要請項目に対する回答書 【幸手市】 (1)公務職場が労働者全体の福祉の向上の役割を果たすために ① 公務職場は公共の福祉の増進を目的としていることから、労働諸法令の遵守は もちろん、雇用・労働条件、労使関係で模範となる立場にあり、官・民すべての 労働者の権利向上を図る視点から、その役割を発揮してください。 【回答】 労働基準法をはじめ、関係法令を遵守することはもとより、職場環境の整備や 職員の健康管理の面なども考慮し、より良い労使関係の構築に努めてまいります。 ② 正規職員の減少を補うための非正規職員の増加と外部化によって、住民の安 全・安心、成長発達保障、権利擁護などの後退、そして非正規や外部化された労 働者自身の雇用や労働条件の低下は心配ないのでしょうか。 本来正規で対応すべき業務には正規職員を増員し、住民サービスを向上させる 体制を整えてください。 【回答】 正規職員については、定員適正化計画を踏まえて、適正な職員数を確保すると ともに、適材適所により効率的な組織運営を心がけてまいります。 なお、非正規職員の雇用や外部化を行う場合でも、住民サービスの低下につな がることがないよう、十分留意してまいります。 非正規職員の労働条件に関しても、関係法令に則り、適正な雇用を行います。 ③ 公共サービス基本法が制定されています。その第 11 条は「公共サービスの実 施に従事する者の適正な労働条件の確保、その他の労働環境の整備に関し必要な 施策をおこなうこと。」となっています。その趣旨に則った施策を推進してくだ さい。 【回答】 市では、公共サービス基本法の趣旨に基づき、安全でかつ良質な公共サービ スに心掛けているところです。 賃金や労働条件につきましては、近隣自治体や民間企業との均衡に配慮し、適 正な水準を維持してまいります。 (2)自治体が地域の賃金・労働条件水準を引き上げる役割を果たすために ① 自治体業務に従事するすべての労働者の賃金を引き上げてください。 【回答】 職員の給与については、人事院勧告を基に行っており、また、埼玉県の人事委 員会勧告も考慮していることから、市独自での引上げは考えておりません。 1 ② 正規職員も労働者です。その権利をないがしろにした、賃金・労働条件の一方 的な引き下げに反対してください。また、住民の福祉の向上が目的である職員の あり方に反する、効率やコスト優先の人事評価・査定には慎重に対応してくださ い。 【回答】 賃金・労働条件の一方的な引き下げについては、人事院等の給与や勤務条件の 是正勧告を考慮することとしておりますので、原則、行っておりません。 また、良質な行政サービスの提供には、職員を適正に評価し、職務への動機付 けをし、組織全体として活性化する必要があり、それを達成するため人事評 価・査定があると考えています。 その運用については、公平公正な評価であることを前提に、慎重に対応してい きたいと考えています。 ③ 非正規職員の賃金を引き上げてください。そして、非正規職員が自立できる賃 金水準を確保して、地域で「官製ワーキングプア」をなくす動きを率先してつく ってください。 当面、私たちは最低の水準として月額 15 万円、日給 8,000 円、時給 1,000 円 を保障すべきと考えます。また、経験年数を考慮した加算も当然だと考えます。 【回答】 市の財政状況を考えますと、人件費の抑制は重要な課題となっています。 そのような中、平成 23 年度に賃金の引き上げを行いました。今後におきまし ても、近隣の状況を把握しながら、検討してまいりたいと考えております。 なお経験年数を考慮した昇給については、原則、長期採用は行っておりません。 ④ 非正規職員を雇用するにあたっては、正規職員との「均等待遇」を原則とし、 雇用形態による差別をやめてください。 そして、夏・冬の一時金支給、退職金支給、休暇制度の充実、社会保険・労働 保険の加入、健康診断などを実施して地域のモデルとなるべきと考えますがいか がでしょうか。 【回答】 市業務には、様々な分野、職種、業務があり、勤務形態や労働条件も一定でな いため、賃金等に多少の格差が生じることはやむを得ないことと考えております。 しかし、労働基準法に基づく社会保険への加入、健康診断の実施、雇用保険の 加入などについては必ず実施しております。 (3)公共発注の改善で労働者と住民の福祉を向上させるために ① 公契約のもとで働く労働者の賃金・労働条件の実態を把握してください。 【回答】 2 公共工事及び業務委託等の契約につきましては、適正な単価を基に設計書を作 成し、その設計を基にした適正な価格をもって、落札者と契約を締結しておりま す。 公共工事につきましては、最低制限価格制度を採用しているため、労働者の賃 金は、契約金額の中に確保されていると考えております。 なお、元請者は労働者に対しての賃金支払い(下請等含む)の責任があるもの と考えており、市が発注したものにつきましては、適正な単価・賃金・労働条件 の確保が図られているものと思っております。 ② 国、県、近隣自治体の動向にとらわれず、地方自治法第 1 条の2第 1 項の実践 として公契約条例制定を制定してください。 【回答】 公契約条例については、野田市において、全国に先駆け平成22年2月から条 例が施行され、また、当市においても、平成20年9月議会で「公共工事におけ る賃金等確保法(公契約法)の制定を求める意見書」が採択され、市議会として、 国に意見書が提出されております。しかし、県内のほとんどの市町村が土木工事 等の設計をする場合、県の工事単価を利用して積算している状況であること等、 市としては、近隣市町との賃金の格差が生じないにように、県において統一的に 考えていただくのが良いと考えております。 このようなことから、今後も、国・県及び近隣市町の動向をみながら取り組ん でいきたいと考えております。 ③ 公共発注で適正な雇用、賃金・労働条件を確保するために、入札参加の前提と して業者に対し労働諸法令の遵守と次のことを求めてください。 ア)公共工事では ⅰ)すべての下請けに至るまで2省協定設計労務単価を保障すること。 【回答】 前に回答したとおり、土木工事等の設計をする場合、県の工事単価(2省協定 設計労務単価)を利用して積算し、その価格を基に入札を執行して発注しており ます。落札者は労働基準法等労働諸法令を遵守し、労働者に対しての賃金支払い (下請等含む)の責任があるものと考えておりますので、市が発注したものにつ きましては、適正な単価・賃金・労働条件の確保が図られているものと思ってお ります。 ⅱ)下請け契約書の写しの提出と、賃金・法定福利費を明示すること。 【回答】 前に回答したとおり、公共事業の発注に際しては、適正な単価を基にした設計 書を作成し、その適正な価格を基に入札を執行して発注をしております。 3 業務委託につきましては、最低制限価格制度を採用しておりませんが、市では 労働者の労働条件や賃金を確保するため、落札者に労働基準法等労働諸法令の遵 守を求めております。したがいまして、適正な単価・賃金・労働条件の確保が図 られているものと思っております。このため、契約において個々に明示すること は現在考えておりません。また、全ての工事(随意契約を除く)につきましては、 下請契約書(二次下請以降の契約書も含む)の写しの提出を求めております。 ⅲ)すべての対象労働者に建退共証紙の貼付を徹底すること。 【回答】 市が発注する際には、建退共の掛金を含んで契約しており、請負金額600万 円以上の工事につきましては、契約後1か月以内に建設業退職金共済証紙購入状 況報告書を提出させております。また、一部の工事については、建設業退職金共 済証紙貼付実績の確認のため、労働者に貼付した手帳のコピーを提出させており ます。 イ)委託・派遣・指定管理では ⅰ)労働者の賃金根拠を明確にさせること。 【回答】 前に回答したとおり、公共事業の発注に際しては、適正な単価を基にした設計 書を作成し、その適正な価格を基に入札を執行して発注をしております。 業務委託につきましては、最低制限価格制度を採用しておりませんが、市では 労働者の労働条件や賃金を確保するため、落札者に労働基準法等労働諸法令の遵 守を求めております。したがいまして、適正な単価・賃金・労働条件の確保が図 られているものと思っております。このため、契約において個々に明示すること は現在考えておりません。 ⅱ)労働者の安定した雇用と業務の質を確保するために長期雇用とすること。 【回答】 市では、平成14年度に複数年契約に関する方針、また、平成18年度に長期 継続契約を締結することができる契約を定める条例を定め、施設の清掃や管理運 転業務等を複数年で委託契約を締結していますが、労働者の雇用については、受 注業者の自主性を考慮いたしまして、受注業者に任せております。 ⅲ)上記の目的から、受託・指定業者が変更になる場合も雇用と既得労働条件 以上による引継ぎを求めること。 【回答】 契約担当としては、受注業者の自主性を考慮いたしまして、受注業者に任せて おります。 4 ④ 総合評価方式を積極的に活用して、労働者の雇用・労働条件、権利を守るとと もに地域中小業者の経営を支援する項目を増やしてください。 公共発注を適正化するためには、少なくとも雇用安定対策、賃金単価下限対策、 退職金制度、社保・労災制度などの項目が必要と考えます。 【回答】 公共工事品質確保法に基づき、価格以外の多様な要素を考慮し、価格及び品質 が総合的に優れた内容で契約がなされる総合評価方式の導入は、必要であると考 えおり、建設工事総合評価方式試行要綱を制定し、平成23年度にも1件総合評 価方式の入札を実施いたしました。 平成23年度に実施した評価項目は、県の評価項目に準じておりますが、市内 業者から下請負人の選定を評価項目設定させていただきました。今後も総合評価 方式による競争入札を実施していきたいと考えております。 ⑤ 公共の立場にある自治体として労働諸法令を厳守し、偽装請負・違法派遣とな らないように現場実態を確認し、「労働省37号告示」に抵触する可能性がある 委託契約は行わないでください。 【回答】 市の業務委託契約約款において、受注者が現場の責任者を定め、現場責任者が 業務の履行に関し指揮監督しなければならないと規定しており、発注者が請負労 働者に直接指示等は、出来ないことになっていますので、「労働省37号告示」 に抵触する委託契約はないと考えております。 ⑥ 公共施設等の維持管理で高年齢者雇用安定法の趣旨を逸脱したシルバー人材 センターの活用がないか確認してください。 自治体の本来業務、恒常的業務については臨時・短期・軽易な業務とは言えず、 労働法令が適用される雇用労働者によって業務を行うべきです。「高年齢者の経 験と能力の発揮と生きがい活動をサポート」を理由に最低賃金水準またはそれ以 下の配分金(賃金)でシルバー人材センターを活用することは高年齢者の権利を 侵害するものに他ならないと考えます。 【回答】 当市では、公共施設等の樹木の剪定や消毒、草刈り、また放置自転車の整理作 業等といった臨時的・短期的な請負業務のほか、休日の日直業務や公民館での管 理業務などについて委任契約を結んでおります。 日直や公民館管理業務については、市職員と混在して就業することや、市の指 揮命令の下で就業していただくような業務ではなく、職員が本来行う届出等の受 理については行わせておりませんので、高齢者雇用安定法の趣旨を大きく逸脱し たものはないと考えております。 また、賃金についてはシルバー人材センターの基本賃金額で契約を行っており、 5 これは最低賃金水準以上でありますので高年齢者の権利を侵害するものではな いと認識しております。 (4)中小企業に働く労働者の福祉制度の充実のために ① 中小零細企業の労働者は、大企業と比較して、賃金・労働条件および福利厚生 において大きな格差があり、多くの中小企業に退職金制度などもないだけでなく、 法定福利すらままならない状況にあります。そこで、次の支援策を実施してくだ さい。 ア)中小企業における退職金制度の普及・改善のため、中小企業退職金共済制度 の掛金に対する自治体独自補助を行ってください。 【回答】 掛金に対する補助事業については、現在のところ行う予定はございません。 パンフレット等の啓発資料を窓口に置き、普及PRに努めます。 イ)中小企業勤労者福祉サービスセンターが設置されている自治体では活用を拡 げてください。未設置の自治体では自治体独自の福利厚生制度を創設してくだ さい。 【回答】 当市では、勤労者の文化教養活動の推進と市民福祉の増進を図るため、幸手市 勤労福祉会館を設置しております。 中小企業勤労者福祉サービスセンターの設置につきましては、必要な施設であ ると考えておりますが、市単独設置となりますと現在の幸手市の財政状況では勤 労者福祉サービスセンターの新設といった新規事業は、当面の間設置が困難であ ると考えております。 また、広域設置の場合は、近隣市町との合併問題も絡めた充分な検討が必要と 思われます。 ② 地域の非正規労働者の労働実態を把握するための調査を実施してください。 【回答】 当市では、平成22年度に市内事業の労働実態調査を実施いたしました。 就業形態や労働環境などについて、非正規労働者についても併せて調査をいたし ました。 ③ 地域の労働者の雇用確保、賃金・労働条件の改善は住民福祉の向上に直結する 課題です。地域の労働者の幸せを実現するために「労働行政・労働者福祉を担当 する課」を設置してください。 【回答】 現在、「労働行政・労働者福祉を担当する課」を設置する予定はございません 6 が、当市では、平成23年度から26年度を計画目標とした「第3次定員適正化 計画」を策定し、少数精鋭による機能的、効率的な行政運営を目指した職員数の 適正化を図っております。 この計画のなかで組織改正の効果や影響を精査し、必要に応じた再編、組織体 制の整備を行うこととしておりますが、このことにより労働行政等の後退になら ないよう努めてまいります。 (5)自治体病院における医療労働者の実態について 医療現場(自治体病院)において、住民の健康を守る立場から医療現場の労働環 境の改善をはかり、医師・看護師を増員すること。 【回答】 該当ありません。 7
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