ゲーム「ドッジボール」

第2学年1組
ゲーム「ドッジボール」
∼2年1組・元気いっぱいがんばるぞ!∼
授業者T1
T2
和田
歌川
直行
好夫
1.プランニング(授業計画づくり)について
子どもたちは1年生の時に,
「ボールを使った運動遊び」の学習で,ボールをついたり,投げたり,
投げ上げたり,キャッチしたり,転がしたりしてボールに慣れ親しんできた。また,(はしご)転が
しドッジボールも経験してきた。したがって,ボールの投動作やキャッチについては,初めての子
どもよりは多少身についているといえる。今回は,さらに,ボールを強く投げる,的にしっかり当
てる,投げられたボールを両手で捕るなどの技能を子どもたちに十分に身につけてもらいたいと思
い,次のような学習の計画を立てた。
・投動作を身につけさせるため,単元の初めの方では,靴下ボールによる「的当てゲーム」「テープ
越え」(体育館のギャラリーにスズランテープを張る)「キャッチボール」を行う。
・「靴下ボールの遠投」は,毎時間行い習慣化する。
・
「投てき板への的当て」を行い,ボールコントロールやボールの威力をつける。
・2人組でキャッチボールをする時間を毎回設ける。
これらの学習を積み重ねながら,はしごドッジ,回りドッジにつなげていきたいと考えた。
2.プロセス(授業過程)について
回数 月日(曜日)
授
業
記
録
1 5 月 2 9 日 ①くつ下ボールで自由遊び
(木)
体育館
②体育館内で遠投
③的当て遊び
④ペアでキャッチボール
この日,一人1個くつ下ボールを持ち,まずはボールに慣れるため,ボー
ルを投げたり捕ったり弾ませたりして遊んだ。そして,体育館の壁から壁ま
でを何回で投げられるかを競争してみた。(最小2回∼最大4回)次に,段
ボールの的(運動会で使用したポケモンの絵入り)に的当てをして遊んだ。
さらにその後,ペア作りをしてキャッチボールをした。この日は,ここまで
だが,子どもたちはボール遊びが楽しくできたようである。
2 5 月 3 0 日 ①∼③同様
(金)
体育館
3
④くつ下ボールでテープ越え
この日も,くつ下ボール投げを行い,回数の少ない子のよいところをみん
なで探ることにした。すると,子どもたちからは,「思い切り投げている。」
「手を高くあげている。」(
「 左)足を一歩前に出して投げている。」などの意
見が出てきた。みんなもこれをまねてみることにした。
また,体育館のギャラリーにテープを張り,靴下ボールがその上を越えるか
どうか試しに行ってみた。このとき,テープ越えができた子は,4人だった。
6月3日(火) ①∼③同様
④くつ下ボールでテープ越え
体育館
この日も,くつ下ボール投げ,的当て,テープ越えを行った。テープ越え
は,左足を一歩踏み出して投げるように気をつけた。結局,越えることがで
きたのは6人だった。ただ,子どもたちのボールの扱いが慣れてきている様
子だった。左足のステップがおかしい子どもが6人いた。また,腕の振りが
おかしい子が6人いた。(そのうち,どちらもおかしい子が1人。)
4 6月5日(木) ①校舎前芝∼半円芝(くつ下ボール投げウオーミングアップ)
(1)
②校舎前芝∼投てき板(くつ下ボール投げ)
校庭
初めて校庭に出
た。校舎前の芝か
ら半円芝までをく
つ下ボール投げし
て,各自ウオーミ
ングアップした。
そのとき,何回で
届くかを数えなが
ら行うようにし
た。(最小3回∼最大6回)次に,芝から投てき板までくつ下投げをした。
初めての校庭でしかも遠い距離となり,とまどう子どももいた。結果は,最
小6回∼最大19回だった。回数の少ない子にどうやって投げているのかを
やってもらい,みんなに意見を出させてみた。すると,「投げる前に助走を
つけている。」「腕を頭の上に振りかぶってうまく投げている。」ということ
が出たので,みんなでまねをしてやってみた。急に雨が降ってきたので,こ
こまでで,教室に引き上げた。
4 6月6日(金) ①∼②同様
(2)
③投てき板(的当て)・がんばり山(ボールの
校庭
投げ上げ)(くつ下ボール)
昨日の流れを素早く行ったあと,投てき板
に集合した。この日は,くつ下ボールで,投て
き板にボールをぶつける遊びを行った。混雑す
るので,半分の子は,がんばり山にボールを投
げ上げる遊びを行った。いずれの運動も,ボー
ルが転がって戻ってこないために,使っている
ボールがふさわしくないことがわかった。次回からは,ハンドボールを使用
することにした。
投てき板では,2人の投げ方や当て方が上手なのでみんなに紹介した。ま
た,がんばり山では,4人の子が高く遠くに投げていたので紹介した。うち,
3人は女の子だった。
5
6 月 1 0 日 ①∼②同様
(火)
③投てき板(的当て)・がんばり山(ボールの投げ上げ)(ハンドボール)
④はしごドッジのラインでキャッチボール(ハンドボール)
校庭
①でウオーミングアップをしたあと,②を行
った。先日の記録よりもまた少し伸びた。最小
5回∼最大13回だった。③の活動では,初め
てハンドボールを扱ってみた。ボールの大きさ
は子どもたちに手頃でよかった。また,ボール
を壁に当てた後ちょうどよい感じで跳ね返って
きたのでこれをうまく利用した。壁に直接当て
て自分のところまで跳ね返ってくるかどうか,
まず,確かめさせた。跳ね返ってくるようであ
れば,投げる場所を遠くにしていこうと呼びかけた。すると子どもたちは,
何も言わなくても,ある程度強く投げないと戻ってこないことに気づき,力
一杯投げるようになった。投げなれてきた頃に今度は,的当てを意識させよ
うと思った。がんばり山への投球は,山に向かって投げるので,低い投球で
は遠くまで投げることができない。したがって,どの子もより高い玉を投げ
ようとして頭の上に大きく振りかぶったり,上の方へ投げようと試みていた。
山には,階段状になったタイヤが20段ほどあるので,その数を目安に投げ
る子がたくさんいた。
④では,はしごドッジボールのラインを活用して,ハンドボールでキャッ
チボールをした。初めてなので慣れなかったが,上手な子を見つけ,子ども
たちに見させた。そこでは,「A君は,相手に届くボールを投げている」「B
さんは,速い玉を投げている」「C君は,相手がとれるように優しく投げて
いる」これらを参考にしながら,「相手を狙った確実なパス」と「ボールを
しっかりキャッチする」という練習のめあてを持たせながら活動した。
6
6 月 1 2 日 体育館使用時(研究日雨天時)の確認を兼ねて
(木)
①体育館内で遠投
②くつ下ボールでテープ越え
体育館
③はしごドッジの場所確認(体育館使用時)
④ペアでキャッチボール・その場でドッジボール
体育館の壁から壁までの遠投は,前回より記録が伸びてきた。最小1回∼
最大3回だった。テープ越えは,14人が難なくできた。
はしごドッジボールについては,昨年はしご転がしドッジボールを経験し
ているので,難しい説明は必要なかった。昨年は,転がすだけだったので,
今年は投げて当てるということで,子どもたちもわくわくしていた。時間の
関係で,はしごドッジの移動は行わずに,その場でドッジボールを行った。
7
6 月 1 3 日 ①校舎前芝∼半円芝(くつ下ボール投げウオーミングアップ)
(金)
②校舎前芝∼投てき板(くつ下ボール投げ)
③投てき板(的当て)(ハンドボール)
校庭
④投てき板∼校舎前芝(くつ下ボール投げ)
⑤はしごドッジのラインでキャッチボール
(ハンドボール)
⑥はしごドッジボール
今回から,④のように②と反対の動きで戻っ
てくるようにし,⑤では,戻ってきた子から順
番に,ハンドボールを使ってキャッチボールを
するということにした。子どもたちの動きがス
ムーズになってきた。
はしごドッジは1回だけ行った。勝ったら上がる,負けたら下がるのルー
ルはすぐ理解した。この日は,ルールの確認を行った。
・首から上に当たったら,なし。
・声を出して数を数える。
・内野ボールを外野に返すときの返し方。
8 6 月 1 6 日 ①∼⑥同様
(月)
校庭
この日は,細かい動きの確認をしながら,はしごドッジを行った。例えば,
列の帽子の色や始めるときのボールの位置,準備できたときの約束,終わっ
たときの約束,得点の確認などである。先日は指示を出しながら行い,子ど
もたちはある程度わかっているようだが,教師の指示が無くても動けるよう
になると,時間のムダが大幅に減る。はしごドッジは2回戦できた。どの子
どもたちも生き生きと活動し,中にはムキになって喧嘩する子やちょっとふ
てくされる子もいた。それだけ,この学習に夢中になっているのだろう。い
ろいろな問題が出てくるが,その都度考えたり,終わってから全体で考えた
りして,次回に生かすようにした。終わりは次回の場所に移動し,次回の始
まりの確認をしてから終わらせた。
最後に,回りドッジのやり方を紹介した。この日初めてだったので,子ど
もたち全員をコートに入れて,赤白3人ずつ外野に出てもらった。実際にド
ッジボールをしながら,当たったときの動きやチームの挨拶などを確認して
いった。女の子でも,積極的にボールを取りに行き,速い球を投げる子が数
人いた。はしごドッジボール等の成果だろう。
9 6 月 1 7 日 ①∼⑥同様
(火)
校庭
⑦回りドッジボール
靴下ボール投げでは,以前よりも遠くに投
げ,早く芝生に戻ってこられるようになった。
キャッチボールもスムーズに相手を見つけ声を
かけ合いながらたくさん練習していた。はしご
ドッジボールは2回戦行った。回りドッジは初
めて4つにチーム分けをして戦った。大変な盛
り上がりようだった。学習の最後に,今日のヒ
ーローを聞いてみた。(学習カードに書いてい
る。)すると,強いボールでもしっかりとキャッチできたA君,ボールを両
手でキャッチしているB君,強いボールを投げて当てているC君の名前があ
がった。子どもたちなりに友だちの姿をよく見ていると思った。
10 6 月 1 9 日 授業研究日。
(木)
①∼⑥同様
⑦回りドッジボール
校庭
いつも通り大きなかけ声をかけて始まった。子どもたちは楽しみにしてい
たのでやる気満々だった。くつ下ボール投げは,この日も新記録がたくさん
出た。日に日にボールの投げ方が上手になってきた。的当てを手早くすませ
ると,戻ってきてキャッチボールを行った。今までよりもずっとスムーズに
なった。はしごドッジボールは2回戦行ったが,半泣きの子やもっとたくさ
んやりたかったという子がいた。回りドッジボールは,1試合だがルールも
定着したため,どちらの試合も白熱した戦いだった。
11 6 月 2 4 日 ①∼⑥同様
(火)
⑦回りドッジボール
先日と同様,元気よくリズムよく活動することができた。子どもたちは,
校庭
男女ともボールの投球には自信を持ち,より遠くに,より回数少なく投げよ
うと頑張った。初めの頃に比べるとかなり成長したと感じられる。回りドッ
ジボールは3回目になるので,各チーム内でどう投げるか,どうパスを出し
たらよいかを考えている子が出てきていた。
12 6 月 2 6 日 ⑤⑥同様
(木)
⑦回りドッジボール大会
子どもたちは,もっともっと続けたそうだったが,時数や水泳学習の関係
校庭
上,今回で終わりにした。とても楽しい学習だったようである。
3.プロダクト(授業成果)について
(1)成果
核とする学習内容「基本となる投動作を身につけること」
「投げる,捕る,よけるの技能を身
につけること」について振り返ると,「基本となる投動作を身につけること」については,「靴
下ボール投げ」「ハンドボールのキャッチボール」「投てき板への的当て」を通して,どの子も
手投げではなく肩を使っての投球を意識し上達することができた。
「投げる,捕る,よける」の基本的な技能もよく身についた。はしごドッジの中では,「投げ
る」「よける」が日に日にうまくなっていった。ただし,「捕る」については,課題が残った。
まわりドッジボールでは,状況に応じてパスをすることがあったが,そのときに「捕る」技
能が生きていた。
学習カードに毎回必ず,よかった友だち,上手だった友だちを記入するようにした。すると,
子どもたちは,他の子のよいところをしっかりと見て書きとめるとともに,よいところはまね
しようと努力していた。また,友だちを応援したり励ましたりする言葉も書かれるようになっ
た。
(2)課題
はしごドッジは,初期の段階で始まるので,ペアリングが難しいと感じた。遠投力を元に2
人組を作ってみたが,一部力の偏ったペアもできてしまった。
(基本的には男女で組み,意図的
に技能の差がある子同士とした。)
はしごドッジでは,「投げる」「よける」はよかったが,ボールを「捕る」子どもが少なかっ
た。これは,子どもたちがボールを捕るよりも「よける」ほうが手っ取り早く感じたことと,
捕ることへの恐怖感が強かったためでもあるだろう。この点は,改善する必要がある。もっと,
強いボールでも捕ることができるようにしたいと思う。また,ボールを捕ると1点獲得するとい
うことであれば,捕れそうな球までよけてしまうことは無くなるだろう。
まわりドッジは,人数の関係で4チーム作り,2コートで戦った。ちょうどよかった。全員
が参加し,触球数もかなり多かった。中には,「さっきはぼくが投げたからいいよ。」という譲
り合いも生まれた。