SS 研座談会 2014 年度 「2045 年、コンピュータが人間を越えた時 ~語り合おう!シンギュラリティを越えた先に何があるのか?~」 日時:2015 年 1 月 7 日(水) 14:00~17:30 (場所:富士通 汐留本社 6 階プレゼンテーションルーム) 座談会メンバー(氏名あいうえお順) 大武 美保子 (千葉大学) 小町 守 (首都大学東京) 金澤 裕治 ((株)富士通研究所) 寺澤 洋子 (筑波大学) 三谷 純 (筑波大学) 森下 唯 (ピアニスト) 柏崎 礼生 (大阪大学) (兼コーディネーター) 検崎 博生 (理化学研究所) (兼コーディネーター) 中田 真秀 (理化学研究所) (兼コーディネーター) オブザーバー 水本 好彦 (国立天文台) 当日の座談会の内容 1. 人間(知性・感性等)を越えるコンピュータができるのか? ・2023 年には一人の人間と同じ知性を持つコンピュータができ、2045 年には全人類と同じ知性を持つ コンピュータができる。 ・脳のシミュレーションは、ニューロン数だけで比べると現在猿レベルに達し、2023 年に人レベルに達す ると考える。 ・ある分野の関連知識を持っていて、ある作品を見るのと、関連知識が無く見るのでは感じ方が違う。例え ば、折紙の知識を持っている人が見ると、ここでこういう折り方をしていてすごいとか、ここの折り方で このように表現できるのだと感じる。シンギュラリティの世界が進んで、作り出したものが綺麗と感じる かは、作る側と見る側のコミュニケーションだと考える。 ・その中身が分からないと美しさが分からない。学生時代に将棋をしていたが、将棋の指し方を理解してい ないとその指し方の美しさが分からない。芸術もそうだと思う。まさにコンピュータが高度化した後にく る問題だと思う。 ・作曲家と演奏家と聴衆の 3 者が共有しているものがあるものが音楽であると考える。長い間の人間の進化 の過程で得られたものであり、芸術がその得られたものに今後もコミットする必要があるかは疑問がある。 人間の脳は、著しい変化はないので、最近の自動演奏ピアノは音楽ソフトの進歩で人間に耳心地良い音楽 が演奏できている。 ・人間は死に巻き込まれながら作ったものが芸術だと思う。人間は、その芸術に支えられて生きてきたと思 う。 ・コンピュータと人間の大きな違いは、自分の手を動かしてモノを作ることは楽しいと思うことにある。 ・動物と芸術について、それが反応なのか理解なのか判別が難しい。人間も芸術を理解しているかは疑問が 残る。YouTube でスノーボールという鳥が音楽に合わせて足踏みして踊っていると学問的には確率が高い と言われている(足踏みしていることが音楽を理解しているかということになるのか)。先程、折紙でも受 け手がどれくらい理解しているかによって、受け手の理解が変わる。理解という言葉をどう考えるかが必 要である。 ・理解という言葉をどう定義するかは難しい。ただ、美術館に行ってざっと見渡して直ぐに自分の気に入っ た絵を見つけたり、様々な音楽が流れえいる中でこの曲とかピンとくる。それは理解ではなく、自動反応 でそれがトリガーになって、深く聞いたり調べたりして、初めて集中して昔の経験などと比べて脳内に何 らかの回路が形成されることが理解だと思う。 ・計算速度の向上がもたらす相転移として、(昔)計算速度が人間を超えたとき、物理学(大砲の弾道計算)と 経済学(銀行のオンラインシステム)が基本原理、(今)数値計算から情報処理へ、自然言語処理、検索技術 と統計学が基礎、(未来)決定論的処理(答えが 1 つ)から創造性の獲得(芸術)へ、認知科学・(宗教・倫理学) が基礎、基本原理を発見するか?芸術へと発展するか? All Rights Reserved, Copyright© サイエンティフィック・システム研究会 2015 2. シンギュラリティが起こった時、世の中(人間)はどう対応するのか。 ・シンギュラリティが理論的・技術的に可能だとしても、世の中の変化が追い付いていけない(大きな変化 はない)のではないだろうかと考える。 ・シンギュラリティについて、間違いに気づいて方向修正できることが重要だと思う。間違いを修正できる 仕組みとして、科学や政治(民主主義)・経済(市場原理)がよく似た仕組みを持っている。 ・シンギュラリティについて思うことは、 「機械が人を超える」は既に歴史上経験されており、産業革命など。 つまり、産業革命を人類がどう乗り越えたかを参考にすればシンギュラリティも乗り越えられると考える。 予想される変化は既に起こり始めている。 ・ボトルネックは、 「人間は歴史を振り返らないこと」である。様々な文明やそこにいた人々は何らかの理由 で絶滅している。文字に残しておけば、後世の人がそれを見て過ちを繰り返さないと思っているが、絶滅 は何度もあるので、そうではないと思う。 ・機械ができなくて人間ができることが人間らしいことと考えている。 ・もてないというキーワードがあったが、昔はローカルのエリアでの競争だったが、現在はエリアが大きく なっているので、競争に勝てなくなっている。現在は人であるが、今後は機械との競争になるかも知れな い。現在も起こっているが、中途半端な人間はもてない。また、仕事もある分野で仕事ができているが、 今後はどうなるか分からない。多様性の話もあったが、今後各分野ですごい機械ができた後、人間はどう 生きていくのかという哲学的なことを考えなければいけない時代になると思う。 ・天動説から地動説に変わったパラダイムシフトで、人間は直ぐに変われないので古い人が退官したりして、 連続性の中で新陳代謝していった。人間の細胞も新陳代謝を繰り返して変わっており、いつまでも変わら ないと癌化していくのと一緒だと思う。そう考えるとシンギュラリティよりも問題なのは、人間が死なな くなることだと思った。 3. 2045 年、社会、くらし、働き方(職種)などは、どうなっているか。 ・シンギュラリティで、2045 年に人間を越えているすごいロボットはできていないと思う。 ・30 年後も大きく変わらないが、今よりは便利になっているとは思う。 ・CG を研究しており、究極の目標は、CG と現実が区別がつかなくなることで、ほぼやり尽くした。昔はモ ーションキャプチャ技術で人間の動きを再現していたが、子供たちはアイドルマスターで CG の中で踊っ ているアイドルのマネをしている。子供たちが大人になった時、コンピュータに対するライバル心ではな く、違和感無く素直にコンピュータは良い先生(手本)になり、コンピュータに学びながら成長していくと 思う。 ・レイ・カーツワイルの「The Singularity Is Near」の本の信者なのでシンギュラリティは来ると思ってい るが、30 年後ではないと思う。アシスタント的な機械が 1 人 1 台あると思う。 ・働き方について話すと、生産性を高めていくと仕事が減り、今無い仕事(働き方)をしていると思う。また、 自分の個人情報を売って生活しているかもしれない。自分の欲しいものを公開し、その要求に対応しても らう。 4. 詳細な内容は、以下の URL から YouTube にて動画をご覧ください。 http://www.ssken.gr.jp/MAINSITE/event/2014/20150107-tabletalk1/ 以 All Rights Reserved, Copyright© サイエンティフィック・システム研究会 2015 上
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