不動産投資と税金

税制
チェックポイント
不動産投資と税 金
不動産賃料に対する税金はどのように計算するか?
賃料収入から控除できる必要経費には決まりがあります。
不動産の貸付による所得は所得税の課税対象となります。不動産所得は、
1年間の賃料などの収入金額
から必要経費を控除して算出します。
不動産所得
=
総収入金額
−
必要経費
この不動産所得は、確定申告により給与所得などその他の所得と合算され、その年分の所得税が計算さ
れます。
所得が高い方ほど税率が高くなりますので、既に給与所得等が高い方は、不動産所得に対する税額も割
高になります。
所得税
= 課税所得金額A ×
税率B
住民税
= 課税所得金額A ×
10%
■所得税速算表
〈平成26年まで〉
課税所得金額 A
195万円以下
330万円以下
695万円以下
900万円以下
1,800万円以下
1,800万円超
−
控除額C
〈平成27年以降〉
税率 B
5%
10%
20%
23%
33%
40%
(注)
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間、
復興特別所得税として2.1%上乗せされます。
◆住民税率
課税所得金額 A
195万円以下
330万円以下
695万円以下
900万円以下
1,800万円以下
4,000万円以下
4,000万円超
控除額 C
─ 9.75万円
42.75万円
63.60万円
153.60万円
279.60万円
税率 B
5%
10%
20%
23%
33%
40%
45%
控除額 C
─ 9.75万円
42.75万円
63.60万円
153.60万円
279.60万円
479.6万円
課税所得金額 A
一律
10%
(注)
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間、
復興特別所得税として2.1%上乗せされます。
総収入金額とは
「家賃」
「地代」
「礼金」
「更新料」
「権利金」
「共益費」などは総収入金額とされます。
「敷金」や「保証金」
など返還を要するものは総収入金額には含まれません。
必要経費とは
不動産賃貸に伴って生じた事業上の支出のうち、主として次のものが必要経費となります。
○不動産取得時
必要経費となるもの
・不動産取得税
・登録免許税
(登記費用)
・収入印紙
○不動産賃貸時
取得価額となるもの※
・土地・建物の購入代金
・設計変更費用
(オプション)
、
リフォーム費用
・空調設備・給排水設備
・仲介手数料
・固定資産税等精算金
必要経費となるもの
・固定資産税等、事業税
・修繕費
・損害保険料
・管理費、修繕積立金
・管理手数料、広告宣伝費
・水道光熱費
・減価償却費
・借入金金利 など
必要経費にならないもの
・借入金の元本返済金
・所得税、住民税
・家事上の経費
※取得価額とされた支出のうち建物に含まれた金額は、減価償却により耐用年数に渡って必要経費とされます。
平成28年4月1日時点
給与所得者が賃貸用マンションを購入し、賃貸した場合
具体例
経費
平成28年分 給与所得の源泉徴収票
を受け
る 者
種 別
支 払 金 額
内
給料・賞与
無 従有 従無
(摘要)
千
3万円
不動産会社管理費 月
2万円
所得控除の額の合計額
円
控除対象扶養親族の数
(配偶者を除く。)
特 定
円
人 従人
老 人
内
その他
人 従人
人 従人
支
払
者
死
亡
退
職
国
人
災
円
乙
害
欄
者
住所(居所)
又は所在地
千
源 泉 徴 収 税 額
円内
千
特 別
内
人
人内
本人が障害者
特
別
そ
の
他
寡 婦
一
特
寡
般
夫
別
勤
労
学
生
千
円
千
円
千
1,370,000 50,000
円
千
円
国民年金保険料等の金額
円 介護医療保険料の金額
円
配偶者の合計所得
円
新個人年金保険料の金額
円
新生命保険料の金額
円
旧個人年金保険料の金額
円
旧長期損害保険料の金額
円
旧生命保険料の金額
外
(うち建物2,500万円)
管理費・修繕積立金 月
千
12,300,000 10,000,000 1,800,000 1,276,200
住宅借入金等特別控除可能額
未
成
年
者
野村 太郎
障害者の数
社 会 保 険 料 &生 命 保 険料 地震保険料 &住宅借入金等
(本人を除く。)
等 の 金 額 &&の 控 除 額 & &の 控 除 額 & &特別控除の額
その他
円
居住開始年月日
扶 !"#
%
養歳
親未
族満
人
ノムラ タロウ
円
給与所得控除後の金額
千
控除対象配偶者
&配偶者特別&
の有無等
老人 &控除の額&
有
氏 (フリガナ)
名 (役職名)
世田谷区世田×××
購入金額 5,
000万円
1
(受給者番号)
住
所
又
は
居
所
支 払
100,000
円
中 途 就 ・ 退 職
就職
退職
年
月
受 給 者 生 年 月 日
日
明
大
昭
平
年
月
日
株式会社 ABC
整 理 欄
①
固定資産税 年 15万円
借入金の利息 年 60万円
賃 料 月 20万円
その他の経費 年 20万円
礼 金 20万円
新宿区西新宿×××
氏名又は名称
収入
(電話)
315-1
②
不動産所得
総所得金額
50万円 + 1,000万円 =
総収入金額
賃 料(20万円×12月) 240万円
−
所得控除額
礼 金 20万円
180万円
(源泉徴収票より)
合 計 260万円
必要経費
=
課税所得金額
管理費・修繕積立金(3万円×12月)36万円
870万円
不動産会社管理費(2万円×12月) 24万円
固定資産税 15万円
所得税額
借入金の利息 60万円
①870万円×23%―63.6万円 = 136.5万円
減価償却費(2,500万円×0.022) 55万円
(注)
②136.5万円×2.1%=
その他の経費 20万円
合 計 210万円
不動産所得
1,050万円
③ ①+② =
28,665円
1,393,665円
(
(注)
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間、復興特別所得税として本税に2.1%上乗せされます。
260万円−210万円= 50万円
源泉徴収税額
−
1,276,200円
(源泉徴収票より)
※ 青色申告特別控除は考慮しておりません。
給与所得
1,000万円
納付税額
=
所得税 117,400円
(百円未満切り捨て)
※他に不動産所得に対する住民税が5万円追加で課税されます。
■手続き
○賃貸開始時
不動産の賃貸事業を開始した場合には税務署に対し、次の届出書を提出します。
個人事業の開業届出書
事業開始から1ヶ月以内
必ず提出
青色申告承認申請書
事業開始から2ヶ月以内
※青色申告を選択する場合
減価償却資産の償却方法の届出書
事業開始の翌年3月15日
定率法を選択する場合
(建物は定額法のみ)
※青色申告とは、一定の帳簿書類を備え付けることを条件に、青色申告特別控除などの税務上の特典が認められる制度です。
○ 確定申告時
1年間(1月1日∼12月31日)
の不動産所得を計算し、翌年の3月15日までに住所地管轄の税務署へ確定申告書
を提出しなければなりません。
また、納付税額がある場合には、同日までに納税をしなければなりません。
平成28年4月1日時点