イペット(タヒボ NFD 含有)の 動物疾患への

イペット(タヒボ NFD 含有)の
動物疾患への効用試験
An Investigation of the Efficacy of“Ipet”
(Containing“Taheebo NFD”
)on Animal Diseases
津曲 茂久1),桑原 正人1),大川 博2),安達 実3),畠中 平八4)
Shigehisa TUMAGARI1),Masato KUWABARA1),Hiroshi OKAWA2),
Minoru ANDACHI3),Heihachi HATANAKA4),
要約
イペットは南米産の有用食物であるイペの樹木樹皮からエキスを抽出して,精製したものであり,有効
成分として,ビタミン,ミネラルなどが含まれ,免疫力や自然治癒力を増進する働きがある。
マクロファージや好中球などの貧食細胞では異物と接触した時,貧食のためのエネルギー(ATP)を獲
得するために酸素吸収が増大する。一方,吸収した酸素は活性酸素として外界に放出され,殺菌や細胞障
害作用をもつものとして注目されている。しかし,活性酸素が多量に放出されると生体内の脂質,たんぱ
く質,糖,DNA を攻撃し,これより生体膜,遺伝子の損傷が生じ生体は障害され,ひいては疾病(臓器障
害),発癌,老化などを惹き起こすとされている。したがって,過剰な活性酸素を抑制する物質(抗酸化物
質という)はさまざまな疾患の予防,治療において非常に重要であると認識されている。本実験ではイペ
ット(タヒボ NFD=特許成分・発癌プロモーター阻害剤含有)を投与することによって生体内の免疫機能
に影響を及ぼすか否かを検討するために,血液中の貧食細胞として好中球,マクロファージ,免疫細胞と
してリンパ球の放出する活性酸素を指標として,非特異的免疫機能(細胞免疫)の影響について検討した。
さらに,子宮内に大腸菌を接種して子宮蓄膿症を発症させた時におけるタヒボ NFD の細胞性免疫機能につ
いても検討した。
その結果,タヒボ NFD には貧食機能を有する好中球,マクロファージの抗酸化作用を低下させ,リンパ
球の細胞性免疫機能を亢進する働きがあり,両作用により疾病の治癒を早める可能性のあることが確認さ
れた。
キーワード;タヒボ NFD,特許成分・発癌プロモーター阻害剤
はじめに
を表す言葉に由来している。このような神秘的な名
前を与えられたタヒボは南米インディオの間では昔
イペットに含まれるタヒボ NFD
(学名:Tabebuia
から健康維持のために飲用されてきた。そのためヒ
avellanedae Lorents and Griseb)は,南米のブラ
ト医療現場では代替補完医療として幅広く利用され
ジルから北アルゼンチンにかけて生育するノウゼン
ており,上田らは,このタヒボ NFD に抗ガン作用
カズラ科タブベイア属の植物であり,タヒボという
のあることを報告しており1∼3),特にその成分であ
名前は現地の言葉で「神からの授かりもの=恵み」
る 2-(1- ヒドロキシエチル)-5- ヒドロキシナフト
1)日本大学生物資源科学部 〒 252-8510 神奈川県藤沢市亀井野 1866
2)㈱スケアクロウ 〒 150-0044 東京都渋谷区円山町 6 番 7 号渋谷アムフラット 1 F
3)㈱ウェルネス・アドバンス 〒 537-0025 大阪府大阪市東成区中道 1 丁目 10 番 26 号サクラ森之宮ビル 11 F
4)タヒボジャパン㈱ 〒 541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町 1 丁目 2-12
小動物臨床 Vol.26 No.6(2007.11)375 ◆
[2, 3-b] フラン-4, 9-ジオンが正常細胞には影響を与
機能の比較検討
えることなくガン細胞を破壊する作用を示すことを
投与するイペット量を 3 段階に区分して,貧食細
報告している4)。タヒボ
NFD は,主として繊維
胞から活性酸素放出量について予備実験的に比較検
(48%)と糖質(32%)から構成されており,微量
討を行なった。供試動物は本研究室にて飼育されて
成分として脂質(0. 7%),タンニン(0. 8%)
,ミネ
いるビーグル犬(♂)を,イペット 1 包(タヒボ
ラル類などが含まれている5)。
0. 1 g)
,イペット 3 包(タヒボ 0. 3 g)
,イペット(タ
本実験ではイペット(タヒボ NFD 含有)を投与
ヒボ 0. 5 g)の各群 1 頭 3 頭を用いた。計 3 群それ
することによって生体内の免疫機能に影響を及ぼす
ぞれの投与量のタヒボをエサにまぜて 4 週間投与
か否かを検討するために,血液中の貧食細胞として
し,投与前(投与 0 日)
,投与 2 週間目,投与 4 週
好中球,マクロファージ,免疫細胞としてリンパ球
間目,投与中止 2 週目の計 4 回採血した。
の放出する活性酸素を指標として,非特異的免疫機
能(細胞免疫)の影響について検討した。さらに,
〈実験方法〉
子宮内に大腸菌を接種して子宮蓄膿症を発症させた
血液 10 ml を採血し,血液を好中球,マクロファ
時におけるタヒボ NFD の細胞性免疫機能について
ージ,リンパ球に分離し,細胞数を均一(1×106/
も検討し,
実験を以下の 1 から 4 に分けて行った。
(研
μl)に揃え,その後血球刺激剤である PMA をそれ
究期間平成 12 年 6 月 1 日∼平成 13 年 5 月 31 日)
ぞ れ の 血 球 に 添 加 し, 本 学 部 設 置 の LB953 機
(Autolumat)を使用しケミルミネッセンス法によ
材料および方法と結果
実験 1 イペット投与量の差異による白血球の細胞
って分離血球の活性酸素放出量を測定した。活性酸
素量は積分値で評価した。
材料:
性免疫機能の比較検討
血 液 10 ml( 活 性 酸 素 量 測 定 用 )+2 ml(CD 4,
イペット 1 包,3 包,5 包投与における投
CD 8 測定用)
,50 ml 遠沈管(1 検体につき 1 本)
,
与期間中または投与終了後の白血球の活性
20 ml,50 ml シリンジ,18 G 注射器,リンフォプレ
酸素量を検討した。
ップ,3%デキストラン溶液,0. 3%,1. 5% NaCl 溶
実験 2 イペット投与量の差異による T リンパ球の
液(ろ過滅菌),滅菌 PBS 溶液,FBS 加 RPMI 1640
CD4,CD8 の比較検討
培養液
イペット 1 包,3 包,5 包投与後のリンパ
方法:
球の標識抗原である CD 4(ヘルパー T 細
胞)
,CD 8(細胞障害性 T 細胞)の変化を
比較検討した。
実験 3 タヒボ原末群,ビタミン E 群,非投与群に
おける細胞性免疫機能の比較検討
〈Ⅰ.血球分離法〉
①採血前に血液と等量のリンフォプレップを遠沈管
に用意し室温にもどす。
②リンジに血液をすってゆっくりとリンフォプレッ
プの上に重層
無投与群を対照として,既知の抗酸化物質
③1750 rpm×30 分遠心(室温)
であるビタミン E とタヒボ原末の抗酸化作
④ここで i)単球・リンパ球の層(上から 2 番目の
用の比較を検討した。
実験 4 人工的子宮蓄膿症発症犬におけるタヒボ原
末の細胞性免疫機能の効果
子宮内に大腸菌を接種して子宮蓄膿症を発
症させ,タヒボ投与群と非投与群における
細胞性免疫機能を比較した。
白い層)と ii)顆粒球(白血球)
・赤血球の層に
わかれる。
⑤ i)を他の遠沈管にマイクロピペットで移しかえ,
残りは ii の層の上まで吸っておく。
⑥ ii)に 3%デキストランを 20 ml オートピペット
で添加し,転倒混和したのち(20 ml シリンジで
すべて吸い,50 ml シリンジですべて吸い,斜め
実験 1
イペット投与量の差異による白血球の細胞性免疫
◆ 376 小動物臨床 Vol.26 No.6(2007.11)
に固定して 30 分静置。
)(白血球と赤血球の分離)
→次は⑨へ続く
⑦ i)に PBS を 10 ml いれて 1500 rpm×10 分遠心し,
イペット(タヒボ NFD 含有)の動物疾患への効用試験
終わったら 2 ml になるまで上清すててたたいて
〈ケミルミネッセンス法による活性酸素測定〉
細胞を浮遊させ再び PBS をいれ 12 ml にする。2
ケミルミネッセンス法によって血球の活性酸素放
回目は 1200 rpm×10 分で遠心
出量を測定するため,LB953 機(Autolumat 社)
⑧ 1 ∼ 2 ml のこして上清をすてて RPMI を適量加
を使用する。ケミルミネッセンス(科学発光/che-
え,
5 ml にする。それをペトリディッシュに移し,
miluminessence)とは,例えば好中球や単球の貧
1 時間程度インキュベートする。
(*単球はイン
食時に分子が直接化学反応のエネルギーを受け取っ
キュベートするとマクロファージに分化しプラス
て電子エネルギーに変換し,励起状態にある活性酸
チックに吸着するので吸着したほうをマクロファ
素が,基底状態に戻るときに直接・間接的に光の放
ージ,残りの上清をリンパ球とする)→次は⑭へ
出がおこる現象をいう。刺激された食細胞自体から
続く
も発光が認められるが,食細胞とルミノール(酸化
⑨ 曲げた針をシリンジにセットして上層(WBC+
されやすく,効率よく光を発生する分子;増光剤)
デキストラン)のみを 15 ml 遠沈管に移す。→
を共存させることにより,少数の食細胞からの活性
1000 rpm×15 分遠心
酸素の放出を用意に測定できる。この方法をケミル
⑩ 手早く上清をビーカーに捨てる。沈殿している
WBC と RBC をたたいて浮遊させる。
⑪ 0. 3% NaCl をいれ転倒混和したのちすぐに 1. 5%
ミネッセンス法という。
材料:
検 体: 分 離 し た 血 球(1×106/μl)50μl( 実 験 2
NaCl をいれて等帳にもどす。(残っている赤血
では全血 100μl も追加),
球を低帳食塩液で溶血させ,取り除くための作
緩衝液:ハンクス氏液 360μl,発光剤:ルミノール
業:赤血球がなくなるまで繰り返す)
40μl,刺激剤:PMA(PHOBOL12-MYSTATE13-
⑫ 1000 rpm×15 分遠心
ASETATE)50μl
⑬上清をすてて,たたいて細胞を浮遊させ,RPMI
方法:
を 2 ml いれてピペッティング→細胞数をカウン
トする。(セルタック血球計算器)……1×106/
ml を目標に数をあわせて希釈または濃縮〈分離
好中球の完成〉
① 検体,緩衝液,ルミノールを混和し LB953 機に
かけ安定するまで 15 分まち,刺激剤を添加し,
45 分間測定する。
② 5 分間の活性酸素量を積分にて算出
⑭ インキュベート後上清を 15 ml 遠沈管にうつし,
1000 rpm×15 分遠心し,終わったら上清をすて
て 2 ml にする。
〈分離リンパ球の完成〉
〈結果〉
好中球 :イペット投与中は全群において活性酸素
発生の抑制傾向が認められ,投与中止 2
⑮ ディッシュ内のマクロファージは PRMI 液で 2
週目の測定では活性酸素放出量の増加が
回洗浄する。
認められた(図-1)
⑯ 洗浄後,ディッシュにトリプシンを 0. 5 ml 吹き
かけて,付着したマクロファージをはがす。
(顕
マクロファージ:全群においてイペット投与中は活
微鏡ではがれているのを確認する。
)(*トリプシ
性酸素量の減少傾向が認められ,またイ
ンは毒性が強いので,ディッシュを机でかんかん
ペット投与中止後 2 週目では活性酸素量
の増加傾向が認められた(図-2)
たたいたり,横からの衝撃を与えてなるべく短時
間ではがす)
リンパ球:イペット投与期間中および投与中止後 2
週目まで,活性酸素放出量の増加する傾
⑰はがれたマクロファージを回収するため,またト
向がみられた(図-3)。
リプシンの毒性を薄めるために RPMI を 1 ml 加
え,さらに 0. 5 ml ディッシュにいれて回収する。
〈分離マクロファージの完成〉
〈小括〉
⑱細胞数をカウントし,好中球,マクロファージ,
以上の結果により,イペットには細菌や異物の貧
(*細
リンパ球の細胞数を 1 ×106/ml に調整。
食機能のある白血球に対して活性酸素放出を抑制す
胞数が少ないときはもう一度遠心し濃縮する。
)
る抗酸化作用が,免疫細胞のリンパ球には活性酸素
放出を促進する可能性があることが示唆された。
小動物臨床 Vol.26 No.6(2007.11)377 ◆
図-1 イペット投与量別による好中球の活性酸素放出量の
推移。
図-2 イペット投与量別によるマクロファージの活性酸素
放出量の推移。
実験 2
図-3 イペット投与量別によるリンパ球の活性酸素放出量
の推移。
図-4 イペット投与量別による T リンパ球 CD4 の変化。
してきた細菌,ウイルス,これらに感染した細胞,
また異種の細胞に対して特異的に反応し,これらを
イ ペ ッ ト 投 与 量 別 に よ る T リ ン パ 球 の CD 4,
殺す作用をもち,細胞性免疫に関与している。
CD 8 比較検討
一方サプレッサー T 細胞はこの細胞障害性 T 細
細胞性免疫とは抗体を介さず直接標的となる抗原
胞の働きを抑制する働きをもつ。ともに標識抗原は
を攻撃するもので,最も重要な役割を果たしている
CD 8 であるが,CD 8 はおもに細胞障害性 T 細胞の
細胞は T リンパ球(感作している)である。これ
標識抗原であるとされている。したがって,この標
がマクロファージの提示した抗原情報を認識するこ
識抗原を検査することにより,別の角度から細胞性
とによって始まる。この際マクロファージはリンパ
免疫活性の変化を知れる可能性がある。本実験では
球を活性化の増強にも関与し,リンパ球をからリン
実験 1 と同一サンプルを用い,血液(2 ml)をフロ
ホカインが産生され,またそれによってマクロファ
ーサイトメトリーによる CD 4,CD 8 標識抗原検査
ージが活性化される。細胞性免疫の生体内表現とし
を実施した。
ては遅延型過敏症,同種移植反応,腫瘍免疫,自己
免疫疾患,感染防御免疫などがある。T 細胞(T リ
〈結果〉
ンパ球)
にはヘルパー T 細胞と細胞障害性 T 細胞/
CD 4 においては検査期間中を通して変化はみら
サプレッサー T 細胞がある。ヘルパー T 細胞には
。一方 CD 8 はイペット 3 包投与,
れなかった(図-4)
Th 1 細胞と Th 2 細胞があり,Th 1 細胞はマクロ
5 包投与で投与日数が経過するにつれて増加傾向を
ファージを活性化して感染部位に誘導し,食作用を
示した(図-5)。また,実験 1 の図-3 におけるリ
促進させたりする作用があり主に細胞性免疫に関与
ンパ球の活性酸素放出量の推移も CD 8 の推移と同
しており,Th 2 細胞は B リンパ球の活性化を行い,
様の傾向を示している。
抗体産生の補助を行なう液性免疫に関与している。
標識抗原は CD 4 である。細胞障害性 T 細胞は侵入
◆ 378 小動物臨床 Vol.26 No.6(2007.11)
イペット(タヒボ NFD 含有)の動物疾患への効用試験
図-5 イペット投与量別による T リンパ球 CD 8 の変化。
図-6 タヒボ原末,ビタミン E 投与における好中球の活性
酸素放出量の推移。
図-7 タヒボ原末,ビタミン E 投与におけるマクロファー
ジの活性酸素放出量の推移。
図-8 タヒボ投与による人工的子宮蓄膿症犬における全血
球の活性酸素放出量および白血球の比較。
〈小括〉
以上の結果からイペット投与によって細胞障害性
剤製剤 1 m1:酢酸トコフェノールとして 50 mg;
T 細胞由来の細胞性免疫が亢進する可能性のあるこ
ビタミン E として 50 IU>,
3 頭}コントロール群(非
とが示唆された。
投与群 3 頭)の計 3 群について実験 1 と同様の投与
方法で 4 回採血し,群内または群間においてその活
実験 3
タヒボ原末とビタミン E における細胞性免疫機
性酸素な推移について比較検討した。
実験法は前出の実験法とほぼ同じであるが,測定
項目の分離血球に加え全血を追加した。
能の比較検討
実験 1 の結果からイペット(タヒボ)にはマクロ
〈結果〉
ファージ,好中球に対して抗酸化作用のあることが
好中球:実験 1 と同様,投与中は活性酸素放出量の
示唆されたため,イペットに含まれるタヒボの原末
抑制傾向がみられ,投与中止後 2 週目に活
を使用しその抗酸化作用を確認することを目的とし
性酸素量の著明な増加が認められた(図
て本実験を行った。対照として抗酸化物質のビタミ
-6)
。
ン E 剤(酢酸トコフェノール 50 mg 含)を投与す
マクロファージ:投与中には活性酸素抑制傾向が認
る群といずれも投与しない非投与群を置き,それぞ
められ,投与中止 2 週目には増加傾向が認
れの投与群による活性酸素量の群内平均値(3 頭)
められた。同様に抗酸化物質であるビタミ
を算出し,群間比較または群内推移について検討し
ン E 群でも活性酸素量の減少傾向がみら
た。
。
れた(図-7)
検体には本研究室において飼育されているビーグ
ル犬(♂)9 頭を使用し,タヒボ投与群(タヒボ原
末 3 g,3 頭)
,ビタミン E 剤投与群{ビタミン E
〈小括〉
本実験ではタヒボ投与中には活性酸素量の減少傾
小動物臨床 Vol.26 No.6(2007.11)379 ◆
向があり,投与中止後には活性酸素量の増加傾向が
実験は全実験同様の方法で血球分離は行わず全血
認められたことから,タヒボはビタミン E と同様
の活性酸素放出量の変動を比較検討した。
の抗酸化物質としての働きのあることが示唆され
た。
〈結果〉
さらに,実験 1 および実験 3 において,イペット
タヒボ投与群と非投与群,それぞれの全血での活
1∼5 包投与群(0. 1 ∼ 0. 5 g 含)とタヒボ原末 3 g
性酸素放出量を比較したところ,タヒボ投与群では
投与群を比較したところ,投与タヒボ原末投与量に
活性酸素量の抑制傾向が認められたのに対し,非投
応じた細胞性免疫活性作用(細胞障害性 T 細胞)
与群では増加傾向が認められた。さらに子宮蓄膿症
はなく,むしろ適量以上になるとその効果の減少す
の白血球数の変動について比較したところ,タヒボ
る可能性が示唆された。
投与群では白血球数が減少したのに対し,非投与群
今回の実験の投与群においては 0. 3 g(イペット
。
では増加傾向を示した(図-8)
3 包)程度が最適と思われた。一方,抗酸化作用に
おいては 0. 1 g(1 包)でも効果があることが示唆
された。
〈小括〉
以上の結果から,タヒボには活性酸素放出の増加
している子宮蓄膿症において抗酸化作用を有し,細
実験 4
胞性免疫力を亢進させ,子宮蓄膿症の回復を早める
可能性のあることが証明された。
人工的子宮蓄膿症犬におけるタヒボ原末の細胞性
免疫機能の効果
子宮蓄膿症においては大腸菌から活性酸素放出物
総 括
質であるエンドトキシン刺激があり,白血球の活性
タヒボには貧食能を有する好中球,マクロファー
酸素放出が誘起される。そこで前実験により抗酸化
ジの抗酸化作用を低下させ,リンパ球の細胞性免疫
作用を有することが示唆されたタヒボを投与するこ
機能を亢進する働きがあり,両作用により疾病の治
とによりエンドトキシンによって誘起された活性酸
癒を早める可能性があることが確認された。
素の放出が抑制されるかどうかを,また治癒の及ぼ
す影響を確認するために本実験を行った。
〈実験材料・方法〉
大腸菌を子宮内接種し,超音波診断または血液検
査等において子宮蓄膿症が確認されてから 10 日目
からタヒボを投与した投与群 2 頭とタヒボを投与し
ない非投与群 2 頭の活性酸素放出量の変動について
比較検討を行った。同時に臨床的な変化を観察する
ため,子宮蓄膿症の臨床的診断の指標として白血球
数の変動についても比較検討を行った。
◆ 380 小動物臨床 Vol.26 No.6(2007.11)
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