陰嚢・陰茎部原発性リンパ浮腫に対する LVA の経験 大分三愛メディカルセンター 形成外科 浜田裕一、吉田周平、内野 忍 これまで女性の陰部リンパ浮腫や骨盤内リンパ嚢胞に対して LVA の有効性は報告してきた。 LVA だけでなく保存的加療も有効であることは以前から報告されており、両者の併用を行う ことが現状では最良の治療の一つと考えている。しかし男性の場合、解剖学的特徴や男性 独特の羞恥心等により保存的療法が軌道に乗らないことが多い。またせっかく自覚的所見 のみで形態変化を伴わない時期に医療機関を受診しても、治療法の困難さから経過観察を 指導され取り返しの付かない状態まで至ることもある。当科でもそのような男性陰部リン パ浮腫を加療してきた。原発性リンパ浮腫の診断で紹介を受け、当科受診後 PDE の所見な どから原発性リンパ浮腫と診断した症例の内、発症および顕在化より LVA までの期間が数 ヶ月、数年、数十年と罹病期間が異なる3例を供覧し治療経過・結果について報告する。 このような症例はリンパ浮腫に関わる医療者のみならず、非顕在化の状態では全ての医療 者が対応する可能性がある。当科の全症例に対する比率を考慮すると未診断・放置症例の 多さが危惧される。リンパ浮腫治療の考え方に対する興味深い示唆を与えくれる症例であ り、興味深い報告であると思う。実際の治療法選択の問題は主治医の専決事項であるが、 原発性のみならず本来、続発性リンパ浮腫にこそ LVA は適応されるものであり治療法の選 択枝の一つとしてより広く受け入れられることを望む。それと同時に LVA を行おうとする 外科医に対しても、特に最近 5 年間のこの分野における未発表のものも含めた大きな進歩 を取り入れた治療法の導入を期待する。
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