@med. i d. yamagat au. ac. j p 昭和 49年 大阪大学医学部医学科卒業 昭和 58~ 60年 米国 DUPONT社および英国ロンドン大学留学 平成 6年 大阪大学医学部分子制御内科助教授 平成 12年 山形大学教授(医学部第二内科) 平成 19年より現職 研究概要 Research Summary 21世紀 COEプログラム「地域特性を生かした分子 Genet i c Backgr ound of Common Di seases of t he 疫学拠点」では、山形県において高畠コホート(生活 Di gest i veOr gans:Towar dPer sonal i zedHeal t hSci ence 習慣病全般)、舟形コホート(糖尿病)および川西コホー Commondi s eas esoft hedi ges t i veor gansar enow ト(肝疾患)を運営している。それぞれのコホートに under genomewi de i nves t i gat i on on t hei r おいて消化器 c ommondi s eas e発症にかかわる遺伝子 opment .Ourpur pos ei st o pat hogenes i sand devel 解析が進行中である。 es t abl i s hper s onal i zedheal t hs ci encet ocont r oland 高畠コホートでは肝機能異常(ALT値上昇)が飲酒、 pr he di ges t i ve or gans eventcommon di s eas es oft メタボリックシンドロームあるいはウイルス肝炎(B, i ncl udi ng cancer s and l i ver di s eas e. We C型)いずれが最も係わっているかを検討したが、統 o accumul at ed cl i ni caldat a and SNP i nf or mat i on t 計学的には飲酒、ウイルス肝炎の寄与はなく、メタボ cons t r uct dat abas e f or per s onal i zed medi ci ne リックシンドロームが関与していることが明らかに t hr ough popul at i onbas ed cohor t s t udi es i n なった。また、住民におけるアディポネクチンの男女 i ng t hes ef i ve year s .Our Yamagat a Pr ef ect ur e dur 差、年齢分布を検討し、飲酒により男女ともにアディ f i nalgoali st omanageeachper s onheal t hbas edon ポネクチンが軽度ではあるが減少することを確認した。 hi ound and f ur t hert or es ear ch s / hergenet i cbackgr 現在、アディポネクチン SNPとの関連を検討中である。 and de vel op dr ugs f r om ourf i ndi ngs ofgenome 膵がんと肥満および糖尿病との関連が注目されてい t sby col l abor at i ons wi deSNP anal ys i si nt hecohor るが、高畠コホートにおいて、希望者約 500人に糖負 wi t hi nves t i gat or si n ot heracademi candi ndus t r i al 荷試験と腹部超音波検査を施行した。超音波検査にお i ns t i t ut es . いて、約半数にいわゆる whi t epancr easを認め、脂肪 膵の存在が示唆された。とくに注目されるのは、whi t e pancr eas群で正常群に比較して、有意に BMIが大きく、 血清 adi ponect i n値が低く、かつインスリン抵抗性の 指標である、HOMAI R値が高く、whi t epancr eas群 ではメタボリックシンドロームが多いことが明らかに なった。 28 研究組織:山形大学医学部器官病態統御学講座 消化器病態制御内科学分野 主任教授:河田 純男(教授)kawat a@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究分担者: 冨樫 整(教授)ht 武田 弘明(准教授)ht ogas hi @med. i d. yamagat au. ac. j p akeda@med. i d. yamagat au. ac. j p 斉藤 孝治(講師)kos 牧野 直彦(講師)nmaki ai t o@med. i d. yamagat au. ac. j p no@med. i d. yamagat au. ac. j p 渡辺 久剛(助教)h伊藤 純一(助教)j wat anabe@med. i d. yamagat au. ac. j p xi 9@med. i d. yamagat au. ac. j p 奥本 和夫(助教)okumot 白幡名香雄(助教)s o@med. i d. yamagat au. ac. j p hi r ahat @med. i d. yamagat au. ac. j p 戸沢 智浩(助教)t 西瀬 雄子(医員)yni t ozawa@med. i d. yamagat au. ac. j p s hi s egi @umi n. ac. j p 石井 里佳(医員)r i kai @med. i d. yamagat au. ac. j p 研究協力者: 村松 正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所 教授)mur amat s u. epi @mr i . t md. ac. j p 江見 充(ヒュービットジェノミクス研究所 教授)me mi @a. t os hi ma. ne. j p 児矢野 聡(ヒュービットジェノミクス研究所)s koyano@hubi t genomi x. com 鳥山紗由美(ヒュービットジェノミクス研究所)s t or i yama@hubi t genomi x. com 新澤 陽英(県立日本海病院 院長)s hi nzawa@ni honkai . gr . j p さらに、平成 16年度から開始した高畠コホート(3308 人)において、胃がん、大腸がん、膵がんおよび肝細 胞がん発症を追跡中であり、解析に十分な症例が蓄積 された際に、それぞれのがんにおいて SNP解析データ との照合を行い、発症にかかわる遺伝子の検索・同定 を行う。 川西コホートでは、40歳以上の住民において C型肝 炎ウイルス(HCV)抗体陽性が 40%を超える地域が あり、この地域で 1040人の協力を得て SNP解析を 行っている。 このうち、HCV抗体陽性でかつ HCV RNA陽性であ る持続感染群と抗体陽性であるが RNA陰性の既感染 群において、免疫関連遺伝子 SNPを中心に比較検討し た。このことにより、HCVに対する感染防御遺伝子候 補を検出できると考えている。現在までのところ、10 数個の候補遺伝子に絞り込み、機能解析を行っており、 感染防御機構の解明と創薬につながることを目指して いる。 Major Publications 1. Wat anabeH,Sai t o T,Kawat aS,etal .Spont aneousel i mi nat i on ofs er um hepat i t i sC vi r usRNA i nc hr oni cHCV c ar r i er :a popul at i onbas edc ohor ts t udy . JMedVi r ol2003;71: 5661. 2. Ogat aS,Fl or es eRH,Kawat aS,etal .I dent i f i c at i on ofhepat i t i sC vi r uss ubt y pe1b s t r ai nst hatar ehi ghl y ,oronl yweak l y , as s oc i at ed wi t h hepat oc el l ul arc ar c i nomaon t hebas i sofs ec ondar ys t r uc t ur eofan ami not er mi nalpr ot ei n oft heHCVNS3 pr ot ei n. JCl i nMi c r obi ol2003;41: 283541. 3. Sai t oT,J i nG,Kawat aS,etal .Genet i cvar i at i onsi nhumansas s oc i at edwi t hdi f f er enc esi nt hec our s eofhepat i t i sC.Bi oc hem Bi ophy sResCommun2004;30: 33541. 4. Ot ak eS,Tak edaH,Kawat aS,etal .As s oc i at i onofvi s c er alf atac c umul at i onandpl as maadi ponec t i nwi t hc ol or ec t aladenoma: evi denc ef orpar t i c i pat i onofi ns ul i nr es i s t anc e. Cl i nCanc erRes2005;11: 36426. 5. Ki mur aT,Sai t o T,Kawat aS,etal .As s oc i at i on oft r ans f or mi ng gr owt hf ac t or bet a1f unc t i onalpol y mor phi s mswi t h nat ur al c l ear anc eofhepat i t i sCvi r us . JI nf ec tDi s2006;193: 13714. 6. Ni s hi s eY,Sai t oT,Kawat aS,etal .r i s kofhepat oc el l ul arc ar c i nomaands ec ondar ys t r uc t ur eofhepat i t i sCvi r usNS3pr ot ei n ami not er mi nusi npat i ent si nf ec t edwi t hHCVs ubt y pe1b. JI nf ec tDi s2007;196: 10069 29 2 研究概要 パーキンソン病、脳血管障害および糖尿病の分子疫学研究 A mol ecul ar epi demi ol ogi cals t udy on Par ki ns on’ s di s eas e,cer ebr ovas cul ar di s eas es and di abet esmel l i t us . 拠点サブリーダー 山形大学大学院生命環境医科学専攻 分子疫学部門生命情報内科学講座 加藤 丈夫 教授 TakeoKat o Emai l : t kat o@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 私達の研究チームでは、パーキンソン病、脳血管障 Pr of i l e 昭和 54年 山形大学医学部医学科卒業 昭和 59~ 61年 Mont ef i or eMedi c alCent er( New Yor k ) 神経病理学部門 Res ear c hFel l ow 平成 4年 AL SAs s oc i at i on( SanFr anc i s c o)客員研究員 平成 9年 山形大学教授(医学部第三内科) 平成 16年より現職 Research Summary Par ’ ki ns on sdi s eas e( PD)i sacommonneur odegener at i ve di s or der , char act er i zed by s el ect i ve degener at i on of onsi nt hes ubs t ant i ani gr a.Al t hought he dopami neneur キンソン病は山形県の全域で、糖尿病は山形県舟形町 pat hogenes i s of PD r emai ns undet er mi ned, αS)and i s ynucl ei n( t sol i gomer phor yl at i on ofαおよび高畠町住民を対象に、脳血管障害は舟形町、高 phos f or mat i ons eem t opl ayakeyr ol e.However ,t hepr ot ei n 畠町および寒河江市の住民を対象に分子疫学研究を行 ki yl at i on i n t he nas e( s )i nvol ved i n t he phos phor hogenes i sofPD hasnotbeen i dent i f i ed.Her e we なってきた。これらの分子疫学研究の特徴は、①対象 pat nas e5( GRK5) f ound t hatG pr ot ei ncoupl ed r ecept orki 住民の遺伝的多様性がきわめて小さいこと、②追跡調 accumul at edi n Lewy bodi es ,andcol ocal i zedwi t hαS 査をほぼ完璧に実施可能なこと、③臨床データの精度 i nt hepat hol ogi cals t r uct ur esoft hebr ai nsofPD.I ncoα r 1 2 9 o f Sat t r a n s f e c t e d c e l l s , G R K5 p h o s p h o r y l a t e d S e がきわめて高いこと、④コホート集団の規模が大きい t he pl as ma membr ane and i nduced t r ans l ocat i on of こと、⑤遺伝子解析の同意率が高いこと(80%以上) phos o t he per i kar yal ar ea. GRK5phor yl at ed αS t al yzed phos phor yl at i on al s o pr omot ed t hef or mat i on 等である。そして、この 3疾患についていくつかの新 cat egat esofαS.Subs equent ofs ol ubl eol i gomer sandaggr 知見を見出し学術誌に報告した。このうちパーキンソ genet i cas s oci at i ons t udyr eveal edhapl ot ypi cas s oci at i on bi l i t yofs PD.Theal l el es heGRK5genewi t hs us cept i ン病については、私達の研究成果を基盤にして「創薬 oft att woi nt r oni cSNPsont heat r i s khapl ot ypei ncr eas ed に向けて大手製薬企業と共同研究」を行っている。以 t vi t yi nvi t r o,s ugges t i ngani ncr eas eof r ans cr i pt i onalact i 下にパーキンソン病の研究成果の現状を述べる(糖尿 GRK5expr es s i oni nPD.Ther es ul t ss t r ongl ys ugges tt hat phor yl at i on ofαS by GRK5pl aysacr uci alr ol ei n 病については 32~ 33ページ、脳血管障害については phos t hepat hogenes i sofPD.Thepr es ents t udymaypr ovi de 13~ 15ページを参照)。 her apeut i cs t r at egi esf orPD. ani ns i ghtf ornovelt 害および糖尿病の分子疫学研究を行なっている。パー 煙パーキンソン病 パーキンソン病 ( PD)の有病率は人口 10万人当たり 100~ 120人であり、神経変性疾患の中ではアルツハイ マー病に次いで多い疾患である。今後、人口の高齢化に伴い、PDの有病率はさらに上昇するものと思われる。 PDの治療として、現在、薬物療法や定位脳手術等が行われているが、これらの治療法は全て対症療法である。 したがって、病気の進行を抑制することはできず、多くの患者は発症後 10~ 15年で臥床状態に陥り、肺炎な どの感染症を併発し死亡する。したがって、PDの根本的治療法の確立、つまり、黒質のドパミン神経細胞死の 分子病態を解明し、細胞死を抑制できる治療法の開発が切望されている。 PDは、病理学的には中脳黒質の「ドパミン神経細胞の脱落」と「Lewy小体の出現」を特徴としている。Lewy 小体は、PDの病変部位に出現する病的な細胞質内封入体である。この Le wy小体の主成分は「リン酸化された αs ynucl ei n」で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る。I nvi t r oで αs ynucl ei nを リ ン 酸 化 す る 酵 素 と し て、cas ei n 、CK2、Gpr 、GRK5が知られている。そこで私達は、 CK1) ot ei ncoupl edr ecept orki nas e2( GRK2) ki nas e1( これらのキナーゼに対する抗体を用いて Le wy小体を免疫染色したところ、抗 GRK5抗体により Lewy小体は 強く免疫染色され、αs ynucl ei nと共存した(図1)。 図1.孤発性パーキンソン病患者の黒質ドパミン神経細胞に認められた Le wy小体 μm Lewy小体の主成分はαs ynucl ei n(赤)であり、そこに GRK5(緑)も共存していた(黄)。Bar =20 30 研究代表者:加藤丈夫(山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座) 研究分担者:大門 眞(山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座) 栗田啓司(山形大学医学部 附属病院第三内科) 川並 透(同上)、田嶋克史(同上) 荒若茂樹(山形大学医学部 器官病態統御学講座 生命情報内科学分野)、 和田 学(同上)、山口 宏(同上)、大泉俊英(同上)、諏佐真治(同上)、加藤裕一(同上) この結果を分子疫学的に検討するため、私達は山形県内に在住の「PD患者 286例」と「健常高齢者 496例」を 対象に遺伝統計学的解析を行った。その結果、GRK5遺伝子の i nt r on1~ 2に存在する 3つの SNPsm22m23ot ypeが GAC( m22m23m24)の時、PD発症のリスクは有意に高くなった(オッズ比 m24が構成する hapl 1. 91;p=0. 0002)。さらに機能解析を行い、以下の結果を得た。 1)リスク hapl ot ype上に機能 SNPm24を発見し、m24( C/ T)のアレルがCの時、CREB1と強く結合し、 レポーター遺伝子(l uci f er as e遺伝子)の転写を亢進した。 2)GRK5とαs ynucl ei nを共発現した培養細胞およびヒト脳組織で、GRK5はαs ynucl ei nと緩く結合して いた。 3)GRK5はαs ynucl ei nの Ser 129をリン酸化した。 4)GRK5はαs ynucl ei nの重合体形成や aggr egat i onを促進した。 )では、α5)GRK5cDNAとαs ynucl ei ncDNAを導入した線虫(C.el egans s ynucl ei nがリン酸化され、 神経細胞の機能が障害された。 以上の結果より、私達は孤発性 PDの新しい病態メカニズムを提唱した。つまり、「GRK5遺伝子に at r i s k ynucl ei nのリン酸化が亢進し、αs ynucl ei n hapl ot ypeが存在すると GRK5の発現が亢進し、その結果、α‐s の重合体形成や aggr egat i onが促進され、やがては細胞死に至り孤発性 PDが発症する」との仮説である。した がって、GRK5によるαs ynucl ei nのリン酸化を阻止できる安全な低分子物質を開発できれば、この病的代謝過 程の初期段階をブロックでき、ドパミン神経細胞死、つまり、病気の進行を抑制できる新たな治療薬の開発が可 能と考えられる(図2)。 図2.パーキンソン病の治療ターゲット GRK5によるαs ynucl ei nのリン酸化を阻害できる安全な低分子物質は、黒質ドパミン 神経細胞死を抑制し、パーキンソン病の進行を抑制できる可能性がある。 Major Publications 1. Nagas awaH,WadaM,Ar awak aS,KawanamiT,Kur i t aK,Dai monM,Adac hiM,Hos oy aT,EmiM,Mur amat s uM,Kat oT:A pol y mor phi s m oft he al dehy de dehy dr ogenas e 2gene i sa r i s kf ac t orf ormul t i pl el ac unari nf ar c t si nJ apanes e men:t he Tak ahat as t udy . Eur opeanJ our nalofNeur ol ogy2007;14: 428434. 2. WadaM,Nagas awaH,Kur i t aK,Koy amaS,Ar awak aS,KawanamiT,Taj i maK,Dai monM,Kat oT:Mi c r oal bumi nur i ai sar i s k f ac t orf orc er ebr als mal lves s eldi s eas ei nc ommuni t y bas edel der l ys ubj ec t s . JNeur olSc i2007;255: 2734. 3. Ar awak aS,WadaM,Got o S,Kar ubeH,Sak amot o M,Ren CH,Koy amaS,Nagas awaH,Ki mur aK,KawanamiT,Kur i t aK, Taj i maK,Dai monM,BabaM,Ki doT,Sai noS,Got oK,As aoH,Ki t anak aC,Tak as hi t aE,HongoS,Nak amur aT,Kay amaT,Suz uk i Y,Kobay as hiK,Kat agi r iT,Kur ok awaK,Kur i mur aM,Toy os hi maI ,Ts uc hi y aK,I wat s uboT,Mur amat s uM,Mat s umi neH,Kat oT: Ther ol eofGpr ot ei nc oupl edr ec ept ork i nas e5i npat hogenes i sofs por adi cPar k i ns on’ sdi s eas e. JNeur os c i2006;26: 92279238. 4. Dai monM,J iG,Oi z umiT,Ki doT,BabaM,J i mbuY,KamedaW,Sus aS,Yamaguc hiH,OhnumaH,Mur amat s uM,Kat oT: As s oc i at i onofnephr i ngenepol y mor phi s mswi t ht y pe2di abet esi naJ apanes epopul at i on. Di abet esCar e2006;29: 11171119 5. Kameda W,KawanamiT,Kur i t a K,Dai mon M,Kay ama T,Hos oy a T,Kat o T:L at er aland medi almedul l ar yi nf ar c t i on a c ompar at i veanal y s i sof214pat i ent s . St r ok e2004;35: 694699 6. Dai monM,J iG,Sai t ohT,Oi z umiT,Tomi nagaM,Nak amur aT,I s hi iK,Mat s uur aT,I nagedaK,Mat s umi neH,Ki doT,Ht ayL , Kamat aniN,Mur amat s u M,Kat o T:L ar ges c al es ear c h ofSNPsf ort y pe2DM s us c ept i bi l i t ygenesi n aJ apanes epopul at i on. Bi oc hem Bi ophy sResCommun2003;302: 751758. 31 2 研究概要 糖尿病の分子疫学研究・教育 Popul at i onbas edgenet i canal ys i sf ordet er mi ni ngt ype2di abet ess us cept i bi l i t ygenes Pr of i l e 山形大学大学院生命環境医科学専攻 分子疫学部門生命情報内科学講座 大門 真 准教授 Makot oDai mon Emai l : mdai mon@med. i d. yamagat au. ac. j p 昭和 32年 富山県井波町生まれ 昭和 61年 山形大学大学院医学研究科修了 昭 和 61年 ~ 昭 和 63年 ア メ リ カ、ク リ ー ブ ラ ン ド の Cas e Wes t er nRes er veUni ver s i t yにて研究 昭和 63年 山形大学医学部第三内科 (現生命情報内科学)所属。 平成 14年 同助教授 平成 19年より同准教授。 研究概要 2型糖尿病の病因にはカロリー及び脂質の摂取過多、 Research Summary Type2di abet es( DM)i sahet er ogeneousdi s or der 肥満及び運動不足等の環境因子(生活習慣因子)の他 ofgl ucos emet abol i s m char act er i zedbybot hi ns ul i n に遺伝因子も関与している。遺伝形式の研究から病因 r es i s t ance and pancr eat i c βcel ldys f unct i on.The 遺伝因子は多岐にわたる(多因子遺伝)ことが分かっ f ami l i al cl us t er i ng of DM ている。私達は、この多岐にわたる遺伝因子の幾つか cor r es pondence bet ween genet i cadmi xt ur er at es を見つけることを目的として、2004年より、山形県高 畠町の住民検診に共同参画している。2005年度終了時 で、DNA解析同意者が 2, 930名おり、これらを対象に 関連解析を行っている。 こ れ ま で に、ABCA1、Ne phr i n、及 び、PI K3C2G 遺伝子と糖尿病との関連を、世界で始めて報告した。 and t he cl os e and di s eas e pr eval ence i n hybr i d popul at i ons s ugges tamaj orr ol ef orgenet i cs us cept i bi l i t yi nt he pat hogenes i sofDM.Genomewi de s t udi esby t he us eofmi cr os at el l i t emar ker sand s i bpai ranal ys es i dent i f i ed DMs us cept i bl el ocii n var i ous genomi c r egi ons f r om di f f er ent popul at i ons .However ,t he s us cept i bi l i t i esoft hel ocis eemed t o bes peci f i ci n また、TNFα遺伝子と糖尿病との関連については、 t he s t udy popul at i on,and t husf ar ,t he cal pai n10 種々の報告があり、結論が出されていないのが現状で ge nef r om t heNI DDM1l ocusi st heonl y onet hat あるが、本遺伝子のこれまでに注目されてこなかった has been i dent i f i ed f r om 多型が、実は機能性多型で、糖尿病と関連している事 Ther ef or e,wenow t akecandi dat egeneappr oaches を新たに認めた(図1、投稿中)。現在、他の数種類の us i ng genes i n DMr el at ed pat hways t oi dent i f y 遺伝子で、関連解析、及び、その機能の解析を進めて pol ymor phi s ms t hat r ender i ncr eas ed r i s k oft he いる。なお、本研究にて、大学院生2人を指導。1人 di s eas e. は医科学修士取得後、研究分野に就職。他の1人は医 学博士過程大学院生で研究中。 t hes e appr oaches . Us i ng a popul at i onbas ed s ampl e of Takahat a s t udy oft heCOE pr oj ect sofYamagat aUni ver s i t y, s of ar ,wehaver epor t edt hr eenovelgenes( ABCA1, Nephr i n,PI K3C2G)as genes s us cept i bl ef or DM. Fur t her mor e,we have f ound a novel f unct i onal α pol ymor phi s m of t he Tumor Necr os i s Fact or - genet hati sas s oci at edwi t hdi abet es .Wenow i nt he mi ddl eofpr omot i ng t hi spr oj ectwi t hs ever almor e candi dat egenesf orext endedanal ys es .Wear eal s o f ol l owi ngt heheal t hcondi t i onoft hepar t i ci pant st o expand our pr oj ect f or cohor t anal ys i s . Thes e f i ndi ngsappear edt ol eadt ot hecl ar i f i cat i on oft he pat hophys i ol ogyofDM. 32 研究代表者:山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座 研究代表者:加藤丈夫(教 授) 研究分担者:大門 真(准教授) 大沼 寛(講 師) 山口 宏(助 教) 大泉俊英(同 上) A B C 図 1:TNFαI VS1G123A多型の機能解析。 A:ゲルシフトアッセイ .Aアレルに特異的に結合する核内蛋白が存在する(レーン 5, 6)。 B:A アレルへの特異的結合は転写因子 YY1の特異的塩基配列(プローブ、cYY1)にて阻害されるが(レーン 3)、変 異プローブでは阻害されない(レーン4)。また、YY1抗体にてシフト バンドのスパーシフトが認められた。 (1個)、3X (3個順番に並べた)はレポーターベクターに挿入したプロモー C:プロモーター レポーター アッセイ .1X ター断片の数。Aアレルの方が Gアレルより転写活性にあたえる影響が大きかった。 Major Publications 1. M.Dai mon,H.Sat o,T.Oi z umi ,etal .As s oc i at i on oft he PI K3C2G gene pol y mor phi s mswi t ht y pe 2DM i n aJ apanes e Popul at i on.Bi oc hem Bi ophy sResCommun. 365: 466471,2008 2. M.Dai mon,G.J i ,T.Oi z umi ,etal .As s oc i at i onofnephr i ngenepol y mor phi s mswi t ht y pe2di abet esi naJ apanes epopul at i on: TheFunagat as t udy .Di abet esCar e29: 11171119,2006. 3. M.Dai mon,T.Ki do,M.Baba,etal .As s oc i at i onoft heABCA1genepol y mor phi s mswi t ht y pe2DM i naJ apanes epopul at i on. Bi oc hem Bi ophy sResCommun. 329: 205210,2005 33 2 研究概要 糖尿病の分子疫学研究・教育 Funagat aSt udy 山形大医学部器官統御学講座 液性病態診断医学分野 富永 真琴 教授 Makot oTomi naga Emai l : mt omi naga@med. i d. yamagat au. ac. j p Pr of i l e 昭和 23年 新潟県新発田市生まれ 昭和 48年 新潟大学医学部卒業 昭和 51年 山形大学医学部第三内科助手 昭和 59年~ 61年 テキサス大学留学 平成 8年 山形大学医学部臨床検査医学講座教 研究概要 Research Summary )Funagat ( l aSt udyl Funagat aSt udy1 ライフスタイルの変化に伴い糖尿病が増加している Thes t udyt odet er mi net hepr eval enceofdi abet es が、Popul at i on- bas edで糖尿病の有病率を正確に調 mel l i t us was car r i ed out as obj ect s of al lt he 査した報告はあまりない。山形県舟形町では 1990- e, i n Funagat a,Japan, r es i denceaged40andmor 92年に、40歳以上の全住民を対象に 75gOGTTを一 i n 19901992. The r es ul t s s howed t hat t he 次検査とする糖尿病の有病率調査を行った。 pr eval ence of di abet esmel l i t uswasabout10%, その結果、糖尿病は約 10%で耐糖能障害(I GT)は andt hati tofi mpai r edgl ucos et ol er ance( I GT)was 約 15%であった。これをもとに推定した日本全国の糖 abet es about 15%,f r om t hi sdat a,t henumberofdi 尿病患者数は約 600万人と見積もられた。当時の患者 mel l i t uswases t i mat ed t o be 6. 0mi l l i on i n whol e 調査とあまりにかけ離れ、信憑性が疑われたこともあ Japan.Thi ss t udy pus hed f or war dt he Nat i onal るが、その後に行われた厚生省の糖尿病実態調査で「糖 abet esmel l i t usi nJapan. Sur veyofdi 尿 病 が 強 く 疑 わ れ る 人」が 690万 人 と 推 定 さ れ、 Funagat aSt udyの先見性が評価された。 ( 2)Funagat aSt udy2 Funagat aSt udy2 1990- 92年の検診の受診者を対象にコホート集団 A c ohor ts t udy, cons i s t ed oft hepar t i ci pant sof に設定し、正常耐糖能、耐糖能障害、糖尿病の 3群に t he pr eval ence s t udy i n 19901992, i n Funagat a, 分け、死亡診断書を閲覧し、耐糖能障害のレベルから、 s hatt heI GT hasa r i s kf orcar di ovas cul ar howed t 心血管疾患(心疾患、脳卒中)が多いことを明らかに di s eas es ,butnoti mpai r edf as t i nggl ucos e( I FG) . した。 (3)Funagat aSt udy3 34 Funagat aSt udy3 1995- 1997年の検診受診者のアデイポネクチンを Thef ol l owups t udy oft hepar t i ci pant sof 1995- 測定し、2000- 2002年の検診で、アデイポネクチン 1997s ur vey i n Funagat a demons t r at ed t hs ta r i s k が低いことが糖尿病発症の危険因子であることを明ら odevel opdi abet esmel l i t uswasl ow l evel sof f act ort かにした。 adi ponect i n. 研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野 研究代表者:富永 真琴(山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野 教授) 研究分担者:五十嵐雅彦(山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野 准教授) 大門 眞(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻分子疫学部門生命情報内科学 准教授) 山口 宏(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻分子疫学部門生命情報内科学 助教) 大泉 俊英(山形大学医学部附属病院第三内科 助教) Major Publications 1) I gar as hiM,J i mbu Y,Hi r at aA,Tomi nagaM:Char ac t er i z at i on ofpl as mabr ai n nat r i ur et i cpept i de l eveli n pat i ent swi t h Ty pe2di abet es . Endoc r i neJ our nal 2005;52:353362 2) KamedaW,Dai monM,Oi z umiT,J i mbuY,Ki mur aM,Hi r at aA,Yamaguc hiH,OhnumaH,I gar as hiM, Tomi nagaM,Kat oT: As s oc i at i onofdec r eas ei ns er um dehy dr oepi andr os t er ones ul f at el evel swi t ht hepr ogr es s i ont ot y pe2di abet esi nmenofa J apanes epopul at i on. TheFungat aSt udy . Met abol i s m2005;54:669676 3) Dai monM,Ki doT,BabaM,Oi z umiT,J i mbuY,KamedaW,Yamaguc hiH,OhnumaH,Tomi nagaM,Mur amat s uM,Kat oT: As s oc i at i on of t he ABCA1gene pol y mophi s ms wi t h t y pe2DM i n a J apanes e popul at i on.Bi oc hem Bi ophy s Res Comm2005;Vol . 329:205210 4) Ar ak awaN, Dai monM, Oi z umiT, J i mbuY, KamedaW, Yamaguc hiH, OhnumaH, Tomi nagaM, Kat oT:Cor r el at i onbet weenc hange i n bodywei ghtr at hert han c ur r entbodywei ghtand c hange i ns er um adi ponec t i nl evel si n aJ apanes e popul at i on t he Funagat as t udy. Met abol i s m 2006;55:324330 5) Or i s ak aM, Nak aiK, Tomi nagaM, SuwabeA:Ri s kf ac t or sf ordevel opmentofpr edi abet i cs t at ef r om nor molgl uc os er egul at i on . Tohok uJEx pMed2006;210:279- 283 6) I gar as hiM, Hi r at a A, Kadomot o Y, Tomi naga M, ;Dealbl oc k ade ofenal apr i land l os ar t an r educ espr ot ei nur i a byi t sant i i nf l ammat or yef f ec ti nhy per t ens i vepat i ent swi t ht y pe2di abet esEndoc r i neJ2006; 53: 493501 7) Tak abat ak e N, Shi bat a Y, Abe S, Wada T, Mac hi y aJ , I agar as hiA, Tok ai r i n Y, J i n G, Sat o H, Sat a M,Tak ei s hiY, EmiM, Mur amat s u M, Kubot aI , As i ngl e nuc l eot i de pol y mor phi s m i nt he CCL 1gene pr edi c t s ac ut e ex ac er bat i ons i nc hr oni c obs t r uc t i ven pul monar ydi s eas e. Am JRes pi rCr i tCar eMed. 2006;15:174( 8) 87585 35 2 研究概要 眼疾患の分子疫学的研究 ― 舟形町研究をもとに ― Popul at i onbas edgenet i canal ys i sofocul ardi s eagent heFunagat aSt udy 山形大学医学部情報構造統御学講座 視覚病態学分野 山下 英俊 教授 Hi det oshiYamshi t a Emai l :hyamat ky@umi n. ac. j p 研究概要 Pr of i l e 昭和 56年 昭和 56~ 59年 昭和 60~ 61年 昭和 62~平成 11年 平成 11年~ 東京大学医学部医学科卒業 東京大学医学部附属病院 自衛隊中央病院 東京大学医学部附属病院 山形大学医学部 Research Summary 1)Pr eval enceofr et i nopat hy among di abet esand nondi abet es . Re cents t udi eshave s hown t hatr et i nopat hy l es i ons ar e wi del yf ound i n nondi abet i c popul at i on bas ed on s t andar di zed f undus phot ogr aph gr adi ng. We have exami ned pr eval ence of r et i nopat hy by gl ucos e met abol i s m s t at us . The pr eval ence of r et i nopat hy among per s ons wi t h di abet es was 23. 0%. The pr eval enceofr et i nopat hy f ornor malgl ucos e,i mpai r ed f as t i ng gl ucos e( I FG)and i mpai r ed gl ucos et ol er ance ( I GT)was7. 7%,10. 3% and 14. 6%,r es pect i vel y.Af t er ○シドニー大学、メルボルン大学との共同研究 adj us t i ng f orage,gender ,hyper t ens i on,s moki ng s t at us 山形大学情報構造統御学視覚病態学分野では、2000年の andbody mas si ndex,I GT wass i gni f i cant l y as s oci at ed 舟 形 町 眼 科 検 診 開 始 時 よ り、シ ド ニ ー 大 学 Ce t hr et i nopat hy ( oddsr at i o( OR)1. 63,95% conf i dence nt r ef or wi nt er val : 1. 072. 49) , but I FG was not s i gni Vi s i onRes ear chと国際共同研究を行なっている。シドニー i f i cant l y 大学は、眼科領域において世界的に有名な疫学研究である as s oci at ed ( OR 1. 23, 95%CI : 0. 423. 58) . Our r es ul t uppor t sacont i nuousef f ectof2hourpos t l oadgl Bl ueMount ai nsEyeSt udyの主要な施設である。本検診で s ucos e 撮影された眼底写真は Bl di abet i c i ndi vi dual s , s howi ng t hat ueMount ai nsEyeSt udyと同様 among nonに、専門の判定員により国際的に標準化された方法によっ mi cr ovas cul ardamage may occuratl evel sbel ow t he て判定を受けている。現在はさらにメルボルン大学 Ce r nt r e cur entdi abet esdi agnos t i ccr i t er i on,andpr ovi def ur t her f orEyeRes ear chAus t r al i aとも眼科疫学研究の解析手法 s uppor tt hat2hourpos t l oad gl ucos ei sa mor eus ef ul の標準化などを中心に共同研究を行っている。 pr edi ct orofdi abet i c mi cr ovas cul arcompl i cat i onst han f as t i nggl ucos e. ○舟形町眼科検診とは 山形大学情報構造統御学視覚病態学分野では、2000年よ り山形県舟形町と共同で 35歳以上の全住民を対象とした 眼科検診を開始した。2005年からの検診では検診項目を大 幅に増やし、受診者全員に視力検査(裸眼および矯正視力)、 眼圧検査、他覚的屈折測定、角膜曲率半径測定、両眼の眼 底写真撮影を開始、2007年より角膜内皮測定検査を検診の 項目に加えた。本検診は 3年間で舟形町全ての地区(舟形、 堀内、長沢)に対して検診を行っており、2000~ 2002年 1786名、2005~ 2007年 1448名の受診を得られている。 ○研究概要 本検診の受診者を対象に行った主な研究の概要を以下に 記載した。 1)糖尿病患者および非糖尿病患者における網膜症の有病率 糖尿病患者に網膜症が見られることは広く知られている が、眼底写真を用いた詳細な眼底検査を行うと非糖尿病患 者においても網膜症病変が認められることが報告されてい る。そこで舟形町研究の対象者で糖尿病患者(n= 165)、 糖 代 謝 正 常 者(n= 1012)、i mpai r edf as t i nggl ucos e( I FG) (n= (n= 204)、i mpai r edgl ucos et ol er ance( I GT) 267)それ ぞれの網膜症の有病率を求めた。糖尿病患者においては 23. 0%に網膜症がみられた。糖代謝正常者、I FG、I GTにお いてもそれぞれ 7. 7%、10. 3% and14. 6%に網膜症が認められ た。年齢、性別、高血圧、喫煙習慣、bodymas si ndexで調 整したうえで、I GTでは糖代謝正常者に比べて有意に網膜症 が多くみられた(オッズ比 1. 63,95%信頼区間 1. 072. 49)。 一方で I FGでは糖代謝正常者に比べて有意に網膜症が多 く見られることはなかった (オッズ比 1. 23,95%信頼区間 。これらの結果は細小血管障害である網膜症が 0. 423. 58) 現在の糖尿病判定の基準値以下においても認められること、 また、負荷後 2時間血糖値が空腹時血糖値よりも有意に網 膜症に関連していることを示していると考えられる。 36 2)TheMet abol i cSyndr omeAnd Ret i nalMi cr ovas cul ar Si gns Theme t abol i cs yndr omei sas s oci at edwi t hahi ghr i s k ofcar di ovas cul ardi s eas e.Ther ei si ncr eas i ng evi dence t hatmet abol i c abnor mal i t i es may al s oi mpacton t he mi cr ovas cul at ur es uch asr et i nalvas cul at ur e.We have r epor t ed t hati ndi vi dualcomponent s oft he met abol i c s yndr ome ar e as s oci at ed wi t hr et i nal mi cr ovas cul ar changes( Kawas akietal .Opht hal mol ogy 2006) .I nt he cur r ent s t udy,we exami ned t he as s oci at i ons of t he met abol i cs yndr omewi t hr et i nalmi cr ovas cul ars i gnsi n t he Funagat a St udy. The met abol i cs yndr ome was di agnos edus i ngdef i ni t i onsoft heI nt er nat i onalDi abet es Feder at i on. Var i ous component s of t he met abol i c s yndr ome wer e as s oci at ed wi t hr et i nalmi cr ovas cul ar s i gns :l ar gerwai s tci r cumf er ence wasas s oci at ed wi t h wi dervenul ardi amet erand r et i nopat hy l es i ons ;hi gher bl oodpr es s ur el evelwasas s oci at edwi t hf ocalar t er i ol ar nar r owi ng,ar t er i ovenous ni cki ng,enhanced ar t er i ol ar wal lr ef l exandnar r owerar t er i ol ardi amet er ;andhi gher t r i gl ycer i de l evel was as s oci at ed wi t h enhanced 研究代表者:山下 英俊 研究分担者:川崎 良、菅野 誠、上領 勝、眞神尾聡美、佐藤 浩章、佐藤さくら、今野 伸弥、土谷大仁朗 望月 典子、永沢 倫、田辺 祐資、田邊 智子、中野早紀子、羽根田思音、難波 広幸、桐井枝里子 2)メタボリックシンドロームと網膜所見の関連 メタボリックシンドロームは主に大血管の障害との関連 を元に定義されているが、最近の研究から細小血管障害と の関連も明らかにされている。我々は過去にメタボリック シンドロームの構成要素である高血圧や肥満などが網膜細 動脈硬化所見および網膜症と関連していることを報告した (Kawas akietal .Opht hal mol ogy2006)。そこで今回はメ タボリックシンドロームを有することが網膜所見と関連す るか、さらにその際に個々の構成要素間で相乗効果が見ら れるか舟形町研究の対象者(n= 1638)で検討した。メタボ リックシンドロームは I nt er nat i onalDi abet esFeder at i on の定義で診断した。網膜症およびその他の網膜細動脈硬化 所見は眼底写真を元に判定した。メタボリックシンドロー ムの個々の構成要素と網膜所見には、肥満とびまん性静脈 拡張および網膜症、高血圧と網膜細動脈の局所狭細化・動 静脈交叉現象・血柱反射亢進・びまん性狭細、高トリグリ セリド血症と血柱反射亢進などの関連があった。メタボ リックシンドローム自体は網膜症(オッズ比 1. 64,95%信 頼区間 :1. μm,95%信 022. 64)とびまん性静脈拡張(+4. 69 μm)に関連していた。これらの結果か 頼区間 :1. 20-8. 19 ら、メタボリックシンドロームは網膜所見と関連している ものの、個々のメタボリックシンドローム構成要素による 相乗効果は認められなかった。 斑症と ACE遺伝子多型 Dal l el eとの間には関連は認めら れなかった。 ○これからの展望 2000~ 2002年と比較し、2005~ 2007年における検診 では、より充実した臨床データが得られた。今後もさらに 追跡調査を続けていき、より精度の高い解析を行っていく 予定である。 ar t er i ol ar wal lr ef l ex. Over al l , per s ons wi t h t he met abol i c s yndr ome wer e mor e l i kel y t o have r et i nopat hy ( OR 1. 64,95% CI :1. 022. 64) and wi der venul ardi amet er4. 69μ m ( 95% CI :1. 20t o8. 19μ m) t han per s ons wi t houtt he met abol i cs yndr ome.Thes e dat as ugges tt hatmet abol i cabnor mal i t i esar eas s oci at ed wi t h mi cr ovas cul archanges ;t her e wasno s yner gi s t i c ef f ectbeyondi t si ndi vi dualcomponent s . 3) Ear l y ager el at ed macul opat hy and Angi ot ens i nI Conver t i ngEnzymegenepol ymor phi s ms Age r el at ed macul ardegener at i on ( AMD)i sa maj or caus e ofbl i ndnes si n el der l y peopl e.AMD i ss t i l la chal l enge,as t her e has been s car ce evi dence f or i t s pr event i on.Angi ot ens i n IConver t i ng Enzyme(ACE) 3)アンギオテンシン変換酵素遺伝子多型と早期加齢黄斑 geneI ns er t i on( I )/Del et i on( D)pol ymor phi s mshasbeen 症の関連 s hown t o be as s oci at ed wi t h dr y/ at r ophi c AMD;t her e 加齢黄斑変性症は高齢者の視力障害の主な原因の一つで havebeen no dat as howi ng as s oci at i on bet ween t hos e あり、いまなお治療困難な疾患である。これまでに様々な g e n e p o l y mo r p h i s m a n d e a r l y a g e r e l a t e d ma c u l o p a t h y 遺伝子が加齢黄斑変性と関連すると報告されているが、そ ( ear l y ARM) .Ther ef or e,we exami ned t he as s oci at i on のなかでアンギオテンシン I変換酵素遺伝子多型(ACE遺 ween ACE geneI / D pol ymor phi s msand ear l y ARM 伝子多型)の Dal l el eと萎縮型加齢黄斑変性との関連が報 bet us i ngadul tJapanes es ubj ect si nt heFunagat aSt udy.Of 告されている。一方、ACE遺伝子多型と早期加齢黄斑症の t hes e s t udy s ubj ect s , 697par t i ci pat ed bot h f undus 関連についての報告はない。そこで、ACE遺伝子多型と早 exami nat i on and gene anal ys i st o det er mi ne t he ACE 期加齢黄斑症の関連について舟形町研究において検討を ( not ypes D/ Dgenot ype:n=70、I / Dgenot ype:n=322、 行った。眼科検診と ACE遺伝子多型解析に参加した 697 ge I / I g e n o t y p e : n = 3 0 5 ) . G r a d i n g o f e a r l y A RM l es i ons 名( ACE遺伝子多型 D/ Dgenot ype:n=70、I / Dgenot ype: f or med at t he Cent r ef or Vi s i on Res ear ch n=322、I / Igenot ype:n=305)を対象に横断研究を行った。 was per Uni ver s i t y of Sydney) us i ng a modi f i cat i on of t he 早 期 加 齢 黄 斑 症 の 判 定 は Ce nt erf orVi s i onRes ear ch ( Wi s cons i n ARM Gr adi ng Sys t em.The pr eval ence of ( Uni ver s i t y of Sydney)で Wi s cons i n Ager el at ed l y ARM wer e 2. 9% f orD/ D genot ype,1. 9% f orI / D Macul opat hyGr adi ngSys t em 変法で判定した。ACE遺伝 ear ype,4. 6% f orI / Igenot ype;t her ewasnos i gni f i cant 子多型 D/ Dgenot ype、I / Dgenot ypeおよび I / Igenot ypeそ genot s oci at i on bet ween D al l el eandear l y ARM ( OR:0. 57, れぞれにおいて 2. 9%、1. 9%および 4. 6%で早期加齢黄斑症 as 9 5 % C I 0 . 2 8 1 . 1 8 ) . T h e r e s u l t d i d n o t c h a n g e a f t e r a d j u s t i ng を認めたが、有意な関連は認めなかった(Dal l el eオッズ OR 0. 55) , or f ur t her adj us t ment wi t h gender , 比: 0. 57、95%信頼区間 0. 28、1. 18)。これは年齢で調整 age ( t ens i on,gl ucos et ol er ance and di abet es ,s moki ng 後(Dal l el eオッズ比: 0. 55)、およびさらに年齢、性別、 hyper andbodymas si ndex( OR0. 55,CI0. 271. 16)I nJapanes e 喫煙習慣、高血圧、耐糖能異常および糖尿病、BMIでの調 at i on, we coul d not obs er ve t he as s oci at i on 整後も有意ではなかった(Dal l el eオッズ比: 0. 55、95% popul weenACEpol ymor phi s m( Dal l el e)andear l yARM. 信頼区間: 0. 27,1. 16)。山形県舟形町研究では早期加齢黄 bet Major Publications 1) Kawas ak iR.etal .Car di ovas c ul arr i s kf ac t or sandr et i nalmi c r ovas c ul ars i gnsi nanadul tJ apanes epopul at i on:t heFunagat a St udy . Opht hal mol ogy2006;113: 13781384. 2) Kawas ak iR.etal .I mpai r edgl uc os et ol er anc e,butnoti mpai r edf as t i nggl uc os e,i sas s oc i at edwi t hr et i nopat hyi nJ apanes e popul at i on: t heFunagat aSt udy . Di abet es ,Obes i t yandMet abol i s m: I npr es s . 3) Kawas ak iR.etal .TheMet abol i cSy ndr omeandRet i nalMi c r ovas c ul arSi gnsi naJ apanes ePopul at i on:TheFunagat aSt udy . Br i t i s hJ our nalofOpht hal mol ogy : I npr es s . 37 2 研究概要 慢性腎臓病の分子疫学研究 Mol ecul arepi demi ol ogi calr es ear chi nchr oni cki dneydi s eas e 山形大学医学部器官統御学講座 循環・呼吸・腎臓内科学分野 今田 恒夫 准教授 Tuneo Kont a Emai l :kkont a@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 【 (CKD)は増加の一 を や高齢化により、慢性腎臓病 跡調査による予後解析や遺伝素因の検討を行い、一般 り、その早期発見治療の重 住民から CKD高リスク群を効率的に検出し治療する 目されている。CKDの最も初期段階であるア ルブミン尿は に測定できることから、欧米では効 日 率的な CKDスクリーニング法として用いられるが、 本では 及しておらず、その詳細は不明である。日本 人を含むアジア人と欧米人は生活習慣や遺伝的素因な ど うことから、アルブミン尿の頻度や危険因子は日 本人と欧米人では異なる可能性がある。日本人におけ 日本人の生活 る CKDの発症進行を予防するためには、 習慣や遺伝的素因を考 に入れた、アルブミン尿の効 果的な検出法、 介入法について明らかにする必要がある。 【方法】対象は山形県高畠町 40歳以上の一般住民の中 問診、 一 で、 本研究について説明し同意を得た 3115人。 般採血、尿検査、DNA抽出用採血を行った。国際腎 臓学会のアルブミン尿性別基準(KDI GO)に従い、ス ポ ッ ト 尿 の ア ル ブ ミ ン・ク レ ア チ ニ ン 比(UACR) 20mg/ g以上(男性)、30mg/ g以上(女性)をアルブ ミン尿陽性とした。 【結果】アルブミン尿の頻度:アルブミン尿は全対象者 の 22. 3%で認め、男女とも加齢とともにその頻度が増 の 加した。60歳以上、高血圧、糖尿病、肥満(BMI≧ 25) 中 で ア ル ブ ミ ン 尿 陽 性 の 割 合 は、 そ れ ぞ れ 27. 2%、 29. 6%、38. 8%、27. 2%と高値であった。アルブミン尿 の危険因子:多変量解析では、 年齢、 高血圧、 糖尿病、塩 分摂取量増加、 高尿酸血症(女性のみ)、メタボリック症 候群、抗核抗体がアルブミン尿発現と有意に相関した。 また炎症性ケモカイン CCc hemoki nel i gand5の遺伝 多型と UACR値は関連した。アルブミン尿の検出:高 血圧や糖尿病など高リスク群における尿試験紙法での の約 70尿蛋白(±) 80%がアルブミン尿の範囲であっ た。このことから、 より安価な尿試験紙を低コストの1 次スクリーニング法として使用できる可能性がある。 【まとめ】以上の結果より、CKDの初期段階であるア ルブミン尿は一般住民に高頻度に存在し、その発現に は様々な環境要因が関与している。今後は本集団の追 38 昭和 40年 山形県米沢市生まれ 平成 2年 山形大学医学部卒業 平成 11年~ 13年 英国ロンドン大学留学 平成 20年より現職 Research Summary 】生活習慣病の 要性が Pr of i l e 方法の確立を目標としている。 Numberofchr oni cki dneydi s eas e( CKD)i sgr owi ng wor l dwi de.Al bumi nur i a,an ear l i es ts t ageofCKD, i sknownt obeani ncr eas edr i s kofpr ogr es s i ver enal det er i or at i on and a t ar get f or CKD s cr eeni ng. However ,t hepr eval enceofal bumi nur i ai nJapanes e gener al popul at i on i s l es s cer t ai n. Thus we exami ned t he pr eval ence ofal bumi nur i a and i t s as s oci at ed r i s kf act or si n Japan.Subj ect s oft hi s cr os s s ect i onal s t udy wer e as ympt omat i c dual s over 40year ol di n Takahat a,Japan. i ndi vi Ur i ne al bumi ncr eat i ni ne r at i o ( UACR) was cal cul at ed f r om a s i ngl e s pot ur i ne s peci men col l ect ed i nt he mor ni ng.A t ot alof3115s ubj ect s ( meanage,63)wer eent er edi nt ot hef i nalanal ys i s . Among t hem,t he pr eval ence ofal bumi nur i a was 22. 3%.Age,hyper t ens i on,di abet es and met abol i c s yndr ome wer e i ndependent l y as s oci at ed wi t h al bumi nur i ai nmen.I naddi t i ont ot hecl as s i calr i s k f act or sdet ect ed i n men,es t i mat ed 24hourur i nar y s odi um excr et i on, ur i c aci d and ant i nucl ear ant i body wer e al s oi ndependent l y as s oci at ed wi t h al bumi nur i ai n women.Genot ypeanal ys i ss howed t hat hapl ot ype of CC chemoki ne l i gand 5was as s oci at ed wi t h UACR l evel s .We al s of ound t hat t r ace pr ot ei nur i a coul d be a us ef ul i ndi cat or of mi cr oal bumi nur i ai n gener alpopul at i on,es peci al l y hi ghr i s k s ubj ect sf or r enal and car di ovas cul ar nur i ai s pr eval ent di s eas es .I n concl us i on,al bumi acr os sal lage gr oupsand i sas s oci at ed wi t hl i f es t yl e r el at ed r i s k f act or si n Japanes e gener al popul at i on.To es t abl i s ht he ef f ect i ve meas ur ef or t he det ect i on ofCKD atear l i es ts t age us i ng our f ol l owupandgenet i cdat ai sourf ut ur epl an. 研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座 循環・呼吸・腎臓内科学分野 研究組織代表者:今田 恒夫(准教授) 、市川一誠(同医員) 、池田亜美(同医員) 研 究 分 担 者:安孫子 広(同医員) Major Publications 1. Kont aT,HaoZ,Abi k oH,I s hi k awaM,Tak ahas hiT,I k edaA,I c hi k awaK,Tak as ak iS,Kubot aI .Pr eval enc eandr i s kf ac t oranal y s i s ofmi c r oal bumi nur i ai nJ apanes egener alpopul at i on: TheTak ahat as t udy . Ki dneyI nt . 70( 4) : 7516,2006. 2. HaoZ,Kont aT,Tak as ak iS,Abi k oH,I s hi k awaM,Tak ahas hiT,I k edaA,I c hi k awaK,Kawat aS,Kat oT,Kubot aI .TheAs s oc i at i on bet weenMi c r oal bumi nur i aandMet abol i cSy ndr omei nt heGener alPopul at i oni nJ apan:TheTak ahat aSt udy .I nt er nMed.46 ( 7): 3416,2007. 3. Kont aT,HaoZ,Tak as ak iS,Abi k oH,I s hi k awaM,Tak ahas hiT,I k edaA,I c hi k awaK,Kat oT,Kawat aS,Kubot aI .Cl i ni c alut i l i t yof t r ac epr ot ei nur i af ormi c r oal bumi nur i as c r eeni ngi ngener alpopul at i on. Cl i nEx pNephr ol . 11( 1) : 515,2007. 4. Tak ahas hiT,Kont a T,Tak as ak iS,I c hi k awa K,Tak ei s hiY,Kubot aI .Angi ot ens i nI It y pe Ir ec ept orbl oc k ade,ol mes ar t an medox omi l ,at t enuat esl i pi dper ox i dat i oni nr enali nj ur yi nduc edbys ubt ot alnephr ec t omy . Cl i nEx pNephr ol ,11( 3) : 2028,2007. 5. Fur us uA,Nak ay amaK,XuQ,Kont aT,Ki t amur aM.MAPk i nas edependent ,NFk appaBi ndependentr egul at i onofi nhi bi t orof apopt os i spr ot ei ngenesbyTNFal pha. JCel lPhy s i ol . 210( 3) : 70310,2007. 6. Al i queM,L uc i oCaz anaFJ ,Mor eno V,Xu Q,Kont aT,Nak ay amaK,Fur us u A,Sepul vedaJ C,Ki t amur aM.Upr egul at i on of c y c l oox y genas esbyr et i noi cAc i di nr atmes angi alc el l s . Phar mac ol ogy . 79( 1) : 5764,2007. 7. I s hi k awaM,Kont aT,ZHao,STak as ak i ,H Abi k o,TTak ahas hi ,A I k eda,KI c hi k awa,YShi bat a,YTak ei s hi ,TKat o,SKawat a,I Kubot a.Rel at i ons hi pbet weenAnt i nuc l earAnt i bodyandMi c r oal bumi nur i ai nGener alPopul at i on:TheTak ahat aSt udy .Cl i nEx p Nephr ol ,i npr es s . 8. Kont aT,EmiM,Tor i y amaS,Ar i umiH,I s hi iM,Tak as ak iS,I k edaA,I c hi k awaK,Shi bat aY,Tak abat ak eN,Tak ei s hiY,Kat oT, Kawat aS,Kubot aI .As s oc i at i onofCCc hemok i nel i gand5genot y pewi t hur i nar yal bumi nex c r et i oni nnondi abet i cJ apanes e gener alpopul at i on: TheTak ahat aSt udy . JHum Gene,53( 3) : 26774,2008. 39 2 研究概要 脳卒中検診とデータベース作成 Cer ebr als t r okemedi calcheckupandadat abas ecr eat i on 山形大大学院医学系研究科生命環境医 科学専攻臨床的機能再生部門神経機能 再生学講座 嘉山 孝正 教授 TkamasaKayama Emai l :t kayama@med. i d. yamagat au. ac. j p Pr of i l e 昭和 25年 昭和 50年 昭和 53年 平成 8年 平成 14年 平成 14年 神奈川県生まれ 東北大学医学部医学科卒業 西独国 J as t usL i ebi g大学留学 山形大学医学部脳神経外科学教授 同大附属病院長 同大医学部長 研究概要 脳卒中は要介護者の最大の原因疾患で、高齢化が進む Research Summary I n Yamagat aPr ef ect ur et heacut ecer ebr als t r oke に従って今後ますます増加するものと見込まれており、 c as es whi ch go up about3000cas es ever y year 早急に治療および予防法の開拓が求められている。 egi s t er ed by t he Yamagat as oci et y on have been r 山形県では山形県対脳卒中治療研究会(会長:嘉山 t r eat ment f or cer ebr al s t r oke ( YSTCS, pr es i dent 孝正)が全県的に年間約 3, 000例以上に上る急性期脳 卒中症例の登録を行ってきた。本事業の特徴として (1)急性期脳卒中の入院する主幹病院の全て(22施設) が参加し山形県全域を網羅しており登録率が高い、 (2)全例で頭部 CT/ MRIを施行し、脳卒中専門医が 診断しているため病型診断が正確である、ことが挙げ られる。本研究は、一地域における脳卒中登録として f ol l ows :( 1) par t i ci pat i on ofal lcent erhos pi t al s( 22 ai n CT/ MRIf oral l hos pi t al s ) ,( 2)exami nat i on ofbr pat i ent swi t hdi agnos i sbycer ebr als t r okes peci al i s t . s t r at i on i n one pr ef ect ur e, Ascer ebr als t r oke r egi t hi sr es ear ch i s hi gh qual i t y and exhaus t i ve. は最大規模で上述の如く質の高いデータであり、山形 ualcondi t i on of Ther ef or e,i t i sr ef l ect i ng t he act 県における脳卒中の実態を正確に反映している。その cer ebr als t r okei nYamagat aPr ef ect ur ecor r ect l y. 登録結果の解析から、我々は山形県では従来最も多い On t he ot herhand,we have per f or med cer ebr al とされているラクナ梗塞ではなくアテローム血栓性脳 s t r oke medi cal checkup f or t he r es i dent s i n 梗塞が全脳梗塞の 42. 1%を占める最大の病型であり a. We have Takahat a and Sagae i n Yamagat こと,高血圧の保有率が高いこと,等を明らかにして col l ect edt heepi demi ol ogi caldat af orpr event i onof きた。 as onogr aphy cer ebr als t r okes uch as75gOGTT,ul t r 一方 我々はこれまでに山形県下の高畠町,寒河江 f or car ot i d ar t er y, br ai n MRI , opht al mos copi c 市において住民脳卒中検診を行って、高精度な脳卒中 exami nat i on.Fur t her mor e,wehaveanal yzedSNPs の予防疫学的データ(75gOGTT、頚動脈エコー、脳 、眼底検査,e )の収集を行い、脳卒中のリスク MRI ct ファクターの遺伝子多型を解析してきた。しかしなが ら、脳卒中におけるリスクファクターの疾患関連遺伝 子多型がどの程度発症に関与しているかに関しては未 だ解明されていない。 本 COEにおいては山形県におけ i s kf act or sofcer ebr als t r oke.However ,t he f ort her cor r el at i on bet ween t hes e SNPs and ons et of eveal ed yet .Ther ef or ewe cer ebr als t r okehasnotr wi l li nt egr at et hes et wopr oj ect sandcr eat et henew oi dent i f ySNPsand dat abas ei nt hi sCOE.Wehopet る二大脳卒中研究事業てある山形県対脳卒中治療研究 di s eas es us cept i bi l i t y genes whi ch cor r el at et he 会のデータと住民月脳卒中検診の予防疫学的デ一夕を t abl i s h mor e ons et of cer ebr al s t r oke,and t o es 統合したデータベースの作成を行う。同時に分子疫学 ef f ect i ve way f or pr event i on of cer ebr al s t r oke 的研究と合わせて脳卒中発症に関与する遺伝子多型の Fi nal l y,weai mf orext er mi nat i onofcer ebr als t r oke 発見及び疾患感受性遺伝子を同定し、より有効な脳卒 byt hes es t udi es . 中予防法の確立することで脳卒中撲滅を目指す。 40 eat ur e ofYSTCS i sas Takamas a Kayama) .The f 研 究 組 織:山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻臨床的機能再生部門神経機能再生学講座 研究組織代表者:嘉山 孝正(教授) 研 究 分 担 者:佐藤 慎也(同助教授)現籍:山形大学医学部総合医学教育センター(教授) 小久保安昭(同講師) Major Publications ( 1) Sak ur adaK,Sat oS,SonodaY,Kok uboY,Sai t oS,Kay amaT:Sur gi c alr es ec t i onoft umor sl oc at edi ns ubc or t exofl anguage ar ea. .Ac t aNeur oc hi r ( Wi en) . 2007;149( 2) :1239 ( 2) Wat anabeS,Sak ur adaK,Mor iW,Sat oS,Kay amaT:Suppl ement ar ymot orar eas y ndr omewi t hf r ont algl i oma.Br ai nNer ve. 2007l ;59( 7) :7936. ( 3) Tamur aH,Hi r onoO,Ok uy amaH,L i uL ,Ni s hi y amaS,Tak ei s hiY,Kay amaTKubot aI :El evat eds er um f i br i nmonomerl evel sar e as s oc i at edwi t hhi ghl ongt er mc er ebr ovas c ul areventr at esi nac ut ei s c hemi cs t r ok epat i ent s . Ci r cJ. 2007;71( 10) :15739 ( 4) Kawas ak iR,Ti el s c hJ M,WangJ J , WongTY,Mi t c hel lP,TanoY,Tomi nagaM,Oi z umiT,Dai monM,Kat oT,Kawat aS,Kay amaT, Yamas hi t aH: TheMet abol i cSy ndr omeAndRet i nalMi c r ovas c ul arSi gnsi naJ apanes ePopul at i on:TheFunagat aSt udy .Br JOpht hal mol . 2007 ;26; ( 5) L i ngL ,Hi r onoO,Ok uy amaH,Tak ei s hiY,Kay amaT,Kubot aI . :Rat i oofpeakear l yt ol at edi as t ol i cf i l l i ngvel oc i t yoft hel ef t vent r i c ul ari nf l ow i sas s oc i at ed wi t hl ef tat r i alappendaget hr ombusf or mat i oni nel der l ypat i ent swi t hac ut ei s c hemi cs t r ok e ands i nusr hy t hm. JCar di ol2006Aug;48( 2) :7584. ( 6) Ar awak aS,WadaM,Got o S,Kar ubeH,Sak amot o M,Ren CH,Koy amaS,Nagas awaH,Ki mur aH, KawanamiT,Kur i t aK, Taj i maK,Dai monM,BabaM,Ki doT,Sai noS,Got oK,As aoH,Ki t anak aC,Tak as hi t aE,HongoS,Nak amur aT,Kay amaT,Suz uk i Y,Kobay as hiK, Kat agi r iT,Kur ok awaK,Kur i mur aM,Toy os hi maI ,Ni i z at oK,Ts uc hi y aK, I wat s uboT,Mur amat s uM,Mat s umi neH, Kat oT:Ther ol eofGpr ot ei nc oupl edr ec ept ork i nas e5i npat hogenes i sofs por adi cPar k i ns on’ sdi s eas e. JNeur os c i . 2006;26: 92279238 ( 7) Kawas ak iR,Wang J J ,Roc ht c hi naE,Tay l orB,Wong TY,Tomi nagaM,Kat o T,Dai mon M,Oi z umiT, Kawat aS,Kay amaT, Yamas hi t a H,Mi t c hel lP:Car di ovas c ul arr i s kf ac t or sand r et i nalmi c r ovas c ul ars i gnsi n an adul tJ apanes e popul at i on:t he Funagat aSt udy . Opht hal mol ogy. 2006;113:13781384 ( 8) L i ngL ,Hi r onoO, Ok uy amaH,Tak ei s hiY,Kay amaT,Kubot aI :Rat i oofpeakear l yt ol at edi as t ol i cf i l l i ngvel oc i t yoft hel ef t vent r i c ul ari nf l ow i sas s oc i at ed wi t hl ef tat r i alappendaget hr ombusf or mat i oni nel der l ypat i ent swi t hac ut ei s c hemi cs t r ok e ands i nusr hy t hm. JCar di ol . 2006;48:7584 ( 9) Ok uy amaH,Hi r onoO,L i uL ,Tak ei s hiY,Kay amaT,Kubot aI :Hi gherl evel sofs er um f i br i nmonomerr ef l ec thy per c oagul abl e s t at eandt hr ombusf or mat i oni nt hel ef tat r i alappendagei npat i ent swi t hac ut ei s c hemi cs t r ok e. Ci r cJ . 2006;70:971-976 ( 10)Tomi y amaA,Ser i z awaS,Tac hi banaK,Sak ur adaK,Samej i maH,T.K,Ki t anak aC, :Cr i t i c alRol ef or Mi t oc hondr i alOx i dat i ve Phos phor y l at i oni nt heAc i vat i onofTumorSuppr es s or sBaxandBak . J our naloft heNat i onalCanc erI ns t i t ut e. 2006; 98: 14621473 ( 11)Mat s umor iY,Nor t hi ngt onFJ ,HongSM,Kay amaT,Shel donRA,Vex l erZS,Fer r i er oDM,Wei ns t ei n PR,L i uJ :Reduc t i onof c as pas e8and 9c l eavage i sas s oc i at ed wi t hi nc r eas ed c FL I P and i nc r eas ed bi ndi ng ofApaf 1and Hs p70af t erneonat al hy pox i c / i s c hemi ci nj ur yi nmi c eover ex pr es s i ngHs p70. St r ok e.2006;37:507512 ( 12)Tak emur aS,Kay amaT,KugeA,Al iH,Kok uboY,Sat oS,Kami iH,Got oK,Yos hi mot oT:Cor r el at i on bet weenc opper / z i nc s uper ox i dedi s mut as eandt hepr ol i f er at i onofneur als t em c el l si nagi ngand f ol l owi ngf oc alc er ebr ali s c hemi a.JNeur os ur g. 2006;104: 129136 ( 13)Mat s umor iY,Kay amaT,Kok uboY,Ts uc hi y aD;HeatShoc kPr ot ei n70Pr ot ec t st heNeonat alBr ai nsAgai ns tI s c hemi cSt r es s . Yamagat aMedi c alJ our nal 2005; 23; 129138 ( 14)Mat s umor iY,ShwuhueyMH,Aoy amaK,YangF,Kay amaT,RAnnS,Zi nai daSV,DonnaMF,Phi l i pRWei ns t ei n,L i uJ ;Hs p70 over ex pr es s i on s equens t er sAI F and r educ esneonat alhy pox i c / i s c hemi c br ai ni nj ur y .J our nalofc er ebr albl ood f l ow and met abol i s m2005; 25; 899910 ( 15)SonodaY,Sak ur adaK,Sai noM,KondoR,Sat oS,Kay amaT;Mul t i modals t r at egyf ormanagi ngmeni ngi omasi nt heel der l y . Ac t aNeur oc hi r 2005; 147; 131136 41 2 研究概要 ウイルスおよび生活習慣に起因する肝炎に関する研究統合データベースの構築 Es t abl i s hmentoft hei nt egr at eddat abas es ys t em concer ni ngt her es ear chofvi r alhepat i t i sand er el at eds t eat ohepat i t i s l i f es t yl 山形大学医学部器官病態統御学講座 消化器病態制御内科学分野 斎藤 貴史 准教授 Takaf umiSai t o Emai l :t as ai t oh@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 C型肝炎ウイルス ( HCV)の感染者は、世界で約 1億 7千 Pr of i l e 昭和 60年 山形大学医学部卒業 平成 6年~ 9年 米国 FDA研究留学 平成 18年 山形大学医学部消化器病態制御内科助教授 平成 19年 山形大学医学部消化器病態制御内科准教授 Research Summary Wehavei nves t i gat edgenet i cvar i at i onsas s oci at edwi t h 万人とも推定され、地球規模でその対策が急務とされる感 i ngl e s us cept i bi l i t yt o HCV i nf ect i on and i dent i f i ed 12s 染症である。感染症において、宿主側の感染防御に係わる nucl eot i de pol ymor phi s ms ( SNPs )i n 10genes as 遺伝要因の解析は、病態解明とともに、新たな予後予測因 candi dat e genet i c pol ymor phi s mst hatmi ghti nf l uence 子や治療薬の開発に繋がることから重要である。HCV感染 r al cl ear ance. Fur t her anal ys es on i dent i f yi ng t he vi 宿主において、HCV感染防御に係わる遺伝要因については bonaf i de genes as s oci at ed wi t hs us cept i bi l i t yt o HCV 未解明であった。私達は、1991年度より継続しているC型 ed s ever ali mpor t antgenet i c var i at i ons i nt hr ee r eveal 肝炎の地域住民コホート研究(川西研究)を発展させ、住 genest hatencodeNDST,anenzymer el at edt ol i pi dr af t 民の協力を得て、臨床疫学データと遺伝子サンプルを採集 f or mat i on,and TGFbet a1.Wehaveal s oi dent i f i ed t he した。HCV抗体陽性の住民から採取された匿名化サンプル t h HCV genot ype1bs t r ai nt hatar ehi ghl yas s oci at edwi を用いて、HCV持続感染者と既往感染者の二群間で、多数 t her i s k ofdevel opi ng l i vercanceron t hebas i soft he の遺伝子一塩基多型(SNP)の解析を行い、HCV感染防御 t i on oft he s econdar ys t r uct ur eofan ami not er mi nalpor に係わる候補遺伝子とその SNPとして 10遺伝子 12SNPを HCV NS3pr ot ei n. 見出した。本研究により見出された遺伝子群およびその遺 The r ehasbeenar api dwor l dwi dei ncr eas ei nobes i t y, 伝子多型は、HCVのトランスレーショナルリサーチを行う wi t ht he as s oci at ed r i s k ofdevel opmentofmet abol i c 上で重要な基礎データとなっており、内外より多くの反響 s yndr ome.Upt onow,t her ehasbeennocompr ehens i ve を得ている。さらに、これら候補遺伝子群の二次解析によ s t udy of l i ver di s eas ei n as s oci at i on wi t hl i f es t yl e, り、感染成立時の細胞表面におけるウイルス接着に影響す ngmet abol i cf act or soral coholcons umpt i on,i na i ncl udi る NDST遺伝子、感染後のウイルス増殖の場となる脂質ラ a l ar gepopul at i ons ampl e.Wehavef oundi nt heTakahat フト形成に関与する脂質合成系酵素遺伝子、感染時の自然 popul at i on s t udy t hat an el evat ed s er um al ani ne 免疫に影響を与える TGF-β 1遺伝子について、HCV感 ami not r ans f er as e( ALT) i ss t r ongl y as s oci at ed wi t h 染における詳細な遺伝子多型の特徴と機能的な重要性を示 r el at edf eat ur ess uchasobes i t yand met abol i cs yndr omeした。私達はまた、HCV感染におけるウイルス側の解析と i ns ul i nr es i s t ance,andt hatal coholi nt akei snegat i vel y して、好発がん性のウイルス株の同定を試み、HCV( 1b型 cor el at ed wi t hs er um adi ponect i nl evel s .We bel i eve r )を HCV NS3領域のアミノ末端 120残基の蛋白質二次構 t hatt hes edat aupdat eourunder s t andi ngoft hecur r ent 造により分類することで、好発がん性の HCV株を同定した。 s t at usofl i f es t yl er el at ed l i verdi s eas esi nt heJapanes e 最近の肥満人口の増加に伴い、複数の生活習慣病の発病 he popul at i on. Genet i c var i at i ons as s oci at ed wi t h t リスクを有するメタボリックシンドロームが一般成人の間 occur r ence and cl i ni cal phenot ype of s uch l i f es t yl eに増加し、大きな社会問題となっている。脂肪性肝炎は、 r el at edl i verdi s eas esar enow underi nves t i gat i on. 生活習慣に起因する重要な肝炎として位置付けられる。脂 肪性肝障害は、アルコール多飲や肥満により生ずるが、メ タボリックシンドロームによる脂肪性肝炎は非アルコール 性脂肪性肝炎 ( NASH)として、肝硬変や肝がんなどの重い 肝臓病へ進行するため、特に重要な疾患と言える。わが国 の肝炎ウイルス感染のない一般成人において、肝機能検査 値異常とメタボリックシンドロームの関連性の有無を疫学 的に明らかにすることは重要である。 42 研究組織:山形大学医学部器官病態統御学講座 消化器病態制御内科学分野 主任教授:河田純男(教授)kawat a@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究分担者: 冨樫 整(教授)ht 武田 弘明(准教授)ht ogas hi @med. i d. yamagat au. ac. j p akeda@med. i d. yamagat au. ac. j p 斉藤 孝治(講師)kos 牧野 直彦(講師)nmaki ai t o@med. i d. yamagat au. ac. j p no@med. i d. yamagat au. ac. j p 渡辺 久剛(助教)h伊藤 純一(助教)j wat anabe@med. i d. yamagat au. ac. j p xi 9@med. i d. yamagat au. ac. j p 奥本 和夫(助教)okumot 白幡名香雄(助教)s o@med. i d. yamagat au. ac. j p hi r ahat @med. i d. yamagat au. ac. j p 戸沢 智浩(助教)t 西瀬 雄子(医員)yni t ozawa@med. i d. yamagat au. ac. j p s hi s egi @umi n. ac. j p 石井 里佳(医員)r i kai @med. i d. yamagat au. ac. j p 研究協力者: 村松 正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所 教授)mur amat s u. epi @mr i . t md. ac. j p 江見 充(ヒュービットジェノミクス研究所)me mi @a. t os hi ma. ne. j p 児矢 野聡(ヒュービットジェノミクス研究所)s koyano@hubi t genomi x. com 鳥山紗由美(ヒュービットジェノミクス研究所)s t or i yama@hubi t genomi x. com 新澤 陽英(県立日本海病院 院長)s hi nzawa@ni honkai . gr . j p しかし、今まで、一般成人における肝機能異常のリスク においては、血清トランスアミナーゼの上昇に関連する独 因子を解明する目的で、多くの代謝因子や飲酒、あるいは 立したリスク因子は、飲酒ではなく、肥満やインスリン抵 メタボリックシンドロームと深く係わるアディポサイトカ 抗性といったメタボリックシンドロームに関連する因子で イン、等の肝機能異常への関与について、わが国の一般成 あることが判明した(図)。また、飲酒がアディポネクチン 人を対象とした大規模研究は見当たらなかった。私達は、 値に負の影響を及ぼすことを初めて明らかにした。今後、 40歳以上の約三千名の一般住民の協力を得て(高畠研究)、 肝機能異常者の更なる追跡調査を行い、脂肪性肝障害の病 生活習慣に起因する肝臓病に関する臨床疫学データベース 態と遺伝要因の関係の一端を解明したいと考えている。 を構築し、遺伝子サンプルの収集を行った。わが国の成人 わが国の成人(40歳以上)における血清トランスアミナーゼ上昇の関連因子 Major Publications 1. Ok umot oK,Sai t oT,HagaH,Hat t or iE,I s hi iR,Kar as awaT,Suz uk iA,Mi s awaK,Sanj oM,I t oJ I ,Sugahar aK,Sai t oK,Togas hiT, Kawat aS:Char ac t er i s t i c sofr atbonemar r ow c el l sdi f f er ent i at edi nt oal i verc el ll i neageanddy nami c soft het r ans pl ant edc el l s i nt hei nj ur edl i ver . JGas t r oent er ol2006;41: 6269 hi mur aM,Yi x uanS,BabaM,J iG,Mur amat s uM,Kawat aS:As s oc i at i onoft r ans f or mi nggr owt hf ac t or 2. Ki mur aT,Sai t oT,Yos unc t i onalpol y mor phi s mswi t hnat ur alc l ear anc eofhepat i t i sCvi r us . JI nf ec tDi s2006;193: 13711374 ( TGF) -β 1 f edaT,Wat anabe H,Sai t o T,Sai t o K,Tak edaH,Togas hiH,Fuj i iJ ,Tak as ago Y,Kawat aS:I mpai r ed por t alc i r c ul at i on 3. Tak 15261527 r es ul t i ngf r om L ar gi ni nedef i c i enc yi npat i ent swi t hl y s i nur i cpr ot ei ni nt ol er anc e. Gut2006;55: aK,Ok umot oK,I t oJ ,Sai t oT,Ok adaA, 4. Togas hiH,Tak ahas hiK,Onoder aY,Adac hiT,Suz uk iA,Kar as awaT,I s hi iR,Sugahar nr ec ept or si nt her i ghtandl ef thepat i cl obesus i ng99mTc GSASPECT SugaiY,Kawat aS:Separ at eanal y s i sofas i al ogl y c opr ot ei Hepat olRes2006;36: 130138 i npat i ent swi t hac ut e hepat i cdamage. i t i s . I nt er nalMed2007;46: 101103 5. Sai t oT,Mi s awaK,Kawat aS: Fat t yl i verandnonal c ohol i cs t eat ohepat hiM,Kur ok ohc hiK,Mi y az awaH,Duan H,Mat s unagaT, 6. Ak at s uk aT,Kobay as hiN,I s hi k awaT,Sai t o T,Shi ndo M,Yamauc o mi c r os omalepox i de hy dr ol as ei n hepat i t i sC and A.J Komoda T,Mor i s s eau C,Hammoc kBD:Aut oant i body r es pons et Aut oi mmuni t y2007;28: 718 t oK,Sai t oT,Tak ahas hiK,SugaiY,Kawat aS:Char ac t er i s t i c soft hr eec as esofhepat oc el l ul ar 7. Suz uk iA,Togas hiH,HagaH,Sai c ar c i noma s howi ng enhanc ed t ec hnet i um99mdi et hy l enet r i ami nepent aac et i c ac i dgal ac t os y l human s er um al bumi n c umul at i onbys i ngl ephot onemi s s i onc omput edt omogr aphyanal y s i s . Hepat olRes2007;37: 628636 ac eY,Sai t oT,Sugahar aK,I t oJ ,Sai t oK,Togas hiH,NaganoFuj i iM,Hot t aH,Kawat aS:Ri s kofhepat oc el l ul arc ar c i noma 8. Ni s hi s i ent si nf ec t edwi t hHCVs ubt y pe1b. ands ec ondar ys t r uc t ur eofhepat i t i sCvi r us( HCV)NS3pr ot ei nami not er mi nusamongpat JI nf ec tDi s2007;196: 10061009 amot oA,Tanak aM,Hat t or iE,HagaH,I t oJ I ,Sugahar aK,Sai t oK,Togas hiH,Kawat aS: 9. Ok umot oK,Sai t oT,Onoder aM,Sak t em c el lf ac t orandt hr ombopoi et i nar emar k edl ydec r eas edi nf ul mi nanthepat i cf ai l ur epat i ent swi t hapoor Ser um l evel sofs pr ognos i s . JGas t r oent er olHepat ol2007;22: 12651270 43 2 研究概要 歩行障害の病態に関する分子疫学的研究・教育 Mol ecul arbas i sofgai tdi s t ur bance:Genet i c anal ys i sofChar cot Mar i eToot h di s eas ei n s Japanes epat i ent 山形大学医学部発達生体防御学講座 小児医科学分野 早坂 清 教授 Ki yoshiHayasaka Emai l : hayas aka@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 [目的]高齢者では歩行困難や障害が認められても、加齢 による神経・筋の衰えの当然の結果として理解されるこ とが多く、詳細な病態は不明である。しかし、高齢者に おいても、健康な人では自立した日常生活が保たれ、活 動性は維持される。多くの疾病は遺伝的素因に環境因子 が作用し発症するが、加齢は、ある意味で環境因子とし て作用すると考えられる。潜在する遺伝的負荷が加齢に より顕在化し、発症に至る疾病も多く存在すると考えら れる。 Char cot Mar i eToot h( CMT)病は有病者が 2500人に 1 人と、最も頻度の高い遺伝性ニューロパチーである。私 達は CMT病の病態を解明するために、多数の症例を解析 してきた。しかし、欧米人と異なり、病因遺伝子が不明 な症例が約半数を占めている。日本人の CMT病の遺伝的 背景を明らかにするために、既知および候補遺伝子の変 異について SSCP法、DGGD法、最近では DHPLC法を 用いたスクリーニングを確立し、検索を継続してきたの で結果を報告する。 [方法]対象は、1996年から 2007年までに、国内医療機 関から遺伝子検索依頼があった症例のうち、臨床的に髄 鞘型 CMT病と考えられ、 17q11. 2領域の重複を認めな かった 161例と軸索型 CMT病(di st alHMNおよび分類 不能例を含む)と考えられる 91例である。髄鞘型 CMT 病では、PMP22,MPZ,GJ B1,LI TAF,EGR2,GDAP1, MTMR2,PRX の変異についてスクリーニングを行った。 また、軸索型 CMT病では PMP22,MPZ,GJ B1,MFN2, HSP27,HSP22,NEFL の変異についてスクリーニング を行った。 [結果]髄鞘型 CMT病においては、MPZ 変異を 19例に、 GJB1 変異を 20例、 PMP22 変異を 8例に、EGR2 変異 を1例に、PRX 変異を 4例に認めた。軸索型 CMT病に ついては、MPZ変異を 3例に、GJ B1変異を 2例に、MFN2 変異を 10例に認めた。また、HSP27 の変異を 2例の di st alHMNに認めた。髄鞘型 CMT病 109名、軸索型 CMT 病 74名には、遺伝子変異が検出出来なかった。 [考察]当科でこれまで検索した髄鞘型 CMT病の結果は、 日本人では 17q11. 2領域の重複例が少なく、42%で病因 が不明である。一方、軸索型 CMT病では、MFN2 が約 10%をしめ、多くは病因が不明である。軸索型における 最も頻度の高い MFN2 において、これまで検出された変 異は全て特定のエクソンに位置している。これらの領域 は重要な部位をコードする領域であり、今後スクリーニ ングに際して、これらのエクソンに限定することが可能 かもしれない。 [結論]日本人における CMT病では、病因遺伝子が特定 されない症例が多く、スクリーニング法の改善を図ると ともに、量的変化を含めた既知および候補遺伝子の検索 が必要である。 44 Pr of i l e 昭和 23年 福島県生まれ 昭和 48年 群馬大学医学部卒業 昭和 50年~ 64年 東北大学医学部小児科 平成元年~ 5年 秋田大学医学部小児科に勤務 平成 5年より山形大学医学部教授 Research Summary [ Backgr ounds] Char cot Mar i eToot h di sease( CMT)i s one oft he mostcommon her edi t ar y neur opat hy,of whi chpr eval encei sest i mat edat1/ 2500. Ther ear eat l east 25di seasecausi ng genes. To i dent i f y t he pat hogenesi s of Japanese CMT pat i ent s, we have scr eenedavar i et yofgenemut at i onsi nJapaneseCMT pat i ent susi ngSSCP,DGGEorDHPLC.Wepr esentt he r esul t sofourst udy. [ Subj ect s and Met hods] We have scr eened 252 Japanese CMT pat i ent s si nce 1996t hr ough 2007. Based on cl i ni cal char act er i st i cs and el ect r ophysi ol ogi cal exami nat i ons, t he pat i ent s car r yi ng no 17p11. 2dupl i cat i on wer e di vi ded i nt o2 subgr oups:demyel i nat i ng CMT ( n=161)and axonal CMT ( n=91,i ncl udi ng di st alHMN and uncl assi f i ed cases) . The pat i ent swi t h demyel i nat i ng CMT wer e eval uat edf orPMP22,MPZ,GJB1 andLI TAF,andt he oneswi t haxonalCMT wer est udi edaboutMPZ,GJB1, MFN2,HSP27,HSP22and NEFL by SSCP,DGGE or DHPLC. [ Resul t s] Wef oundMPZmut at i onsi n19cases,GJB1 mut at i oni n20cases,andPMP22mut at i onsi n8cases and EGR2mut at i on i n onecase,PRX mut at i onsi n4 caseswi t h demyel i nat i ng CMT. Sever alpol ymor phi c changeswer eal sodet ect edi nLI TAF.I naxonalCMT, wedet ect edMPZmut at i onsi n3cases,GJB1mut at i on i n2cases,andMFN2mut at i onsi n10cases.Wef ound HSP27mut at i onsi n 2di st alHMN pat i ent s,who wer e cl assi f i ed i nt o axonalCMT. We al so f ound sever al pol ymor phi cchangesi nHSP22andNEFL. [ Di scussi on] Based on our f i ndi ngs, 17p11. 2 dupl i cat i on wasl essf r equent l y det ect ed i n Japanese demyel i nat i ng CMT pat i ent s compar ed t ot hat i n Caucasi an. We coul d not i dent i f y di seasecausi ng mut at i onsi n42% ofJapanesedemyel i nat i ngCMT.As f ort hepat i ent swi t haxonalCMT,wei dent i f i edMFN2 mut at i onsi n about10% ofJapanesepat i ent s. Near l y al l MFN2mut at i ons det ect ed i nt he pat i ent s wer e l ocat edwi t hi nt hespeci f i cexonsencodi ngaf unct i onal domai n,suggest i ng t hatwe shoul dt ar geton t hose sequencesi nt hescr eeni ngoft hi sgene. [ Concl usi on] Di seasecausi ng genes have not been f ul l y( near l yhal foft hepat i ent s)i dent i f i edi nJapanese CMT pat i ent s.I ti sr equi r edt oi nt r oducet hescr eeni ng met hodsf oreval uat i ngt hegenedosagei naddi t i ont o det ect t he nucl eot i de changes and t o scr een ot her candi dat egenes. 研究代表者:早坂 清(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 教授) 研究分担者:小田切徹州(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 医員) 研究分担者:阿部 暁子(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 大学院) Major Publications 1. Shi r ahat a E,Hay as ak a K etal . Ank y r i nGr egul at es i nac t i vat i on gat i ng oft he neur onals odi um c hannel ,Nav1. 6. J Neur ophy s i ol .96: 13471357,2006 2. Ot agi r iT,Hay as ak aKetal .Per i ax i nmut at i oni nJ apanes epat i ent swi t hChar c ot Mar i eToot hdi s eas e.JHum Genet51: 625628,2006 3. Ki j i maK,Hay as ak aKetal .Smal lheats hoc kpr ot ei n27mut at i oni naJ apanes epat i entwi t hdi s t alher edi t ar yneur opat hy .J Hum Genet50: 473476,2005. 4. I i j i maM,Hay as ak aKetal .Cl i ni c alandel ec t r ophy s i ol ogi cc or r el at esofI VI gr es pons i venes si nCI DP.Neur ol ogy .64: 14711475, 2005. 5. Koi k eH,Hay as ak aKetal .Ageas s oc i at edax onalf eat ur esi nHNPPwi t h17p11. 2del et i oni nJ apan.JNeur olNeur os ur gPs y c h 76: 11091114,2005. 45 2 研究概要 虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患の分子疫学研究 Mol ecul arepi demi ol ogyofcor onar yar t er ydi s eas eandchr oni cobs t r uct i vepul monar ydi s eas e 山形大学医学部器官病態統御学講座 循環・呼吸・腎臓内科学分野 久保田 功 教授 I saoKubot a Emai l :i kubot a@med. i d. yamagat au. ac. j p Pr of i l e 昭和 54年 山形大学医学部卒業 平成 14年より現職 研究概要 Research Summary 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は長期間の喫煙や粉塵暴露 I nchr oni cobs t r uct i vepul monar ydi s eas e( COPD) , によって発症し、慢性の咳嗽・喀痰と労作性の呼吸困難 i ti s wel lknown t hatpat i ent s who pr ogr es s i vel y を主訴とする疾患であり、今後さらに患者数が増大する ghtorf r equent l y cont r actr es pi r at or y l os ebody wei ことが確実視されている。COPDには「やせる人」と「や i nf ect i on haveapoorpr ognos i s . However ,genet i c せない人」の2つの病型があり、 「やせ」は呼吸機能とは el at ed t ot hos e phenot ypesr emai ned backgr ound r 独立した予後規定因子であることがよく知られていたが、 unknown.Wede mons t r at edi nt hi sr es ear cht hat1) 「やせ」の原因は不明であった。われわれは、「やせ」が、 t os si sas s oci at ed wi t h a SNP of hebody wei ghtl 脂肪酸代謝に関連するフォスフォリパーゼA2遺伝子の s ecr et or y phos phol i pas e A2I I D gene and 2) 一カ所の SNPに関連していることを発見した(文献8) 。 h due t o f r equency ofacut e exacer bat i on and deat この SNPではCがTとなると、生成されるアミノ酸はグ pneumoni ai sl ar gel y det er mi ned by aSNP i nt he リシンからセリンへと変わり、このタイプを有する症例 CCL1gene, encodi ng a chemot act i c f act or f or には「やせ」が多かった。下図は、Tの有無別に患者を i mmunecel l s . 2群に分けて、BMI別の人数を示したものであるが、BMI I naJapanes egener alpopul at i on,wei dent i f i eda が 20以下の「やせ」の症例の殆どがTを有することが分 SNP whi ch i sas s oci at ed wi t hr es pi r at or yf unct i on, かる。一方、下気道の易感染性が COPDの予後と密接な ch det er mi ned pl as mal evel sofBNP, oraSNP whi 関連を有することも知られていたが、急性増悪に関与す anes t abl i s hedbl oodmar kerofhear tf ai l ur e. る遺伝的背景は不明であった。われわれは COPD患者に おいて下気道の易感染性を規定する原因遺伝子を明らか にした(文献6)。CCL1という免疫細胞の遊走に関与す る遺伝子上の一つの SNPによって、肺炎に罹り易さが大 きく異なり、前向き研究によって予後(死亡率)にも決 定的な影響を及ぼしていた。今後は、これらの知見を COPDの新たな治療法の開発に繋げたいと考えている。 また一般住民において、心不全の血中マーカーであ る BNPを規定する SNP(文献3)や呼吸機能に影響 を及ぼす SNPを同定し(文献1)、また心疾患の診断 に用いられる HFABP値は年齢、体格指数、腎機能、 心電図スコアの影響を受けることを示した(文献2) 。 46 研究組織 研究代表者:久保 田功(教授) i kubot a@med. i d. yamagat au. ac. j p ht t p: / / mi nf o. i d. yamagat au. ac. j p/ nai ka1/ i ndex. ht ml 研究分担者:竹石 恭知(准教授)t akei s hi @med. i d. yamagat au. ac. j p 柴田 陽光(講師) s hi bat a@med. i d. yamagat au. ac. j p Major Publications 1) Tak abat ak eN,Tor i y amaS,Tak ei s hiY,Shi bat aY,Kont aT,I noueS,AbeS,I gar as hiA,Tok ai r i nY,I s hi iM,Koy anoS,EmiM,Kat o T,Kawat aS,Kubot aI .Anonf unc t i oni ngs i ngl enuc l eot i depol y mor phi s m genef ami l yi sas s oc i at edwi t ht hef or c edex pi r at or y vol umei nt hef i r s ts ec onds / t hef or c ed vi t alc apac i t yval uesofpul monar yf unc t i on t es ti n aJ apanes epopul at i on. Bi oc hem Bi ophy sResCommun.2007Des 21,364( 3) : 662667. 2) Ni i z ek iT,Tak ei s hiY,Tak abat ak eN,Shi bat aY,Kont aT,Kat oT,Kawat aS,Kubot aI .Ci r c ul at i ngl evel sofhear t t y pef at t yac i dbi ndi ngpr ot ei ni nagener alJ apanes epopul at i on.Ci r cJ .2007Sep;71( 9) : 14521457. 3) Tak ei s hiY,Tor i y amaS,Tak abat ak eN,Shi bat aY,Kont aT,Kat o T,Kawat aS,Kubot aI .L i nk agedi s equi br i um anal y s esof nar i ur et i cpept i depr ec ur s orBl oc usr evealr i s khapl ot y pec onf er r i nghi ghpl as maBNPl evel s .Bi oc hem Bi ophy sResCommun. 2007Oc t19;362( 2) : 480484. 4) Sat aM,Tak abat ak eN,I noueS,Shi bat aY,AbeS,Mac hi y aJ ,WadaT,J iG,Ki do T,Mat s uur aT,Mur amat s u MA,Kubot aI . I nt r oni cs i ngl enuc l eot i de pol y mor phi s ms i n Bc l 2ar e as s oc i at ed wi t hc hr oni c obs t r uc t i ve pul monar y di s eas es ever i t y . Res pi r ol ogy .2007J an; 12( 1) : 3441 5) Mac hi y aJ I ,Shi bat aY,Yamauc hiK,Hi r amaN,WadaT,I noueS,AbeS,Tak abat ak eN,Sat aM,Kubot aI .Enhanc edex pr es s i on ofMaf Bi nhi bi t smac r ophageapopt os i si nduc edbyc i gar et t es mok eex pos ur e.Am JRes pi rCel lMolBi ol .2007Apr ; 36( 4) :418426. 6) Tak abat ak eN,Shi bat aY,AbeS,WadaT,Mac hi y aJ I ,I gar as hiA,Tok ai r i nY,J iG,Sat oH,Sat aM,Tak ei s hiY,EmiM,Mur amat s u M,Kubot aI .As i ngl epol y mor phi s mi nCCL 1genepr edi c t sac ut eex ac er bat i onsi nCOPD.Am JRes pi rCr i tCar eMed.2006Oc t 15;174( 8) : 875885. 7) Ar i mot oT,Tak ei s hiY,Tak ahas hiH,Shi s hi doT,Ni i z ek iT,Koy amaY,Shi gaR,Noz ak iN,Nak aj i maO,Ni s hi mar uK,AbeJ I ,Endoh M,Wal s hRA,Got oK,Kubot aI .Car di ac s pec i f i cover ex pr es s i onofdi ac y l gl y c er olk i nas eζ pr event sGqpr ot ei nc oupl edr ec ept or agoni s t i nduc ed c ar di achy per t r ophyi nt r ans geni cmi c e.Ci r c ul at i on. 2006J an3;113( 1) : 6066. 8) Tak abat ak eN,Sat aM,Shi bat aY,AbeS,WadaT,Mac hi y aJ I ,J iG,Mat s uur aT,Tak ei s hiY,Mur amat s uM,Kubot aI .A novel pol y mor phi s mi ns ec r et or yphos phol i pas eA2I I Di sas s oc i at edwi t hbodywei ghtl os si nCOPD.Am JRes pCr i tCar e.2005Nov 1;172( 9) : 10971104. 9) Tak ahas hiH,Tak ei s hiY,Sei dl erT,Ar i mot oT,Ak i y amaH,Hoz umiY,Koy amaY,Shi s hi doT,Ts unodaY,Ni i z ek iT,Noz ak iN,Abe J I ,Has s enf us sG,Got o K,Kubot aI . Adenovi r us medi at ed over ex pr es s i on ofdi ac y l gl y c er olk i nas ez et ai nhi bi t sendot hel i n1i nduc edc ar di omy oc y t ehy per t r ophy .Ci r c ul at i on.2005Mar29;111( 12) : 15101516. 10)Tak abat ak eN,Sat aM,AbeS,I noueS,Sai t oH,Yuk iH,Shi bat aY,Kubot aI .I mpai r eds y s t emi cc el l medi at edi mmuni t yand i nc r eas eds us c ept i bi l i t yt oac ut er es pi r at or yt r ac ti nf ec t i onsi npat i ent swi t hCOPD.Res pi rMed.2005Apr ;99( 4) : 485492. 47 2 研究概要 中高年女性の健康に関する分子疫学研究・教育 Mol ecul arEpi demi ol ogyf ort hePos t menopaus alWomen' sHeal t h Pr of i l e 山形大学医学部発達生体防御学講座 女性医学分野 倉智 博久 教授 Hi r ohi saKur ach Emai l :hkur achi @med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 疫学的な研究成績によりからも、閉経後女性には、 症、動脈硬化、高コレステロール血症、 タ リック症 が 増することが明らかとされている。 最近、日本人女性の 寿命は 86歳を超えたが、閉 経年齢は 400年以上にわたってかわらず 50歳のまま なので、多くの女性は 35年以上にわたる めて長い閉 経後の生活を ることとなる。さらに、50歳以上の日 本人女性の人 は 2, 800 人に達しようとしていると 定され、 今後もさらなる増加が確実である。したがっ て、閉経後女性の ルス アは、医療経済的にも、 的にも重要な である。 私たちは、下図に示すように、① 卵巣摘出によって エストロゲンが減少すると、 わずか 1週間で血管の内皮 機能を反映する Fl ow Medi at edVas odi l at at i on( FMD) が有意に低下すること、② 術後 1週間後から、血管に おいてはエストロゲン作用を発揮するラロキシフェン を投与すると、FMDの値はほぼ術前のレベルまで回復 すること、 を明らかとした。 この成績は、 エストロゲンが 血管の内皮からの一酸化窒素 ( NO)の産生分泌に重要 な働きをしていることを示唆する。最近の大規模臨床 は心血管系 試験の結果では、 ホルモン補充療法 (HRT) 疾患を予防しないと報告されたが、閉経後のエストロ ゲンの減少が心血管系疾患の増加をもたらすことは確 実である。 したがって、 今後は閉経以後に治療を開始す る医療から、 閉経以前から疾病の予防を意識した生活 習慣の改善や指導を行うことが重要であると思われる。 このように、閉経は女性にとって多くの疾病発症の 重要なリスク因子と考えられている。女性一人ひとり の閉経後の疾病の発症しやすさを知ることができれば、 個々の生活習慣に沿った指導が可能であり、また医療 経済効率もよいものと考えられる。 私たちは健診に参加していただいている住民を対象 として、閉経以後の疾病の有無とその状態、およびヒ トゲノム上に見いだされる遺伝子における一塩基変異 多型 ( Si ngl eNucl eot i dePol ymor phi s m( SNP) )との関 連を解析することを目的として研究を続けている。 本研究により、閉経というリスクに関わる疾患感受性 と、その個体差に関わる疾患関連遺伝子を見いだし、 臨床応用への発展に貢献したいと考えている。 48 昭和 24年生まれ 昭和 51年 大阪大学医学部卒業 昭和 59年~ 61年 米国国立衛生研究所へ留学 平成 8年より大阪大学医学部講師 平成 11年より大阪大学医学部助教授 平成 12年より山形大学医学部教授 Research Summary I ti swel lknown t hatdys l i pi demi a,os t eopor os i s and car di ovas cul ar di s eas es i ncr eas e i n pos t menopaus al women. Sever al obs er vat i onal s t udi eshave r epor t ed t hates t r ogen i mpr ovesl i pi d met abol i s m,i ncr eas esbonemi ner aldens i t y and i s ant i at her os cl er ot i c. We have r ecent l y r epor t ed t hat ovar i ect omy s i gni f i cant l y r educed t he f l ow medi at ed vas odi l at at i on( FMD)whi chi sas ens i t i vepar amet er f ort hepr oduct i on and r el eas eofni t r i coxi de( NO) f r om t he endot hel i alcel l s ,wi t hi n a week oft he oper at i on,and t hat r al oxi f ene,whi ch exhi bi t san es t r ogen agoni s t i c ef f ect i nt he vas cul ar t i s s ues , i mpr oved t he i mpai r ment i n FMD by t he ovar i ect omy ( Takahas hi K et al . Menopaus e 2007; 14: 656661) .The r es ul t ss ugges ta benef i ci al ef f ect sofes t r ogenont hevas cul at ur e. However ,t he Women’sHeal t hI ni t i at i ve ( WHI ) cl i ni cal t r i al s of HRT demons t r at ed no over al l benef i t of HRT f or t he car di ovas cul ar di s eas e pr event i on i n pos t menopaus al women. Si nce pr event i ve medi ci ne i s mor ei mpor t ant i n t he women' s l i f e, we ar e goi ng t o expl or e t he as s oci at i on bet ween s i ngl e nucl eot i de pol ymor phi s ms and di s eas es whi ch r emar kabl y i ncr eas ei npos t menopaus alwomen. 研 究 組 織:山形大学医学部発達生体防御学講座女性医学分野 研究代表者:倉智 博久(教 授)hkur achi @med. i d. yamagat au. ac. j p 研究分担者:中原 健次(准教授)knakaha@me d. i d. yamagat au. ac. j p 高橋 一広(講 師)kt aka@med. i d. yamagat au. ac. j p Major Publications 1. KawagoeJ ,Ohmi c hiM,Ts ut s umiS,Oht aT,Tak ahas hiK,Kur ac hiH.Mec hani s m oft hedi ver gentef f ec t sofes t r ogenont he c el lpr ol i f er at i onofhumanumbi l i c alendot hel i alver s usaor t i cs moot hmus c l ec el l s . Endoc r i nol ogy . 2007i npr es s 2. Yi nL ,Mor i s hi geK,Tak ahas hiT,Has hi mot o K,Ogat aS,Ts ut s umiS,Tak at aK,Oht aT,KawagoeJ ,Tak ahas hiK,Kur ac hiH. Fas udi li nhi bi t svas c ul argr owt hf ac t or i nduc edangi ogenes i si nvi t r oandi nvi vo. MolCanc erTher2007; 6( 5) : 15171525 3. Tak ahas hiK,Mor i Abe A,Tak at a K,Oht a T,Kawagoe J ,Ts ut s umiS,Ohmi c hiM,Kur ac hiH.Ral ox i f ene i mpr oves t he ovar i ec t omy i nduc edi mpai r menti nendot hel i umdependentvas odi l at at i on. Menopaus e2007; 14( 4) : 656661 4. Oht aT,Ohmi c hiM,Hay as ak aT,Mabuc hiS,Sai t oh M,KawagoeJ ,Tak ahas hiK,I gar as hiH,Du B,Dos hi daM,I s hi daGM, Mot oy amaT,Tas ak aK,Kur ac hiH.I nhi bi t i on ofphos phat i dy l i nos i t ol3k i nas ei nc r eas esef f i c ac yofc i s pl at i ni ni n vi voovar i an c anc ermodel s . Endoc r i nol ogy2006; 147( 4) : 17611769 5. Dos hi daM,Ohmi c hiM,Ts ut s umiS,KawagoeJ ,Tak ahas hiT,Du B,Mor i AbeA,Oht aT,Sai t ohSek i guc hiM,Tak ahas hiK, Kur ac hiH.Ral ox i f enei nc r eas espr ol i f er at i onandupr egul at est el omer as eac t i vi t yi nhumanumbi l i c alvei nendot hel i alc el l s .J Bi olChem 2006; 281( 34) : 2427024278 6. Sai t ohM,Ohmi c hiM,Tak ahas hiK,KawagoeJ ,Oht aT,Dos hi daM,Tak ahas hiT,I gar as hiH,Mor i AbeA,DuB,Ts ut s umiS, Kur ac hiH. Medr ox y pr oges t er one ac et at ei nduc es c el lpr ol i f er at i on t hr ough upr egul at i on ofc y c l i n D1ex pr es s i on vi a phos phat i dy l i nos i t ol3k i nas e/ Ak t / nuc l earf ac t or -κ Bc as c adei nhumanbr eas tc anc erc el l s .Endoc r i nol ogy2005; 146( 11) : 49174925 7. Tak ahas hiK,Tanak a E,Mur ak amiM,Mor i Abe A,Kawagoe J ,Tak at a K,Ohmi c hiM,Kur ac hiH.L ongt er m hor mone r epl ac ementt her apydel ay st heager el at edpr ogr es s i onofc ar ot i di nt i mamedi at hi c k nes si nheal t hypos t menopaus alwomen. Mat ur i t as2004; 49:170177 8. Ohmi c hiM,Hay ak awaJ ,Tas ak aK,Kur ac hiH,Mur at aY.Mec hani s msofpl at i num dr ug r es i s t anc e.Tr endsPhar mac olSc i 2005; 26( 3) : 113116 9. Mi ur aS,Tanak aE,Mor iA,Toy aM,Tak ahas hiK,Nak ahar aK,Ohmi c hiM,Kur ac hiH.Hor moner epl ac ementt her apyi mpr oves ar t er i als t i f f nes si nnor mot ens i vepos t menopaus alwomen. Mat ur i t as2003; 45( 4) : 293298 10.KawagoeJ ,Ohmi c hiM,Tak ahas hiT,Ohs hi maC,Mabuc hiS,Tak ahas hiK,I gar as hiH,Mor i AbeA,Sai t ohM,DuB,Oht aT, Ki mur aA,Ky o S,I noueM,Kur ac hiH.Ral ox i f enei nhi bi t ses t r ogeni nduc ed upr egul at i on oft el omer as eac t i vi t yi n ahuman br eas tc anc erc el ll i ne. JBi ol Chem 2003; 278( 44) : 4336343372 49 2 研究概要 高畠町住民を対象とした生活習慣、食習慣、運動習慣に関する疫学調査 Anepi demi ol ogi cals ur veyofl i f es t yl e,di et ar yhabi tandexer ci s ehabi ti nTakahat a 山形大学大学院医学系研究科生命環境 医科学専攻社会環境予防医学部門 公衆衛生学講座 深尾 彰 教授 Aki r aFukao EMai l : af ukao@med. i d. yamagat au. ac. j p Pr of i l e 昭和 25年 昭和 51年 昭和 54年 昭和 57年 平成 1年 平成 8年 仙台市生まれ 東北大学医学部卒業 東北大学医学部第 3内科医員 東北大学医学部公衆衛生学助手 東北大学医学部公衆衛生学助教授 山形大学医学部公衆衛生学教授 研究概要 Research Summary 2005年 5月、高畠町の 40歳以上住民 15, 310名に対 Wecar r i edoutt hes ur vey ofl i f es t yl e,di et ar y habi t して生活習慣、食習慣、運動習慣に関する調査を行っ a andexer ci s ehabi ton 15, 310r es i dent sofTakahat た。質問票は、生活習慣に関しては独自に開発したも i nMay,2005.Fordi et ar y habi tandexer ci s ehabi t , の、食習慣、運動習慣については、栄養成分や運動量 we us ed t he ques t i onnai r es devel oped i n Japan が定量化できる J apanAr t er i os cl er os i sLongi t udi nal Ar cl er os i s Longi t udi nal St udy ( JALS) , by t er i os 196名 St udy( JALS)で開発されたものを用いた。 13, whi ch quant i t i esofnut r i ent sand exer ci s e can be (82%)から回答があったが、解析に同意した 8, 797 es i dent sr es ponded,and dat a of es t i mat ed.13, 196r 名のデータについて解析を進めている。 8, 797r es i dent s who gave cons ent ar e now 一部の解析結果を表に示す。男性を喫煙習慣(現在 anal yzi ng. 喫煙、過去喫煙、非喫煙)で分けて、主な摂取栄養素 Oneoft hepr el i mi nar yr es ul t si ss howed bel ow. を比較したものである。これによると、喫煙者は、非 Sever alnut r i ent sar e compar ed by s moki ng s t at us 喫煙者に比較して脂肪、炭水化物、βカロテン、ビタ moker ,exs moker s ,nons moker s )among ( pr es ents ミンCの摂取が有意に低く、アルコールの摂取が有意 mal es ubj ect s .I ti sr eveal ed t hat i nt ake of f at , に高かった。 ot eneandvi t ami nCf ors moker s car bohydr at e,β car これらのデータと、基本健康診査のデータ、山形大 ar es i gni f i cant l yl owert han t hos ef ornons moker s , 学が実施した特殊検診データを有機的に組み合わせさ moker si ss i gni f i cant l y and al cohol i nt ake f or s らに検討を進める予定である。 hi gher . I ncl udi ng dat aoft heannualheal t h exami nat i on andt hes peci almedi calexami nat i onsconduct edas hi sCOEpr ogr am,wear ecar r yi ngf or war d apar toft t hi scompr ehens i veepi demi ol ogi cals t udy. 50 研 究 組 織:山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻公衆衛生学講座 研究代表者:深尾 彰(教授)af ukao@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究分担者:石川 仁(準教授)h. i s kw@med. i d. yamagat au. ac. j p 邵 力(助教)s hor i @med. i d. yamagat au. ac. j p Tabl e Es t i mat edquant i t i esofnut r i ent sbys moki ngs t at us nut r i ent s ener gy( kcal ) pr ot ei n( %E) f at( %E) car bohydr at e( %E) al cohol( g) βc μg/ ar ot ene( 1000kcal ) vi t ami nC( mg/ 1000kcal ) s moker s n=1184 exs moker s n=1189 nons moker s n=434 2348±21 12. 6±0. 1 20. 2±0. 2* 57. 2±0. 2* 28. 6±0. 9* 1253±26* 40±1* 2366±21 12. 6±0. 1 20. 6±0. 2* 57. 8±0. 2* 25. 4±0. 9* 1325±26 42±1 2314±33 12. 9±0. 1 21. 4±0. 3 59. 0±0. 4 18. 0±1. 5 1405±41 45±1 * :p<0. 05 Major Publications 1) Ak ht arM,Kur i y ama S,Nak ay a N,s hi mi z u T,Ohmor iK,Ni s hi no Y,Ts ubono Y,Fuk ao A,Ts uj iI :Al c oholc ons umpt i on i s as s oc i at ed wi t h ani nc r eas ed r i s kofdi s t alc ol on and r ec t alc anc eri nJ apanes emen:t heMi y agiCohor tSt udy .EurJCanc er . 43( 2) : 283290,2007. 2) NaganumaT,Kur i y amaS,Ak ht erM,Kk i z ak iM,Nk ay aN,Mat s udaOhmor iK,Shi mi z uT,Fuk aoA,Ts uj iI :Cof f eec ons umpt i on andt her i s kofc ol or ec t alc anc er : apr os pec t i vec ohor ts t udyi nJ pan. I ntJc anc er . 120( 7) : 15427, 2007. 3) I s hi k awa A,Kur i y ama S,Ts ubono Y,Fuk ao A,Tak ahas hiH,Tac hi y a H,Ts uj iI :Smok i ng,al c oholdr i nk i ng,gr een t ea c ons umpt i onandt her i s kofes ophagealc anc eri nJ apanes emen. JEpi demi ol . 16( 5) : 18592,2006. 4) I s hi k awaH,I s hi k awaT,Mi y at s uY,Kur i har aK,Fuk aoA,Yok oy amaK:Apol y mor phi s m oft hemet hi oni nes y nt has er educ t as e genei nc r eas esc hr omos omaldamagei nper i pher all y mphoc y t esi ns mok er s . Mut atRes . 599( 12) : 13543,2006 51 2 研究概要 Cyt ochr omeP4502C19遺伝多型が健常人の人格特徴に与える影響 I nf l uenceofcyt ochr omeP4502C19pol ymor phi s m ont heper s onal i t yt r ai t s 山形大学医学部発達生体防御学講座 発達精神医学分野 大谷 浩一 教授 Koi chiOt ani Emai l :ot ani @med. i d. yamagat au. ac. j p Pr of i l e 昭和 56年 弘前大学医学部卒業 昭和 59年 スウェーデン・カロリンスカ研究所留学 平成 9年 山形大学医学部精神神経医学講座 教授 研究概要 Research Summary 人格の形成には、遺伝的要因が強く関与すると報告 I thasbeen s ugges t ed t hatper s onal i t yt r ai t sar e さ れ て い る。遺 伝 的 に 規 定 さ れ た 活 性 を 示 す her i t abl e. The pol ymor phi c cyt ochr ome P450 Cyt ochr omeP450( CYP)2C19は、多くの薬剤に加え、 ( i zes s ex hor mones and 5CYP) 2C19met abol 性ホルモン、セロトニンなどの脳機能に関与する種々 hydr oxyt r ypt ami ne,whi char ei nvol vedi n mul t i pl e の物質の代謝を司ることが報告されている。そのため、 br ai n f unct i ons . he I n t he pr es ent s t udy, t CYP2C19遺伝多型は人格特徴に影響を与える可能性 r el at i ons hi p bet ween t he CYP2C19pol ymor phi s m が示唆される。そこで、本研究では健常日本人におい and per s onal i t y t r ai t s was exami ned i n 487 て、CYP2C19遺伝多型と人格特徴との関係を検討した。 J eer s . Per s onal i t yt r ai t s apanes e heal t hy vol unt 対象は 487人の健常日本人(男性 244例、女性 243 wer eas s es s ed by t heTemper amentand Char act er 例)であった。人格特徴は日本語版 Te mper amentand el es I nvent or y ( TCI ) , and t he t wo mut at ed al l Char act erI nvent or y( TCI )にて評価し、CYP2C19代謝 caus i ngabs entCYP2C19act i vi t ywer ei dent i f i edby 欠損遺伝子 ( * 2, * 3)は PCRRFLP法にて同定した。女 a PCRRFLP met hod. I nf emal es ,t he s cor es of 性において、代謝欠損者は代謝正常者と比較し、報酬 d dependence ( p=0. 026) , cooper at i venes s r ewar 依存、協調性、自己超越性の項目の点数が低値であっ ( p=0. 001) , and s el f t r ans cendence ( p=0. 049) wer e た(Tabl e1,Fi g.1)。一方、男性においては、TCIの n poormet abol i zer s( PMs )t han s i gni f i cant l yl oweri 7項目全てにおいて、代謝正常者と代謝欠損者の間に i next ens i vemet abol i zer s( EMs )( Fi g. 1,Tabl e1) .I n 有意差は認められなかった(Tabl e1)。以上より、本 mens i ons was mal es , none of t he s even TCI di 研究において、 CYP2C19遺伝多型は健常日本人女性の s i gni f i cant l ydi f f er entbet weenEMsandPMs( Tabl e 人格特徴に影響を与えることが示された。 1) . The pr es ent s t udy t hus s ugges t st hat t he CYP2C19pol ymor phi s m af f ect sper s onal i t yt r ai t sof Japanes ef emal es . 52 研 究 組 織:山形大学医学部発達生体防御学講座発達精神医学分野: 研究代表者:大谷 浩一(教授) 研究分担者:鎌田 光宏(准教授)、青嶋 利明(講師)、鈴木 昭仁(助教)、石井 玄樹(医員) Fi g. 1 CYP2C19が女性の報酬依存、協調性、自己超越性に与える影響 Tabl e1.CYP2C19活性が I CIの7項目に与える影響 Major Publications 01.I s hi iG,Suz uk iA,Os hi noS,Shi r ai s hiH,Mat s umot oY,Ot anik ,Got oK. As s oc i at i on s t udyofc at ec hol O-met hy l t r ans f er as e Val 158Metpol y mor phi s m wi t hper s onal i t yt r ai t si nJ apanes eheal t hyvol unt eer s . EurPs y c hi at r y22: 462465,2007. 02.Mat s umot o Y,Suz uk iA,I s hi iG,Os hi no S,Ot aniK,Got o K. The 181A/ C pol y mor phi s m i nt he ex c i t at or y ami no ac i d t r ans por t er 2genepr omot eraf f ec t st heper s onal i t yt r ai tofr ewar ddependenc ei nheal t hys ubj ec t s .Neur os c iL et t427:99102, 2007. 03.Suz uk iA,Mat s umot o Y,I s hi iG,Os hi no S,Got o K,Ot aniK. No as s oc i at i on bet ween t he3081A/ Tpol y mor phi s mi nt he nor epi nephr i net r ans por t ergenepr omot erandper s onal i t yt r ai t si nheal t hys ubj ec t s . Neur os c iL et t425: 192194,2007. 04.Suz uk iA,Fuk as awa T,Shi r ai s hiH,I s hi iG,Os hi no S,Aos hi ma T,Ot aniK.No as s oc i at i on bet ween t he TPH A218C pol y mor phi s m and per s onal i t yt r ai t si nJ apanes eheal t hys ubj ec t s .Pr og Neur ops y c hophar mac olBi olPs y c hi at r y31:395398, 2007. 05.I s hi iG,Suz uk iA,Os hi no S,Shi r ai s hiH,Ot aniK. CYP2C19pol y mor phi s m af f ec t sper s onal i t yt r ai t sofJ apanes ef emal es . Neur os c iL et t411: 7780,2007. 06.Shi r ai s hiH,Suz uk iA,Fuk as awaT,Aos hi maT,Uj i i eY,I s hi iG,Ot aniK.Monoami neox i das eA genepr omot erpol y mor phi s m af f ec t snovel t ys eek i ngandr ewar ddependenc ei nheal t hys t udypar t i c i pant s . Ps y c hi at rGenet16: 5558,2006. 53 2 研究概要 生活習慣病としての循環器疾患の病態解明と治療の基礎的研究・教育 Bas i cr es ear choncel l ul armechani s msandt her apeut i cbas i sofcar di ovas cul ardi s eas es 山形大学医学部器官機能統御学講座 循環薬理学分野 石井 邦明 教授 Kuni akiI shi i Emai l :kui s hi i @med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は生活習慣病と Pr of i l e 昭和 56年 昭和 61年 平成 8年 平成 17年 東北大学医学部卒業 東北大学医学部助手 山形大学医学部助教授 同 医学部教授 Research Summary I s chemi c hear tdi s eas es ,one ofl i f es t yl er el at ed di s eas es , pos s i bl y l ead t o hear t f ai l ur e and vent r i cul ar ar r hyt hmi at hat may be f at al .I ti s k n o wn t h a t t h e c o mp e n s a t o r y mo d u l a t i o n i n d u c e d よって致死的不整脈が生じたりする。慢性うっ血性心 t i vat i on ofneur ohumor alf act or s ,es peci al l y 不全が発症する過程においては、全身的に活性化され by ac s ympat het i c s ys t em, r eni nangi ot ens i n s ys t em る神経・液性因子による代償機構が心不全の病態の進 ( RAS)and endot hel i ns ys t em,pl aysan i mpor t ant 行に重要な役割を演じていることが知られている。こ r ol e dur i ng t he cour s e ofconges t i ve hear tf ai l ur e れらの代償機構として、特に交感神経系、レニン・ア ( CHF) .I nf act ,l ar ges cal ecl i ni calt r i al shavepr oved ンジオテンシン系、エンドセリン系の重要性が認識さ t βAR) hatt hei nhi bi t or sofRASandβadr enocept or( れており、これまでの大規模臨床試験によって、β受 bl ocker si mpr ove t he pr ognos i s ofCHF pat i ent s . 容体遮断薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の投与が Howe ver ,t he det ai l s ofr egul at or yr ol e oft hes e 心保護作用を示し心不全患者の寿命を延長することが e ndogenous f act or si nt he devel opment of CHF tbeenel uci dat ed.I nt hepr es ents t udy, 明らかにされている。しかしながら、これらの調節系 havenotye we i n v e s t i g a t e d t h e c r o s s t a l k o f s y mp a t h e t i c s y s t em が心不全の病態にどのように関与しているのかについ ndot hel i ns ys t em i nt her egul at i on ofcar di ac て、その詳細は依然として不明であり、ことにエンド and e c o n t r a c t i l i t y a n d i n t h e mo d u l a t i o n o f t h e s l o wl y セリンの関与については相反する研究結果が報告され a c t i v a t i n g d e l a y e d r e c t i f i e r p o t a s s i u m c u r r e n t ( I ) , Ks ている。 and obt ai ned t hef ol l owi ng r es ul t s .1)ET1el i ci t ed 本研究では、心室筋の収縮機能調節および心筋遅延 onl yas mal lt r ans i ent negat i ve i not r opi c ef f ect 整流性 K 電流 I Ksの修飾におけるエンドセリン系と交 ( NI E) ,buti ti nducedapr omi nentpos i t i vei not r opi c 感神経系のクロストークについて検討を行い、以下の e f f ect ( PI E) and a pr onounced s us t ai ned NI E, 結果を得た。1)イヌ心室筋において ET1は単独で dependi ngon t hedegr eeofβAR act i vat i on i n dog は弱い一過性陰性変力作用を惹起するのみであったが、 ve nt r i cul ar myocar di um. 2) Di f f er ent s i gnal i ng 軽度のβ受容体刺激下では陽性変力作用を惹起し、高 pr oces s es ar e i nvol ved i n t hes e compl i cat ed not r opi cef f ect si nduced by t he cr os s t al k bet ween 度のβ受容体刺激下においては顕著な陰性変力作用を i ympat het i c and endot hel i n s ys t em. 3) A l ow 惹起した。2)これらの ET1による効果は異なった s 1 i n c r e a s e d I , a n d h i gh c o n c e n t r a t i o n o f E T Ks シグナル伝達系を介していた。3)ヒト ETA 受容体と r at i onsofET1modul at edI i phas i cal l y( a Ks b KCNE1を用いた再構成系において ET1は低濃度で concent t r a n s i e n t i n c r e a s e f o l l o we d b y a s u s t a i n e d d e c r e a s e ) I Ksを増大し、高濃度では二相性に I Ksを修飾した(一過 i n oocyt es coexpr es s i ng human KCNE1and ETA 性の増大に引き続く持続的な減少) 。4)β受容体刺激 .4) Suppr es s i on of I y ETAR r ecept or ( ETAR) Ks b 下においては ET1による I Ksの減少作用がより強く現 act i vat i on was gr eat er i nt he pr es ence ofβAR れ、また逆に高濃度の ET1存在下ではβ受容体刺激 act i vat i ont hani ni t sabs ence.I ncr eas eofI yβAR Ksb の増大が抑制された。 による I Ks act i vat i on wasdi mi ni s hed i nt hepr es enceofhi gh これらの結果は、生活習慣病から進行し得る心不全の c oncent r at i onsofET1.Thes er es ul t si mpl yt hatnot 発症機構解明において、個々のシグナル伝達系だけで onl yeachr egul at or ys ys t em butal s ot hei rcr os s t al k はなく、シグナル伝達系間のクロストークについても s houl d be i nves t i gat ed t o f ul l y el uci dat e t he hogenes i sofhear tf ai l ur e. より詳細な検討を加える必要があることを示している。 pat 考えられているが、重度の虚血性心疾患では心臓のポ ンプ機能が低下し心不全が生じたり、興奮性の異常に 54 研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座循環薬理学分野 研究代表者:石井 邦明(教授)kui s hi i @med. i d. yamagat au. ac. j p 大倉 正道(講師)mohkur a@med. i d. yamagat au. ac. j p 西丸 和秀(助教)ni s hi mar @med. i d. yamagat au. ac. j p 図 交感神経系とエンドセリン系のクロストーク β受容体活性化の程度によって ET1による変力作用が全く異なる。 β受容体、ETA受容体の活性化の有無によってお互いの I KS修飾機構が影響を受ける。 Major Publications 1) Chu L ,Tak ahas hiR,Nor ot aI ,Mi y amot o T,Tak ei s hiY,I s hi iK,Kubot aI ,Endoh M.Si gnalt r ans duc t i on and Ca2+s i gnal i ng i n c ont r ac t i l er egul at i oni nduc edbyc r os s t al kbet weenendot hel i n1andnor epi nephr i ni ndogvent r i c ul army oc ar di um.Ci r cRes ( 2003)92,10241032. 2) I s hi iK,NagaiM,Tak ahas hiM,EndohM.Di s s oc i at i onofE4031f r om t heHERGc hannelc aus edbymut at i onsofanami noac i d r es ul t si ngr eat erbl oc kathi ghs t i mul at i onf r equenc y . Car di ovas cRes( 2003)57,651659. 3) Yomogi daS,Mar uy aJ ,Nor ot aI ,I s hi iK,EndohM:Di f f er ent i ali nhi bi t i onbyTAK044oft hei not r opi cef f ec t sof endot hel i n1 andendot hel i n3. EurJPhar mac ol( 2004)492,217224. 4) ChuL ,Nor ot aI ,Yomogi daS,I s hi iK,EndohM:Di f f er ent i ali not r opi cef f ec t sofendot hl i n1,angi ot ens i nI I ,andpheny l ephr i ne i nduc edbyc r os s t al kwi t hc AMPmedi at eds i gnal i ngpr oc es si ndogvent r i c ul army oc ar di um. JPhar mac olSc i( 2004)96,199207. 5) L i nC,NagaiM,I s hi gak iD,Hay as ak aK,EndohM,I s hi iK.Cr os s t al kbet weenβ1adr enoc ept orandETA r ec ept ori nmodul at i on oft hes l ow c omponentofdel ay edr ec t i f i erK+ c ur r ent s . Nauny nSc hmi edeber g’ sAr c hPhar mac ol( 2005)371,133140. 6) Pl aneF,J ohns onR,Ker rPM,Wi ehl erW,Thor nel oeK,I s hi iK,ChenT,Col eWC:Het er omul t i mer i cKvc hannel sc ont r i but et o my ogeni cc ont r olofar t er i aldi amet er . Ci r cRes( 2005)96,216224. 7) Endoh,M,Hor i ,M:Ac ut ehear tf ai l ur e:i not r opi cagent sandt hei rc l i ni c alus es .Ex per tOpi nPhar mac ot her( 2006)7( 16) : 21792202. 8) Ni s hi mar uK,Mi ur a,Y,Endoh,M:Mec hani s msofendot hel i n1i nduc ed dec r eas ei nc ont r ac t i l i t yi nadul tmous event r i c ul ar my oc y t es . BrJPhar mac ol( 2007)152,456463. 55 2 研究概要 活性酸素のかかわる疾患に対する抗酸化・レドックス系による防御機構 Ant i oxi dant / redoxsyst em asprot ect i vemechani sm agai nstdi seasescausedbyreact i veoxygenspeci es Pr of i l e 山形大学大学院医学系研究科生命環境 医科学専攻分子疫学部門 生体分子機能学講座 藤井 順逸 教授 Juni chiFuj i i 昭和 57年 3月 昭和 59年 3月 昭和 63年 3月 昭和 63年 4月 平成 2年 4月 平成 3年 2月 平成 4年 10月 平成 8年 12月 平成 11年 7月 平成 16年 4月 Emai l :j f uj i i @med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 酸素分子が一電子還元を受けて生じるスーパーオキシド からは、ラジカル連鎖反応により様々な活性分子種が生じ る。生体では、各種抗酸化・レドックス系が、活性酸素の 毒性から身を護る防御系として働いている。本研究では主 に、活性酸素種の中で、光老化反応について関与が指摘さ れながらも、解明の遅れている一重項酸素による細胞傷害 の機構を調べ、また、抗酸化酵素として老化防止や酸化ス トレスからの防御の上で中心的な役割を担う Supe r oxi de Di s mut as e1( SOD1)の欠損マウスの新たな表現型の検出 とその機構について解析を進めた。さらに新規抗酸化酵素 の遺伝子改変マウスを作製し、表現型解析を進めている。 得られた結果は以下の通りである。まず、アポトーシス を引き起こすと考えられていた一重項酸素が、アポトーシ スの実行にかかわる分子種を酸化的に不活性化することで、 むしろアポトーシスの進行を抑制する事を明らかにした。 しかしこのアポトーシス抑制により、本来除去される傷害 細胞が貪食されずに残るため、炎症反応を激化させる要因 となっていると考えられる。 SOD1の変異が家族性筋萎縮性側索硬化症 ( FALS)の原 因となることが知られているが、SOD1欠損マウスは症状 を示さない。しかしながら詳細な解析から、赤血球の寿命 が6割程度に短縮しており、それは酸化の亢進が原因であ ることをつきとめた。その結果、著しい貧血を呈する上に、 加齢に伴い赤血球に対する自己抗体が生成し、自己免疫様 の症状を呈することを明らかにした。酸化ストレスと自己 免疫との関連を明らかにするために、赤血球特異的にヒト SOD1を発現するトランスジェニックマウスを作製し、 SOD1欠損マウスと交配することで、全身性に SOD1を欠 き、赤血球にのみヒト SOD1を発現する遺伝子改変マウス を作製した。その結果、赤血球の酸化ストレスの軽減・寿 命の正常化・貧血の改善に加えて、抗赤血球抗体の産生も 抑制された。以上の結果は、自己免疫性疾患への酸化スト レスの関与を示し、抗酸化剤はその予防に有効である可能 性を示唆している。 また、数年前から手がけて来たチオレドキシン依存性ペ ルオキシダーゼ活性を有する酵素ペルオキシレドキシン4 のノックアウトマウス作製に成功した。このマウスは当初 の予想通り精子形成細胞に傷害が見られることから、配偶 子形成を保護していると考えられ、精子形成異常症などの 遺伝子疾患との関連が示唆された。 56 静岡大学理学部生物学科卒業 静岡大学大学院理学研究科修士課程修了(理学修士) 大阪大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士) トロント大学ベスト研究所博士研究員 学術振興会特別研究員(大阪大学医学部生化学教室) 大阪大学医学部生化学教室 助手 同 講師 同 助教授 山形大医学部生化学第二講座 教授 山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻 新設に伴い異動、現職 Research Summary Onee l ect r onr educt i onofmol ecul aroxygenpr oduces s uper oxi de ani on t hat i ni t i at es t he r adi cal chai n on. Li vi ng or gani s mshavevar i ousant i oxi dat i ve r eact i s ys t emst o pr ot ectagai ns tt oxi ci t y ofr eact i ve oxygen s peci es ( ROS) . Si ngl et oxygen i s not r adi cal but i nvol ved i n phot oagi ng ofs ki n. Wef ound t hats i ngl et os i s abor t i ve by i nhi bi t i ng t he oxygen makes apopt cas pas e pat hway. Thi sr es ul t si n det er i or at i on of ki nbys i ngl etoxygen. Super oxi de oxi dat i vei nj ur yofs di s mut as e( SOD)pl aysar ol ei ni nf l ammat i onandagi ng ng s uper oxi de ani on. Al t hough f ami l i al by s cavengi amyot r ophi cl at er al s cl er os i s( FALS) i s caus ed by i vel y mi l d phenot ypei sknown mut at i on i n SOD1,r el at f orSOD1def i ci entmi ce. Ourdat ai mpl yt hata hi gh es si n er yt hr ocyt es i ncr eas es t he l evelofoxi dat i ve s t r pr oduct i on ofaut oant i bodi esagai ns ter yt hr ocyt est hat t r oyed. We t r i ed t o demons t r at e ar e oxi di zed and des t hat t he el evat ed ROS i n RBC i s a caus ef or t he i r s tgener at edt r ans geni c aut oant i body pr oduct i on. Wef mi ce t hat expr es s human SOD1( hSOD1) under t he r egul at i on oft he GATA1pr omot erand,hence,have hSOD1pr ot ei n onl y i n RBC. Then we br ed t he t r ans gene ont o SOD1/ -backgr ound. Level s ofROS, hal f l i f eofRBC,andRBC cont enti nSOD1/ ; hSOD1t g/ + e mi cecar r yi ng human SOD1pr ot ei n onl yi n RBC wer aboutequi val entt ot hos eofwi l dt ypemi ce. Level sof e I gG boundt oRBC i nt heSOD1/ ; hSOD1t g/ +mi cewer al s os uppr es s ed t ot hatofwi l dt ype mi ce.I ncr eas ei n oxi dat i on l evel s ofant i bodi es agai ns t maj or l i pi d per pr oduct s ,4hydr oxynonenaland acr ol ei n,wasf ound. i body We concl ude t hat oxi dat i onmedi cat ed aut oant pr oduct i on i s r at her common mechani s m f or aut oi mmunedi s eas es . We al s o gener at ed a knockout mous et hat l acks per oxi r edoxi n 4( Pr x4) ,a new ant i oxi dat i ve enzyme oxi das e act i vi t y.Tes t es wi t ht hi or edoxi ndependentper of Pr x4knockout mi ce s how el evat ed apopt os i si n i s t ent wi t h our s per mat ogeni c cel l s , whi ch i s cons hypot hes i sr egar di ng Pr x4i ns per mat ogenes i s . Our r es ul t s s ugges t caus al connect i on bet ween Pr x4 mut at i on and i nher i t abl e di s eas es wi t h def ect i n s per mat ogenes i s . 研究分担者:岡田 太(同准教授)f uokada@med. i d. yamagat au. ac. j p 井内 良仁(同 助教)yi uchi @med. i d. yamagat au. ac. j p 図 酸化ストレスにより赤血球膜の脂質が過酸化され、4ol ei n( ACR)といった酸化産物が hydr oxynonenal( HNE)や acr 生じる。こうした酸化産物は生体にとっては異物と認識さ れるため、それに対する抗体が生じる。過酸化脂質をもつ 老化赤血球に抗体が結合することで、破壊を促進する。こ の反応が繰返されることで抗体の産生が増幅され、臨界濃 度を超えた時に自己免疫性溶血性貧血をもたらす可能性が ある。 Oxi dat i ve s t r es si nducesl i pi d per oxi dat i on ofer yt hr ocyt e ,s uch as 4membr ane and gener at es oxi dat i on pr oduct s hydr oxynonenal( HNE)andacr ol ei n( ACR) . Ant i bodi esbi nd oxi dat i onpr oduct saccel er at e er yt hr ocyt escar r yi ngl i pi dper des t r uct i onoft hem.Repet i t i onoft hi scycl ecanampl i f yt he es and,ul t i mat el y,caus e aut oi mmune hemol yt i c ant i bodi anemi a. Major Publications 1. Tani t oM,KwonYW,KondoN,BaiJ ,Mas ut aniH,Nak amur aH,Fuj i iJ ,Ohi r aA,andYodoiJ . Cy t opr ot ec t i veef f ec t sofor alger any l ger any l ac et one,ani nduc eroft hi or edox i nandheats hoc kpr ot ei n72,onl i ght i nduc ed r et i naldamagei nmi c e.J . Neur os c i . 25: 23962404( 2005) 2. Ot s uK,Sat oK,I k edaY,I maiH,Nak agawaY,OhbaY,andFuj i iJ . Anabor t i veapopt ot i cpat hwayi nduc edbys i ngel tox y geni sduet ot hes uppr es s i onofc as pas eac t i vat i on. Bi oc hem. J . 389: 197223( 2005) 3. Sut oD,Sat oK,OhbaY,Yos hi mur aT,andFuj i iJ . Suppr es s i on oft he pr oapopt ot i cf unc t i on ofc y t oc hr ome c by s i ngl etox y gen vi a a heme r edox s t at ei ndependent mec hani s m.Bi oc hem. J . 392: 399406( 2005) 4. I uc hiY,Ok adaF,OnumaK,OnodaT,As aoH,Kobay as hiM,andFuj i iJ . El evat edox i dat i ves t r es si ner y t hr oc y t esduet oanSOD1def i c i enc yc aus esanemi aandt r i gger saut oant i bodypr oduc t i on. Bi oc hem J ,402: 219227( 2007) 57 2 研究概要 インターロイキン 21による免疫制御機構の解析 Anal ys i sofI mmunor egul at i onbyI nt er l euki n21 Pr of i l e 山形大学医学部発達生体防御学講座 免疫学分野 浅尾 裕信 教授 Hi r onobuAsao Emai l :as aoh@med. i d. yamagat au. ac. j p 昭和 35年 宮城県仙台市生まれ 昭和 60年 東北大学医学部卒業 平成 3年 東北大学大学院医学系研究科修了 平成 8年~ 10年 エール大学医学部病理学教室研究員 平成 12年 東北大学医学部助教授 平成 15年 山形大学医学部教授 研究概要 免疫系は感染症やアレルギー、自己免疫などの免疫疾患 のみならず、様々な疾患の病態に深く関わっている。サイ トカインはその免疫応答を調節する極めて重要な液性因子 である。近年新たなサイトカインが次々と発見され、その 機能が明らかにされている。 2000年に発見されたインターロイキン ( I L) 21は、I L2、 I L4、I L7、I L9、I L15と 共 に、共 通 受 容 体 γ 鎖(γc) を共有するサイトカインであり、B細胞や T細胞など多く の免疫担当細胞に対して多彩な機能を有することが知られ ている。I L21は B細胞に対して最終分化を促すと同時に I gE産生を抑える機能を持ち、アレルギー性疾患との関連 が注目されている。また近年、関節リウマチや炎症性腸炎 など多くの炎症性疾患を引き起こすと考えられる I L17産 生性の TH17細胞分化に I L21が重要な役割を担っている ことが明らかになってきた。しかし、これらはマウスを用 いた研究が多く、ヒトの免疫機構とは明らかに異なる。 今回、未解明なヒト I L21の産生細胞や機能を解明する ことを目的に研究を行い、以下の点を明らかにしてきた。 1)リコンビナントヒト I L21を作成し、マウスに免疫す ることにより抗ヒト I L21単クロン抗体(4BG1)を作成し た。この抗体を用いてヒト I L21産生細胞を解析したとこ ろ、活性化 CD4+セントラルメモリーT細胞(TCM)とエフェ クターメモリーT細胞(TEM)に発現し、CD4+ナイーブ T 細胞や CD8+ T細胞からは産生されないことが判明した。他 のエフェクターサイトカインとの共発現解析により、I L21 はI FN-γ産生 TH1細胞や I L17産生 TH17細胞から産生さ れ、I L4産生 TH2細胞からは産生されなかった。この結果 は、ヒト I L21が TH1細胞や TH17細胞の機能発現に関わ ることを示唆した。 2)リンパ球はウイルス感染などにより生体内で減少する と、恒常性を保つためにホメオスタティックな抗原刺激非 依存性の増殖反応を起こす。この反応は免疫記憶の維持に も重要であると考えられており、この機能を調節している のがγ cサイトカインファミリーである I L7と I L15であ る。我々は I L21もこの機能を持つのではないかと考え解 析した。I L21単独ではこれを誘導しなかったが、I L7や I L15の存在下で誘導される CD4+記憶 T細胞の増殖を強 く促進し、さらに I L7や I L15に対して反応性の乏しい CD4+ナイーブ T細胞の増殖も促進した。この増殖促進機 能に関わる情報伝達経路を解析した結果、MAPキナーゼ系、 PI 3キナーゼ系の経路の他、I L21の主な情報伝達分子と考 え ら れ る STAT3を 介 し て CD4+ T細 胞、特 に ナ イ ー ブ CD4+T細胞のホメオスタシスを制御している可能性を示 した。 58 Research Summary I L21r egul at esmany f unct i onsofT cel l s ,B cel l s ,NK cel l s ,and dendr i t i c cel l s .Al t hough act i vat ed CD4+ T cel l spr oduceI L21,dat ai dent i f yi ngt hes peci f i cCD4+T cel ls ubs et st hatpr oduceI L21ar econf l i ct i ng. To i dent i f yt he I L21s ecr et i ng cel lpopul at i ons i n human,wees t abl i s hedahybr i domacel ll i nepr oduci ng anant i hI L21monocl onalant i body( mAb) .I nt r acel l ul ar hI L21s t ai ni ng exper i ment ss howed t hat hI L21was + mai nl y expr es s ed i n act i vat edCD4 cent r almemor yT ( TCM)cel l s and i n act i vat edCD4+ ef f ect ormemor yT ( TEM)cel l s ,butnoti n act i vat edCD4+ nai ve T cel l s . Mor eover ,I L21waspr oduceduponact i vat i onby s ome γI FNpr oduci ng TH1pol ar i zed cel l s and s ome I L17- pr oduci ng TH17pol ar i zed cel l s , but not by I L4pr oduci ngTH2pol ar i zedcel l s .Thes er es ul t ss ugges tt hat s peci f i cCD4+T cel lpopul at i onspr oduceI L21and t he pr oducedI L21mayr egul at et heef f ect orandmemor yT cel lf unct i ons . I nt he f unct i onal anal ys i s , we f ound t hat I L21 s i gni f i cant l y enhanced t hecyt oki nedr i ven pr ol i f er at i on + ofnotonl yCD4 memor yT cel ls ubs et sbutal s onai ve T cel l ss yner gi s t i cal l y wi t hI L7and I L15wi t houtT cel lact i vat i on s t i mul i .Fur t her mor ewes howedt hatI L21act i vat ed STAT3had an i ndi s pens abl er ol ei nt he cyt oki nedr i venCD4+Tcel lpr ol i f er at i on. 研究代表者:浅尾 裕信(教授)as aoh@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究分担者:奈良 英利(助教)nar a@med. i d. yamagat au. ac. j p RahmanMi (助教)m. zanur r ahman@med. i d. yamagat au. ac. j p 3)I L21には RNAスプライスの異なるアイソフォームが 存在することを発見した。ヒト I L21アイソフォームは細 胞外に分泌されず、細胞内に留まっている点でこれまでに 報告されている I L21と異なる。しかし、このアイソフォー ムは細胞内で情報伝達が可能であることを見出している。 この結果は I L21アイソフォーム産生 TH1や TH17細胞が、 周囲の細胞に影響することなく、自律的に機能出来ること を示唆している。 今後 TH1や TH17細胞が引き起こす各種免疫疾患での I L21や I L21アイソフォームの機能解析を進め、免疫疾患の 発症要因の特定や治療法の開発につなげて行きたいと考え ている。 Ne xt ,wei dent i f i edanoveli s of or m ofI L21,I L21i s o i n human and mous e.I L21i s omi ghtbean al t er nat i ve s pl i ci ng var i ant f or m and t he Ct er mi nal r egi on of pr edi ct ed I L21i s o ami no aci ds equenceswer edi f f er ent f r om or i gi nalI L21.Howevert hes ecr et i onef f i ci ency of hI L21i s oi smuch l owert han t hatofhI L21,ourdat a s ugges tt hatI L21i s ocan i nduces i gnal i ng even i nt he cel l s . St udi esar enow i npr ogr es st odet er mi net hef unct i on ofI L21and I L21i s oi n many i mmunol ogi caldi s eas es caus ed by TH1and TH17cel l s .Ul t i mat el y wehopeour r es ear chl eadt ot hedevel opmentofanew t r eat menton t hecyt oki nes i gnal i ng. 【図】 により活性化された TH1細胞や TH17細胞の一部はそれぞれ I 樹状細胞(DC) FN-γや I L17と共に I L21や I L21アイソフォー ムを産生する機能細胞となる。 Major Publications 1. As aoH,Ok uy amaC,Kumak iK,I s hi iN,Ts uc hi y aS,Fos t erD andSugamur aK;Thec ommonγc hai ni sani ndi s pens abl es ubuni t oft heI L 21r ec ept orc ompl ex . J . I mmunol . 167,15,2001. 2. Kunz mann S,Wohl f ahr tJ G,I t oh S,As aoH,KomadaM,Ak di sCA,Bl as erKand Sc hmi dt WeberCB;SARA and Hgsat t enuat e s us c ept i bi l i t yt oTGF-β1medi at edTc el ls uppr es s i on. FASEBJ . 17,194202,2003. 3. Ki t as at o Y,Hos hi no T,Ok amot o M,Kat o S,KodaY,Nagat aN,Ki nos hi t aM,KogaH,Yoon DY,As ao H,Ohmot o H,KogaT, Ri k i mar uTandAi z awaH;Enhanc edex pr es s i onofI L 18andi t sr ec ept ori ni di opat hi cpul monar yf i br os i s .Am JRes pi rCel lMol Bi ol . 6,619625,2004. 4. Kobay as hiH,Tanak aN,As ao H,Mi ur aS,Ky uumaM,Semur aK,I s hi iN,Sugamur aK. ;Hr s ,amammal i an mas t ermol ec ul ei n ves i c ul art r ans por tand pr ot ei ns or t i ng,s uppr es s est hedegr adat i on ofESCRTpr ot ei nsSTAM1and STAM2.JBi olChem.280, 1046810477,2005. 5. Mi z uguc hiM,Hi guc hiM,Fuj i iM,As ao H and Nak amur aM;HTL V1t axi nduc esI L 21and I L 21Rgeneex pr es s i on.AI DSRes . Hum. Ret r ov. 23,626626,2007. 6. RahmanM,Nar aH,OnodaT,Ar ak iA,L iJ .Hos hi noT.andAs aoH;Cl oni ngandChar ac t er i z at i onofanI s of or m ofI nt er l euk i n21. FEBSL et t . 581,40014009,2007. 7. OnodaT,RahmanM,Nar aH,Ar ak iA,Mak abeK,Ts umot oK,KumagaiI ,KudoT,I s hi iN,Tanak aN,Sugamur aK,Hay as ak aKand As aoH;HumanCD4+c ent r alandef f ec t ormemor yTc el l spr oduc eI L 21;Ef f ec tonc y t ok i nedr i venpr ol i f er at i onofCD4+Tc el l s ubs et s . I nt . I mmunol . 19,11911199,2007. 59 2 研究概要 生体機能における脂質性二次メッセンジャー代謝酵素の機能的役割の 解析と地域特性を生かした分子疫学研究 FUNCTI ONALI MPLI CATI ONSOFTHEDI ACYLGLYCEROLKI NASEFAMI LY 山形大学医学部情報構造統御学講座 組織細胞生物学分野 後藤 薫 教授 Kaor uGot o Emai l :kgot o@med. i d. yamagat au. ac. j p Pr of i l e 昭和 38年 山形県天童市生まれ 昭和 62年 山形大学医学部卒業 卒業後一貫して基礎研究に従事し、現在は脂質代謝機 構と様々な病態に興味を持つ。 平成 9年より現職 研究概要 生体膜は、種々の蛋白分子を含有する脂質二重層から構 成されており、細胞内外あるいは細胞内の各コンパートメ ントを境界するバリアーとして働くのみならず、情報の変 換部位としても重要な役割を果している。近年、細胞膜脂 質の主要構成成分であるリン脂質が、情報伝達系に深く関 与していることが明らかになってきた。我々は、この生体 膜の微量成分であるイノシトールリン脂質の分解産物であ る脂質性二次伝達物質ジアシルグリセロール ( DG)のリン 酸化酵素 DGキナーゼ ( DGK)に注目し研究を行っている。 とりわけ、外界ならびに個体内の情報を収集・統合し、生 命維持および環境適応を担当する生体情報中枢が脳である。 この情報中枢の基本単位をなすものが神経細胞であり、遺 伝子の転写・翻訳や蛋白質の機能発現を介して神経情報伝 達機構が制御される。我々はこれまで、ラットから5種の DGKア イ ソ ザ イ ム (α ,-β ,-γ ,-ζ ,-ι )を 単 離 し、 その分子多様性を明らかにしてきた。 我々は近年、DGK アイソザイムの蛋白レベルでの解析を 進めており、遺伝子導入細胞および特異抗体を用いた形態 学的解析を中心として各アイソザイムの神経系における機 能解析を行っている。その結果、これらアイソザイムは各々 細胞レベルにおいても特徴的な細胞内局在を示すことが明 らかとなってきた。 1)神経細胞における DGK βの役割:培養神経細胞へ の DGK遺伝子導入実験により、DGKアイソザイムのうち、 DGKβ(ベータ)が海馬ニューロン樹状突起の棘突起に局 在することが明らかとなった。脳内において DGK βの mRNAが主要なドーパミン投射領域である線条体に発現 することからドーパミン受容の情報伝達機構との関連が示 唆される。さらに、イタリアの研究グループとの共同研究 により、ヒト DGK βが躁鬱(そううつ)病において発現 変化を示す遺伝子の一つである可能性も報告されている。 我々は近年、DGK βの微細局在について電子顕微鏡的解析 を行っており、このアイソザイムがシナプス後部に局在し、 棘突起形成を促進させることを明らかにした。 2)細胞周期における DGK ζの機能的役割:DGK ζ (ゼータ)は核移行シグナルを有し、種々の生体細胞内にお いて核内に斑点状構造物として認められる。我々は、核内 における DGK ζの機能的役割を追求する目的で、NI H3T3 培養細胞および生体内の増殖系細胞である精巣の生殖細胞 において、細胞周期各ステージでの細胞内局在を免疫細胞 / 組織化学的に解析した。 60 Research Summary Ext r acel l ul ar s i gnal s ,s uch as gr owt hf act or s and neur ot r ans mi t t er s ,t r i ggercas cadesofmol ecul archanges att he pl as ma membr ane,and many oft hem evoke a t r ans i ent i ncr eas ei nl evel s ofcel l ul ar di acyl gl ycer ol ( DG)t hr ough hydr ol ys i sofphos phat i dyli nos i t ol4,5i s e bi s phos phat ebyphos phol i pas eC ( PLC) . Thi sr api dr i ncel l ul arDG s er vesasanal l os t er i cact i vat orofpr ot ei n ki nas eC( PKC) ,whi chmedi at esmanycel l ul arr es pons es t hr oughphos phor yl at i onoft ar getpr ot ei ns . Di acyl gl ycer ol ki nas e ( DGK) , whi ch cat al yzes phos phor yl at i on ofDG t o phos phat i di c aci d( PA) ,i s t houghtt o be a key enzyme i nt he r egul at i on ofDG l evel sand,asar es ul t ,t ober es pons i bl ef orat t enuat i ng t heact i vat i onofPKC. Fur t her mor e,PA,t hepr oductof DGK,i sal s oi mpl i cat ed asa l i pi ds econd mes s enger , whi ch hasbeen r epor t ed t or egul at ea gr owi ng l i s tof s i gnal i ngpr ot ei ns . Thus ,DGK i st houghtt obeoneof t hekey enzymescl os el yi nvol vedi nt hel i pi dmedi at ed cel l ul ars i gnal i ngevent s . We and ot her shave s hown t hatDGK cons i s t sofa f ami l y oft he i s ozymes .I n mammal s ,t her e ar e ni ne DGK i s ozymes s o f ar cl oned, and t hey cont ai n cons er ved r egi onsi ncl udi ng a cat al yt i c domai n and a s er i esofmot i f st hatmedi at e mol ecul ari nt er act i onsi n s i gnal l i ng machi ner y. Subs equent anal ys es have r eveal ed t hat t he DGK f ami l y s hows r emar kabl e het er ogenei t yi nt er ms of enzymat i c act i vi t y,t i s s ue di s t r i but i on,and mRNA expr es s i on. Fur t her mor e,i ti s becomi ngcl eart hatdi f f er enti s ozymess how di f f er ent i al s ubcel l ul ar l ocal i zat i on, s ugges t i ng t hat i ndi vi dual member s of t hi s f ami l y ar e t ar get ed t o di s t i nct compar t ment si ncl udi ng pl as ma membr ane, i nt er nal membr anes ,cyt os kel et on,andevent henucl earmat r i x. Gi vent hei mpor t anceofDGK act i vi t yi nr egul at i ngt he DG and PA s i gnal s ,i ti shi ghl y pl aus i bl et hatt heDG andPA s i gnal sgener at edatvar i ouss ubcel l ul ars i t esar e cont r ol l edbyuni quei s ozymeswi t hl i t t l er edundancy. 研究代表者:後藤 薫 (山形大学医学部組織細胞生物学分野教授)kgot o@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究分担者:八月朔日泰和(同 助教)yahodumi @med. i d. yamagat au. ac. j p その結果、DGKζは培養細胞および生体内の増殖細胞において、細胞周期間期では分散クロマチン領域に一致する局在を 示すが、分裂期クロマチンの凝集化に伴ってクロマチン領域から解離することが明らかになった。また生殖細胞において は、濃縮したヘテロクロマチンの形成とともに DGKζの発現が消失することを見出した。これらのデータは、DGKζの 細胞内 /核内局在および発現調節がクロマチンの活動状態と密接に関連する可能性を示唆すると考えられる。 Major Publications 1. Got oK,Hoz umiY,Nak anoT,Sai noSS,KondoH.Cel l ul arbi ol ogyandpat hophy s i ol ogyofdi ac y l gl y c er olk i nas ef ami l y ,an enz y mer es pons i bl ef orl i pi ds ec ondmes s engermet abol i s m:mor phol ogi c alas pec t si nt i s s uesandor gans .( 2007)I ntRevCy t ol . 264: 2563. 2. Evangel i s t iC,Taz z ar iPL ,Ri c c i oM,Fi umeR,Hoz umiY,Fal aF,Got oK,Manz ol iL ,Coc c oL ,Mar t el l iAM.Nuc l eardi ac y l gl y c er ol k i nas ez et ai sanegat i ver egul at orofc el lc y c l epr ogr es s i oni nC2C12mous emy obl as t s . ( 2007)FASEBJ . 21: 32973307. 3. Kobay as hiN,Hoz umiY,I t oT,Hos oy aT,KondoH,Got oK.Di f f er ent i als ubc el l ul art ar get i ngofdi ac y l gl y c er olk i nas ei s oz y mes i nt r ans f ec t edc el l sandt heac t i vi t y dependents ubc el l ul arl oc al i z at i on. ( 2007)EurJCel lBi ol . 86: 433444. 4. Evangel i s t iC,Ri c c i oM,Faenz aI ,Zi niN,Hoz umiY,Got oK,Coc c oL ,Mar t el l iAM.Subnuc l earl oc al i z at i onanddi f f er ent i at i ondependenti nc r eas edex pr es s i onofDGKz et ai nC2C12mous emy obl as t s . ( 2006)J . Cel lPhy s i ol . 209: 370378. 5. Sas ak iH,Hoz umiY,Has egawa H,I t o T,Tak agiM,Ogi no T,Wat anabe M,Got o K.Gene ex pr es s i on and l oc al i z at i on of di ac y l gl y c er olk i nas ei s oz y mesi nt her ats pi nalc or danddor s alr ootgangl i a. ( 2006)Cel lTi s s ueRes . 326: 3542. 6. Got o K,Hoz umiY,Kondo H.Di ac y l gl y c er ol ,phos phat i di cac i d,and t he c onver t i ng enz y me,di ac y l gl y c er olk i nas e,i nt he nuc l eus .( 2006)Bi oc hi m Bi ophy sAc t a1761: 535541. 7. Nak anoT,Hoz umiY,Al iH,Sai noSai t oS,Kami iH,Sat oS,Kay amaT,Wat anabeM,KondoH,Got oK.Di ac y l gl y c er olk i nas ez et a i si nvol vedi nt hepr oc es sofc er ebr ali nf ar c t i on. ( 2006)Eur . J . Neur os c i . 23: 142735. 8. Ar i mot oT,Tak ei s hiY,Tak ahas hiH,Shi s hi doT,Ni i z ek iT,Koy amaY,Shi gaR,Noz ak iN,Nak aj i maO,Ni s hi mar uK,AbeJ ,Endo M,Wal s h RA,Got o K,Kubot aI . Car di ac s pec i f i cover ex pr es s i on ofdi ac y l gl y c er olk i nas ez et apr event sGq pr ot ei nc oupl ed r ec ept oragoni s t i nduc edc ar di achy per t r ophyi nt r ans geni cmi c e. ( 2006)Ci r c ul at i on,113: 606. 9. Toy aM,Hoz umiY,I t oT,Tak edaM,Sak aneF,Kanoh H,Sai t oH,Hi r oiM,Kur ac hiH,KondoH,Got oK. GeneEx pr es s i on, Cel l ul arl oc al i z at i onandEnz y mat i cAc t i vi t yofDi ac y l gl y c er olKi nas eI s oz y mesi nRatOvar yandPl ac ent a.( 2005)Cel lTi s s ueRes . 320: 52533. 10.Kat agi r iY,I t o T,Sai noSai t o S,Hoz umiY,SuwabeA,Ot ak eK,Sat aM,Kondo H,Sak aneF,Kanoh H,Kubot aI ,Got o K. Ex pr es s i onandl oc al i z at i onofdi ay l gl y c er olk i nas ei s oz y mesandenz y mat i cf eat ur esi nr atl ung.( 2005)Am.J .Phy s i ol .L ungCel l Mol . Phy s i ol . 288: L 11718. 61 2 研究概要 疾患の分子細胞学的病態機序の解明 Cr i t i calr ol ef ormi t ochondr i aloxi dat i vephos phor yl at i oni nt heact i vat i onoft umors uppr es s or s BaxandBak Pr of i l e 山形大学医学部器官機能統御学講座 腫瘍分子医科学分野 北中 千史 教授 Chi f umiKi t anaka Emai l :cki t anak@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究概要 昭和 62年 東京大学医学部卒業 昭和 62年~平成 5年 東京大学脳神経外科 (日本脳神経外科学会専門医) 平成 5年 国立がんセンター研究所生物物理部研究員 平成 9年 同 室長 平成 16年より現職 Research Summary Backgr ound:Act i vat i on ofBax and Bak,whi ch actt o p e r me a b i l i z e t h e mi t o c h o n d r i a l me mb r a n e , i s a n 糖を代謝し、エネルギー( ATP)を産生する。一方、酸素が nt he cel ldeat hr es pons e and t her ef or e es s ent i als t ep i ない状態でも細胞はブドウ糖からエネルギーを取り出す pl aysan i mpor t antr ol ei nt umor i genes i s .However ,t he (=嫌気的解糖)ことが可能であるが、その効率は酸素を利 ms t hatr egul at et hei r act i vat i on ar e poor l y mechani s 用した場合(=酸素呼吸)と比べ約 20分の 1となる。今 under s t ood. から約 80年前、ノーベル生理学・医学賞を受賞したワー Met hods :BaxandBakact i vat i on( conf or mat i onalchange ルブルグ博士は、がん細胞が酸素を利用できる状態でも酸 and di mer i zat i on)wer emoni t or ed i ns ever alcel ldeat h model s .Thes ei ncl uded Rat 1f i br obl as t s and human 素を使わないでエネルギー産生を行う性質をもっているこ cancercel l ss ubj ect ed t o endopl as mi cr et i cul um s t r es s , と(図2)を発見し、このがん細胞に特徴的なエネルギー α D N A d a ma g e , o r t u mo r n e c r o s i s f a c t o r ( T N F ) 代謝(=ワールブルグ効果)ががんの発生に重要であると t r eat ment . Phar macol ogi cal i nhi bi t or s of r eact i ve する説を唱えた。 「ワールブルグ効果」は、現在がん検診で oxygen s peci es pr oduct i on,el ect r on t r ans por ti nt he 非常に注目されている PET検査の原理となっている重要 pi r at or y chai n, oxi dat i ve phos phor yl at i on, and r es ながんの特徴であるが、なぜ増殖に多量のエネルギーを必 appr opr i at e cont r ol s wer e us ed t oi dent i f y pot ent i al i vat i on and t hecel l modesby whi ch Bax and Bak act 要とするがん細胞があえて効率の悪いエネルギー産生を行 deat hr es pons ear econt r ol l ed.Theol i gomer i zat i ons t at e うのかは謎とされてきた。 er mi ned by cr os s l i nki ng and ofBax and Bak wasdet これに対して私達は、細胞に自殺をひきおこす際に鍵と s ubs equent i mmunobl ot anal ys i s ;Bax conf or mat i onal なる Bax、Bakという二つの分子に着目し、エネルギー産 mmunopr eci pi t at i on and change was anal yzed by i 生に酸素を使う状態と使わない状態でこれらの分子の働き i mmunobl ot t i ngwi t hanant i bodys peci f i cf ort heact i ve を調べた。Bax,Bakはミトコンドリアの膜に存在し、普段 uat ed by dye conf or mat i on. Cel l deat h was eval は不活性状態にあるが(図1)、細胞内に「自殺シグナル」 (図 excl us i on. Res ul t s :I n bot hf i br obl as t s and human cancer cel l s 2、紫色の折れ線矢印)が生じると活性化してミトコンド i n h i b i t i o n o f o x i d a t i v e s u b j e c t e d t o c e l l d e a t h s t i mu l i , リアに「穴」を開け、ミトコンドリアに隔離されていた phos phor yl at i on by us e ofant i myci n A orol i gomyci n 「毒」を細胞内にまきちらして細胞の自殺を引き起こす(図 um s t r es s ,DNA damage, pr event edendopl as mi cr et i cul 2) 。ところが、実験の結果、エネルギー産生に酸素を使わ and TNFαi nduced Bax and Bak act i vat i on and cel l ない状態では両方の分子の働きが抑えられ、細胞の自殺も deat h( UVi nducedRat 1cel ldeat hat15hour s :cont r ol , おきなくなることが明らかになった(図3)。 6%,95% conf i dencei nt er val[ CI ]=18. 8% t o mean =33. 48. 4%;ant i myci n A,mean = 10. 0. %,95%CI= 0% t o 正常な細胞ではがんの発生を未然に防ぐため、細胞内に n,mean = 13. 1%,95%CI= 5. 7% t o 21. 7%;ol i gomyci がんを引きおこすような種々の「異常」が生じると自殺の 20. 5%; t uni camyci ni nduced MCF7cel l deat h at 9 スイッチが入ることが知られている(図2)。一方、多くの 6% t o36. 8%; hour s :cont r ol ,mean =29. 2%,95%CI=21. 「異常」を細胞内に抱えながら生きているがん細胞にとって ant i myci nA,15. 3%,95%CI=0. 8% t o29. 8%;ol i gomyci n, は、細胞自殺を回避することが何にもまして重要なことと i nduced mean =11. 5%,95%CI=3. 9% t o19. 1%;TNFαなる。これに対して、Bax,Bakは細胞が自殺するかしない MCF7cel ldeat h at6hour s :cont r ol ,mean = 24. 0%, 95%CI= 12. 6% t o 35. 4%,ant i myci n A,mean = 8. 9%, かを最終決定するマスタースイッチとして働いていること 95%CI= 3. 9% t o 13. 9%,ol i gomyci n,mean = 13. 3%, から、この2つのマスタースイッチをオフにできれば、がん 95%CI= 10. 4% t o 16. 2%) .I ncr eas i ng and decr eas i ng 細胞が自殺を回避するうえで非常に有利になる。従って、が c ATP pr oduct i on,by addi ng gl ucos e and 2gl ycol yt i ん細胞が酸素を利用せず一見無駄なエネルギー産生してい deoxyDgl ucos e t o t he cel l gr owt h medi um, るのは、自殺のマスタースイッチをオフにしつつ必要なエ s eand r ecapi t ul at et heef f ect r es pect i vel y,di d notr ever ネルギーを確保するという非常に理にかなったサバイバル ofcompr omi s ed oxi dat i vephos phor yl at i on on Bax and 戦略であることが私達の研究から理解できるようになった。 Bakac t i vat i on. 細胞は通常ミトコンドリアで酸素を利用しながらブドウ 62 研 究 組 織:山形大学医学部器官機能統御学講座腫瘍分子医科学分野 研究代表者:北中 千史(教授) 研究分担者:富山 新太(助教) 立花 研(助教) また、放射線や化学療法によるがん細胞の殺傷効果は、多 くの場合細胞自殺の誘導に依存している。従ってワールブ ルグ効果により Bax,Bakが働かなくなった状態ではがん 細胞は治療に抵抗性になっていると考えられ、逆にがん細 胞の代謝状態を「酸素を利用しない」状態から「酸素を利 用する」状態へとシフトすることができれば、治療抵抗性 の難治がんも治療反応性のがんに変えられる可能性が見え てきた。今後はこのような新たなコンセプトに基づき、新 規がん治療法の開発を目指したいと考えている。 図1 Concl us i on: Oxi dat i ve phos phor yl at i on i s commonl y r equi r edf ort heact i vat i onofBaxandBakandcel ldeat h t r i gger ed by di s par at e deat hs t i mul i .The r el i ance of dat i ve t umor cel l s on gl ycol ys i si n pr ef er ence t o oxi phos phor yl at i on even under nor moxi c condi t i ons ( War bur gef f ect )may t her ef or ebeapot ent i almeansby whi cht hes ecel l sevadepr ogr ammedcel ldeat h 図2 図3 Major Publications Tomi y amaA,Ser i z awaS,Tac hi banaK,Sak ur adaK,Samej i maH,Kuc hi noY,Ki t anak aC.Cr i t i c alr ol ef ormi t oc hondr i alox i dat i ve phos phor y l at i on i nt he ac t i vat i on oft umors uppr es s or sBaxand Bak .JNat lCanc erI ns t98: 14621473,2006( Sel ec t ed asa “Res ear c hHi ghl i ght ”i nNat ur eRevi ewsCanc erVol . 6,p. 905) 63 2 研究概要 「地域特性を生かした分子疫学研究」 画像診断および解析 MRI を用いた 脳病態の解明 El uci dat i onofmechani s msofcer ebr aldi s eas esus i ngMRI 山形大学医学部環境病態統御学講座 映像解析制御学分野 細矢 貴亮 教授 TakaakiHosoya Emai l :t hos oya@med. i d. yamagat au. ac. j p Pr of i l e 昭和 29年 北海道札幌市生まれ 本籍、山形県新庄市 昭和 53年 順天堂大学医学部卒業 昭和 56年 山形大学 平成 12年 現職 研究概要 Research Summary CTや MRIといった画像診断機器の発達に伴い、脳 Ce r ebr aldi s eas e can be eas i l y di agnos ed wi t h の病態は臨床的に極めて容易に把握できるようになっ devel opmentofdi agnos t i ci magi ng appar at us ,s uch てきた。同時に、脳の病態解明も飛躍的に進歩してい .Si mul t aneous l y,mechani s ms of as CT and MRI る。 我々は、 MRIで脳の微細構造を 3次元的に描出す cer ebr aldi s eas esar eel uci dat ed.Wedevel opedMRI る技術や脳の白質線維の走行を解析する技術を開発し、 t ngcer ebr als t r uct ur epr eci s el yi n echnol ogydes cr i bi 脳神経や脳血管、脳の深部構造の微細な変化を画像的 t hr eedi mens i onsandt het echnol ogyofanal yzi nga に捉えることに成功した。 e mat t er pat hway, and r un of cer ebr al whi t 「地域特性を生かした分子疫学研究」においては、 s ucceededi ncat chi ngpr eci s eabnor mal i t yofcr ani al 検診における画像評価を担当しており、すでにいくつ かの成果が公表されている 1) 5) 。また、椎骨脳底動脈解 t r uct ur es of ner ves ,ves s el s t r uct ur es ,and deep s br ai n. 離のスクリーニング法として bas i par al l elanat omi cal I n" Mol ecl arEpi demi ol ogi calSt udy ut i l i zi ng t he s canni ng( BPAS)を開発した 3)。本法は、従来観察で Regi onal Char act er i s t i cs , " we have s t udi ed きなかった脳動脈の外観を簡便に表示する方法で、椎 uat i on i n amedi calcheckup,s ome r adi ol ogi caleval 骨脳底動脈解離のスクリーニングだけでなく、確定診 1) 5) wer eal r eady publ i s hed.Al s o,we oft hei rr es ul t s 断法としても期待されている。現在、臨床的評価につ havedevel opedabas i par al l elanat omi cals canni ng3) いての成果を国内外の学会で公表中である。本法は、 ( BPAS)asa s cr eeni ng met hod f orver t ebr obas i l ar 厚生労働省の班研究(循環器病研究委託費 12指- 1 ar t er y di s s ect i on. Thi si sa s i mpl e met hod of 「若年世代の脳卒中の診断、治療、予防戦略に関する全 ur f aceappear anceoft hei nt r acr ani al di s pl ayi ngt hes 国多施設共同研究」主任研究者 峰松一夫)に画像診 ver t ebr aland bas i l arar t er y,whi ch has notbeen 断法として採択され、臨床的有用性を検証中である。 ved by s cr eeni ng MRI .Now,i ti s abl et o beobs er expect ed not onl y as a s cr eeni ng met hod f or i r medver t ebr obas i l arar t er ydi s s ect i onbutasaconf di agnos i smet hod.Now,ourr es ul t saboutcl i ni cal eval uat i on havebeen underof f i ci alannouncement at s ome s oci et i es i n and out s i de t he count r y. Mor eover ,BPAS hasbeen adopt ed asadi agnos t i c oupr es ear choft heMi ni s t r yofHeal t h, met hodbygr LabourandWel f ar e( chi efr es ear cher :Mi nemat s uK) , calus ef ul nes si sunderver i f i cat i on. andcl i ni 64 研究代表者:細矢 貴亮(山形大学医学部映像解析制御学分野教授)Emai l :t hos oya@med. i d. yamagat au. ac. j p 研究分担者:駒谷 昭夫(山形大学医学部附属病院放射線診断科講師)Emai l :akomat an@med. i d. yamagat au. ac. j p 小田 敦子(山形大学医学部映像解析制御学分野助教)Emai l :a. oda@med. i d. yamagat au. ac. j p 鹿戸 将史(山形大学医学部附属病院放射線診断科助教)Emai l :mkanot o@med. i d. yamagat au. ac. j p Bas i par al l elanat omi cs canni ng( BPAS)で、右椎骨動脈遠位端、脳底動脈近位部に拡張を認める(矢印)。 MRangi ogr aphy( MRA)で、同部は拡張と狭窄を示し、拡張部には濃淡の二重信号が認められる。椎骨脳 底動脈解離の所見である。 Major Publications 1) Nagas awaH,WadaM,Ar awak aS,KawanamiT,Kur i t aK,Dai mon M,Adac hiM,Hos oy aT,EmiM,Mur amat sM,Kat o T:A pol y mor phi s m oft heal dehy dedehy dr ogenas e2genei sar i s kf ac t orf oemul t i pl el ac unari nf ar c t si nJ apanes emen;Tak ahat a s t udy . Eur opeanJofNeur ol ogy14; 428434( 2007) 2) Adac hiM,KawanamiT,Ohs hi ma H,Hos oy a T:Char ac t er i s t i cs i gnalc hangesi nt he pont i ne bas e on T2and mul t i s hot di f f us i onwei ght edi magesi ns pi noc er ebel l arat ax i at y pe1. Neur or adi ol ogy48( 1) : 813( 2006) 3) Nagahat a M,Abe Y,Ono S,Hos oy a T,Uno S:Sur f ac e appear anc e oft he ver t ebr obas i l arar t er yr eveal ed an bas i par al l el anat omi cs c anni ng( BPAS)-MRi magi ng: i t sr ol ef orbr ai nMRex ami nat i on. AJ NRAm JNeur or ai ol26,25082513( 2005) 4) Komat aniA,SugaiY,Hos oy aT:Devel opmentof“s uperr api ddy nami cSPECT, ” andanal y s i sofr et ent i onpr oc es sof99mTc ECDi ni s c hemi cl es i ons : Compar at i ves t udywi t h133XeSPECT. Annal sofNuc l earMedi c i ne18( 6) , 489494( 2004) 5) Kameda W,KawanamiT,Kur i t a K,Dai mon M,Kay ama T,Hos oy a T,Kat o T:L at er aland medi almedul l ar yi nf ar c t i on,a c ompar at i veanal y s i sof214pat i ent s . St r ok e35, 694699( 2004) 65 2 研究概要 遺伝子改変マウスを利用した病態モデルの確立と生体内遺伝子発現解析 Es t abl i s hmentofdi s eas e model s and anal ys i s on i n vi vo gene expr es s i on us i ng genemani pul at edmi ce Pr of i l e 山形大学遺伝子実験施設 中島 修 准教授 Osamu Nkaj i ma Emai l :nakaj i ma@med. i d. yamagat au. ac. j p 平成 4年 東京大学薬学部卒業 平成9年~ 同大学大学院医学系研究科博士課程修了 筑波大学先端学際領域研究センター施設研究員、 同センター・基礎医学系助手を経て 平成 12年より、現職 研究概要 Research Summary For t he cl ar i f i cat i on of i nvol vement s i n p a t h o g e n e s i s o f s e v e r a l g e n e s , we h a d g e n e r a t e d 学解析の成果に基づき,候補遺伝子の疾患への関与を s ever al t r ans geni c mi ce and anal yzed t hei r 検証するため,トランスジェニックマウス等を作製し, phenot ypes , col l abor at i ng wi t h r es ear cher s i n その表現型の解明を行ってきた。以下に,我々が中心 Yamagat aUni ver s i t ySchoolofMedi ci ne. に行ってきたプロジェクトの成果について報告する。 I nt hi s COE pr oj ect ,our gr oup had es t abl i s hed s ever aldi s eas e model s and i nves t i gat ed i n vi vo g e n e e x p r e s s i o n s b y me a n s o f g e n e ma n i p u l a t ed 1 環状鉄芽球形成モデルの確立 mi ce. 我々は, 山形大学医学部の研究者と連携して, 分子疫 環状鉄芽球とは,ミトコンドリアに鉄が異常蓄積し た病的な赤芽球であり,X染色体連鎖型鉄芽球貧血 ( XLSA)などの患者骨髄中に認められる。XLSA原因遺 For mat i on 伝子である ALAS2遺伝子破壊マウ Ri ng s i der obl as t s ar e pat hol ogi caler yt hr obl as t s スにおいて環状鉄芽球が認められな かったことから,トランスジェニッ クマウスを用いた部分レスキュー法 により,XLSA患者と同様に ALAS2 の部分欠損状態にすることで,遺伝 子改変マウスを用いて,初めて,環 状鉄芽球形成モデルを確立した(図 1)。 図1 胎児血中で 形成された環 状鉄芽球 2 ポルフィリン症モデルの確立 ヘム生合成系初発酵素である 5-アミノレブリン酸 合成酵素(ALAS2)およびヘム分解酵素であるヘムオ キシゲナーゼ1 (HO1)の全身性過剰発現トランス ジェニックマウスの解析から,これらのマウスが,そ れぞれ,多様性ポルフィリン症,および晩発性皮膚ポ ルフィリン症を発症することを明らかにした。これま で,ヘム生合成系酵素の欠損症として報告されてきた ポルフィリン症が,新しいタイプの分子基盤で発症す る可能性を示唆した。また,HO1トランスジェニッ クマウスでは,ポルフィリン症発症が肝臓への鉄過剰 が主な原因であることを示し,HO1の生理機能の新 たな側面を見出した。 66 1Es t abl i s hmentofa Modelf or Ri ng Si der obl as t wi t h i r onover l oaded mi t ochondr i a, and one of cl i ni calhal l mar ksi n Xl i nked s i der obl as t i canemi a ( XLSA) , caus ed by ALAS2def i ci ency. No r i ng s i der obl as twer ef ound i n ALAS2knockoutmi ce. Then,t ogi ver i s et opar t i aldef i ci encyofALAS2i n mi ce l i ke mos t XLSA pat i ent s ,we per f or med a par t i alcompl ement at i onbyALAS2t r ans geni cmi ce and f ound r i ng s i der obl as tf or mat i on i n par t i al l y r es cuedALAS2knockoutmi ce. 2 Por phyr i a model s gener at ed by i n vi vo over expr es s i on ofheme bi os ynt het i c or cat abol i c enzymegene Wege ner at edl i nesoft r ans geni cmi ceubi qui t ous l y over expr es s i ng ALAS2,t he f i r s themebi os ynt het i c enzyme,or HO1,heme degr adi ng enzyme and cl ar i f i edt hatt heALAS2-andHO1t r ans geni cmi ce wer e af f ect ed by var i egat e por phyr i a orpor phyr i a cut aneat ar da,r es pect i vel y.Becaus epor phyr i asar e known asheme met abol i c der angement sr es ul t i ng f r om def i ci ency ofany heme bi os ynt het i cenzyme except5ami nol evul i ni caci ds ynt has e( ALAS) ,t hi s s t udy pr ovi des a new i ns i ghti nt ot he mol ecul ar mechani s msunder l yi ng por phyr i amani f es t at i on.I n addi t i on,weal s odi s cover edanew as pectofHO1 phys i ol ogi cal f unct i on s i nce t he HO1t r ans geni c mi ces howedhepat i ci r onover l oad. 研究代表者:中島 修 研究協力者:岡野 聡(山形大学遺伝子実験施設助教 s okano@med. i d. yamagat au. ac. j p) 富樫 義之(山形大学遺伝子実験施設技術職員 yt ogas hi @med. i d. yamagat au. ac. j p) 周 凌云(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻博士課程後期大学院生 z houl i ng@med. i d. yamagat au. ac. j p) 清水 和弘( 同 kaz uhi r o@med. i d. yamagat au. ac. j p) 3 ヘム生合成・分解酵素遺伝子の生体内発現制御解析 3 Anal ys es on i n vi vo expr es s i on of heme 非組織特異型 ALAS( ALAS1)および HO1の各遺伝 bi os ynt het i candcat abol i cenzymes We e s t abl i s hed t he f l uor es centpr ot ei n knocki n ( knockout )mi ceofALAS1geneandHO1geneby homol ogousr ecombi nat i ont oenabl et hef l uor es cent pr ot ei nt oexpr es si nvi voundert hei nt r i ns i ccont r ol ofeachgene.Bymeansofhet er ozygousmi ceoft he knocki n al l el ewedi s cover ed s ever alnovelt i s s ues expr es s i ng ALAS1, f or exampl e, br aonchi al col umnarepi t hel i um andchor oi dpl exi ,andt hatHO1wasexpr es s i ng mai nl yi n hi s t i ocyt es / macr ophage wi t houts t i mul iands uchbas alexpr es s i onsofHO1 wasenhancedby t hes t i mul i .Fur t her mor e,wef i r s t s howed di s pens abi l i t y of ALAS1f or ear l y devel opment of mi ce becaus e ALAS1nul l mi ce di edbyembr yoni cday8. 5. 子座へ蛍光タンパク質を相同組換により挿入した遺伝 子破壊マウスをそれぞれ作製し,ヘテロ接合体におい て各遺伝子の生体内での発現制御下で蛍光タンパク質 が発現するマウスを確立し,ALAS1・HO1の組織特 異的な発現を解析した。これらの解析から,ALAS1 は気管支上皮(図2)や脈絡叢など,これまで報告さ れていない組織での発現が明らかとなった。一方,ス トレスにより誘導される HO1発現は,無刺激下で, 主に組織球マクロファージ系等に認められ,ストレス 負荷により,その発現が増強される傾向が認められた。 また,本解析から ALAS1遺伝子破壊マウスが胎齢 8. 5 日までに胎生致死し,発生初期に必須であることを世 界に先駆けて明らかにした。 図2 気管支上皮細胞での ALAS1の発現 Major Publications 1) Tak ahas hiE,Tak anoT,Nomur aY,Ok anoS,Nak aj i maO,Sat oM.I nvi voox y geni magi ngus i nggr eenf l uor es c entpr ot ei n.Am JPhy s i olCel lPhy s i ol . 2006291: C7817. 2) Nak aj i maO,Ok ano S,Har adaH,Kus ak aT,Gao X,Hos oy aT,Suz uk iN,Tak ahas hiS,Yamamot o M.Tr ans geni cr es c ue of er y t hr oi d5ami nol evul i nat es y nt has edef i c i entmi c er es ul t si nt hef or mat i onofr i ngs i der obl as t sands i der oc y t es .Genest oCel l . 200611: 685700. 3) Ar i mot oT,Tak ei s hiY,Tak ahas hiH,Shi s hi doT,Ni i z ek iT,Koy amaY,Shi gaR,Noz ak iN,Nak aj i maO,Ni s hi mar uK,AbeJ ,Endoh M,Wal s h RA,Got o K,Kubot aI .Car di ac s pec i f i cover ex pr es s i on ofdi ac y l gl y c er olk i nas ez et a pr event sGq pr ot ei nc oupl ed r ec ept oragoni s t i nduc edc ar di achy per t r ophyi nt r ans geni cmi c e. Ci r c ul at i on. 2006,113: 606. 4) Kel l yVP,Suz uk iT,Nak aj i maO,Ar aiT,TamaiY,Tak ahas hiS,Ni s hi mur aS,Yamamot oM.Thedi s t als equenc eel ementoft he s el enoc y s t ei net RNAgenei sat i s s uedependentenhanc eres s ent i alf ormous eembr y ogenes i s . MolCel lBi ol . 200525: 365869. 5) Mut o A,Tas hi r o S,Nak aj i maO,Hos hi no H,Tak ahas hiS,Sak odaE,I k ebeD,Yamamot o M,I gar as hiK.Thet r ans c r i pt i onal pr ogr am ofant i bodyc l as ss wi t c hi ngi nvol vest her epr es s orBac h2. Nat ur e,429: 56671,2004 67
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