WBSと言う言葉、概念から脱出して有意義なものとする

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Michihiko Esaki 2007-9-16
revised 2010-8-20
As Rev.2
WBSという言葉、概念の混乱から脱出して、それを有意義なものにする(課題/テーマ)
(本件の詳細は、WBS の再定義と使い方 2010 http://dtcn-wisdom.jp/00001-PMSE.pdf に詳しくまとめられました)
1.言葉の意味からの認識、混乱からの脱出
①
WBS(Work Breakdown Structure)の Work という言葉に意味には、(1)「作業」という意味, (2)「作業の結
果」(Work of art といった意味)、(3) 作業の場所(例えば、Iron works
鉄工場、場所、組織など)(4)意思と
いう意味(例えば、ロボットなどを操縦するときに It work well と言う表現を使って、ロボットがこちらの意
思の通り動くと言う表現を使います)
②
という 4 つの意味があります。
言い換えると「作業」という意味には、作業という動作につけた名詞であり、
「作業の結果」と言う意味には「結
果」とうい意味から、結果として得られる「もの・システム」を指す意味がある名詞である。
以上の、ような定義をせずに、世界中のプロジェクトマネージメントや SE(システムエンジニアーリング)の世界
で、それを定義せずに走ってしまいました。
その証拠に、下記のいくつかの WBS に関する規定や、インストラクションブック、解説にも、目を通した結果、そ
れが書いてありませんでした。
(1)MIL-HDBK-881A : Work Breakdown Structure for Defense Material Items
(2)DOD : MIL-STV-499(A〜C)Systems Engineering Management
(3)PMI : PMBOK Edition 3
(4)PMI : Practice for Work Breakdown Structure (2006)
(5)NASA SP-6105 : System Engineering Handbook
(6)INCOSE : System Engineering Handbook
(7)DSMC : System Engineering Management Guide
(8)DAU : System Engineering Fundamentals
(9)Gregory T. Haugan : Effective Work Breakdown Structure
(10) IIBA:BABOK
その他、日本で発行されている WBS の解説書や論文。
この視点から、
更にそれを広げた内容について「WBS の再定義と使い方 2010 http://dtcn-wisdom.jp/00001-PMSE.pdf 」
の本には、その視点からまいた、幅の広い応用展開が述べられています。
(例えば、コストコントロール、コストダウン、リスク管理、顧客との価値観わせ、などについて述べられています)
2.形の上からの認識
① 文字を四角い枠で囲むと、周りと際立たせることができ、その中に書いてある文字が目に入りやすくなる。
② 従って、文字の間の関係を確認しやすくなる。
③ 四角な枠で囲った枠を線で繋ぐと、文字の内容の親子関係や、因果関係が見やすくなる。
④ 従って、何事にも、親子関係、因果関係は必ずあるので、その間を結ぶ線に意味を持たせれば表現の方法と
して大変、便利なものとなる。
3.従来の WBS(Work Breakdown Structure)の作り方の混乱からの脱出
(問題点)
従来、WBSと言う言葉からの脱出は、上記に述べたとおりであるが、その作り方にも、混乱がある。
(WBS についての従来からの認識とその問題点)
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①
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形の上から、下記のような形をしていると認識されている。
図1通常の WBS の書式
② 落ちなく親子関係要素を抽出するのに、便利な書式として。
③ WBS と言う表現方法、書式は確かに、落ちのない要素抽出のために、便利なものであることは、認められる
④ しかし、Work
Breakdown Structure とそれによく似た言葉、書式に CBS(Cost breakdown Structure)、OBS
(Organization Breakdown Structure)、RBS(Risk Breakdown Structure)、
・・・・などの、X・BS(X・Break down)
型の言葉や、スタイルが出てくる。
そうすると、更に、混乱が始まり、それらの関係を含め、だんだん WBS と言う概念全体が解からなくなってきてしまっ
ている。
⑤
これに、次のような認識を、付け加える。
図2 目的手段型 WBS
これは、WBS の上のほうから、
、
「・・を・・する」
(目的)ために、
「・・を・・する」
(手段)と言う表現の繰り返
しをを表現をする「目的と手段の関係を示す WBS」と呼ぶ。
これにより、
「・・を・・する」ために、「・・を・・する」の表現の繰り返しにより、「意思の方向」、「価値の方
向」
(注)示す表現を表す WBS の表現を従来の WBS の表現に加える。
そうすると、後述するように、従来、車の両輪といわれてきた PM と SE(プロジェクトマネーメントとシステム
エンジニアリング)の関係が、きれいに説明できるようになる。
(注)なぜこれが、
「意思の方向」
、
「意思の方向」に、なるかは、
「差の情報による意思決定のメカニズム」と「PMD の作り方」を、参照すると、理解ができるようになる。
A.
従って、WBS には大きく分けて、次の3種類の基本型があると認識する。
① 目的と手段関係を示す WBS
② 作業の手順ないしは親子関係を示す WBS
③ もの・システムの親子関係を示す WBS
(体制の親子関係もこれに含まれる)
B.上記のAの認識のほかに、
WBS と同じような形をしている、CBS(Cost Breakdown Structure)、OBS(Organization Breakdown
Structure)、RBS(Risk Breakdown Structure)、・・・・などがある。
これらは、WBS という言葉を使わずに、それぞれ BS(Breakdown Structure)という言葉なお前に、Cost,
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organization という表現を付け加えて、X・BS(Breakdown Structure :分割構成)と言う言葉で、表現すると、
どういう分野の、BS(Breakdown Structure)か、ということで、わかりやすく使えるようになる。
上記の3つの基本表現も、目的と手段 BS、作業 BS、もの・システム BS、体制 WBS、コスト WBS といった表現
にしてしまったほうが早いと、考えられる。
C.
しかし、今のところ、日本の一箇所で、そのようなことを提唱しても、世界中が、英語の上記の意味で、WBS とい
う言葉を、従来のままの認識で、どこでもつかっているので、W を省略するわけにはいかない、という意見も出てく
る。
D. 更に、結論を急ぐと、上記の A 項ではまだ不足で、次のE項に示す「ワークパッケージ WBS」を加えれば、すっき
りしてくる。
即ち、作業のみを指す、Work という言葉は、単純に、作業の名称のみを指すと解釈してもよいが、詳しく言うと、
「ワークパッケージの WBS」という意味に捉えると、そこには、必ず、作業(ワーク)の「インプット」、
「作業の
WBS」
、それの作業の結果の「アウトプット」および、
「そのアウトプットを次のインプットにつなぐ作業の WBS」
があり、さらに、その「インプット」と「アウトプット」の内容は、言うまでもなく「もの・システムの WBS」で
あることがわかる。
ここで少し「そのアウトプットを次のインプットにつなぐ作業」内容を詳しく述べると、「アウトプットを次のイン
プットとして使ってよいかを決める検査(検証)作業、評価作業、それに基づく意思決定の作業の WBS」から成り
立っていることがわかる。
この関係を卑近な例を採って、わかりやすい図にすると、図3のようになる。
図3
うまい飯の炊き方の例による、インプット、アウトプットの関係の認識
この図では、作業のインプットを「作業のインプット項目」、作業のインプットとアウトプットの間に入り込む作業
を「アウトプットを創りだすための「作業とそのための保証条件」とし、アウトプットを「作業のアウトプット項目」
、
それに続く作業を「アウトプットを次のインプットとして使ってよいかを決める検査(検証)、評価、それに基づく
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意思決定・判断の作業」と位置づけている。
この考え方は、先に考案されている、落ちのない作業ステップを創りだすための、ステップリストの方法からきてお
り、その詳細は、http://dtcn-wisdom.jp/J-Edition%202/J04-chap%202-2%20steplist%203-5%20method.pdf に示
されている。
そうすると、単に「作業の WBS」として把握するより、詳しく言うと、「インプット」、「作業」、「アウトプット」、
「次のインプットとして使えるようにするための検査作業(検証)
、評価、意思決定作業」の WBS を一組として、
一つの落ちのない「ワークパッケージの WBS」として捕らえるとその関係に落ちがなくなる。
従って、これを、落ちのない「ワークパッケージ WBS」として認識していけば、従来のような混乱はなくなる。
E.
またこの「ワークパッケージの WBS」の作業の中身は、さらに、細分化すれば、図4のようになる
(註)これにより、従来のプロジェクト管理の教科書であるといわれる PMBOK のワークパッケージの説明には、
この「アウトプットを次のインプットとして使ってよいかを決める検査(検証)
、評価、意思決定の作業の WBS」が
抜けている。従って、上記の説明で、それを補完できるようなる。
図5は、
「作業 WBS」、
「もの・システム WBS」のいずれのケースでもよいが、それぞれ担当を、OBS(OrganizationWBS)
の立場から、その責任を割り付けるために、よく示される図の例である。
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図 5 OBSとWBSの マト リ ック ス
具体的に言えば、
「作業 WBS」と OBS のマトリックスは、職制に対する作業の割り付けであり、
「ものシステム WBS」
と OBS のマトリックス表現は、「もの・システム」の設計分野担当割付などに使われる。
F.
コンバインド WBS
更に、全体の応用例、簡易統合 WBS として使われる WBS の例を図6に示す。
図6は、「コンバインド WBS」とよぶべきもので、航空機の開発の開発などの時に、簡易的に使われるスタイルであ
る。
3.まとめ
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結論として、WBS の基本形には、次の4つがあり、
① 作業の親子関係を示す WBS
② もの・システムの親子関係を示す WBS
③ 目的と手段関係を示す WBS
④ ワークパッケージの WBS
それのほかに、類似したもの、もしくは応用展開例として、
CBS
OBS
コンバインド型 WBS
が、存在すると認識すると、WBS の解釈、認識、それらの作り方の整理がしやすくなる。
(2)
なぜ、WBS という言葉の混乱と、その作り方が説明できていなかったかの、もう一つの原因を述べると次のよう
になる
①
第1項に述べた、言葉の解釈上の、原因があった。
②
プロジェクトマネージメントの教科書とされている PMBOK における、WBS の作りかた説明(第3版 P-11
2、日英両文とも)次のようなことが書いてあるので、その原文と翻訳文にも、混乱の原因があったと思われ
る。
日本文
WBS の作成
WBS は、プロジェクト目標を達成し、必要な要素成果物を生成するために、プロジェクト・チームが実行する作業を、
要素成果物を主体に階層的に分解したものである。WBS はプロジェクトのスコープ全体を系統立ててまとめ、定義し
たものである。WBS はプロジェク作業より小さく担いやすい作業単位に細分化したものが、レベルが一段下がるご
とにプロジェクトの作業をよりプロジェクトの作業をより詳細に定義する。最も低いしベルにある WBS構成要素
はワークパッケージと呼ばれ、その作業は、スケジュール、コスト見積、監視、コントロール等の計画対象となる。
WBS は承認された最新のプロジェクト・スコープ記述書に規定されている作業をあらわす。
WBS を構成する要素は、ステークホルダーがプロジェクトの成果物(第 4.4.3.1 節)一覧する助けになる。
(注)第 4.4.3.1 節
には、
「要素成果物の定義として「要素成果物とは、プロジェクトマネージメント計画の文書に
定義された固有で検証可能なプロダクト、所産、サービスの実行能力等で、プロジェクトを完了するために生成し、
提供しなければならないものである」としている・・この訳のなかにある太字アンダーラインの部分(日英両文とも)
は、日本人にとっては、WBS の定義として、何を言わんとしているかが、少なくとも、文章からは、理解できない。
英文
Create WBS
The WBS is a deliverable-oriented hierarchical decomposition of the work to be executed by the project team, to accomplish
the project objectives and create the required deliverables, The WBS organizes and defines the total scope of the project、 The
WBS subdivides the project work into smaller, more manageable pieces of work,with each descending level of the WBS
representing
an increasingly detailed definition of the project work、 The planned work contained within the 1owest-level
WBS components, which are called work packages, can be scheduled, cost estimated, monitored, and controlled.
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The WBS represents the work specified in the current approved project scope statement, Components comprising the WBS
assist the stakeholders in viewing the deliverables (Section 4.4.3.1) of the project.
(3)上記の整理と認識をすることにより、従来、PM(プロジェクトマネージメント)と SE(システムエンジニア
リング)の関係がうまく的確に、説明できなかった関係を、
http://dtcn-wisdom.jp/J-explanations/j-PMtoSEnokannkei.pdf もしくは、
http://dtcn-wisdom.jp/J-explanations/PM%20to%20SE%20no%20kannkei-5pe-ji%20setumei.pdf で示すように、
的確に、説明できるようになった。
PM と SE の関係は、同じ意思のもとに、PM は、プロジェクトの手順と体制を扱うマネージメントの方法であり、
SE は、もの・システムの構造・構成、コスト、安全性などの保証項目を扱うマネージメントの方法である。
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