NP1 天然物化学 天然物の定義:生物(主に植物)由来の(有機)化合物 一次代謝産物:生体の各組織を構成、エネルギー源 タンパク質、アミノ酸、炭水化物、脂質、核酸(生化学で扱う) 二次代謝産物:情報伝達、調節など(天然物化学でも扱う) 性質 生体機能調節(ホルモン、ビタミン、、、、) 情報伝達(フェロモン) 毒(薬) 香料:バニリン、リモネン、メントール、、、 色素:カロテノイド、フラボノイド、、 分類 1.脂肪酸、ポリケチドの誘導体:プロスタグランジン、マクロライド O R1O HO COOH HO OR2 O OH O O プロスタグランジンE2 HO エリトロマイシンA C2H5 HO 2.イソプレノイド:テルペノイド、ステロイド、カロテノイド リモネン 2 β-カロテン コレステロール HO 3.芳香族化合物 バニリン、サリチル酸、桂皮酸、フラボノイド、、、 OH HO COOH CHO HO O CH3O OH OGlu バニリン OGlu 桂皮酸 シアニン(Glu: Glucose) 4.含窒素化合物(アルカロイド) エフェドリン、ニコチン、キニン、モルフィン、、、、 H3C OH NHCH3 CH3 エフェドリン N N COOCH3 N H CH3 ニコチン O HO H N O コカイン N キニン NP2 5.ビタミン(補酵素の原料) 構造の特徴を中心に概要を紹介する **(参考)生合成の流れ 一次代謝産物 二酸化炭素→(植物)→糖、アミノ酸、脂肪酸の原料(acetyl CoA)など→ (動植物)→炭水化物、タンパク質、脂質、核酸など 二次代謝産物 一次代謝産物→多種多様な化合物 1.脂肪酸、ポリケチドの誘導体 1.1.脂肪酸の生合成 H3C C 活性メチレン CO2 SCoA CH2 C HOOC O SCoA + O H3C C -CoAS- SCoA O malonyl CoA acetyl CoA COOH H3C C O CH C SCoA -CO2 O 還元 H3C C CH2 C O O SCoA malonyl CoA acetoacetyl CoA H3C H2 C malonyl CoA CH2 C ポリケチド H3C SCoA H2 C H2 C C SCoA nO O 炭素数は偶数 還元が不完全だとOHが残り、不飽和脂肪酸になる。 1.2.プロスタグランジン アラキドン酸(C19H31COOH)から生合成される COOH アラキドン酸 O COOH HO OH PGE2 各種の細胞調節機能 安定性低い。体内では微量存在(役割を果たしたら分解される)。 1969年全合成(E.J.Corey、1990年ノーベル化学賞) NP3 COOH 種類 プロスタン酸(基本骨格) 鎖状部 環状部 HO O O O OH HO O O A B C O O HO D E HO Fα COOH COOH OH O OH 1 B J A COOH トロンボキサン (TX) 3 OH 2 O HO 1.3.ポリケチド誘導体 脂肪酸合成の途中で生成したケトンを還元せず、炭素鎖を伸ばす。 malonyl CoA H3C C CH2 C O O H3C SCoA -CoAS- H2 C C H C H SCoA nO マクロライド系 抗生物質 n n 大環状ラクトン (分子内エステル) (3.芳香族化合物) O OR3 R1O HO OR2 12 14 R O O OR1 C2H5 R O C polyketide OH HO H2 C O acetoacetyl CoA H C C HO メチマイシン OAc O OHC O OCH3 16 O O R C2H5 HO OH ロイコマイシンA3 エリトロマイシンA (malonylCoAのCOOHを脱炭酸せずに還元するとCH3になる) OH OH O S HO O OH OH 38 OH OH O H OR4 Streptomyces属から 得られる抗生物質 OH COOH アンホテリシンB NP4 2.イソプレノイド 2.1. 天然の脂肪族炭化水素 (C5H8、イソプレン:天然ゴムの構成単位) C10H16:モノテルペン C15H24:セスキテルペン C20H32:ジテルペン (C25H40:セスタテルペン) C40H64:カロテン ステロイド(C27) C30H48:トリテルペン イソプレン則:イソプレン骨格の繰り返し構造 nD-nR (二重結合の数-環の数) 多数の構造異性体 IHD C10H16:モノテルペン 3 3-0 C15H24:セスキテルペン 4 4-0 C20H32:ジテルペン 5 5-0 C25H40:セスタテルペン 6 6-0 C30H48:トリテルペン 7 7-0 0-3(4通り) 0-4(5通り) 0-5(6通り) 0-6(7通り) 0-7(8通り) これらに水が付加したり、さらに酸化された化合物:テルペノイド OH O 2.2.イソプレノイドの生合成 O O OH OH SCoA SCoA HOOC HOOC O OH SCoA (R)-メバロン酸 O -CO2,-OH OPP OH OPP OOC OPP OPP PP:ピロリン酸 OPP セスキテルペンetc. モノテルペン NP5 2.3.モノテルペノイド 植物の精油、香りの成分 2.3.1.鎖状化合物 OPP ミルセン OH OH O シトロネラール(柑橘臭) シトロネロール(柑橘臭) ゲラニオール OH O O ネロール α-シトラール(柑橘臭) β-シトラール(柑橘臭) 2.3.2.環状化合物 1 2 3 4 2 OPP 1 カルボカチオンの挙動 3 カレン(マツ) 4 リモネン(柑橘臭) HO ボルネオール (ショウノウ臭) HO ほとんどはイソプレン則を みたしている。 メントール(ハッカ臭、清涼感) HO O ヒノキチオール (野副鉄男、1943) ピネン(マツ) O ショウノウ (カンファー) NP6 2.4.セスキテルペノイド OPP OH ファルネソール O O O セリネン (セロリ) サントニン (キク科、駆虫薬) O O ゲルマクロン (フクロソウ) OH グアイオール (ヒノキ科) ヌートカトン (グレープフルーツ) OH エレモール (カンラン科) 2.5.ジテルペノイド イソプレン則を満たしているものも少なくない。 AcO O O RO O O OH HO O O AcO O アビエタジン (マツ) Head-to-tailになっていない モミラクトン (イネ) ○ タキソール(イチイ) イソプレン則が成り立つか? NP7 2.6.トリテルペノイド C15ユニットがtail-to-tailで結合 スクアレン E E X 環化 X H H H HO O 骨格転位の繰り返し H HO HO HO ラノステロール(羊毛) β-アミリン (エンドウ) ルペオール (ノボリフジ) ステロイドへ H H H O OH H H H OH O O H H H H H O HO O プロゲステロン (黄体ホルモン) コレステロール 各種のステロイドホルモン の原料 コルチゾン (副腎皮質ホルモンの一つ) OH OH H H H H H H H HO O テストステロン (男性ホルモン) エストラジオール (卵胞ホルモンの一つ) NP8 C20ユニットがtail-to-tailで結合 2.7.カロテノイド 各種の色素(長い共役系) リコペン(トマト) 環化 β-カロテン(ニンジン) OH HO 視覚とビタミンA ルテイン(黄葉) OH レチノール(ビタミンA) 不足すると夜盲症→失明 7 O 10 11 8 9 hν レチナール O 11-cis-レチナール 視覚タンパク質ロドプシンの成分 2.8. 植物ホルモン (1)ジベレリン:生長促進、休眠の覚醒 (2)アブシジン酸:生長抑制、落葉、休眠促進 H OH HO COOH COOH ジベレリンA14 COOH O セスキテルペノイド ジテルペノイド (3)エチレン:果実の熟成・落果の促進、落葉の促進 NH2 S COOH メチオニン NH2 COOH H2C CH2 + CO2 + HC HC O N OH + NH3
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