証券化前提の住宅ローン…民間による長期間の固定金利

2001年9月3日
第366号
株式会社バード財産コンサルタンツ
160-0023東京都新宿区西新宿7-15-8 ニッパンビル
電話 03-5389-0988 FAX 03-5389-0933
第1・2・3・4月曜FAX発行・無許転載禁・月額2100円
証券化前提の住宅ローン…民間による長期間の固定金利
日本の銀行はなかなか長期間
固定金利ローンをだしてくれま
せん。今のような低金利の時代
に長期間固定金利での融資を増
やそうものなら将来の金利上昇
時に大きな逆ざやになってしま
います。だから固定金利でなく
変動金利での融資をしたがるの
は当然のことです。
それでも最近は固定金利のロ
ーンが目につくようになりまし
た。流れがかわったのは証券化
が進んだためのようです。
融資する金融機関がその融資
をいつまでも自分の債権として
保有しているのならば、金利変
動のリスクを金融機関が負うこ
とになります。しかし、固定金
利で融資をしても、そのローン
債権を証券化して投資家に売っ
てしまうのならば、将来の金利
変動のリスクを負わなくて済み
ます。
ローン債権の証券化
商業用不動産担保融資のノン
リコースローンについては外資
系金融機関を中心に融資競争が
繰り広げられています。
このノンリコースローンの融
資競争では固定金利を提示され
ることが多いようです。
それは、その金融機関が預か
った預金金利と貸し付けた融資
金利の差額で儲けようとはして
いないからです。
融資したローン債権をたくさ
ん集めてそれをまとめて証券化
してCMBS(商業用不動産ローン
担保証券)を組成してそれを投
資家に売ってしまうという一連
の流れがその金融機関の仕事に
なっているのです。
固定金利で融資してもすぐに
証券化して売却してしまいます
のでその後に市中金利の変動は
その金融機関に影響はないので
す。だから固定金利でも金融機
関に支障がでないのです。
住宅ローンが証券化されると
この証券化を前提とする融資
の流れが住宅ローンにおいても
始まっています。ちなみに米国
では住宅ローンが証券化される
のは当然のこととなっています。
商業用不動産ローンの証券化よ
りずっと昔から行われています。
ソフトバンク系列のグッドロ
ーン株式会社さんが30年固定
2.95%(2001.8.28現在)の住宅
ローンを行っています。個人に
融資した住宅ローン債権は証券
化して投資家に売ってしまいま
す。だから民間でも30年間金利
固定の住宅ローンが組めること
になるのです。
融資額は最大5000万円で物件
価格の80%までで、第1順位の
抵当権設定となっています。
第1順位の抵当権設定という
ことは住宅金融公庫を使わない
ということを意味します。住宅
金融公庫はいつも第1順位だか
らです。住宅金融金庫のローン
で不足する金額を民間金融機関
http://www.bird-net.co.jp/
から借りるというケースも多い
ようですが、この住宅ローンは
自らが住宅金融公庫と取って代
わる位置付けになっています。
また「保証料」は不要です。
弁済不履行のリスクは証券化商
品の投資家が負う証券化の仕組
みが前提だからのようです。
今のところは首都圏での提携
不動産会社による新築マンショ
ンに限っていますが、今後中古
物件や借換え需要にも対応して
いくようです。
住宅金融公庫は固定金利で当
初こそ2.6%(2001.8.28現在)で
すが11年目から4%になります。
グッドローンさんはそのホー
ムページで「総支払額で公庫よ
りお得!」「保証料無料!」「繰上
返済手数料無料!」と宣伝して
います。(www.goodloan.co.jp)
一般の民間銀行の住宅ローン
では期間は30年や35年であって
も、固定金利適用は当初の最大
10年間だけのことが多いようで
す。一部で当初の15年間ないし
20年間までも固定金利としてい
ますが、その場合の金利は4%
代になっています。
それが証券化前提とする商品
にすると30年固定2.95%が可能
になるのです。証券化さえされ
れば1%代の利率でもその証券
を購入する投資家がいますから。
今後の証券化の流れの中でこ
のような新しい住宅ローンも増
えていくでしょう。