公法発展 川又伸彦

授業科目
公法発展
担当者
川又伸彦
授業科目群
法律基本
必修・選択の別
必修
開講年次・学期
2年次・ 後期
履修条件
行政法Ⅱ(行政救済法)を履修済みであること。加えて、3 年標準コースの学生
については、憲法Ⅰ(統治の基本構造ほか)、憲法Ⅱ(基本的人権の基礎)及び
行政法Ⅰ(行政作用法)を履修済みであること。
学習の目標
憲法問題を有する事件を裁判で解決するために、憲法上の論点をどのよう組み
立てていくかの基本的理解を、具体的事例の考察をつうじて習得することを目標
とする。そこでは、各人権の実体論の問題のみならず、司法審査制固有の問題も
取り上げる。また、個別の論点の基礎固めを行いつつ、各論点を単独に論じるの
ではなく、事案に即して論理的に関連付けて組み立てる応用力を養うことに留意
する。予め予習するべき事例、判例、文献を指示し、授業では、教員と受講者と
の対話を重視する。なお、判例は、原文を読むことが大切である。
授業の計画
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
第9回
第 10 日
第 11 回
第 12 回
第 13 回
第 14 回
第 15 回
教科書
芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第 5 版)』(岩波書店・2011 年)
佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂・2011 年)
高橋和之ほか『憲法判例百選Ⅰ、Ⅱ(第 5 版)』(有斐閣・2007 年)
主な参考文献
野中俊彦ほか『憲法Ⅰ、Ⅱ(第 4 版)』(有斐閣・2006 年)
渋谷秀樹『憲法』(有斐閣・2007 年)
戸松秀典『憲法訴訟(第 2 版)』(有斐閣・2008 年)
小山剛『「憲法上の権利」の作法』(尚学社・2009 年)
宍戸常寿『憲法解釈論の応用と展開』(日本評論社・2011 年)
初宿正典ほか『憲法 Cases and Materials 憲法訴訟』(有斐閣・2007 年)
川又伸彦『マスター憲法』(立花書房・2009 年)
試験・成績評価
の方法
講義最終回に試験を実施する。成績は、試験結果(70%)および平常点(出席・
レポート等、30%)により評価する。
司法審査制と事件性の要件
司法権の限界(統治行為論、条約の違憲審査)
司法権と団体内部の紛争
違憲審査の対象(立法の不作為)
憲法判断回避の準則
合憲限定解釈
基本的人権の範囲(「保護領域」論)と制限
包括的人権と違憲審査
法の下の平等と違憲審査
政教分離と違憲審査
表現の自由と違憲審査
集会の自由と違憲審査
経済的自由と違憲審査
社会権と違憲審査
まとめ
科
目
公法発展
担
当
者
川又伸彦
第1回
全 15 回
司法審査制と事件性の要件
事例(授業内容)
国は、20XX 年 4 月に「自動車ナンバー自動読取システム(N システム)に関する法律」を制定し、
即日施行した。N システムは、道路を走行する車両を自動的に感知し、車両の前面を撮影し、瞬時に
ナンバープレートの情報のみをデータ化し、各都道府県警察のコンピュータにある手配車両のデータと
照合し、合致した場合に、その旨が警報表示されるというものである。この法律を違憲と考えた X は、
裁判で争おうと、あなたの法律事務所を訪れた。X の依頼に基づいて、どのような訴訟を提起するべき
か論ぜよ。
要点
(1)司法権の概念と本質
(2)事件性の要件と「法律上の争訟」
(3)「法律上の争訟」についての判例法理
(4)抽象的違憲審査と付随的違憲審査
関係条文
日本国憲法第 76 条第 1 項、第 81 条、裁判所法第 3 条第 1 項
キーワード
司法権、事件性の要件、法律上の争訟、抽象的違憲審査、付随的違憲審査
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第 5 版)』326-331 頁、336-370 頁(以下「芦部・」と表
記。旧版をもっているときは、その該当部分。次回以降も同様)、佐藤幸治『日本国憲法論』581-590
頁、620-631 頁(以下「佐藤・」と表記。青林書院の『憲法』をもっているときは、その該当部分。次
回以降も同様)。
(2)最大判昭和 27 年 10 月 8 日民集 6 巻 9 号 783 頁(警察予備隊違憲訴訟)、最判昭和 41 年 2 月 8
日民集 20 巻 2 号 196 頁(技術士国家試験事件)、最判昭和 56 年 4 月 7 日民集 35 巻 3 号 443 頁(板
まんだら事件)の、訴訟の提起の仕方とそれに対する判旨。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)安念潤司「司法権の概念」大石・石川編『憲法の争点』(有斐閣・2008 年)250 頁
(2)野坂泰司「憲法と司法権―憲法上の司法権の捉え方をめぐってー」法学教室 246 号 42 頁
(3)宍戸常寿『憲法解釈論の応用と展開』278 頁(以下「宍戸・」と表記)
(4)宍戸「司法権の概念」小山・駒村編『論点探求 憲法』(弘文堂・2005 年)303 頁
(5)川又伸彦「N システムと肖像権、情報自己コントロール権」受験新報 279 号
科
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第2回
全 15 回
司法権の限界
事例(授業内容)
(1)内閣総理大臣 A は、20XX 年 10 月 22 日に衆議院を解散した。X は、衆議院の議員定数配分が
最高裁判所の判決によって違憲状態といわれているにもかかわらず解散するのは、解散権の濫用と考え
て、解散の違憲・無効を裁判で争おうと、あなたの法律事務所を訪れた。X の依頼に基づいて、どのよ
うな訴訟を提起するべきか、また国はどのように反論するべきか論ぜよ。
(2)アメリカ軍のアフガニスタンでの作戦行動に抗議するために在日米軍基地に立ち入った被告人
は、「日本とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第 6 条に基づく施設及び区域並びに日
本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法」第 2 条違反で起訴された。被告
人は、日米安全保障条約及び日米地位協定の違憲性を理由に無罪を主張したいと、弁護人であるあなた
に相談した。条約等の違憲審査の可否についてどのように主張するべきか。
要点
(1)統治行為論(政治問題の法理)
(2)立法裁量論
(3)条約の違憲審査
関係条文
日本国憲法第 7 条第 3 号、第 9 条、第 69 条、第 76 条第 1 項、第 81 条、第 98 条第 2 項、行政事件訴
訟法第 30 条
キーワード
司法権の限界、統治行為、政治問題の法理、政治部門の自律性、衆議院の解散、立法裁量論、条約
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・331-334 頁、佐藤 592-593 頁、635-636 頁、643-648 頁。
(2)最大判昭和 34 年 12 月 16 日刑集 13 巻 13 号 3225 頁(砂川事件)、最大判昭和 35 年 6 月 8 日
民集 14 巻 7 号 1206 頁(苫米地事件)、札幌高判昭和 51 年 8 月 5 日行集 27 巻 8 号 1175 頁、最大決
平成 7 年 7 月 5 日民集 49 巻 7 号 1789 頁(非嫡出子法定相続分事件)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)渡辺賢「政治問題の法理」大石・石川編『憲法の争点』254 頁
(2)寺島壽一「統治行為」高見ほか編『日本国憲法解釈の再検討』(有斐閣・2004 年)342 頁
(3)初宿正典ほか『憲法 Cases and Materials 憲法訴訟』299 頁(以下「初宿ほか・」と表記)
(4)小山剛『「憲法上の権利」の作法』174 頁(以下「小山・」と表記)
(4)最大判平成 8 年 8 月 28 日民集 50 巻 7 号 1952 頁(沖縄代理署名訴訟)
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第3回
全 15 回
司法権と団体内部の紛争
事例(授業内容)
(1)政党 X は、Y が党員であることを前提に、Y に党所有の家屋を住居として提供していた。しかし、
X は、Y が党の規約に反して X を批判する言動を行ったとして、規約に除名に関する手続はなかったも
のの、Y を除名処分とした。そして、党員資格を失ったことを理由に、X は Y に家屋の明渡を求めたが、
Y が居住し続けているため、家屋明渡請求訴訟を提起した。Y の訴訟代理人として、どのような主張を
するべきか。あなたはそれを憲法論的にどう評価するか。
(2)宗教法人 X は、Y が住職の地位にあることを前提に、Y に法人所有の寺の家屋部分を住居として
提供していた。しかし、X の理事らは、Y が前住職から住職選定のための宗教行為である血脈相承を授
けられておらず正当な住職とはいえないとして、Y に家屋の明渡を求めたが、Y が居住し続けているた
め、家屋明渡請求訴訟を提起した。Y の訴訟代理人として、どのような主張をするべきか。あなたはそ
れを憲法論的にどう評価するか。
要点
(1)部分社会の法理
(2)地方議会、大学、政党の内部事項に対する司法審査
(3)宗教上の地位または教義にかかわる判断を前提問題とする紛争に対する司法審査
関係条文
日本国憲法第 76 条第 1 項、裁判所法第 3 条第 1 項
キーワード
司法権の限界、部分社会の法理(部分社会論)、一般市民法秩序、法律上の争訟、結社の自由、信教の
自由
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・330-331 頁、335-336 頁、佐藤・594-597 頁
(2)最大判昭和 28 年 1 月 16 日民集 7 巻 1 号 12 頁(米内山事件)、最大判昭和 35 年 10 月 19 日民
集 14 巻 12 号 2633 頁(地方議会議員懲罰事件)、最判昭和 52 年 3 月 15 日民集 31 巻 2 号 234 頁(富
山大学事件)、最判昭和 63 年 12 月 20 日判時 1307 号 113 頁(袴田事件)、最判昭和 44 年 7 月 10
日民集 23 巻 8 号 1423 頁(慈照寺(銀閣寺)事件)、最判昭和 55 年 1 月 11 日民集 34 巻 1 号 1 頁(種
徳寺事件)、最判昭和 55 年 4 月 10 日判時 973 号 85 頁(本門寺事件)、最判昭和 56 年 4 月 7 日民集
35 巻 3 号 443 頁(板まんだら事件)、最判平成元年 9 月 8 日民集 43 巻 8 号 889 頁(蓮華寺事件)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)宍戸・97 頁、同「団体内部の問題と司法審査」LS 憲法研究会編『プロセス演習 憲法(第 3
版)』(信山社・2007 年)596 頁
(2)初宿ほか・209 頁、235 頁
(3)最判平成 7 年 5 月 25 日民集 49 巻 5 号 1279 頁(日本新党事件)
(4)最判平成 5 年 9 月 7 日民集 47 巻 7 号 4667 頁(日蓮正宗管長事件)、最判平成 21 年 9 月 15 日
集民 231 号 563 頁
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第4回
全 15 回
違憲審査の対象(立法の不作
為)
事例(授業内容)
X は、精神的な障がいのため、家の外に出ることができず完全にひきこもっている。しかし、家の中で
は普通に日常生活を営み、また政治的な関心も高い。X は、20XX 年 1 月に成年に達したが、外出が著
しく困難なために、選挙において候補者を選び候補者名を投票用紙に自筆で記載する能力も有している
にもかからず、同年 2 月の地方公共団体の長の選挙および 4 月の衆議院議員総選挙において、投票権
を行使することができなかった。投票できなかったことについて損害賠償請求をしたいと、X および両
親から相談を受けたあなたは、訴訟で、どのような憲法論を展開するべきか。
要点
立法の不作為の意味
立法の不作為を争う訴訟類型
立法の不作為の違憲審査
関係条文
日本国憲法第 14 条第 1 項、第 15 条第 1 項、同第 3 項、第 44 条、第 47 条、第 51 条、第 81 条、国家
賠償法第 1 条、行政事件訴訟法第 4 条
キーワード
立法の不作為、国家賠償訴訟、公法上の法律関係に関する確認の訴え、違憲確認訴訟
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・374-376 頁、佐藤・636-641 頁
(2)最判昭和 60 年 11 月 21 日民集 39 巻 7 号 1512 頁(在宅投票廃止事件)、最大判平成 17 年 9 月
14 日民集 59 巻 7 号 2087 頁(在外日本人選挙権訴訟)、最判平成 18 年 7 月 13 日判時 1946 号 41 頁、
熊本地判平成 13 年 5 月 11 日判時 1748 号 30 頁(熊本ハンセン病訴訟)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)駒村圭吾「立法行為の違憲審査」小山・駒村編『論点探求 憲法』(弘文堂・2005 年)321 頁
(2)井上典之「立法の不作為とその争い方」笹田ほか『ケースで考える憲法入門』(有斐閣・2006
年)299 頁
(3)畑尻剛「国家賠償請求訴訟における立法行為の憲法適合性審査―判例の類型化とその帰結―」
中央ロー・ジャーナル 4 巻 4 号、同「立法不作為とその救済方法」法律時報 83 巻 63 頁
(4)笹田栄司「立法の不作為に対する違憲訴訟」LS 憲法研究会編『プロセス演習 憲法(第 3 版)』
596 頁
(5)最大判平成 20 年 6 月 4 日集民 228 号 101 頁(国籍法事件)の、とくに反対意見
科
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第5回
全 15 回
憲法判断回避の準則
事例(授業内容)
自衛隊の演習による爆音などで乳牛に被害(早流産、乳量減少など)が出るのを回避するために、酪農
民と自衛隊との間において、牧場との境界付近での射撃に際しては、事前に連絡を行う旨の紳士協定が
結ばれていた。ところが、自衛隊が連絡なしに大砲の演習を開始したために、被告人らは、抗議にいっ
たが聞き入れられなかったので、連絡用の通信線を切断した。このため、被告人らは、自衛隊法 121
条違反で起訴された。被告人らは、自衛隊そのものと自衛隊法との憲法違反を主張したいとしている。
憲法 9 条論を展開する前に、弁護人としてどのような主張をするべきか。
要点
憲法判断回避の準則の理論的根拠
憲法判断回避の準則の内容
狭義の憲法判断回避の準則と合憲限定解釈との相違
憲法判断回避の準則を用いる場合と用いるべきでない場合の区別
関係条文
日本国憲法第 9 条、第 81 条、自衛隊法第 121 条、
キーワード
付随的審査制、司法消極主義、ブランダイスルール、憲法判断回避の準則、合憲限定解釈
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・369-371 頁、佐藤 649-650 頁
(2)札幌地裁昭和 42 年 3 月 29 日下刑集 9 巻 3 号 359 頁(恵庭事件)、札幌地裁昭和 48 年 9 月 7
日判時 712 号 24 頁(長沼訴訟第 1 審)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)松本哲治「違憲審査権の行使(1)憲法判断回避」大石・石川編『憲法の争点』274 頁
(2)初宿ほか・431 頁
(3)高橋和之「憲法判断回避の準則」芦部編『講座憲法訴訟』(有斐閣・1987 年)3 頁(=高橋和
之『憲法判断の方法』(有斐閣・1995 年)53 頁)
(4)芦部信喜「憲法判断の回避と裁判所の憲法保障機能」同『憲法訴訟の理論』(有斐閣・1973 年)
277 頁
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第6回
全 15 回
合憲限定解釈
事例(授業内容)
被告人は、16 歳の A と将来は婚姻することを考えながら交際し、B 県内で、数回にわたって性的関係を
もった。ところで、B 県青少年保護育成条例は、小学校就学時から満 18 歳未満のものを青少年と定義
し、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつな行為をしてはならない」と定めていた。このため、
被告人は、同条例違反で起訴された。弁護人は、どのような憲法論を主張するべきか。
要点
合憲限定解釈の意味
合憲限定解釈を用いるべき場合と用いるべきでない場合
合憲限定解釈を用いた判例
関係条文
日本国憲法第 13 条、第 21 条、第 28 条、第 31 条、第 81 条、国家公務員法第 98 条第 2 項、第 110 条
第 1 項第 17 号、徳島市公安条例第 3 条第 3 号、関税定率法第 21 条第 1 項第 7 号、福岡県青少年保護
育成条例第 10 条、広島市暴走族追放条例第 2 条第 7 号、第 16 条第 1 号、第 17 条、第 19 条
キーワード
合憲限定解釈、法令違憲、文面審査、明確性の原則
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・197-200 頁、370-371 頁、376-378 頁、佐藤・260-261 頁、651-660 頁
(2)最大判昭和 44 年 4 月 2 日刑集 23 巻 5 号 305 頁(都教組事件)、最大判昭和 48 年 4 月 25 日刑
集 27 巻 4 号 547 頁(全農林警職法事件)、最大判昭和 50 年 9 月 10 日刑集 29 巻 8 号 489 頁(徳島市
公安条例事件)、最大判昭和 59 年 12 月 12 日民集 38 巻 12 号 1308 頁(税関検査事件)最大判昭和
60 年 10 月 23 日刑集 39 巻 6 号 413 頁(福岡県青少年保護育成条例事件)、最判平成 19 年 9 月 18 日
刑集 61 巻 6 号 601 頁(広島市暴走族追放条例)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)赤坂幸一「法令の合憲解釈」大石・石川編『憲法の争点』340 頁
(2)初宿ほか・445 頁
(3)小山・59 頁
(4)宍戸・138 頁
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第7回
全 15 回
基本的人権の範囲(
「保護領域」
論)と制限
事例(授業内容)
Y 県警察は、A 駅周辺でひったくり犯罪等の発生数が増加していることの対策として、駅前商店街と協
議のうえ、駅周辺のとおりに数ヵ所、高さ地上約 4 メートルの位置に監視カメラを設置した。駅前商店
街を日常利用する X は、この監視カメラは憲法違反なのではないかと考え、裁判で争おうと、あなたの
法律事務所を訪れた。X の依頼をするとして、どのような訴訟を提起するか。また、どのような憲法上
の主張をするか。Y 県警察は、どのような反論を行うべきか。
*今回は、この事例の憲法問題のうち、どのように実体問題を提起するかという論理構成の仕方に重点
をおいて検討する。
要点
事例において争われている基本的人権の把握
その基本的人権を公権力が制限するということの意味
関係条文
日本国憲法第 13 条、第 20 条、第 21 条
キーワード
三段階審査、保護領域、制限、保護領域への介入、事実行為による制限、間接的制限、基本権制限の承
諾、基本権の放棄、
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・98-105 頁、佐藤・661-665 頁(とくに注 76)
(2)最大判昭和 31 年 7 月 4 日民集 10 巻 7 号 785 頁(謝罪広告事件)、最大判昭和 44 年 11 月 26
日刑集 23 巻 11 号 1490 頁(博多駅テレビフィルム事件)、最大判昭和 44 年 12 月 24 日刑集 23 巻 12
号 1625 頁(京都府学連事件)、最大判平成元年 3 月 8 日民集 43 巻 2 号 89 頁(レペタ事件)、最判
平成 12 年 2 月 29 日民集 54 巻 2 号 582 頁(輸血拒否事件)、最判平成 8 年 3 月 8 日民集 50 巻 3 号
469 頁(剣道受講拒否事件)、最判平成 20・4・15 刑集 62 巻 5 号 1398 頁
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)小山・25 頁
(2)宍戸・26 頁、37 頁
(3)「特集 違憲審査手法の展望」第 1 部の各論文・法律時報 83 巻 5 号
(4)「新司法試験問題の検討 2011 公法系科目試験問題」法セミ 680 号 30 頁
(5)川又伸彦「N システムと肖像権、情報自己コントロール権」受験新報 279 号
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第8回
全 15 回
包括的人権と違憲審査
事例(授業内容)
Y 県警察は、A 駅周辺でひったくり犯罪等の発生数が増加していることの対策として、駅前商店街と協
議のうえ、駅周辺のとおりに数ヵ所、高さ地上約 4 メートルの位置に監視カメラを設置した。駅前商店
街を日常利用する X は、この監視カメラは憲法違反なのではないかと考え、裁判で争おうと、あなたの
法律事務所を訪れた。X の依頼をするとして、どのような訴訟を提起するか。また、どのような憲法上
の主張をするか。Y 県警察は、どのような反論を行うべきか。
*今回は、この事例の実体問題を具体的に考察する。
要点
包括的人権の意味、適用範囲
プライバシー権の内容
自己情報コントロール権の内容、限界
関係条文
日本国憲法 13 条
キーワード
包括的人権、幸福追求権、プライバシー権、自己情報コントロール権、
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・118-126 頁、佐藤・172-195 頁
(2)最大判昭和 44 年 12 月 24 日刑集 23 巻 12 号 1625 頁(京都府学連事件)、最判平成 12 年 2 月
29 日民集 54 巻 2 号 582 頁(輸血拒否事件)、最判昭和 56 年 4 月 14 日民集 35 巻 3 号 620 頁(前科
照会事件)、最判平成 15 年 9 月 12 日民集 57 巻 8 号 973 頁(早稲田大学江沢民事件)、最判平成 20
年 3 月 6 日民集 62 巻 3 号 665 頁(住基ネット訴訟)、最判平成 20・4・15 刑集 62 巻 5 号 1398 頁
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)高井裕之「幸福追求権」大石・石川編『憲法の争点』92 頁
(2)竹中勲「プライヴァシーの権利」大石・石川編『憲法の争点』98 頁
(3)芦部信喜『憲法学Ⅱ 人権総論』(有斐閣・1994 年)378 頁
(4)松本和彦「知る権利と自己情報コントロール権」小山・駒村編『論点探求 憲法』117 頁
(5)東京高裁平成 21 年 1 月 29 日判タ 1295 号 193 頁
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第9回
全 15 回
法の下の平等と違憲審査
事例(授業内容)
資産家の A は、生涯婚姻することなく死亡した。法定相続人は、A と養子縁組をして同居していた Y と、
別に暮らしている非嫡出子の X という 2 人の子供である。A が遺言を残さなかったため、XY 間で相続争
いとなった。X が、あなたの法律事務を訪れ、Y の弁護士は民法 900 条但書に基づいた相続分の分配を
提案してきたが、納得できないので、裁判で争いたいとしている。X の依頼を受けるとして、裁判でど
のように憲法論を展開するべきか。
要点
法の下の平等の意味
平等を問題とする場面
平等についての違憲審査基準
法令違憲の主張と適用違憲の主張の使い分け
法令の一部違憲と全部違憲
関係条文
日本国憲法第 14 条第 1 項、民法 900 条但書、国籍法 3 条 1 項(平成 20 年法律第 88 号で改正以前の
もの)
キーワード
法の下の平等、平等原則、法内容の平等、相対的平等、形式的平等、実質的平等、合理的区別、例示説、
社会的身分、法定相続、嫡出子、非嫡出子、違憲審査基準、法令違憲、法令の全部違憲、法令の部分違
憲、法令違憲と立法権の侵害、適用違憲、
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・126-145 頁、376-378 頁、佐藤 196-215 頁、657-660 頁
(2)最大判昭和 48 年 4 月 4 日刑集 27 巻 3 号 265 頁(尊属殺重罰規定事件)、最大判平成 7 年 7 月
5 日民集 49 巻 7 号 1789 頁(民法 900 条但書違憲訴訟)、最判平成 21 年 9 月 30 日家月 61 巻 12 号
55 頁(民法 900 条但書違憲訴訟)、東京高判平成 22 年 3 月 10 日判タ 1324 号 210 頁、最大判平成 20
年 6 月 4 日判示 2002 号 3 頁(国籍法違憲判決)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)芦部信喜『憲法学Ⅲ 人権各論(1)[増補版]』(有斐閣・2000 年)1 頁
(2)常本照樹「平等権の現代的展開」高見ほか編『日本国憲法解釈の再検討』(有斐閣・2004 年)
92 頁
(3)手塚和男「平等と合理的区別」大石・石川編『憲法の争点』104 頁
(4)宍戸・104 頁
(5)長谷部恭男「国籍法違憲判決の思考様式」ジュリスト 1366 号 77 頁
旭川地判昭和 43 年 3 月 25 日下刑集 10 巻 3 号 293 頁(猿払事件第 1 審)
科
目
公法発展
担
当
者
川又伸彦
第 10 回
全 15 回
政教分離と違憲審査
事例(授業内容)
Y 市の所有地にある自治会館の建物の一角に、S 神社の祠が設置され、また建物の外側に「S 神社」と
表示がある。また、この土地には、鳥居と地神宮もある。建物等の所有者は、この地域の町内会の連合
であり、Y 市は、この町内会連合に土地を無償で使用させている。神社は、付近の住民からなる氏子集
団によって管理運営され、年に数回祭事が行われている。Y 市の住民 X は、市の所有地を無償で使わせ
ていることは憲法に反すると考え、あなたの法律事務所に相談に来た。どのような訴訟を提起し、どの
ような憲法上の主張を行うべきか。
要点
政教分離の法的性格
政教分離の内容
政教分離の違憲審査基準
目的効果基準を用いる場合と用いない場合
関係条文
日本国憲法第 20 条、第 89 条、地方自治法第 242 条の 2 第 1 項第 3 号
キーワード
政教分離、制度的保障、相対的分離、目的効果基準
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・155-163 頁、佐藤・232-240 頁
(2)最大判昭和 52 年 7 月 13 日民集 31 巻 4 号 533 頁(津地鎮祭訴訟)、最判平成 4 年 11 月 16 日
判時 1441 号 57 頁(大阪地蔵像訴訟)、最判平成 5 年 2 月 16 日民集 47 巻 3 号 1687 頁(箕面忠魂碑
訴訟)、最大判平成 9 年 4 月 2 日民集 51 巻 4 号 1673 頁(愛媛玉串料訴訟)、最大判平成 22 年 1 月
20 日民集 64 巻 1 号 1 頁(空知太神社訴訟(砂川政教分離訴訟))
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)芦部信喜『宗教・人権・憲法学』(有斐閣・1999 年)
(2)小泉洋一「政教分離」大石・石川編『憲法の争点』112 頁
(3)林知更「政教分離原則の構造」高見ほか編『日本国憲法解釈の再検討』114 頁
(4)安西文雄「信教の自由の展開」安西ほか『憲法学の現代的論点(第 2 版)』(有斐閣・2009 年)
355 頁
(5)最大判昭和 63 年 6 月 1 日民集 42 巻 5 号 277 頁(自衛官合祀訴訟)、高知地判平成 10 年 7 月
17 日判時 1699 号 67 頁(高知補助金訴訟)、最判平成 18 年 6 月 23 日判時 1940 号 122 頁(内閣総理
大臣靖国参拝違憲訴訟)、最判平成 22 年 7 月 22 日判時 2087 号 26 頁(白山ひめ神社訴訟)
科
目
公法発展
担
当
者
川又伸彦
第 11 回
全 15 回
表現の自由と違憲審査
事例(授業内容)
被告人は、A 党の作成したビラを配布する目的で、祝日の日中、7 階建て分譲マンションの共用部分に
立入り、各住戸のドアポストにビラを投函していた。しかし、投函が終わらないうちに、マンションの
住民が Y を呼び止めて「A 党のビラを投函されるのは迷惑である」旨の抗議をするとともに、警察に連
絡して、警察官に被告人の身柄を引き渡した。被告人は、刑法 130 条前段の住居侵入罪で起訴された。
当該マンションの玄関ホールには「チラシ・パンフレット等広告の投函は固く禁じます」、「当マンシ
ョンの敷地内に立ち入り、パンフレットの投函、物品販売などを行うことは厳禁です」という張り紙が
あった。また、被告人が立ち入ったときに、管理人から、とくに注意を受けることはなかった。被告人
がビラを配布したとき、すでに宅配ピザのチラシが各住戸のドアポストに投函されていた。
要点
表現の自由の内容
二重の基準論
表現の自由規制立法の違憲審査基準
表現内容規制と表現内容中立規制
関係条文
日本国憲法第 21 条 1 項、刑法 130 条
キーワード
表現の自由、表現内容規制、表現内容中立規制、厳格審査基準、明白かつ現在の危険の基準、やむにや
まれぬ公共利益の基準、中間審査基準、より制限的でない他の選びうる手段の基準
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・170-205 頁、佐藤 248-284 頁
(2)最判昭和 59 年 12 月 18 日刑集 38 巻 12 号 3029 頁(吉祥寺駅ビラ配布事件)、最判平成 20 年
4 月 11 日刑集 62 巻 5 号 1217 頁(防衛庁立川宿舎ビラ投函事件)、最判平成 21 年 11 月 30 日刑集 63
巻 9 号 1765 頁(葛飾区亀有ビラ投函事件)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)安西文雄「表現の自由の保障構造」安西ほか『憲法学の現代的論点(第 2 版)』377 頁
(2)佐々木弘通「言論の内容規制と内容中立規制」大石・石川編『憲法の争点』118 頁
(3)市川正人『表現の自由の法理』(日本評論社・2003 年)
(4)毛利透『表現の自由―その公共性ともろさについて』(岩波書店・2008 年)
(5)宍戸・127 頁
科
目
公法発展
担
当
者
川又伸彦
第 12 回
全 15 回
集会の自由と違憲審査
事例(授業内容)
A 市は、暴走族が社会問題化していたために、A 市暴走族追放条例を制定した。暴走族 B のリーダーで
ある被告人は、B のメンバーらと共謀のうえ、A 市が管理する広場で、市長の許可を得ずに、所属する
暴走族のグループ名を刺しゅうした「特攻服」と呼ばれる服を着用し、顔面の全部または一部を覆い隠
し、円陣を組み、旗を立てるなど威勢を示しながら、公衆に不安又は恐怖を覚えさせるような集会を行
った。A 市は、警告、中止・退去命令を発令したが、被告人らはこれに従わなかった。このため、被告
人は、命令違反で起訴された。
A 市暴走族追放条例は、暴走族を「暴走行為をすることを目的として結成された集団又は公共の場所に
おいて、公衆に不安若しくは恐怖を覚えさせるような特異な服装もしくは集団名を表示した服装で、い
集、集会若しくは示威行為を行う集団をいう」(第 2 条第 7 号)と定義する。また、何人も「公共の場
所において、当該場所の所有者又は管理者の承諾又は許可を得ないで、公衆に不安又は恐怖を覚えさせ
るようない集又は集会を行うこと」を禁じ(第 16 条第 1 項)、そのような集会を「特異な服装をし、
顔面の全部または一部を覆い隠し、円陣を組み、旗を立てるなど威勢を示すこと」により行われたとき
は、中止・退去命令を発することができると定め(17 条)、この命令に従わないものを 6 月以下の懲
役または 10 万円以下の罰金に処することができると定めている(第 19 条)。
要点
表現の自由と集会の自由の関係
集会の自由の内容
表現の自由規制立法の違憲審査基準
関係条文
日本国憲法 21 条第 1 項、広島市暴走族追放条例第 2 条第 7 号、第 16 条第 1 項、第 17 条、第 19 条
キーワード
集会の自由、パブリック・フォーラム論、明確性の原則、合憲限定解釈
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・170-205 頁、佐藤 248-284 頁
(2)最大判昭和 28 年 12 月 23 日民集 7 巻 13 号 1561 頁(皇居前広場事件)、最大判昭和 59 年 12
月 12 日民集 38 巻 12 号 1308 頁(税関検査事件)、最判昭和 59 年 12 月 18 日刑集 38 巻 12 号 3026
頁(吉祥寺駅ビラ配布事件)、最判平成 7 年 3 月 7 日民集 49 巻 3 号 687 頁(泉佐野市民会館事件)、
最判平成 19 年 9 月 18 日刑集 61 巻 6 号 601 頁(広島市暴走族条例事件)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
第 11 回に挙げたものに加えて
(1)市川正人「集会の自由」法教 207 号 48 頁
(2)東京地判平成 21 年 3 月 24 日判時 2046 号 90 頁
科
目
公法発展
担
当
者
川又伸彦
第 13 回
全 15 回
経済的自由と違憲審査
事例(授業内容)
全国で消費者金融などの過払い金の返還請求が増え、多重債務者らが債務整理を頼む動きが広まってい
ることに着目した経営コンサルタントの A は、弁護士資格がないにもかかわらず、報酬をとって債務
整理のあっせんを行っていた。弁護士資格を有する被告人は、手数料を支払って、A から約 340 件の事
件のあっせんを受けていた。このため、被告人は、A とともに弁護士法違反で起訴された。被告人は、
どのような憲法上の主張をするべきか。なお、逮捕、取調べなどの手続に違法はないものとする。
要点
職業選択の自由の内容
職業選択の自由規制立法の違憲審査基準
規制目的二分論の限界
関係条文
キーワード
職業の自由、営業の自由、職業遂行の自由、積極目的規制、消極目的規制、規制目的二分論、二重の基
準論、合理性の基準、厳格な合理性の基準、立法裁量、立法事実、許可制、比例原則
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・216-222 頁、佐藤 299-309 頁
(2)最大判昭和 47 年 11 月 22 日刑集 26 巻 9 号 586 頁(小売市場事件)、最大判昭和 50 年 4 月 30
日民集 29 巻 4 号 572 頁、最判平成 4 年 12 月 15 日民集 46 巻 9 号 2829 頁(酒類販売免許制事件)、
最判平成 12 年 2 月 8 日刑集 54 巻 2 号 1 頁(司法書士法事件)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)石川健治「法制度の本質と比例原則の適用」LS 研究会編『プロセス演習憲法(第 3 版)』273
頁、同「営業の自由とその規制」大石・石川編『憲法の争点』148 頁、同「30 年越しの問い―判例に
整合的なドグマーティクとは―」法教 332 号 58 頁
(2)野坂泰司「薬局等の適正配置規制と職業の自由」法教Ⅲ12 号 54 頁
(3)巻美矢紀「経済活動規制の判例法理再考」ジュリスト 1356 号 33 頁
(4)最大判昭和 30 年 1 月 26 日刑集 9 巻 1 号 89 頁、最判平成元年 1 月 20 日刑集 43 巻 1 号 1 頁、
最判平成元年 3 月 7 日判時 1308 号 111 頁(以上、公衆浴場事件)、最判平成 5 年 6 月 25 日判時 1475
号 59 頁(たばこ小売適正配置規制事件)、最判平成 2 年 2 月 6 日訟月 36 巻 12 号 2242 頁(西陣ネク
タイ訴訟)
科
目
公法発展
担
当
者
川又伸彦
第 14 回
全 15 回
社会権と違憲審査
事例(授業内容)
X は、視覚障害者で、国民年金法に基づく障害福祉年金を受給していた。離婚後、次男を養育していた
ため、児童扶養手当受給資格の認定を A 県知事の Y に求めた。しかし、児童扶養手当法には、他の公的
年金との併給を禁止する規定があることを理由に、Y は、請求を却下し、また異議申立ても棄却した。
このため、X は、この併給禁止はおかしいと考えて、あなたの法律事務所に相談に来た。X の依頼を受
けるとして、どのような訴訟を提起し、どのような憲法上の主張を行うか。
要点
社会権規定の法的性格
社会権具体化立法の違憲審査基準
生存権と平等原則
関係条文
日本国憲法第 14 条第 1 項、第 25 条、生活保護法第 1 条、第 3 条、第 4 条、第 8 条、第 9 条、第 10
条、第 13 条、第 25 条第 2 項、第 56 条、第 59 条、児童扶養手当法第 4 条第 3 項第 3 号(昭和 48 年
法律第 93 号による改正前のもの)
キーワード
生存権、抽象的権利、立法裁量、明白性の原則、覊束裁量、自由裁量、制度後退禁止原則
必ず予習すべき文献・判例
(1)芦部・258-262 頁、佐藤 361-368 頁
(2)最大判昭和 23 年 9 月 29 日刑集 2 巻 10 号 1235 頁(食糧管理法事件)、最大判昭和 42 年 5 月
24 日民集 21 巻 5 号 1043 頁(朝日訴訟)、最大判昭和 57 年 7 月 7 日民集 36 巻 7 号 1235 頁(堀木訴
訟)、最判平成 19 年 9 月 28 日民集 61 巻 6 号 2345 頁(学生無年金障害者訴訟)
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
(1)中村睦男「生存権の保障」同『論点憲法教室』(有斐閣・1990 年)201 頁
(2)岩本一郎「生存権と国の社会保障義務」高見ほか『日本国憲法解釈の再検討』208 頁
(3)野坂泰司「社会権保障給付の併給禁止と憲法 25 条、14 条」法教 318 号 52 頁
(4)松本和彦「生存権」小山・駒村編『論点探求 憲法』228 頁
(5)小山・115 頁
(6)宍戸・160 頁
(7)東京地判平成 20 年 6 月 26 日判時 2014 号 48 頁、東京高判平成 22 年 5 月 27 日判時 2085 号 43
頁、福岡高判平成 22 年 6 月 14 日判時 2085 号 43 頁(いずれも老齢加算廃止)
科
目
公法発展
担
当
者
川又伸彦
第 15 回
全 15 回
まとめ
事例(授業内容)
第 1 回から第 14 回までの内容のまとめを行う。これまでの講義の内容について、不足する部分の補足
や質疑応答を行う。
要点
これまでのものを参照。
関係条文
これまでのものを参照。
キーワード
これまでのものを参照。
必ず予習すべき文献・判例
これまでのものを参照。なお、予め、質問事項などをまとめておくことが望ましい。
参考資料(さらに理解を深めるために学習するのが望ましい文献等)
これまでのものを参照。