アナログとディジタルの双対性 - 松原研究室

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アナログとディジタルの双対性
※松原伸一著「情報学教育の新しいステージ-情報とメディアの教育論」(開隆堂,2011)より作成。
MLab. Matsubara Laboratory
Faculty of Education, Shiga University, Japan
滋賀大学教育学部 松原研究室
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アナログとディジタル
zアナログ製品の例をあげてみよう。
zディジタル製品の例をあげてみよう。
○ 順番に,①,②,・・・,
2
第2の視点
アナログとディジタルのパースペクティブ
z 相違性:
○ 表示方式としてのアナログとディジタル
○ 処理方式としてのアナログとディジタル
z 双対性
○ アナログとディジタルという語には,それぞれ異なる2種類の
意味がある。
• 表示方式に依拠した場合のディジタル化 → 数字化
• 処理方式に依拠した場合のディジタル化 → バイナリ化
○ このように,アナログ/ディジタルの対概念が,表示方式/
処理方式のそれぞれにおいて2重の意味で並立して配置さ
れる → アナログとディジタルの双対性と呼ぶ
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アナログとディジタルの双対性
アナログ
表示方式
(数値表現の方式)
処理方式
(情報加工の方式)
(物理量で表現)
↓ディジタル化 =数字化
ディジタル
(数字で表現)
アナログ
(物理・化学的性質を利用)
↓ディジタル化 =バイナリ化
ディジタル
(バイナリ処理)
4
迷言2 アナログとデジタル
デジたるは
及ばざるが如し
伸
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アナログとディジタル
画像のディジタル化
物理現象と3原色の矛盾?
色の3原色
RGB
と
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CMY
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6
光の3原色(加法混色)
7
印刷の三原色(減法混色)
8
ところで,
光は電磁波ですが,・・・
知っていましたか?
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電磁波
z 電磁波とは,電界(電場)と磁界(磁場)が相互に作用
して組み合わさり、空間を伝達する波
○ 電波(3kHz~3THz)
• マイクロ波,極超短波(UHF,VHF),短波,中波,長波
○ 赤外線(3THz~400THz)
○ 可視光線(400THz~750THz)
○ 紫外線(750THz~30PHz)
○ X線(30PHz~3EHz)
○ γ線(2.42EHz~)
G(ギガ) → 109
T(テラ) → 1012
P(ペタ) → 1015
E(エクサ)→ 1018
Z(ゼタ) → 1021
Y(ヨタ) → 1024
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周波数(Hz)
波長
種類
大体の名称
大まかな使用用途
3×1019
1×10-7mm ガンマ線
3×1016
1×10-5mm エックス線
材質検査、エックス線
3×1015
殺菌灯
3×1013
1×10-4mm 紫外線
1×10-2mm 可視光線光
3×1012
1×10-1mm 赤外線
3×1011
1mm
3×1010
1cm
サブミリ波
ミリ波(EHF)
3×109
10cm
センチ波(SHF)
3×108
1m
極超短波(UHF)
3×107
10m
3×106
100m
3×105
1Km
3×104
10Km
3000
100Km
超短波(VHF)
短波(HF)
中波(MF)
長波(LF)
超長波(VLF)
50~60
6000Km
極低周波(ELF)
放射線
光
医療
工学機器
赤外線ヒーター,温度観測
マ
イ
ク
ロ
波
↑
光通信システム
↑
レーダー
↑
電子レンジ、携帯電話
↑
警察、消防、テレビ
電波
↓
FM、テレビ
アマチュア無線
↓
AM
↓
海上無線
↓
長距離通信
電磁界
送配電線、家庭電化製品
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電磁波の周波数
電磁波
赤外線
周波数
400
THz
405 ~
480
THz
赤
THz
R(赤)
THz
黄色
549
THz
G(緑)
580
THz
シアン
688
THz
B(青)
THz
紫
510 ~
700 ~
紫外線
色
3 ~
428
可視光
単位
530
790
750 ~ 30000
3原色
合成色
THz(30PHz)
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アナログとディジタル
画像のディジタル化
ディジタル化説明の問題点
標本化,量子化,符号化
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標本化
z音は,マイクロフォンなどを使用することにより,
時間とともに変化する電気信号として捉えること
ができる。
zこの電気信号は,オシロスコープ(電気信号の
時間的な変化を波形として表示する装置)など
を利用すると,波形として見ることができる。
zその波形を,時間に対して一定間隔で分け,そ
れぞれの時刻における値を読みとり記録するこ
とを標本化という。
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サンプリングレート
z一般には,分割する時間を細かくするほど,デ
ータの数は増大するが,情報としては詳しいも
のになり,これを再現する際には,音質は向上
する。
z標本化する速度をサンプリングレート(sampling
rate)という。
z細かくする程度をどれくらいにすればよいのだろ
うか?
○ 標本化定理(sampling theory)が参考になる。
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標本化定理(その1)
z 信号波形には,緩やかに変化する部分や,急激な変
化をする部分など,様々な波形がある。
○ この現象は,いろいろな周波数を持った信号の重ね
合わせで構成されていると考えることができる。
(参考)フーリエ変換,スペクトル分析(周波数分析),・・・
○ 信号波形の微細な部分を表すためには,その信号
に含まれる高い周波数の成分が必要となる。
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標本化定理(その2)
z 元の波形を忠実に再現するためには,
○ その波形に含まれる最も高い周波数成分を逃さないようにし
なければならない。
○ 簡単に言えば,最も周波数の高い波形成分に対し,その山
の部分と谷の部分を捉えれば良い。
○ 言い換えれば,「この周波数の2倍に相当する間隔で標本化
すれば良い」ということが分かっています。
○ この考え方の根拠が標本化定理というものです。
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標本化定理(その3)
z電話信号の場合(例)
○ 信号の保証する最高周波数は3400Hzと決められているの
で,帯域を大きめにとっても,4000Hz程度もあれば良いこと
になる。
○ この信号を標本化するには,8000Hzすなわち,1秒間に
8000回(8000分の1秒の周期で)の標本化すればよいこと
が分かります。
z音楽CDの場合(例)
○ サンプリング周波数が,44,100Hzとすると,これで
再現できる音の最高周波数(限界)は,何Hzか?
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量子化,符号化
z量子化(quantizing)
○ 各時刻に読み取られたデータは,予め決められた
段階に分け,それぞれのデータの値が最も近い段
階をその時の値とする。これを量子化という。
• 段階の数を大きくすればするほど,量子化の精度は良く
なるが,情報量が大きくなりその処理に時間がかかること
になる。
z符号化(coding)
○ このデータを,1-0パターンに対応させることを
符号化という。
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問題 (素朴な疑問?)
zそうすると,「ディジタル化」とは
○ 元の波形(アナログデータ)の全部を使用しないで
○ 時間的にとびとびの時刻のデータのみを使用
→標本化
○ また,その時刻のデータをそのまま使用するのではなく,限
られた段階(とびとびの値)にして使用
→量子化
↓
○ つまり,ディジタルデータは,アナログデータの一部しか使用
していないということになる。
○ それなら,どうして,ディジタル方が音が良いのか?
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