[ 第 18 回 下町撮影技術検討会感想文 ] 高砂協立病院付属 西小岩クリニック 井上 智路 この度は第 18 回下町撮影技術検討会に参加させていただきましてありがとうござい ました。 活動報告では我々技師が得る撮像と理学療法士からの要求する撮像とは意味合いが 異なるということがわかりました。たとえば整形外科領域では、技師は被ばくの問題を 考慮して必要最小限に極力照射野をしぼりますが、理学療法士からは周辺の広範囲の情 報も要求していることが伝わりました。このことは、理学療法士の要求どおりですと一 般撮影ではなかなか難しい問題であると認識しました。しかし、放射線撮影技術学だけ に捕らわれるのではなく、患者のシチュエーションに合わせてトータルにサポートする ことで、本当の問題が見えてくるのではと思いました。 特別講演におきましては理学療法士から見た撮影時の『介助法』でしたが、ここでは 実技を中心に実際に体験をしながら講義が展開されていきました。実践では、ひとつに は『つかむ動作』がありました。最初に身体に触れる際に手でいきなりつかむのではな く、手のひらから当ててコの字になるように優しくつかんでいくという動作体験とその 受身の体験(体感)の両方についておこないました。この際、2 人 1 組で目を閉じた状態 で腕をお借りしておこないましたが、やはり突然つかまれると驚きましたし、これでは 次にどうされるのか不安になると感じました。また、もうひとつには、恥ずかしながら 初めて耳にしました『移乗動作』がありました。ここでは車椅子からベッドへの患者移 動を、初心に戻って自ら手を挙げて体験をいたしました。私自身が左脚を屈曲できない ように固定された状態になり、移動されるほうと移動するほうを体験いたしました。自 分自身も感じとることができた不快感や不安を与えるような、いきなり力づくに真上に 持ち上げるのではなく、相手の上半身を手前に引いて前かがみになるようにしてからゆ っくりと立ち上げて移動するという方法を教わりました。この方法は人が普段なにげな く生活している際に、椅子から立ち上がる動作を基本になるようにおこなっていたので す。このように介助法には普段から人が生活している動作にヒントがあるということも 教わりました。 私はこれまで撮影時のポジショニングでは、できるだけ患者にも自分自身にも負担の かからないように意識しておこなってきました。いえ、そのつもりでした。しかし今回 の貴重な講演と実技に自ら参加させていただいた結果、人の感覚や感情は非常に敏感で かつ繊細で個々に大きく異なることに気づき、その奥深さを感じとりました。これから は今回教わったことを意識して患者の対応に取り入れていきたいと思いました。
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