22店舗体制の店舗型ネットで黒字化 軌道に乗り

ケーススタディ|商圏特性と立地 SM の MD対応を見
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る⑧
12店に導入し、22店舗体制の店舗型ネットで黒字化
トで黒字化
軌道に乗り、今期から一気に拡大期に入ったライフネットスーパ
トスーパー
ー
セブン&アイグループが 11月からネットとリアルの融合をグループを挙
げて取り組む「オムニチャネル」を本格的に開始した。
いよいよ流通業界にも
ネット時代が幕を開けようとしている。
スーパーマーケット業界でもネット
スーパーの成功事例が出始めている。
ライフコーポレーションが手がける「ライフネットスーパー」がそれで、
2011年 12月に神田和泉町店で始まり、2012年までに 10店舗体制にし、
その後の 3年間でノウハウを構築、2015年 3月から一気に多店化に踏み切
り、11月までに 12店で実施。
22店体制になって、黒字化を実現している。
「MD対応」の 7回目は同社の取組みを取り上げ、その躍進の秘密を金原政
史新規事業開発本部ネットビジネス推進部担当課長に聞いた。
川崎市内での実施店舗、ライフ宮内 2丁目店
売上が急拡大し仕組みが整う
今期に入り 12店舗を一挙に拡大
腰が弱っている方。業務で使ってい
る人もいる。
できたのは、仕組みが整ったのと、
登録からは年齢しか分からないの
売上が急拡大しているから。既存の
で、客層は、配達時にベビーカーが
10店の売上はもの凄く伸びている。
あるとか、子供が一緒に出てくると
当然全店で前年を上回っている。
か、べビ―フードがあれば子供がい
メルマガ、FAXからの注文は受
けていなくてネットだけのためか、
利用者には、30~ 40歳代が多い。
7割が 30~ 40歳代。2割が 50歳
るとかの購買内容などから推測して
いる。
1,
500円以上使い放題で利用増大
代、1割が 20歳代と 60歳代。
金原政史ネットビジネス推進部担当課長
5,
000以上は配達料無料(未満は
登録会員を増やす事。チラシを打っ
20歳代が少ないのは、親と同居
324円)の他に、1,
500円以上の買
たり、店に販促物を付けたりとか。
しているか、独身で料理する事が少
い物を条件に 30日券 400円などの
とにかく会員数を増やした。次に使
ないからとみられる。イメージとし
使い放題プランチケットを発行して
ってもらって利便性を分かってもら
ては子育て中の家庭が買い物に行く
いる。5,
000円以上の配達料無料だ
い、継続使用してもらうようにした。
暇がないのでネットを利用している。 と、纏め買いになってしまう。そん
ネットは店購買の 1.
3倍
それに共働きが多い。一部で 60~
なにいっぱい纏め買いできないとい
50歳代で身体が不自由な方とか足
う声とか、店舗の客単価が 2,
000円
ネットにもポイントカードを使え
くらいなので、5,
000円では使
るので、I
D - POSの分析をすると
いづらいだろうなと言う事で始
ネットと店の両方を使うお客様は売
めた。
上はネットの方が 1.
3倍ほど高い。
売場担当が受注書を元に店内でピッキング(神田和泉町店)
06 週刊ストアジャパン
2015.
11.
30No.
862
客単価は下がるが、今まで月
以前はライフを使っていたが、最近
に 15,
000円だったのが 2万数
ではライフを使っていなかったお客
千円くらいになるとか。利用頻
様がネットスーパーを使うようにな
度が上がるので、ライフ全体の
って再び店に来るようになったお客
利用額は上がってくる。
様もいる。ネットだけのお客様もい
売上を増やすには母数である
る。どちらにしてもネットを使用し
ライフ ネットスーパー
て頂いているお客様はライフを信用
して頂いているという実績がでてい
ライフ配達エリア
(白線)
に多い 30~ 40歳代
る。ネットを使用することによって、
ライフを利用される回数、売上も上
がっている。
実店舗を利用していてネットを使
うには何らかの理由がある。雨降り
とか、お父さんが帰って来ないから
車がないとか、子供を迎えに行かな
ければいけないとか。また、水、酒、
など重いものはネットで買って、生
鮮は店で買うと言う人もいる。ただ、
平均してこうだとは言えない。お客
様は生活シーンに合わせて使い分け
ていらっしゃるのを凄く感じる。
扱いアイテム数は店によって違う
が、8,
000~ 4,
000アイテム。店で
比較的利用されている商品。
欠品は許されないのでそうならな
い商品を扱うようにしている。売り
切れの場合は、代替品をこれで良い
でしょうかと電話でお伺いするよう
にしている。そこで明日で良いとか
6歳未満のいる子育て世代はライフの足元と 10分圏外縁に多い
今日はいらないとか判断される。
店での商品発注もこの頃ネットで
売れているから少し増やしておこう
かと言う事はある。あるいはネット
で明日の注文でいっぱい買っている
から増やそうかと言うのもある。
住宅地では日曜日に利用
ネットの売上は実店舗の売上に大
きく影響を及ぼすほどの売上ではな
いが、酒は 1割強、飲料は 5%がネ
ットになっている。特に都心では車
のない家庭もあって利用される。
ネットスーパーで最も売れている
店は南千住店。販促とか配達時間と
かエリアの見直しを含めてテコ入れ
したため。元々は大阪の土佐堀店が
一番だった。ネットに向く店という
のは商圏特性の他、店舗のハード面
でのやり易さの条件もある。
技研商事インターナショナル「Mar
ket
Anal
yzer
」
により作成
2015.
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週刊ストアジャパン
07
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曜日別では、住宅地は日曜日が多
く、都心部は平日が多い。法人利用
ライフ ネットスーパー
足元商圏に高層マンションが集中
も多い。日曜日の住宅地が多いのは、
家にいないと受け取れない仕組みな
ので、日曜日に共働きの人が利用す
るのかもしれない。チラシの入る日
は利用が多い。
配送範囲を狭めて配達効率上げる
手探りでやってきたが最初の 1店
を回すのと、10店を回すのでは全
然違ってくる。1~ 3店まで何とで
もできるが、10店になるといろい
ろな仕組みを整えていかないとうま
くいかない。例えば狭い場所でやる
方法とか、配送効率をいかに高める
かとか、商品をピッキングする、積
める、運ぶというバランスをいかに
取るか。どういう商品を載せるのか
などお客さんの意見を聞きながら決
めていった。
店の商品の改廃をネットの商品の
技研商事インターナショナル「Mar
ket
Anal
yzer
」
により作成
改廃に反映するのに苦労した。お客
さんは定番だけだと物足りないし、
組み作りで経費率を下げ黒字化して
在庫、取扱品目の問題でできない店
30~ 40歳代はスーパーにとっては
きている。
舗もある。
若い客層でいろいろなものを買われ
売上も経費も全て店に計上する。
ただ、競合などで売上を上げたい
るので品群を揃えるのに苦労した。
店からのやりたいと言う声は尊重す
店は積極的だが、予算が好調な店は
経費面では配達コストをいかに下
るが、実施する条件がある。その条
そうでもない。
げるか。配達料は車 1台の減価償却
件を満たしていないとできない。例
商圏調査してマーケットとしてい
費とガソリン代、配達員の人件費。
えば配達車両が置ける駐車場スペー
い地区は会社として進めるが、その
それで、配達員 1人当りの経費は決
ス、仕分けるスペース。小型店では
際、やりたいと言う店を優先する。
まる。8時間で 16件だと 1時間当
たり 2件になる。それが倍運べたら
1件当りのコストは半分になる。1
車 10分圏より狭いライフココネリ練馬店の配送エリア
11月 18日、首都圏の最新店とし
リアはこのメッシュ図よりはるかに
件当りのコスト削減に力点を置いて、
て始まったライフココネリ練馬店の
狭く、10分よりかなり狭い地域を
配達エリアを狭めるようにしている。
商圏特性を技研商事インターナショ
ターゲットにしていることが分かる。
地の果てまで運ぶようなことをして
ナルの「Maket
Anal
yzer
」で見てみ
重ね合わすと、30~ 40歳代、6歳未
いると儲からない。
る。同店を中心に配達エリアの上限
満の子供のいる世帯、6階建て以上
増車しなくても良いように配達ル
にしている車で 10分圏内の 30~
の世帯の多い所とほぼ重なっており、
ートと配達時間をプログラムして受
40歳代人口、6歳未満の子供のいる
やはり、ネットスーパーとしての得
注するようにしている。台数と配達
世帯数、6階建て以上の世帯数を
意の商圏、マーケットが知見として
範囲で配達上限数が決まる。配達範
500m メッシュでその分布を見た。
得られていると思われる。かなりノ
囲は車で 10分くらい。こうした仕
ライフのネットスーパーの配達エ
ウハウが積み上がっているようだ。
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