How to Select tHe BeSt InduStrIal camera

How to Select the
Best Industrial
Camera
はじめに
開発の初期段階にシステムに合った産業用カメラを選択することが将来発生する可
能性のあるコスト高な設計変更やアップグレードの抑制に繋がる。問題は最善のカ
メラを如何に決定するかということである。最善とは何時でもニーズに依拠する。
世の中には数百という高性能産業用カメラの選択肢があるが、カメラ選定をするに
当たり何から始めるべきだろう。
当社では最善のカメラを探し出すプロセスで参考になると思われる段階的アプロー
チを提案している。アプローチの概要は以下の通りであり、本ペーパーでその詳細
を述べていく。
1.
2.
3.
重要なカメラパラメーターの特定
a.
理想のカメラを明確にする
b.
要件に優先順位をつける
c.
既存製品の仕様を比較する
カメラの予備選択
a.
可能性のある製品リストを作成する
b.
仕様を徹底的に比較する
c.
選択肢を絞るために参考意見を聞く
カメラ評価
a.
画像を見る
b.
フォトントランスファー曲線を測る
c.
装置に設置してテストする
これらの段階を終えた時点で、装置にとり最善のカメラが分かるはずである。勿
論、価格と価値のバランスの検討や、そのカメラメーカーの適切なサポートや生産
管理についても判断しなければならない。もしその時点でニーズに合う既存のカメ
ラが見つからなかった場合には、おそらく何がしかの仕様変更をすることにより最
適なカメラを手にすることが可能であろう。
Step 1
重要なカメラパラメータの特定
先ずは、そのシステムにとって最も重要なカメラパラメータを特定するための手掛かりを挙
げてみる。最終的に必要とされる、結果として表れる画像の特性から始めると最も明確にな
るだろう。次の項目の画像ニーズを考えてみよう。
コントラスト
コントラストとは最も明るい部分と最も暗い部分の輝度の差である。光学系で
の反射やセンサと光学系の間での反射により好ましくない影響を受けることが
ある。精密な計測ではこれらの反射により精度が損なわれることがある。コン
トラストはカメラのダイナミックレンジ(識別可能な信号の最大値と最小値の
比率)とリニアリティ(イメージセンサの理想的な応答との偏差)と関連して
いる。アプリケーションによってはカメラに使用するイメージセンサからカバ
ーガラスを外すという要件が重要となる場合がある。
解像度
解像度とは検出される視野(FOV)を考慮に入れたセンサ解像度のことである。
主として取り込まれる最大空間解像度を規定する。計測アルゴリズムと合わせ
て設計される装置では被写体ごとの画素数や画像ごとの被写体数といった数が
算出されるはずである。
シャープネス
シャープネスはイメージセンサと光学との組み合わせに影響される。両者が上
手く適合していない場合には空間解像度が不鮮明になる。
歪曲収差
歪曲収差は画像内の二次元領域の空間再現のエラーである。イメージセンサと
光学系の組み合わせがこの現象を左右する。
ノイズ
センサ画素レベルにおいてのノイズとはショットノイズである。画像レベルか
ら見た場合、ノイズは一定の均一性で二次元領域を再現するカメラ性能と関連
している。カメラによる非均一性は主に画素間のオフセット、ゲインなど差(
例えばノイズ)または画素、画素列、カラムなどの欠陥に起因する。特にイメ
ージセンサの解像度が増した場合(例えば数百万画素の視野)、広い領域での
非均一性はカメラの解像性能を制限することになる。カメラの安定性は画像間
の比較をした場合に時間軸ノイズとして現れる。不安定な動作は画像間の微妙
な輝度の差を正確に取り込む能力を制限することになる。つまり設計の拙いカ
メラは優れたイメージセンサからの画像を台無しにする。
理想のカメラを明確にする
これらの特性を検討した後にどのように必要な
重要なカメラパラメータ
カメラを決定するのだろうか。最善にするため
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に、全てを求めるだろうか。そうであれば右の
表に挙げられているような多くのパラメータで
最高レベルであるカメラを意味することにな
る。
シーン内のダイナミックレンジ
検出リニアリティ
ピクセル(ショット)ノイズ
画像の均一性
光反射
変調伝達関数 (MTF)
視野内解像度
幾何学的歪み
カメラ安定性
感度
フレームスピード
スミア(センサ取込の動作)
ブルーミング
要件に優先順位を付ける
上に挙げた全ての項目での理想的なレベルを特定すると、それら全てを満たすカメラの費用
効率は余り良くないということに気付くであろう。そのために、必要とする要件を満たす画
質を達成するために最も重要な五つのパラメータをこのリストから優先順位をつけて選ぶと
いうことも一つの方法である。
先ず基本として解像度と必要なフレームスピードに絞り込むと良いだろう。それからは少し
ばかり難題である。例えば、その計測でのリードノイズまたはショットノイズ制限の有無。
必要とされる実際の感度を決める照明や採用する光学などシステム要件も考慮しなければな
らない。高性能カメラを購入してもそれに見合わないレンズなどを使用すれば期待する結果
は得ることができない。また特にそのプロジェクトが既存システムのアップグレードの場合
にはインターフェースも考慮する必要がある。
既存製品の仕様を比較する
ここまで来れば必要とする仕様に合う製品を探す準備ができたことになる。インター
ネット検索、展示会、サプライヤへの問合せなどにより、どのような選択肢があるか
アドバイスを得ることが可能であろう。
Step 2
カメラの予備選択
必要な機能を搭載したカメラのリストを作成する
次のケースを想定してみよう。画像に幅の広いコントラス
トが必要と決定した。それは高ダイナミックレンジが必要
ということを意味する。そして他のシステム条件から最低
でも毎秒150枚の4百万画素の画像が必要である。そのシス
テムはすでにカメラリンクインターフェースをベースに設
計されている。一回の計測に数枚の画像を仕様するために
画像間の影響を最少にするようにグローバルシャッターを
使いたい。
この想定はある特定のセンサ、この場合はCMOSIS CMV 4000を採用したカメラへと検索を
絞り込むことになるだろう。同じイメージセンサを採用していたとしても、サプライヤごと
に異なる方法や異なる条件で測定された数値のために、最初に検索を始める時はカメラ仕様
の比較は難しいかもしれない。また同じセンサを採用しているカメラなのにダイナミックレ
ンジのような幾つかのパラメータで異なる数値を表示しているのも紛らわしい点であろう。
カメラの詳細比較
例えば、P社、V社の製品とAdimec QUARTZ Q-4A180は全てCMOSIS CMV4000イメージセ
ンサを搭載している。ダウンロードなどで各メーカーより入手できる資料には以下のような
記載がある。
P社
SNR 58 dB
Adimec QUARTZ Q-4A180m/CL
Dynamic Range 60 dB
V社
Dynamic Range 56 dB
これらの数値は各社それぞれの計測方法により得られたものである。またP社はダイナミッ
クレンジではなくS/N比として数値を示している。EMVA1288(カメラ仕様表示規格)はカ
メラパラメータを数値化し比較する方法を統一するために定められたものである。カメラメ
ーカーによっては第三者機関や自社で規格に沿った試験をしてデータを公表している。この
試験に掛かる費用が高額なこともあり独自の方法で試験をしいるメーカーもある。しかしな
がら、いくら比較可能なデータを収集したとしても、そのシステムにとり本当に必要な数値
を知ることが先決事項である。
3~5社のサプライヤに絞り込むためにエキスパートに 相談をする
この時点では未だリストには多くのカメラ選択肢が残っているかもしれない。そこで経験に
裏打ちされた専門知識のある人に相談してみることにより、更に選択肢を絞り込めるであろ
う。カメラをシステムに採用するにあたり、参考意見や評判を聞くなりして、それぞれのカ
メラ性能だけではなく、そのメーカーの安定性や一貫性についても調べるとよい。
カメラ評価をする前に . . .
メーカーや商社と話をしたり、評価用カメラの依頼をしたりする前に、カメラの性質ではな
く、今後長期に亘り続くことになるであろうビジネス関係に関する項目のチェックリストを
作成することをお勧めする。それにはサポートのレベル、サービスの質、長期間安定供給し
てもらえるか、どのようなマーケットに供給しているか等が含まれる。
ここまで終わった段階で3~5社に候補は絞られ、いよいよ評価を始める準備が整ったことに
なる。
Step 3
カメラ評価と最終選定
カメラメーカーから一貫性のあるデータを得たり、人から強く勧められたとしても、いくつ
かの性能パラメータの必須レベルを自分で決める必要がある。なぜなら時として価格がより
重要な用件に影響を及ぼすことがある。ほとんどの産業用カメラメーカーでは、実際に試し
てもらうための評価やデモに使う貸出用のカメラを用意している。このプロセスには多くの
時間を要する。そのため事前に候補のカメラを最小限にしておくことが大変重要である。
評価プロセスには時間が掛かるが、それにより次のことが可能になる。
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実際のハードウエア、ソフトウエア、また装置への組込みの確認
仮定の検証
提供されている仕様の検証
期待通りの計測が可能かどうかの確認
画像を見る
評価の第一歩としては、シンプルにカメラを動作させて、その結果の画像を見ると良い。ゲ
イン設定にして、欠陥画素や他のアーチファクトの様子を掴むこともできる。
フォトントランスファー曲線を測定する
評価中も性能の差を数値化する必要がある
であろう。フォトントランスファー曲線
(PTC)キャラクタリゼーション法はリードノ
イズ、暗電流、飽和容量、感度、ダイナミッ
クレンジ、ゲイン、リニアリティなどの性能
を検証するための標準化された試験手順とし
て採用されている。もしこの曲線を読み取る
ことができれば、一つのポイントのデータよ
りも曲線の方がより多くの情報を得ることが
できる。PTC較正の仕方やカメラパラメータ
の計算方法に関しては優れた情報源がある。
下のリンクはその例である。(英文)
http://www.couriertronics.com/docs/notes/cameras_application_notes/Photon_Transfer_Curve_
Charactrization_Method.pdf
http://harvestimaging.com/blog/?p=784
装置に設置してテストする
どのカメラが本当に最善であるかを見極めるためには、可能な限り実際に装置に、少なくと
もテストセットに設置してカメラを試してみる必要があるだろう。
これらの段階を終えた時点で、その装置にとり最善のカメラが分かるはずである。勿論、価
格と価値のバランスの検討や、カメラメーカーの適切なサポートや生産管理についても判断
しなければならない。しかしその時点でニーズに合った既存のカメラが見つからなかった場
合でも、おそらく何がしかの仕様変更により最適なカメラを手にすること可能であろう。そ
の時は、ベースになる製品とカメラをカスタマイズする意欲と経験を持ったメーカーを見つ
ける必要がある。
Adimec
Adimecはマシンビジョン、メディカルイメージング、ア
ウトドアイメージングなどの主要分野のアプリケーショ
ンごとの要件に対応する高性能カメラの開発および製造
に特化しています。1992年の創業以来、ワールドワイド
に大手装置メーカーと連携しながら、業界をリードする
カメラを開発してきました。
Adimec独自のTrue Accurate Imaging® テクノロジーによ
りビジョンシステムに全く新しいレベルの精密性と正確
性を提供します。さまざまなカメラ製品ラインにより、
性能、サイズ、価格、インターフェース、アプリケーシ
ョン要件などに幅広く対応します。Adimecでは、地域で
の親身なサポートによりお客様に貢献することを目的に
各地域に現地法人を置いています。
詳細な情報についてはお問合せください。
www.adimec.co.jp