住まいの快適を支える 空 換 調 (3) 気 と ■ノルウェー 0.6回/h ■カナダ 0.6回/h 必要排気量が大きく、 トイレ36m 、 浴室36m 、 洗濯室36m に加 諸外国のなかでも最も参考になると思われるのが、 カナダです。 えて、 炊事の際には72m の排気が必要と、 必要換気回数は0. 6 この国では給気と排気の双方から必要量を計算して、 どちらか 回/hになります。特徴は、 不在時でも0. 4回/hの換気を求め 値の大きな方を基準とするやり方を採用しています。必要給気 ている点です。 量は、 主寝室と地下室が36m /h。シングル寝室、 居間、 食堂、 ■スウェーデン 0.53回/h 家事室、 台所、 浴室、 洗濯・洗面室は18mとなっています。一方、 3 3 3 3 高気密・高断熱住宅での 空調・換気システムの旅! 3 3 床面積1m 当たり1時間に1. 26m の換気量を最低基準としてい 必要排気量は、 台所54m /h、 浴室・ トイレ36m /h、 トイレだけ ます。 この基準を当てはめると、 換気回数は0. 53回/hとなります。 18m /hという数値で。これらを先の住宅に当てはめると給気 この規則は強制力があり、規定に達していない場合は改修が 量180m /h、 排気量126m /hとなり、 大きい方の給気量から 必要です。 算出した必要換気回数は0. 6回/hになります。 3 2 3 3 3 3 高気密健康住宅研究所 鵜野 日出男 3 しかし、 カナダでは政府の定めた相当隙間面積0. 9cm /mと 2 ■デンマーク 0.5回/h 住宅の換気の法定基準は、皆さんもよくご存知の1時間当たり0. 5 回です。しかし、 これはあくまでも最低限の値。この基準さえ守って いれば快適に暮らせるというわけではありません。どう考えて、 どん な目安で決めればよいのでしょうか? 海外の基準を手がかりに探ってみました。 2 いう世界最高度の高気密性をもつ「R2000住宅」があり、 この 住宅全体で0. 5回/hの換気を基準としています。スウェーデン 場合は計画換気が完全に行えるため、 有害化学物質や二酸化 と同様に規則には強制力があり、違反すると罰金が科せられ 炭素濃度が上がり過ぎないように考慮すれば、 0. 3回/h以下 ます。 であっても問題は生じないそうです。 ■フランス 0.7回/h お施主様の満足を勝ち得るために 3室なら150m 、 4室なら165m 、 5室以上なら210mといった具 3 3 3 合に、 居室の数で1時間当たりの最小排気量が決まります。今 これまで見てきたように、 実際の現場では適正換気量は一律 回想定した住宅は6室なので210mとなり、 排気回数は0. 7回/ 3 に何回という決め方でなく、 在室人数、 有害化学物質量、 部屋 住宅の実情にあった換気プランを hです。 昨年の7月から施行された改正建築基準法では、 1時間あた ■ドイツ 0.6回/h り0. 5回の機械換気が義務付けられました。この数字は、天井 床面積が80m で居住者が4名までの場合は、 1時間当たり120 高さ2. 4mで広さが120m の住宅に4人家族が暮らしている場 m。 80m を超え、 6名までなら1時間当たり180m です。今回の 合ならば、 1人当たりの換気量は36m /hで、 適正な数値です。 住宅は180m となり、 必要最小排気回数は0. 6回/hです。 の広さ、喫煙者の有無などの条件によって、法定基準プラスア ルファを考慮する必要があります。お施主様の真の満足を得る ため、 こうした点にも充分注意して換気プランを策定してください。 2 2 3 3 2 (※もちろんわが国では、 法定基準の0. 5回/h以下にならない 3 ようにしなければなりません。) 3 しかし、同じ住宅に6人家族が暮らしていたとすると、 どうでし ょうか。この場合は1時間あたり0. 5回では1人当たり換気量が 24m /hとなり、 少し不足ぎみですね。 3 高気密住宅ほど必要換気量が少ないってホント!? この例からも分かるように、 ただ単に法律で決められた「0. 5 高気密住宅と、隙間の多い住宅。必要換気量が多いのは、 自然換 回/h」をクリアしておれば良いと考えるのは、 プロとしてのある ノルウェー 気量の少ない高気密住宅だと思っている方が多いのではないでしょうか。 べき姿ではありません。その住宅の諸条件を加味して、 住む方々 0.6 ところがこれは誤り。高気密住宅では排気量の60∼70%相当を給気 回/h 口から吸い込んで、住宅全体の空気を効率よく計画的に換気しますが、 にとって本当に健康的で快適な換気プランを考えることが必要 なのです。そこで、 適切な換気を考えるうえでの手がかりとして 隙間がちな住宅では、排気ユニットが設置されている洗面や風呂場、 1F 廊下などから外気が入り込んで、つまりショートサーキットしていて、肝心 諸外国の換気基準を比較してみましょう。 の居室の空気が入れ替わりにくいのです。アメリカ空調学会の実験で デンマーク では居室の空気の も、気密性の低い住宅(相当隙間面積2cm /m ) 2 0.5 回/h カナダ 各国の換気基準を比べてみると 20%しか換気できず、一方5倍の高気密住宅では90%弱の空気が入 れ替わったと報告されています。換気効率から考えても、高気密住宅を 0.6 回/h 空調と換気について研究している東北大学の吉野博教授は、 2 お勧めしたいですね。 諸外国の換気基準についても調査をしています。その結果をも とに、 右のような住宅に、 各国のルールをあてはめた場合の換気 回数をご紹介しましょう。 スウェーデン フランス 0.7 床面積 1階=63m 2階=63m 計 126m 2 2 2 回/h 容積 1階=151m 2階=151m 計 302m 3 0.53 回/h 居住者 4名(夫婦、子供2人) 3 3 2F ドイツ 0.6 回/h 10 11
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