分野材料・プロセス № シーズの名称 竹筋コンクリートの開発 シーズの分野 建築・建設材料 シーズの保有者 大分大学工学部福祉環境工学科 教授 井上 正文 Tel:097-554-7930 Fax:097-554-7756 18 E-mail:[email protected]. (1)技術の内容 1.技術の内容(技術的構成) 1)竹筋コンクリートを床スラブに使用することを目的として、力学的挙動を把握するための曲げ実験を 行った。 ① 試験体は床スラブの梁スパン中央部を想定して製作した。 ② 実験はスラブ主筋の竹および鉄筋の配筋比をパラメータとし、加力は 2000kN 万能試験機を使用し て、3 等分点、単調載荷で行った 2) 補強筋として使用した竹材の引張強度およびヤング係数の調査 ① 素材の引張試験 ② 安定した強度が得られる試験片の形状を探るための実験 (2)技術の特徴、特性(作用・効果) 鉄筋などの鋼材は、発展途上国等においては、いまだに「高価」な建材であり、その使用は建設コスト面 から制限されている。また、鋼材の生産には莫大な化石燃料が使用され、地球温暖化防止が喫緊の課題とな っている社会情勢から、その大量使用が問題視されている。 このような背景から、鉄筋の代替品として竹筋の利用を考え、竹筋コンクリート部材としての力学的性質 やその構造設計法の開発を目的に研究を進めている。 竹筋や竹筋コンクリート部材の特長は次の通りである。 (1) 竹筋は、コンクリートに被覆された状態では腐朽があまり進行しない特徴を有する。 (2) 製造エネルギーが僅かであり、地球環境にやさしい材料である。 (3) 安価な竹筋コンクリート造集合住宅を建設するなど、発展途上国における住宅不足解消や補強方法のた めに利用可能である。 (3)技術の用途 ① 住宅などの比較的小規模建築における構造部材 ② 庭やアプローチ部分などの外構部分の非構造部材 等への使用可能 ③ 土木用の仮設部材やテロラポッドや漁礁のような港湾(海洋)構造物や河川構造物に利用 ④ ある許容年数を使用した後のコンクリートを生物分解する部材とする可能性 ⑤ 安価な竹筋コンクリート造集合住宅建設 ⑥ レンガ造住宅などの無補強組積造建築を補修・補強する材料としても、安価で有効な手段 (4)製品化、事業化に向けての当該技術の進捗レベル (1) 竹筋コンクリートの利用実績と課題 ① 実際に構造物に使用された実績がある。 ② 竹筋コンクリートの力学的性質が完全に解明されていたとは云えない。実用化するには、使用のため の設計法の確立とそのための詳細な力学的性質の把握が不可欠 ③ 竹材の引張強度試験方法について、確立された方法がない (5)技術の将来性(将来的な市場など産業への波及効果) 現時点で正確な市場予測は容易ではない。 しかしもし、環境問題が更に深刻化し、鉄筋の使用制限などが行われることになれば、それこそ、世界的 な規模で大量使用の可能性がでてくるものと推察される。そういう意味からすると、真に将来性のある材料 と言えるかも知れない。 (6)技術育成上の課題 上記4.に記す以外に、次の課題が残されている。 (2) 竹材の引張試験方法の検討:試験片の形状と引張強度の関係を明らかにする実験 (3) 実際に竹材が組み込まれたコンクリートの力学的挙動を把握: ① 床スラブの曲げ実験、 ② 竹材と鉄筋を同時に配筋した場合についても実験的な確認が必要。 ( 4 ) 竹筋の引っ張り強度、耐久性などの特性改善の研究も行われるべき。 (7)特許等知的財産権の取得状況 特に、特許出願については検討されていないが、新知見が得られたら早急に出願すべき。 (平成 13 年度認定)
© Copyright 2024 Paperzz