2研究概要 - 山形大学医学部

2 研究概要
2-1 国際共同研究 Vol
.1ユタ大学
拠点サブリーダー
山形大学大学院医学系研究科
分子疫学部門生命情報科学
山形大学医学部器官病態統御学講座
血液・循環分子病態学分野
久保田 功
教授 教授 I
saoKubot
a
TakeoKat
o
山形大学 21世紀 COEプログラム「地域特性を生か
も成り立つか否かを検証するためのシステムを構築し、
した分子疫学研究」は山形県在住の日本人集団を対象
さらに日本人以外の人種集団において検証するシステ
として生活習慣病の発症に関与する遺伝的素因を明ら
ムを構築した。国外の共同研究先として米国ユタ大学
かにしようとするものである。しかし、1つの日本人
を選んた。その理由は同大学が遺伝的 QT延長症候群
集団で明らかになったことが、他の日本人集団、さら
の原因遺伝子特定など分子疫学研究では世界をリード
には人種の壁を越えて人類共通のものであるか否かは
する立場にあり、かつ豊富なデータベースを有してい
知ることができない。この問題を解決するために、私
るからである。
達は高畠町の住民から得られた結果が舟形町の住民で
以上の経緯により、山形大学 21世紀 COEプログラ
図 1 ユタ大学との共同研究契約
22
加藤 丈夫 (生命情報内科学)
ム側の山形大学医学部、地域・大学発研究所 COMEセ
山形大学、
COMEセンター及びヒュービットに開示し、
ンター(以下、COMEセンター)、ヒュービットジェ
全ての当事者間で総合的な検討を行う。同時に、各当
ノミクス株式会社(以下、ヒュービット)とユタ大学
事者は、本共同研究のもとに、教職員、研究者及び教
心血管遺伝学研究所との間に 2007年 1月 1日に共同
育研究資料の交換を行うとするものである。
研究契約が締結された(図 1)
。この共同研究の骨子は
ユタ大学との共同研究はスタートしたばかりである
以下の 3点である。1)山形大学、COMEセンター及
が、既に幾つかの研究成果が得られている。山形の一
びヒュービットは、ユタ大学に対して、山形大学と
般住民を対象とした血清の脂質を規定する肝リパーゼ
ヒュービットが山形(日本)の住民を対象に実施した
遺 伝 子 の 多 型 と HDLコ レ ス テ ロ ー ル と の 関 係(J
山形大学 21世紀 COEプログラムによる結果(共同研
)
、飲酒習慣がない人を対象とし
Hum Genet
,i
npr
es
s
究の対象となる遺伝子と臨床パラメーターのみ)を開
たアルデヒド脱水素酵素 2の遺伝子多型と HDLコレ
示するとともに、その結果の遺伝的な妥当性の検証の
ステロールとの関係(論文投稿中)
、GNB3多型と血糖
ための研究手法を検討する、2)ユタ大学は、山形大
値との関係(論文投稿準備中)等についてユタ地域の
学、COMEセンター及びヒュービットから開示された
一般白人集団での検討がなされている(図 2)
。今後、
分子疫学研究の統計解析結果について、ユタにて測定
分子疫学研究の研修のため若手研究者をユタ大学に派
された臨床パラメーターを用いて、遺伝的な妥当性の
遣し、生活習慣病の遺伝的素因についての共同研究の
検証研究を行う。3)ユタ大学は、当該研究の結果を、 さらなる推進を図る予定である。
図 2 研究の具体例
23
2 研究概要
2-1 国際共同研究
Vol
.2「山形県舟形町研究 眼科領域における国際共同研究」
山形大学医学部情報構造統御学講座
視覚病態学分野
川崎 良
助教 RyoKawasaki
1 目 的
教授)およびオーストラリア・シドニー大学・Ce
nt
r
e
本研究は山形県舟形研究の眼科領域の研究課題につ
f
orVi
s
i
onRes
ear
ch,Wes
t
meadMi
l
l
enni
um I
ns
t
i
t
ut
e
いて、
国際的に標準化された方法を用いて解析を行うこ (PaulMi
t
chel
l教 授、Ji
eJi
nWang准 教 授)で あ る。
と、
それにより本研究が諸外国の疫学研究と比較可能性
本研究の共同研究にあたっては個人情報について特定
の高い研究となることを目的としてシドニー大学、
メル
不可能な状態に匿名化した原資料についてそれぞれの
ボルン大学
(ともにオーストラリア)
、
ジョンスホプキン
研究施設で閲覧を行うことを倫理委員会において審査
ス大学
(米国)
の研究者と共同研究を行うものである。
を受け、承諾された。
山形県舟形町では山形大学医学部と共同で定期的に
眼底写真の判定:
疫学研究を目的とした検診が行われてきたが 2000
眼底写真の判定については専門の判定施設で専門の判
年- 2002年の検診から眼科検診を導入した。
眼科検診
定員によって行われるのが国際的に標準となっている。
で得られたデータの解析、特に眼底写真に基づいて病
そこで舟形町で 2000年- 2002年に行われた眼科検診
変の有無、重症度の判定を行うにあたってシドニー大
の結果の中から眼底写真について個人情報について特
学およびメルボルン大学の眼科疫学研究者と情報交換
定不可能な状態に匿名化したうえでシドニー大学の専
を行った。当時、米国、オーストラリアを中心として
門 の 眼 底 写 真 判 定 施 設(FundusGr
adi
ngCent
r
e,
より再現性の高い判定方法、より定量性の高い判定方
Cent
r
ef
orVi
s
i
onRes
ear
chAus
t
r
al
i
a)で判定を受けた。
法が開発され大規模な疫学研究に応用され国際的な標
この判定施設は国際的に評価の高い眼科疫学研究 t
he
準となっていた。そこで舟形町研究の眼科データの解
Bl
ueMount
ai
nsEyeSt
udyの判定を行った施設であ
析にあたってそれらの国際的に標準化された病変の判
る。このことでその後の研究解析においては舟形町研
定方法、および統計解析方法について情報を交換し、 究の結果と t
heBl
ueMount
ai
nsEyeSt
udyの結果の
共同研究として研究を進めていくことを計画した。本
直接比較が可能となった。判定の内容は網膜細動脈硬
共同研究によって国際的に評価の高い研究となること
化所見、網膜血管径計測、網膜症、加齢黄斑変性、黄斑
が期待される。
上膜、
その他の眼底病変である。それぞれの所見の判定
は専門の訓練を受けた判定員が眼底写真以外の情報を
2 企画、研究方法
マスクした上で行い、さらにその結果を上級判定員も
共同研究施設および共同研究者:
しくは網膜疾患の専門医が確認した。専門の判定員は
共同研究施設(共同研究者)はオーストラリア・メル
判定の再現性の確認のため、定期的に判定者間一致率、
ボルン大学・Ce
nt
r
ef
orEyeRes
ear
chAus
t
r
al
i
a(
Ti
en
判定者内一致率について試験を受けている。その結果
、アメリカ合衆国・ジョンスホ はデータベース化されその後の統計解析に用いられた。
Yi
nWong教授[写真])
プキンス大学・公衆衛生学部・疫学(J
amesM.Ti
el
s
ch 統計解析:
眼底写真の判定結果、特に眼科疾患の有無、重症度の
データを解析するにあたって以下の点に主眼を置いて
共同研究機関と情報交換を行った。
(1)判定基準を国際的な標準とする。
(2)統計解析方法を他の疫学研究に合わせて行う。
(3)舟形町研究の結果と諸外国の疫学研究結果とを
比較する。
また、本研究では眼底写真の判定を Bl
ueMount
ai
ns
EyeSt
udyの 判 定 施 設 で 行 っ た こ と か ら Bl
ue
Mount
ai
nsEyeSt
udyの原資料を用いることにより年
齢で標準化し直接比較を行ってより詳細な比較を行っ
24
た。そ の 目 的 で シ ド ニ ー 大 学 か ら Bl
μm 95%信頼区間 :1.
μm)に関連
ueMount
ai
ns 張(+4.
69
20-8.
19
EyeSt
udyの原資料の提供を受け解析を受けた。
していた。メタボリックシンドロームは網膜所見と関
連していることが明らかとなった。ただその際に、
個々
3 実 績
のメタボリックシンドローム構成因子を複数有するこ
本研究の結果は以下の論文に報告した。
とによる相乗効果は認められなかった。
(1)Kawas
akiR.etal
.Car
di
ovas
cul
arr
i
s
kf
act
or
s (4)Kawas
akiR.etal
.Pr
eval
enceandRi
s
kFact
or
s
andr
et
i
nalmi
cr
ovas
cul
ars
i
gnsi
nanadul
tJapanes
e f
orAgeRel
at
ed Macul
arDegener
at
i
on i
n an Adul
t
popul
e Popul
at
i
on: t
he Funagat
a St
udy. Opht
hal
mol
ogy Japanes
at
i
on: The Funagat
a St
udy.
2006;113:
13781384.
Opht
hal
mol
ogy.2008I
npr
es
s
.
本論文では非糖尿病者における網膜細動脈硬化所見の
本論文では高齢者の失明原因として重要な加齢黄斑変
有病率と網膜血管径について報告するとともに、全身
性の有病率とその危険因子について報告した。早期加
所見とのかかわりについて報告した。高齢、高血圧は
齢黄斑変性の有病率は男女とも 3.
5%で、晩期加齢黄斑
網膜細動脈硬化所見および網膜細動脈狭細化と有意に
変性の有病率は男性で 0.
8%、女性で 0.
2%であった。
関連していた。一方で網膜症は高齢と血糖値と関連し
危険因子としては高齢(10歳あたりのオッズ比 1.
01,
95%信頼区間 1.
001.
17)と喫煙習慣(オッズ比 5.
0,
と関連していることが明らかとなった。
95%信頼区間 1.
025.
0)が有意に関連していた。本研
(2)Kawas
akiR.etal
.I
mpai
r
ed gl
ucos
et
ol
er
ance, 究 で の 有 病 率 を Bl
ueMount
ai
nsEyeSt
udy(
BMES)
butnoti
mpai
r
edf
as
t
i
nggl
ucos
e,i
sas
s
oci
at
edwi
t
h のもの年齢構成で標準化し直接比較したところ、早期
r
et
i
nopat
hy i
n Japanes
e popul
at
i
on:t
he Funagat
a 加齢黄斑変性は舟形町研究で 4.
1%、BMESで 4.
4%と
St
udy.[
Let
t
er
]Di
abet
es
,Obes
i
t
y and Met
abol
i
s
m. ほぼ同様であった。晩期加齢黄斑変性は女性では舟形
町研究で 0.
Accept
ed.
3%、BMESで 1.
7%と舟形町研究では低かっ
本論文では先の論文の結果を受け、糖尿病、糖尿病境 たが男性では舟形町研究で 1.
1%、BMESで 1.
2%とほ
界型、糖代謝異常正常それぞれでの網膜症の有病率を ぼ同様であった。これは舟形町研究で男性の 30%以上
報告した。糖尿病患者においては 23.
0%に網膜症がみ が喫煙していることによると思われた。
(I
られ、糖代謝正常者、i
mpai
r
edf
as
t
i
nggl
ucos
e
FG)、 (5)Kawas
akiR.etal
.Body mas
si
ndex and vei
n
us
i
on.[
l
et
t
er
]Opht
hal
mol
ogy.2008I
npr
es
s
.
i
mpai
r
edgl
ucos
et
ol
er
ance(I
GT)においてもそれぞ occl
れ 7.
7%,10.
3% and14.
6%に網膜症が認められた。糖 本論文では網膜静脈閉塞症の有病率とその危険因子に
ており、非糖尿病者においても網膜症がみられ血糖値
尿病、糖尿病境界型では年齢、性別などで調整を行っ
つ い て 報 告 し た。網 膜 中 心 静 脈 閉 塞 症 の 有 病 率 は
たうえでも正常型に比べて有意に網膜症が多く認めら
0.
06%、網膜中心静脈分子閉塞症は 0.
47%に認められ
れた。さらに糖尿病境界型を I
GTと I
FGとに分けて解
た。危険因子としては網膜細動脈所見である網膜細動
析すると、I
GTでは有意に網膜症が多くみられるのに
、
脈口径不同(オッズ比 5.
8,95%信頼区間 1.
325.
7)
対し、I
FGでは正常型における網膜症の有病率と有意
網膜細動脈血中反射亢進(オッズ比 8.
0,95%信頼区
な差は見られなかった。以上より、網膜症は糖尿病境
(オッズ比 7.
間 1.
834.
5)に加え低 BMI
9,95%信頼区
界型特に I
GTにおいても有意に多く認められること
間 1.
542)が有意に関連していた。
が明らかとなった。
(3)Kawas
akiR.etal
.The Met
abol
i
c Syndr
ome 4 今後の展望
and Ret
i
nal Mi
cr
ovas
cul
ar Si
gns i
n a Japanes
e 現在、舟形町研究の 2000年- 2002年データをさら
Popul
at
i
on:TheFunagat
aSt
udy.Br
i
t
i
s
h Jour
nalof に用いてその他の眼底疾患の有病率について(研究課
題:黄斑上膜の有病率と危険因子)
、また遺伝子解析結
Opht
hal
mol
ogy.2008;92:161166.
本論文では網膜細動脈硬化所見、網膜血管径、網膜症 果と眼科所見(Angi
ot
ens
i
nConver
t
i
ngEnzyme遺伝
がメタボリックシンドロームおよびその構成因子とど 子多型と網膜所見、
β3adr
ener
gi
cr
ecept
or遺伝子多型
のように関連しているかを報告した。メタボリックシ
と網膜所見)との関連を中心に解析を進めている。
ンドロームは I
nt
er
nat
i
onalDi
abet
esFeder
at
i
onの定
また、2005年- 2007年には 5年後の舟形町研究の
義で診断した。メタボリックシンドロームの個々の構
新たに導入した検診に
追跡調査が行われた。今後は 1)
成因子と網膜所見には以下のような関連が認められ
基づく眼科疾患の有病率(視力障害、屈折異常、角膜
た:肥満とびまん性静脈拡張および網膜症、高血圧と
所見、網膜疾患)
、2)眼科疾患の 5年発症率(網膜症、
網膜細動脈の局所狭細化・動静脈交叉現象・血柱反射
加齢黄斑変性、黄斑上膜)およびその危険因子の解析、
亢進・びまん性狭細、高トリグリセリド血症と血柱反
3)全身疾患の 5年発症率に関連する眼科所見(動脈
射亢進。メタボリックシンドローム自体は網膜症
(オッ
硬化所見と高血圧、肥満、糖尿病、脳卒中、虚血性心
ズ比 1.
64,95%信頼区間 :1.
022.
64)とびまん性静脈拡
疾患など)について明らかにすることを計画している。
25
2 研究概要
2-2 各事業担当者の研究概要
P28 消化器 Commondi
s
eas
e発症にかかわる遺伝素
P38 慢性腎臓病の分子疫学研究
因に関する研究―個の健康科学をめざして
Mol
ecul
ar epi
demi
ol
ogi
cal r
es
ear
ch i
n
Ge
net
i
c Backgr
ound ofCommon Di
s
eas
es
chr
oni
cki
dneydi
s
eas
e
oft
heDi
ges
t
i
veOr
gans
:Towar
dPer
s
onal
i
zed
今田 恒夫 山形大学医学部器官統御学講座循
Heal
t
hSci
ence
環・呼吸・腎臓内科学分野 准教授
河田 純男 山形大学理事・副学長、消化器病
態制御内科学
P40 脳卒中検診とデータベース作成
Ce
r
ebr
al s
t
r
oke medi
cal checkup and a
P30 パーキンソン病、脳血管障害および糖尿病の分
dat
abas
ecr
eat
i
on
子疫学研究
嘉山 孝正 山形大学大学院医学系研究科生命
A mol
ecul
ar epi
demi
ol
ogi
cal s
t
udy on
環境医科学専攻臨床的機能再生部門神経機能再
sdi
s
eas
e,cer
ebr
ovas
cul
ardi
s
eas
es
Par
ki
ns
on’
生学講座 教授
anddi
abet
esmel
l
i
t
us
.
加藤 丈夫 山形大学大学院生命環境医科学
専攻分子疫学部門生命情報内科学講座 教授
P42 ウイルスおよび生活習慣に起因する肝炎に関す
る研究統合データベースの構築
Es
t
abl
i
s
hment oft
he i
nt
egr
at
ed dat
abas
e
P32 糖尿病の分子疫学研究・教育
s
ys
t
em concer
ni
ng t
he r
es
ear
ch of vi
r
al
Popul
at
i
onbas
ed genet
i
c anal
ys
i
s f
or
at
eds
t
eat
ohepat
i
t
i
s
hepat
i
t
i
sandl
i
f
es
t
yl
er
el
det
er
mi
ni
ng t
ype 2di
abet
es s
us
cept
i
bi
l
i
t
y
斎藤 貴史 山形大学医学部器官病態統御学講
genes
座消化器病態制御内科学分野 准教授 大門 真 山形大学大学院生命環境医科学専攻
分子疫学部門生命情報内科学講座 准教授
P44 歩行障害の病態に関する分子疫学的研究・教育
Mol
ecul
arbas
i
sofgai
tdi
s
t
ur
bance:Genet
i
c
P34 糖尿病の分子疫学研究・教育
anal
ys
i
s of Char
cot
Mar
i
eToot
h di
s
eas
ei
n
Funagat
aSt
udy
s
Japanes
epat
i
ent
富永 真琴 山形大学医学部器官統御学講座液
早坂 清 山形大学医学部発達生体防御学講座
性病態診断医学分野 教授
小児医科学分野 教授
P36 眼疾患の分子疫学的研究
P46 虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患の分子疫学
―舟形町研究をもとに―
研究
Popul
at
i
on bas
ed genet
i
c anal
ys
i
s of
Mol
ecul
arepi
demi
ol
ogy ofcor
onar
y ar
t
er
y
ocul
ardi
s
eagent
heFunagat
aSt
udy
di
s
eas
e and chr
oni
c obs
t
r
uct
i
ve pul
monar
y
山下 英俊 山形大学医学部情報構造統御学講
di
s
eas
e
座視覚病態学分野 教授
久保田 功 山形大学医学部器官病態統御学
講座循環・呼吸・腎臓内科学分野 教授
26
P48 中高年女性の健康に関する分子疫学研究・教育
Mol
ecul
ar Epi
demi
ol
ogy f
or t
he
P58 インターロイキン 21による免疫制御機構の解
析
Pos
t
menopaus
alWomen'
sHeal
t
h
Anal
ys
i
s of I
mmunor
egul
at
i
on by
倉智 博久 山形大学医学部発達生体防御学講
I
nt
er
l
euki
n21
座女性医学分野 教授
浅尾 裕信 山形大学医学部発達生体防御学講
座免疫学分野 教授 P50 高畠町住民を対象とした生活習慣、食習慣、運
動習慣に関する疫学調査
P60 生体機能における脂質性二次メッセンジャー代
An e
pi
demi
ol
ogi
cal s
ur
vey of l
i
f
es
t
yl
e,
謝酵素の機能的役割の解析と地域特性を生かし
di
et
ar
yhabi
tandexer
ci
s
ehabi
ti
nTakahat
a
た分子疫学研究
深尾 彰
FUNCTI
ONAL I
MPLI
CATI
ONS OF THE
山形大学大学院医学系研究科生命
環境医科学専攻社会環境予防医学部門公衆衛生
DI
ACYLGLYCEROLKI
NASEFAMI
LY
学講座 教授
後藤 薫 山形大学医学部情報構造統御学講座
組織細胞生物学分野 教授
P52 Cyt
ochr
omeP4502C19遺伝多型が健常人の人
格特徴に与える影響
P62 疾患の分子細胞学的病態機序の解明
I
nf
l
uence of cyt
ochr
ome P4502C19
Cr
i
t
i
cal r
ol
ef
or mi
t
ochondr
i
al oxi
dat
i
ve
pol
ymor
phi
s
m ont
heper
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
s
phos
phor
yl
at
i
on i
nt
he act
i
vat
i
on oft
umor
大谷 浩一 山形大学医学部発達生体防御学講
s
uppr
es
s
or
sBaxandBak
座発達精神医学分野 教授
北中 千史 山形大学医学部器官機能統御学講
座腫瘍分子医科学分野 教授 P54 生活習慣病としての循環器疾患の病態解明と治
療の基礎的研究・教育
P64 「地域特性を生かした分子疫学研究」画像診断お
Bas
i
cr
es
ear
choncel
l
ul
armechani
s
ms and
よび解析 MRIを用いた脳病態の解明
t
her
apeut
i
cbas
i
sofcar
di
ovas
cul
ardi
s
eas
es
El
uci
dat
i
on of mechani
s
ms of cer
ebr
al
石井 邦明 山形大学医学部器官機能統御学講
di
s
eas
esus
i
ngMRI
座循環薬理学分野 教授
細矢 貴亮 山形大学医学部環境病態統御学講
座映像解析制御学分野 教授 P56 活性酸素のかかわる疾患に対する抗酸化・レ
ドックス系による防御機構
Ant
i
oxi
dant
/
r
edox s
ys
t
em as pr
ot
ect
i
ve
P66 遺伝子改変マウスを利用した病態モデルの確立
と生体内遺伝子発現解析
mechani
s
m agai
ns
t di
s
eas
es caus
ed by
Es
t
abl
i
s
hment of di
s
eas
e model
s and
r
eact
i
veoxygens
peci
es
anal
ys
i
s on i
n vi
vo gene expr
es
s
i
on us
i
ng
藤井 順逸 山形大学大学院医学系研究科生命
genemani
pul
at
edmi
ce
環境医科学専攻分子疫学部門生体分子機能学講
中島 修 山形大学遺伝子実験施設 准教授
座 教授
27
2 研究概要
消化器 Commondi
sease発症にかかわる遺伝素因に関する研究
― 個の健康科学をめざして
Genet
i
cBackgroundofCommonDi
seasesoft
heDi
gest
i
veOrgans:TowardPersonal
i
zedHeal
t
hSci
ence
拠点リーダー
山形大学理事(副学長)
Pr
of
i
l
e
河田 純男
Sumi
oKawat
a
Emai
l
:t
kat
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
昭和 49年 大阪大学医学部医学科卒業
昭和 58~ 60年 米国 DUPONT社および英国ロンドン大学留学
平成 6年 大阪大学医学部分子制御内科助教授
平成 12年 山形大学教授(医学部第二内科)
平成 19年より現職
研究概要
Research Summary
21世紀 COEプログラム「地域特性を生かした分子
Genet
i
c Backgr
ound of Common Di
seases of t
he
疫学拠点」では、山形県において高畠コホート(生活
Di
gest
i
veOr
gans:Towar
dPer
sonal
i
zedHeal
t
hSci
ence
習慣病全般)、舟形コホート(糖尿病)および川西コホー
Commondi
s
eas
esoft
hedi
ges
t
i
veor
gansar
enow
ト(肝疾患)を運営している。それぞれのコホートに
under genomewi
de i
nves
t
i
gat
i
on on t
hei
r
おいて消化器 c
ommondi
s
eas
e発症にかかわる遺伝子
opment
.Ourpur
pos
ei
st
o
pat
hogenes
i
sand devel
解析が進行中である。
es
t
abl
i
s
hper
s
onal
i
zedheal
t
hs
ci
encet
ocont
r
oland
高畠コホートでは肝機能異常(ALT値上昇)が飲酒、 pr
he di
ges
t
i
ve or
gans
eventcommon di
s
eas
es oft
メタボリックシンドロームあるいはウイルス肝炎(B, i
ncl
udi
ng cancer
s and l
i
ver di
s
eas
e. We
C型)いずれが最も係わっているかを検討したが、統
o
accumul
at
ed cl
i
ni
caldat
a and SNP i
nf
or
mat
i
on t
計学的には飲酒、ウイルス肝炎の寄与はなく、メタボ
cons
t
r
uct dat
abas
e f
or per
s
onal
i
zed medi
ci
ne
リックシンドロームが関与していることが明らかに
t
hr
ough popul
at
i
onbas
ed cohor
t s
t
udi
es i
n
なった。また、住民におけるアディポネクチンの男女
i
ng t
hes
ef
i
ve year
s
.Our
Yamagat
a Pr
ef
ect
ur
e dur
差、年齢分布を検討し、飲酒により男女ともにアディ
f
i
nalgoali
st
omanageeachper
s
onheal
t
hbas
edon
ポネクチンが軽度ではあるが減少することを確認した。 hi
ound and f
ur
t
hert
or
es
ear
ch
s
/
hergenet
i
cbackgr
現在、アディポネクチン SNPとの関連を検討中である。 and de
vel
op dr
ugs f
r
om ourf
i
ndi
ngs ofgenome 膵がんと肥満および糖尿病との関連が注目されてい
t
sby col
l
abor
at
i
ons
wi
deSNP anal
ys
i
si
nt
hecohor
るが、高畠コホートにおいて、希望者約 500人に糖負
wi
t
hi
nves
t
i
gat
or
si
n ot
heracademi
candi
ndus
t
r
i
al
荷試験と腹部超音波検査を施行した。超音波検査にお
i
ns
t
i
t
ut
es
.
いて、約半数にいわゆる whi
t
epancr
easを認め、脂肪
膵の存在が示唆された。とくに注目されるのは、whi
t
e
pancr
eas群で正常群に比較して、有意に BMIが大きく、
血清 adi
ponect
i
n値が低く、かつインスリン抵抗性の
指標である、HOMAI
R値が高く、whi
t
epancr
eas群
ではメタボリックシンドロームが多いことが明らかに
なった。
28
研究組織:山形大学医学部器官病態統御学講座 消化器病態制御内科学分野
主任教授:河田 純男(教授)kawat
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究分担者:
冨樫 整(教授)ht
武田 弘明(准教授)ht
ogas
hi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
akeda@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
斉藤 孝治(講師)kos
牧野 直彦(講師)nmaki
ai
t
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
no@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
渡辺 久剛(助教)h伊藤 純一(助教)j
wat
anabe@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
xi
9@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
奥本 和夫(助教)okumot
白幡名香雄(助教)s
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
hi
r
ahat
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
戸沢 智浩(助教)t
西瀬 雄子(医員)yni
t
ozawa@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
s
hi
s
egi
@umi
n.
ac.
j
p
石井 里佳(医員)r
i
kai
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究協力者:
村松 正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所 教授)mur
amat
s
u.
epi
@mr
i
.
t
md.
ac.
j
p
江見 充(ヒュービットジェノミクス研究所 教授)me
mi
@a.
t
os
hi
ma.
ne.
j
p
児矢野 聡(ヒュービットジェノミクス研究所)s
koyano@hubi
t
genomi
x.
com
鳥山紗由美(ヒュービットジェノミクス研究所)s
t
or
i
yama@hubi
t
genomi
x.
com
新澤 陽英(県立日本海病院 院長)s
hi
nzawa@ni
honkai
.
gr
.
j
p
さらに、平成 16年度から開始した高畠コホート(3308
人)において、胃がん、大腸がん、膵がんおよび肝細
胞がん発症を追跡中であり、解析に十分な症例が蓄積
された際に、それぞれのがんにおいて SNP解析データ
との照合を行い、発症にかかわる遺伝子の検索・同定
を行う。
川西コホートでは、40歳以上の住民において C型肝
炎ウイルス(HCV)抗体陽性が 40%を超える地域が
あり、この地域で 1040人の協力を得て SNP解析を
行っている。
このうち、HCV抗体陽性でかつ HCV RNA陽性であ
る持続感染群と抗体陽性であるが RNA陰性の既感染
群において、免疫関連遺伝子 SNPを中心に比較検討し
た。このことにより、HCVに対する感染防御遺伝子候
補を検出できると考えている。現在までのところ、10
数個の候補遺伝子に絞り込み、機能解析を行っており、
感染防御機構の解明と創薬につながることを目指して
いる。
Major Publications
1. Wat
anabeH,Sai
t
o T,Kawat
aS,etal
.Spont
aneousel
i
mi
nat
i
on ofs
er
um hepat
i
t
i
sC vi
r
usRNA i
nc
hr
oni
cHCV c
ar
r
i
er
:a
popul
at
i
onbas
edc
ohor
ts
t
udy
.
JMedVi
r
ol2003;71:
5661.
2. Ogat
aS,Fl
or
es
eRH,Kawat
aS,etal
.I
dent
i
f
i
c
at
i
on ofhepat
i
t
i
sC vi
r
uss
ubt
y
pe1b s
t
r
ai
nst
hatar
ehi
ghl
y
,oronl
yweak
l
y
,
as
s
oc
i
at
ed wi
t
h hepat
oc
el
l
ul
arc
ar
c
i
nomaon t
hebas
i
sofs
ec
ondar
ys
t
r
uc
t
ur
eofan ami
not
er
mi
nalpr
ot
ei
n oft
heHCVNS3
pr
ot
ei
n.
JCl
i
nMi
c
r
obi
ol2003;41:
283541.
3. Sai
t
oT,J
i
nG,Kawat
aS,etal
.Genet
i
cvar
i
at
i
onsi
nhumansas
s
oc
i
at
edwi
t
hdi
f
f
er
enc
esi
nt
hec
our
s
eofhepat
i
t
i
sC.Bi
oc
hem
Bi
ophy
sResCommun2004;30:
33541.
4. Ot
ak
eS,Tak
edaH,Kawat
aS,etal
.As
s
oc
i
at
i
onofvi
s
c
er
alf
atac
c
umul
at
i
onandpl
as
maadi
ponec
t
i
nwi
t
hc
ol
or
ec
t
aladenoma:
evi
denc
ef
orpar
t
i
c
i
pat
i
onofi
ns
ul
i
nr
es
i
s
t
anc
e.
Cl
i
nCanc
erRes2005;11:
36426.
5. Ki
mur
aT,Sai
t
o T,Kawat
aS,etal
.As
s
oc
i
at
i
on oft
r
ans
f
or
mi
ng gr
owt
hf
ac
t
or
bet
a1f
unc
t
i
onalpol
y
mor
phi
s
mswi
t
h nat
ur
al
c
l
ear
anc
eofhepat
i
t
i
sCvi
r
us
.
JI
nf
ec
tDi
s2006;193:
13714.
6. Ni
s
hi
s
eY,Sai
t
oT,Kawat
aS,etal
.r
i
s
kofhepat
oc
el
l
ul
arc
ar
c
i
nomaands
ec
ondar
ys
t
r
uc
t
ur
eofhepat
i
t
i
sCvi
r
usNS3pr
ot
ei
n
ami
not
er
mi
nusi
npat
i
ent
si
nf
ec
t
edwi
t
hHCVs
ubt
y
pe1b.
JI
nf
ec
tDi
s2007;196:
10069
29
2 研究概要
パーキンソン病、脳血管障害および糖尿病の分子疫学研究
A mol
ecul
ar epi
demi
ol
ogi
cals
t
udy on Par
ki
ns
on’
s di
s
eas
e,cer
ebr
ovas
cul
ar di
s
eas
es and
di
abet
esmel
l
i
t
us
.
拠点サブリーダー
山形大学大学院生命環境医科学専攻
分子疫学部門生命情報内科学講座
加藤 丈夫
教授 TakeoKat
o
Emai
l
:
t
kat
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
私達の研究チームでは、パーキンソン病、脳血管障
Pr
of
i
l
e
昭和 54年 山形大学医学部医学科卒業
昭和 59~ 61年 Mont
ef
i
or
eMedi
c
alCent
er(
New Yor
k
)
神経病理学部門 Res
ear
c
hFel
l
ow
平成 4年 AL
SAs
s
oc
i
at
i
on(
SanFr
anc
i
s
c
o)客員研究員
平成 9年 山形大学教授(医学部第三内科)
平成 16年より現職
Research Summary
Par
’
ki
ns
on
sdi
s
eas
e(
PD)i
sacommonneur
odegener
at
i
ve
di
s
or
der
, char
act
er
i
zed by s
el
ect
i
ve degener
at
i
on of
onsi
nt
hes
ubs
t
ant
i
ani
gr
a.Al
t
hought
he
dopami
neneur
キンソン病は山形県の全域で、糖尿病は山形県舟形町 pat
hogenes
i
s of PD r
emai
ns undet
er
mi
ned,
αS)and i
s
ynucl
ei
n(
t
sol
i
gomer
phor
yl
at
i
on ofαおよび高畠町住民を対象に、脳血管障害は舟形町、高 phos
f
or
mat
i
ons
eem t
opl
ayakeyr
ol
e.However
,t
hepr
ot
ei
n
畠町および寒河江市の住民を対象に分子疫学研究を行 ki
yl
at
i
on i
n t
he
nas
e(
s
)i
nvol
ved i
n t
he phos
phor
hogenes
i
sofPD hasnotbeen i
dent
i
f
i
ed.Her
e we
なってきた。これらの分子疫学研究の特徴は、①対象 pat
nas
e5(
GRK5)
f
ound t
hatG pr
ot
ei
ncoupl
ed r
ecept
orki
住民の遺伝的多様性がきわめて小さいこと、②追跡調 accumul
at
edi
n Lewy bodi
es
,andcol
ocal
i
zedwi
t
hαS
査をほぼ完璧に実施可能なこと、③臨床データの精度 i
nt
hepat
hol
ogi
cals
t
r
uct
ur
esoft
hebr
ai
nsofPD.I
ncoα
r
1
2
9
o
f
Sat
t
r
a
n
s
f
e
c
t
e
d
c
e
l
l
s
,
G
R
K5
p
h
o
s
p
h
o
r
y
l
a
t
e
d
S
e
がきわめて高いこと、④コホート集団の規模が大きい
t
he pl
as
ma membr
ane and i
nduced t
r
ans
l
ocat
i
on of
こと、⑤遺伝子解析の同意率が高いこと(80%以上) phos
o t
he per
i
kar
yal ar
ea. GRK5phor
yl
at
ed αS t
al
yzed phos
phor
yl
at
i
on al
s
o pr
omot
ed t
hef
or
mat
i
on
等である。そして、この 3疾患についていくつかの新 cat
egat
esofαS.Subs
equent
ofs
ol
ubl
eol
i
gomer
sandaggr
知見を見出し学術誌に報告した。このうちパーキンソ genet
i
cas
s
oci
at
i
ons
t
udyr
eveal
edhapl
ot
ypi
cas
s
oci
at
i
on
bi
l
i
t
yofs
PD.Theal
l
el
es
heGRK5genewi
t
hs
us
cept
i
ン病については、私達の研究成果を基盤にして「創薬 oft
att
woi
nt
r
oni
cSNPsont
heat
r
i
s
khapl
ot
ypei
ncr
eas
ed
に向けて大手製薬企業と共同研究」を行っている。以 t
vi
t
yi
nvi
t
r
o,s
ugges
t
i
ngani
ncr
eas
eof
r
ans
cr
i
pt
i
onalact
i
下にパーキンソン病の研究成果の現状を述べる(糖尿 GRK5expr
es
s
i
oni
nPD.Ther
es
ul
t
ss
t
r
ongl
ys
ugges
tt
hat
phor
yl
at
i
on ofαS by GRK5pl
aysacr
uci
alr
ol
ei
n
病については 32~ 33ページ、脳血管障害については phos
t
hepat
hogenes
i
sofPD.Thepr
es
ents
t
udymaypr
ovi
de
13~ 15ページを参照)。
her
apeut
i
cs
t
r
at
egi
esf
orPD.
ani
ns
i
ghtf
ornovelt
害および糖尿病の分子疫学研究を行なっている。パー
煙パーキンソン病
パーキンソン病 (
PD)の有病率は人口 10万人当たり 100~ 120人であり、神経変性疾患の中ではアルツハイ
マー病に次いで多い疾患である。今後、人口の高齢化に伴い、PDの有病率はさらに上昇するものと思われる。
PDの治療として、現在、薬物療法や定位脳手術等が行われているが、これらの治療法は全て対症療法である。
したがって、病気の進行を抑制することはできず、多くの患者は発症後 10~ 15年で臥床状態に陥り、肺炎な
どの感染症を併発し死亡する。したがって、PDの根本的治療法の確立、つまり、黒質のドパミン神経細胞死の
分子病態を解明し、細胞死を抑制できる治療法の開発が切望されている。
PDは、病理学的には中脳黒質の「ドパミン神経細胞の脱落」と「Lewy小体の出現」を特徴としている。Lewy
小体は、PDの病変部位に出現する病的な細胞質内封入体である。この Le
wy小体の主成分は「リン酸化された
αs
ynucl
ei
n」で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る。I
nvi
t
r
oで αs
ynucl
ei
nを リ ン 酸 化 す る 酵 素 と し て、cas
ei
n
、CK2、Gpr
、GRK5が知られている。そこで私達は、
CK1)
ot
ei
ncoupl
edr
ecept
orki
nas
e2(
GRK2)
ki
nas
e1(
これらのキナーゼに対する抗体を用いて Le
wy小体を免疫染色したところ、抗 GRK5抗体により Lewy小体は
強く免疫染色され、αs
ynucl
ei
nと共存した(図1)。
図1.孤発性パーキンソン病患者の黒質ドパミン神経細胞に認められた Le
wy小体
μm
Lewy小体の主成分はαs
ynucl
ei
n(赤)であり、そこに GRK5(緑)も共存していた(黄)。Bar
=20
30
研究代表者:加藤丈夫(山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座)
研究分担者:大門 眞(山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座)
栗田啓司(山形大学医学部 附属病院第三内科)
川並 透(同上)、田嶋克史(同上)
荒若茂樹(山形大学医学部 器官病態統御学講座 生命情報内科学分野)、
和田 学(同上)、山口 宏(同上)、大泉俊英(同上)、諏佐真治(同上)、加藤裕一(同上)
この結果を分子疫学的に検討するため、私達は山形県内に在住の「PD患者 286例」と「健常高齢者 496例」を
対象に遺伝統計学的解析を行った。その結果、GRK5遺伝子の i
nt
r
on1~ 2に存在する 3つの SNPsm22m23ot
ypeが GAC(
m22m23m24)の時、PD発症のリスクは有意に高くなった(オッズ比
m24が構成する hapl
1.
91;p=0.
0002)。さらに機能解析を行い、以下の結果を得た。
1)リスク hapl
ot
ype上に機能 SNPm24を発見し、m24(
C/
T)のアレルがCの時、CREB1と強く結合し、
レポーター遺伝子(l
uci
f
er
as
e遺伝子)の転写を亢進した。
2)GRK5とαs
ynucl
ei
nを共発現した培養細胞およびヒト脳組織で、GRK5はαs
ynucl
ei
nと緩く結合して
いた。
3)GRK5はαs
ynucl
ei
nの Ser
129をリン酸化した。
4)GRK5はαs
ynucl
ei
nの重合体形成や aggr
egat
i
onを促進した。
)では、α5)GRK5cDNAとαs
ynucl
ei
ncDNAを導入した線虫(C.el
egans
s
ynucl
ei
nがリン酸化され、
神経細胞の機能が障害された。
以上の結果より、私達は孤発性 PDの新しい病態メカニズムを提唱した。つまり、「GRK5遺伝子に at
r
i
s
k
ynucl
ei
nのリン酸化が亢進し、αs
ynucl
ei
n
hapl
ot
ypeが存在すると GRK5の発現が亢進し、その結果、α‐s
の重合体形成や aggr
egat
i
onが促進され、やがては細胞死に至り孤発性 PDが発症する」との仮説である。した
がって、GRK5によるαs
ynucl
ei
nのリン酸化を阻止できる安全な低分子物質を開発できれば、この病的代謝過
程の初期段階をブロックでき、ドパミン神経細胞死、つまり、病気の進行を抑制できる新たな治療薬の開発が可
能と考えられる(図2)。
図2.パーキンソン病の治療ターゲット
GRK5によるαs
ynucl
ei
nのリン酸化を阻害できる安全な低分子物質は、黒質ドパミン
神経細胞死を抑制し、パーキンソン病の進行を抑制できる可能性がある。
Major Publications
1. Nagas
awaH,WadaM,Ar
awak
aS,KawanamiT,Kur
i
t
aK,Dai
monM,Adac
hiM,Hos
oy
aT,EmiM,Mur
amat
s
uM,Kat
oT:A
pol
y
mor
phi
s
m oft
he al
dehy
de dehy
dr
ogenas
e 2gene i
sa r
i
s
kf
ac
t
orf
ormul
t
i
pl
el
ac
unari
nf
ar
c
t
si
nJ
apanes
e men:t
he
Tak
ahat
as
t
udy
.
Eur
opeanJ
our
nalofNeur
ol
ogy2007;14:
428434.
2. WadaM,Nagas
awaH,Kur
i
t
aK,Koy
amaS,Ar
awak
aS,KawanamiT,Taj
i
maK,Dai
monM,Kat
oT:Mi
c
r
oal
bumi
nur
i
ai
sar
i
s
k
f
ac
t
orf
orc
er
ebr
als
mal
lves
s
eldi
s
eas
ei
nc
ommuni
t
y
bas
edel
der
l
ys
ubj
ec
t
s
.
JNeur
olSc
i2007;255:
2734.
3. Ar
awak
aS,WadaM,Got
o S,Kar
ubeH,Sak
amot
o M,Ren CH,Koy
amaS,Nagas
awaH,Ki
mur
aK,KawanamiT,Kur
i
t
aK,
Taj
i
maK,Dai
monM,BabaM,Ki
doT,Sai
noS,Got
oK,As
aoH,Ki
t
anak
aC,Tak
as
hi
t
aE,HongoS,Nak
amur
aT,Kay
amaT,Suz
uk
i
Y,Kobay
as
hiK,Kat
agi
r
iT,Kur
ok
awaK,Kur
i
mur
aM,Toy
os
hi
maI
,Ts
uc
hi
y
aK,I
wat
s
uboT,Mur
amat
s
uM,Mat
s
umi
neH,Kat
oT:
Ther
ol
eofGpr
ot
ei
nc
oupl
edr
ec
ept
ork
i
nas
e5i
npat
hogenes
i
sofs
por
adi
cPar
k
i
ns
on’
sdi
s
eas
e.
JNeur
os
c
i2006;26:
92279238.
4. Dai
monM,J
iG,Oi
z
umiT,Ki
doT,BabaM,J
i
mbuY,KamedaW,Sus
aS,Yamaguc
hiH,OhnumaH,Mur
amat
s
uM,Kat
oT:
As
s
oc
i
at
i
onofnephr
i
ngenepol
y
mor
phi
s
mswi
t
ht
y
pe2di
abet
esi
naJ
apanes
epopul
at
i
on.
Di
abet
esCar
e2006;29:
11171119
5. Kameda W,KawanamiT,Kur
i
t
a K,Dai
mon M,Kay
ama T,Hos
oy
a T,Kat
o T:L
at
er
aland medi
almedul
l
ar
yi
nf
ar
c
t
i
on a
c
ompar
at
i
veanal
y
s
i
sof214pat
i
ent
s
.
St
r
ok
e2004;35:
694699
6. Dai
monM,J
iG,Sai
t
ohT,Oi
z
umiT,Tomi
nagaM,Nak
amur
aT,I
s
hi
iK,Mat
s
uur
aT,I
nagedaK,Mat
s
umi
neH,Ki
doT,Ht
ayL
,
Kamat
aniN,Mur
amat
s
u M,Kat
o T:L
ar
ges
c
al
es
ear
c
h ofSNPsf
ort
y
pe2DM s
us
c
ept
i
bi
l
i
t
ygenesi
n aJ
apanes
epopul
at
i
on.
Bi
oc
hem Bi
ophy
sResCommun2003;302:
751758.
31
2 研究概要
糖尿病の分子疫学研究・教育
Popul
at
i
onbas
edgenet
i
canal
ys
i
sf
ordet
er
mi
ni
ngt
ype2di
abet
ess
us
cept
i
bi
l
i
t
ygenes
Pr
of
i
l
e
山形大学大学院生命環境医科学専攻
分子疫学部門生命情報内科学講座
大門 真
准教授 Makot
oDai
mon
Emai
l
:
mdai
mon@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
昭和 32年 富山県井波町生まれ
昭和 61年 山形大学大学院医学研究科修了
昭 和 61年 ~ 昭 和 63年 ア メ リ カ、ク リ ー ブ ラ ン ド の Cas
e
Wes
t
er
nRes
er
veUni
ver
s
i
t
yにて研究
昭和 63年 山形大学医学部第三内科
(現生命情報内科学)所属。
平成 14年 同助教授
平成 19年より同准教授。
研究概要
2型糖尿病の病因にはカロリー及び脂質の摂取過多、
Research Summary
Type2di
abet
es(
DM)i
sahet
er
ogeneousdi
s
or
der
肥満及び運動不足等の環境因子(生活習慣因子)の他
ofgl
ucos
emet
abol
i
s
m char
act
er
i
zedbybot
hi
ns
ul
i
n
に遺伝因子も関与している。遺伝形式の研究から病因
r
es
i
s
t
ance and pancr
eat
i
c βcel
ldys
f
unct
i
on.The
遺伝因子は多岐にわたる(多因子遺伝)ことが分かっ
f
ami
l
i
al cl
us
t
er
i
ng of DM
ている。私達は、この多岐にわたる遺伝因子の幾つか
cor
r
es
pondence bet
ween genet
i
cadmi
xt
ur
er
at
es
を見つけることを目的として、2004年より、山形県高
畠町の住民検診に共同参画している。2005年度終了時
で、DNA解析同意者が 2,
930名おり、これらを対象に
関連解析を行っている。
こ れ ま で に、ABCA1、Ne
phr
i
n、及 び、PI
K3C2G
遺伝子と糖尿病との関連を、世界で始めて報告した。
and t
he cl
os
e
and di
s
eas
e pr
eval
ence i
n hybr
i
d popul
at
i
ons
s
ugges
tamaj
orr
ol
ef
orgenet
i
cs
us
cept
i
bi
l
i
t
yi
nt
he
pat
hogenes
i
sofDM.Genomewi
de s
t
udi
esby t
he
us
eofmi
cr
os
at
el
l
i
t
emar
ker
sand s
i
bpai
ranal
ys
es
i
dent
i
f
i
ed DMs
us
cept
i
bl
el
ocii
n var
i
ous genomi
c
r
egi
ons f
r
om di
f
f
er
ent popul
at
i
ons
.However
,t
he
s
us
cept
i
bi
l
i
t
i
esoft
hel
ocis
eemed t
o bes
peci
f
i
ci
n
また、TNFα遺伝子と糖尿病との関連については、 t
he s
t
udy popul
at
i
on,and t
husf
ar
,t
he cal
pai
n10
種々の報告があり、結論が出されていないのが現状で ge
nef
r
om t
heNI
DDM1l
ocusi
st
heonl
y onet
hat
あるが、本遺伝子のこれまでに注目されてこなかった
has been i
dent
i
f
i
ed f
r
om
多型が、実は機能性多型で、糖尿病と関連している事
Ther
ef
or
e,wenow t
akecandi
dat
egeneappr
oaches
を新たに認めた(図1、投稿中)。現在、他の数種類の
us
i
ng genes i
n DMr
el
at
ed pat
hways t
oi
dent
i
f
y
遺伝子で、関連解析、及び、その機能の解析を進めて
pol
ymor
phi
s
ms t
hat r
ender i
ncr
eas
ed r
i
s
k oft
he
いる。なお、本研究にて、大学院生2人を指導。1人
di
s
eas
e.
は医科学修士取得後、研究分野に就職。他の1人は医
学博士過程大学院生で研究中。
t
hes
e appr
oaches
.
Us
i
ng a popul
at
i
onbas
ed s
ampl
e of Takahat
a
s
t
udy oft
heCOE pr
oj
ect
sofYamagat
aUni
ver
s
i
t
y,
s
of
ar
,wehaver
epor
t
edt
hr
eenovelgenes(
ABCA1,
Nephr
i
n,PI
K3C2G)as genes s
us
cept
i
bl
ef
or DM.
Fur
t
her
mor
e,we have f
ound a novel f
unct
i
onal
α
pol
ymor
phi
s
m of t
he Tumor Necr
os
i
s Fact
or
-
genet
hati
sas
s
oci
at
edwi
t
hdi
abet
es
.Wenow i
nt
he
mi
ddl
eofpr
omot
i
ng t
hi
spr
oj
ectwi
t
hs
ever
almor
e
candi
dat
egenesf
orext
endedanal
ys
es
.Wear
eal
s
o
f
ol
l
owi
ngt
heheal
t
hcondi
t
i
onoft
hepar
t
i
ci
pant
st
o
expand our pr
oj
ect f
or cohor
t anal
ys
i
s
. Thes
e
f
i
ndi
ngsappear
edt
ol
eadt
ot
hecl
ar
i
f
i
cat
i
on oft
he
pat
hophys
i
ol
ogyofDM.
32
研究代表者:山形大学大学院 生命環境医科学専攻 分子疫学部門 生命情報内科学講座
研究代表者:加藤丈夫(教 授)
研究分担者:大門 真(准教授)
大沼 寛(講 師)
山口 宏(助 教)
大泉俊英(同 上)
A
B
C
図 1:TNFαI
VS1G123A多型の機能解析。
A:ゲルシフトアッセイ .Aアレルに特異的に結合する核内蛋白が存在する(レーン 5,
6)。
B:A アレルへの特異的結合は転写因子 YY1の特異的塩基配列(プローブ、cYY1)にて阻害されるが(レーン 3)、変
異プローブでは阻害されない(レーン4)。また、YY1抗体にてシフト バンドのスパーシフトが認められた。
(1個)、3X
(3個順番に並べた)はレポーターベクターに挿入したプロモー
C:プロモーター レポーター アッセイ .1X
ター断片の数。Aアレルの方が Gアレルより転写活性にあたえる影響が大きかった。
Major Publications
1. M.Dai
mon,H.Sat
o,T.Oi
z
umi
,etal
.As
s
oc
i
at
i
on oft
he PI
K3C2G gene pol
y
mor
phi
s
mswi
t
ht
y
pe 2DM i
n aJ
apanes
e
Popul
at
i
on.Bi
oc
hem Bi
ophy
sResCommun.
365:
466471,2008
2. M.Dai
mon,G.J
i
,T.Oi
z
umi
,etal
.As
s
oc
i
at
i
onofnephr
i
ngenepol
y
mor
phi
s
mswi
t
ht
y
pe2di
abet
esi
naJ
apanes
epopul
at
i
on:
TheFunagat
as
t
udy
.Di
abet
esCar
e29:
11171119,2006.
3. M.Dai
mon,T.Ki
do,M.Baba,etal
.As
s
oc
i
at
i
onoft
heABCA1genepol
y
mor
phi
s
mswi
t
ht
y
pe2DM i
naJ
apanes
epopul
at
i
on.
Bi
oc
hem Bi
ophy
sResCommun.
329:
205210,2005
33
2 研究概要
糖尿病の分子疫学研究・教育
Funagat
aSt
udy
山形大医学部器官統御学講座
液性病態診断医学分野
富永 真琴
教授 Makot
oTomi
naga
Emai
l
:
mt
omi
naga@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
l
e
昭和 23年 新潟県新発田市生まれ
昭和 48年 新潟大学医学部卒業
昭和 51年 山形大学医学部第三内科助手
昭和 59年~ 61年 テキサス大学留学
平成 8年 山形大学医学部臨床検査医学講座教
研究概要
Research Summary
)Funagat
(
l
aSt
udyl
Funagat
aSt
udy1
ライフスタイルの変化に伴い糖尿病が増加している
Thes
t
udyt
odet
er
mi
net
hepr
eval
enceofdi
abet
es
が、Popul
at
i
on- bas
edで糖尿病の有病率を正確に調
mel
l
i
t
us was car
r
i
ed out as obj
ect
s of al
lt
he
査した報告はあまりない。山形県舟形町では 1990-
e, i
n Funagat
a,Japan,
r
es
i
denceaged40andmor
92年に、40歳以上の全住民を対象に 75gOGTTを一
i
n 19901992. The r
es
ul
t
s s
howed t
hat t
he
次検査とする糖尿病の有病率調査を行った。
pr
eval
ence of di
abet
esmel
l
i
t
uswasabout10%,
その結果、糖尿病は約 10%で耐糖能障害(I
GT)は
andt
hati
tofi
mpai
r
edgl
ucos
et
ol
er
ance(
I
GT)was
約 15%であった。これをもとに推定した日本全国の糖
abet
es
about 15%,f
r
om t
hi
sdat
a,t
henumberofdi
尿病患者数は約 600万人と見積もられた。当時の患者
mel
l
i
t
uswases
t
i
mat
ed t
o be 6.
0mi
l
l
i
on i
n whol
e
調査とあまりにかけ離れ、信憑性が疑われたこともあ
Japan.Thi
ss
t
udy pus
hed f
or
war
dt
he Nat
i
onal
るが、その後に行われた厚生省の糖尿病実態調査で「糖
abet
esmel
l
i
t
usi
nJapan.
Sur
veyofdi
尿 病 が 強 く 疑 わ れ る 人」が 690万 人 と 推 定 さ れ、
Funagat
aSt
udyの先見性が評価された。
(
2)Funagat
aSt
udy2
Funagat
aSt
udy2
1990- 92年の検診の受診者を対象にコホート集団
A c
ohor
ts
t
udy, cons
i
s
t
ed oft
hepar
t
i
ci
pant
sof
に設定し、正常耐糖能、耐糖能障害、糖尿病の 3群に
t
he pr
eval
ence s
t
udy i
n 19901992, i
n Funagat
a,
分け、死亡診断書を閲覧し、耐糖能障害のレベルから、 s
hatt
heI
GT hasa r
i
s
kf
orcar
di
ovas
cul
ar
howed t
心血管疾患(心疾患、脳卒中)が多いことを明らかに
di
s
eas
es
,butnoti
mpai
r
edf
as
t
i
nggl
ucos
e(
I
FG)
.
した。
(3)Funagat
aSt
udy3
34
Funagat
aSt
udy3
1995- 1997年の検診受診者のアデイポネクチンを
Thef
ol
l
owups
t
udy oft
hepar
t
i
ci
pant
sof 1995-
測定し、2000- 2002年の検診で、アデイポネクチン
1997s
ur
vey i
n Funagat
a demons
t
r
at
ed t
hs
ta r
i
s
k
が低いことが糖尿病発症の危険因子であることを明ら
odevel
opdi
abet
esmel
l
i
t
uswasl
ow l
evel
sof
f
act
ort
かにした。
adi
ponect
i
n.
研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野
研究代表者:富永 真琴(山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野 教授)
研究分担者:五十嵐雅彦(山形大学医学部器官病態統御学講座液性病態診断医学分野 准教授)
大門 眞(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻分子疫学部門生命情報内科学 准教授)
山口 宏(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻分子疫学部門生命情報内科学 助教)
大泉 俊英(山形大学医学部附属病院第三内科 助教)
Major Publications
1) I
gar
as
hiM,J
i
mbu Y,Hi
r
at
aA,Tomi
nagaM:Char
ac
t
er
i
z
at
i
on ofpl
as
mabr
ai
n nat
r
i
ur
et
i
cpept
i
de l
eveli
n pat
i
ent
swi
t
h
Ty
pe2di
abet
es
.
Endoc
r
i
neJ
our
nal
2005;52:353362
2) KamedaW,Dai
monM,Oi
z
umiT,J
i
mbuY,Ki
mur
aM,Hi
r
at
aA,Yamaguc
hiH,OhnumaH,I
gar
as
hiM,
Tomi
nagaM,Kat
oT:
As
s
oc
i
at
i
onofdec
r
eas
ei
ns
er
um dehy
dr
oepi
andr
os
t
er
ones
ul
f
at
el
evel
swi
t
ht
hepr
ogr
es
s
i
ont
ot
y
pe2di
abet
esi
nmenofa
J
apanes
epopul
at
i
on.
TheFungat
aSt
udy
.
Met
abol
i
s
m2005;54:669676
3) Dai
monM,Ki
doT,BabaM,Oi
z
umiT,J
i
mbuY,KamedaW,Yamaguc
hiH,OhnumaH,Tomi
nagaM,Mur
amat
s
uM,Kat
oT:
As
s
oc
i
at
i
on of t
he ABCA1gene pol
y
mophi
s
ms wi
t
h t
y
pe2DM i
n a J
apanes
e popul
at
i
on.Bi
oc
hem Bi
ophy
s Res
Comm2005;Vol
.
329:205210
4) Ar
ak
awaN,
Dai
monM,
Oi
z
umiT,
J
i
mbuY,
KamedaW,
Yamaguc
hiH,
OhnumaH,
Tomi
nagaM,
Kat
oT:Cor
r
el
at
i
onbet
weenc
hange
i
n bodywei
ghtr
at
hert
han c
ur
r
entbodywei
ghtand c
hange i
ns
er
um adi
ponec
t
i
nl
evel
si
n aJ
apanes
e popul
at
i
on t
he
Funagat
as
t
udy.
Met
abol
i
s
m 2006;55:324330
5) Or
i
s
ak
aM,
Nak
aiK,
Tomi
nagaM,
SuwabeA:Ri
s
kf
ac
t
or
sf
ordevel
opmentofpr
edi
abet
i
cs
t
at
ef
r
om nor
molgl
uc
os
er
egul
at
i
on
.
Tohok
uJEx
pMed2006;210:279- 283
6) I
gar
as
hiM,
Hi
r
at
a A,
Kadomot
o Y,
Tomi
naga M,
;Dealbl
oc
k
ade ofenal
apr
i
land l
os
ar
t
an r
educ
espr
ot
ei
nur
i
a byi
t
sant
i
i
nf
l
ammat
or
yef
f
ec
ti
nhy
per
t
ens
i
vepat
i
ent
swi
t
ht
y
pe2di
abet
esEndoc
r
i
neJ2006;
53:
493501
7) Tak
abat
ak
e N,
Shi
bat
a Y,
Abe S,
Wada T,
Mac
hi
y
aJ
,
I
agar
as
hiA,
Tok
ai
r
i
n Y,
J
i
n G,
Sat
o H,
Sat
a M,Tak
ei
s
hiY,
EmiM,
Mur
amat
s
u
M,
Kubot
aI
,
As
i
ngl
e nuc
l
eot
i
de pol
y
mor
phi
s
m i
nt
he CCL 1gene pr
edi
c
t
s ac
ut
e ex
ac
er
bat
i
ons i
nc
hr
oni
c obs
t
r
uc
t
i
ven
pul
monar
ydi
s
eas
e.
Am JRes
pi
rCr
i
tCar
eMed.
2006;15:174(
8)
87585
35
2 研究概要
眼疾患の分子疫学的研究 ― 舟形町研究をもとに ―
Popul
at
i
onbas
edgenet
i
canal
ys
i
sofocul
ardi
s
eagent
heFunagat
aSt
udy
山形大学医学部情報構造統御学講座
視覚病態学分野
山下 英俊
教授 Hi
det
oshiYamshi
t
a
Emai
l
:hyamat
ky@umi
n.
ac.
j
p
研究概要
Pr
of
i
l
e
昭和 56年
昭和 56~ 59年
昭和 60~ 61年
昭和 62~平成 11年
平成 11年~
東京大学医学部医学科卒業
東京大学医学部附属病院
自衛隊中央病院
東京大学医学部附属病院
山形大学医学部
Research Summary
1)Pr
eval
enceofr
et
i
nopat
hy among di
abet
esand nondi
abet
es
.
Re
cents
t
udi
eshave s
hown t
hatr
et
i
nopat
hy l
es
i
ons
ar
e wi
del
yf
ound i
n nondi
abet
i
c popul
at
i
on bas
ed on
s
t
andar
di
zed f
undus phot
ogr
aph gr
adi
ng. We have
exami
ned pr
eval
ence of r
et
i
nopat
hy by gl
ucos
e
met
abol
i
s
m s
t
at
us
. The pr
eval
ence of r
et
i
nopat
hy
among per
s
ons wi
t
h di
abet
es was 23.
0%. The
pr
eval
enceofr
et
i
nopat
hy f
ornor
malgl
ucos
e,i
mpai
r
ed
f
as
t
i
ng gl
ucos
e(
I
FG)and i
mpai
r
ed gl
ucos
et
ol
er
ance
(
I
GT)was7.
7%,10.
3% and 14.
6%,r
es
pect
i
vel
y.Af
t
er
○シドニー大学、メルボルン大学との共同研究
adj
us
t
i
ng f
orage,gender
,hyper
t
ens
i
on,s
moki
ng s
t
at
us
山形大学情報構造統御学視覚病態学分野では、2000年の
andbody mas
si
ndex,I
GT wass
i
gni
f
i
cant
l
y as
s
oci
at
ed
舟 形 町 眼 科 検 診 開 始 時 よ り、シ ド ニ ー 大 学 Ce
t
hr
et
i
nopat
hy (
oddsr
at
i
o(
OR)1.
63,95% conf
i
dence
nt
r
ef
or wi
nt
er
val
: 1.
072.
49)
, but I
FG was not s
i
gni
Vi
s
i
onRes
ear
chと国際共同研究を行なっている。シドニー i
f
i
cant
l
y
大学は、眼科領域において世界的に有名な疫学研究である
as
s
oci
at
ed (
OR 1.
23, 95%CI
: 0.
423.
58)
. Our r
es
ul
t
uppor
t
sacont
i
nuousef
f
ectof2hourpos
t
l
oadgl
Bl
ueMount
ai
nsEyeSt
udyの主要な施設である。本検診で s
ucos
e
撮影された眼底写真は Bl
di
abet
i
c i
ndi
vi
dual
s
, s
howi
ng t
hat
ueMount
ai
nsEyeSt
udyと同様 among nonに、専門の判定員により国際的に標準化された方法によっ
mi
cr
ovas
cul
ardamage may occuratl
evel
sbel
ow t
he
て判定を受けている。現在はさらにメルボルン大学 Ce
r
nt
r
e cur
entdi
abet
esdi
agnos
t
i
ccr
i
t
er
i
on,andpr
ovi
def
ur
t
her
f
orEyeRes
ear
chAus
t
r
al
i
aとも眼科疫学研究の解析手法 s
uppor
tt
hat2hourpos
t
l
oad gl
ucos
ei
sa mor
eus
ef
ul
の標準化などを中心に共同研究を行っている。
pr
edi
ct
orofdi
abet
i
c mi
cr
ovas
cul
arcompl
i
cat
i
onst
han
f
as
t
i
nggl
ucos
e.
○舟形町眼科検診とは
山形大学情報構造統御学視覚病態学分野では、2000年よ
り山形県舟形町と共同で 35歳以上の全住民を対象とした
眼科検診を開始した。2005年からの検診では検診項目を大
幅に増やし、受診者全員に視力検査(裸眼および矯正視力)、
眼圧検査、他覚的屈折測定、角膜曲率半径測定、両眼の眼
底写真撮影を開始、2007年より角膜内皮測定検査を検診の
項目に加えた。本検診は 3年間で舟形町全ての地区(舟形、
堀内、長沢)に対して検診を行っており、2000~ 2002年
1786名、2005~ 2007年 1448名の受診を得られている。
○研究概要
本検診の受診者を対象に行った主な研究の概要を以下に
記載した。
1)糖尿病患者および非糖尿病患者における網膜症の有病率
糖尿病患者に網膜症が見られることは広く知られている
が、眼底写真を用いた詳細な眼底検査を行うと非糖尿病患
者においても網膜症病変が認められることが報告されてい
る。そこで舟形町研究の対象者で糖尿病患者(n=
165)、
糖 代 謝 正 常 者(n=
1012)、i
mpai
r
edf
as
t
i
nggl
ucos
e(
I
FG)
(n=
(n=
204)、i
mpai
r
edgl
ucos
et
ol
er
ance(
I
GT)
267)それ
ぞれの網膜症の有病率を求めた。糖尿病患者においては
23.
0%に網膜症がみられた。糖代謝正常者、I
FG、I
GTにお
いてもそれぞれ 7.
7%、10.
3% and14.
6%に網膜症が認められ
た。年齢、性別、高血圧、喫煙習慣、bodymas
si
ndexで調
整したうえで、I
GTでは糖代謝正常者に比べて有意に網膜症
が多くみられた(オッズ比 1.
63,95%信頼区間 1.
072.
49)。
一方で I
FGでは糖代謝正常者に比べて有意に網膜症が多
く見られることはなかった (オッズ比 1.
23,95%信頼区間
。これらの結果は細小血管障害である網膜症が
0.
423.
58)
現在の糖尿病判定の基準値以下においても認められること、
また、負荷後 2時間血糖値が空腹時血糖値よりも有意に網
膜症に関連していることを示していると考えられる。
36
2)TheMet
abol
i
cSyndr
omeAnd Ret
i
nalMi
cr
ovas
cul
ar
Si
gns
Theme
t
abol
i
cs
yndr
omei
sas
s
oci
at
edwi
t
hahi
ghr
i
s
k
ofcar
di
ovas
cul
ardi
s
eas
e.Ther
ei
si
ncr
eas
i
ng evi
dence
t
hatmet
abol
i
c abnor
mal
i
t
i
es may al
s
oi
mpacton t
he
mi
cr
ovas
cul
at
ur
es
uch asr
et
i
nalvas
cul
at
ur
e.We have
r
epor
t
ed t
hati
ndi
vi
dualcomponent
s oft
he met
abol
i
c
s
yndr
ome ar
e as
s
oci
at
ed wi
t
hr
et
i
nal mi
cr
ovas
cul
ar
changes(
Kawas
akietal
.Opht
hal
mol
ogy 2006)
.I
nt
he
cur
r
ent s
t
udy,we exami
ned t
he as
s
oci
at
i
ons of t
he
met
abol
i
cs
yndr
omewi
t
hr
et
i
nalmi
cr
ovas
cul
ars
i
gnsi
n
t
he Funagat
a St
udy. The met
abol
i
cs
yndr
ome was
di
agnos
edus
i
ngdef
i
ni
t
i
onsoft
heI
nt
er
nat
i
onalDi
abet
es
Feder
at
i
on. Var
i
ous component
s of t
he met
abol
i
c
s
yndr
ome wer
e as
s
oci
at
ed wi
t
hr
et
i
nalmi
cr
ovas
cul
ar
s
i
gns
:l
ar
gerwai
s
tci
r
cumf
er
ence wasas
s
oci
at
ed wi
t
h
wi
dervenul
ardi
amet
erand r
et
i
nopat
hy l
es
i
ons
;hi
gher
bl
oodpr
es
s
ur
el
evelwasas
s
oci
at
edwi
t
hf
ocalar
t
er
i
ol
ar
nar
r
owi
ng,ar
t
er
i
ovenous ni
cki
ng,enhanced ar
t
er
i
ol
ar
wal
lr
ef
l
exandnar
r
owerar
t
er
i
ol
ardi
amet
er
;andhi
gher
t
r
i
gl
ycer
i
de l
evel was as
s
oci
at
ed wi
t
h enhanced
研究代表者:山下 英俊
研究分担者:川崎 良、菅野 誠、上領 勝、眞神尾聡美、佐藤 浩章、佐藤さくら、今野 伸弥、土谷大仁朗
望月 典子、永沢 倫、田辺 祐資、田邊 智子、中野早紀子、羽根田思音、難波 広幸、桐井枝里子
2)メタボリックシンドロームと網膜所見の関連
メタボリックシンドロームは主に大血管の障害との関連
を元に定義されているが、最近の研究から細小血管障害と
の関連も明らかにされている。我々は過去にメタボリック
シンドロームの構成要素である高血圧や肥満などが網膜細
動脈硬化所見および網膜症と関連していることを報告した
(Kawas
akietal
.Opht
hal
mol
ogy2006)。そこで今回はメ
タボリックシンドロームを有することが網膜所見と関連す
るか、さらにその際に個々の構成要素間で相乗効果が見ら
れるか舟形町研究の対象者(n=
1638)で検討した。メタボ
リックシンドロームは I
nt
er
nat
i
onalDi
abet
esFeder
at
i
on
の定義で診断した。網膜症およびその他の網膜細動脈硬化
所見は眼底写真を元に判定した。メタボリックシンドロー
ムの個々の構成要素と網膜所見には、肥満とびまん性静脈
拡張および網膜症、高血圧と網膜細動脈の局所狭細化・動
静脈交叉現象・血柱反射亢進・びまん性狭細、高トリグリ
セリド血症と血柱反射亢進などの関連があった。メタボ
リックシンドローム自体は網膜症(オッズ比 1.
64,95%信
頼区間 :1.
μm,95%信
022.
64)とびまん性静脈拡張(+4.
69
μm)に関連していた。これらの結果か
頼区間 :1.
20-8.
19
ら、メタボリックシンドロームは網膜所見と関連している
ものの、個々のメタボリックシンドローム構成要素による
相乗効果は認められなかった。
斑症と ACE遺伝子多型 Dal
l
el
eとの間には関連は認めら
れなかった。
○これからの展望
2000~ 2002年と比較し、2005~ 2007年における検診
では、より充実した臨床データが得られた。今後もさらに
追跡調査を続けていき、より精度の高い解析を行っていく
予定である。
ar
t
er
i
ol
ar wal
lr
ef
l
ex. Over
al
l
, per
s
ons wi
t
h t
he
met
abol
i
c s
yndr
ome wer
e mor
e l
i
kel
y t
o have
r
et
i
nopat
hy (
OR 1.
64,95% CI
:1.
022.
64) and wi
der
venul
ardi
amet
er4.
69μ m (
95% CI
:1.
20t
o8.
19μ m)
t
han per
s
ons wi
t
houtt
he met
abol
i
cs
yndr
ome.Thes
e
dat
as
ugges
tt
hatmet
abol
i
cabnor
mal
i
t
i
esar
eas
s
oci
at
ed
wi
t
h mi
cr
ovas
cul
archanges
;t
her
e wasno s
yner
gi
s
t
i
c
ef
f
ectbeyondi
t
si
ndi
vi
dualcomponent
s
.
3) Ear
l
y ager
el
at
ed macul
opat
hy and Angi
ot
ens
i
nI
Conver
t
i
ngEnzymegenepol
ymor
phi
s
ms
Age
r
el
at
ed macul
ardegener
at
i
on (
AMD)i
sa maj
or
caus
e ofbl
i
ndnes
si
n el
der
l
y peopl
e.AMD i
ss
t
i
l
la
chal
l
enge,as t
her
e has been s
car
ce evi
dence f
or i
t
s
pr
event
i
on.Angi
ot
ens
i
n IConver
t
i
ng Enzyme(ACE)
3)アンギオテンシン変換酵素遺伝子多型と早期加齢黄斑
geneI
ns
er
t
i
on(
I
)/Del
et
i
on(
D)pol
ymor
phi
s
mshasbeen
症の関連
s
hown t
o be as
s
oci
at
ed wi
t
h dr
y/
at
r
ophi
c AMD;t
her
e
加齢黄斑変性症は高齢者の視力障害の主な原因の一つで
havebeen no dat
as
howi
ng as
s
oci
at
i
on bet
ween t
hos
e
あり、いまなお治療困難な疾患である。これまでに様々な
g
e
n
e
p
o
l
y
mo
r
p
h
i
s
m
a
n
d
e
a
r
l
y
a
g
e
r
e
l
a
t
e
d
ma
c
u
l
o
p
a
t
h
y
遺伝子が加齢黄斑変性と関連すると報告されているが、そ
(
ear
l
y ARM)
.Ther
ef
or
e,we exami
ned t
he as
s
oci
at
i
on
のなかでアンギオテンシン I変換酵素遺伝子多型(ACE遺
ween ACE geneI
/
D pol
ymor
phi
s
msand ear
l
y ARM
伝子多型)の Dal
l
el
eと萎縮型加齢黄斑変性との関連が報 bet
us
i
ngadul
tJapanes
es
ubj
ect
si
nt
heFunagat
aSt
udy.Of
告されている。一方、ACE遺伝子多型と早期加齢黄斑症の
t
hes
e s
t
udy s
ubj
ect
s
, 697par
t
i
ci
pat
ed bot
h f
undus
関連についての報告はない。そこで、ACE遺伝子多型と早
exami
nat
i
on and gene anal
ys
i
st
o det
er
mi
ne t
he ACE
期加齢黄斑症の関連について舟形町研究において検討を
(
not
ypes
D/
Dgenot
ype:n=70、I
/
Dgenot
ype:n=322、
行った。眼科検診と ACE遺伝子多型解析に参加した 697 ge
I
/
I
g
e
n
o
t
y
p
e
:
n
=
3
0
5
)
.
G
r
a
d
i
n
g
o
f
e
a
r
l
y
A
RM l
es
i
ons
名(
ACE遺伝子多型 D/
Dgenot
ype:n=70、I
/
Dgenot
ype:
f
or
med at t
he Cent
r
ef
or Vi
s
i
on Res
ear
ch
n=322、I
/
Igenot
ype:n=305)を対象に横断研究を行った。 was per
Uni
ver
s
i
t
y of Sydney) us
i
ng a modi
f
i
cat
i
on of t
he
早 期 加 齢 黄 斑 症 の 判 定 は Ce
nt
erf
orVi
s
i
onRes
ear
ch (
Wi
s
cons
i
n ARM Gr
adi
ng Sys
t
em.The pr
eval
ence of
(
Uni
ver
s
i
t
y of Sydney)で Wi
s
cons
i
n Ager
el
at
ed
l
y ARM wer
e 2.
9% f
orD/
D genot
ype,1.
9% f
orI
/
D
Macul
opat
hyGr
adi
ngSys
t
em 変法で判定した。ACE遺伝 ear
ype,4.
6% f
orI
/
Igenot
ype;t
her
ewasnos
i
gni
f
i
cant
子多型 D/
Dgenot
ype、I
/
Dgenot
ypeおよび I
/
Igenot
ypeそ genot
s
oci
at
i
on bet
ween D al
l
el
eandear
l
y ARM (
OR:0.
57,
れぞれにおいて 2.
9%、1.
9%および 4.
6%で早期加齢黄斑症 as
9
5
%
C
I
0
.
2
8
1
.
1
8
)
.
T
h
e
r
e
s
u
l
t
d
i
d
n
o
t
c
h
a
n
g
e
a
f
t
e
r
a
d
j
u
s
t
i
ng
を認めたが、有意な関連は認めなかった(Dal
l
el
eオッズ
OR 0.
55)
, or f
ur
t
her adj
us
t
ment wi
t
h gender
,
比: 0.
57、95%信頼区間 0.
28、1.
18)。これは年齢で調整 age (
t
ens
i
on,gl
ucos
et
ol
er
ance and di
abet
es
,s
moki
ng
後(Dal
l
el
eオッズ比: 0.
55)、およびさらに年齢、性別、 hyper
andbodymas
si
ndex(
OR0.
55,CI0.
271.
16)I
nJapanes
e
喫煙習慣、高血圧、耐糖能異常および糖尿病、BMIでの調
at
i
on, we coul
d not obs
er
ve t
he as
s
oci
at
i
on
整後も有意ではなかった(Dal
l
el
eオッズ比: 0.
55、95% popul
weenACEpol
ymor
phi
s
m(
Dal
l
el
e)andear
l
yARM.
信頼区間: 0.
27,1.
16)。山形県舟形町研究では早期加齢黄 bet
Major Publications
1) Kawas
ak
iR.etal
.Car
di
ovas
c
ul
arr
i
s
kf
ac
t
or
sandr
et
i
nalmi
c
r
ovas
c
ul
ars
i
gnsi
nanadul
tJ
apanes
epopul
at
i
on:t
heFunagat
a
St
udy
.
Opht
hal
mol
ogy2006;113:
13781384.
2) Kawas
ak
iR.etal
.I
mpai
r
edgl
uc
os
et
ol
er
anc
e,butnoti
mpai
r
edf
as
t
i
nggl
uc
os
e,i
sas
s
oc
i
at
edwi
t
hr
et
i
nopat
hyi
nJ
apanes
e
popul
at
i
on:
t
heFunagat
aSt
udy
.
Di
abet
es
,Obes
i
t
yandMet
abol
i
s
m:
I
npr
es
s
.
3) Kawas
ak
iR.etal
.TheMet
abol
i
cSy
ndr
omeandRet
i
nalMi
c
r
ovas
c
ul
arSi
gnsi
naJ
apanes
ePopul
at
i
on:TheFunagat
aSt
udy
.
Br
i
t
i
s
hJ
our
nalofOpht
hal
mol
ogy
:
I
npr
es
s
.
37
2 研究概要
慢性腎臓病の分子疫学研究
Mol
ecul
arepi
demi
ol
ogi
calr
es
ear
chi
nchr
oni
cki
dneydi
s
eas
e
山形大学医学部器官統御学講座
循環・呼吸・腎臓内科学分野
今田 恒夫
准教授 Tuneo Kont
a
Emai
l
:kkont
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
【
(CKD)は増加の一
を
や高齢化により、慢性腎臓病
跡調査による予後解析や遺伝素因の検討を行い、一般
り、その早期発見治療の重
住民から CKD高リスク群を効率的に検出し治療する
目されている。CKDの最も初期段階であるア
ルブミン尿は
に測定できることから、欧米では効
日
率的な CKDスクリーニング法として用いられるが、
本では
及しておらず、その詳細は不明である。日本
人を含むアジア人と欧米人は生活習慣や遺伝的素因な
ど
うことから、アルブミン尿の頻度や危険因子は日
本人と欧米人では異なる可能性がある。日本人におけ
日本人の生活
る CKDの発症進行を予防するためには、
習慣や遺伝的素因を考
に入れた、アルブミン尿の効
果的な検出法、
介入法について明らかにする必要がある。
【方法】対象は山形県高畠町 40歳以上の一般住民の中
問診、
一
で、
本研究について説明し同意を得た 3115人。
般採血、尿検査、DNA抽出用採血を行った。国際腎
臓学会のアルブミン尿性別基準(KDI
GO)に従い、ス
ポ ッ ト 尿 の ア ル ブ ミ ン・ク レ ア チ ニ ン 比(UACR)
20mg/
g以上(男性)、30mg/
g以上(女性)をアルブ
ミン尿陽性とした。
【結果】アルブミン尿の頻度:アルブミン尿は全対象者
の 22.
3%で認め、男女とも加齢とともにその頻度が増
の
加した。60歳以上、高血圧、糖尿病、肥満(BMI≧ 25)
中 で ア ル ブ ミ ン 尿 陽 性 の 割 合 は、
そ れ ぞ れ 27.
2%、
29.
6%、38.
8%、27.
2%と高値であった。アルブミン尿
の危険因子:多変量解析では、
年齢、
高血圧、
糖尿病、塩
分摂取量増加、
高尿酸血症(女性のみ)、メタボリック症
候群、抗核抗体がアルブミン尿発現と有意に相関した。
また炎症性ケモカイン CCc
hemoki
nel
i
gand5の遺伝
多型と UACR値は関連した。アルブミン尿の検出:高
血圧や糖尿病など高リスク群における尿試験紙法での
の約 70尿蛋白(±)
80%がアルブミン尿の範囲であっ
た。このことから、
より安価な尿試験紙を低コストの1
次スクリーニング法として使用できる可能性がある。
【まとめ】以上の結果より、CKDの初期段階であるア
ルブミン尿は一般住民に高頻度に存在し、その発現に
は様々な環境要因が関与している。今後は本集団の追
38
昭和 40年 山形県米沢市生まれ
平成 2年 山形大学医学部卒業
平成 11年~ 13年 英国ロンドン大学留学
平成 20年より現職
Research Summary
】生活習慣病の
要性が
Pr
of
i
l
e
方法の確立を目標としている。
Numberofchr
oni
cki
dneydi
s
eas
e(
CKD)i
sgr
owi
ng
wor
l
dwi
de.Al
bumi
nur
i
a,an ear
l
i
es
ts
t
ageofCKD,
i
sknownt
obeani
ncr
eas
edr
i
s
kofpr
ogr
es
s
i
ver
enal
det
er
i
or
at
i
on and a t
ar
get f
or CKD s
cr
eeni
ng.
However
,t
hepr
eval
enceofal
bumi
nur
i
ai
nJapanes
e
gener
al popul
at
i
on i
s l
es
s cer
t
ai
n. Thus we
exami
ned t
he pr
eval
ence ofal
bumi
nur
i
a and i
t
s
as
s
oci
at
ed r
i
s
kf
act
or
si
n Japan.Subj
ect
s oft
hi
s
cr
os
s
s
ect
i
onal s
t
udy wer
e as
ympt
omat
i
c
dual
s over 40year
ol
di
n Takahat
a,Japan.
i
ndi
vi
Ur
i
ne al
bumi
ncr
eat
i
ni
ne r
at
i
o (
UACR) was
cal
cul
at
ed f
r
om a s
i
ngl
e s
pot ur
i
ne s
peci
men
col
l
ect
ed i
nt
he mor
ni
ng.A t
ot
alof3115s
ubj
ect
s
(
meanage,63)wer
eent
er
edi
nt
ot
hef
i
nalanal
ys
i
s
.
Among t
hem,t
he pr
eval
ence ofal
bumi
nur
i
a was
22.
3%.Age,hyper
t
ens
i
on,di
abet
es and met
abol
i
c
s
yndr
ome wer
e i
ndependent
l
y as
s
oci
at
ed wi
t
h
al
bumi
nur
i
ai
nmen.I
naddi
t
i
ont
ot
hecl
as
s
i
calr
i
s
k
f
act
or
sdet
ect
ed i
n men,es
t
i
mat
ed 24hourur
i
nar
y
s
odi
um excr
et
i
on, ur
i
c aci
d and ant
i
nucl
ear
ant
i
body wer
e al
s
oi
ndependent
l
y as
s
oci
at
ed wi
t
h
al
bumi
nur
i
ai
n women.Genot
ypeanal
ys
i
ss
howed
t
hat hapl
ot
ype of CC chemoki
ne l
i
gand 5was
as
s
oci
at
ed wi
t
h UACR l
evel
s
.We al
s
of
ound t
hat
t
r
ace pr
ot
ei
nur
i
a coul
d be a us
ef
ul i
ndi
cat
or of
mi
cr
oal
bumi
nur
i
ai
n gener
alpopul
at
i
on,es
peci
al
l
y
hi
ghr
i
s
k s
ubj
ect
sf
or r
enal and car
di
ovas
cul
ar
nur
i
ai
s pr
eval
ent
di
s
eas
es
.I
n concl
us
i
on,al
bumi
acr
os
sal
lage gr
oupsand i
sas
s
oci
at
ed wi
t
hl
i
f
es
t
yl
e r
el
at
ed r
i
s
k f
act
or
si
n Japanes
e gener
al
popul
at
i
on.To es
t
abl
i
s
ht
he ef
f
ect
i
ve meas
ur
ef
or
t
he det
ect
i
on ofCKD atear
l
i
es
ts
t
age us
i
ng our
f
ol
l
owupandgenet
i
cdat
ai
sourf
ut
ur
epl
an.
研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座 循環・呼吸・腎臓内科学分野
研究組織代表者:今田 恒夫(准教授)
、市川一誠(同医員)
、池田亜美(同医員)
研 究 分 担 者:安孫子 広(同医員)
Major Publications
1. Kont
aT,HaoZ,Abi
k
oH,I
s
hi
k
awaM,Tak
ahas
hiT,I
k
edaA,I
c
hi
k
awaK,Tak
as
ak
iS,Kubot
aI
.Pr
eval
enc
eandr
i
s
kf
ac
t
oranal
y
s
i
s
ofmi
c
r
oal
bumi
nur
i
ai
nJ
apanes
egener
alpopul
at
i
on:
TheTak
ahat
as
t
udy
.
Ki
dneyI
nt
.
70(
4)
:
7516,2006.
2. HaoZ,Kont
aT,Tak
as
ak
iS,Abi
k
oH,I
s
hi
k
awaM,Tak
ahas
hiT,I
k
edaA,I
c
hi
k
awaK,Kawat
aS,Kat
oT,Kubot
aI
.TheAs
s
oc
i
at
i
on
bet
weenMi
c
r
oal
bumi
nur
i
aandMet
abol
i
cSy
ndr
omei
nt
heGener
alPopul
at
i
oni
nJ
apan:TheTak
ahat
aSt
udy
.I
nt
er
nMed.46
(
7):
3416,2007.
3. Kont
aT,HaoZ,Tak
as
ak
iS,Abi
k
oH,I
s
hi
k
awaM,Tak
ahas
hiT,I
k
edaA,I
c
hi
k
awaK,Kat
oT,Kawat
aS,Kubot
aI
.Cl
i
ni
c
alut
i
l
i
t
yof
t
r
ac
epr
ot
ei
nur
i
af
ormi
c
r
oal
bumi
nur
i
as
c
r
eeni
ngi
ngener
alpopul
at
i
on.
Cl
i
nEx
pNephr
ol
.
11(
1)
:
515,2007.
4. Tak
ahas
hiT,Kont
a T,Tak
as
ak
iS,I
c
hi
k
awa K,Tak
ei
s
hiY,Kubot
aI
.Angi
ot
ens
i
nI
It
y
pe Ir
ec
ept
orbl
oc
k
ade,ol
mes
ar
t
an
medox
omi
l
,at
t
enuat
esl
i
pi
dper
ox
i
dat
i
oni
nr
enali
nj
ur
yi
nduc
edbys
ubt
ot
alnephr
ec
t
omy
.
Cl
i
nEx
pNephr
ol
,11(
3)
:
2028,2007.
5. Fur
us
uA,Nak
ay
amaK,XuQ,Kont
aT,Ki
t
amur
aM.MAPk
i
nas
edependent
,NFk
appaBi
ndependentr
egul
at
i
onofi
nhi
bi
t
orof
apopt
os
i
spr
ot
ei
ngenesbyTNFal
pha.
JCel
lPhy
s
i
ol
.
210(
3)
:
70310,2007.
6. Al
i
queM,L
uc
i
oCaz
anaFJ
,Mor
eno V,Xu Q,Kont
aT,Nak
ay
amaK,Fur
us
u A,Sepul
vedaJ
C,Ki
t
amur
aM.Upr
egul
at
i
on of
c
y
c
l
oox
y
genas
esbyr
et
i
noi
cAc
i
di
nr
atmes
angi
alc
el
l
s
.
Phar
mac
ol
ogy
.
79(
1)
:
5764,2007.
7. I
s
hi
k
awaM,Kont
aT,ZHao,STak
as
ak
i
,H Abi
k
o,TTak
ahas
hi
,A I
k
eda,KI
c
hi
k
awa,YShi
bat
a,YTak
ei
s
hi
,TKat
o,SKawat
a,I
Kubot
a.Rel
at
i
ons
hi
pbet
weenAnt
i
nuc
l
earAnt
i
bodyandMi
c
r
oal
bumi
nur
i
ai
nGener
alPopul
at
i
on:TheTak
ahat
aSt
udy
.Cl
i
nEx
p
Nephr
ol
,i
npr
es
s
.
8. Kont
aT,EmiM,Tor
i
y
amaS,Ar
i
umiH,I
s
hi
iM,Tak
as
ak
iS,I
k
edaA,I
c
hi
k
awaK,Shi
bat
aY,Tak
abat
ak
eN,Tak
ei
s
hiY,Kat
oT,
Kawat
aS,Kubot
aI
.As
s
oc
i
at
i
onofCCc
hemok
i
nel
i
gand5genot
y
pewi
t
hur
i
nar
yal
bumi
nex
c
r
et
i
oni
nnondi
abet
i
cJ
apanes
e
gener
alpopul
at
i
on:
TheTak
ahat
aSt
udy
.
JHum Gene,53(
3)
:
26774,2008.
39
2 研究概要
脳卒中検診とデータベース作成
Cer
ebr
als
t
r
okemedi
calcheckupandadat
abas
ecr
eat
i
on
山形大大学院医学系研究科生命環境医
科学専攻臨床的機能再生部門神経機能
再生学講座
嘉山 孝正
教授 TkamasaKayama
Emai
l
:t
kayama@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
l
e
昭和 25年
昭和 50年
昭和 53年
平成 8年
平成 14年
平成 14年
神奈川県生まれ
東北大学医学部医学科卒業
西独国 J
as
t
usL
i
ebi
g大学留学
山形大学医学部脳神経外科学教授
同大附属病院長
同大医学部長
研究概要
脳卒中は要介護者の最大の原因疾患で、高齢化が進む
Research Summary
I
n Yamagat
aPr
ef
ect
ur
et
heacut
ecer
ebr
als
t
r
oke
に従って今後ますます増加するものと見込まれており、 c
as
es whi
ch go up about3000cas
es ever
y year
早急に治療および予防法の開拓が求められている。
egi
s
t
er
ed by t
he Yamagat
as
oci
et
y on
have been r
山形県では山形県対脳卒中治療研究会(会長:嘉山
t
r
eat
ment f
or cer
ebr
al s
t
r
oke (
YSTCS, pr
es
i
dent
孝正)が全県的に年間約 3,
000例以上に上る急性期脳
卒中症例の登録を行ってきた。本事業の特徴として
(1)急性期脳卒中の入院する主幹病院の全て(22施設)
が参加し山形県全域を網羅しており登録率が高い、
(2)全例で頭部 CT/ MRIを施行し、脳卒中専門医が
診断しているため病型診断が正確である、ことが挙げ
られる。本研究は、一地域における脳卒中登録として
f
ol
l
ows
:(
1)
par
t
i
ci
pat
i
on ofal
lcent
erhos
pi
t
al
s(
22
ai
n CT/
MRIf
oral
l
hos
pi
t
al
s
)
,(
2)exami
nat
i
on ofbr
pat
i
ent
swi
t
hdi
agnos
i
sbycer
ebr
als
t
r
okes
peci
al
i
s
t
.
s
t
r
at
i
on i
n one pr
ef
ect
ur
e,
Ascer
ebr
als
t
r
oke r
egi
t
hi
sr
es
ear
ch i
s hi
gh qual
i
t
y and exhaus
t
i
ve.
は最大規模で上述の如く質の高いデータであり、山形
ualcondi
t
i
on of
Ther
ef
or
e,i
t i
sr
ef
l
ect
i
ng t
he act
県における脳卒中の実態を正確に反映している。その
cer
ebr
als
t
r
okei
nYamagat
aPr
ef
ect
ur
ecor
r
ect
l
y.
登録結果の解析から、我々は山形県では従来最も多い
On t
he ot
herhand,we have per
f
or
med cer
ebr
al
とされているラクナ梗塞ではなくアテローム血栓性脳
s
t
r
oke medi
cal checkup f
or t
he r
es
i
dent
s i
n
梗塞が全脳梗塞の 42.
1%を占める最大の病型であり
a. We have
Takahat
a and Sagae i
n Yamagat
こと,高血圧の保有率が高いこと,等を明らかにして
col
l
ect
edt
heepi
demi
ol
ogi
caldat
af
orpr
event
i
onof
きた。
as
onogr
aphy
cer
ebr
als
t
r
okes
uch as75gOGTT,ul
t
r
一方 我々はこれまでに山形県下の高畠町,寒河江
f
or car
ot
i
d ar
t
er
y, br
ai
n MRI
, opht
al
mos
copi
c
市において住民脳卒中検診を行って、高精度な脳卒中
exami
nat
i
on.Fur
t
her
mor
e,wehaveanal
yzedSNPs
の予防疫学的データ(75gOGTT、頚動脈エコー、脳
、眼底検査,e
)の収集を行い、脳卒中のリスク
MRI
ct
ファクターの遺伝子多型を解析してきた。しかしなが
ら、脳卒中におけるリスクファクターの疾患関連遺伝
子多型がどの程度発症に関与しているかに関しては未
だ解明されていない。
本 COEにおいては山形県におけ
i
s
kf
act
or
sofcer
ebr
als
t
r
oke.However
,t
he
f
ort
her
cor
r
el
at
i
on bet
ween t
hes
e SNPs and ons
et of
eveal
ed yet
.Ther
ef
or
ewe
cer
ebr
als
t
r
okehasnotr
wi
l
li
nt
egr
at
et
hes
et
wopr
oj
ect
sandcr
eat
et
henew
oi
dent
i
f
ySNPsand
dat
abas
ei
nt
hi
sCOE.Wehopet
る二大脳卒中研究事業てある山形県対脳卒中治療研究
di
s
eas
es
us
cept
i
bi
l
i
t
y genes whi
ch cor
r
el
at
et
he
会のデータと住民月脳卒中検診の予防疫学的デ一夕を
t
abl
i
s
h mor
e
ons
et of cer
ebr
al s
t
r
oke,and t
o es
統合したデータベースの作成を行う。同時に分子疫学
ef
f
ect
i
ve way f
or pr
event
i
on of cer
ebr
al s
t
r
oke
的研究と合わせて脳卒中発症に関与する遺伝子多型の
Fi
nal
l
y,weai
mf
orext
er
mi
nat
i
onofcer
ebr
als
t
r
oke
発見及び疾患感受性遺伝子を同定し、より有効な脳卒
byt
hes
es
t
udi
es
.
中予防法の確立することで脳卒中撲滅を目指す。
40
eat
ur
e ofYSTCS i
sas
Takamas
a Kayama)
.The f
研 究 組 織:山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻臨床的機能再生部門神経機能再生学講座
研究組織代表者:嘉山 孝正(教授)
研 究 分 担 者:佐藤 慎也(同助教授)現籍:山形大学医学部総合医学教育センター(教授)
小久保安昭(同講師)
Major Publications
(
1) Sak
ur
adaK,Sat
oS,SonodaY,Kok
uboY,Sai
t
oS,Kay
amaT:Sur
gi
c
alr
es
ec
t
i
onoft
umor
sl
oc
at
edi
ns
ubc
or
t
exofl
anguage
ar
ea.
.Ac
t
aNeur
oc
hi
r
(
Wi
en)
.
2007;149(
2)
:1239
(
2) Wat
anabeS,Sak
ur
adaK,Mor
iW,Sat
oS,Kay
amaT:Suppl
ement
ar
ymot
orar
eas
y
ndr
omewi
t
hf
r
ont
algl
i
oma.Br
ai
nNer
ve.
2007l
;59(
7)
:7936.
(
3) Tamur
aH,Hi
r
onoO,Ok
uy
amaH,L
i
uL
,Ni
s
hi
y
amaS,Tak
ei
s
hiY,Kay
amaTKubot
aI
:El
evat
eds
er
um f
i
br
i
nmonomerl
evel
sar
e
as
s
oc
i
at
edwi
t
hhi
ghl
ongt
er
mc
er
ebr
ovas
c
ul
areventr
at
esi
nac
ut
ei
s
c
hemi
cs
t
r
ok
epat
i
ent
s
. Ci
r
cJ.
2007;71(
10)
:15739
(
4) Kawas
ak
iR,Ti
el
s
c
hJ
M,WangJ
J
,
WongTY,Mi
t
c
hel
lP,TanoY,Tomi
nagaM,Oi
z
umiT,Dai
monM,Kat
oT,Kawat
aS,Kay
amaT,
Yamas
hi
t
aH: TheMet
abol
i
cSy
ndr
omeAndRet
i
nalMi
c
r
ovas
c
ul
arSi
gnsi
naJ
apanes
ePopul
at
i
on:TheFunagat
aSt
udy
.Br
JOpht
hal
mol
.
2007 ;26;
(
5) L
i
ngL
,Hi
r
onoO,Ok
uy
amaH,Tak
ei
s
hiY,Kay
amaT,Kubot
aI
.
:Rat
i
oofpeakear
l
yt
ol
at
edi
as
t
ol
i
cf
i
l
l
i
ngvel
oc
i
t
yoft
hel
ef
t
vent
r
i
c
ul
ari
nf
l
ow i
sas
s
oc
i
at
ed wi
t
hl
ef
tat
r
i
alappendaget
hr
ombusf
or
mat
i
oni
nel
der
l
ypat
i
ent
swi
t
hac
ut
ei
s
c
hemi
cs
t
r
ok
e
ands
i
nusr
hy
t
hm.
JCar
di
ol2006Aug;48(
2)
:7584.
(
6) Ar
awak
aS,WadaM,Got
o S,Kar
ubeH,Sak
amot
o M,Ren CH,Koy
amaS,Nagas
awaH,Ki
mur
aH, KawanamiT,Kur
i
t
aK,
Taj
i
maK,Dai
monM,BabaM,Ki
doT,Sai
noS,Got
oK,As
aoH,Ki
t
anak
aC,Tak
as
hi
t
aE,HongoS,Nak
amur
aT,Kay
amaT,Suz
uk
i
Y,Kobay
as
hiK,
Kat
agi
r
iT,Kur
ok
awaK,Kur
i
mur
aM,Toy
os
hi
maI
,Ni
i
z
at
oK,Ts
uc
hi
y
aK,
I
wat
s
uboT,Mur
amat
s
uM,Mat
s
umi
neH,
Kat
oT:Ther
ol
eofGpr
ot
ei
nc
oupl
edr
ec
ept
ork
i
nas
e5i
npat
hogenes
i
sofs
por
adi
cPar
k
i
ns
on’
sdi
s
eas
e.
JNeur
os
c
i
.
2006;26:
92279238
(
7) Kawas
ak
iR,Wang J
J
,Roc
ht
c
hi
naE,Tay
l
orB,Wong TY,Tomi
nagaM,Kat
o T,Dai
mon M,Oi
z
umiT, Kawat
aS,Kay
amaT,
Yamas
hi
t
a H,Mi
t
c
hel
lP:Car
di
ovas
c
ul
arr
i
s
kf
ac
t
or
sand r
et
i
nalmi
c
r
ovas
c
ul
ars
i
gnsi
n an adul
tJ
apanes
e popul
at
i
on:t
he
Funagat
aSt
udy
. Opht
hal
mol
ogy.
2006;113:13781384
(
8) L
i
ngL
,Hi
r
onoO,
Ok
uy
amaH,Tak
ei
s
hiY,Kay
amaT,Kubot
aI
:Rat
i
oofpeakear
l
yt
ol
at
edi
as
t
ol
i
cf
i
l
l
i
ngvel
oc
i
t
yoft
hel
ef
t
vent
r
i
c
ul
ari
nf
l
ow i
sas
s
oc
i
at
ed wi
t
hl
ef
tat
r
i
alappendaget
hr
ombusf
or
mat
i
oni
nel
der
l
ypat
i
ent
swi
t
hac
ut
ei
s
c
hemi
cs
t
r
ok
e
ands
i
nusr
hy
t
hm.
JCar
di
ol
.
2006;48:7584
(
9) Ok
uy
amaH,Hi
r
onoO,L
i
uL
,Tak
ei
s
hiY,Kay
amaT,Kubot
aI
:Hi
gherl
evel
sofs
er
um f
i
br
i
nmonomerr
ef
l
ec
thy
per
c
oagul
abl
e
s
t
at
eandt
hr
ombusf
or
mat
i
oni
nt
hel
ef
tat
r
i
alappendagei
npat
i
ent
swi
t
hac
ut
ei
s
c
hemi
cs
t
r
ok
e.
Ci
r
cJ
.
2006;70:971-976
(
10)Tomi
y
amaA,Ser
i
z
awaS,Tac
hi
banaK,Sak
ur
adaK,Samej
i
maH,T.K,Ki
t
anak
aC,
:Cr
i
t
i
c
alRol
ef
or Mi
t
oc
hondr
i
alOx
i
dat
i
ve
Phos
phor
y
l
at
i
oni
nt
heAc
i
vat
i
onofTumorSuppr
es
s
or
sBaxandBak
.
J
our
naloft
heNat
i
onalCanc
erI
ns
t
i
t
ut
e.
2006; 98: 14621473
(
11)Mat
s
umor
iY,Nor
t
hi
ngt
onFJ
,HongSM,Kay
amaT,Shel
donRA,Vex
l
erZS,Fer
r
i
er
oDM,Wei
ns
t
ei
n PR,L
i
uJ
:Reduc
t
i
onof
c
as
pas
e8and 9c
l
eavage i
sas
s
oc
i
at
ed wi
t
hi
nc
r
eas
ed c
FL
I
P and i
nc
r
eas
ed bi
ndi
ng ofApaf
1and Hs
p70af
t
erneonat
al
hy
pox
i
c
/
i
s
c
hemi
ci
nj
ur
yi
nmi
c
eover
ex
pr
es
s
i
ngHs
p70.
St
r
ok
e.2006;37:507512
(
12)Tak
emur
aS,Kay
amaT,KugeA,Al
iH,Kok
uboY,Sat
oS,Kami
iH,Got
oK,Yos
hi
mot
oT:Cor
r
el
at
i
on bet
weenc
opper
/
z
i
nc
s
uper
ox
i
dedi
s
mut
as
eandt
hepr
ol
i
f
er
at
i
onofneur
als
t
em c
el
l
si
nagi
ngand f
ol
l
owi
ngf
oc
alc
er
ebr
ali
s
c
hemi
a.JNeur
os
ur
g.
2006;104: 129136
(
13)Mat
s
umor
iY,Kay
amaT,Kok
uboY,Ts
uc
hi
y
aD;HeatShoc
kPr
ot
ei
n70Pr
ot
ec
t
st
heNeonat
alBr
ai
nsAgai
ns
tI
s
c
hemi
cSt
r
es
s
.
Yamagat
aMedi
c
alJ
our
nal
2005;
23;
129138
(
14)Mat
s
umor
iY,ShwuhueyMH,Aoy
amaK,YangF,Kay
amaT,RAnnS,Zi
nai
daSV,DonnaMF,Phi
l
i
pRWei
ns
t
ei
n,L
i
uJ
;Hs
p70
over
ex
pr
es
s
i
on s
equens
t
er
sAI
F and r
educ
esneonat
alhy
pox
i
c
/
i
s
c
hemi
c br
ai
ni
nj
ur
y
.J
our
nalofc
er
ebr
albl
ood f
l
ow and
met
abol
i
s
m2005;
25;
899910
(
15)SonodaY,Sak
ur
adaK,Sai
noM,KondoR,Sat
oS,Kay
amaT;Mul
t
i
modals
t
r
at
egyf
ormanagi
ngmeni
ngi
omasi
nt
heel
der
l
y
.
Ac
t
aNeur
oc
hi
r
2005;
147;
131136
41
2 研究概要
ウイルスおよび生活習慣に起因する肝炎に関する研究統合データベースの構築
Es
t
abl
i
s
hmentoft
hei
nt
egr
at
eddat
abas
es
ys
t
em concer
ni
ngt
her
es
ear
chofvi
r
alhepat
i
t
i
sand
er
el
at
eds
t
eat
ohepat
i
t
i
s
l
i
f
es
t
yl
山形大学医学部器官病態統御学講座
消化器病態制御内科学分野
斎藤 貴史
准教授 Takaf
umiSai
t
o
Emai
l
:t
as
ai
t
oh@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
C型肝炎ウイルス (
HCV)の感染者は、世界で約 1億 7千
Pr
of
i
l
e
昭和 60年 山形大学医学部卒業
平成 6年~ 9年 米国 FDA研究留学
平成 18年 山形大学医学部消化器病態制御内科助教授
平成 19年 山形大学医学部消化器病態制御内科准教授
Research Summary
Wehavei
nves
t
i
gat
edgenet
i
cvar
i
at
i
onsas
s
oci
at
edwi
t
h
万人とも推定され、地球規模でその対策が急務とされる感
i
ngl
e
s
us
cept
i
bi
l
i
t
yt
o HCV i
nf
ect
i
on and i
dent
i
f
i
ed 12s
染症である。感染症において、宿主側の感染防御に係わる
nucl
eot
i
de pol
ymor
phi
s
ms (
SNPs
)i
n 10genes as
遺伝要因の解析は、病態解明とともに、新たな予後予測因
candi
dat
e genet
i
c pol
ymor
phi
s
mst
hatmi
ghti
nf
l
uence
子や治療薬の開発に繋がることから重要である。HCV感染
r
al cl
ear
ance. Fur
t
her anal
ys
es on i
dent
i
f
yi
ng
t
he vi
宿主において、HCV感染防御に係わる遺伝要因については
bonaf
i
de genes as
s
oci
at
ed wi
t
hs
us
cept
i
bi
l
i
t
yt
o HCV
未解明であった。私達は、1991年度より継続しているC型
ed s
ever
ali
mpor
t
antgenet
i
c var
i
at
i
ons i
nt
hr
ee
r
eveal
肝炎の地域住民コホート研究(川西研究)を発展させ、住
genest
hatencodeNDST,anenzymer
el
at
edt
ol
i
pi
dr
af
t
民の協力を得て、臨床疫学データと遺伝子サンプルを採集
f
or
mat
i
on,and TGFbet
a1.Wehaveal
s
oi
dent
i
f
i
ed t
he
した。HCV抗体陽性の住民から採取された匿名化サンプル
t
h
HCV genot
ype1bs
t
r
ai
nt
hatar
ehi
ghl
yas
s
oci
at
edwi
を用いて、HCV持続感染者と既往感染者の二群間で、多数
t
her
i
s
k ofdevel
opi
ng l
i
vercanceron t
hebas
i
soft
he
の遺伝子一塩基多型(SNP)の解析を行い、HCV感染防御
t
i
on oft
he
s
econdar
ys
t
r
uct
ur
eofan ami
not
er
mi
nalpor
に係わる候補遺伝子とその SNPとして 10遺伝子 12SNPを
HCV NS3pr
ot
ei
n.
見出した。本研究により見出された遺伝子群およびその遺
The
r
ehasbeenar
api
dwor
l
dwi
dei
ncr
eas
ei
nobes
i
t
y,
伝子多型は、HCVのトランスレーショナルリサーチを行う
wi
t
ht
he as
s
oci
at
ed r
i
s
k ofdevel
opmentofmet
abol
i
c
上で重要な基礎データとなっており、内外より多くの反響
s
yndr
ome.Upt
onow,t
her
ehasbeennocompr
ehens
i
ve
を得ている。さらに、これら候補遺伝子群の二次解析によ
s
t
udy of l
i
ver di
s
eas
ei
n as
s
oci
at
i
on wi
t
hl
i
f
es
t
yl
e,
り、感染成立時の細胞表面におけるウイルス接着に影響す
ngmet
abol
i
cf
act
or
soral
coholcons
umpt
i
on,i
na
i
ncl
udi
る NDST遺伝子、感染後のウイルス増殖の場となる脂質ラ
a
l
ar
gepopul
at
i
ons
ampl
e.Wehavef
oundi
nt
heTakahat
フト形成に関与する脂質合成系酵素遺伝子、感染時の自然
popul
at
i
on s
t
udy t
hat an el
evat
ed s
er
um al
ani
ne
免疫に影響を与える TGF-β 1遺伝子について、HCV感
ami
not
r
ans
f
er
as
e(
ALT) i
ss
t
r
ongl
y as
s
oci
at
ed wi
t
h
染における詳細な遺伝子多型の特徴と機能的な重要性を示
r
el
at
edf
eat
ur
ess
uchasobes
i
t
yand
met
abol
i
cs
yndr
omeした。私達はまた、HCV感染におけるウイルス側の解析と
i
ns
ul
i
nr
es
i
s
t
ance,andt
hatal
coholi
nt
akei
snegat
i
vel
y
して、好発がん性のウイルス株の同定を試み、HCV(
1b型 cor
el
at
ed wi
t
hs
er
um adi
ponect
i
nl
evel
s
.We bel
i
eve
r
)を HCV NS3領域のアミノ末端 120残基の蛋白質二次構 t
hatt
hes
edat
aupdat
eourunder
s
t
andi
ngoft
hecur
r
ent
造により分類することで、好発がん性の HCV株を同定した。 s
t
at
usofl
i
f
es
t
yl
er
el
at
ed l
i
verdi
s
eas
esi
nt
heJapanes
e
最近の肥満人口の増加に伴い、複数の生活習慣病の発病
he
popul
at
i
on. Genet
i
c var
i
at
i
ons as
s
oci
at
ed wi
t
h t
リスクを有するメタボリックシンドロームが一般成人の間
occur
r
ence and cl
i
ni
cal phenot
ype of s
uch l
i
f
es
t
yl
eに増加し、大きな社会問題となっている。脂肪性肝炎は、 r
el
at
edl
i
verdi
s
eas
esar
enow underi
nves
t
i
gat
i
on.
生活習慣に起因する重要な肝炎として位置付けられる。脂
肪性肝障害は、アルコール多飲や肥満により生ずるが、メ
タボリックシンドロームによる脂肪性肝炎は非アルコール
性脂肪性肝炎 (
NASH)として、肝硬変や肝がんなどの重い
肝臓病へ進行するため、特に重要な疾患と言える。わが国
の肝炎ウイルス感染のない一般成人において、肝機能検査
値異常とメタボリックシンドロームの関連性の有無を疫学
的に明らかにすることは重要である。
42
研究組織:山形大学医学部器官病態統御学講座 消化器病態制御内科学分野
主任教授:河田純男(教授)kawat
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究分担者:
冨樫 整(教授)ht
武田 弘明(准教授)ht
ogas
hi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
akeda@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
斉藤 孝治(講師)kos
牧野 直彦(講師)nmaki
ai
t
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
no@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
渡辺 久剛(助教)h伊藤 純一(助教)j
wat
anabe@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
xi
9@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
奥本 和夫(助教)okumot
白幡名香雄(助教)s
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
hi
r
ahat
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
戸沢 智浩(助教)t
西瀬 雄子(医員)yni
t
ozawa@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
s
hi
s
egi
@umi
n.
ac.
j
p
石井 里佳(医員)r
i
kai
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究協力者:
村松 正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所 教授)mur
amat
s
u.
epi
@mr
i
.
t
md.
ac.
j
p
江見 充(ヒュービットジェノミクス研究所)me
mi
@a.
t
os
hi
ma.
ne.
j
p
児矢 野聡(ヒュービットジェノミクス研究所)s
koyano@hubi
t
genomi
x.
com
鳥山紗由美(ヒュービットジェノミクス研究所)s
t
or
i
yama@hubi
t
genomi
x.
com
新澤 陽英(県立日本海病院 院長)s
hi
nzawa@ni
honkai
.
gr
.
j
p
しかし、今まで、一般成人における肝機能異常のリスク
においては、血清トランスアミナーゼの上昇に関連する独
因子を解明する目的で、多くの代謝因子や飲酒、あるいは
立したリスク因子は、飲酒ではなく、肥満やインスリン抵
メタボリックシンドロームと深く係わるアディポサイトカ
抗性といったメタボリックシンドロームに関連する因子で
イン、等の肝機能異常への関与について、わが国の一般成
あることが判明した(図)。また、飲酒がアディポネクチン
人を対象とした大規模研究は見当たらなかった。私達は、
値に負の影響を及ぼすことを初めて明らかにした。今後、
40歳以上の約三千名の一般住民の協力を得て(高畠研究)、 肝機能異常者の更なる追跡調査を行い、脂肪性肝障害の病
生活習慣に起因する肝臓病に関する臨床疫学データベース
態と遺伝要因の関係の一端を解明したいと考えている。
を構築し、遺伝子サンプルの収集を行った。わが国の成人
わが国の成人(40歳以上)における血清トランスアミナーゼ上昇の関連因子
Major Publications
1. Ok
umot
oK,Sai
t
oT,HagaH,Hat
t
or
iE,I
s
hi
iR,Kar
as
awaT,Suz
uk
iA,Mi
s
awaK,Sanj
oM,I
t
oJ
I
,Sugahar
aK,Sai
t
oK,Togas
hiT,
Kawat
aS:Char
ac
t
er
i
s
t
i
c
sofr
atbonemar
r
ow c
el
l
sdi
f
f
er
ent
i
at
edi
nt
oal
i
verc
el
ll
i
neageanddy
nami
c
soft
het
r
ans
pl
ant
edc
el
l
s
i
nt
hei
nj
ur
edl
i
ver
.
JGas
t
r
oent
er
ol2006;41:
6269
hi
mur
aM,Yi
x
uanS,BabaM,J
iG,Mur
amat
s
uM,Kawat
aS:As
s
oc
i
at
i
onoft
r
ans
f
or
mi
nggr
owt
hf
ac
t
or
2. Ki
mur
aT,Sai
t
oT,Yos
unc
t
i
onalpol
y
mor
phi
s
mswi
t
hnat
ur
alc
l
ear
anc
eofhepat
i
t
i
sCvi
r
us
.
JI
nf
ec
tDi
s2006;193:
13711374
(
TGF)
-β 1 f
edaT,Wat
anabe H,Sai
t
o T,Sai
t
o K,Tak
edaH,Togas
hiH,Fuj
i
iJ
,Tak
as
ago Y,Kawat
aS:I
mpai
r
ed por
t
alc
i
r
c
ul
at
i
on
3. Tak
15261527
r
es
ul
t
i
ngf
r
om L
ar
gi
ni
nedef
i
c
i
enc
yi
npat
i
ent
swi
t
hl
y
s
i
nur
i
cpr
ot
ei
ni
nt
ol
er
anc
e.
Gut2006;55:
aK,Ok
umot
oK,I
t
oJ
,Sai
t
oT,Ok
adaA,
4. Togas
hiH,Tak
ahas
hiK,Onoder
aY,Adac
hiT,Suz
uk
iA,Kar
as
awaT,I
s
hi
iR,Sugahar
nr
ec
ept
or
si
nt
her
i
ghtandl
ef
thepat
i
cl
obesus
i
ng99mTc
GSASPECT
SugaiY,Kawat
aS:Separ
at
eanal
y
s
i
sofas
i
al
ogl
y
c
opr
ot
ei
Hepat
olRes2006;36:
130138
i
npat
i
ent
swi
t
hac
ut
e hepat
i
cdamage.
i
t
i
s
.
I
nt
er
nalMed2007;46:
101103
5. Sai
t
oT,Mi
s
awaK,Kawat
aS:
Fat
t
yl
i
verandnonal
c
ohol
i
cs
t
eat
ohepat
hiM,Kur
ok
ohc
hiK,Mi
y
az
awaH,Duan H,Mat
s
unagaT,
6. Ak
at
s
uk
aT,Kobay
as
hiN,I
s
hi
k
awaT,Sai
t
o T,Shi
ndo M,Yamauc
o mi
c
r
os
omalepox
i
de hy
dr
ol
as
ei
n hepat
i
t
i
sC and A.J
Komoda T,Mor
i
s
s
eau C,Hammoc
kBD:Aut
oant
i
body r
es
pons
et
Aut
oi
mmuni
t
y2007;28:
718
t
oK,Sai
t
oT,Tak
ahas
hiK,SugaiY,Kawat
aS:Char
ac
t
er
i
s
t
i
c
soft
hr
eec
as
esofhepat
oc
el
l
ul
ar
7. Suz
uk
iA,Togas
hiH,HagaH,Sai
c
ar
c
i
noma s
howi
ng enhanc
ed t
ec
hnet
i
um99mdi
et
hy
l
enet
r
i
ami
nepent
aac
et
i
c ac
i
dgal
ac
t
os
y
l human s
er
um al
bumi
n
c
umul
at
i
onbys
i
ngl
ephot
onemi
s
s
i
onc
omput
edt
omogr
aphyanal
y
s
i
s
.
Hepat
olRes2007;37:
628636
ac
eY,Sai
t
oT,Sugahar
aK,I
t
oJ
,Sai
t
oK,Togas
hiH,NaganoFuj
i
iM,Hot
t
aH,Kawat
aS:Ri
s
kofhepat
oc
el
l
ul
arc
ar
c
i
noma
8. Ni
s
hi
s
i
ent
si
nf
ec
t
edwi
t
hHCVs
ubt
y
pe1b.
ands
ec
ondar
ys
t
r
uc
t
ur
eofhepat
i
t
i
sCvi
r
us(
HCV)NS3pr
ot
ei
nami
not
er
mi
nusamongpat
JI
nf
ec
tDi
s2007;196:
10061009
amot
oA,Tanak
aM,Hat
t
or
iE,HagaH,I
t
oJ
I
,Sugahar
aK,Sai
t
oK,Togas
hiH,Kawat
aS:
9. Ok
umot
oK,Sai
t
oT,Onoder
aM,Sak
t
em c
el
lf
ac
t
orandt
hr
ombopoi
et
i
nar
emar
k
edl
ydec
r
eas
edi
nf
ul
mi
nanthepat
i
cf
ai
l
ur
epat
i
ent
swi
t
hapoor
Ser
um l
evel
sofs
pr
ognos
i
s
.
JGas
t
r
oent
er
olHepat
ol2007;22:
12651270
43
2 研究概要
歩行障害の病態に関する分子疫学的研究・教育
Mol
ecul
arbas
i
sofgai
tdi
s
t
ur
bance:Genet
i
c anal
ys
i
sofChar
cot
Mar
i
eToot
h di
s
eas
ei
n
s
Japanes
epat
i
ent
山形大学医学部発達生体防御学講座
小児医科学分野
早坂 清
教授 Ki
yoshiHayasaka
Emai
l
:
hayas
aka@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
[目的]高齢者では歩行困難や障害が認められても、加齢
による神経・筋の衰えの当然の結果として理解されるこ
とが多く、詳細な病態は不明である。しかし、高齢者に
おいても、健康な人では自立した日常生活が保たれ、活
動性は維持される。多くの疾病は遺伝的素因に環境因子
が作用し発症するが、加齢は、ある意味で環境因子とし
て作用すると考えられる。潜在する遺伝的負荷が加齢に
より顕在化し、発症に至る疾病も多く存在すると考えら
れる。
Char
cot
Mar
i
eToot
h(
CMT)病は有病者が 2500人に 1
人と、最も頻度の高い遺伝性ニューロパチーである。私
達は CMT病の病態を解明するために、多数の症例を解析
してきた。しかし、欧米人と異なり、病因遺伝子が不明
な症例が約半数を占めている。日本人の CMT病の遺伝的
背景を明らかにするために、既知および候補遺伝子の変
異について SSCP法、DGGD法、最近では DHPLC法を
用いたスクリーニングを確立し、検索を継続してきたの
で結果を報告する。
[方法]対象は、1996年から 2007年までに、国内医療機
関から遺伝子検索依頼があった症例のうち、臨床的に髄
鞘型 CMT病と考えられ、 17q11.
2領域の重複を認めな
かった 161例と軸索型 CMT病(di
st
alHMNおよび分類
不能例を含む)と考えられる 91例である。髄鞘型 CMT
病では、PMP22,MPZ,GJ
B1,LI
TAF,EGR2,GDAP1,
MTMR2,PRX の変異についてスクリーニングを行った。
また、軸索型 CMT病では PMP22,MPZ,GJ
B1,MFN2,
HSP27,HSP22,NEFL の変異についてスクリーニング
を行った。
[結果]髄鞘型 CMT病においては、MPZ 変異を 19例に、
GJB1 変異を 20例、 PMP22 変異を 8例に、EGR2 変異
を1例に、PRX 変異を 4例に認めた。軸索型 CMT病に
ついては、MPZ変異を 3例に、GJ
B1変異を 2例に、MFN2
変異を 10例に認めた。また、HSP27 の変異を 2例の
di
st
alHMNに認めた。髄鞘型 CMT病 109名、軸索型 CMT
病 74名には、遺伝子変異が検出出来なかった。
[考察]当科でこれまで検索した髄鞘型 CMT病の結果は、
日本人では 17q11.
2領域の重複例が少なく、42%で病因
が不明である。一方、軸索型 CMT病では、MFN2 が約
10%をしめ、多くは病因が不明である。軸索型における
最も頻度の高い MFN2 において、これまで検出された変
異は全て特定のエクソンに位置している。これらの領域
は重要な部位をコードする領域であり、今後スクリーニ
ングに際して、これらのエクソンに限定することが可能
かもしれない。
[結論]日本人における CMT病では、病因遺伝子が特定
されない症例が多く、スクリーニング法の改善を図ると
ともに、量的変化を含めた既知および候補遺伝子の検索
が必要である。
44
Pr
of
i
l
e
昭和 23年 福島県生まれ
昭和 48年 群馬大学医学部卒業
昭和 50年~ 64年 東北大学医学部小児科
平成元年~ 5年 秋田大学医学部小児科に勤務
平成 5年より山形大学医学部教授
Research Summary
[
Backgr
ounds] Char
cot
Mar
i
eToot
h di
sease(
CMT)i
s
one oft
he mostcommon her
edi
t
ar
y neur
opat
hy,of
whi
chpr
eval
encei
sest
i
mat
edat1/
2500. Ther
ear
eat
l
east 25di
seasecausi
ng genes. To i
dent
i
f
y t
he
pat
hogenesi
s of Japanese CMT pat
i
ent
s, we have
scr
eenedavar
i
et
yofgenemut
at
i
onsi
nJapaneseCMT
pat
i
ent
susi
ngSSCP,DGGEorDHPLC.Wepr
esentt
he
r
esul
t
sofourst
udy.
[
Subj
ect
s and Met
hods] We have scr
eened 252
Japanese CMT pat
i
ent
s si
nce 1996t
hr
ough 2007.
Based on cl
i
ni
cal char
act
er
i
st
i
cs and
el
ect
r
ophysi
ol
ogi
cal exami
nat
i
ons, t
he pat
i
ent
s
car
r
yi
ng no 17p11.
2dupl
i
cat
i
on wer
e di
vi
ded i
nt
o2
subgr
oups:demyel
i
nat
i
ng CMT (
n=161)and axonal
CMT (
n=91,i
ncl
udi
ng di
st
alHMN and uncl
assi
f
i
ed
cases)
. The pat
i
ent
swi
t
h demyel
i
nat
i
ng CMT wer
e
eval
uat
edf
orPMP22,MPZ,GJB1 andLI
TAF,andt
he
oneswi
t
haxonalCMT wer
est
udi
edaboutMPZ,GJB1,
MFN2,HSP27,HSP22and NEFL by SSCP,DGGE or
DHPLC.
[
Resul
t
s] Wef
oundMPZmut
at
i
onsi
n19cases,GJB1
mut
at
i
oni
n20cases,andPMP22mut
at
i
onsi
n8cases
and EGR2mut
at
i
on i
n onecase,PRX mut
at
i
onsi
n4
caseswi
t
h demyel
i
nat
i
ng CMT. Sever
alpol
ymor
phi
c
changeswer
eal
sodet
ect
edi
nLI
TAF.I
naxonalCMT,
wedet
ect
edMPZmut
at
i
onsi
n3cases,GJB1mut
at
i
on
i
n2cases,andMFN2mut
at
i
onsi
n10cases.Wef
ound
HSP27mut
at
i
onsi
n 2di
st
alHMN pat
i
ent
s,who wer
e
cl
assi
f
i
ed i
nt
o axonalCMT. We al
so f
ound sever
al
pol
ymor
phi
cchangesi
nHSP22andNEFL.
[
Di
scussi
on] Based on our f
i
ndi
ngs, 17p11.
2
dupl
i
cat
i
on wasl
essf
r
equent
l
y det
ect
ed i
n Japanese
demyel
i
nat
i
ng CMT pat
i
ent
s compar
ed t
ot
hat i
n
Caucasi
an. We coul
d not i
dent
i
f
y di
seasecausi
ng
mut
at
i
onsi
n42% ofJapanesedemyel
i
nat
i
ngCMT.As
f
ort
hepat
i
ent
swi
t
haxonalCMT,wei
dent
i
f
i
edMFN2
mut
at
i
onsi
n about10% ofJapanesepat
i
ent
s. Near
l
y
al
l MFN2mut
at
i
ons det
ect
ed i
nt
he pat
i
ent
s wer
e
l
ocat
edwi
t
hi
nt
hespeci
f
i
cexonsencodi
ngaf
unct
i
onal
domai
n,suggest
i
ng t
hatwe shoul
dt
ar
geton t
hose
sequencesi
nt
hescr
eeni
ngoft
hi
sgene.
[
Concl
usi
on] Di
seasecausi
ng genes have not been
f
ul
l
y(
near
l
yhal
foft
hepat
i
ent
s)i
dent
i
f
i
edi
nJapanese
CMT pat
i
ent
s.I
ti
sr
equi
r
edt
oi
nt
r
oducet
hescr
eeni
ng
met
hodsf
oreval
uat
i
ngt
hegenedosagei
naddi
t
i
ont
o
det
ect t
he nucl
eot
i
de changes and t
o scr
een ot
her
candi
dat
egenes.
研究代表者:早坂 清(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 教授)
研究分担者:小田切徹州(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 医員)
研究分担者:阿部 暁子(山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野 大学院)
Major Publications
1. Shi
r
ahat
a E,Hay
as
ak
a K etal
. Ank
y
r
i
nGr
egul
at
es i
nac
t
i
vat
i
on gat
i
ng oft
he neur
onals
odi
um c
hannel
,Nav1.
6. J
Neur
ophy
s
i
ol
.96:
13471357,2006
2. Ot
agi
r
iT,Hay
as
ak
aKetal
.Per
i
ax
i
nmut
at
i
oni
nJ
apanes
epat
i
ent
swi
t
hChar
c
ot
Mar
i
eToot
hdi
s
eas
e.JHum Genet51:
625628,2006
3. Ki
j
i
maK,Hay
as
ak
aKetal
.Smal
lheats
hoc
kpr
ot
ei
n27mut
at
i
oni
naJ
apanes
epat
i
entwi
t
hdi
s
t
alher
edi
t
ar
yneur
opat
hy
.J
Hum Genet50:
473476,2005.
4. I
i
j
i
maM,Hay
as
ak
aKetal
.Cl
i
ni
c
alandel
ec
t
r
ophy
s
i
ol
ogi
cc
or
r
el
at
esofI
VI
gr
es
pons
i
venes
si
nCI
DP.Neur
ol
ogy
.64:
14711475,
2005.
5. Koi
k
eH,Hay
as
ak
aKetal
.Ageas
s
oc
i
at
edax
onalf
eat
ur
esi
nHNPPwi
t
h17p11.
2del
et
i
oni
nJ
apan.JNeur
olNeur
os
ur
gPs
y
c
h
76:
11091114,2005.
45
2 研究概要
虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患の分子疫学研究
Mol
ecul
arepi
demi
ol
ogyofcor
onar
yar
t
er
ydi
s
eas
eandchr
oni
cobs
t
r
uct
i
vepul
monar
ydi
s
eas
e
山形大学医学部器官病態統御学講座
循環・呼吸・腎臓内科学分野
久保田 功
教授 I
saoKubot
a
Emai
l
:i
kubot
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
l
e
昭和 54年 山形大学医学部卒業
平成 14年より現職
研究概要
Research Summary
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は長期間の喫煙や粉塵暴露
I
nchr
oni
cobs
t
r
uct
i
vepul
monar
ydi
s
eas
e(
COPD)
,
によって発症し、慢性の咳嗽・喀痰と労作性の呼吸困難
i
ti
s wel
lknown t
hatpat
i
ent
s who pr
ogr
es
s
i
vel
y
を主訴とする疾患であり、今後さらに患者数が増大する
ghtorf
r
equent
l
y cont
r
actr
es
pi
r
at
or
y
l
os
ebody wei
ことが確実視されている。COPDには「やせる人」と「や
i
nf
ect
i
on haveapoorpr
ognos
i
s
. However
,genet
i
c
せない人」の2つの病型があり、
「やせ」は呼吸機能とは
el
at
ed t
ot
hos
e phenot
ypesr
emai
ned
backgr
ound r
独立した予後規定因子であることがよく知られていたが、 unknown.Wede
mons
t
r
at
edi
nt
hi
sr
es
ear
cht
hat1)
「やせ」の原因は不明であった。われわれは、「やせ」が、 t
os
si
sas
s
oci
at
ed wi
t
h a SNP of
hebody wei
ghtl
脂肪酸代謝に関連するフォスフォリパーゼA2遺伝子の
s
ecr
et
or
y phos
phol
i
pas
e A2I
I
D gene and 2)
一カ所の SNPに関連していることを発見した(文献8)
。
h due t
o
f
r
equency ofacut
e exacer
bat
i
on and deat
この SNPではCがTとなると、生成されるアミノ酸はグ
pneumoni
ai
sl
ar
gel
y det
er
mi
ned by aSNP i
nt
he
リシンからセリンへと変わり、このタイプを有する症例
CCL1gene, encodi
ng a chemot
act
i
c f
act
or f
or
には「やせ」が多かった。下図は、Tの有無別に患者を
i
mmunecel
l
s
.
2群に分けて、BMI別の人数を示したものであるが、BMI I
naJapanes
egener
alpopul
at
i
on,wei
dent
i
f
i
eda
が 20以下の「やせ」の症例の殆どがTを有することが分
SNP whi
ch i
sas
s
oci
at
ed wi
t
hr
es
pi
r
at
or
yf
unct
i
on,
かる。一方、下気道の易感染性が COPDの予後と密接な
ch det
er
mi
ned pl
as
mal
evel
sofBNP,
oraSNP whi
関連を有することも知られていたが、急性増悪に関与す
anes
t
abl
i
s
hedbl
oodmar
kerofhear
tf
ai
l
ur
e.
る遺伝的背景は不明であった。われわれは COPD患者に
おいて下気道の易感染性を規定する原因遺伝子を明らか
にした(文献6)。CCL1という免疫細胞の遊走に関与す
る遺伝子上の一つの SNPによって、肺炎に罹り易さが大
きく異なり、前向き研究によって予後(死亡率)にも決
定的な影響を及ぼしていた。今後は、これらの知見を
COPDの新たな治療法の開発に繋げたいと考えている。
また一般住民において、心不全の血中マーカーであ
る BNPを規定する SNP(文献3)や呼吸機能に影響
を及ぼす SNPを同定し(文献1)、また心疾患の診断
に用いられる HFABP値は年齢、体格指数、腎機能、
心電図スコアの影響を受けることを示した(文献2)
。
46
研究組織
研究代表者:久保 田功(教授) i
kubot
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
ht
t
p:
/
/
mi
nf
o.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p/
nai
ka1/
i
ndex.
ht
ml
研究分担者:竹石 恭知(准教授)t
akei
s
hi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
柴田 陽光(講師) s
hi
bat
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Major Publications
1) Tak
abat
ak
eN,Tor
i
y
amaS,Tak
ei
s
hiY,Shi
bat
aY,Kont
aT,I
noueS,AbeS,I
gar
as
hiA,Tok
ai
r
i
nY,I
s
hi
iM,Koy
anoS,EmiM,Kat
o
T,Kawat
aS,Kubot
aI
.Anonf
unc
t
i
oni
ngs
i
ngl
enuc
l
eot
i
depol
y
mor
phi
s
m genef
ami
l
yi
sas
s
oc
i
at
edwi
t
ht
hef
or
c
edex
pi
r
at
or
y
vol
umei
nt
hef
i
r
s
ts
ec
onds
/
t
hef
or
c
ed vi
t
alc
apac
i
t
yval
uesofpul
monar
yf
unc
t
i
on t
es
ti
n aJ
apanes
epopul
at
i
on. Bi
oc
hem
Bi
ophy
sResCommun.2007Des 21,364(
3)
:
662667.
2) Ni
i
z
ek
iT,Tak
ei
s
hiY,Tak
abat
ak
eN,Shi
bat
aY,Kont
aT,Kat
oT,Kawat
aS,Kubot
aI
.Ci
r
c
ul
at
i
ngl
evel
sofhear
t
t
y
pef
at
t
yac
i
dbi
ndi
ngpr
ot
ei
ni
nagener
alJ
apanes
epopul
at
i
on.Ci
r
cJ
.2007Sep;71(
9)
:
14521457.
3) Tak
ei
s
hiY,Tor
i
y
amaS,Tak
abat
ak
eN,Shi
bat
aY,Kont
aT,Kat
o T,Kawat
aS,Kubot
aI
.L
i
nk
agedi
s
equi
br
i
um anal
y
s
esof
nar
i
ur
et
i
cpept
i
depr
ec
ur
s
orBl
oc
usr
evealr
i
s
khapl
ot
y
pec
onf
er
r
i
nghi
ghpl
as
maBNPl
evel
s
.Bi
oc
hem Bi
ophy
sResCommun.
2007Oc
t19;362(
2)
:
480484.
4) Sat
aM,Tak
abat
ak
eN,I
noueS,Shi
bat
aY,AbeS,Mac
hi
y
aJ
,WadaT,J
iG,Ki
do T,Mat
s
uur
aT,Mur
amat
s
u MA,Kubot
aI
.
I
nt
r
oni
cs
i
ngl
enuc
l
eot
i
de pol
y
mor
phi
s
ms i
n Bc
l
2ar
e as
s
oc
i
at
ed wi
t
hc
hr
oni
c obs
t
r
uc
t
i
ve pul
monar
y di
s
eas
es
ever
i
t
y
.
Res
pi
r
ol
ogy
.2007J
an;
12(
1)
:
3441
5) Mac
hi
y
aJ
I
,Shi
bat
aY,Yamauc
hiK,Hi
r
amaN,WadaT,I
noueS,AbeS,Tak
abat
ak
eN,Sat
aM,Kubot
aI
.Enhanc
edex
pr
es
s
i
on
ofMaf
Bi
nhi
bi
t
smac
r
ophageapopt
os
i
si
nduc
edbyc
i
gar
et
t
es
mok
eex
pos
ur
e.Am JRes
pi
rCel
lMolBi
ol
.2007Apr
;
36(
4)
:418426.
6) Tak
abat
ak
eN,Shi
bat
aY,AbeS,WadaT,Mac
hi
y
aJ
I
,I
gar
as
hiA,Tok
ai
r
i
nY,J
iG,Sat
oH,Sat
aM,Tak
ei
s
hiY,EmiM,Mur
amat
s
u
M,Kubot
aI
.As
i
ngl
epol
y
mor
phi
s
mi
nCCL
1genepr
edi
c
t
sac
ut
eex
ac
er
bat
i
onsi
nCOPD.Am JRes
pi
rCr
i
tCar
eMed.2006Oc
t
15;174(
8)
:
875885.
7) Ar
i
mot
oT,Tak
ei
s
hiY,Tak
ahas
hiH,Shi
s
hi
doT,Ni
i
z
ek
iT,Koy
amaY,Shi
gaR,Noz
ak
iN,Nak
aj
i
maO,Ni
s
hi
mar
uK,AbeJ
I
,Endoh
M,Wal
s
hRA,Got
oK,Kubot
aI
.Car
di
ac
s
pec
i
f
i
cover
ex
pr
es
s
i
onofdi
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
eζ pr
event
sGqpr
ot
ei
nc
oupl
edr
ec
ept
or
agoni
s
t
i
nduc
ed c
ar
di
achy
per
t
r
ophyi
nt
r
ans
geni
cmi
c
e.Ci
r
c
ul
at
i
on.
2006J
an3;113(
1)
:
6066.
8) Tak
abat
ak
eN,Sat
aM,Shi
bat
aY,AbeS,WadaT,Mac
hi
y
aJ
I
,J
iG,Mat
s
uur
aT,Tak
ei
s
hiY,Mur
amat
s
uM,Kubot
aI
.A novel
pol
y
mor
phi
s
mi
ns
ec
r
et
or
yphos
phol
i
pas
eA2I
I
Di
sas
s
oc
i
at
edwi
t
hbodywei
ghtl
os
si
nCOPD.Am JRes
pCr
i
tCar
e.2005Nov
1;172(
9)
: 10971104.
9) Tak
ahas
hiH,Tak
ei
s
hiY,Sei
dl
erT,Ar
i
mot
oT,Ak
i
y
amaH,Hoz
umiY,Koy
amaY,Shi
s
hi
doT,Ts
unodaY,Ni
i
z
ek
iT,Noz
ak
iN,Abe
J
I
,Has
s
enf
us
sG,Got
o K,Kubot
aI
. Adenovi
r
us
medi
at
ed over
ex
pr
es
s
i
on ofdi
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ez
et
ai
nhi
bi
t
sendot
hel
i
n1i
nduc
edc
ar
di
omy
oc
y
t
ehy
per
t
r
ophy
.Ci
r
c
ul
at
i
on.2005Mar29;111(
12)
:
15101516.
10)Tak
abat
ak
eN,Sat
aM,AbeS,I
noueS,Sai
t
oH,Yuk
iH,Shi
bat
aY,Kubot
aI
.I
mpai
r
eds
y
s
t
emi
cc
el
l
medi
at
edi
mmuni
t
yand
i
nc
r
eas
eds
us
c
ept
i
bi
l
i
t
yt
oac
ut
er
es
pi
r
at
or
yt
r
ac
ti
nf
ec
t
i
onsi
npat
i
ent
swi
t
hCOPD.Res
pi
rMed.2005Apr
;99(
4)
:
485492.
47
2 研究概要
中高年女性の健康に関する分子疫学研究・教育
Mol
ecul
arEpi
demi
ol
ogyf
ort
hePos
t
menopaus
alWomen'
sHeal
t
h
Pr
of
i
l
e
山形大学医学部発達生体防御学講座
女性医学分野
倉智 博久
教授 Hi
r
ohi
saKur
ach
Emai
l
:hkur
achi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
疫学的な研究成績によりからも、閉経後女性には、
症、動脈硬化、高コレステロール血症、 タ
リック症
が 増することが明らかとされている。
最近、日本人女性の
寿命は 86歳を超えたが、閉
経年齢は 400年以上にわたってかわらず 50歳のまま
なので、多くの女性は 35年以上にわたる めて長い閉
経後の生活を ることとなる。さらに、50歳以上の日
本人女性の人 は 2,
800 人に達しようとしていると
定され、
今後もさらなる増加が確実である。したがっ
て、閉経後女性の ルス アは、医療経済的にも、
的にも重要な
である。
私たちは、下図に示すように、① 卵巣摘出によって
エストロゲンが減少すると、
わずか 1週間で血管の内皮
機能を反映する Fl
ow Medi
at
edVas
odi
l
at
at
i
on(
FMD)
が有意に低下すること、② 術後 1週間後から、血管に
おいてはエストロゲン作用を発揮するラロキシフェン
を投与すると、FMDの値はほぼ術前のレベルまで回復
すること、
を明らかとした。
この成績は、
エストロゲンが
血管の内皮からの一酸化窒素 (
NO)の産生分泌に重要
な働きをしていることを示唆する。最近の大規模臨床
は心血管系
試験の結果では、
ホルモン補充療法
(HRT)
疾患を予防しないと報告されたが、閉経後のエストロ
ゲンの減少が心血管系疾患の増加をもたらすことは確
実である。
したがって、
今後は閉経以後に治療を開始す
る医療から、
閉経以前から疾病の予防を意識した生活
習慣の改善や指導を行うことが重要であると思われる。
このように、閉経は女性にとって多くの疾病発症の
重要なリスク因子と考えられている。女性一人ひとり
の閉経後の疾病の発症しやすさを知ることができれば、
個々の生活習慣に沿った指導が可能であり、また医療
経済効率もよいものと考えられる。
私たちは健診に参加していただいている住民を対象
として、閉経以後の疾病の有無とその状態、およびヒ
トゲノム上に見いだされる遺伝子における一塩基変異
多型 (
Si
ngl
eNucl
eot
i
dePol
ymor
phi
s
m(
SNP)
)との関
連を解析することを目的として研究を続けている。
本研究により、閉経というリスクに関わる疾患感受性
と、その個体差に関わる疾患関連遺伝子を見いだし、
臨床応用への発展に貢献したいと考えている。
48
昭和 24年生まれ
昭和 51年 大阪大学医学部卒業
昭和 59年~ 61年 米国国立衛生研究所へ留学
平成 8年より大阪大学医学部講師
平成 11年より大阪大学医学部助教授
平成 12年より山形大学医学部教授
Research Summary
I
ti
swel
lknown t
hatdys
l
i
pi
demi
a,os
t
eopor
os
i
s
and car
di
ovas
cul
ar di
s
eas
es i
ncr
eas
e i
n
pos
t
menopaus
al women. Sever
al obs
er
vat
i
onal
s
t
udi
eshave r
epor
t
ed t
hates
t
r
ogen i
mpr
ovesl
i
pi
d
met
abol
i
s
m,i
ncr
eas
esbonemi
ner
aldens
i
t
y and i
s
ant
i
at
her
os
cl
er
ot
i
c.
We have r
ecent
l
y r
epor
t
ed t
hat ovar
i
ect
omy
s
i
gni
f
i
cant
l
y r
educed t
he f
l
ow medi
at
ed
vas
odi
l
at
at
i
on(
FMD)whi
chi
sas
ens
i
t
i
vepar
amet
er
f
ort
hepr
oduct
i
on and r
el
eas
eofni
t
r
i
coxi
de(
NO)
f
r
om t
he endot
hel
i
alcel
l
s
,wi
t
hi
n a week oft
he
oper
at
i
on,and t
hat r
al
oxi
f
ene,whi
ch exhi
bi
t
san
es
t
r
ogen agoni
s
t
i
c ef
f
ect i
nt
he vas
cul
ar t
i
s
s
ues
,
i
mpr
oved t
he i
mpai
r
ment i
n FMD by t
he
ovar
i
ect
omy (
Takahas
hi K et al
. Menopaus
e
2007;
14:
656661)
.The r
es
ul
t
ss
ugges
ta benef
i
ci
al
ef
f
ect
sofes
t
r
ogenont
hevas
cul
at
ur
e.
However
,t
he Women’sHeal
t
hI
ni
t
i
at
i
ve (
WHI
)
cl
i
ni
cal t
r
i
al
s of HRT demons
t
r
at
ed no over
al
l
benef
i
t of HRT f
or t
he car
di
ovas
cul
ar di
s
eas
e
pr
event
i
on i
n pos
t
menopaus
al women. Si
nce
pr
event
i
ve medi
ci
ne i
s mor
ei
mpor
t
ant i
n t
he
women'
s l
i
f
e, we ar
e goi
ng t
o expl
or
e t
he
as
s
oci
at
i
on bet
ween s
i
ngl
e nucl
eot
i
de
pol
ymor
phi
s
ms and di
s
eas
es whi
ch r
emar
kabl
y
i
ncr
eas
ei
npos
t
menopaus
alwomen.
研 究 組 織:山形大学医学部発達生体防御学講座女性医学分野
研究代表者:倉智 博久(教 授)hkur
achi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究分担者:中原 健次(准教授)knakaha@me
d.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
高橋 一広(講 師)kt
aka@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Major Publications
1. KawagoeJ
,Ohmi
c
hiM,Ts
ut
s
umiS,Oht
aT,Tak
ahas
hiK,Kur
ac
hiH.Mec
hani
s
m oft
hedi
ver
gentef
f
ec
t
sofes
t
r
ogenont
he
c
el
lpr
ol
i
f
er
at
i
onofhumanumbi
l
i
c
alendot
hel
i
alver
s
usaor
t
i
cs
moot
hmus
c
l
ec
el
l
s
.
Endoc
r
i
nol
ogy
.
2007i
npr
es
s
2. Yi
nL
,Mor
i
s
hi
geK,Tak
ahas
hiT,Has
hi
mot
o K,Ogat
aS,Ts
ut
s
umiS,Tak
at
aK,Oht
aT,KawagoeJ
,Tak
ahas
hiK,Kur
ac
hiH.
Fas
udi
li
nhi
bi
t
svas
c
ul
argr
owt
hf
ac
t
or
i
nduc
edangi
ogenes
i
si
nvi
t
r
oandi
nvi
vo.
MolCanc
erTher2007;
6(
5)
:
15171525
3. Tak
ahas
hiK,Mor
i
Abe A,Tak
at
a K,Oht
a T,Kawagoe J
,Ts
ut
s
umiS,Ohmi
c
hiM,Kur
ac
hiH.Ral
ox
i
f
ene i
mpr
oves t
he
ovar
i
ec
t
omy
i
nduc
edi
mpai
r
menti
nendot
hel
i
umdependentvas
odi
l
at
at
i
on.
Menopaus
e2007;
14(
4)
:
656661
4. Oht
aT,Ohmi
c
hiM,Hay
as
ak
aT,Mabuc
hiS,Sai
t
oh M,KawagoeJ
,Tak
ahas
hiK,I
gar
as
hiH,Du B,Dos
hi
daM,I
s
hi
daGM,
Mot
oy
amaT,Tas
ak
aK,Kur
ac
hiH.I
nhi
bi
t
i
on ofphos
phat
i
dy
l
i
nos
i
t
ol3k
i
nas
ei
nc
r
eas
esef
f
i
c
ac
yofc
i
s
pl
at
i
ni
ni
n vi
voovar
i
an
c
anc
ermodel
s
.
Endoc
r
i
nol
ogy2006;
147(
4)
:
17611769
5. Dos
hi
daM,Ohmi
c
hiM,Ts
ut
s
umiS,KawagoeJ
,Tak
ahas
hiT,Du B,Mor
i
AbeA,Oht
aT,Sai
t
ohSek
i
guc
hiM,Tak
ahas
hiK,
Kur
ac
hiH.Ral
ox
i
f
enei
nc
r
eas
espr
ol
i
f
er
at
i
onandupr
egul
at
est
el
omer
as
eac
t
i
vi
t
yi
nhumanumbi
l
i
c
alvei
nendot
hel
i
alc
el
l
s
.J
Bi
olChem 2006;
281(
34)
:
2427024278
6. Sai
t
ohM,Ohmi
c
hiM,Tak
ahas
hiK,KawagoeJ
,Oht
aT,Dos
hi
daM,Tak
ahas
hiT,I
gar
as
hiH,Mor
i
AbeA,DuB,Ts
ut
s
umiS,
Kur
ac
hiH. Medr
ox
y
pr
oges
t
er
one ac
et
at
ei
nduc
es c
el
lpr
ol
i
f
er
at
i
on t
hr
ough upr
egul
at
i
on ofc
y
c
l
i
n D1ex
pr
es
s
i
on vi
a
phos
phat
i
dy
l
i
nos
i
t
ol3k
i
nas
e/
Ak
t
/
nuc
l
earf
ac
t
or
-κ Bc
as
c
adei
nhumanbr
eas
tc
anc
erc
el
l
s
.Endoc
r
i
nol
ogy2005;
146(
11)
:
49174925
7. Tak
ahas
hiK,Tanak
a E,Mur
ak
amiM,Mor
i
Abe A,Kawagoe J
,Tak
at
a K,Ohmi
c
hiM,Kur
ac
hiH.L
ongt
er
m hor
mone
r
epl
ac
ementt
her
apydel
ay
st
heager
el
at
edpr
ogr
es
s
i
onofc
ar
ot
i
di
nt
i
mamedi
at
hi
c
k
nes
si
nheal
t
hypos
t
menopaus
alwomen.
Mat
ur
i
t
as2004;
49:170177
8. Ohmi
c
hiM,Hay
ak
awaJ
,Tas
ak
aK,Kur
ac
hiH,Mur
at
aY.Mec
hani
s
msofpl
at
i
num dr
ug r
es
i
s
t
anc
e.Tr
endsPhar
mac
olSc
i
2005;
26(
3)
:
113116
9. Mi
ur
aS,Tanak
aE,Mor
iA,Toy
aM,Tak
ahas
hiK,Nak
ahar
aK,Ohmi
c
hiM,Kur
ac
hiH.Hor
moner
epl
ac
ementt
her
apyi
mpr
oves
ar
t
er
i
als
t
i
f
f
nes
si
nnor
mot
ens
i
vepos
t
menopaus
alwomen.
Mat
ur
i
t
as2003;
45(
4)
:
293298
10.KawagoeJ
,Ohmi
c
hiM,Tak
ahas
hiT,Ohs
hi
maC,Mabuc
hiS,Tak
ahas
hiK,I
gar
as
hiH,Mor
i
AbeA,Sai
t
ohM,DuB,Oht
aT,
Ki
mur
aA,Ky
o S,I
noueM,Kur
ac
hiH.Ral
ox
i
f
enei
nhi
bi
t
ses
t
r
ogeni
nduc
ed upr
egul
at
i
on oft
el
omer
as
eac
t
i
vi
t
yi
n ahuman
br
eas
tc
anc
erc
el
ll
i
ne.
JBi
ol Chem 2003;
278(
44)
:
4336343372
49
2 研究概要
高畠町住民を対象とした生活習慣、食習慣、運動習慣に関する疫学調査
Anepi
demi
ol
ogi
cals
ur
veyofl
i
f
es
t
yl
e,di
et
ar
yhabi
tandexer
ci
s
ehabi
ti
nTakahat
a
山形大学大学院医学系研究科生命環境
医科学専攻社会環境予防医学部門
公衆衛生学講座
深尾 彰
教授 Aki
r
aFukao
EMai
l
:
af
ukao@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
l
e
昭和 25年
昭和 51年
昭和 54年
昭和 57年
平成 1年
平成 8年
仙台市生まれ
東北大学医学部卒業
東北大学医学部第 3内科医員
東北大学医学部公衆衛生学助手
東北大学医学部公衆衛生学助教授
山形大学医学部公衆衛生学教授
研究概要
Research Summary
2005年 5月、高畠町の 40歳以上住民 15,
310名に対
Wecar
r
i
edoutt
hes
ur
vey ofl
i
f
es
t
yl
e,di
et
ar
y habi
t
して生活習慣、食習慣、運動習慣に関する調査を行っ
a
andexer
ci
s
ehabi
ton 15,
310r
es
i
dent
sofTakahat
た。質問票は、生活習慣に関しては独自に開発したも
i
nMay,2005.Fordi
et
ar
y habi
tandexer
ci
s
ehabi
t
,
の、食習慣、運動習慣については、栄養成分や運動量
we us
ed t
he ques
t
i
onnai
r
es devel
oped i
n Japan
が定量化できる J
apanAr
t
er
i
os
cl
er
os
i
sLongi
t
udi
nal Ar
cl
er
os
i
s Longi
t
udi
nal St
udy (
JALS)
, by
t
er
i
os
196名
St
udy(
JALS)で開発されたものを用いた。 13,
whi
ch quant
i
t
i
esofnut
r
i
ent
sand exer
ci
s
e can be
(82%)から回答があったが、解析に同意した 8,
797
es
i
dent
sr
es
ponded,and dat
a of
es
t
i
mat
ed.13,
196r
名のデータについて解析を進めている。
8,
797r
es
i
dent
s who gave cons
ent ar
e now
一部の解析結果を表に示す。男性を喫煙習慣(現在
anal
yzi
ng.
喫煙、過去喫煙、非喫煙)で分けて、主な摂取栄養素
Oneoft
hepr
el
i
mi
nar
yr
es
ul
t
si
ss
howed bel
ow.
を比較したものである。これによると、喫煙者は、非
Sever
alnut
r
i
ent
sar
e compar
ed by s
moki
ng s
t
at
us
喫煙者に比較して脂肪、炭水化物、βカロテン、ビタ
moker
,exs
moker
s
,nons
moker
s
)among
(
pr
es
ents
ミンCの摂取が有意に低く、アルコールの摂取が有意
mal
es
ubj
ect
s
.I
ti
sr
eveal
ed t
hat i
nt
ake of f
at
,
に高かった。
ot
eneandvi
t
ami
nCf
ors
moker
s
car
bohydr
at
e,β car
これらのデータと、基本健康診査のデータ、山形大
ar
es
i
gni
f
i
cant
l
yl
owert
han t
hos
ef
ornons
moker
s
,
学が実施した特殊検診データを有機的に組み合わせさ
moker
si
ss
i
gni
f
i
cant
l
y
and al
cohol i
nt
ake f
or s
らに検討を進める予定である。
hi
gher
.
I
ncl
udi
ng dat
aoft
heannualheal
t
h exami
nat
i
on
andt
hes
peci
almedi
calexami
nat
i
onsconduct
edas
hi
sCOEpr
ogr
am,wear
ecar
r
yi
ngf
or
war
d
apar
toft
t
hi
scompr
ehens
i
veepi
demi
ol
ogi
cals
t
udy.
50
研 究 組 織:山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻公衆衛生学講座
研究代表者:深尾 彰(教授)af
ukao@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究分担者:石川 仁(準教授)h.
i
s
kw@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
邵 力(助教)s
hor
i
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Tabl
e Es
t
i
mat
edquant
i
t
i
esofnut
r
i
ent
sbys
moki
ngs
t
at
us
nut
r
i
ent
s
ener
gy(
kcal
)
pr
ot
ei
n(
%E)
f
at(
%E)
car
bohydr
at
e(
%E)
al
cohol(
g)
βc
μg/
ar
ot
ene(
1000kcal
)
vi
t
ami
nC(
mg/
1000kcal
)
s
moker
s
n=1184
exs
moker
s
n=1189
nons
moker
s
n=434
2348±21
12.
6±0.
1
20.
2±0.
2*
57.
2±0.
2*
28.
6±0.
9*
1253±26*
40±1*
2366±21
12.
6±0.
1
20.
6±0.
2*
57.
8±0.
2*
25.
4±0.
9*
1325±26
42±1
2314±33
12.
9±0.
1
21.
4±0.
3
59.
0±0.
4
18.
0±1.
5
1405±41
45±1
*
:p<0.
05
Major Publications
1) Ak
ht
arM,Kur
i
y
ama S,Nak
ay
a N,s
hi
mi
z
u T,Ohmor
iK,Ni
s
hi
no Y,Ts
ubono Y,Fuk
ao A,Ts
uj
iI
:Al
c
oholc
ons
umpt
i
on i
s
as
s
oc
i
at
ed wi
t
h ani
nc
r
eas
ed r
i
s
kofdi
s
t
alc
ol
on and r
ec
t
alc
anc
eri
nJ
apanes
emen:t
heMi
y
agiCohor
tSt
udy
.EurJCanc
er
.
43(
2)
:
283290,2007.
2) NaganumaT,Kur
i
y
amaS,Ak
ht
erM,Kk
i
z
ak
iM,Nk
ay
aN,Mat
s
udaOhmor
iK,Shi
mi
z
uT,Fuk
aoA,Ts
uj
iI
:Cof
f
eec
ons
umpt
i
on
andt
her
i
s
kofc
ol
or
ec
t
alc
anc
er
:
apr
os
pec
t
i
vec
ohor
ts
t
udyi
nJ
pan.
I
ntJc
anc
er
.
120(
7)
:
15427,
2007.
3) I
s
hi
k
awa A,Kur
i
y
ama S,Ts
ubono Y,Fuk
ao A,Tak
ahas
hiH,Tac
hi
y
a H,Ts
uj
iI
:Smok
i
ng,al
c
oholdr
i
nk
i
ng,gr
een t
ea
c
ons
umpt
i
onandt
her
i
s
kofes
ophagealc
anc
eri
nJ
apanes
emen.
JEpi
demi
ol
.
16(
5)
:
18592,2006.
4) I
s
hi
k
awaH,I
s
hi
k
awaT,Mi
y
at
s
uY,Kur
i
har
aK,Fuk
aoA,Yok
oy
amaK:Apol
y
mor
phi
s
m oft
hemet
hi
oni
nes
y
nt
has
er
educ
t
as
e
genei
nc
r
eas
esc
hr
omos
omaldamagei
nper
i
pher
all
y
mphoc
y
t
esi
ns
mok
er
s
.
Mut
atRes
.
599(
12)
:
13543,2006
51
2 研究概要
Cyt
ochr
omeP4502C19遺伝多型が健常人の人格特徴に与える影響
I
nf
l
uenceofcyt
ochr
omeP4502C19pol
ymor
phi
s
m ont
heper
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
s
山形大学医学部発達生体防御学講座
発達精神医学分野
大谷 浩一
教授 Koi
chiOt
ani
Emai
l
:ot
ani
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
l
e
昭和 56年 弘前大学医学部卒業
昭和 59年 スウェーデン・カロリンスカ研究所留学
平成 9年 山形大学医学部精神神経医学講座 教授
研究概要
Research Summary
人格の形成には、遺伝的要因が強く関与すると報告
I
thasbeen s
ugges
t
ed t
hatper
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
sar
e
さ れ て い る。遺 伝 的 に 規 定 さ れ た 活 性 を 示 す
her
i
t
abl
e.
The pol
ymor
phi
c cyt
ochr
ome P450
Cyt
ochr
omeP450(
CYP)2C19は、多くの薬剤に加え、 (
i
zes s
ex hor
mones and 5CYP) 2C19met
abol
性ホルモン、セロトニンなどの脳機能に関与する種々
hydr
oxyt
r
ypt
ami
ne,whi
char
ei
nvol
vedi
n mul
t
i
pl
e
の物質の代謝を司ることが報告されている。そのため、 br
ai
n f
unct
i
ons
.
he
I
n t
he pr
es
ent s
t
udy, t
CYP2C19遺伝多型は人格特徴に影響を与える可能性
r
el
at
i
ons
hi
p bet
ween t
he CYP2C19pol
ymor
phi
s
m
が示唆される。そこで、本研究では健常日本人におい
and per
s
onal
i
t
y t
r
ai
t
s was exami
ned i
n 487
て、CYP2C19遺伝多型と人格特徴との関係を検討した。 J
eer
s
. Per
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
s
apanes
e heal
t
hy vol
unt
対象は 487人の健常日本人(男性 244例、女性 243
wer
eas
s
es
s
ed by t
heTemper
amentand Char
act
er
例)であった。人格特徴は日本語版 Te
mper
amentand
el
es
I
nvent
or
y (
TCI
)
, and t
he t
wo mut
at
ed al
l
Char
act
erI
nvent
or
y(
TCI
)にて評価し、CYP2C19代謝
caus
i
ngabs
entCYP2C19act
i
vi
t
ywer
ei
dent
i
f
i
edby
欠損遺伝子 (
*
2,
*
3)は PCRRFLP法にて同定した。女
a PCRRFLP met
hod. I
nf
emal
es
,t
he s
cor
es of
性において、代謝欠損者は代謝正常者と比較し、報酬
d dependence (
p=0.
026)
, cooper
at
i
venes
s
r
ewar
依存、協調性、自己超越性の項目の点数が低値であっ
(
p=0.
001)
, and s
el
f
t
r
ans
cendence (
p=0.
049) wer
e
た(Tabl
e1,Fi
g.1)。一方、男性においては、TCIの
n poormet
abol
i
zer
s(
PMs
)t
han
s
i
gni
f
i
cant
l
yl
oweri
7項目全てにおいて、代謝正常者と代謝欠損者の間に
i
next
ens
i
vemet
abol
i
zer
s(
EMs
)(
Fi
g.
1,Tabl
e1)
.I
n
有意差は認められなかった(Tabl
e1)。以上より、本
mens
i
ons was
mal
es
, none of t
he s
even TCI di
研究において、
CYP2C19遺伝多型は健常日本人女性の
s
i
gni
f
i
cant
l
ydi
f
f
er
entbet
weenEMsandPMs(
Tabl
e
人格特徴に影響を与えることが示された。
1)
. The pr
es
ent s
t
udy t
hus s
ugges
t
st
hat t
he
CYP2C19pol
ymor
phi
s
m af
f
ect
sper
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
sof
Japanes
ef
emal
es
.
52
研 究 組 織:山形大学医学部発達生体防御学講座発達精神医学分野:
研究代表者:大谷 浩一(教授)
研究分担者:鎌田 光宏(准教授)、青嶋 利明(講師)、鈴木 昭仁(助教)、石井 玄樹(医員)
Fi
g.
1 CYP2C19が女性の報酬依存、協調性、自己超越性に与える影響
Tabl
e1.CYP2C19活性が I
CIの7項目に与える影響
Major Publications
01.I
s
hi
iG,Suz
uk
iA,Os
hi
noS,Shi
r
ai
s
hiH,Mat
s
umot
oY,Ot
anik
,Got
oK. As
s
oc
i
at
i
on s
t
udyofc
at
ec
hol
O-met
hy
l
t
r
ans
f
er
as
e
Val
158Metpol
y
mor
phi
s
m wi
t
hper
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
si
nJ
apanes
eheal
t
hyvol
unt
eer
s
.
EurPs
y
c
hi
at
r
y22:
462465,2007.
02.Mat
s
umot
o Y,Suz
uk
iA,I
s
hi
iG,Os
hi
no S,Ot
aniK,Got
o K. The 181A/
C pol
y
mor
phi
s
m i
nt
he ex
c
i
t
at
or
y ami
no ac
i
d
t
r
ans
por
t
er
2genepr
omot
eraf
f
ec
t
st
heper
s
onal
i
t
yt
r
ai
tofr
ewar
ddependenc
ei
nheal
t
hys
ubj
ec
t
s
.Neur
os
c
iL
et
t427:99102,
2007.
03.Suz
uk
iA,Mat
s
umot
o Y,I
s
hi
iG,Os
hi
no S,Got
o K,Ot
aniK. No as
s
oc
i
at
i
on bet
ween t
he3081A/
Tpol
y
mor
phi
s
mi
nt
he
nor
epi
nephr
i
net
r
ans
por
t
ergenepr
omot
erandper
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
si
nheal
t
hys
ubj
ec
t
s
.
Neur
os
c
iL
et
t425:
192194,2007.
04.Suz
uk
iA,Fuk
as
awa T,Shi
r
ai
s
hiH,I
s
hi
iG,Os
hi
no S,Aos
hi
ma T,Ot
aniK.No as
s
oc
i
at
i
on bet
ween t
he TPH A218C
pol
y
mor
phi
s
m and per
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
si
nJ
apanes
eheal
t
hys
ubj
ec
t
s
.Pr
og Neur
ops
y
c
hophar
mac
olBi
olPs
y
c
hi
at
r
y31:395398,
2007.
05.I
s
hi
iG,Suz
uk
iA,Os
hi
no S,Shi
r
ai
s
hiH,Ot
aniK. CYP2C19pol
y
mor
phi
s
m af
f
ec
t
sper
s
onal
i
t
yt
r
ai
t
sofJ
apanes
ef
emal
es
.
Neur
os
c
iL
et
t411:
7780,2007.
06.Shi
r
ai
s
hiH,Suz
uk
iA,Fuk
as
awaT,Aos
hi
maT,Uj
i
i
eY,I
s
hi
iG,Ot
aniK.Monoami
neox
i
das
eA genepr
omot
erpol
y
mor
phi
s
m
af
f
ec
t
snovel
t
ys
eek
i
ngandr
ewar
ddependenc
ei
nheal
t
hys
t
udypar
t
i
c
i
pant
s
.
Ps
y
c
hi
at
rGenet16:
5558,2006.
53
2 研究概要
生活習慣病としての循環器疾患の病態解明と治療の基礎的研究・教育
Bas
i
cr
es
ear
choncel
l
ul
armechani
s
msandt
her
apeut
i
cbas
i
sofcar
di
ovas
cul
ardi
s
eas
es
山形大学医学部器官機能統御学講座
循環薬理学分野
石井 邦明
教授 Kuni
akiI
shi
i
Emai
l
:kui
s
hi
i
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は生活習慣病と
Pr
of
i
l
e
昭和 56年
昭和 61年
平成 8年
平成 17年
東北大学医学部卒業
東北大学医学部助手
山形大学医学部助教授
同 医学部教授
Research Summary
I
s
chemi
c hear
tdi
s
eas
es
,one ofl
i
f
es
t
yl
er
el
at
ed
di
s
eas
es
, pos
s
i
bl
y l
ead t
o hear
t f
ai
l
ur
e and
vent
r
i
cul
ar ar
r
hyt
hmi
at
hat may be f
at
al
.I
ti
s
k
n
o
wn
t
h
a
t
t
h
e
c
o
mp
e
n
s
a
t
o
r
y
mo
d
u
l
a
t
i
o
n
i
n
d
u
c
e
d
よって致死的不整脈が生じたりする。慢性うっ血性心
t
i
vat
i
on ofneur
ohumor
alf
act
or
s
,es
peci
al
l
y
不全が発症する過程においては、全身的に活性化され by ac
s
ympat
het
i
c s
ys
t
em, r
eni
nangi
ot
ens
i
n s
ys
t
em
る神経・液性因子による代償機構が心不全の病態の進
(
RAS)and endot
hel
i
ns
ys
t
em,pl
aysan i
mpor
t
ant
行に重要な役割を演じていることが知られている。こ
r
ol
e dur
i
ng t
he cour
s
e ofconges
t
i
ve hear
tf
ai
l
ur
e
れらの代償機構として、特に交感神経系、レニン・ア
(
CHF)
.I
nf
act
,l
ar
ges
cal
ecl
i
ni
calt
r
i
al
shavepr
oved
ンジオテンシン系、エンドセリン系の重要性が認識さ t
βAR)
hatt
hei
nhi
bi
t
or
sofRASandβadr
enocept
or(
れており、これまでの大規模臨床試験によって、β受 bl
ocker
si
mpr
ove t
he pr
ognos
i
s ofCHF pat
i
ent
s
.
容体遮断薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の投与が Howe
ver
,t
he det
ai
l
s ofr
egul
at
or
yr
ol
e oft
hes
e
心保護作用を示し心不全患者の寿命を延長することが e
ndogenous f
act
or
si
nt
he devel
opment of CHF
tbeenel
uci
dat
ed.I
nt
hepr
es
ents
t
udy,
明らかにされている。しかしながら、これらの調節系 havenotye
we
i
n
v
e
s
t
i
g
a
t
e
d
t
h
e
c
r
o
s
s
t
a
l
k
o
f
s
y
mp
a
t
h
e
t
i
c
s
y
s
t
em
が心不全の病態にどのように関与しているのかについ
ndot
hel
i
ns
ys
t
em i
nt
her
egul
at
i
on ofcar
di
ac
て、その詳細は依然として不明であり、ことにエンド and e
c
o
n
t
r
a
c
t
i
l
i
t
y
a
n
d
i
n
t
h
e
mo
d
u
l
a
t
i
o
n
o
f
t
h
e
s
l
o
wl
y
セリンの関与については相反する研究結果が報告され
a
c
t
i
v
a
t
i
n
g
d
e
l
a
y
e
d
r
e
c
t
i
f
i
e
r
p
o
t
a
s
s
i
u
m
c
u
r
r
e
n
t
(
I
)
,
Ks
ている。
and obt
ai
ned t
hef
ol
l
owi
ng r
es
ul
t
s
.1)ET1el
i
ci
t
ed
本研究では、心室筋の収縮機能調節および心筋遅延
onl
yas
mal
lt
r
ans
i
ent negat
i
ve i
not
r
opi
c ef
f
ect
整流性 K 電流 I
Ksの修飾におけるエンドセリン系と交
(
NI
E)
,buti
ti
nducedapr
omi
nentpos
i
t
i
vei
not
r
opi
c
感神経系のクロストークについて検討を行い、以下の e
f
f
ect (
PI
E) and a pr
onounced s
us
t
ai
ned NI
E,
結果を得た。1)イヌ心室筋において ET1は単独で dependi
ngon t
hedegr
eeofβAR act
i
vat
i
on i
n dog
は弱い一過性陰性変力作用を惹起するのみであったが、 ve
nt
r
i
cul
ar myocar
di
um. 2) Di
f
f
er
ent s
i
gnal
i
ng
軽度のβ受容体刺激下では陽性変力作用を惹起し、高 pr
oces
s
es ar
e i
nvol
ved i
n t
hes
e compl
i
cat
ed
not
r
opi
cef
f
ect
si
nduced by t
he cr
os
s
t
al
k bet
ween
度のβ受容体刺激下においては顕著な陰性変力作用を i
ympat
het
i
c and endot
hel
i
n s
ys
t
em. 3) A l
ow
惹起した。2)これらの ET1による効果は異なった s
1
i
n
c
r
e
a
s
e
d
I
,
a
n
d
h
i
gh
c
o
n
c
e
n
t
r
a
t
i
o
n
o
f
E
T
Ks
シグナル伝達系を介していた。3)ヒト ETA 受容体と
r
at
i
onsofET1modul
at
edI
i
phas
i
cal
l
y(
a
Ks b
KCNE1を用いた再構成系において ET1は低濃度で concent
t
r
a
n
s
i
e
n
t
i
n
c
r
e
a
s
e
f
o
l
l
o
we
d
b
y
a
s
u
s
t
a
i
n
e
d
d
e
c
r
e
a
s
e
)
I
Ksを増大し、高濃度では二相性に I
Ksを修飾した(一過
i
n oocyt
es coexpr
es
s
i
ng human KCNE1and ETA
性の増大に引き続く持続的な減少)
。4)β受容体刺激
.4) Suppr
es
s
i
on of I
y ETAR
r
ecept
or (
ETAR)
Ks b
下においては ET1による I
Ksの減少作用がより強く現
act
i
vat
i
on was gr
eat
er i
nt
he pr
es
ence ofβAR
れ、また逆に高濃度の ET1存在下ではβ受容体刺激 act
i
vat
i
ont
hani
ni
t
sabs
ence.I
ncr
eas
eofI
yβAR
Ksb
の増大が抑制された。
による I
Ks
act
i
vat
i
on wasdi
mi
ni
s
hed i
nt
hepr
es
enceofhi
gh
これらの結果は、生活習慣病から進行し得る心不全の c
oncent
r
at
i
onsofET1.Thes
er
es
ul
t
si
mpl
yt
hatnot
発症機構解明において、個々のシグナル伝達系だけで onl
yeachr
egul
at
or
ys
ys
t
em butal
s
ot
hei
rcr
os
s
t
al
k
はなく、シグナル伝達系間のクロストークについても s
houl
d be i
nves
t
i
gat
ed t
o f
ul
l
y el
uci
dat
e t
he
hogenes
i
sofhear
tf
ai
l
ur
e.
より詳細な検討を加える必要があることを示している。 pat
考えられているが、重度の虚血性心疾患では心臓のポ
ンプ機能が低下し心不全が生じたり、興奮性の異常に
54
研 究 組 織:山形大学医学部器官病態統御学講座循環薬理学分野
研究代表者:石井 邦明(教授)kui
s
hi
i
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
大倉 正道(講師)mohkur
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
西丸 和秀(助教)ni
s
hi
mar
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
図 交感神経系とエンドセリン系のクロストーク
β受容体活性化の程度によって ET1による変力作用が全く異なる。
β受容体、ETA受容体の活性化の有無によってお互いの I
KS修飾機構が影響を受ける。
Major Publications
1) Chu L
,Tak
ahas
hiR,Nor
ot
aI
,Mi
y
amot
o T,Tak
ei
s
hiY,I
s
hi
iK,Kubot
aI
,Endoh M.Si
gnalt
r
ans
duc
t
i
on and Ca2+s
i
gnal
i
ng i
n
c
ont
r
ac
t
i
l
er
egul
at
i
oni
nduc
edbyc
r
os
s
t
al
kbet
weenendot
hel
i
n1andnor
epi
nephr
i
ni
ndogvent
r
i
c
ul
army
oc
ar
di
um.Ci
r
cRes
(
2003)92,10241032.
2) I
s
hi
iK,NagaiM,Tak
ahas
hiM,EndohM.Di
s
s
oc
i
at
i
onofE4031f
r
om t
heHERGc
hannelc
aus
edbymut
at
i
onsofanami
noac
i
d
r
es
ul
t
si
ngr
eat
erbl
oc
kathi
ghs
t
i
mul
at
i
onf
r
equenc
y
.
Car
di
ovas
cRes(
2003)57,651659.
3) Yomogi
daS,Mar
uy
aJ
,Nor
ot
aI
,I
s
hi
iK,EndohM:Di
f
f
er
ent
i
ali
nhi
bi
t
i
onbyTAK044oft
hei
not
r
opi
cef
f
ec
t
sof endot
hel
i
n1
andendot
hel
i
n3.
EurJPhar
mac
ol(
2004)492,217224.
4) ChuL
,Nor
ot
aI
,Yomogi
daS,I
s
hi
iK,EndohM:Di
f
f
er
ent
i
ali
not
r
opi
cef
f
ec
t
sofendot
hl
i
n1,angi
ot
ens
i
nI
I
,andpheny
l
ephr
i
ne
i
nduc
edbyc
r
os
s
t
al
kwi
t
hc
AMPmedi
at
eds
i
gnal
i
ngpr
oc
es
si
ndogvent
r
i
c
ul
army
oc
ar
di
um.
JPhar
mac
olSc
i(
2004)96,199207.
5) L
i
nC,NagaiM,I
s
hi
gak
iD,Hay
as
ak
aK,EndohM,I
s
hi
iK.Cr
os
s
t
al
kbet
weenβ1adr
enoc
ept
orandETA r
ec
ept
ori
nmodul
at
i
on
oft
hes
l
ow c
omponentofdel
ay
edr
ec
t
i
f
i
erK+ c
ur
r
ent
s
.
Nauny
nSc
hmi
edeber
g’
sAr
c
hPhar
mac
ol(
2005)371,133140.
6) Pl
aneF,J
ohns
onR,Ker
rPM,Wi
ehl
erW,Thor
nel
oeK,I
s
hi
iK,ChenT,Col
eWC:Het
er
omul
t
i
mer
i
cKvc
hannel
sc
ont
r
i
but
et
o
my
ogeni
cc
ont
r
olofar
t
er
i
aldi
amet
er
.
Ci
r
cRes(
2005)96,216224.
7) Endoh,M,Hor
i
,M:Ac
ut
ehear
tf
ai
l
ur
e:i
not
r
opi
cagent
sandt
hei
rc
l
i
ni
c
alus
es
.Ex
per
tOpi
nPhar
mac
ot
her(
2006)7(
16)
:
21792202.
8) Ni
s
hi
mar
uK,Mi
ur
a,Y,Endoh,M:Mec
hani
s
msofendot
hel
i
n1i
nduc
ed dec
r
eas
ei
nc
ont
r
ac
t
i
l
i
t
yi
nadul
tmous
event
r
i
c
ul
ar
my
oc
y
t
es
.
BrJPhar
mac
ol(
2007)152,456463.
55
2 研究概要
活性酸素のかかわる疾患に対する抗酸化・レドックス系による防御機構
Ant
i
oxi
dant
/
redoxsyst
em asprot
ect
i
vemechani
sm agai
nstdi
seasescausedbyreact
i
veoxygenspeci
es
Pr
of
i
l
e
山形大学大学院医学系研究科生命環境
医科学専攻分子疫学部門
生体分子機能学講座
藤井 順逸
教授 Juni
chiFuj
i
i
昭和 57年 3月
昭和 59年 3月
昭和 63年 3月
昭和 63年 4月
平成 2年 4月
平成 3年 2月
平成 4年 10月
平成 8年 12月
平成 11年 7月
平成 16年 4月
Emai
l
:j
f
uj
i
i
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
酸素分子が一電子還元を受けて生じるスーパーオキシド
からは、ラジカル連鎖反応により様々な活性分子種が生じ
る。生体では、各種抗酸化・レドックス系が、活性酸素の
毒性から身を護る防御系として働いている。本研究では主
に、活性酸素種の中で、光老化反応について関与が指摘さ
れながらも、解明の遅れている一重項酸素による細胞傷害
の機構を調べ、また、抗酸化酵素として老化防止や酸化ス
トレスからの防御の上で中心的な役割を担う Supe
r
oxi
de
Di
s
mut
as
e1(
SOD1)の欠損マウスの新たな表現型の検出
とその機構について解析を進めた。さらに新規抗酸化酵素
の遺伝子改変マウスを作製し、表現型解析を進めている。
得られた結果は以下の通りである。まず、アポトーシス
を引き起こすと考えられていた一重項酸素が、アポトーシ
スの実行にかかわる分子種を酸化的に不活性化することで、
むしろアポトーシスの進行を抑制する事を明らかにした。
しかしこのアポトーシス抑制により、本来除去される傷害
細胞が貪食されずに残るため、炎症反応を激化させる要因
となっていると考えられる。
SOD1の変異が家族性筋萎縮性側索硬化症 (
FALS)の原
因となることが知られているが、SOD1欠損マウスは症状
を示さない。しかしながら詳細な解析から、赤血球の寿命
が6割程度に短縮しており、それは酸化の亢進が原因であ
ることをつきとめた。その結果、著しい貧血を呈する上に、
加齢に伴い赤血球に対する自己抗体が生成し、自己免疫様
の症状を呈することを明らかにした。酸化ストレスと自己
免疫との関連を明らかにするために、赤血球特異的にヒト
SOD1を発現するトランスジェニックマウスを作製し、
SOD1欠損マウスと交配することで、全身性に SOD1を欠
き、赤血球にのみヒト SOD1を発現する遺伝子改変マウス
を作製した。その結果、赤血球の酸化ストレスの軽減・寿
命の正常化・貧血の改善に加えて、抗赤血球抗体の産生も
抑制された。以上の結果は、自己免疫性疾患への酸化スト
レスの関与を示し、抗酸化剤はその予防に有効である可能
性を示唆している。
また、数年前から手がけて来たチオレドキシン依存性ペ
ルオキシダーゼ活性を有する酵素ペルオキシレドキシン4
のノックアウトマウス作製に成功した。このマウスは当初
の予想通り精子形成細胞に傷害が見られることから、配偶
子形成を保護していると考えられ、精子形成異常症などの
遺伝子疾患との関連が示唆された。
56
静岡大学理学部生物学科卒業
静岡大学大学院理学研究科修士課程修了(理学修士)
大阪大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)
トロント大学ベスト研究所博士研究員
学術振興会特別研究員(大阪大学医学部生化学教室)
大阪大学医学部生化学教室 助手
同 講師
同 助教授
山形大医学部生化学第二講座 教授
山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻
新設に伴い異動、現職
Research Summary
Onee
l
ect
r
onr
educt
i
onofmol
ecul
aroxygenpr
oduces
s
uper
oxi
de ani
on t
hat i
ni
t
i
at
es t
he r
adi
cal chai
n
on. Li
vi
ng or
gani
s
mshavevar
i
ousant
i
oxi
dat
i
ve
r
eact
i
s
ys
t
emst
o pr
ot
ectagai
ns
tt
oxi
ci
t
y ofr
eact
i
ve oxygen
s
peci
es (
ROS)
. Si
ngl
et oxygen i
s not r
adi
cal but
i
nvol
ved i
n phot
oagi
ng ofs
ki
n. Wef
ound t
hats
i
ngl
et
os
i
s abor
t
i
ve by i
nhi
bi
t
i
ng t
he
oxygen makes apopt
cas
pas
e pat
hway. Thi
sr
es
ul
t
si
n det
er
i
or
at
i
on of
ki
nbys
i
ngl
etoxygen. Super
oxi
de
oxi
dat
i
vei
nj
ur
yofs
di
s
mut
as
e(
SOD)pl
aysar
ol
ei
ni
nf
l
ammat
i
onandagi
ng
ng s
uper
oxi
de ani
on. Al
t
hough f
ami
l
i
al
by s
cavengi
amyot
r
ophi
cl
at
er
al s
cl
er
os
i
s(
FALS) i
s caus
ed by
i
vel
y mi
l
d phenot
ypei
sknown
mut
at
i
on i
n SOD1,r
el
at
f
orSOD1def
i
ci
entmi
ce. Ourdat
ai
mpl
yt
hata hi
gh
es
si
n er
yt
hr
ocyt
es i
ncr
eas
es t
he
l
evelofoxi
dat
i
ve s
t
r
pr
oduct
i
on ofaut
oant
i
bodi
esagai
ns
ter
yt
hr
ocyt
est
hat
t
r
oyed. We t
r
i
ed t
o demons
t
r
at
e
ar
e oxi
di
zed and des
t
hat t
he el
evat
ed ROS i
n RBC i
s a caus
ef
or t
he
i
r
s
tgener
at
edt
r
ans
geni
c
aut
oant
i
body pr
oduct
i
on. Wef
mi
ce t
hat expr
es
s human SOD1(
hSOD1) under t
he
r
egul
at
i
on oft
he GATA1pr
omot
erand,hence,have
hSOD1pr
ot
ei
n onl
y i
n RBC. Then we br
ed t
he
t
r
ans
gene ont
o SOD1/
-backgr
ound. Level
s ofROS,
hal
f
l
i
f
eofRBC,andRBC cont
enti
nSOD1/
;
hSOD1t
g/
+
e
mi
cecar
r
yi
ng human SOD1pr
ot
ei
n onl
yi
n RBC wer
aboutequi
val
entt
ot
hos
eofwi
l
dt
ypemi
ce. Level
sof
e
I
gG boundt
oRBC i
nt
heSOD1/
;
hSOD1t
g/
+mi
cewer
al
s
os
uppr
es
s
ed t
ot
hatofwi
l
dt
ype mi
ce.I
ncr
eas
ei
n
oxi
dat
i
on
l
evel
s ofant
i
bodi
es agai
ns
t maj
or l
i
pi
d per
pr
oduct
s
,4hydr
oxynonenaland acr
ol
ei
n,wasf
ound.
i
body
We concl
ude t
hat oxi
dat
i
onmedi
cat
ed aut
oant
pr
oduct
i
on i
s r
at
her common mechani
s
m f
or
aut
oi
mmunedi
s
eas
es
.
We al
s
o gener
at
ed a knockout mous
et
hat l
acks
per
oxi
r
edoxi
n 4(
Pr
x4)
,a new ant
i
oxi
dat
i
ve enzyme
oxi
das
e act
i
vi
t
y.Tes
t
es
wi
t
ht
hi
or
edoxi
ndependentper
of Pr
x4knockout mi
ce s
how el
evat
ed apopt
os
i
si
n
i
s
t
ent wi
t
h our
s
per
mat
ogeni
c cel
l
s
, whi
ch i
s cons
hypot
hes
i
sr
egar
di
ng Pr
x4i
ns
per
mat
ogenes
i
s
. Our
r
es
ul
t
s s
ugges
t caus
al connect
i
on bet
ween Pr
x4
mut
at
i
on and i
nher
i
t
abl
e di
s
eas
es wi
t
h def
ect i
n
s
per
mat
ogenes
i
s
.
研究分担者:岡田 太(同准教授)f
uokada@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
井内 良仁(同 助教)yi
uchi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
図 酸化ストレスにより赤血球膜の脂質が過酸化され、4ol
ei
n(
ACR)といった酸化産物が
hydr
oxynonenal(
HNE)や acr
生じる。こうした酸化産物は生体にとっては異物と認識さ
れるため、それに対する抗体が生じる。過酸化脂質をもつ
老化赤血球に抗体が結合することで、破壊を促進する。こ
の反応が繰返されることで抗体の産生が増幅され、臨界濃
度を超えた時に自己免疫性溶血性貧血をもたらす可能性が
ある。
Oxi
dat
i
ve s
t
r
es
si
nducesl
i
pi
d per
oxi
dat
i
on ofer
yt
hr
ocyt
e
,s
uch as 4membr
ane and gener
at
es oxi
dat
i
on pr
oduct
s
hydr
oxynonenal(
HNE)andacr
ol
ei
n(
ACR)
. Ant
i
bodi
esbi
nd
oxi
dat
i
onpr
oduct
saccel
er
at
e
er
yt
hr
ocyt
escar
r
yi
ngl
i
pi
dper
des
t
r
uct
i
onoft
hem.Repet
i
t
i
onoft
hi
scycl
ecanampl
i
f
yt
he
es and,ul
t
i
mat
el
y,caus
e aut
oi
mmune hemol
yt
i
c
ant
i
bodi
anemi
a.
Major Publications
1. Tani
t
oM,KwonYW,KondoN,BaiJ
,Mas
ut
aniH,Nak
amur
aH,Fuj
i
iJ
,Ohi
r
aA,andYodoiJ
.
Cy
t
opr
ot
ec
t
i
veef
f
ec
t
sofor
alger
any
l
ger
any
l
ac
et
one,ani
nduc
eroft
hi
or
edox
i
nandheats
hoc
kpr
ot
ei
n72,onl
i
ght
i
nduc
ed
r
et
i
naldamagei
nmi
c
e.J
.
Neur
os
c
i
.
25:
23962404(
2005)
2. Ot
s
uK,Sat
oK,I
k
edaY,I
maiH,Nak
agawaY,OhbaY,andFuj
i
iJ
.
Anabor
t
i
veapopt
ot
i
cpat
hwayi
nduc
edbys
i
ngel
tox
y
geni
sduet
ot
hes
uppr
es
s
i
onofc
as
pas
eac
t
i
vat
i
on.
Bi
oc
hem.
J
.
389:
197223(
2005)
3. Sut
oD,Sat
oK,OhbaY,Yos
hi
mur
aT,andFuj
i
iJ
.
Suppr
es
s
i
on oft
he pr
oapopt
ot
i
cf
unc
t
i
on ofc
y
t
oc
hr
ome c by s
i
ngl
etox
y
gen vi
a a heme r
edox s
t
at
ei
ndependent
mec
hani
s
m.Bi
oc
hem.
J
.
392:
399406(
2005)
4. I
uc
hiY,Ok
adaF,OnumaK,OnodaT,As
aoH,Kobay
as
hiM,andFuj
i
iJ
.
El
evat
edox
i
dat
i
ves
t
r
es
si
ner
y
t
hr
oc
y
t
esduet
oanSOD1def
i
c
i
enc
yc
aus
esanemi
aandt
r
i
gger
saut
oant
i
bodypr
oduc
t
i
on.
Bi
oc
hem J
,402:
219227(
2007)
57
2 研究概要
インターロイキン 21による免疫制御機構の解析
Anal
ys
i
sofI
mmunor
egul
at
i
onbyI
nt
er
l
euki
n21
Pr
of
i
l
e
山形大学医学部発達生体防御学講座
免疫学分野
浅尾 裕信
教授 Hi
r
onobuAsao
Emai
l
:as
aoh@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
昭和 35年 宮城県仙台市生まれ
昭和 60年 東北大学医学部卒業
平成 3年 東北大学大学院医学系研究科修了
平成 8年~ 10年 エール大学医学部病理学教室研究員
平成 12年 東北大学医学部助教授
平成 15年 山形大学医学部教授
研究概要
免疫系は感染症やアレルギー、自己免疫などの免疫疾患
のみならず、様々な疾患の病態に深く関わっている。サイ
トカインはその免疫応答を調節する極めて重要な液性因子
である。近年新たなサイトカインが次々と発見され、その
機能が明らかにされている。
2000年に発見されたインターロイキン (
I
L)
21は、I
L2、
I
L4、I
L7、I
L9、I
L15と 共 に、共 通 受 容 体 γ 鎖(γc)
を共有するサイトカインであり、B細胞や T細胞など多く
の免疫担当細胞に対して多彩な機能を有することが知られ
ている。I
L21は B細胞に対して最終分化を促すと同時に
I
gE産生を抑える機能を持ち、アレルギー性疾患との関連
が注目されている。また近年、関節リウマチや炎症性腸炎
など多くの炎症性疾患を引き起こすと考えられる I
L17産
生性の TH17細胞分化に I
L21が重要な役割を担っている
ことが明らかになってきた。しかし、これらはマウスを用
いた研究が多く、ヒトの免疫機構とは明らかに異なる。
今回、未解明なヒト I
L21の産生細胞や機能を解明する
ことを目的に研究を行い、以下の点を明らかにしてきた。
1)リコンビナントヒト I
L21を作成し、マウスに免疫す
ることにより抗ヒト I
L21単クロン抗体(4BG1)を作成し
た。この抗体を用いてヒト I
L21産生細胞を解析したとこ
ろ、活性化 CD4+セントラルメモリーT細胞(TCM)とエフェ
クターメモリーT細胞(TEM)に発現し、CD4+ナイーブ T
細胞や CD8+
T細胞からは産生されないことが判明した。他
のエフェクターサイトカインとの共発現解析により、I
L21
はI
FN-γ産生 TH1細胞や I
L17産生 TH17細胞から産生さ
れ、I
L4産生 TH2細胞からは産生されなかった。この結果
は、ヒト I
L21が TH1細胞や TH17細胞の機能発現に関わ
ることを示唆した。
2)リンパ球はウイルス感染などにより生体内で減少する
と、恒常性を保つためにホメオスタティックな抗原刺激非
依存性の増殖反応を起こす。この反応は免疫記憶の維持に
も重要であると考えられており、この機能を調節している
のがγ cサイトカインファミリーである I
L7と I
L15であ
る。我々は I
L21もこの機能を持つのではないかと考え解
析した。I
L21単独ではこれを誘導しなかったが、I
L7や
I
L15の存在下で誘導される CD4+記憶 T細胞の増殖を強
く促進し、さらに I
L7や I
L15に対して反応性の乏しい
CD4+ナイーブ T細胞の増殖も促進した。この増殖促進機
能に関わる情報伝達経路を解析した結果、MAPキナーゼ系、
PI
3キナーゼ系の経路の他、I
L21の主な情報伝達分子と考
え ら れ る STAT3を 介 し て CD4+
T細 胞、特 に ナ イ ー ブ
CD4+T細胞のホメオスタシスを制御している可能性を示
した。
58
Research Summary
I
L21r
egul
at
esmany f
unct
i
onsofT cel
l
s
,B cel
l
s
,NK
cel
l
s
,and dendr
i
t
i
c cel
l
s
.Al
t
hough act
i
vat
ed CD4+ T
cel
l
spr
oduceI
L21,dat
ai
dent
i
f
yi
ngt
hes
peci
f
i
cCD4+T
cel
ls
ubs
et
st
hatpr
oduceI
L21ar
econf
l
i
ct
i
ng.
To i
dent
i
f
yt
he I
L21s
ecr
et
i
ng cel
lpopul
at
i
ons i
n
human,wees
t
abl
i
s
hedahybr
i
domacel
ll
i
nepr
oduci
ng
anant
i
hI
L21monocl
onalant
i
body(
mAb)
.I
nt
r
acel
l
ul
ar
hI
L21s
t
ai
ni
ng exper
i
ment
ss
howed t
hat hI
L21was
+
mai
nl
y expr
es
s
ed i
n act
i
vat
edCD4 cent
r
almemor
yT
(
TCM)cel
l
s and i
n act
i
vat
edCD4+ ef
f
ect
ormemor
yT
(
TEM)cel
l
s
,butnoti
n act
i
vat
edCD4+ nai
ve T cel
l
s
.
Mor
eover
,I
L21waspr
oduceduponact
i
vat
i
onby s
ome
γI
FNpr
oduci
ng TH1pol
ar
i
zed cel
l
s and s
ome I
L17-
pr
oduci
ng TH17pol
ar
i
zed cel
l
s
, but not by I
L4pr
oduci
ngTH2pol
ar
i
zedcel
l
s
.Thes
er
es
ul
t
ss
ugges
tt
hat
s
peci
f
i
cCD4+T cel
lpopul
at
i
onspr
oduceI
L21and t
he
pr
oducedI
L21mayr
egul
at
et
heef
f
ect
orandmemor
yT
cel
lf
unct
i
ons
.
I
nt
he f
unct
i
onal anal
ys
i
s
, we f
ound t
hat I
L21
s
i
gni
f
i
cant
l
y enhanced t
hecyt
oki
nedr
i
ven pr
ol
i
f
er
at
i
on
+
ofnotonl
yCD4 memor
yT cel
ls
ubs
et
sbutal
s
onai
ve
T cel
l
ss
yner
gi
s
t
i
cal
l
y wi
t
hI
L7and I
L15wi
t
houtT
cel
lact
i
vat
i
on s
t
i
mul
i
.Fur
t
her
mor
ewes
howedt
hatI
L21act
i
vat
ed STAT3had an i
ndi
s
pens
abl
er
ol
ei
nt
he
cyt
oki
nedr
i
venCD4+Tcel
lpr
ol
i
f
er
at
i
on.
研究代表者:浅尾 裕信(教授)as
aoh@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究分担者:奈良 英利(助教)nar
a@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
RahmanMi
(助教)m.
zanur
r
ahman@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
3)I
L21には RNAスプライスの異なるアイソフォームが
存在することを発見した。ヒト I
L21アイソフォームは細
胞外に分泌されず、細胞内に留まっている点でこれまでに
報告されている I
L21と異なる。しかし、このアイソフォー
ムは細胞内で情報伝達が可能であることを見出している。
この結果は I
L21アイソフォーム産生 TH1や TH17細胞が、
周囲の細胞に影響することなく、自律的に機能出来ること
を示唆している。
今後 TH1や TH17細胞が引き起こす各種免疫疾患での I
L21や I
L21アイソフォームの機能解析を進め、免疫疾患の
発症要因の特定や治療法の開発につなげて行きたいと考え
ている。
Ne
xt
,wei
dent
i
f
i
edanoveli
s
of
or
m ofI
L21,I
L21i
s
o
i
n human and mous
e.I
L21i
s
omi
ghtbean al
t
er
nat
i
ve
s
pl
i
ci
ng var
i
ant f
or
m and t
he Ct
er
mi
nal r
egi
on of
pr
edi
ct
ed I
L21i
s
o ami
no aci
ds
equenceswer
edi
f
f
er
ent
f
r
om or
i
gi
nalI
L21.Howevert
hes
ecr
et
i
onef
f
i
ci
ency of
hI
L21i
s
oi
smuch l
owert
han t
hatofhI
L21,ourdat
a
s
ugges
tt
hatI
L21i
s
ocan i
nduces
i
gnal
i
ng even i
nt
he
cel
l
s
.
St
udi
esar
enow i
npr
ogr
es
st
odet
er
mi
net
hef
unct
i
on
ofI
L21and I
L21i
s
oi
n many i
mmunol
ogi
caldi
s
eas
es
caus
ed by TH1and TH17cel
l
s
.Ul
t
i
mat
el
y wehopeour
r
es
ear
chl
eadt
ot
hedevel
opmentofanew t
r
eat
menton
t
hecyt
oki
nes
i
gnal
i
ng.
【図】
により活性化された TH1細胞や TH17細胞の一部はそれぞれ I
樹状細胞(DC)
FN-γや I
L17と共に I
L21や I
L21アイソフォー
ムを産生する機能細胞となる。
Major Publications
1.
As
aoH,Ok
uy
amaC,Kumak
iK,I
s
hi
iN,Ts
uc
hi
y
aS,Fos
t
erD andSugamur
aK;Thec
ommonγc
hai
ni
sani
ndi
s
pens
abl
es
ubuni
t
oft
heI
L
21r
ec
ept
orc
ompl
ex
.
J
.
I
mmunol
.
167,15,2001.
2.
Kunz
mann S,Wohl
f
ahr
tJ
G,I
t
oh S,As
aoH,KomadaM,Ak
di
sCA,Bl
as
erKand Sc
hmi
dt
WeberCB;SARA and Hgsat
t
enuat
e
s
us
c
ept
i
bi
l
i
t
yt
oTGF-β1medi
at
edTc
el
ls
uppr
es
s
i
on.
FASEBJ
.
17,194202,2003.
3.
Ki
t
as
at
o Y,Hos
hi
no T,Ok
amot
o M,Kat
o S,KodaY,Nagat
aN,Ki
nos
hi
t
aM,KogaH,Yoon DY,As
ao H,Ohmot
o H,KogaT,
Ri
k
i
mar
uTandAi
z
awaH;Enhanc
edex
pr
es
s
i
onofI
L
18andi
t
sr
ec
ept
ori
ni
di
opat
hi
cpul
monar
yf
i
br
os
i
s
.Am JRes
pi
rCel
lMol
Bi
ol
.
6,619625,2004.
4.
Kobay
as
hiH,Tanak
aN,As
ao H,Mi
ur
aS,Ky
uumaM,Semur
aK,I
s
hi
iN,Sugamur
aK.
;Hr
s
,amammal
i
an mas
t
ermol
ec
ul
ei
n
ves
i
c
ul
art
r
ans
por
tand pr
ot
ei
ns
or
t
i
ng,s
uppr
es
s
est
hedegr
adat
i
on ofESCRTpr
ot
ei
nsSTAM1and STAM2.JBi
olChem.280,
1046810477,2005.
5.
Mi
z
uguc
hiM,Hi
guc
hiM,Fuj
i
iM,As
ao H and Nak
amur
aM;HTL
V1t
axi
nduc
esI
L
21and I
L
21Rgeneex
pr
es
s
i
on.AI
DSRes
.
Hum.
Ret
r
ov.
23,626626,2007.
6.
RahmanM,Nar
aH,OnodaT,Ar
ak
iA,L
iJ
.Hos
hi
noT.andAs
aoH;Cl
oni
ngandChar
ac
t
er
i
z
at
i
onofanI
s
of
or
m ofI
nt
er
l
euk
i
n21.
FEBSL
et
t
.
581,40014009,2007.
7.
OnodaT,RahmanM,Nar
aH,Ar
ak
iA,Mak
abeK,Ts
umot
oK,KumagaiI
,KudoT,I
s
hi
iN,Tanak
aN,Sugamur
aK,Hay
as
ak
aKand
As
aoH;HumanCD4+c
ent
r
alandef
f
ec
t
ormemor
yTc
el
l
spr
oduc
eI
L
21;Ef
f
ec
tonc
y
t
ok
i
nedr
i
venpr
ol
i
f
er
at
i
onofCD4+Tc
el
l
s
ubs
et
s
.
I
nt
.
I
mmunol
.
19,11911199,2007.
59
2 研究概要
生体機能における脂質性二次メッセンジャー代謝酵素の機能的役割の
解析と地域特性を生かした分子疫学研究
FUNCTI
ONALI
MPLI
CATI
ONSOFTHEDI
ACYLGLYCEROLKI
NASEFAMI
LY
山形大学医学部情報構造統御学講座
組織細胞生物学分野
後藤 薫
教授 Kaor
uGot
o
Emai
l
:kgot
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
l
e
昭和 38年 山形県天童市生まれ
昭和 62年 山形大学医学部卒業
卒業後一貫して基礎研究に従事し、現在は脂質代謝機
構と様々な病態に興味を持つ。
平成 9年より現職
研究概要
生体膜は、種々の蛋白分子を含有する脂質二重層から構
成されており、細胞内外あるいは細胞内の各コンパートメ
ントを境界するバリアーとして働くのみならず、情報の変
換部位としても重要な役割を果している。近年、細胞膜脂
質の主要構成成分であるリン脂質が、情報伝達系に深く関
与していることが明らかになってきた。我々は、この生体
膜の微量成分であるイノシトールリン脂質の分解産物であ
る脂質性二次伝達物質ジアシルグリセロール (
DG)のリン
酸化酵素 DGキナーゼ (
DGK)に注目し研究を行っている。
とりわけ、外界ならびに個体内の情報を収集・統合し、生
命維持および環境適応を担当する生体情報中枢が脳である。
この情報中枢の基本単位をなすものが神経細胞であり、遺
伝子の転写・翻訳や蛋白質の機能発現を介して神経情報伝
達機構が制御される。我々はこれまで、ラットから5種の
DGKア イ ソ ザ イ ム (α ,-β ,-γ ,-ζ ,-ι )を 単 離 し、
その分子多様性を明らかにしてきた。
我々は近年、DGK アイソザイムの蛋白レベルでの解析を
進めており、遺伝子導入細胞および特異抗体を用いた形態
学的解析を中心として各アイソザイムの神経系における機
能解析を行っている。その結果、これらアイソザイムは各々
細胞レベルにおいても特徴的な細胞内局在を示すことが明
らかとなってきた。
1)神経細胞における DGK βの役割:培養神経細胞へ
の DGK遺伝子導入実験により、DGKアイソザイムのうち、
DGKβ(ベータ)が海馬ニューロン樹状突起の棘突起に局
在することが明らかとなった。脳内において DGK βの
mRNAが主要なドーパミン投射領域である線条体に発現
することからドーパミン受容の情報伝達機構との関連が示
唆される。さらに、イタリアの研究グループとの共同研究
により、ヒト DGK βが躁鬱(そううつ)病において発現
変化を示す遺伝子の一つである可能性も報告されている。
我々は近年、DGK βの微細局在について電子顕微鏡的解析
を行っており、このアイソザイムがシナプス後部に局在し、
棘突起形成を促進させることを明らかにした。
2)細胞周期における DGK ζの機能的役割:DGK ζ
(ゼータ)は核移行シグナルを有し、種々の生体細胞内にお
いて核内に斑点状構造物として認められる。我々は、核内
における DGK ζの機能的役割を追求する目的で、NI
H3T3
培養細胞および生体内の増殖系細胞である精巣の生殖細胞
において、細胞周期各ステージでの細胞内局在を免疫細胞 /
組織化学的に解析した。
60
Research Summary
Ext
r
acel
l
ul
ar s
i
gnal
s
,s
uch as gr
owt
hf
act
or
s and
neur
ot
r
ans
mi
t
t
er
s
,t
r
i
ggercas
cadesofmol
ecul
archanges
att
he pl
as
ma membr
ane,and many oft
hem evoke a
t
r
ans
i
ent i
ncr
eas
ei
nl
evel
s ofcel
l
ul
ar di
acyl
gl
ycer
ol
(
DG)t
hr
ough hydr
ol
ys
i
sofphos
phat
i
dyli
nos
i
t
ol4,5i
s
e
bi
s
phos
phat
ebyphos
phol
i
pas
eC (
PLC)
. Thi
sr
api
dr
i
ncel
l
ul
arDG s
er
vesasanal
l
os
t
er
i
cact
i
vat
orofpr
ot
ei
n
ki
nas
eC(
PKC)
,whi
chmedi
at
esmanycel
l
ul
arr
es
pons
es
t
hr
oughphos
phor
yl
at
i
onoft
ar
getpr
ot
ei
ns
.
Di
acyl
gl
ycer
ol ki
nas
e (
DGK)
, whi
ch cat
al
yzes
phos
phor
yl
at
i
on ofDG t
o phos
phat
i
di
c aci
d(
PA)
,i
s
t
houghtt
o be a key enzyme i
nt
he r
egul
at
i
on ofDG
l
evel
sand,asar
es
ul
t
,t
ober
es
pons
i
bl
ef
orat
t
enuat
i
ng
t
heact
i
vat
i
onofPKC. Fur
t
her
mor
e,PA,t
hepr
oductof
DGK,i
sal
s
oi
mpl
i
cat
ed asa l
i
pi
ds
econd mes
s
enger
,
whi
ch hasbeen r
epor
t
ed t
or
egul
at
ea gr
owi
ng l
i
s
tof
s
i
gnal
i
ngpr
ot
ei
ns
. Thus
,DGK i
st
houghtt
obeoneof
t
hekey enzymescl
os
el
yi
nvol
vedi
nt
hel
i
pi
dmedi
at
ed
cel
l
ul
ars
i
gnal
i
ngevent
s
.
We and ot
her
shave s
hown t
hatDGK cons
i
s
t
sofa
f
ami
l
y oft
he i
s
ozymes
.I
n mammal
s
,t
her
e ar
e ni
ne
DGK i
s
ozymes s
o f
ar cl
oned, and t
hey cont
ai
n
cons
er
ved r
egi
onsi
ncl
udi
ng a cat
al
yt
i
c domai
n and a
s
er
i
esofmot
i
f
st
hatmedi
at
e mol
ecul
ari
nt
er
act
i
onsi
n
s
i
gnal
l
i
ng machi
ner
y. Subs
equent anal
ys
es have
r
eveal
ed t
hat t
he DGK f
ami
l
y s
hows r
emar
kabl
e
het
er
ogenei
t
yi
nt
er
ms of enzymat
i
c act
i
vi
t
y,t
i
s
s
ue
di
s
t
r
i
but
i
on,and mRNA expr
es
s
i
on. Fur
t
her
mor
e,i
ti
s
becomi
ngcl
eart
hatdi
f
f
er
enti
s
ozymess
how di
f
f
er
ent
i
al
s
ubcel
l
ul
ar l
ocal
i
zat
i
on, s
ugges
t
i
ng t
hat i
ndi
vi
dual
member
s of t
hi
s f
ami
l
y ar
e t
ar
get
ed t
o di
s
t
i
nct
compar
t
ment
si
ncl
udi
ng pl
as
ma membr
ane, i
nt
er
nal
membr
anes
,cyt
os
kel
et
on,andevent
henucl
earmat
r
i
x.
Gi
vent
hei
mpor
t
anceofDGK act
i
vi
t
yi
nr
egul
at
i
ngt
he
DG and PA s
i
gnal
s
,i
ti
shi
ghl
y pl
aus
i
bl
et
hatt
heDG
andPA s
i
gnal
sgener
at
edatvar
i
ouss
ubcel
l
ul
ars
i
t
esar
e
cont
r
ol
l
edbyuni
quei
s
ozymeswi
t
hl
i
t
t
l
er
edundancy.
研究代表者:後藤 薫 (山形大学医学部組織細胞生物学分野教授)kgot
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究分担者:八月朔日泰和(同 助教)yahodumi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
その結果、DGKζは培養細胞および生体内の増殖細胞において、細胞周期間期では分散クロマチン領域に一致する局在を
示すが、分裂期クロマチンの凝集化に伴ってクロマチン領域から解離することが明らかになった。また生殖細胞において
は、濃縮したヘテロクロマチンの形成とともに DGKζの発現が消失することを見出した。これらのデータは、DGKζの
細胞内 /核内局在および発現調節がクロマチンの活動状態と密接に関連する可能性を示唆すると考えられる。
Major Publications
1. Got
oK,Hoz
umiY,Nak
anoT,Sai
noSS,KondoH.Cel
l
ul
arbi
ol
ogyandpat
hophy
s
i
ol
ogyofdi
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ef
ami
l
y
,an
enz
y
mer
es
pons
i
bl
ef
orl
i
pi
ds
ec
ondmes
s
engermet
abol
i
s
m:mor
phol
ogi
c
alas
pec
t
si
nt
i
s
s
uesandor
gans
.(
2007)I
ntRevCy
t
ol
.
264:
2563.
2. Evangel
i
s
t
iC,Taz
z
ar
iPL
,Ri
c
c
i
oM,Fi
umeR,Hoz
umiY,Fal
aF,Got
oK,Manz
ol
iL
,Coc
c
oL
,Mar
t
el
l
iAM.Nuc
l
eardi
ac
y
l
gl
y
c
er
ol
k
i
nas
ez
et
ai
sanegat
i
ver
egul
at
orofc
el
lc
y
c
l
epr
ogr
es
s
i
oni
nC2C12mous
emy
obl
as
t
s
.
(
2007)FASEBJ
.
21:
32973307.
3. Kobay
as
hiN,Hoz
umiY,I
t
oT,Hos
oy
aT,KondoH,Got
oK.Di
f
f
er
ent
i
als
ubc
el
l
ul
art
ar
get
i
ngofdi
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ei
s
oz
y
mes
i
nt
r
ans
f
ec
t
edc
el
l
sandt
heac
t
i
vi
t
y
dependents
ubc
el
l
ul
arl
oc
al
i
z
at
i
on.
(
2007)EurJCel
lBi
ol
.
86:
433444.
4. Evangel
i
s
t
iC,Ri
c
c
i
oM,Faenz
aI
,Zi
niN,Hoz
umiY,Got
oK,Coc
c
oL
,Mar
t
el
l
iAM.Subnuc
l
earl
oc
al
i
z
at
i
onanddi
f
f
er
ent
i
at
i
ondependenti
nc
r
eas
edex
pr
es
s
i
onofDGKz
et
ai
nC2C12mous
emy
obl
as
t
s
.
(
2006)J
.
Cel
lPhy
s
i
ol
.
209:
370378.
5. Sas
ak
iH,Hoz
umiY,Has
egawa H,I
t
o T,Tak
agiM,Ogi
no T,Wat
anabe M,Got
o K.Gene ex
pr
es
s
i
on and l
oc
al
i
z
at
i
on of
di
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ei
s
oz
y
mesi
nt
her
ats
pi
nalc
or
danddor
s
alr
ootgangl
i
a.
(
2006)Cel
lTi
s
s
ueRes
.
326:
3542.
6. Got
o K,Hoz
umiY,Kondo H.Di
ac
y
l
gl
y
c
er
ol
,phos
phat
i
di
cac
i
d,and t
he c
onver
t
i
ng enz
y
me,di
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
e,i
nt
he
nuc
l
eus
.(
2006)Bi
oc
hi
m Bi
ophy
sAc
t
a1761:
535541.
7. Nak
anoT,Hoz
umiY,Al
iH,Sai
noSai
t
oS,Kami
iH,Sat
oS,Kay
amaT,Wat
anabeM,KondoH,Got
oK.Di
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ez
et
a
i
si
nvol
vedi
nt
hepr
oc
es
sofc
er
ebr
ali
nf
ar
c
t
i
on.
(
2006)Eur
.
J
.
Neur
os
c
i
.
23:
142735.
8. Ar
i
mot
oT,Tak
ei
s
hiY,Tak
ahas
hiH,Shi
s
hi
doT,Ni
i
z
ek
iT,Koy
amaY,Shi
gaR,Noz
ak
iN,Nak
aj
i
maO,Ni
s
hi
mar
uK,AbeJ
,Endo
M,Wal
s
h RA,Got
o K,Kubot
aI
. Car
di
ac
s
pec
i
f
i
cover
ex
pr
es
s
i
on ofdi
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ez
et
apr
event
sGq pr
ot
ei
nc
oupl
ed
r
ec
ept
oragoni
s
t
i
nduc
edc
ar
di
achy
per
t
r
ophyi
nt
r
ans
geni
cmi
c
e.
(
2006)Ci
r
c
ul
at
i
on,113:
606.
9. Toy
aM,Hoz
umiY,I
t
oT,Tak
edaM,Sak
aneF,Kanoh H,Sai
t
oH,Hi
r
oiM,Kur
ac
hiH,KondoH,Got
oK. GeneEx
pr
es
s
i
on,
Cel
l
ul
arl
oc
al
i
z
at
i
onandEnz
y
mat
i
cAc
t
i
vi
t
yofDi
ac
y
l
gl
y
c
er
olKi
nas
eI
s
oz
y
mesi
nRatOvar
yandPl
ac
ent
a.(
2005)Cel
lTi
s
s
ueRes
.
320:
52533.
10.Kat
agi
r
iY,I
t
o T,Sai
noSai
t
o S,Hoz
umiY,SuwabeA,Ot
ak
eK,Sat
aM,Kondo H,Sak
aneF,Kanoh H,Kubot
aI
,Got
o K.
Ex
pr
es
s
i
onandl
oc
al
i
z
at
i
onofdi
ay
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ei
s
oz
y
mesandenz
y
mat
i
cf
eat
ur
esi
nr
atl
ung.(
2005)Am.J
.Phy
s
i
ol
.L
ungCel
l
Mol
.
Phy
s
i
ol
.
288:
L
11718.
61
2 研究概要
疾患の分子細胞学的病態機序の解明
Cr
i
t
i
calr
ol
ef
ormi
t
ochondr
i
aloxi
dat
i
vephos
phor
yl
at
i
oni
nt
heact
i
vat
i
onoft
umors
uppr
es
s
or
s
BaxandBak
Pr
of
i
l
e
山形大学医学部器官機能統御学講座
腫瘍分子医科学分野
北中 千史
教授 Chi
f
umiKi
t
anaka
Emai
l
:cki
t
anak@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究概要
昭和 62年 東京大学医学部卒業
昭和 62年~平成 5年 東京大学脳神経外科
(日本脳神経外科学会専門医)
平成 5年 国立がんセンター研究所生物物理部研究員
平成 9年 同 室長
平成 16年より現職
Research Summary
Backgr
ound:Act
i
vat
i
on ofBax and Bak,whi
ch actt
o
p
e
r
me
a
b
i
l
i
z
e
t
h
e
mi
t
o
c
h
o
n
d
r
i
a
l
me
mb
r
a
n
e
,
i
s
a
n
糖を代謝し、エネルギー(
ATP)を産生する。一方、酸素が
nt
he cel
ldeat
hr
es
pons
e and t
her
ef
or
e
es
s
ent
i
als
t
ep i
ない状態でも細胞はブドウ糖からエネルギーを取り出す
pl
aysan i
mpor
t
antr
ol
ei
nt
umor
i
genes
i
s
.However
,t
he
(=嫌気的解糖)ことが可能であるが、その効率は酸素を利
ms t
hatr
egul
at
et
hei
r act
i
vat
i
on ar
e poor
l
y
mechani
s
用した場合(=酸素呼吸)と比べ約 20分の 1となる。今
under
s
t
ood.
から約 80年前、ノーベル生理学・医学賞を受賞したワー
Met
hods
:BaxandBakact
i
vat
i
on(
conf
or
mat
i
onalchange
ルブルグ博士は、がん細胞が酸素を利用できる状態でも酸
and di
mer
i
zat
i
on)wer
emoni
t
or
ed i
ns
ever
alcel
ldeat
h
model
s
.Thes
ei
ncl
uded Rat
1f
i
br
obl
as
t
s and human
素を使わないでエネルギー産生を行う性質をもっているこ
cancercel
l
ss
ubj
ect
ed t
o endopl
as
mi
cr
et
i
cul
um s
t
r
es
s
,
と(図2)を発見し、このがん細胞に特徴的なエネルギー
α
D
N
A
d
a
ma
g
e
,
o
r
t
u
mo
r
n
e
c
r
o
s
i
s
f
a
c
t
o
r
(
T
N
F
)
代謝(=ワールブルグ効果)ががんの発生に重要であると
t
r
eat
ment
. Phar
macol
ogi
cal i
nhi
bi
t
or
s of r
eact
i
ve
する説を唱えた。
「ワールブルグ効果」は、現在がん検診で
oxygen s
peci
es pr
oduct
i
on,el
ect
r
on t
r
ans
por
ti
nt
he
非常に注目されている PET検査の原理となっている重要
pi
r
at
or
y chai
n, oxi
dat
i
ve phos
phor
yl
at
i
on, and
r
es
ながんの特徴であるが、なぜ増殖に多量のエネルギーを必
appr
opr
i
at
e cont
r
ol
s wer
e us
ed t
oi
dent
i
f
y pot
ent
i
al
i
vat
i
on and t
hecel
l
modesby whi
ch Bax and Bak act
要とするがん細胞があえて効率の悪いエネルギー産生を行
deat
hr
es
pons
ear
econt
r
ol
l
ed.Theol
i
gomer
i
zat
i
ons
t
at
e
うのかは謎とされてきた。
er
mi
ned by cr
os
s
l
i
nki
ng and
ofBax and Bak wasdet
これに対して私達は、細胞に自殺をひきおこす際に鍵と
s
ubs
equent i
mmunobl
ot anal
ys
i
s
;Bax conf
or
mat
i
onal
なる Bax、Bakという二つの分子に着目し、エネルギー産
mmunopr
eci
pi
t
at
i
on and
change was anal
yzed by i
生に酸素を使う状態と使わない状態でこれらの分子の働き
i
mmunobl
ot
t
i
ngwi
t
hanant
i
bodys
peci
f
i
cf
ort
heact
i
ve
を調べた。Bax,Bakはミトコンドリアの膜に存在し、普段
uat
ed by dye
conf
or
mat
i
on. Cel
l deat
h was eval
は不活性状態にあるが(図1)、細胞内に「自殺シグナル」
(図
excl
us
i
on.
Res
ul
t
s
:I
n bot
hf
i
br
obl
as
t
s and human cancer cel
l
s
2、紫色の折れ線矢印)が生じると活性化してミトコンド
i
n
h
i
b
i
t
i
o
n
o
f
o
x
i
d
a
t
i
v
e
s
u
b
j
e
c
t
e
d
t
o
c
e
l
l
d
e
a
t
h
s
t
i
mu
l
i
,
リアに「穴」を開け、ミトコンドリアに隔離されていた
phos
phor
yl
at
i
on by us
e ofant
i
myci
n A orol
i
gomyci
n
「毒」を細胞内にまきちらして細胞の自殺を引き起こす(図
um s
t
r
es
s
,DNA damage,
pr
event
edendopl
as
mi
cr
et
i
cul
2)
。ところが、実験の結果、エネルギー産生に酸素を使わ
and TNFαi
nduced Bax and Bak act
i
vat
i
on and cel
l
ない状態では両方の分子の働きが抑えられ、細胞の自殺も
deat
h(
UVi
nducedRat
1cel
ldeat
hat15hour
s
:cont
r
ol
,
おきなくなることが明らかになった(図3)。
6%,95% conf
i
dencei
nt
er
val[
CI
]=18.
8% t
o
mean =33.
48.
4%;ant
i
myci
n A,mean = 10.
0.
%,95%CI= 0% t
o
正常な細胞ではがんの発生を未然に防ぐため、細胞内に
n,mean = 13.
1%,95%CI= 5.
7% t
o
21.
7%;ol
i
gomyci
がんを引きおこすような種々の「異常」が生じると自殺の
20.
5%; t
uni
camyci
ni
nduced MCF7cel
l deat
h at 9
スイッチが入ることが知られている(図2)。一方、多くの
6% t
o36.
8%;
hour
s
:cont
r
ol
,mean =29.
2%,95%CI=21.
「異常」を細胞内に抱えながら生きているがん細胞にとって
ant
i
myci
nA,15.
3%,95%CI=0.
8% t
o29.
8%;ol
i
gomyci
n,
は、細胞自殺を回避することが何にもまして重要なことと
i
nduced
mean =11.
5%,95%CI=3.
9% t
o19.
1%;TNFαなる。これに対して、Bax,Bakは細胞が自殺するかしない
MCF7cel
ldeat
h at6hour
s
:cont
r
ol
,mean = 24.
0%,
95%CI= 12.
6% t
o 35.
4%,ant
i
myci
n A,mean = 8.
9%,
かを最終決定するマスタースイッチとして働いていること
95%CI= 3.
9% t
o 13.
9%,ol
i
gomyci
n,mean = 13.
3%,
から、この2つのマスタースイッチをオフにできれば、がん
95%CI= 10.
4% t
o 16.
2%)
.I
ncr
eas
i
ng and decr
eas
i
ng
細胞が自殺を回避するうえで非常に有利になる。従って、が
c ATP pr
oduct
i
on,by addi
ng gl
ucos
e and 2gl
ycol
yt
i
ん細胞が酸素を利用せず一見無駄なエネルギー産生してい
deoxyDgl
ucos
e t
o t
he cel
l gr
owt
h medi
um,
るのは、自殺のマスタースイッチをオフにしつつ必要なエ
s
eand r
ecapi
t
ul
at
et
heef
f
ect
r
es
pect
i
vel
y,di
d notr
ever
ネルギーを確保するという非常に理にかなったサバイバル
ofcompr
omi
s
ed oxi
dat
i
vephos
phor
yl
at
i
on on Bax and
戦略であることが私達の研究から理解できるようになった。 Bakac
t
i
vat
i
on.
細胞は通常ミトコンドリアで酸素を利用しながらブドウ
62
研 究 組 織:山形大学医学部器官機能統御学講座腫瘍分子医科学分野
研究代表者:北中 千史(教授)
研究分担者:富山 新太(助教)
立花 研(助教)
また、放射線や化学療法によるがん細胞の殺傷効果は、多
くの場合細胞自殺の誘導に依存している。従ってワールブ
ルグ効果により Bax,Bakが働かなくなった状態ではがん
細胞は治療に抵抗性になっていると考えられ、逆にがん細
胞の代謝状態を「酸素を利用しない」状態から「酸素を利
用する」状態へとシフトすることができれば、治療抵抗性
の難治がんも治療反応性のがんに変えられる可能性が見え
てきた。今後はこのような新たなコンセプトに基づき、新
規がん治療法の開発を目指したいと考えている。
図1
Concl
us
i
on: Oxi
dat
i
ve phos
phor
yl
at
i
on i
s commonl
y
r
equi
r
edf
ort
heact
i
vat
i
onofBaxandBakandcel
ldeat
h
t
r
i
gger
ed by di
s
par
at
e deat
hs
t
i
mul
i
.The r
el
i
ance of
dat
i
ve
t
umor cel
l
s on gl
ycol
ys
i
si
n pr
ef
er
ence t
o oxi
phos
phor
yl
at
i
on even under nor
moxi
c condi
t
i
ons
(
War
bur
gef
f
ect
)may t
her
ef
or
ebeapot
ent
i
almeansby
whi
cht
hes
ecel
l
sevadepr
ogr
ammedcel
ldeat
h
図2
図3
Major Publications
Tomi
y
amaA,Ser
i
z
awaS,Tac
hi
banaK,Sak
ur
adaK,Samej
i
maH,Kuc
hi
noY,Ki
t
anak
aC.Cr
i
t
i
c
alr
ol
ef
ormi
t
oc
hondr
i
alox
i
dat
i
ve
phos
phor
y
l
at
i
on i
nt
he ac
t
i
vat
i
on oft
umors
uppr
es
s
or
sBaxand Bak
.JNat
lCanc
erI
ns
t98:
14621473,2006(
Sel
ec
t
ed asa
“Res
ear
c
hHi
ghl
i
ght
”i
nNat
ur
eRevi
ewsCanc
erVol
.
6,p.
905)
63
2 研究概要
「地域特性を生かした分子疫学研究」
画像診断および解析 MRI
を用いた
脳病態の解明
El
uci
dat
i
onofmechani
s
msofcer
ebr
aldi
s
eas
esus
i
ngMRI
山形大学医学部環境病態統御学講座
映像解析制御学分野
細矢 貴亮
教授 TakaakiHosoya
Emai
l
:t
hos
oya@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Pr
of
i
l
e
昭和 29年 北海道札幌市生まれ
本籍、山形県新庄市
昭和 53年 順天堂大学医学部卒業
昭和 56年 山形大学
平成 12年 現職
研究概要
Research Summary
CTや MRIといった画像診断機器の発達に伴い、脳
Ce
r
ebr
aldi
s
eas
e can be eas
i
l
y di
agnos
ed wi
t
h
の病態は臨床的に極めて容易に把握できるようになっ
devel
opmentofdi
agnos
t
i
ci
magi
ng appar
at
us
,s
uch
てきた。同時に、脳の病態解明も飛躍的に進歩してい
.Si
mul
t
aneous
l
y,mechani
s
ms of
as CT and MRI
る。 我々は、
MRIで脳の微細構造を 3次元的に描出す
cer
ebr
aldi
s
eas
esar
eel
uci
dat
ed.Wedevel
opedMRI
る技術や脳の白質線維の走行を解析する技術を開発し、 t
ngcer
ebr
als
t
r
uct
ur
epr
eci
s
el
yi
n
echnol
ogydes
cr
i
bi
脳神経や脳血管、脳の深部構造の微細な変化を画像的
t
hr
eedi
mens
i
onsandt
het
echnol
ogyofanal
yzi
nga
に捉えることに成功した。
e mat
t
er pat
hway, and
r
un of cer
ebr
al whi
t
「地域特性を生かした分子疫学研究」においては、 s
ucceededi
ncat
chi
ngpr
eci
s
eabnor
mal
i
t
yofcr
ani
al
検診における画像評価を担当しており、すでにいくつ
かの成果が公表されている
1)
5)
。また、椎骨脳底動脈解
t
r
uct
ur
es of
ner
ves
,ves
s
el s
t
r
uct
ur
es
,and deep s
br
ai
n.
離のスクリーニング法として bas
i
par
al
l
elanat
omi
cal I
n"
Mol
ecl
arEpi
demi
ol
ogi
calSt
udy ut
i
l
i
zi
ng t
he
s
canni
ng(
BPAS)を開発した 3)。本法は、従来観察で
Regi
onal Char
act
er
i
s
t
i
cs
,
" we have s
t
udi
ed
きなかった脳動脈の外観を簡便に表示する方法で、椎
uat
i
on i
n amedi
calcheckup,s
ome
r
adi
ol
ogi
caleval
骨脳底動脈解離のスクリーニングだけでなく、確定診
1)
5)
wer
eal
r
eady publ
i
s
hed.Al
s
o,we
oft
hei
rr
es
ul
t
s
断法としても期待されている。現在、臨床的評価につ
havedevel
opedabas
i
par
al
l
elanat
omi
cals
canni
ng3)
いての成果を国内外の学会で公表中である。本法は、 (
BPAS)asa s
cr
eeni
ng met
hod f
orver
t
ebr
obas
i
l
ar
厚生労働省の班研究(循環器病研究委託費 12指- 1
ar
t
er
y di
s
s
ect
i
on. Thi
si
sa s
i
mpl
e met
hod of
「若年世代の脳卒中の診断、治療、予防戦略に関する全
ur
f
aceappear
anceoft
hei
nt
r
acr
ani
al
di
s
pl
ayi
ngt
hes
国多施設共同研究」主任研究者 峰松一夫)に画像診
ver
t
ebr
aland bas
i
l
arar
t
er
y,whi
ch has notbeen
断法として採択され、臨床的有用性を検証中である。
ved by s
cr
eeni
ng MRI
.Now,i
ti
s
abl
et
o beobs
er
expect
ed not onl
y as a s
cr
eeni
ng met
hod f
or
i
r
medver
t
ebr
obas
i
l
arar
t
er
ydi
s
s
ect
i
onbutasaconf
di
agnos
i
smet
hod.Now,ourr
es
ul
t
saboutcl
i
ni
cal
eval
uat
i
on havebeen underof
f
i
ci
alannouncement
at s
ome s
oci
et
i
es i
n and out
s
i
de t
he count
r
y.
Mor
eover
,BPAS hasbeen adopt
ed asadi
agnos
t
i
c
oupr
es
ear
choft
heMi
ni
s
t
r
yofHeal
t
h,
met
hodbygr
LabourandWel
f
ar
e(
chi
efr
es
ear
cher
:Mi
nemat
s
uK)
,
calus
ef
ul
nes
si
sunderver
i
f
i
cat
i
on.
andcl
i
ni
64
研究代表者:細矢 貴亮(山形大学医学部映像解析制御学分野教授)Emai
l
:t
hos
oya@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
研究分担者:駒谷 昭夫(山形大学医学部附属病院放射線診断科講師)Emai
l
:akomat
an@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
小田 敦子(山形大学医学部映像解析制御学分野助教)Emai
l
:a.
oda@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
鹿戸 将史(山形大学医学部附属病院放射線診断科助教)Emai
l
:mkanot
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
Bas
i
par
al
l
elanat
omi
cs
canni
ng(
BPAS)で、右椎骨動脈遠位端、脳底動脈近位部に拡張を認める(矢印)。
MRangi
ogr
aphy(
MRA)で、同部は拡張と狭窄を示し、拡張部には濃淡の二重信号が認められる。椎骨脳
底動脈解離の所見である。
Major Publications
1) Nagas
awaH,WadaM,Ar
awak
aS,KawanamiT,Kur
i
t
aK,Dai
mon M,Adac
hiM,Hos
oy
aT,EmiM,Mur
amat
sM,Kat
o T:A
pol
y
mor
phi
s
m oft
heal
dehy
dedehy
dr
ogenas
e2genei
sar
i
s
kf
ac
t
orf
oemul
t
i
pl
el
ac
unari
nf
ar
c
t
si
nJ
apanes
emen;Tak
ahat
a
s
t
udy
.
Eur
opeanJofNeur
ol
ogy14;
428434(
2007)
2) Adac
hiM,KawanamiT,Ohs
hi
ma H,Hos
oy
a T:Char
ac
t
er
i
s
t
i
cs
i
gnalc
hangesi
nt
he pont
i
ne bas
e on T2and mul
t
i
s
hot
di
f
f
us
i
onwei
ght
edi
magesi
ns
pi
noc
er
ebel
l
arat
ax
i
at
y
pe1.
Neur
or
adi
ol
ogy48(
1)
:
813(
2006)
3) Nagahat
a M,Abe Y,Ono S,Hos
oy
a T,Uno S:Sur
f
ac
e appear
anc
e oft
he ver
t
ebr
obas
i
l
arar
t
er
yr
eveal
ed an bas
i
par
al
l
el
anat
omi
cs
c
anni
ng(
BPAS)-MRi
magi
ng:
i
t
sr
ol
ef
orbr
ai
nMRex
ami
nat
i
on.
AJ
NRAm JNeur
or
ai
ol26,25082513(
2005)
4) Komat
aniA,SugaiY,Hos
oy
aT:Devel
opmentof“s
uperr
api
ddy
nami
cSPECT,
” andanal
y
s
i
sofr
et
ent
i
onpr
oc
es
sof99mTc
ECDi
ni
s
c
hemi
cl
es
i
ons
:
Compar
at
i
ves
t
udywi
t
h133XeSPECT.
Annal
sofNuc
l
earMedi
c
i
ne18(
6)
,
489494(
2004)
5) Kameda W,KawanamiT,Kur
i
t
a K,Dai
mon M,Kay
ama T,Hos
oy
a T,Kat
o T:L
at
er
aland medi
almedul
l
ar
yi
nf
ar
c
t
i
on,a
c
ompar
at
i
veanal
y
s
i
sof214pat
i
ent
s
.
St
r
ok
e35,
694699(
2004)
65
2 研究概要
遺伝子改変マウスを利用した病態モデルの確立と生体内遺伝子発現解析
Es
t
abl
i
s
hmentofdi
s
eas
e model
s and anal
ys
i
s on i
n vi
vo gene expr
es
s
i
on us
i
ng genemani
pul
at
edmi
ce
Pr
of
i
l
e
山形大学遺伝子実験施設
中島 修
准教授 Osamu Nkaj
i
ma
Emai
l
:nakaj
i
ma@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p
平成 4年 東京大学薬学部卒業
平成9年~ 同大学大学院医学系研究科博士課程修了
筑波大学先端学際領域研究センター施設研究員、
同センター・基礎医学系助手を経て
平成 12年より、現職
研究概要
Research Summary
For t
he cl
ar
i
f
i
cat
i
on of i
nvol
vement
s i
n
p
a
t
h
o
g
e
n
e
s
i
s
o
f
s
e
v
e
r
a
l
g
e
n
e
s
,
we
h
a
d
g
e
n
e
r
a
t
e
d
学解析の成果に基づき,候補遺伝子の疾患への関与を
s
ever
al t
r
ans
geni
c mi
ce and anal
yzed t
hei
r
検証するため,トランスジェニックマウス等を作製し,
phenot
ypes
, col
l
abor
at
i
ng wi
t
h r
es
ear
cher
s i
n
その表現型の解明を行ってきた。以下に,我々が中心 Yamagat
aUni
ver
s
i
t
ySchoolofMedi
ci
ne.
に行ってきたプロジェクトの成果について報告する。 I
nt
hi
s COE pr
oj
ect
,our gr
oup had es
t
abl
i
s
hed
s
ever
aldi
s
eas
e model
s and i
nves
t
i
gat
ed i
n vi
vo
g
e
n
e
e
x
p
r
e
s
s
i
o
n
s
b
y
me
a
n
s
o
f
g
e
n
e
ma
n
i
p
u
l
a
t
ed
1 環状鉄芽球形成モデルの確立
mi
ce.
我々は,
山形大学医学部の研究者と連携して,
分子疫
環状鉄芽球とは,ミトコンドリアに鉄が異常蓄積し
た病的な赤芽球であり,X染色体連鎖型鉄芽球貧血
(
XLSA)などの患者骨髄中に認められる。XLSA原因遺
For
mat
i
on
伝子である ALAS2遺伝子破壊マウ
Ri
ng s
i
der
obl
as
t
s ar
e pat
hol
ogi
caler
yt
hr
obl
as
t
s
スにおいて環状鉄芽球が認められな
かったことから,トランスジェニッ
クマウスを用いた部分レスキュー法
により,XLSA患者と同様に ALAS2
の部分欠損状態にすることで,遺伝
子改変マウスを用いて,初めて,環
状鉄芽球形成モデルを確立した(図
1)。
図1 胎児血中で
形成された環
状鉄芽球
2 ポルフィリン症モデルの確立
ヘム生合成系初発酵素である 5-アミノレブリン酸
合成酵素(ALAS2)およびヘム分解酵素であるヘムオ
キシゲナーゼ1 (HO1)の全身性過剰発現トランス
ジェニックマウスの解析から,これらのマウスが,そ
れぞれ,多様性ポルフィリン症,および晩発性皮膚ポ
ルフィリン症を発症することを明らかにした。これま
で,ヘム生合成系酵素の欠損症として報告されてきた
ポルフィリン症が,新しいタイプの分子基盤で発症す
る可能性を示唆した。また,HO1トランスジェニッ
クマウスでは,ポルフィリン症発症が肝臓への鉄過剰
が主な原因であることを示し,HO1の生理機能の新
たな側面を見出した。
66
1Es
t
abl
i
s
hmentofa Modelf
or Ri
ng Si
der
obl
as
t
wi
t
h i
r
onover
l
oaded mi
t
ochondr
i
a, and one of
cl
i
ni
calhal
l
mar
ksi
n Xl
i
nked s
i
der
obl
as
t
i
canemi
a
(
XLSA)
, caus
ed by ALAS2def
i
ci
ency. No r
i
ng
s
i
der
obl
as
twer
ef
ound i
n ALAS2knockoutmi
ce.
Then,t
ogi
ver
i
s
et
opar
t
i
aldef
i
ci
encyofALAS2i
n
mi
ce l
i
ke mos
t XLSA pat
i
ent
s
,we per
f
or
med a
par
t
i
alcompl
ement
at
i
onbyALAS2t
r
ans
geni
cmi
ce
and f
ound r
i
ng s
i
der
obl
as
tf
or
mat
i
on i
n par
t
i
al
l
y
r
es
cuedALAS2knockoutmi
ce.
2 Por
phyr
i
a model
s gener
at
ed by i
n vi
vo
over
expr
es
s
i
on ofheme bi
os
ynt
het
i
c or cat
abol
i
c
enzymegene
Wege
ner
at
edl
i
nesoft
r
ans
geni
cmi
ceubi
qui
t
ous
l
y
over
expr
es
s
i
ng ALAS2,t
he f
i
r
s
themebi
os
ynt
het
i
c
enzyme,or HO1,heme degr
adi
ng enzyme and
cl
ar
i
f
i
edt
hatt
heALAS2-andHO1t
r
ans
geni
cmi
ce
wer
e af
f
ect
ed by var
i
egat
e por
phyr
i
a orpor
phyr
i
a
cut
aneat
ar
da,r
es
pect
i
vel
y.Becaus
epor
phyr
i
asar
e
known asheme met
abol
i
c der
angement
sr
es
ul
t
i
ng
f
r
om def
i
ci
ency ofany heme bi
os
ynt
het
i
cenzyme
except5ami
nol
evul
i
ni
caci
ds
ynt
has
e(
ALAS)
,t
hi
s
s
t
udy pr
ovi
des a new i
ns
i
ghti
nt
ot
he mol
ecul
ar
mechani
s
msunder
l
yi
ng por
phyr
i
amani
f
es
t
at
i
on.I
n
addi
t
i
on,weal
s
odi
s
cover
edanew as
pectofHO1
phys
i
ol
ogi
cal f
unct
i
on s
i
nce t
he HO1t
r
ans
geni
c
mi
ces
howedhepat
i
ci
r
onover
l
oad.
研究代表者:中島 修
研究協力者:岡野 聡(山形大学遺伝子実験施設助教 s
okano@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p)
富樫 義之(山形大学遺伝子実験施設技術職員 yt
ogas
hi
@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p)
周 凌云(山形大学大学院医学系研究科生命環境医科学専攻博士課程後期大学院生 z
houl
i
ng@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p)
清水 和弘( 同 kaz
uhi
r
o@med.
i
d.
yamagat
au.
ac.
j
p)
3 ヘム生合成・分解酵素遺伝子の生体内発現制御解析
3 Anal
ys
es on i
n vi
vo expr
es
s
i
on of heme
非組織特異型 ALAS(
ALAS1)および HO1の各遺伝
bi
os
ynt
het
i
candcat
abol
i
cenzymes
We e
s
t
abl
i
s
hed t
he f
l
uor
es
centpr
ot
ei
n knocki
n
(
knockout
)mi
ceofALAS1geneandHO1geneby
homol
ogousr
ecombi
nat
i
ont
oenabl
et
hef
l
uor
es
cent
pr
ot
ei
nt
oexpr
es
si
nvi
voundert
hei
nt
r
i
ns
i
ccont
r
ol
ofeachgene.Bymeansofhet
er
ozygousmi
ceoft
he
knocki
n al
l
el
ewedi
s
cover
ed s
ever
alnovelt
i
s
s
ues
expr
es
s
i
ng ALAS1, f
or exampl
e, br
aonchi
al
col
umnarepi
t
hel
i
um andchor
oi
dpl
exi
,andt
hatHO1wasexpr
es
s
i
ng mai
nl
yi
n hi
s
t
i
ocyt
es
/
macr
ophage
wi
t
houts
t
i
mul
iands
uchbas
alexpr
es
s
i
onsofHO1
wasenhancedby t
hes
t
i
mul
i
.Fur
t
her
mor
e,wef
i
r
s
t
s
howed di
s
pens
abi
l
i
t
y of ALAS1f
or ear
l
y
devel
opment of mi
ce becaus
e ALAS1nul
l mi
ce
di
edbyembr
yoni
cday8.
5.
子座へ蛍光タンパク質を相同組換により挿入した遺伝
子破壊マウスをそれぞれ作製し,ヘテロ接合体におい
て各遺伝子の生体内での発現制御下で蛍光タンパク質
が発現するマウスを確立し,ALAS1・HO1の組織特
異的な発現を解析した。これらの解析から,ALAS1
は気管支上皮(図2)や脈絡叢など,これまで報告さ
れていない組織での発現が明らかとなった。一方,ス
トレスにより誘導される HO1発現は,無刺激下で,
主に組織球マクロファージ系等に認められ,ストレス
負荷により,その発現が増強される傾向が認められた。
また,本解析から ALAS1遺伝子破壊マウスが胎齢 8.
5
日までに胎生致死し,発生初期に必須であることを世
界に先駆けて明らかにした。
図2 気管支上皮細胞での ALAS1の発現
Major Publications
1) Tak
ahas
hiE,Tak
anoT,Nomur
aY,Ok
anoS,Nak
aj
i
maO,Sat
oM.I
nvi
voox
y
geni
magi
ngus
i
nggr
eenf
l
uor
es
c
entpr
ot
ei
n.Am
JPhy
s
i
olCel
lPhy
s
i
ol
.
2006291:
C7817.
2) Nak
aj
i
maO,Ok
ano S,Har
adaH,Kus
ak
aT,Gao X,Hos
oy
aT,Suz
uk
iN,Tak
ahas
hiS,Yamamot
o M.Tr
ans
geni
cr
es
c
ue of
er
y
t
hr
oi
d5ami
nol
evul
i
nat
es
y
nt
has
edef
i
c
i
entmi
c
er
es
ul
t
si
nt
hef
or
mat
i
onofr
i
ngs
i
der
obl
as
t
sands
i
der
oc
y
t
es
.Genest
oCel
l
.
200611:
685700.
3) Ar
i
mot
oT,Tak
ei
s
hiY,Tak
ahas
hiH,Shi
s
hi
doT,Ni
i
z
ek
iT,Koy
amaY,Shi
gaR,Noz
ak
iN,Nak
aj
i
maO,Ni
s
hi
mar
uK,AbeJ
,Endoh
M,Wal
s
h RA,Got
o K,Kubot
aI
.Car
di
ac
s
pec
i
f
i
cover
ex
pr
es
s
i
on ofdi
ac
y
l
gl
y
c
er
olk
i
nas
ez
et
a pr
event
sGq pr
ot
ei
nc
oupl
ed
r
ec
ept
oragoni
s
t
i
nduc
edc
ar
di
achy
per
t
r
ophyi
nt
r
ans
geni
cmi
c
e.
Ci
r
c
ul
at
i
on.
2006,113:
606.
4) Kel
l
yVP,Suz
uk
iT,Nak
aj
i
maO,Ar
aiT,TamaiY,Tak
ahas
hiS,Ni
s
hi
mur
aS,Yamamot
oM.Thedi
s
t
als
equenc
eel
ementoft
he
s
el
enoc
y
s
t
ei
net
RNAgenei
sat
i
s
s
uedependentenhanc
eres
s
ent
i
alf
ormous
eembr
y
ogenes
i
s
.
MolCel
lBi
ol
.
200525:
365869.
5) Mut
o A,Tas
hi
r
o S,Nak
aj
i
maO,Hos
hi
no H,Tak
ahas
hiS,Sak
odaE,I
k
ebeD,Yamamot
o M,I
gar
as
hiK.Thet
r
ans
c
r
i
pt
i
onal
pr
ogr
am ofant
i
bodyc
l
as
ss
wi
t
c
hi
ngi
nvol
vest
her
epr
es
s
orBac
h2.
Nat
ur
e,429:
56671,2004
67