大学女子バレーボール選手に対するトレーニングサポートと トレーニング意識および柔軟性の向上との関連について 田原 はるか (競技スポーツ学科 トレーニング・健康コース) 指導教員 中村 亜紀 キーワード:柔軟性、体脂肪率、ウエイトトレーニング 1.緒言 競技スポーツにおいて最大のパフォーマン スを引き出すためには、最高のコンディション で競技に臨む必要がある。コンディションの向 上には柔軟性の向上やウエイトコントロール などがあげられる。しかし、学生アスリートの 場合、練習時間は限られており、多くは自己管 理によるコンディショニングを行わなければ ならない。 本研究では、本学女子バレーボール部の競技 パフォーマンス向上のため、体脂肪率の維持、 柔軟性の向上を目的としたトレーニングサポ ートを行い、そのトレーニングサポートの有効 性と体脂肪率と柔軟性の関係を検討した。また、 トレーニング意識調査とウエイトトレーニン グ前後の疲労度調査を行い、競技現場にフィー ドバックすることを目的とした。 2.方法 対象者は本学女子バレーボール部の現役選 手 28 名とした。柔軟性の向上を目的に、首・ 肩・股関節に重点をおいたストレッチ(10 項 目)を練習前後(1 日 2 回)に行った。首・肩・ 股関節の可動域の測定は 2 ヶ月に 1 回行った。 また、体脂肪率の維持を目的に、スロートレ ーニングを用いた。2011 年 7 月からの 3 ヶ月 間、連続しないように週 3 回練習後に行った。 体組成の測定は毎月 1 回行った。 トレーニング意識の調査は 2011 年 7 月に行 い、疲労度調査は 7 月、10 月、11 月のウエイ トトレーニング前後に実施した。 3.結果と考察 トレーニング意識調査から、「トレーニング は大切か」という質問に対して、部員全員が「非 常に思う」 、 「ある程度思う」と回答し、トレー ニングの大切さは認識していた。しかしその一 方で、自主トレーニングを行う部員はほとんど おらず、自主トレーニングに対する意識はかな り低かった。 7 月からストレッチを行い、2 ヶ月おきに可 動域を測定した。股関節は左右ともに可動域が 広がり、左右の違いはなかった。しかし、肩関 節は右の可動域のみが広がり、左右で可動域の 変化が異なっていた。 バレーボール選手は利き腕の内旋可動域が 大きくなることが報告されている。右利きの多 い本学女子バレーボール部では、右側の肩関節 の方が左側よりも可動域が広がったと考えら れる。 (度) 40 35 30 25 34.6 36.8 33.8 32.2 33.5 32.1 右肩関節 左肩関節 7月 9月 11月 図 1. 肩関節の柔軟性の変化 4.まとめ トレーニング意識調査から、本学女子バレー ボール選手において、トレーニングの大切さを 認識していることが明らかとなった。 股関節の可動域を広げるためには、今回行っ たストレッチが有効であったと考えられた。し かしながら、首や肩関節には有効性が認められ ず、改善する必要がある。 今後は、更に部位の特徴を捉えたストレッチ を行うことと、自主トレーニングの大切さを伝 え、個々のトレーニング意識を高めていくこと が必要である。 5.参考文献 マイケル J.オルター〔著〕山本利春〔監訳〕 伊藤マモル〔訳者〕(2010)柔軟性の科学 株 式会社大修館書店
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