160912 吊船草

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160912
吊船草
あれほど暑かった山道も、ときおり涼しい風が吹き抜けるようになりました。
まだまだタオルは手放せませんが、木陰で腰掛けるとひんやり感…、汗も引きますね。
何となく「秋」の到来を感じながら歩いていると、道端や林縁に「赤紫」の花が群落を作
って咲いていることに気付きます。
近づいて観察すると、一つ一つの花は、
「帆掛け船」をモビールの如く吊り下げたような
ユニークな姿、これが命名の理由となって「ツリフネソウ」と名付けられたのです。
この花の送受粉戦略は、花の最奥部が「くるり」と巻いている(写真⑧)ところで、その部
分に花蜜を蓄えているのです。
ということは、この花蜜にありつくためには、花に潜り込むだけでなく、長い口吻が必要
になるのです。
この二つをクリアーするのは「トラマルハナバチ」
、つまり「ツリフネソウ」は効率よく
花粉を運んでもらうためにこの「ハチ」をパートナーに選んだのですね。
もちろん、花粉を運ぶ役割を担っていることなど、この「ハチ」は知るよしもないでしょ
うが、花蜜を舐め終わって出てきたハチの頭部や背中、翅には白い花粉が付着しています。
(写真⑪)
■写真①:
群落
◆遠目にもよく目立つ、赤紫の集団ですね。
◆よく見ると、中央の花に「ホシホウジャク」が訪れています。この蛾、ホバリングしなが
ら超長い口吻で吸蜜しますので、送受粉には寄与しないでしょうね。(花にしてみれば盗蜜…)
■写真②・③:
花の構造
◆②:上部から下向きに伸びているのが「雄しべ」、マルハナバチが花の中から出てくるとき
に頭部や背中に花粉を付けるのです。(写真⑨∼⑪)
◆③:マルハナバチが花にとまり、中に潜り込みやすいような形状になっています。
■写真④∼⑪:
トラマルハナバチ
◆この花の雄しべは、雌しべを包み込んでおり、花粉を出し終えて雄しべが脱落すると、雌
しべが現れる仕組みになっています。これで自家受粉を裂けることができるのですね。
◆⑧:長い口吻が見えています。