KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 ズグロオニグモの研究 八幡秋山 沙和* 研究の 研究の背景 私は,小学 4 年の夏の自由研究にクモの網を調べたいと思いました.始めにコ ガネグモに網を張らせようとして,飼育かごに入れたものを風通しのよいところ に置いたのですが,次の日の朝,起きてみてみると,コガネグモは網を張ってい なかったので,おどろきました.午後になっても網を張ってくれません.卵を産 んだ後だったからかもしれません.そこで,私は夕方に家のまえの隅田川に行き, 網を張るクモをさがしました.すると,目にはいったのがズグロオニグモでした (図 1).そこから,私のズグロオニグモの網の研究が,始まりました.隅田川 堤防の欄干には,夕方からとてもたくさんのズグロオニグモが網を張りだしまし た.いったいどれくらいの数がいるのか,ということも知りたいと思いました. 図 1.ズグロオニグモ ズグロオニグモとは ズグロオニグモとは? とは? 体長: メス:10mm~13mm (メスのほうが,大きい) オス:8mm~10mm (オスは,スリム) 人の家の周りや橋の欄干や橋げた,街路灯,駅,公園のトイレ,電話ボックス などに網を張り,昼間はものかげに隠れ家をつくって,その中ですごす.夜にな ると,でできて網(垂直円網=タテのうずまき網)を張る.ズグロ(頭黒)オニ *荒川区立瑞光小学校 5 年 1 グモの名前の由来は,頭の部分が,黒いので,ズグロオニグモとつけられたそう です.(以上,新海栄一 2006.『日本のクモ』文一総合出版より) 荒川区南千住 6 丁目アクロシティタワー前の隅田川堤防の欄干には多数います. 2007 年 7 月に東京蜘蛛談話会の夏の合宿で行った東京都奥多摩町の奥多摩駅す ぐの橋でも,夕方網を回収しているズグロオニグモ幼体を見ました. 網の張り方 ズグロオニグモの網の張り方は,まず,前に作った網をこわします.このときク モは糸をくっついている虫ごと食べてしまいます.糸はタンパク質で,消化され てリサイクルされるそうです.そして,あたらしい網のタテ糸(中心から外にま っすぐのびている糸)を張ります.次に,タテ糸をたどりながら,足場糸(間隔 の広いうずまきの糸)を張ります.足場糸を張り終わったら,足場糸をたどりな がら,ヨコ糸(間隔の狭いうずまき の糸)を張って,最後に,真ん中に 穴をあけたら,できあがり(図 2). ヨコ糸は,粘り気があり,指をくっ つけてひっぱるととてもよくのびま す.タテ糸は,粘り気がなく,少し のびます.網を張る時刻は,夕方で す.ユスリカがよく網にかかってい るのを観察しました.歩いていて目 の中に入るほどユスリカが飛んでお り,上空にはアブラコウモリが飛ん でいます.やはりユスリカを食べて いるんだろうと思います.同じ堤防 の欄干に,アシナガグモもいますが, ズグロオニグモのほうが,数ははる かに多いです. 図 2.網の張り方 研究の 研究の目的 1.うちの近くに何匹くらいいるのか? 2.どれくらいかかって,網を張るのか? を知りたいと思いました.調べ始めてみると,さらに, 3.時刻によって見つかるクモの数がちがう.いつが多いのか? 4.場所によって見つかるクモの数がちがう.どんな場所に多いのか? 2 という疑問も出てきました. 調査の 調査の方法 調査期間:2007 年 8 月 5 日,6 日,7 日,11 日,28 日,30 日 調査場所:荒川区南千住 6 丁目アクロ シティタワー前 隅田川堤防(図 3) 調査者:八幡秋山 沙和 (手伝い:八幡 明彦) 用意したもの:ヘッドライト,フィー ルドノート(野帳),えんぴつ,巻き 尺,カメラ,タイマー,ポストイット (のり付メモ付箋),まとめ用のパソ コン(表計算ソフト,ワープロソフト) 1.「時刻によってクモの発見数がどう かわるか」の調査 調べる時刻を 4 通りに変えて,欄干 の支柱 15 個分の範囲(6 日は 33 個分) に見えているクモの数を数えた. 図 3.調査地 2.「全部で何匹いるか?」予想するための調査 5 個おきに支柱間 1 つ分の範囲のクモの数を,堤防の全体(362.5m)にわた って調べた(サンプリング=ぬきとり調査)(図 4).ただし,数えるのは隠れ 家にいるクモを除いて,活動中のクモだけ. 3.網を張るのにかかる時間の調査 同じ時間帯にあちこちでクモが網を張るので,同時に時間を測れるよう工夫し た.張り始めている網を見つけたら,ポストイットに作り始めた時間を書いて手 すりに貼り付けておく.網を張っているクモを順にくりかえし見まわる.さらに 足場糸を張り始めた時間,ヨコ糸を張 り始めた時間,網を張り終わった時間 を,ポストイットに書きくわえる.網 が完成したら,巻き尺を使って,網の タテ・ヨコの長さを測る. 図 4.調査区間 3 異なる形の欄干(図 5)を見比べて思った こと ・手すりが 1 段と 2 段の場所がある. ・手すりが 1 段と 2 段とでは,足場や隠れ 家になる構造の複雑さが違ってくるだろう から,クモの数もちがうかもしれない. 分かったこと, かったこと ,気づいたこと 1. 時刻によってクモの発見数がどうかわ るか(グラフ 1) 早めの時間帯(18:00~,18:30~)は, みつかるクモが少なめ.隠れ家にいて,ま だ活動していない.おそめの時間帯(19:00 ~,20:30~)は,みつかるクモが多め. 網を張りだすクモが多くなるので,たくさ 図 5.異なる形の欄干 ん見つかる. 8/6 の 18:30~は 33 支柱調べて 94 匹みつかった. 8/5 の 20:30~はより少ない 15 支柱調べて 152 匹もみつかった. 前者は調べた支柱の数が多いのにクモの合計が少ない.同じ時間でも,支柱ご とに多かったり少なかったりするので,時間帯ごとに【合計のクモ数】を【調べ た支柱の数】で割って「平均値」を計算してみた(表 1). (発見クモ数)÷(調べた支柱の数)=(1 つの支柱についての平均的なクモ数) 時刻と,その時刻の発見数(1 支柱ごとの平均)をグラフにした(グラフ 2). グラフ 1.時刻によるクモの発見数 4 表 1.時刻によってクモの発見数がどうかわるか 観察日 天気 風 時刻 観察 範囲*1 8/5 8/5 8/5 8/6 くもり*3 くもり*4 強い 少し なし 強い 18:00~18:30 19:00~19:30 20:30~20:45 18:30~19:15 15 15 15 33 発見 クモ数 2 101 152 94 大個体 小個体 平均値*2 1 76 1 25 51 43 0.13 6.73 10.13 2.85 *1 支柱の数 *2 支柱一つあたり何匹か(発見クモ数÷支柱の数) *3 雨がふりそう *4 雨がふった後 18:00~19:00 は,増え方が急.19:00~20:30 は,増え方がなめらか.全体のク モの数を推測するには,20:30 に調べたほうがより良いということになる. 18 時台には川の付近はとても強い風が吹いていて,19 時台に収まって風が弱 くなる.風が強いと,クモは網を張るのに少し苦労しているように見えた.飛ば されてしまうクモは見なかった. 2.全部で何匹くらいいるのか グラフにしてみると,手すりが 2 だんの区域にクモが多くみつかっている(グ ラフ 3).平均して比べてみるために,区域別に(発見クモ数の合計)÷(調べ た支柱の数)=(一つの支柱についての平均的なクモ数)を計算した(表 2) 二段手すりの区域:125÷16=7.8 匹 一段手すりの区域: 42÷13=3.2 匹 調べたのは支柱 5 本ごとの「ぬきとり」なので,全体の数を推測するには, (堤防全体のクモ数)= 167×5=835 匹 グラフ 2.時刻によるクモ発見数 5 よって,362.5m(=2.5m×5×29)の範囲に 835 匹くらい見つかるだろうと予 想できる.ただし,調べた時刻が 19:00~19:40 なので,もっと遅い時間には見 つかるクモがもっと増えると思われる. 表 1 のときの調査では,19:00~と 20:30~では,クモ数が何倍ちがうかとい うと,遅い時間の方が,152÷101=1.50 倍 になっている.だから,全体の数 の予想も,20:30~ごろを考えれば, 835×1.50=1252.5 匹 くらいになるのではないだろうか.つまり,1000 匹以上のズグロオニグモが,身 近にいるらしい.(おどろき!) 3.網を張るのにかかる時間 タテ糸,足場糸,ヨコ糸の順で張るが,足場糸はあまり時間をかけない(グラ フ 4).タテ糸の張り始めは見のがしてしまうことが多いので,正確に測れなか った.張り始めたように見えて,途中でやめてしまうのもいた. 網の形は完全な円ではなく,タテがヨコより長いのも,ヨコがタテより長いの もいろいろあった(表 3).いろいろな形なので,網の広さは, タテの長さ×ヨコの長さ=(網の広さ) でみることにする. 網の広さが大きいほど,ヨコ糸をたくさん使うので,張るのにかかる時間が多 くなるのではないか.「散布図」にしてみた(グラフ 5).やはり,グラフを見 た目でもだいたいの感じで,網の広さが大きいほどヨコ糸にかかる時間が長くな っている.さらに,エクセルの機能で「検定」すると,確かにそうであることが たしかめられた. グラフ 3.区間(支柱 5 個おき)ごとのクモ個体数 6 表 2.何匹いるのか調査 区間番号*1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 二段手すりの区間 一段手すりの区間 全体の区間 二段手すりの区間 (0~15) 一段手すりの区間 (16~28) 区間の数 29 16 13 合計 平均*2 合計 平均*2 合計 平均*2 小個体 3 2 4 8 3 9 5 3 3 7 8 3 6 3 4 3 3 2 0 4 4 1 1 1 0 2 3 1 2 98 3.4 74 4.6 24 1.8 大個体 1 1 5 2 4 5 6 1 2 2 4 2 5 3 5 3 2 1 1 1 2 3 0 1 0 1 4 1 1 69 2.4 51 3.2 18 1.4 合計 4 3 9 10 7 14 11 4 5 9 12 5 11 6 9 6 5 3 1 5 6 4 1 2 0 3 7 2 3 167 5.8 125 7.8 42 3.2 *1 5 支柱ずつに 1 支柱分をカウント *2 5 支柱あたり,だいたい何匹か 考えたこと 1.なぜズグロオニグモは夜に活動するのだろうか ・昼間だと,ネコなどに食べられてしまいそうだから,夜に活動する. ・ズグロオニグモの主な餌になっていたユスリカは街灯に集まってくるから,こ の場所では夜にクモの網にかかりやすいと思う. ・網を張るクモが増えるのは,暗くなるからなのか,風が吹かない時刻になるか らなのか.どちらかだと思う. 7 表 3.あみをはるのにかかる時間 クモ 番号 4 7 10 11 1 3 2 5 6 8 9 平均 かかった時間(分:秒) 足場糸 たて糸 よこ糸 + 足場糸 区分けできず 12:42 04:12 02:56 08:22 区分けできず 05:45 01:45 07:30 12:05 06:12 02:13 08:25 10:14 区分けできず 09:42 12:52 08:40 01:31 10:11 14:26 区分けできず 13:40 09:07 たて糸 合計 たて (cm) 16:54 11:18 19:35 18:39 22:34 24:37 22:47 13 23 25 20 15 20 20 あみの大きさ よこ たて (cm) × よこ*1 18 234 18 414 20 500 30 600 40 600 34 680 35 700 *2 不明 不明 *3 06:52 01:50 09:18 10:11 19:29 *1 あみの広さ *2 26:26 で終わらず *3 30:54 で終わらず,途中で不明 グラフ 4.網をはるのにかかる時間 8 備考 2.もっと遅い時刻はどうなるか 18 時台より 19 時,20 時台の増え方のほうが,ゆるやかなので,その後の 21 時台も,ゆるやかに増えるのではないかと思う.(グラフ 2 の点線②の予想) 4 年生では早寝を心がけていたので観察できなかったが,高学年になったら確かめ てみたいと思った. 3.なぜ 2 段手すりの場所には多くいるのだろうか 「隠れ家」は,物かげに作るので,手すり(横の棒)の下側を利用する.それ で横棒が 2 つある 2 段手すりのほうが,隠れ家を作る場所が多いのでクモも多い のだと思う. 4.荒川河川敷も観察してみた 観察場所: 足立区千住新橋北詰周辺の河川敷. 観察された円網性のクモは,コガネグモ,コガネグモダマシ,オニグモ,ジョ ロウグモ,ナガコガネグモなど.植物の量も種類も多い.クモの餌となるムシも, コガネムシ,バッタ類など多い.隅田川堤防と比較すると, ・隅田川観察地は植物が少なく,荒川河川敷と比べてクモが少ない(隅田川観察 地のクモの種類はズグロオニグモとアシナガグモの 2 種類).植物が少ないと, 餌となる虫も少ない. ・植物が多いと,クモが一日に食べる事ができるムシの量が多くなるだろう(荒 川河川敷). 5.隅田川観察地は 300m ちょっとの範囲に 1000 匹以上ズグロオニグモがいる! それは隅田川堤防の生き物の世界でどんな役割をしているのだろうか(図 6). グラフ5.網の広さとよこ糸をはる時間との関係 9 図 6.隅田川堤防の生き物の世界でのズグロオニグモの役割 ユスリカを多く食べているズグロオニグモは,生き物の種類が少ないところでも 住める.コガネグモは,生き物の種類が多いところでしか住めない.荒川と隅田 川のちがいは大きく,多いクモが主に食べている虫の種類もちがうはず. 6.今後に残された疑問 ・もっと遅い時刻に見つかるクモの数は,何匹なのか. ・ズグロオニグモは,餌が多い時間帯を覚えていてその時間に網を張るのか. ・ 夜遅くは何をしているのか.網の上にいるのか.網をいつたたむのか. 感想, 感想,反省 1.この研究をやっての感想 網の研究といっても,ズグロオニグモだけでした.でも,調べてみていろんな 事が分かりました.棒グラフ・折れ線グラフ・散布図・表にしてみると,発見が たくさんあってとてもおもしろいと思いました.来年は夜遅くのクモの数を数え て,グラフや表にまとめたいです.ちがうクモなども調べてみたいです.自分の 家のすぐそばのズグロオニグモだから,この調査は特にやりがいがありました. ズグロオニグモ,ありがとう・・・. この研究は,学年代表として荒川区の夏休み理科研究作品展に出品・表彰(「輝 賞」)されました. 2.今後やってみたい事 ・夜遅くに観察されるズグロオニグモの数. ・もし餌が昼間に多く来ていたら,網をはる時間は変わるのかを実験してみる. ・網を張るクモが増える理由は,風が吹かない時刻だからなのか,暗くなるから なのかの調査. 10 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 「あいのこ」トリノフンダマシに関する情報 新 井 浩 司 今年 2 月,新海明氏より,「あいのこ」トリフン(トリノフンダマシとオオト リノフンダマシの雑種)についての原稿をまとめたいとの御連絡を頂き,手紙に て情報提供をさせて頂いた.その後,その内容を本誌へ投稿してはと勧められた. 今回それを受け,多少脱線する部分はあるかも知れないが,手紙の内容をほぼそ のままここに記す事にした. 「あいのこ」 あいのこ」 トリノフンダマシに トリノフンダマシに関する情報 する 情報 2003 年 7 月 19 日 東京都青梅市根ヶ布 標高 200m 程度.地元で「北谷津」 と呼ばれる谷戸. 丘陵部の鬱蒼とした樹林地に挟まれた湿地.その際のヨシの葉に静止していま した.地上約 1.5m くらいでしょうか.この『あいのこ』の存在は,ちょうど明 さんから耳にしていましたので,見た瞬間にそうだと思いました.腹背等は,「血 色の悪い『オオトリ』」って感じですね.目(肩の模様)の周りに黒いクマが出 来てるし….一番変なのはやっぱり「頭胸部が真っ黒」な事ですね.外雌器の有 無は確認していませんが,結構サイズはありました(体長 7~8mm以上はありそ うに見えました).卵嚢は見ていません. {この辺一帯は,永山北部丘陵宅地開発の予定地だったのですが,地域住民や市 民団体等の反対運動もあり,結局,去年青梅市が買い取る事が決まり,里山とし ての保全計画の話が持ち上がっている,というような場所です.その区域内には いくつか谷戸が在りますが,「北谷津」と呼んでいるのは,その中では最も大き なコア部分とでも言うべき谷戸の事です.北谷津中心の湿地部分は,かつては水 田耕作もされていたようですが,今はかなり遷移が進んでいて,ヨシに覆われて います.この場所は,他のトリフンも結構見られます.クモ屋さんが来たら,た いてい『アカイロ,シロオビ,オオ,トリフン』は全部見て帰るんじゃないでし ょうか? 湿地の周りの丘陵部は,コナラ等の広葉樹が多いのですが,基本的に 長い事人手が入ってないので,かなり鬱蒼としています.広大な開けた湿地と言 うよりは,もっと渓流的な要素が強いような感じです.そのせいか,開けた湿地・ 草地等の環境で見られるような,『コガネグモダマシ』とか,『ドヨウオニグモ』 だの『トガリアシナガグモ』なんかも,殆ど見られないです.また,湿地内の地 11 表・水面は,流れなんかが出来ていたりします.なので,比較的開けた水溜りを 好みそうな『スジブトハシリグモ』と,渓流的な所を好みそうな『アオグロハシ リグモ』が同所的に見られたりする場合も有ります.} 2003 年 8 月 2 日 東京都あきる野市横沢入り 標高 200m 程度.中央湿地北側 丘陵部沿いの藪. 湿地帯縁から丘陵部縁にかけてススキやクズ等の群落や,ヤマグワ等が見られ ますが,そのヤマグワの葉裏に静止していました.これもやはり地上 1.5m くら いの高さです.体長約 9mm の♀成体です(図 1~3).すぐ近くの枝葉間に卵嚢 が有り,状況から,その個体の産卵したものである可能性が高そうに思えました. 形状は球形よりは若干縦長で,卵型のような形状です.色はかなり明るく,オレ ンジ色に近いような薄茶色です(図 5,6). {横沢入りは,都内随一の広大な湿地帯.昔,談話会でも観察会をした場所だそ うですから,だいたいの環境は御存知というクモ屋さんもいらっしゃるかも知れ ませんね.去年,東京都の里山保全地域に指定され,復田工事等の大掛かりな改 変が成された場所も有りますが,この現場の環境は,現在も殆どそのまま残って いると言って良いと思います.中央湿地北側の丘陵縁に沿うような形で道があり ます.(武蔵増戸方面から来た場合)その道沿いを小机林道方面へ向かって歩い て行くと,所々垣根のようにアズマネザサ群落等が見られますが,そのポイント 近辺でクモを探すと,結構色々見られて面白いです.『トリフン』類は普通に見 られますし,運が良ければ『ムツトゲ』なんかも見られるかと思います.今まで たった一度だけ,『サカグチトリノフンダマシ』を見ましたが,ほぼ同じ地点で した.というか,同日(2003 年 8 月 2 日)の夜に見ました….『ムツトゲ』も 同日だし,この時は特に当たり年だったのかも?} 2004 年 7 月 10 日 東京都青梅市根ヶ布 標高 200m 程度.北谷津. 2003 年の時と殆ど同地点と言ってよいかと思います.湿地縁のヨシの葉裏に静 止していました.体長およそ 4mm 程度.地上 1m くらい.姿・サイズから♀の 幼体と思って良さそうです(図 4). {例によって,その他のトリフン属も全て確認しましたが,時期的にも小さく, ほぼ皆 4mm 以下のサイズばかりでした.1 個体だけ,成体サイズの『シロオビ』 を見ました.個体数的には,『オオ』が一番多いかな?という印象です.} 2006 年 7 月 17 日 東京都西多摩郡日の出町大久野 標高 200m 程度.大久野 変電所近くの谷戸. 湿地に隣接したススキの群落で,そのススキの葉裏に静止していました.地上 1m 程度.体長 5mm 程度で,♀幼体と思われました. 12 {見たポイントは少し開けた感じでしたが,近くの湿地は,結構木々も茂って鬱 蒼とした感じもあります.ただ,この辺の地域自体は,まだ現在も使われている 水田が結構残っています.この現場のすぐ南は丘陵地になっていて,その尾根を 越えた向こう(南)側がちょうど横沢入りになります.この時は,知人が地域の 子供達向けに(カブト・クワガタ等)虫捕りイベントを開いて,それの手伝いだ ったので,あまりクモ見はしませんでした.ただ,これの近くで同サイズの『ア カイロ』幼♀は見ました.「そういう環境だったからちょっと見たら居た.」と いう感じでした.} 『トリノフンダマシ』 トリノフンダマシ』♀と『オオトリノフンダマシ』 オオトリノフンダマシ』♂が一緒に 一緒に居 た例 2007 年 8 月某日 福井県某所 標高 200m 程度. 河川から道路を隔てて 20~30m くらいの位置,針葉樹林等と隣接する湿地で す.水量はあまり無く,範囲も狭い(300m2 程度?)の湿地です.基本的にはミ ゾソバ等の群落で,端の方に在ったススキの葉の裏に,『トリノフンダマシ』♀ と『オオトリノフンダマシ』♂が隣り合って静止していました.何れも成体でし た.卵嚢は見当たらなかったです.この辺の地域全体的に,トリフン類はあまり 多くないです. {実は,H 氏とアセスの調査で行った時の事でして,場所日付を詳細に記す事が 出来ないのです.調査中は,観察するような余裕が全く無く,ひたすら採集作業 という感じです.この時は,当然『トリフン』♂♀ペアだと思って採集しました が,後に確認した時に,♂の方は『オオトリ』である事が判明して,驚きました. 双方エピジナムもパルプも確認して,『トリフン♀』『オオトリ♂』で間違い有 りません.間違えていたのはクモの方だったようです.こういうので雑種が出来 るのでしょうかね? また,この地域ですが,この期間の調査でそれ相応にかな りの種数は出ましたが,トリフン類の個体数は少なく,結局この個体以外,トリ フン類の成体は採れてないです.} 秩父で 秩父で『あいのこトリノフンダマシ あいのこトリノフンダマシ』? トリノフンダマシ』? 海野和男 』? 海野和男さんの 海野和男さんの「 さんの「小諸日記」 小諸日記」にて. にて. 昆虫写真家で有名な海野和男さんが,2006 年 8 月 9 日に,秩父市にて,卵嚢 と本体を撮影されています.海野さん御自身は『トリノフンダマシ』として紹介 していますが,この姿は多分『あいのこ』だろうと私は思いました. {「海野和男のデジタル昆虫記」というホームページがあり,その中に,氏の日々 の写真日記を綴った「小諸日記」というコーナーが有ります. 「小諸日記」の「2006 年 8 月 9 日」が「トリノフンダマシ」というタイトルになっていて,この URL(↓) に載っています. http://eco.goo.ne.jp/nature/unno/diary/200608/1155130708.html 13 図 1.♀成体 体長 9mm 図 2.図 1 と同個体(異なる角度から) 図 3.図 1 と同個体(別の葉へ移動) 図 4.♀幼体 体長 4mm 図 5.卵嚢 図 6.図 5 の卵嚢の拡大 図 1,2,3,5,6 は 2003 年 8 月 2 日に東京都あきる野市横沢入りにて撮影. 図 4 は 2004 年 7 月 10 日に東京都青梅市根ヶ布にて撮影. 手紙の内容は以上で,私の見た「あいのこ」トリノフンダマシに関する情報の全 てである.尚,本投稿に際し,新海明氏と初芝伸吾氏に相談に乗って頂きアドバ イスを頂いた.ここに御礼を申し上げる. 参考文献 新海 明 2003. あいのこトリノフンダマシを発見. Kishidaia,84:64. 14 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 富山県におけるイソコモリグモの絶滅 徳本 洋・新海栄一・貞元己良 1. はじめに イソコモリグモ Lycosa ishikariana (Saito 1934) は現在,わが国レッドデー タブックでは絶滅危惧Ⅱ類にランクされており(環境省 2006),日本蜘蛛学会 でも 2006 年に学会として本種の特別調査をおこなうことを決めて,その全国的 分布状況の詳細な把握を目ざした集中的調査が現在も継続されている.本種の国 外での分布は明らかでないが,わが国内では北海道,本州に分布し,南限が太平 洋側では茨城県,日本海側では島根県であると見られている. 新海明・安藤・谷川(2006)の県別クモ類分布図によると本州では北端県であ る青森県から南限県までの間には太平洋側,日本海側ともにそれぞれ 3 ないし 4 県の分布空白県がある.それらの空白県には分布地点が現実に存在しない場合も あろうが,調査不十分のためにまだ分布地点が見つかっていないだけのものもあ るであろう.現に一部の空白県では最近の調査によって分布地点の存在が判明し てきている.ところが空白県のなかには過去には分布地点が存在したが,それが 現在は消失してしまっているというものもあるであろう.本稿で取り上げる富山 県も過去に本種の分布記録がまったくなく,分布空白県の一つと見なされてきた. ところが最近,著者の一人である徳本がその古い分布記録を発見し,それと著者 らによるこの県での本種の分布調査結果とを総合的に検討した結果,この県の場 合は既存の分布地が,生息環境破壊によって,完全に分布を消失したことによる 分布空白県であるとの結論に達したので,以下にその事情の詳細を述べたい. 2. 富山県における 富山県におけるイソコモリグモ におけるイソコモリグモの イソコモリグモの分布記録 富山県の真正クモ類分布に関する文献としては新海・安藤・谷川(2006)に 16 編が載っているが,その中にイソコモリグモを載せているものはない.富山県が イソコモリグモ分布空白県とされた理由はそこにある. この県の真正クモ類の分布を最初に報じた文献としてクモ類研究者一般に知ら れているのは安念嘉一(1940c)であり,91 種を記録している.新海・安藤・谷 川(2006)に載っている安念の報文はこれだけである.なお安念(1940d)は安 念(1940c)の中にある 3 種を簡易に図解したものなので,新海・安藤・谷川(2006) の中には取り上げられていない.ところが安念の報文はその他に多数あることが 15 近年判明した(安念 1939, 1940a, 1940b, 1940e).安念(1939)では 71 種を報じ,安念(1940a, 1940b, 1940c, 1940e)ではそれが 91 種にふえてい るが,この 1940 年につくられた 4 報はそれぞれの前文内容を対象読者の違いに 応じて変えてあるものの目録自体はまったく同じものである.なお,イソコモリ グモはこれらのどれにも含まれていない. ところが坂下栄作(1955)の富山県動物目録には真正クモ類が 111 種記され ており,この中にイソコモリグモが載っていて,しかも「Lycosa hujitai Uyemura 東岩瀬海岸砂浜」と産地を明記してある.この著作は載せた動物が 3110 種(と 記してあるが,実際は 3135 種)と多いが,記されている文献の内容から見ると, 目録となっている種のほとんどは文献からの引用と思われる.また目録作成への 協力者に安念嘉一の名があげられていることと,記されている真正クモ類の目録 内容から推定すると,この著作に載っている真正クモ類 111 種は安念が自己の既 発表 91 種に,その後に発見した富山県未記録種 20 種を追加したものと考えられ る.また 111 種すべてに具体的な分布記録地が記されているが,その中には安念 の勤務先であった魚津高等女学校や勤務先周辺地名が多いことから見ても,安念 が当時までに確認したクモ全種にそれぞれの採集地名を付して坂下に与えたもの であることは間違いないと推定される.従ってこの著作中の真正クモ類に関する 部分はすべて安念が調査,作成したものであり,実質上,安念自身の著といって よいほどのものといえるが,そのあたりの事情については記されていないのでま ったく不明である. なお,徳本(2004)は安念(1940c)の富山県クモ目録中にあるアシダカグモ の記録はコアシダカグモ属の種の誤認であると論じたことがあり,その論拠は明 らかに安念が記したものと思われるある分布地点付きのクモリストに記されてい る採集地名にあると記した.そのクモリストを徳本は古くから所持していたが, 長らくその出典先が不明で経過してきており,最近になってようやくこれも上記 の坂下(1955)であることが判明した. 3. 富山県内の 富山県内のイソコモリグモ分布地点 イソコモリグモ分布地点 (1)分布既記録地点の現状 前項で記したように富山県で唯一のイソコモリグモ既知分布地点は「富山市東 岩瀬海岸,砂浜」(坂下 1955)である.イソコモリグモという海浜砂浜に穴を 掘って生息するクモの存在が一般のクモ研究者に広く知られるようになったのは 藤田(1939)の福井県における本種の発見および生態についての記述と植村 (1939)の本種の新種記載によるものであった.従って安念も当然,本種の富山 県における存在確認を心がけていたであろう.しかし 1940 年の県産クモ目録発 表の段階ではまだ発見に至ってはおらず,目録に載せることができなかった.安 念がいつ,本種を東岩瀬浜で発見したのかは不明であるが,坂下が県産動物目録 16 図 1.富山市神通川河口付近.地理調査所 5 万分の 1 地形図 1951 年発行より 図 2.富山市神通川河口付近.国土地理院 5 万分の 1 地形図 1996 年発行より 17 を発表した 1955年ごろは東岩瀬浜に生息していたとみなすことは可能であろう. また当時の地理調査所(現在の国土地理院)発行の地形図(5 万分の 1 富山(1930 年修正測図,1951 年資料修正,1951 年発行)同魚津(1930 年修正測図,1950 年資料修正,1950 年発行),図 1)を見ると東岩瀬海岸にはやや広い砂浜があり, そこに防砂林があって標高 6.8m の三角点も存在しているから,規模はごく小さ いが富山県としては数少ない砂丘的な浜が存在していたことが判る.そこには当 然,海浜植物群落も発達していたと思われるから,イソコモリグモが生息するに 適した典型的な浜形態がそろっていたと考えられる. 東岩瀬浜は神通川河口の東側にある浜であるが,この河口の西側にある西岩瀬 浜は東岩瀬浜に比べると規模が小さく(図 1),イソコモリグモが生息していた かどうかは不明であるが,若干は生息していたかもしれない. ところでこのイソコモリグモ生息地はその後どうなったであろうか.同じ場所 の現状を示す国土地理院地形図(5 万分の 1 富山(1969 年編集,1995 年修正), 同魚津(1970 年編集,1998 年修正),図 2)をご覧いただきたい.岩瀬浜の名 は残っているものの,砂丘の防砂林はまったく消滅していることがおわかりにな るであろう.1940 年から始まった東岩瀬臨海工業地帯造成事業が遅滞,進行を繰 り返しながら徐々にこの地域に運河網建設,工場用地造成等を進め,それに伴う 宅地造成の拡大も起こって砂丘は消滅し,汀線近くがコンクリート護岸され,自 転車道が走るようになった.イソコモリグモが残存した最後の年は不明であるが, 岩瀬浜は裸の砂地の海水浴場名として残っているに過ぎない. 徳本(2000)は福井県の大きな砂丘地であり,イソコモリグモの大生息地であ った三里浜砂丘が 1970 年代から始まった臨海工業地大造成事業によって,その 生息地のほとんどを失ったことを記した.三里浜はその名称からもわかるほどの 大きな砂丘であり,生息するイソコモリグモの個体数もひじょうに多かった.そ れと比べると富山県の岩瀬浜の砂丘はとても小さく,生息数も少なかったと思わ れるが,富山県唯一の生息地という点で富山県の生物多様性保持上,貴重な砂浜 を富山県は失ったといえる. (2)東岩瀬浜以外のイソコモリグモ生息地点の探索 前記したように,富山県内の海岸線でイソコモリグモ分布地として知られてい るのは前記した東岩瀬浜だけであることが,最近になって判明した.しかし,そ れ以前から県内においてイソコモリグモ分布地点の探索は行われてきているので, その状況や成果についてここで記録しておきたい. 著者らの一員である新海栄一と貞元己良は下記の砂浜地点で本種の分布の有無 を 2 回にわたり調査したが,いずれでも分布を認めることができなかった(図 3). 調査時期:1994 年 8 月 22 日昼間,2001 年 7 月 22 日昼間 18 図 3.富山県海岸.黒丸は新海栄一・貞元己良がイソコモリグモの分布の有無を調査した地点 調査場所:滑川市浜四ッ谷,魚津市経田浜(片貝川河口左岸近辺),黒部市浜 石田(片貝川河口右岸近辺),黒部市荒俣(黒部川河口左岸近辺),黒部市八幡, 黒部市五十里,黒部市境 著者らの一員である徳本洋は富山県内砂浜海岸の現状を視察するため下記のよ うに広く海岸を巡視した.巡視に際しては,その前に国土地理院 2 万 5 千分の 1 地形図を調べて,これまでの調査経験上,まったく生息する可能性のない海岸線 は巡視対象から除いた.この巡視によりイソコモリグモの生息可能性が少しでも ある浜があれば,調査しやすい時期を選んでさらに調査を進める予定であったが, そのような箇所はまったく見出せなかったので,再調査をすることはなかった. 黒部市の宮崎町から県境にいたる海岸線は地形図ではやや幅広い砂浜が続いてお り,イソコモリグモが生息するかと思えたが,現地を見ると砂利浜で,その内陸 側に広い砂地を形成するほどの幅もないので,生息には向かない浜であった. 調査時期: 2000 年 5 月 22 日 氷見市,高岡市,新湊市 2000 年 5 月 29 日 富山市,滑川市,魚津市,黒部市 19 4. 考 察 イソコモリグモは砂浜海岸を固有の生息環境とするクモである.また砂浜とい っても海浜植物帯の中にある植生間の裸地およびそこから汀線までの間にひろが る砂裸地帯を生息の場としている.海浜植物帯はこのクモの越冬の場であるため, このクモの個体群を維持するためには欠くことのできない環境である(徳本 2006)から,海浜植物帯がない砂浜にはこのクモは分布していない.従って富山 県のイソコモリグモの分布を調べるためには海浜植物帯が成立している砂浜海岸 がどこに存在するかの探索が最初の目標になり,それが存在すれば次いでその砂 浜にこのクモが生息しているかどうかを探ることになる. ところが富山県の海岸には安定した海浜植物帯を維持している砂浜がきわめて 少ない.それはこの県の海岸線には波による海からの砂の供給量が少ないため, 大形の砂浜が形成されにくいことが原因であろうと思われる.ここでいう大形の 砂浜とは汀線から内陸部に向かっての距離が大きく,多量の砂を盛り上げた砂浜 である.富山県内でもっともこの型の砂浜に近かったのが前項に取り上げた神通 川河口部近辺に発達した東岩瀬海岸の砂浜であったから,ここがイソコモリグモ の生息地となっていたと考えられる. この県の海岸は新潟県との近辺域と能登半島での石川県との近辺域および高岡 市の一部で山地が海に迫っているだけで,残りの大部分は平野が海に接している. それなのに,その平野部の海岸で陸側に向かっての海からの砂の運搬,堆積が少 ないのは富山湾の特異な海底地形が関係していると思われる.というのはこの湾 は岸から急傾斜で深くなり,汀線からわずかに離れただけで水深 1000m を越す 深度に達するという特異な海底地形をもっているからである.そのため,富山湾 へは大きな川がいくつも流入しているにかかわらず,河川が排出する土砂が岸近 くに堆積することがきわめて少ない.従って海岸への波による砂の運搬も少ない ので,海岸は全県下にわたって砂浜が一般に狭く,砂丘の発達がほとんど見られ ないということになる. このことは大きな砂浜が発達している海岸はほとんどの場合,海底傾斜がゆる く,沖はるかまで浅い海が続いているという海底地形をもっていることと対比す るとわかりやすい.日本海側では秋田県,山形県,新潟県,石川県,福井県,鳥 取県などの平野部海岸には大きな砂丘が発達しているが,そこの海側の海底地形 はみな遠浅型である.海底深度図を見ると富山湾に面しているところは,汀線の すぐ近くに水深 100m の線が迫っている. ところが上記の県の平野部の水深 100m 線ははるかに沖にあり,富山湾の海底地形がいかに特異であるかがよくわかる. そして上記した各県の砂丘地でのイソコモリグモの生息密度は今も高く,または 過去に高かった. このようなことから,富山湾沿岸の砂浜は本来,イソコモリグモの生息地点が きわめて少なくならざるをえない素質をもっているのだ,といえる.そのような 20 状況の中でも,人間による土地開発行為が現在ほど激しくない時代は富山湾に面 した平野部の海岸には小さな砂丘型の砂浜があって,イソコモリグモの生息もあ ちこちに見られたかもしれない.しかし,平野部の農地としての開発は時ととも に海岸部にまでおよび,小さな砂丘はみな農地に変わっていったし,生息してい たかもしれないイソコモリグモも消滅したと考えられる.従って 1950 年代に記 録された富山市東岩瀬海岸のイソコモリグモは,すでに富山県最後のイソコモリ グモ個体群であったとみてよく,現在,富山県のどこかに未発見のイソコモリグ モ個体群が残存しているという可能性はほとんどないと考えられる. 海浜砂丘地は地価が安く,高い保障費を払わねばならぬ施設もほとんどなく, 防砂林地も県有地などが多いことなどのため,現在は高速自動車道建設,工業地 造成などに利用されることがきわめて多い.しかし,海浜砂丘地を固有の生息環 境として生きる動植物もまた数多く存在する.現在,イソコモリグモが多数生息 するような環境が残っている海岸砂浜環境があれば,それら多くの種を含む自然 度のきわめて高い海浜環境がそこにあるのだと認識し,その保全に努めるべきで あろう. とにかく本稿においては富山県内唯一のイソコモリグモ生息地が消滅した機構 の詳しい解析を試みたが,これをわれわれ自身の自然環境保全への力の糧として 活かしたいし,また他の方々による活用をいただければ幸いである. 5. まとめ (1)富山県にはこれまでイソコモリグモの分布記録がなかったが,1950 年代に 富山市東岩瀬の砂浜に生息記録があったことを明らかにした. (2)富山湾沿岸部は湾の海底地形の関係で大きな砂浜が形成されにくい傾向があ り,そのため,砂浜を必須生息環境とするイソコモリグモの生息適地も富山 県には成立しにくいという自然状況が存在することを論じた. (3)東岩瀬の砂浜は当時の富山県内おける唯一の小砂丘的形態の砂浜であり,そ のため,イソコモリグモが生息しえたが,ここが県内唯一の本種の生息地で あったと推定した. (4)1940 年代から始まった東岩瀬臨海工業地帯造成事業のためこの砂丘地は消 滅し,イソコモリグモ個体群も消滅した. (5)著者らが 1994 年以来,富山県内でおこなってきたイソコモリグモ探索経過 を記録し,それと本種の県内における生息経過の分析とを照合して,現在は もう本種は県内に残存していないと結論した. (6)現代は砂浜が高速道路建設,工業地造成など大形事業に利用されやすくなっ ている理由をあげ,それが砂浜海岸を固有の生息環境とする生物が自然環境 破壊によって絶滅する原因となっていることを指摘し,注意を喚起した. 21 謝 辞 安念嘉一氏,坂下栄作氏の著書探索ならびに富山県の海岸事情については富山市 立科学文化センター根来尚博士に大きな世話をいただいた.また文献探索につい ては三重県四日市市の太田定浩氏にも世話になった.これらの方々に篤く謝意を 表する. 引用文献 安念嘉一 1939. 富山県産蜘蛛類について(第一報). 富山教育,301:21-26. 安念嘉一 1940a. 富山県産蜘蛛類について(第二報). 富山教育,313:52. 安念嘉一 1940b. 富山県産蜘蛛類の研究. 富山博物学会誌,3:39-49. 安念嘉一 1940c. 富山県産蜘蛛類目録(予報). Acta Arachnologica, 5(2):86-91. 安念嘉一 1940d. 蜘蛛 3 種の採集記録. Acta Arachnologica, 5(2):108-112. 安念嘉一 1940e. 郷土研究富山県産蜘蛛類研究. pp. 72. 謄写印刷 著者自刊. 藤田 衛 1939. イソドクグモの習性. Acta Arachnologica, 4:134-138. 坂下栄作 1955. 富山県動物目録. pp. 192. 謄写印刷 著者自刊. 新海 明・安藤昭久・谷川昭男 2006. 県別クモ類分布図 CD Ver. 2006. 徳本 洋 2000. 福井県におけるイソコモリグモの現状と過去 60 年間における分布推移.福 井虫報,26:1-10. 徳本 洋 2004. アシダカグモ分布記録へのコアシダカグモ属の混入. Kishidaia, 86:1-9. 徳本 洋 2006. イソコモリグモ残存率算定へのアプローチ. 遊糸,19:6-12. 植村利夫 1939. 福井県産一新毒蜘蛛の記載. Acta Arachnologica, 4:130-133. 22 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 陸中海岸でイソコモリグモの大産地を発見 新 海 明 昨年の新潟県や青森県での調査に引き続き,今年(2008 年)の 5 月に太平 洋に面した東北 3 県(福島県・ 宮城県・岩手県)で,イソコモリグモの分布 を調べに谷川さんと行ってきた. 「県別リスト 」によれば,この 3 県はこれまでにイソコモリグモの分布が 確認 されていなかった場所 であった.ただし,茨 城県での生息は井上尚 武さ んによって確認報告がなされている(井上 1991;日本の生物)ことから,こ の 3 県での生息の可能性はゼロ ではないと思われた.とにかく,生息してい ない のなら「いない」こと を(その「証明」が困 難なことは十分に承知 して いる が),いたのならば「 いた」ことをしっかり と記録しなければなら ない と決心して出掛けた. いつものように GIS データを駆使して,東京から調査地の司令を発信する のは八幡さんである. 第一日目( 第一日目 ( 福島県南部) 福島県南部 ) 5 月 6 日.常磐線の特急に乗り,「ハワイアンズ」がある場所として名高 い「 いわき」へと向かった .一日目の調査は福島 県の太平洋沿岸だ.い わき 駅でレンタカーを借りて「 勿来の関」 に隣接する「小浜海水浴場」の「鮫川」 の砂 浜へと 入っ た( 図 1) . ゴ ール デ ンウィ ー ク の最終 日 と い うこ と もあっ て か ,砂浜 に は か なり の 人が遊 び に きてい た . し かし , 海岸の 砂 浜 の雰囲 気 は 悪 くな か った. 調 査 はじめ の 地 と いう こ ともあ り , かなり 気 合 い を入 れ て探し た が ,イソ コ モ リ はお ろ か他の 生 き 物が作 る 穴 さ えほ と んど見 ら れ なかっ た . 鮫 図 1.鮫川 23 川で は河口の左右に広がる 砂浜の調査をすること が求められていた.左 の砂 浜の 調査を終えて,右側の 砂浜へと向かった.河 口が閉塞していればす ぐに も渡 れるのだが,幅といい 深さといい,とても渡 れそうになかった.し かた ない .車で上流の橋を迂回 して反対の岸へまわる ことにした.先程の砂 浜と 様子 に大きな違いはなく, イソコモリもまったく 見られなかった.次の ,今 日二番目の調査地となる蛭田川右岸の河口の浜は見事な防波堤ができており, その 海側には波消しブロッ クが敷き詰められてお り砂浜などなかった. 当然 のことながらイソコモリの痕跡はまったくなかった. そ こで,少し北上して塩 屋崎の灯台付近の「豊 間の浜」へと向かった (図 2).ここは,彼の昭和の歌姫「美空ひばり」が歌う名曲「みだれ髪」の舞台 であ る.私と同年代の方な らば,さらに古く「俺 ら岬の灯台守が~」と 歌い だす 「喜びも悲しみも幾年 月」の映画のモデルと なったあの有名な灯台 であ るこ とを思い出す方もいる に違いない.子供のと きにこの映画(テレビ だっ たか も)をみた私は,なぜ か今だにわからないの だが,水平線のかなた に浮 かぶ 船とこの灯台のイメー ジが脳裏に強烈に焼き 付いていて,この年齢 にな って もこの歌を聞くと,な んとなくそこはかとな い哀愁の思いにかられ るの だ. そんな思いの塩屋崎灯 台の下に豊間の砂浜は あった.波消しブロッ クで 海岸 が覆われていたものの 砂浜はその先に広がっ ていた.その砂浜の上 を目 で追 いながらも,つい彼の 歌が口をついて出てし まう.歌に気をとられ て, 調査 が散漫になっていたと は思わないが,ここで もイソコモリの影を見 いだ すことはできなかった. 初日は,東京から午後に福島入りをしたので,すでに陽は西に傾いていた. 最後 は,さらに北上して滑 津川の河口の浜にまで 足をのばして調査をし た. この 浜も見た目の雰囲気は 良かったのだが,ここ も虚しい結果に終わっ た. 「いない」ことを確認することが, この よ う な調 査 で 大切 な こ と は 重々承知しているのだが,終日調 べて一頭も見つけられないとなる と,やはり消耗するものだ. しかし,谷川さんの旅行計画は 実に周到に用意されていた.今夜 の宿は磐越自動車を車で跳ばして 一時間ほどの所にある郡山市の近 図 2.豊間 24 傍の磐梯熱海温泉である.到着が 午後 8 時と遅くなったが,料理 とビールそして露天風呂があれば文句の言い ようもない.「空振り」となった調査の疲れも一気に吹き飛んだ. 第二日目( 第二日目 ( 宮城県南部) 宮城県南部 ) 午前 9 時発.今日は東北自動車道を白石 IC までたどり,ここから一般道に それ て宮城県の太平洋岸の 浜へと入る予定だ.最 初の調査地は福島県と の県 境に近い亘理町の亘理と鳥の海の砂浜だった. 宮 城県の海岸線は,一年 前の下北半島の調査の 帰りに三沢空港から羽 田へ と向かう機内から見下ろしたときの様子が実に良かったのでよく覚えている. この ときは三沢市の周辺の 海岸で大量のイソコモ リを発見したので,砂 浜が 残っていればイソコモリは結構しぶとく生存しているとの印象をもっていた. 谷川さんと仙台空港の先に広がる延々と続く砂浜を見ながら,あそこにも「い る」 に違いないと言い合っ ていた.「でも,そば まで行くと堤防が出来 てい て,ダメだったりしてね」とも話していた. そ して,この話は現実と なった.仙台空港の先 に延々と見えた砂浜は ,こ とご と く堤防 で し きられ , 一 部 に残された砂防林だけの場所も, 築堤 の 最中だ っ た のだ. 鳥 の 海 と亘 理 の海岸 は 防 砂林と 堤 防 の 先に 延 々と砂 浜 が あった . こ れ は「 い ける」 か と 思った の だ が イソコモリは皆無だった.また, 岩沼海岸は八幡情報では「青」. つま り 自然砂 浜 が 残され た 海 岸 線の は ずであ っ た が,堤 防 が 建 設さ れつつ あっ た( 図 4) . 工 事の看板に「平成 20 年 3 月 26 日か ら 」との 記 載 があっ た . 始 まったばかりだ .岩沼の第 2 ポ イン ト などは , 工 事車両 や 資 材 がそ こ かしこ に 置 かれて 砂 浜 に 近寄ることさえ出来なかった. 昼 食 は例に よ っ て,コ ン ビ ニ で買 い 求めた お に ぎりを 車 中 で 食べる.いつものことであるが, 図 3(上).亘理 / 図 4(下).岩沼 25 今日 は「閖上漁港」の広い 駐車場であった.道路 脇に止めて食べること もあ るの で,やはりゆったりと した気持ちになれる. ところで,「閖上」と いう 漢字 を皆さん読めましたか .私はこんな文字があ ること自体知らなかっ た. そばの看板にローマ字の表示があった ので読むこ とができたが,なんと「YU RIAGE( ゆりあげ)」と読む のだそうだ.地名は難しいですね ぇ.この漁 港 近くの名取川の砂浜も感じはよかったが,イソコモリの姿はやはりなかった. さら に,北上をして塩釜市 近くの荒浜(ここは司 令外の場所だったが) や七 北田 川の海岸公園周辺へも 行ったが,サイクリン グ道路が走る堤防の先 に広 がる砂浜でも収穫は皆無だった. こ こで,谷川さんは水田 でハリゲコモリグモ類 の採集をしたいという .な ぜ,ハリゲなのかというと,外国の研究者からの依頼だそうだ.残念ながら, ハリ ゲはまだ幼体ばかりだ ったようで,この調査 もまた空振りだった. 私な ぞ, ハリゲと他のコモリと さえ容易に区別できず ,網を張るクモ以外の クモ は「クモではない」とうそぶいていた祟りが,はからずも現われてしまった. いま ここで熱心に調査して いるイソコモリも,そ ういえば「網を張らな いク モ」だった! 遣 り切れない調査に飽き てきたが,思わぬ旅の 土産が用意されていた .昨 日は,塩屋の岬と温泉だったが,今日はあの名高い「松島巡り」だった.「松 島や ,ああ松島や,松島や 」である.恥ずかしな がら,私は今まで松島 を訪 れた ことがなかった(実は ,安芸の宮島にも行っ たことがない.広島の 学会 大会 のときには,山口県へ 足を伸ばしてしまった のだ).そのため,谷 川さ んは わざわざ展望台にまで 車で入ってくれた.山 の頂から眺めた松島の 入江 に浮 かぶ小島に感動もひと しおであった.これは ,車道から見た松島の 眺め に対 して,私が「あの遠く に見える煙突がジャマ だなぁ」などとケチを つけ たためだろう. 松 島巡りを終えて,その 先に ある 野蒜(のもり:図 5) や鳴 瀬川 の海岸でも調査をした が, やは りイソコモリの痕跡は なか った.なんと,今日も午後 6 時 40 分まで調査を続けてしまった. 「午後 5 時まで調査.6 時まで には シャワーを浴びて飲み 屋の カウ ンター」に向かってい た私 図 5.野蒜 26 とし ては,「どうしたの」 とい われるほどの「まじめさ」である. す ごいのは,これからの 移動であった.いわき 駅からひきずってきた レン タカ ーを,仙台駅に乗り捨 てて,新幹線で盛岡に 向かった.夕飯は新幹 線の 待ち時間を利用して駅構内の蕎麦ですませ,盛岡駅には午後 9 時 40 分に到 着だ .私はかなり疲れてい たので,もう寝ようと 思ったのだが,谷川さ んは 頗る元気だった.「ちょっと飲みに行きましょう」と誘われた. ひ ょっとすると,私が飲 みたいに違いないと気 を回してくれたのかも しれ ない .盛岡の夜はさすがに 冷えたが,アルコール を加えて内部燃焼をさ せ, ホロ微酔い加減で安眠できた. 第三日目( 第三日目 ( 岩手県北部) 岩手県北部 ) と うとう,イソコモリに 一頭も出会えずに最終 日を迎えてしまった. ビジ ネス ホテルの最上階の朝食 レストランから見えた 岩手の山々にはまだそ こか しこ に雪が残っていた.今 日は,この山を越えて 三陸の海岸に辿り着か ねば なら ない.そして,またこ こ盛岡駅まで戻ってく るのだ.三陸へ向かう 道路 は一般道のみである. こ れから向かう陸中の田 野畑村は,なつかしい 思い出の地である.大 学生 の頃 にチョウセンアカシジ ミを求めて,チョウマ ニアの後輩としばしば 訪れ たこ とがあった.まだ,道 路は砂利道ばかりだっ た.天気が崩れ,霧が 出て いる 道をバスに揺られてい ると,この道は「八つ 墓村」へでも続いてい るの では ないか,と思わせる不 気味さがあった.田野 畑村は広く,いくつも の集 落が 点在した.私たちが宿 泊したのは「沼袋」と いう集落で,ここに一 軒だ けお 婆ちゃん一人で営む民 宿があった.湯槽に板 の浮いた五衛門風呂に つか りな がら,お婆ちゃんが隣 のお爺ちゃんと話すの を何気なく聞いている と, 「お 婆ちゃん!さっきまで ,日本語をしゃべって いたのに,なんで急に 外国 語に なっちゃったの?」と いう思いにさせられた ものだ.今は昔の思い 出で ある. 盛 岡を出ると,道路はす ぐに山を登っていった .岩洞湖というダム湖 に沿 って 道がうねうねと続いた .昔と違い道路はよく 舗装されていた.とこ ろど ころ に「クマに注意」と標 識があった.山上の高 原は牧場が続く.牛が のび やか に牧草を食べていた. 早坂峠をすぎると岩泉 へと山を下りはじめた .岩 泉町 には龍泉洞という有名 な鍾乳洞がある.若い 鍾乳洞なので水量豊か な川 が洞 内を流れ,小さな湖を つくりその透明度は日 本一だそうだ.途中で 「二 升石 」というなつかしい地 名にも出会った.ここ はJR山田線の茂市駅 から 岩泉 駅に至る支線が通って いたのだ.その支線の 駅の名であり,地名で もあ 27 る. 車の窓越しに振り返っ て見ると二升石駅は健 在した.岩泉線にはま だ列 車が 走っているようだ.岩 泉の町を通過すると, 「小本方面」の標識が みら れた,小本へ至れば三陸の海岸である.もうすぐである. 田 野畑へなぜ来たのかと いえば,ここで昨年イ ソコモリが採集された とい う情 報があったからだ.岩 手県での生息は現在ま で知られてなかったの で, これ を確認したいというの が,もうひとつこの旅 の目的でもあったのだ .や がて 車の前方がいきなり開 け,海が見えた.道路 は一気に海岸へと下っ た. リア ス式海岸には所々にポ ケット海岸があり,こ こに小さな砂浜がある .最 初の調査地(田野畑 3:図 6)は浜の長さが 100m にも満たない小さなもの だっ た.小砂利の浜だった が,砂地もわずかにあ った.谷川さんと手分 けを して,この浜のほぼ全面を調べたが期待むなしくゼロであった. 次は,いよいよ平井賀浜(田野畑 2:図 7)である.昨年イソコモリが見つ かっ たのは,この場所であ る.しかし,着いてビ ックリだ.三陸鉄道の 田野 畑駅 の下方に位置して,海 岸にへばりついた小さ な集落の中にあった. 左岸 には 工事車両や資材があり ,中央は海水浴場だ. 砂浜の奥にはシャワー ルー ムも見えた.そ の上の階段を昇れ ば町に出る.こ んな浜でイソコモ リが採れたのか ?・・・と思わせ る所だった. とにかく,こ こがもっとも重要 なポイントであ る.目を皿のよう にして,探すこ とにした.浜をざ っくりと見渡す とほとんどが海水 浴場である.人の踏み跡だらけだ. ここは無視することにした.この 浜の周囲にわずかに海浜植物帯が へばりついていた.ここしかない, と決めて探しはじめた.すると, 小砂利の中に「穴」を見つけた. 「あった!」と大声を出しかけた が,ちゃんと確認しようと思いな おした.昨年の調査で青森県の浜 から持ち帰った「ホタテ貝のシャ 図 6(上).田野畑 3 / 図 7(下).田野畑 2 28 ベル」を取り出して,巣穴のまわ りの 小砂利を慎重に取りの ぞいた.糸が穴を固め ていた.小砂利を取り のぞ いた へこみに,煙突のよう に巣穴が立った.もう 間違いない.谷川さん を大 声で 呼んだ.やはり,堀取 りのプロは彼をおいて 他にない.私は付近に 巣穴 がま だあるかも知れないと 思い,探索を続けた. しばらくして,巣穴掘 って いた 谷川さんに「どうだっ た」と声をかけた.す ると,「なんかおかし い」 「斑紋は似ているのだが,体色が違う」という.私も穴の中のクモを見たが, 確か にその通りだ.あのイ ソコモリ特有の明るい 砂色ではない.普通の コモ リグモのように茶褐色の色合だ.ともかく,採集して持ち帰ることにした(こ のクモについて は,以下の「注」を参照のこと) .平井賀浜 ではこの他に 3 つの 巣穴を発見したが,ク モ自体の採集はできな かった.なんか,不完 全燃 焼だ.「いた!」とも喜べず,「いなかった」わけでもない. サ イレンが正午を告げて いた.ひとまず,昼め しにしようと町に戻っ た. しか し,食堂というものが ない.しかたなく,雑 貨屋で菓子パンと魚肉 ソー セージ,飲み物を購入して次の明戸海岸(田野畑 1:図 8)へ向かった.この 浜に は集落はなく,巨大な 堤防の背後の雑木林の 中にキャンプ場が控え てい た. 道路から堤防の後ろの 駐車場に入ることが出 来た.ここで昼めしだ .菓 子パ ンの袋をやぶり,パン を取り出した.アンパ ンとジャムパンだ.な つか しい.ふと,賞味期限の日付が目に入った.アンパンは 5 月 14 日だったが, ジャムパンは 4 月 18 日だ.すでに 20 日も過ぎている.さすが,田野畑村で ある .ジャムは赤でなく黒 ずんでいた.これが本 来の色なのか,期限切 れの 色合 か,ナゾであった.と りあえず,胃袋を満た して,いざ調査だ.ま ず, 堤防 にあがって浜全体を見 渡してみた.白く細か な粒の絶好の砂浜だっ た. 谷川さんは周辺の景色を写真に収めていた. 私は,鉄の階段を伝って砂浜に下りた.そして,数歩も行かないうちに「穴」 を見 つけたのだ.これぞ見 間違うことなきイソコ モリの巣穴だ.すぐに ,堤 防の上の谷川さんに声をかけた. 平井 賀 浜の巣 穴 と は違い , ま っ たく 迷 うこと の な い典型 的 な イ ソコ モ リの穴 で あ る.さ ら に , 付近の砂浜に慎重に目をやると, また 「 あった 」 . そして , そ の 先に も 巣穴が 点 在 した. 「 こ れ は大 産 地だ! 」 . かなり 興 奮 し て谷 川 さんに 声 を かけた . 彼 は すで に 巣穴を 掘 っ ていた . 「 こ 図 8.明戸海岸 29 れだ けあるなら,採集はで かい穴だけを狙うこと にしよう」.結局,こ の明 戸海岸の砂浜はすべてまわりきることができなかったが,およそ 1/3 ほどの 面積で 73 個の巣穴を確認することができた.大収穫である. 俄 然やる気が沸いてきた が,今日は帰京せねば ならない.残りの時間 は限 られた.八幡司令書では,次は野田村の広内海岸だ.レンタカーを飛ばした. しか し,ここも砂利浜だっ た.まったくダメだ. そこで,番外のポイン トで はあ るが少し戻り同じ野田 村の十府ケ浦の米田へ と向かった.ここは来 ると きに かなり長く続く浜が見 えたところだ.車を降 りて浜に足を下ろすと ,小 砂利 の浜だった.あまり, 良い感触はなかったが ,一応調べねばなるま い. しかし,ここでもイソコモリは確認できなかった.午後 3 時 30 分.もう, タイムリミットだった. カ ーナビで帰路の行程を 検索すると,なんと久 慈市を経由して高速の 八戸 自動 車道を九戸から利用し た方が,盛岡に早く到 着するという.出発す る前 には 想像もしなかった経路 で盛岡へ戻ることにし た.途上,俄雨にたた られ たが ,もうここまで来れば 雨など関係なかった. 岩手県でイソコモリの 生息 が確 認でき,その大産地に も巡りあえただけで大 満足だった.「今度は 八戸 から 気仙沼まで,三陸のポ ケット浜を全部調べよ う」などと,勇ましい 会話 が口 を突いて出た.何事も 「終わり良ければ,す べてよし」といったと ころ だろうか. そ して,帰りの新幹線の 車中で食べた前沢牛の ほっかほっかの牛めし 弁当 の味が一段と美味となったことも付記しておこう. (注 )平井賀浜 で採集 した このコモリ グモは ,後 日ハタチコ モリグ モで あることが 判明 し た. 本号の Draglines をお読 みいただき たい. 30 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 九州地方のキムラグモ類とトタテグモ類の採集記録 (両者の混棲,トタテグモ類の二枚扉の住居例) 新 海 明・谷 川 明 男 キムラグモ類(以下の注記 1 参照のこと)の分布は九州の熊 本・大分以 南 に限 られているのに対して ,トタテグモ類は本州 ・四国・九州および南 西諸 島(以下の注記 2 参照)にかけて広く分布することが知られている. 筆者らは,2007 年 5 月 1 日から 4 日にかけて,大分県から宮崎県を経て 鹿児島県大隅半島へ,8 月 26 日から 28 日にかけては熊本県から鹿児島県薩 摩半 島に採集旅行にでかけ た.ここで,キムラグ モ類(以下,キムラ) とト タテグモ類(以下,トタテ)が同じ崖地に混棲している場所を多数確認した. 新海は 1995 年に「5 月」とほぼ同じルートでク モタケ調査をしており,こ のときにはキム ラとトタテの混棲はほ とんど確認できなかった(畑守他 199 7).なおかつ,印象としては九州地方でトタテはあまり棲息しておらず分布 も限 られていると感じてい た.今回の調査でこの 印象は見事に裏切られ た. とく に宮崎県や鹿児島県で は混棲地も多くまた棲 息数もかなりありそう だ. その原因は今までの調査の方法に問題があるように思えた. こ こでは,今回の調査で 判明したキムラとトタ テの採集地点を示し, 二枚 扉を持つトタテの住居も数例確認でき たのでまとめて報告する(表 1,2). そし て,この調査を通して わかったキムラ・トタ テ調査での問題点を指 摘し たい. キムラ・トタテ調査での問題点 筆 者らは,キムラとトタ テの住居の扉は外見で 区別できると思ってい た. それ は,沖縄県でのキムラ や関東でのトタテの観 察例からの経験に基づ くも ので あった.ところが今回 ,九州で両者の混棲地 に出会い,この思い込 みは 危険であることがわかった. 筆 者らは今まで,キムラ の扉はやや横長で入り 口に「縁」が作られて いた り,枯葉やゴミを放射状に付着させているものが多いと思っていた.しかし, 31 表 1. 2007 年 5 月の調査結 果の一覧 採集 地点 採集 年月日 キム ラ トタ テ 大 分市黒岩 5. 1 + − 豊 後大野市貫 原 5. 1 + − 竹 田市直入町 長湯 5. 1 + − 竹 田市岡城跡 5. 2 − − 延 岡市延岡城 跡 5. 2 − + 東 臼杵郡門川 町小園 5. 2 − + 東 臼杵郡門川 町津々良 5. 2 + − 児 湯郡都濃町 都濃神社 5. 3 + + 児 湯郡都濃町 平山 5. 3 + 東 諸県郡国富 町仮屋原 5. 3 + 北 諸県郡三股 町中野 5. 3 + * + 小 林市細野 5. 3 + * + 串 間市揚原 5. 4 + − 日 南市飫肥城 跡 5. 4 + + 5. 4 + − トタ テ 二枚 扉 大分 県 宮崎 県 * + 1 例確認 1 例確認 − 1 例確認 鹿児 島県 鹿 屋市海道町 * 同一の崖地 に混在 この ような特徴を必ずしも 持っていないキムラの 住居も多数存在した. その ため に,キムラかトタテか 扉の外見上からは迷う ものがいくつかあった .も っと もやっかいだったのは ,両者がまさに混在し て同一の崖地に見られ る場 合だ った.このような住居 に出会った場合は「堀 取り」で確認したが, 初め の思い込みとは異なる結果だったことが 2~3 例ほどあった.我々は現在まで 沖縄 県や関東地方あるいは その他の地方でも,か なりの数のトタテを見 てい ると 自負しているが,なお 「迷う」例があったと いうことは,住居の扉 から だけ でキムラとトタテの区 別するのはかなり危険 が伴うと言えよう.ほ とん どの 場合で間違えることは まずないのだが,怪し いものに出会った場合 には 「堀 取り」をすることが必 要だと感じた.戸蓋の 外見だけでキムラかト タテ かがよくわからない時には,次のように判断することができる.①フタをピ 32 表 2. 2007 年 8 月の調査結 果の一覧 採集 地点 採集 年月日 キム ラ トタ テ 熊 本市金峰山 8. 26 + − 熊 本市立田山 8. 26 + − 熊 本市花岡山 8. 26 + − 八 代市妙見町 8. 27 + − 球 磨郡山江村 岩ケ野 8. 27 + − 人 吉市人吉城 跡 8. 27 + − 人 吉市古仏頂 町 8. 27 + − 指 宿市開聞岳 8. 28 + - 鹿 児島市頴娃 町 8. 28 + - 鹿 児島市下福 元町 8. 28 + 鹿 児島市岡之 原町 8. 28 + - 鹿 児島市東佐 多町東麓下 8. 28 - + 鹿 児島市東佐 多町五反田 8. 28 + + 薩 摩川内市永 利町山田山 8. 28 + - トタ テ 二枚 扉 熊本 県 鹿児 島県 * + * 同一の崖地 に混在 ンセ ットなどで引っ張って みたときに,キムラの トブタは簡単に外れて しま うがトタテのトブタはしっかりくっついて外れにくい.②穴を堀はじめると, キム ラの穴はすぐに糸の裏 打ちなくなって,ただ の土の穴になるが,ト タテ は穴 の底まで丁寧に糸で裏打ちされて いる.③掘り進んでいってク モが見え たと き,キムラはクモの体 が毛むくじゃらに見え ,底の方を向いてじっ とし てい るが,トタテはクモの 体がつやつやして見え ,こちらを向いていて 威嚇 姿勢 をとることも多い.そして,最後 に④クモを掘り出してみれば 一目瞭然 である. キ ムラばかりが棲息する 崖にも,ひょっとすれ ばトタテが混ざってい るか も知 れない.「ひょっとす ると」と思って探せば トタテは九州でもさら にそ の棲息地が多く確認できそうである. 33 引 用文献 畑守 有紀・新海 明・上田俊 穂 1997.クモ タケの 全国 分布調査結 果.Kis hidaia (72): 3 4-47. Haupt J. and Shimojana M 2001. The spider fauna of soil banks: The genus Latouchia (Arachnida: Araneae: Ctenizidae) in Southern Japan and T aiwan. Mitt. Nat. kd. Mus. Berlin, Zoll. Reihe 77: 95-110. (注 記 1) 現在,九州 からキムラ グモ類は 5 種類(キ ムラ・ヒゴ ・ヒトヨシ ・ブンゴ・ ヒ ュウ ガ)が記載 されている が,ここで は区別せず キムラグモ 類(キムラ )と表記し た. (注 記 2) Haupt & Shimojana(2001 ) は , 日本産 ト タテグ モ属 の分 類学的 再 検討を お こな い,日本に 生息す るト タテグモ属 のクモ を, タイワント タテグ モ, ミヤコジマ トタ テ グモ ,シマトタ テグモ,オ キナワトタ テグモの 4 種とした .キシノウ エトタテグ モはオキ ナワ トタテグモ の亜種 とさ れ,さらに 鹿児島 県南 部と宮崎県 南部の トタ テグモ類が 新亜 種 シロ ヤマトタテ グモと され た.オキナ ワトタ テグ モには,そ れら以 外に も,イゼナ トタ テ グモ ,ケラマト タテグモ, トナキトタ テグモ,ク メトタテグ モ,アマミ トタテグモ の 5 亜 種が 記載されて いる. ただ し,これら の新亜 種に 関しては, 他との 区別 点を明示し てい な いの で,無効な 記載と 判断 されている .ここ では ,これらを 区別せ ずに すべてトタ テグ モ 類( トタテ)と 表記した. 34 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 野外におけるコガネグモ幼体の 占座の限界気温と日周行動 西 野 真 由 子 1. はじめに コガネグモ Argiope amoena は日本を代表する大型のクモで,垂直の正常円網 を張り,その中央部に止まる(新海 2006).通常,成体は昼夜の別なく占座して いる. 1997 年 9 月からコガネグモ幼体を自宅の庭で観察していたところ,同年 12 月 に 1)気温が低いと占座しない,2)占座しても朝に網の端へ移動し,日没後こし きへ移動する,3)ただし気温が高いと昼間も占座する,ことに気づいた.そこで 占座の限界気温と成体には見られない日周行動の検証を目的に,1998 年 5 月ま でコガネグモ幼体を野外観察した. 2. コガネグモ幼体 コガネグモ幼体が 幼体が占座できる 占座できる限界気温 できる限界気温は 限界気温は 何度か 何度か (1)活動できる気温 1998 年 1 月 5 日から 2 月 28 日まで,自宅の庭(大阪府堺市)でコガネグモ A,B,C の行動を毎日 20 時に観察した.枯葉や木の枝に潜んでいたら(-), 占座もしくは糸を引いて枯葉や木の枝から離れていたら(+)とした(表 1). 観察時の気温も実測した.20 時に観察した理由は,前年 12 月の観察で夜行性が 示唆されたからである. 予想通り,気温が低いとクモは枯葉や枝に潜んだ.活動できる限界は 3℃前後 と考える.木村(1953)は室内実験において,4℃になるとコガネグモは刺激を 与えても歩脚を少し動かす位と報告している.今回,低い気温でも活動したのは, 温度順化のためだろう. 表 1.低温におけるコガネグモの行動 コガネグモの行動 3 頭とも (-) 1,2 頭が (-) 3 頭とも (+) 観察時気温 -0.5~3.0℃ 1.5~4.5℃ 2.5~11.5℃ 9日 6日 40 日 観察日数(観察日) (1/8,9,19,22,23,24,25,26,2/8) (1/6,12,27,2/1,4,7) (上記以外) 35 (2)占座できる気温 1998 年 2 月 1 日から 3 月 31 日まで,朝(7 時),昼(12~16 時),夜(20 ~21 時)の 1 日 1 回~3 回,自宅の庭でコガネグモの占座を観察した.2 月 12 日,14 日,16 日,17 日は観察しなかったので除外し,気温(気象台データ,大 阪府堺市)と占座数(複数回観察した日は最大数)をグラフ 1 にした. 2 月 1 日から 11 日までは円網を張るコガネグモはいなかった.2 月 13 日に 2 頭が占座,それ以降は 3 月 15 日を除き,観察した日は占座を確認した.最高・ 最低気温は変動が大きいが,平均気温(グラフ 1 太実線)は占座できた期間を通 して 6℃より高かった. しかし 6℃を超えれば全てのクモが占座できたわけではなく,個体差はあった. 1 月から観察していたクモ A は 2 月 27 日,B は 2 月 25 日,C は 2 月 19 日に初 めて占座した.また 3 月 15 日~18 日(平均気温 6.9~8.0℃)には占座するクモ が,3 月 14 日の半数以下に減少した.同様に 3 月 1 日~3 日(同 7.6~7.8℃) にも観察した 10 頭中,網のないクモが 3~6 頭と増え,占座するクモが減少した. したがって,平均気温 6℃を超えると占座可能だったが,大部分のクモが占座 するには 8℃以上が必要ではないか.木村(1953)は野外観察と室内実験から, コガネグモ幼体の占座捕食の限界は 8℃近くと報告しており,今回の結果と一致 した. 24 気温℃ 21 18 占座数 45 3 月 1-3 日 3 月 15-18 日 占座数 40 平均気温 最高気温 35 最低気温 15 30 12 25 9 20 6 15 3 10 0 5 0 -3 1998.2.1 1998.2.11 1998.2.25 1998.3.7 1998.3.17 グラフ 1.1998 年 2 月~3 月の気温とコガネグモの占座数 (2 月 12 日,14 日,16 日,17 日は除外している.) 36 1998.3.27 3. コガネグモ幼体 コガネグモ幼体は 幼体は日周行動をしているのか 日周行動をしているのか (1)コガネグモ幼体の光に対する反応を調べる野外実験 実験 1 こしきに占座しているクモに光を当てる 実験日 1997 年 12 月 23 日 気温約 7℃(気象台データによる推測) 対象:クモ A,B 20 時 26 分に白色灯(60W)を点灯すると,20 時 40 分に 2 頭とも網の端の 枯葉に移動.21 時 30 分に消灯すると,21 時 50 分に 2 頭とも再びこしきに移動 し占座した. 実験 2 円網を張らず,糸を伝っているクモに光を当てる 実験日・ 1998 年 1 月 14 日 20 時 実測気温 5.0℃ ・ 1998 年 1 月 27 日 20 時 実測気温 4.5℃ 対象:クモ A,B 対象:クモ A クリプトン球懐中電灯(3000 lux)を点灯すると,クモはすぐに糸の端の枯葉 に潜んだ. 実験 1,2 から,気温 4.5-7℃では,コガネグモ幼体は円網の有無に関わらず, 明るくなると網や糸の端に潜むことが分かった. (2)こしきに占座しているクモの観察 1997 年 12 月~1998 年 3 月までの 6 日間,自宅の庭で円網を張っているコガ ネグモの移動時刻を調べた.3 月 14 日と 3 月 22 日は移動時刻の照度も測定した (表 2).朝にこしきから網の端へ,夕または昼に網の端からこしきへ移動する ことを確認した. また 1998 年 2 月 19 日から 4 月 19 日まで朝(7 時),昼(12~16 時),夜 (20~21 時)に,自宅の庭で円網を張っているコガネグモのうち,こしきに占座 しているクモ数を調べた.網のないクモは除外した.観察時の実測気温と天候も 記録した(表 3). 表 2.コガネグモの移動時刻 観察日 1997.12.23 1997.12.30 1998.2.19 1998.2.22 1998.3.14* 1998.3.22* 観察数 7頭 2頭 1頭 3頭 12 頭 7頭 こしき→網の端 6:35 までに移動 6:30 までに 7:00 までに 9:30~11:15 の間 (観察せず) (観察せず) 網の端→こしき 17:10~17:40 (観察せず) 13:30(気温 15℃) 15:20(2 頭)と 18:30 18:00~18:42(照度は 0-7 lux) 18:25~18:40(照度は 0-2 lux) *3 月 14 日,22 日は 16 時にすでに占座していたクモが他に 2 頭いた. 37 表 3.こしきに占座しているクモ数/円網を張っているクモ数(占座率)と観察時気温(℃) 朝 2 月 19 日 2 月 20 日 2 月 21 日 2 月 22 日 2 月 23 日 2 月 24 日 2 月 25 日 2 月 26 日 2 月 27 日 2 月 28 日 3月1日 3月2日 3月3日 3月4日 3月5日 3月6日 3月7日 3月8日 3月9日 3 月 10 日 3 月 11 日 3 月 12 日 3 月 13 日 3 月 14 日 3 月 15 日 3 月 16 日 3 月 17 日 3 月 18 日 3 月 19 日 3 月 20 日 3 月 21 日 3 月 22 日 3 月 23 日 3 月 24 日 3 月 25 日 3 月 26 日 3 月 27 日 3 月 28 日 3 月 29 日 3 月 30 日 3 月 31 日 4月1日 4月2日 4月3日 4月4日 4月5日 4月6日 4月7日 38 占座率 0/3 3/3 3/3 3/3 4/4 2/4* 4/4 4/5 1/6 3/9 1/3 0/7 0/7 1/8 0/8 0/0 2/6 1/6 2/7 1/7 1/7* 3/7 3/8 0/14 0/0 0/0 0/5 0/4 0/9 1/5* 3/8 1/9 0/7 0/9 1/9 2/10 0/9* 6/9 8/10 3/8 7/7 0/15 0/1* 0/7 2/8 10/10 6/7* 8/8 昼 気温(℃) 2.0 9.5 10.0 8.0 2.0 8.0 9.5 8.0 4.0 4.5 7.0 4.5 2.0 4.5 7.0 4.5 7.0 7.0 5.5 6.0 10.0 9.5 6.0 8.0 7.0 3.0 5.5 4.0 4.0 17.0 5.5 8.5 4.5 6.0 7.5 7.5 10.5 13.0 14.0 12.0 12.5 8.5 6.5 5.5 5.5 11.0 12.5 13.0 夜 占座率 2/2 3/3 3/3 0/3 2/4 1/4* 5/5 4/5 7/8 気温(℃) 16.5 11.5 12.5 14.5 16.5 9.0 13.5 11.5 16.5 1/7 5/7 2/8 0/8* 14.5 15.5 15.5 4.5 1/6 1/6 3/7 1/7 3/6 3/6 2/8 2/14 0/0 0/0 1/5 1/4 1/9 1/5* 3/8 2/9 1/7 3/9 4/9 10/10 0/9* 9/9 10/10 8/8 13/13 10.5 14.0 17.0 13.5 14.0 14.5 14.5 17.5 10.5 13.5 14.0 14.5 17.5 17.0 13.5 12.5 13.5 15.5 14.0 18.5 13.5 18.5 22.0 24.5 22.0 0/1 2/7 12.5 14.5 10/10 8/9* 8/8 22.0 16.5 18.5 占座率 2/2 3/3 3/3 4/4 4/4 0/0* 5/5* 5/5 12/12 9/9* 4/4 6/6 7/7 8/8 3/3* 4/4 6/6 6/6 7/7 7/7 7/7* 8/8 8/8 15/15 0/0 1/1 5/5 4/4 9/9* 5/5 8/8 9/9 7/7 9/9 9/9 10/10 9/9 9/9 13/13 12/12 16/16 1/1* 2/2 9/9 8/8 10/10 8/8* 11/11 気温(℃) 11.0 11.0 7.0 8.5 10.5 7.5 8.0 8.5 9.0 7.0 5.5 5.5 7.0 9.0 5.5 7.5 5.0 6.5 9.5 7.0 10.0 9.5 10.0 10.5 4.0 8.0 6.5 6.5 13.5 6.5 7.0 6.5 6.5 7.0 7.0 12.0 12.5 11.5 16.0 15.0 11.0 7.5 6.5 7.0 9.5 14.0 12.5 12.5 4月8日 4月9日 4 月 10 日 4 月 11 日 4 月 12 日 4 月 13 日 4 月 14 日 4 月 15 日 4 月 16 日 4 月 17 日 4 月 18 日 4 月 19 日 合計 8/8 12.0 8/8* 6/6* 14.0 0/0* 6/7 13.0 7/7 8/9 10.0 8/8 5/5 22.0 5/5 8/8 21.0 6/6 7/7* 19.5 7/7 13/13 15.0 13/13 14/14 14.0 14/14 16/16 15.5 17/17 14.5 17/17* 18/18 15.5 18/18 226/441 249/389 注 1)*は観察時に雨.空欄は観察記録なし 17.0 14.5 22.5 25.0 26.5 24.5 23.5 21.5 21.5 22.0 23.5 9/9* 0/0* 10/10 13.5 13.0 14.5 6/6 6/6* 9/9* 21/21 17/17 16/16 17/17* 18/18 456/456 22.0 19.0 18.5 16.0 15.0 15.5 14.0 15.5 注 2)3 月 15 日は早朝の大雨のため,7 時には全てのクモの網が壊れていた 円網を張っていたのべ 1286 頭(朝 441 頭,昼 389 頭,夜 456 頭)のうち, 占座していたのは 931 頭(朝 226 頭,昼 249 頭,夜 456 頭)だった.円網を張 っていれば,気温や天候に関わらず,夜は 100%占座していた.朝(226/441, 51.2%)や昼(249/389,64.0%)は占座している割合が低かったが,気温が上 がると 100%占座した. 木村(1953)によると,越冬状態をとり始めたコガネグモは夜行性のようにな り,午後 6 時~8 時頃に占座し始め,翌朝 7 時頃まで占座しているという.今回 の表 2,3 の結果も同様だった. したがって一時期,コガネグモ幼体が日周行動しているのは明らかである.実 験 1,2 でも幼体が光に反応して行動したので,この日周行動は気温ではなく,明 るさに反応したものである.しかし,同じく明るさに反応して幼体も成体も日周 行動したマネキグモ(西野 2005)と異なり,コガネグモの日周行動は幼体の一時 期のみで消失した. (1) なぜ日周行動は消失するのか a.気温と日長時間 今回,12 月 21 日~30 日にも散発的に日周行動を確認した.グラフ 2 に 1997 年 11 月~1998 年 4 月の大阪府堺市の平均気温と日長時間,散発的な観察も含め 日周行動を確認した期間(白矢印)を示す.なお日長時間は日の出~日の入に薄 明薄暮分として 60 分加算した. 39 26 18:00 11月 22 16:48 日周行動確認 昼夜とも占座? 18 15:36 平 均 14 気 温 ℃ 10 14:24 日 長 時 13:12 間 6 12:00 2 10:48 平均気温 -2 1997.11.1 1997.12.1 1997.12.31 1998.1.30 日長時間 1998.3.1 1998.3.31 9:36 1998.4.30 グラフ 2.平均気温と日長時間(1997 年 11 月~1998 年 4 月 大阪府堺市) (白矢印は日周行動を確認した期間(散発的な観察も含む)) 日周行動は 3 月下旬に消失したが,高温が要因であることは表 3 から明白であ る.12 月下旬に日周行動を確認したが,11 月中は昼夜とも占座していた印象が あることから,平均気温 10℃を日周行動の上限と仮定した.表 3 で 2 月 20,21, 25 日(平均気温 11.8,9.6,10.9℃)に終日占座したことも,低温の 4 月上旬 に再び日周行動したことも説明がつくが,3 月中旬に 10℃以上でも日周行動した ことは説明できない.一方,日周行動が消失した 3 月下旬の気温から日周行動の 上限を 14℃に上げると,11 月中も日周行動したことになる. 木村(1953)は 1952~1953 年の大阪における観察で,12 月初旬から夜のみ 占座,3 月中旬に昼夜とも占座と報告し,日周行動した時期の日長時間は今回と 近似していた.そこで短日に低温が加わり日周行動を開始,消失には長日(日長 時間 13.2h以上)と高温(平均気温 10℃以上)の 2 条件が必要と仮定すると, 消失時期は 3 月 26 日以降になり,表 3 とほぼ一致した. 3 月中旬に 10℃以上 で日周行動したことも短日のためと説明できるが,同様に短日高温だった 2 月下 旬に終日占座したことは矛盾する. 低温で幼体が日周行動したことは確かだが,上限は平均気温 10~14℃と幅があ り,他の要因の関与の可能性もある.今後の野外観察や検証実験が必要である. b.幼体の成長 越冬し造網した幼体の齢期は不明だが,体長は期間中 8 回測定し,前回の測定 値との間で Mann-Whitney U 検定を行った(表 4). 40 表 4.造網していた幼体の体長 (1997 年 9 月~1998 年 5 月) 測定日 1997.9.28 1997.11.16 1997.12.21 1998.2.27 1998.3.14 1998.4.15 1998.4.29 1998.5.9 測定数 40 頭 25 頭 13 頭 12 頭 15 頭 20 頭 29 頭 35 頭 体長(平均±標準偏差) 1.79±0.30mm 2.30±0.54mm 2.81±0.56mm 3.04±0.66mm 3.23±0.78mm 4.25±0.91mm 5.66±2.20mm 7.14±2.39mm 測定間隔 U 検定の結果 49 日 35 日 68 日 15 日 32 日 14 日 10 日 p < 0.01 p < 0.05 有意差なし 有意差なし p < 0.01 p < 0.01 p < 0.01 測定数や測定間隔は一定しないが,体長は徐々に大きくなった.ところが 12 月 と 2 月,2 月と 3 月の体長の間には有意差がなかった.したがって 11 月,12 月 と成長した幼体が 1 月以降は成長が止まり,3 月中旬以降に再び成長したと考え られる. 終日占座していた 4 月中旬の幼体は 2 月,3 月の幼体に比べ有意に大きいので, 幼体の成長に伴い日周行動が消失した可能性もある.浅間(1986)によると,ア オグロハシリグモ幼体では体長により日周活動に差異があったという.クモの内 的要因が関与しているかどうかは,成体を短日低温の環境にするか,日周行動し ている幼体を長日高温の環境にして行動を調べるなどの検証実験が必要だろう. 4. まとめ 1997 年 9 月から 1998 年 5 月までコガネグモの幼体を野外観察した.平均気 温 6℃を超えると占座可能だったが,大部分のクモが占座するには 8℃以上が必要 と考えられた.幼体の一時期に,夜はこしきに占座するが,朝になると網の端に 移動する日周行動を確認した.この日周行動の主因は明るさであったが,気温の 影響も大きかった. 5. 謝辞 文献を提供いただきました谷川明男先生と,観察内容に助言いただきました池 田博明先生に深く感謝します. 6. 引用文献 新海栄一 2006.日本のクモ.文一総合出版,335pp. 木村重仁 1953.コガネグモの行動と氣温.Atypus,4:22-23. 西野真由子 2005.マネキグモの日周活動.Kishidaia,87:1-10. 浅間茂ほか 1986.野外におけるアオグロハシリグモ幼体の日周活動.千葉生物誌,35:7884. 気象統計情報 http://www.jma.go.jp/jma/menu/report.html 41 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 ─────────────────────────────────DRAGLINES── 「あいのこ」トリノフンダマシ採集の記録 新海 明 私が「あいのこ」トリノフンダマシの報告をしたのは,2003 年のキシダイ ア 84 号のドラッグラインだった.かれこれ 5 年前のことになる.その後, 各地 で同じようなトリノフ ンダマシやその卵のう を採集したという情報 をい ただいた.以下に,今まで私の知るかぎりの採集情報をまとめて報告したい. 各地 の採集観察会で注意し て調べていただき,発 見された場合には是非 ご報 告願 いたい.情報を提供し て下さった新井浩司・ 緒方清人・須賀瑛文の 各氏 に感謝申し上げる. 表 1.「あ いのこ」ト リノフンダ マシの採集 記録. 観察 場所 観察 日時 観察 者 愛知 県宝飯郡御 津町 1988.9.11 卵の う 緒方 清人 東京 都あきる野 市五日市広 徳寺 1994.7.30-9.11 ♀成体 1 新海 明 卵の う 東京 都あきる野 市五日市広 徳寺 1999.9.5 ♀成体 1 新海 明 卵の う 東京 都青梅市根 ケ布(北谷 津) 2003.7.19 ♀不明 1 新井 浩司 東京 都あきる野 市横沢入り 2003.8.2 ♀成体 1 新井 浩司 岐阜 県可児市矢 戸大善 2004.7.3 卵の う 須賀 瑛文 東京 都青梅市根 ケ布(北谷 津) 2004.7.10 ♀幼体 1 新井 浩司 東京 都西多摩郡 日の出町大 久野 2006.7.17 ♀幼体 1 新井 浩司 埼玉 県秩父市 2006.8.9 ♀成体 1 海野 和男* 卵の う *海野和男 氏のホーム ページ「海 野和男のデ ジタル昆虫 記」の「小 諸日記」の 記事から( 新 井浩 司氏の紹介 による) 参 考文献 新海 明 2003.あ いのこトリ ノフンダマ シを発見. Kishidaia (84): 64-65. 42 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 ──DRAGLINES───────────────────────────────── キノボリトタテグモの産卵数に関する一事例 笹 岡 文 雄 2007年10月6日に伊豆諸島・利島にて住居ごとキノボリトタテグモUmmidia f ragria♀成体1個体を採集した.その住居内ではすでに幼体が孵化しており,78個 体確認出来,それは全て生存していた.住居内には幼体の脱皮殻があったことか ら2齢であると推定される. 標本にするため♀成体を除去したところ,その時で8個体が住居から脱出した. その8個体を住居に戻し放置したところ,3日で幼体がすべて住居から脱出した. 個体数の確認はその脱出したものをカウントしたものである. 過去キノボリトタテの産卵数に関する記録はないと思われる.今回の事例は正 確には幼体数であって,産卵数ではないがキノボリトタテのそれを知る一例と思 われるのでここに報告する. ハタチコモリグモは地中に管状住居を作る? 新海 明・谷川明男 ハタチコモリグモ Alopecosa moriutii については,田中穂積さんによって 報告 されている(池田 1988) .それによれば「北海 道と本州の野原や河の 土手の草地」で採集され,「メス成体は 3~7 月,オス成体は 3~5 月」に出 現し,「卵のう形成は 6 月,一卵のう内に 40~180 個」の卵を持つという. 私たちは,今年(2008)の 5 月に東北地方にイソコモリグモの調査に行っ た. このとき岩手県下閉伊 郡田野畑村の平井賀浜 においてハタチコモリ グモ のメスの成体を 1 頭採集した. この経緯については本号「陸中海岸でイソコ モリ グモの大産地を発見」 の記事にその詳細を述 べてあるので併せて参 照し ていただきたい.ちなみに,岩手県からは初記録である. ハ タチコモリグモは平井 賀浜のもっとも奥まっ た所にあった海浜植生 内の 粗い砂地に,縦 穴の管状住居を作成し,その中に 潜んでいた .穴の直径は 8 mm ほどで,その深さは 15cm くらいだった.穴の内部は糸によって裏打ち され ており,一見したとこ ろではイソコモリグモ の住居によく似ていた .同 じ穴 のサイズのイソコモリ の住居とくらべると, 長さ(深さ)がやや短 い印 43 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 ─────────────────────────────────DRAGLINES── 象があった.同 様の管状住居は同所で他に 3 例確認したが,いずれも空巣だ った. こ の管状住居がハタチコ モリグモによって作ら れたものか,あるいは イソ コモ リなど他種のクモ(糸 での裏打ちの存在から ,ハチやアリなどの昆 虫や 海浜 生物による穴とは考え られない)が作成した 住居にたまたまハタチ コモ リが 侵入したものなのかは 不明である.ただ,イ ソコモリの住居の入口 の様 子と は少し異なる印象があ った.イソコモリの入 口は「クリアな輪郭」 をも って 開いているのが普通だ が,ここで発見した住 居の入口は糸でかがら れて いたものの,入口周辺の壁が内側にやや垂れ込むような感じがあった. コ モリグモ類が作成する 管状住居はカガリビコ モリグモ・スズキコモ リグ モ・ クラークコモリグモ・ チビコモリグモ・イモ コモリグモ・キバラコ モリ グモ・タイリクミズコモリグモなどでも確認されている(新海栄一 2006). この うち,カガリビは地面 のへこみに管状住居を 作るという.スズキは 産卵 期の みに管状住居を,クラ ークとチビとイモは幼 体期や産卵期に石や倒 木の 下あ るいは土の隙間に管状 住居を作り,入口に小 さな漏斗網を張るとい う. キバ ラも稲株の間や地表の 隙間などに管状住居を 作成するという.しか し, これらのコモリはいずれも穴を掘って管状住居を作ったものではないようだ. 一方 ,タイリクミズコモリ グモは川原の砂地に「 縦または斜めに穴を掘 って 住居 」を作り,「この住居 はイソコモリの住居よ りかなり浅い」という こと から ,平井賀浜でみつけた 住居はタイリクミズコ モリのそれにもっとも 近い もの と考えられる.私たち の発見した管状住居が ハタチコモリの作成し たも のな らば,イソコモリとタ イリクミズコモリにつ ぐ日本で3番目の穴居 棲コ モリ グモの発見になるかも 知れない.今後はハタ チコモリグモの発見例 の増 加を待ち,より詳細な生息状況などの調査が必要となろう(注). ハタ チコモリグモの標本の 同定では田中穂積氏に ,穴居棲のコモリグモ 類 の生 態情報については新海 栄一氏に教えていただ いた.ここに記して感 謝を 申し上げる. (注 )投稿後に ,福島 彬人 さんにより ハタチ コモ リグモが「 浅い穴 を掘 ってすむ」 クモ で ある ことが報告 されたのを 知 った(蜘 蛛 No.41, 2008). 併せ て参照し て いただけた ら 幸い である. 44 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 ──DRAGLINES───────────────────────────────── 青ヶ島のクモ 仲 條 竜 太 青ヶ島(32°28’ N,139°45’ E)は八丈島の南約 60km に位置する面積約 6.0km2 の火山島で,これまでに 18 種のクモが知られている(新海ら 2006).著者は この島から 2008 年 5 月に採集されたクモを同定する機会に恵まれたため,ここ に報告する.このうち,青ヶ島新記録のものは学名の頭に*をつけた.貴重な標本 を与えて下さった東邦大学大学院理学研究科の深澤悟氏にお礼申し上げる. 採集地:東京都八丈支庁青ヶ島村 採集日:2008 年 5 月 26 日から 28 日 採集者:深澤悟 Parasteatoda tepidariorum (C. L. Koch 1841) オオヒメグモ F 26 日 チュウガタシロカネグモ Leucauge blanda (L. Koch 1878) M26 日 *Cyclosa confusa Bösenberg & Strand 1906 ミナミノシマゴミグモ F 27 日 Diaea subdola O. P.-Cambridge 1885 コハナグモ F 26 日,28 日 *Plexippus paykulli (Audouin 1826) チャスジハエトリ F 27 日 アオオビハエトリ *Siler cupreus Simon 1888 M28 日 引用文献 新海 明・安藤昭久・谷川明男.2006.県別クモ類分布図 Ver.2006.著者自刊 CD. 45 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 文献調査による伊豆・小笠原諸島のトタテグモ類 笹 岡 文 雄 はじめに 東京都の行政区画には伊豆諸島(大島,利島,新島,神津島,三宅島,式根島, 御蔵島,八丈島,青ヶ島,その他小島嶼),小笠原諸島(聟島列島,父島列島, 母島列島,その付属小島嶼),硫黄諸島(北硫黄島,硫黄島,南硫黄島),その 他の島嶼(西之島,鳥島,南鳥島,沖の鳥島)が含まれる.伊豆諸島において戦 前からクモ類の調査が行われ,各種の目録が公表されている.逆に小笠原諸島お よび硫黄諸島の記録は多くない.本稿はそれらからトタテグモ類(キシノウエト タテグモLatouchia typica,キノボリトタテグモUmmidia fragaria)の分布を 調査したものである. 伊豆諸島については小野(2001)がすでに1921年から2001年までの文献を整 理集計しクモ類の分布をまとめている.本稿はそれに収録されていない報文等お よび2001年以後の記録を追加し,また未発表の情報も加味しトタテグモ類につい ての分布を再整理したものである.また文献・目録類はトタテグモ以外のクモ1種 のみ,あるいは一定の属や科のみに限ったものは集計から除外した. 概 況 伊豆諸島 キシノウエトタテはまったく記録されていなかったが,国立科学博物館の千葉 とき子氏によって住居が確認された(小野 2001).この情報を元に,2006年 筆者が元町地区にて個体を採集し分布を確認した(笹岡 2007).現在のところ 伊豆諸島九島の内,キシノウエトタテが確認されているのは大島のみである. キノボリトタテグモは大島で同種と示唆する住居の採集記録(植村 1939)が ある.また岸田(1961)は大島と利島の記録に言及し,三宅島においても採集し たと記している.しかし岸田は大島,利島,三宅島とも採集年月日,場所,個体 等のデータを記しておらず,また他に発表した後がなくその詳細はわからない. 利島は1976年に本庄四郎によって調査が行われたが,その時点ではトタテグモ類 は確認されていない(本庄私信).その後三宅島は1985年雄山にて小野(2001) が,大島は2006年元町地区(笹岡 2007),利島は2007年利島村の街区等(笹 岡 2008)で共に個体が採集され分布が確認された.さらに八丈島においても記 録された(谷川 2005).一部の無人付属小島嶼を除きその他の島は調査が行わ 46 島嶼 伊豆諸島 大島 利島 鵜渡根島 新島 式根島 神津島 只苗島 三宅島 御蔵島 八丈島 八丈小島 青ヶ島 小笠原諸島 聟島 父島 母島 硫黄諸島 硫黄島 南硫黄島 表 伊豆・小笠原諸島のトタテグモ類の記録 キシノウエトタテグモ キノボリトタテグモ 両種未記録 38, 39 - 10, 38, 39, 46 40 10, 38 45 - 9, 14, 24, 31, 37, 41, 42, 49 28, 本庄私信 17 3, 15, 25, 26, 31, 34, 41, 49 12, 23, 31, 34, 41 4, 13, 21, 31, 33, 34, 41 4, 31 31, 33, 41, 44 31, 33, 41 5, 6, 19, 31, 41, 47, 49 18, 20 10, 11, 35, 41, 47 - - 50 27, 41, 44, 50, 51 22, 27, 29, 41, 44, 50, 51 - - 44, 50 32 注)表中の数字は参考文献の番号と対応. れているが,トタテグモ類の記録はない. 小笠原諸島 全島嶼にわたる包括的な目録は発表されていない.父島,母島の目録が散見さ れる程度であり(新海 1969,八木沼 1970,中村・小島 1971,長島 1975, 谷川 1989,八幡 2001,仲條 2008),そのいずれの目録にもトタテグモの 記録はない.ただ岸田 ( 1921) はチチシマトタテグモ Pachylomerus mirandus を報告している.記載が種名のみでその特徴,採集地などの詳細は不明また標本 も明かではない.キノボリトタテグモまたは近縁種と思われるが,このようなこ とから同種かどうかも検討を要している(八木沼 1970).現在のところ,その チチシマトタテグモが小笠原における唯一のトタテグモ類の記録となっている. 硫黄諸島 硫黄島の記録はいずれも断片的なもの(中村・小島 1971)で,トタテグモ類 の記録はない.硫黄島と共に戦前有人島であった北硫黄島は植物調査(川窪 19 87,藤田 2001,藤田ほか 2004),鳥類調査(籾山 1930)などがおこなわ れているが,本格的なクモ類は調査されていない.したがってこちらもトタテグ モ類の記録はない. 47 南硫黄島は1982年環境庁により本格的な生物調査が行われ,若干のクモ類が報 告されている(西川 1983).しかしその中にはトタテグモの記録はない.さら に2007年6月,東京都と首都大学東京による合同生物調査が行われた.しかしこ の調査でクモ類の採集はおこなわれなかった. その他の島嶼(西之島,鳥島,南鳥島,沖の鳥島) 本格的なクモ類調査がおこなわれた島嶼はない.したがってトタテグモ類の記 録もまったくない.また沖の鳥島は岩礁のみの島であり,クモ類の調査が行われ ても確認される可能性はないと思われる. 謝 辞 本稿を起こすに当たり,国立科学博物館動物研究部の小野展嗣博士には多大な ご助言とまた資料のご提供をいただいた.兵庫県豊岡市在住,本庄四郎氏には利 島の採集結果などをお教えいただいた.さらに小笠原・母島在住,長島忠義氏に は貴重な著作資料のご提供また,母島における状況をお教えいただいた.お三方 には感謝に堪えない.ここに改めてお礼申し上げたい. 参考文献 1. 藤田卓.2001.北硫黄島のフロラと帰化植物の分布について.北硫黄島生物調査報告,10-33pp. 東京都小笠原支庁編,東京都. 2. 藤田卓・山本保々・加藤英寿.2004.北硫黄島の植物相.小笠原研究,29:1-16. 3. 権田重雄.1972.真正蜘蛛各地の同定目録.Kishidaia,29-32:9-13. 4. 池田博明・伴満.1999.夏の神津島のクモ.Kishidaia,76:55-58. 5. 加藤正世.1940.八丈島に於ける採集品目録.昆蟲界,8:690-730. 6. 葛西重雄.1968.蜘蛛類目録.八丈島動植物総目録,158-162pp.東京都教育庁八丈出張所, 東京. 7. 川窪伸光.1987.北硫黄島・植物調査報告 三万坪地域を含む北硫黄島上部の植生概況.小 笠原研究年報,10: 63-70. 8. 岸田久吉.1921.トタテグモ類の住居(二).動物学雑誌,390:7-16. 9. 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グモを調査しようと意気込んでいた.車載のカーナビゲーターを駆使し,海岸の 砂地があると思われる地点に行き先をセットして,イソコモリグモの棲息が確信 できる場所を求めて走っていった.しかし午後 3 時ころ,男鹿半島の入り口近く の浜まで約 10 箇所以上見回って来たところで,勘の働く場所に廻り合わず徒労に 終わったことと,遠路はるばる来たにもかかわらず未だ一匹もクモを採集してい ない焦りもあって爆発寸前となる.コンビニへ立ち寄り,冷たい水と軽食を買い 求め気持ちを落ち着かせ,約 2 時間半の行程で本日の宿泊場所である酒田市内へ 戻って行った.途中,海岸沿いに小学校が見え,学校と海岸の間に防風林のよう な緑地帯が見えたので,何気なくハンドルをきり海岸線の小さな集落へ降りてい った.車が止められそうな場所を求め,細い村道を走っていると,「川袋海岸」 と矢印のあるカーナビにも出てこない小さな看板が出てきた.車 1 台がやっと通 れる道を海岸側に進むと,4~5 台の自動車を駐車することができる広場に出たの で車を止め,浜辺に下りてみる.するとこの浜は車の轍もなく,人の踏み後もな い綺麗な浜で,イソコモリグモが絶対に居ると確信が持てる素晴らしい海岸だっ た.カーナビで地名を読むと秋田県にかほ市象潟(ひさかた)町の川袋という集 落の海岸であった.近くで農作業をしていたおじさんが居たので声を掛け「夜, 51 明かりで海岸を照らしクモを採集します.駐車場に車を置かせて欲しい.」と願 い出ると意外と快く承諾してくれた.場所が決まったところで一路酒田市内へ戻 り,ホテルのチェックインを済ませ,まだまだ陽があるうちにクモの採集に出掛 けることにした.場所は山形県飽海郡平田町生石とカーナビに出ていたが,近く に「霊園」と表示された場所があったので迷わずこの場所に決めた.この場所で は,蓋のない側溝にオオヒメグモのようなクモが造網している姿を多数発見した ので,成体と思われる雌雄を選んで採集した.自宅の顕微鏡で確認すると,全て オオツリガネヒメグモであった.霊園の林縁部を歩いていると,深い竹林があり 山へ登る道も見えてきたので,珍品に出会えそうな感じがしてワクワク期待しな がら登って行った.すると,クマ出没注意という真新しい看板を発見し途端に戦 力消失,及び腰で退散となり車に乗り込み,夜間観察の川袋海岸へカーナビをセ ットし出発した.最新のカーナビは渋滞情報を表示するのではなく渋滞を避けた 経路を表示若しくは音声案内するようで,土地に不慣れな者にとってカーナビは 便利ではあるが反面遠回りばかりさせられることを知った. 川袋海岸へ行く途中,夕食のためのレストランを探したが,カーナビの音声案 内される道沿いにはコンビニさえ見つけることが出来ないまま,周囲が田んぼの 村道のような細い道を一直線に走らされ,気が付くと海岸に出ていた.私は車を 国道まで戻し,一番近い街と思われる象潟町へ向かったが,コンビニを見つける ことが出来ず,夕方 6 時頃というのに既に閉まりかけた持ち帰り弁当店を見つけ, 無理を言って弁当を 1 つ作って頂いた.川袋海岸の駐車場に車を入れ,弁当を食 べ暗くなるのを待った.午後 8 時,やっと暗くなったので懐中電灯を持って浜辺 を歩き始めると,突然暗がりから先ほどのおじさんが現れ,よほどクモの研究者 が珍しかったのであろう暫し雑談にくれてしまう.話の流れから,おじさんが自 分の家に泊まっていけという雰囲気になったので,丁重にお断わりしてイソコモ リグモの探索に移るが,いつしか雲行きが怪しくなり,午後 9 時を過ぎたころか ら霧雨状の雨になった.それでも 1 時間ほど頑張ってみたものの,糸で裏打ちさ れた穴を発見することが出来なかったが,浜辺近くの防風林で秋田県新記録と思 われるハイイロヒメグモのオスを採集した.その後,浜辺を後にホテルに帰って 寝た. 6 月 29 日 山形県は朝から土砂降りの雨だった.昨日私が乗ってきた同じ便の飛行機に新 海氏も乗って来るというので,8 時頃ホテルを出れば空港ロビーを出てくる新海 氏を丁度のタイミングで捕えられる,と読んだ私は,カーナビを空港に向けセッ トした.しかし酒田市内は朝の通勤時間と降雨が重なり大渋滞となっていた.カ ーナビの音声指示に従って走ってみると渋滞は感じなかったが,8 時半を過ぎて 新海氏から「着いたけど,何処にいるの」と携帯電話に連絡が入った時,空港か 52 ら 5 キロ以上も離れた遠方を走っていた.9 時近くに新海氏と合流し空港近くの 浜辺から庄内砂丘を経由して秋田県境近くの道の駅「鳥海」(鳥海山の麓)まで の海岸で 5~6 箇所程度の砂浜を見て回ったが,どの浜も海水浴シーズンを控えブ ルドーザーで浜辺を整地しており,深い轍で壊滅状態であった.庄内砂丘も名ば かりで,宅地開発が進み,更に風力発電の大きな風車が連立する無残な砂丘であ った.しかし,最後に行った道の駅「鳥海」近くの海岸では,放置された糸で裏 打ちのある穴を 1 つ発見し,イソコモリグモ発見の期待が膨らんだので,夜間観 察の場所として 3~4 箇所の候補地を選択した.午後 2 時過ぎ,雨も小康状態に なったので,本日の宿泊予定地である鶴岡市内へ行く途中で本日最初のクモ採集 をすることとなった.カーナビの地図を拡大し,神社仏閣などの施設を探して山 形県飽海郡遊佐町上蕨岡に所在する大物忌神社へカーナビをセットした.この神 社は,天狗の森という山の頂上付近に建ち,尊大で歴史があり,晴れていれば参 拝客で賑わいを見せると思われるが,私たちが駐車場に車を入れたとき雨は傘も 用を成さぬほど土砂降りとなり,他人の視線も全くないまま広大な神社の中を存 分に見て回った.この山の麓にも熊野神社という建物があったので,ついでに立 ち寄ってみたが,神社の敷地内が雨で水没しており辛うじて本堂と石灯篭の裏側 のみ採集が可能であった.時計を見ると午後 5 時を回っていたので急いで車に乗 り,鶴岡市内のホテルへカーナビをセットし向かったが,酒田市内が混んでいた らしく,若干遠回りしつつ市内を通過することなく鶴岡市に入っていった.ホテ ルへ入る前に鶴岡市の海岸を見て回るが,岩場ばかりで砂浜がなく探索を諦めた. しかし,カーナビの地図を見ると近くに善宝寺というお寺があったので,山形県 鶴岡市大川町善宝寺という寺の名前が地名にもなっている所へ行った.山道を一 歩踏み込み,鳥肌が立つほどクモがたくさん居ることに感動し,夜間観察の前哨 戦はこの地に決めた.この地からホテルまでは約 30 分を要したが,例の如く食事 時間が惜しい私たちは,鶴岡市内で東京では見たことがない牛丼のドライブスル ーを見つけ夕食が決まった.しかし,ホテルでチェックインを済ませ再びカーナ ビをセットして元来た道を戻っていったつもりであったが,気が付くと全然違う 道を案内指示されており,結局夕食はコンビニの弁当であった.善宝寺では寺を 囲む林縁部だけしか採集する時間がなかったが,山形県新記録となるカラオニグ モが採集できた.午後 8 時を回ったところで空を見上げると雲に切れ間が見え, 天気の回復が見込まれたので意気揚々と私たちは酒田市内の海岸へ車を走らせた. 酒田市内の海岸は雨が止んだばかりで,砂の表面が濡れて固くなり歩く分には 支障がないが,天気の悪い日にイソコモリグモを探したことがないので果たして 見つけることが出来るか疑問であった.当然のことながら,砂浜にカニのような 穴を掘るイソコモリグモは,砂で埋まった巣穴から出てくる時,穴から出した砂 を穴の中心から放射状に捨てる習性が見られ,活動を開始しているのであるなら ば,乾いた砂が濡れた砂の上に捨てられているという顕著な形跡が見られるもの 53 と判断して探索したが,結局どの浜でもイソコモリグモを見つけることが出来な かった.私たちは山形県に何をしに来たのか,無駄骨と思いつつ時計を見たら午 前0時を回っていた.しかし元水曜会メンバーの新海氏はここからが凄い.秋田 県境の道の駅「鳥海」近くの浜辺から庄内空港近くの十里塚海岸まで南下し,ホ テルへ帰ろうか迷っている私に勘が働いたのか「この浜でもう一度やる」と心強 いお言葉.私自身は半分ヤケクソのまま「居ないのに…」と思いつつ砂浜を歩く が,砂の表面はすっかり乾いてサラサラ状態で歩きにくく,車の轍がくっきり残 る浜はそれだけで気力が減退するが,果たして 30 分程して散々見た所を再度見て いた新海氏が最初の穴を発見,私との距離は約 30 メートルの地点であった.その 後,最初の穴を中心に穴が開き始め気が付くと 8 個体以上の穴が確認できた.私 たちは穴の位置に印をつけ,八幡明彦氏が提案する調査方法で計測を行い個体数 の推測を行った.空は雲が厚くなり霧雨上の雨が降り始めたと思ううちに小雨に 変わった.時計を見ると午前 1 時半を回っていたので,潮時と感じ車に戻りホテ ルへ帰ってシャワーを浴びて寝た. 6 月 30 日 午前 6 時に目が覚めた私はカーテンを引き,外を見ると土砂降りの雨だったの で仕方なく外出は諦め又布団に潜り込んだ.午前 9 時,朝食のため起きてホテル の食堂へ行くと,外は太陽の陽がサンサンと輝く快晴に変わりヤル気がふつふつ と湧いてきた. 朝 9 時 45 分にチェックアウトした私たちは,その足で昨夜イソコモリグモを 見た浜へ向かったが,途中で通行止めとなり仕方がないので歩いて浜に出てみる とブルドーザーが浜辺を整地していた.私たちは柵を乗り越えて印をつけた穴を 見て回ったが,穴の存在は外見上まったく分からなかった.指で触れてみると砂 と糸で裏打ちされた蓋が付いており見事な作業に感心した.暫らくしてブルドー ザーが近づいてきたのでその場を離れ遠めで見ていたところイソコモリグモの巣 穴は全てキャタピラーに踏まれて行き,新海氏のむなしい叫びが響いていた.午 前中は風車が連立する庄内砂丘の浜を見て回り,天気も良かったので昼間のイソ コモリグモ探索は諦め,山側へ移動しクモの採集に出掛けた.拡大したカーナビ を頼りに飽海郡飛鳥町で飛鳥神社を目指す.この神社は,規模そのものは小さい ながら飛鳥時代からこの地に建立されたと史跡表に説明が記載されており,雑草 の一本も生えていないほど地域住民に大事に管理された場所で,クモを探すのは 至難の業だった.それでも境内の大木の枝から垂れ下がる幅広の葉の表面に白地 に黒模様のある小型のハグモを雌雄で採集,このハグモが日の当たる場所で造網 しているのに対し同じ葉の表面ながら北側の日の当たらない場所で造網している 一回り小さく模様のない赤黒いハグモの雌雄も採集,しかしよく見ると両者は東 側と西側では一部混雑している場所もあり,傾向として日の当たる所は模様あり 54 で日の当たらない所は一回り小さい模様なしという感じもしたので勘が働き両者 を相当量採集してきた.自宅の顕微鏡で見たところ雄のパルプの特徴から両者と もヒナハグモと同定した.東京クモ談話会でホットな話題になっている赤いハグ モの正体かもしれない.次に向かった場所は飛鳥神社から約 300 メートル離れた 飽海郡平田町の小物忌神社であった.実は最初の日に一人で来たとき,霊園の延 長線上に在るこの神社の存在は知っていたが行き着けなかった.今日は反対側か らの攻めである.国道沿いから鳥居が見えたので車を止めて見渡すも建物が確認 できず,カーナビは鳥居を超えて直進するよう指示するが鳥居の下は畦道で車の 重みで畦が崩れ水田に落ちてしまいそうな雰囲気であったので諦めかけたところ 郵便局バイクが鳥居をくぐり直進し水田の端で左折し集落の中に消えて行くのを 見て道が有ると合点し集落の中へ一端入り鳥居の延長線上の道を探した.すると 深い森の中に神社は在るようで,車で行ける所まで行き後は徒歩で神社を目指し たが,本堂に着くまでの道沿いが非常に良い場所でクモがたくさん採れた.結局 本堂へは行かず途中でタイムアウトとなり帰宅のため庄内空港へカーナビをセッ トした.空港では約2時間前に到着し小雨交じりではあったが空港の周りの緑地 帯で最後の採集を約1時間行い山形県新記録のチビコモリグモを採集した. 秋田県のクモ,採集リスト 秋田県にかほ市象潟(ひさかた)町川袋(2007 年 6 月 28 日) Mimetus japonicus ハラビロセンショウグモ F Theridion pinastri ムナグロヒメグモ M Keijia sterninotata ムナボシヒメグモ M Episinus affinis ヒシガタグモ F Paidiscura subpallens ハイイロヒメグモ M Tetragnatha praedonia アシナガグモ F Argiope minuta コガタコガネグモ y Araneus ventricosus オニグモ y Neoscona scylloides サツマノミダマシ y Larinia argiopiformis コガネグモダマシ FM Pardosa astrigera ウヅキコモリグモ Fe Pisaura lama アズマキシダグモ F カニグモの一種 y 55 山形県のクモ,採集リスト 地名 生石:山形県飽海郡平田町生石(2007 年 6 月 28 日) 鳥海:山形県酒田市,道の駅「鳥海」側,十里塚海岸(6 月 29 日) 大物:山形県飽海郡遊佐町上蕨岡,大物忌神社(6 月 29 日) 熊野:山形県飽海郡遊佐町杉沢南,熊野神社(6 月 29 日) 善宝:山形県鶴岡市大山町善宝寺,善宝寺(6 月 29 日) 飛鳥:山形県飽海郡飛鳥町飛鳥,飛鳥神社(6 月 30 日) 小物:山形県飽海郡平田町,小物忌神社(6 月 30 日) 空港:山形県酒田市,庄内空港敷地内緑地帯(6 月 30 日) Atypus karschi ジグモ 住居 大物 Dictyna foliicola ヒナハグモ FM 飛鳥 小物 Octonoba varians ウズグモ F 小物 Octonoba sybotides カタハリウズグモ FM 生石 善宝 小物 Ero japonica センショウグモ FM 大物 善宝 小物 Pholcus phalangioides イエユウレイグモ y 熊野 Pholcus crypticolens ユウレイグモ F 小物 Spermophora senoculata シモングモ FM 大物 熊野 Achaearanea culicivola カグヤヒメグモ My 善宝 小物 Achaearanea simulans ハモンヒメグモ F 大物 飛鳥 Achaearanea japonica ニホンヒメグモ y 善宝 小物 Achaearanea kompirensis コンピラヒメグモ M Achaearanea asiatica 善宝 キヒメグモ y 生石 Achaearanea angulithorax ツリガネヒメグモ Fe 善宝 Achaearanea tabulata オオツリガネヒメグモ FM 生石 大物 Parasteatoda tepidariorum オオヒメグモ FM 大物 Chrysso foliata ホシミドリヒメグモ F 善宝 Coleosoma octomaculatum ヤホシサヤヒメグモ F 善宝 Theridion pinastri ムナグロヒメグモ FM 飛鳥 Keijia sterninotata ムナボシヒメグモ F 熊野 善宝 飛鳥 小物 Yunohamella subadultus コケヒメグモ F 熊野 Enoplognatha abrupta カレハヒメグモ F 善宝 飛鳥 空港 Neospintharus fur フタオイソウロウグモ Fy 大物 善宝 小物 Yaginumena castrata ボカシミジングモ m 小物 Turinyphia yunohamensis ユノハマサラグモ y 大物 小物 Neriene longipedella 56 アシナガサラグモ y 小物 Leucauge magnifica オオシロカネグモ FM 小物 Leucauge subblanda コシロカネグモ FM 生石 小物 善宝 空港 Leucauge subgemmea キララシロカネグモ F 生石 小物 Tetragnatha yesoensis エゾアシナガグモ FM 大物 善宝 飛鳥 小物 Tetragnatha maxillosa ヤサガタアシナガグモ F 小物 Tetragnatha praedonia アシナガグモ FMy 生石 善宝 Nephila clavata ジョロウグモ y 生石 大物 善宝 飛鳥 Argiope minuta コガタコガネグモ My 小物 善宝 空港 Argiope bruennichi ナガコガネグモ y 善宝 Araneus ventricosus オニグモ My 生石 小物 Neoscona Scylla ヤマシロオニグモ my 大物 善宝 空港 Neoscona scylloides サツマノミダマシ y 生石 Eriophora astridae サガオニグモ F 小物 Eriophora sachalinensis カラフトオニグモ F 小物 Araneus tsurusakii カラオニグモ F 善宝 空港 Larinia argiopiformis コガネグモダマシ F 鳥海 Acusilas coccineus ハツリグモ FM 善宝 小物 Uroctea compactilis ヒラタグモ y 大物 Agelena silvatica クサグモ y 生石 善宝 飛鳥 小物 Allagelena opulenta コクサグモ y 善宝 飛鳥 Agelena labyrinthica イナズマクサグモ y 生石 善宝 Pardosa laura ハリゲコモリグモ FM 空港 Pardosa astrigera ウヅキコモリグモ My 鳥海 Arctosa depectinata カガリビコモリグモ F 鳥海 Pirata procurvus チビコモリグモ M 空港 Lycosa ishikariana イソコモリグモ Dolomedes sulfurous イオウイロハシリグモ y 生石 善宝 y 鳥海 Cheiracanthium japonicum カバキコマチグモ y 空港 Cheiracanthium unicum ヤサコマチグモ M 空港 Clubiona jucunda ヤハズフクログモ F 飛鳥 Itatsina praticola イタチグモ y 大物 Anyphaena pugil イヅツグモ F 熊野 Philodromus subaureolus アサヒエビグモ M 飛鳥 57 Oxytate striatipes ワカバグモ Fy 生石 熊野 Diaea subdola コハナグモ F 小物 Xysticus ephippiatus カラカニグモ F 生石 Tmarus rimosus セマルトラフカニグモ M 空港 Bassaniana decorata キハダカニグモ f 大物 Sibianor pullus キレワハエトリ F 生石 Marpissa milleri オオハエトリ FM 熊野 飛鳥 Siler cupreus アオオビハエトリ F 大物 Rhene albigera ヒメカラスハエトリ M 飛鳥 Yaginumaella striatipes ウススジハエトリ Fm 善宝 サラグモの一種 F 善宝 エビグモの一種 F 大物 結 果 秋田県の新記録種として,ハイイロヒメグモ.山形県の新記録種として,カラ オニグモ,チビコモリグモ,ヒメカラスハエトリが採集できた.新記録の判定は, 「県別クモ類分布図 Ver. 2006」(新海・安藤・谷川 2006)を参考にした. おわりに 私達が,山形県へイソコモリグモの調査に出掛ける約 1 月前,既に吉田哉氏が ほぼ同一場所でイソコモリグモの調査をされていたことを KISIDAIA No.92,55 項で知った.私達は天候に恵まれずイソコモリグモ探索は失敗であったが,吉田 氏の調査報告を読むと纏まった個体群が存在するようで実に興味深い内容でした. 庄内砂丘のイソコモリグモは 30 年ぐらい前,新海栄一氏に連れられて鈴木勝浩 氏と 3 人で探したことがありました.その時は海岸を懐中電灯で照らし歩いてい て,突然暗がりから現れたお巡りさんに職務質問を受けドキドキしながら質問に 答え,「クモを見せてみろ.」との問いに採ったばかりのイソコモリグモを見せ, お巡りさんが仰天したのが懐かしい.あの時,鈴勝っちゃんは穴から飛び出して きたイソコモリグモに興奮して鼻血をブーと出しましたね.イソコモリグモと聞 いて真っ先に思い浮かべる光景です. 58 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 岡山県産クモ類目録 野 嶋 宏 一 どういう訳か入社してからクモの採集を始めていた.きっかけは思い出さない のだが,その頃,広島県在住の井原庸氏と一緒に仕事する機会が多く,井原氏は 本業の鳥の調査の合間にこちらが本業と思えるくらいにクモを採っておられた. たぶんその熱心な姿に感銘を受けて,私もクモにはまり込んでいったような気が している.それから20年間,岡山県でクモを採集しつづけている.10年前には結 婚とほぼ同時に大阪へ転勤したが,岡山県のクモにこだわりを持って,家族にい やみを言われようとも年に数回は岡山へ採集行に行っている. 岡山県のクモについては,岡山県生活環境部自然環境課(2003)によりそれま での文献記録に基づいて岡山県のクモ類目録が作成されている.さらに,新海・ 安藤・谷川(2006)では先のクモ類目録を含む2006年7月までの文献記録が整理 され,岡山県では397種が記録されている. 本報告では,2006 年 7 月以降の文献記録と私の未発表の標本を整理して,新海・ 安藤・谷川(2006)の目録に未記録種を加える形で岡山県産クモ類目録を作成し た.加えた未記録種ついては,文献記録は著者と発表年,標本記録は採集地(2008 年 6 月現在の市町村名)を付した.種名や種等の配列は,日本産クモ類目録 Ver.2008R1 ( http://www.asahi-net.or.jp/~dp7a-tnkw/japan.pdf ) に 従 った.整理の結果,岡山県産クモ類として 46 科 553 種が確認された. なお,本目録を作成する過程で標本を再検したところ,以下の誤同定が確認さ れた.これらの記録は岡山県生活環境部自然環境課(2003)に含まれるものであ る.本目録ではこれら 4 種を削除した. ・ズキンヌカグモ Gongylidioides cucullatus Oi 1960 →ズキンヌカグモ近似種 Gongylidioides sp. ・ゴカクケシグモ Nippononeta pentagona (Oi 1960) →ゴカクケシグモ近似種 Nippononeta sp. ・イナヅマウラシマグモ Phrurolithus claripes (Dönitz & Strand 1906) →ウスイロウラシマグモ Phrurolithus labialis Paik 1991 ・チャクロワシグモ Cladothela oculinotata (Bösenberg & Strand 1906) →ヒメチャワシグモ Cladothela parva Kamura 1991 本報告に当たり新海明氏には再三の励ましと御助言を頂いた.井原庸氏には私 59 がクモを始めるきっけを下さり,また常日頃からいろいろとお世話になっている. 池田博明,入江照雄,小野展嗣,加村隆英,田中穂積,谷川明男,吉田哉の諸氏 には標本を同定頂いた.ここに厚く御礼申し上げる. 目 録 Atypidae ジグモ科 1.Atypus karschi Dönitz 1887 ジグモ 2.Calommata signata Karsch 1879 ワスレナグモ Ctenizidae トタテグモ科 3.Conothele fragaria (Dönitz 1887) キノボリトタテグモ 4.Latouchia typica (Kishida 1913) キシノウエトタテグモ Sicariidae イトグモ科 5.Loxosceles rufescens (Dufour 1820) イトグモ 岡山市 Scytodidae ヤマシログモ科 6.Scytodes thoracica (Latreille 1802) ユカタヤマシログモ 岡山市 Leptonetidae マシラグモ科 7.Masirana longimana Yaginuma 1970 テナガマシラグモ 新庄村 Telemidae ヤギヌマグモ科 8.Telema nipponica (Yaginuma 1972) ヤマトヤギヌマグモ 美作市・奈義町 Pholcidae ユウレイグモ科 9.Artema atlanta Walckenaer 1837 タマユウレイグモ 笠岡市 10.Belisana akebona (Komatsu 1961) アケボノユウレイグモ 美作市 11.Crossopriza lyoni (Blackwall 1867) オダカユウレイグモ 笠岡市・玉野市 12.Pholcus crypticolens Bös. & Str. 1906 ユウレイグモ 13.Pholcus phalangioides (Fuesslin 1775) イエユウレイグモ 岡山市・笠岡市・備前市 14.Spermophora senoculata (Dugès 1836) シモングモ 岡山市・新見市 Segestriidae エンマグモ科 15.Ariadna insulicola Yaginuma 1967 60 シマミヤグモ 玉野市 16.Ariadna lateralis Karsch 1881 ミヤグモ Oonopidae タマゴグモ科 17.Gamasomorpha cataphracta Karsch 1881 ダニグモ 岡山市・高梁市・美作市・吉備中央町 18.Gamasomorpha kusumii Komatsu 1963 クスミダニグモ 井原市・岡山市・倉敷市・津山市・備前市・美咲町 19.Ischnothyreus narutomii (Nakatsuji 1942) ナルトミダニグモ 笠岡市・瀬戸内市・備前市 20.Opopaea syarakui (Komatsu 1967) シャラクダニグモ 井原市・笠岡市・備前市 21.Orchestina okitui Oi 1958 オキツハネグモ 浅口市・笠岡市・瀬戸内市・玉野市・美作市 22.Orchestina sanguinea Oi 1955 アカハネグモ Mimetidae センショウグモ科 23.Ero cambridgei Kulczyński 1911 アオグロセンショウグモ 瀬戸内市・玉野市・津山市・真庭市・美作市・吉備中央町 24.Ero furcata (Villers 1789) キタセンショウグモ 鏡野町・西粟倉村 25.Ero japonica Bös. & Str. 1906 センショウグモ 26.Mimetus japonicus Uyemura 1938 ハラビロセンショウグモ 27.Mimetus testaceus Yaginuma 1960 オオセンショウグモ Oecobiidae チリグモ科 28.Oecobius navus Blackwall 1859 チリグモ 岡山市・笠岡市・倉敷市 29.Uroctea compactilis L. Koch 1878 ヒラタグモ Uloboridae ウズグモ科 30.Hyptiotes affinis Bös. & Str. 1906 オウギグモ 31.Miagrammopes orientalis Bös. & Str. 1906 マネキグモ 32.Octonoba sinensis (Simon 1880) トウキョウウズグモ 岡山市 33.Octonoba sybotides (Bös. & Str. 1906) カタハリウズグモ 34.Octonoba varians (Bös. & Str. 1906) ウズグモ 35.Octonoba yesoensis (S. Saito 1934) エゾウズグモ Nesticidae ホラヒメグモ科 36.Nesticella brevipes(Yaginuma 1970) コホラヒメグモ 37.Nesticella mogera (Yaginuma 1972) チビホラヒメグモ 61 タジマホラヒメグモ 38.Nesticus nishikawai Yaginuma 1979 美作市 オニノホラヒメグモ 39.Nesticus tarumii Yaginuma 1979 鏡野町 Theridiidae ヒメグモ科 40.Achaearanea angulithorax (Bös. & Str. 1906) ツリガネヒメグモ 41.Achaearanea asiatica (Bös. & Str. 1906) キヒメグモ 玉野市 42.Achaearanea culicivola (Bös. & Str. 1906) カグヤヒメグモ 43.Achaearanea ferrumequina (Bös. & Str. 1906) ヒザブトヒメグモ 新見市・美作市 44.Achaearanea japonica (Bös. & Str. 1906) ニホンヒメグモ 45.Achaearanea kompirensis (Bös. & Str. 1906) コンピラヒメグモ 46.Achaearanea oculiprominens (S. Saito 1939) キヨヒメグモ 47.Achaearanea ryukyu Yoshida 2000 リュウキュウヒメグモ 赤磐市・岡山市・笠岡市・備前市 48.Achaearanea simulans (Thorell 1875) ハモンヒメグモ 津山市・鏡野町 49.Achaearanea tabulata Levi 1980 オオツリガネヒメグモ 50.Allothymoites kumadai Ono 2007 ハラビロササヒメグモ 井原市・美作市・吉備中央町・久米南町・勝央町 51.Anelosimus crassipes (Bös. & Str. 1906) 52.Anelosimus iwawakiensis Yoshida 1986 アシブトヒメグモ イワワキアシブトヒメグモ 53.Argyrodes bonadea (Karsch 1881) シロカネイソウロウグモ 54.Argyrodes cylindratus Thorell 1889 トビジロイソウロウグモ 赤磐市・総社市・真庭市・美作市・備前市・和気町 55.Argyrodes kumadai Chida & Tanikawa 1999 チリイソウロウグモ 56.Ariamnes cylindrogaster (Simon 1888) オナガグモ 57.Chrosiothes sudabides (Bös. & Str. 1906) ヨツコブヒメグモ 58.Chrysso albipes (S.Saito 1935) ギボシヒメグモ 59.Chrysso argyrodiformis (Yaginuma 1952) オダカグモ 60.Chrysso bimaculata Yoshida 1998 フタホシヒメグモ 久米南町 61.Chrysso foliata (L.Koch 1878) ホシミドリヒメグモ 62.Chrysso pulcherrima (Mello-Leitao 1917) ミナミオダカグモ 瀬戸内市・玉野市 63.Chrysso scintillans (Thorell 1895) 62 コガネヒメグモ 64.Chrysso vesiculosa (Simon 1894) ヒシガタヒメグモ 瀬戸内市(Yoshida 2006) 65.Coleosoma blandum O. P.-Cambridge 1882 サヤヒメグモ 赤磐市・岡山市・笠岡市・倉敷市・瀬戸内市 66.Coleosoma octomaculatum (Bös. & Str. 1906) ヤホシサヤヒメグモ 67.Coscinida japonica Yoshida 1994 トガリクサチヒメグモ 68.Dipoena punctisparsa Yaginuma 1967 シモフリミジングモ 69.Enoplognatha abrupta (Karsch 1879) カレハヒメグモ 70.Enoplognatha caricis (Fickert 1876) ヤマトコノハグモ 71.Episinus affinis Bös. & Str. 1906 ヒシガタグモ 72.Episinus kitazawai Yaginuma 1958 シモフリヒシガタグモ 73.Episinus nubilus Yaginuma 1960 ムラクモヒシガタグモ 74.Euryopis iharai Yoshida 1992 フタホシヒラタヒメグモ 浅口市・岡山市・笠岡市・倉敷市・玉野市 75.Euryopis nigra Yoshida 2000 クロヒラタヒメグモ 岡山市・笠岡市・倉敷市・瀬戸内市 76.Euryopis octomaculata (Paik 1995) ヤホシヒラタヒメグモ 77.Keijia mneon (Bös. & Str. 1906) サトヒメグモ 78.Keijia sterninotata (Bös. & Str. 1906) ムナボシヒメグモ 79.Latrodectus hasselti Thorell 1870 セアカゴケグモ 倉敷市(山陽新聞,平成 20 年 4 月 27 日朝刊) 80.Lasaeloa yoshidai (Ono 1991) ヨシダミジングモ 81.Moneta caudifera Dönitz & Strand 1906) ハラナガヒシガタグモ 82.Neospintharus fur (Bös. & Str. 1906) フタオイソウロウグモ 83.Neospintharus nipponicus (Kumada 1990) ツノナガイソウロウグモ 新見市・美咲町 84.Neottiura margarita (Yoshida 1985) チクニヒメグモ 85.Paidiscura subpallens (Bös. & Str. 1906) ハイイロヒメグモ 86.Parasteatoda tepidariorum (C. L. Koch 1841) オオヒメグモ 87.Phoroncidia altiventris Yoshida 1985 ハラダカツクネグモ 新見市・備前市・吉備中央町 88.Phoroncidia pilula (Karsch 1879) ツクネグモ 89.Phycosoma amamiensis (Yoshida 1985) アマミミジングモ 90.Phycosoma flavomarginatum (Bös. & Str. 1906) キベリミジングモ 91.Phycosoma japonicum (Yoshida 1985) ヤマトミジングモ 92.Phycosoma mustelinum (Simon 1889) カニミジングモ 93.Phycosoma nigromaculatum (Yoshida 1987) クロホシミジングモ 63 94.Rhomphaea hyrcana (Logunov & Marusik 1990) タテスジヤリグモ 95.Rhomphaea labiata (Zhu & Song 1991) ヒゲナガヤリグモ 赤磐市・笠岡市・瀬戸内市・備前市・久米南町・和気町 96.Rhomphaea sagana (Dönitz & Strand 1906) ヤリグモ 97.Robertus nojimai Yoshida 2002 ノジマモリヒメグモ 98.Robertus saitoi Yoshida 1995 サイトウモリヒメグモ 99.Robertus sibiricus Eskov 1987 キタモリヒメグモ 100.Rugathodes nigrolimbatus (Yaginuma 1972) タカネヒメグモ 101.Spheropistha melanosoma Yaginuma 1957 クロマルイソウロウグモ 赤磐市・岡山市・瀬戸内市・備前市 102.Steatoda cingulata (Thorell 1890) ハンゲツオスナキグモ 103.Steatoda erigoniformis (O. P.-Cambridge 1872) ナナホシヒメグモ 104.Steatoda triangulosa (Walckenaer 1802) マダラヒメグモ 倉敷市・玉野市 105.Stemmops nipponicus Yaginuma 1969 スネグロオチバヒメグモ 106.Takayus chikunii (Yaginuma 1960) バラギヒメグモ 107.Takayus latifolius (Yaginuma 1960) ヒロハヒメグモ 108.Takayus takayensis (S. Saito 1939) タカユヒメグモ 109.Theridion nojimai Yoshida 1999 ノジマヒメグモ 110.Theridion pinastri L. Koch 1872 ムネグロヒメグモ 111.Thymoites okumae (Yoshida 1988) クロササヒメグモ 112.Yaginumena castrata (Bös. & Str. 1906) ボカシミジングモ 113.Yaginumena maculosa (Yoshida & Ono 2000) マダラミジングモ 114.Yaginumena mutilata (Bös. & Str. 1906) コアカクロミジングモ 115.Yunohamella lyricus (Walckenaer 1841) シモフリヒメグモ 116.Yunohamella subadultus (Bös. & Str. 1906) コケヒメグモ 117.Yunohamella yunohamensis (Bös. & Str. 1906)ユノハマヒメグモ Theridiosomatidae カラカラグモ科 118.Ogulnius pullus Bös. & Str. 1906 ヤマジグモ 119.Theridiosoma epeiroides Bös. & Str. 1906 カラカラグモ Anapidae ヨリメグモ科 120.Comaroma maculosa Oi 1960 ヨロイヒメグモ 121.Conculus lyugadinus Komatsu 1940 ヨリメグモ Mysmenidae コツブグモ科 122.Mysmenella jobi (Kraus 1967) ナンブコツブグモ 123.Mysmenella ogatai Ono 2007 ヤマトコツブグモ 岡山市・瀬戸内市・津山市・新見市・真庭市・鏡野町・西粟倉村 64 Pimoidae ピモサラグモ科 124.Weintrauboa contortipes (Karsch 1881) アシヨレグモ Linyphiidae サラグモ科 125.Aprifrontalia mascula (Karsch 1879) コサラグモ 126.Arcuphantes hibanus H.Saito 1992 ヒバヤミサラグモ 127.Arcuphantes iharai H.Saito 1992 アキヤミサラグモ 128.Arcuphantes kobayashii Oi 1979 コバヤシヤミサラグモ 真庭市・美作市・奈義町・新庄村・西粟倉村 129.Arcuphantes nojimai Ihara 1995 ハリマヤミサラグモ 130.Arcuphantes setouchi Ihara 1995 セトヤミサラグモ 131.Arcuphantes tsurusakii Ihara 1995 ツルサキヤミサラグモ 132.Asperthorax communis Oi 1960 ザラアカムネグモ 133.Asthenargus matsudae Saito & Ono 2001 ヒメウスイロサラグモ 津山市・新見市・奈義町 134.Baryphymula kamakuraensis (Oi 1960) カマクラヌカグモ 岡山市・笠岡市・倉敷市・津山市・新見市・美作市・鏡野町 吉備中央町・美咲町 135.Bathyphantes robustus Oi 1960 クロテナガグモ 136.Bathyphantes tateyamaensis (Oi 1960) タテヤマテナガグモ 137.Bathyphantes yodoensis Oi 1960 ヨドテナガグモ 138.Caviphantes samensis Oi 1960 ホラヌカグモ 高梁市 139.Centromerus sylvaticus (Blackwall 1841) マルサラグモ 140.Ceratinella brevis (Wider 1834) チビクロマルハラカタグモ 総社市・鏡野町・和気町 141.Diplocephaloides saganus (Bös. & Str. 1906) ハラジロムナキグモ 142.Diplocephalus bicurvatus Bös. & Str. 1906 ムナキグモ 143.Doenitzius peniculus Oi 1960 デーニッツサラグモ 144.Doenitzius pruvus Oi 1960 コデーニッツサラグモ 145.Entelecara dabudongensis Paik 1983 コウライホテイヌカグモ 146.Erigone edentata Saito & Ono 2001 マルムネヒザグモ 笠岡市・倉敷市・瀬戸内市 147.Erigone koshiensis Oi 1960 カワリノコギリグモ 岡山市・瀬戸内市 148.Erigone prominens Bös. & Str. 1906 ノコギリヒザグモ 149.Floronia exornata (L.Koch 1878) ハナサラグモ 津山市 65 150.Gnathonarium exsiccatum (Bös. & Str. 1906) ニセアカムネグモ 151.Gnathonarium gibberum Oi 1960 セムシアカムネグモ 152.Gonatium arimaense Oi 1960 アリマケズネグモ 153.Gonatium japonicum Simon in Bös. & Str. 1906 ヤマトケズネグモ 154.Gongylidioides communis Saito & Ono 2001 ナミズキンヌカグモ 高梁市・新見市・美作市・吉備中央町・奈義町・新庄村 155.Herbiphantes longiventris Tanasevitch 1992 キハダキヌキリグモ 156.Hylyphantes graminicola (Sundevall 1830) クロナンキングモ 157.Lepthyphantes concavus (Oi 1960) クボミケシグモ 158.Lepthyphantes serratus Oi 1960 ノコバヤセサラグモ 159.Meioneta nigra Oi 1960 クロケシグモ 160.Mermessus naniwaensis (Oi 1960) ナニワナンキングモ 161.Nematogmus rutilis Oi 1960 コアカサナダグモ 津山市 162.Nematogmus sanguinolentus (Walckenaer 1842) チビアカサラグモ 163.Nematogmus stylitus (Bös. & Str. 1906) ズダカサラグモ 164.Neriene albolimbata (Karsch 1879) ヤガスリサラグモ 津山市・西粟倉村 165.Neriene angulifera (Schenkel 1953) ハンモックサラグモ 津山市・美作市 166.Neriene clathrata (Sundevall 1830) コウシサラグモ 津山市・鏡野町・新庄村・西粟倉村 167.Neriene fusca (Oi 1960) クスミサラグモ 高梁市・津山市・真庭市・奈義町・新庄村 168.Neriene herbosa (Oi 1960) シバサラグモ 169.Neriene japonica (Oi 1960) ツリサラグモ 170.Neriene limbatinella (Bös. & Str. 1906) フタスジサラグモ 171.Neriene longipedella (Bös. & Str. 1906) アシナガサラグモ 172.Neriene marginella (Oi 1960) コシロブチサラグモ 173.Neriene nigripectoris (Oi 1960) ムネグロサラグモ 174.Neriene oidedicata Helsdingen 1969 ヘリジロサラグモ 175.Neriene radiata (Walckenaer 1842) シロブチサラグモ 176.Neserigone nigriterminorum (Oi 1960) ハシグロナンキングモ 177.Neserigone torquipalpis (Oi 1960) マダラナンキングモ 178.Nippononeta nodosa (Oi 1960) コブケシグモ 井原市 179.Nippononeta obliqua (Oi 1960) 66 ナナメケシグモ 180.Nippononeta ungulata (Oi 1960) ツメケシグモ 181.Oia imadatei (Oi 1964) イマダテテングヌカグモ 182.Orientopus yodoensis (Oi 1960) アバタムナキグモ 183.Ostearius melanopygius (O. P.-Cambridge 1879) スソグロサラグモ 184.Paikiniana vulgaris (Oi 1960) コテングヌカグモ 185.Parasisis amurensis Eskov 1984 タイリクコサラグモ 津山市・真庭市・鏡野町・奈義町・西粟倉村 ナラヌカグモ 186.Parhypomma naraense (Oi 1960) 津山市・備前市・真庭市・美作市・西粟倉村 ホソテゴマグモ 187.Pseudomicrargus acuitegulatus (Oi 1960) 岡山市・笠岡市・高梁市・津山市・備前市・真庭市・美作市・鏡野町・ 吉備中央町・久米南町・奈義町・美咲町・西粟倉村 ヤマトオオイヤマケシグモ 188.Ryojius japonicus Saito & Ono 2001 岡山市・笠岡市・倉敷市・津山市・新見市・備前市・美作市・ 吉備中央町・久米南町・奈義町・美咲町・和気町 189.Ryojius occidentalis Saito & Ono 2001 カンサイオオイヤマケシグモ 190.Saitonia kawaguchikonis Saito & Ono 2001 カワグチココヌカグモ 真庭市 191.Saitonia orientalis (Oi 1960) ズブトヌカグモ 津山市・美作市・真庭市・吉備中央町・奈義町・和気町 192.Savignia kawachiensis Oi 1960 ズナガヌカグモ 193.Solenysa melloteei Simon 1894 アリマネグモ 194.Strandella quadrimaculata (Uyemura 1937) ヨツボシサラグモ 195.Strandella yaginumai H. Saito 1982 ヒメヨツボシサラグモ 196.Syedra oii H. Saito 1983 オオイオリヒメサラグモ 岡山市・倉敷市・高梁市・津山市・備前市・美作市・吉備中央町 197.Tmeticus bipunctis (Bös. & Str. 1906) ヌカグモ 198.Tmeticus neserigonoides Saito & Ono 2001 ナンキンヌカグモ 笠岡市・倉敷市・津山市・美作市・新庄村 199.Tmeticus vulcanicus Saito & Ono 2001 ミヤケジマヌカグモ 真庭市 200.Turinyphia yunohamensis (Bös. & Str. 1906) ユノハマサラグモ 201.Ummeliata feminea (Bös. & Str. 1906) トウキョウアカムネグモ 202.Ummeliata insecticeps (Bös. & Str. 1906) セスジアカムネグモ 203.Ummeliata osakaensis (Oi 1960) オオサカアカムネグモ 204.Walckenaeria chiyokoae H. Saito 1988 オオクマコブヌカグモ 備前市 67 205.Walckenaeria keikoae H. Saito 1988 フタエツノヌカグモ 206.Walckenaeria orientalis (Oliger 1985) カントウヒゲヌカグモ 井原市・新見市 Tetragnathidae アシナガグモ科 207.Diphya okumae Tanikawa 1995 オオクマヒメドヨウグモ 208.Leucauge blanda (L. Koch 1878) チュウガタシロカネグモ 209.Leucauge crucinota (Bös. & Str. 1906) チビシロカネグモ 備前市 210.Leucauge magnifica Yaginuma 1954 オオシロカネグモ 211.Leucauge subblanda Bös. & Str. 1906 コシロカネグモ 212.Leucauge subgemmea Bös. & Str. 1906 キララシロカネグモ 213.Menosira ornata Chikuni 1955 キンヨウグモ 214.Meta japonica Tanikawa 1993 サンロウドヨウグモ 鏡野町 チビクロドヨウグモ 215.Meta nigridorsalis Tanikawa 1994 津山市 216.Meta reticuloides Yaginuma 1958 ヤマジドヨウグモ 217.Metleucauge chikunii Tanikawa 1992 チクニドヨウグモ 西粟倉村 タニマノドヨウグモ 218.Metleucauge kompirensis (Bös. & Str. 1906) 219.Metleucauge yunohamensis (Bös. & Str. 1906) メガネドヨウグモ 220.Pachygnatha quadrimaculata (Bös. & Str. 1906) ヨツボシヒメアシナガグモ 221.Pachygnatha tenera Karsch 1879 ヒメアシナガグモ 222.Tetragnatha caudicula (Karsch 1879) トガリアシナガグモ 223.Tetragnatha extensa (Linnaeus 1758) ハラビロアシナガグモ 鏡野町 224.Tetragnatha lea Bös. & Str. 1906 アズマアシナガグモ 225.Tetragnatha maxillosa Thorell 1895 ヤサガタアシナガグモ 226.Tetragnatha nitens (Audouin 1826) ヒカリアシナガグモ 227.Tetragnatha pinicola L. Koch 1870 ミドリアシナガグモ 西粟倉村 228.Tetragnatha praedonia L. Koch 1878 アシナガグモ 229.Tetragnatha shinanoensis Okuma & Chikuni 1978 シナノアシナガグモ 津山市・美作市・吉備中央町・奈義町・美咲町 230.Tetragnatha squamata Karsch 1879 68 ウロコアシナガグモ 231.Tetragnatha vermiformis Emerton 1884 シコクアシナガグモ 232.Tetragnatha yesoensis S. Saito 1934 エゾアシナガグモ Nephilidae ジョロウグモ科 233.Nephila clavata L. Koch 1878 ジョロウグモ Araneidae コガネグモ科 234.Acusilas coccineus Simon 1895 ハツリグモ 235.Alenatea fuscocolorata (Bös. & Str. 1906) ヤミイロオニグモ 236.Arachnura logio Yaginuma 1956 キジロオヒキグモ 237.Araneus acusisetus Zhu & Song 1994 オオクマヤミイロオニグモ 238.Araneus ejusmodi Bös. & Str. 1906 ヌサオニグモ 239.Araneus hoshi Tanikawa 2001 ホシマメオニグモ 240.Araneus ishisawai Kishida 1920 イシサワオニグモ 241.Araneus macacus Uyemura 1961 ヤエンオニグモ 242.Araneus mitificus (Simon 1886) ビジョオニグモ 243.Araneus nojimai Tanikawa 2001 マメオニグモ 244.Araneus ogatai Tanikawa 2001 オガタオニグモ 245.Araneus pentagrammicus (Karsch 1879) アオオニグモ 246.Araneus semilunaris (Karsch 1879) マルヅメオニグモ 247.Araneus seminiger (L.Koch 1878) コケオニグモ 248.Araneus tsurusakii Tanikawa 2001 カラオニグモ 249.Araneus uyemurai Yaginuma 1960 ヤマオニグモ 250.Araneus variegatus Yaginuma 1960 ニシキオニグモ 鏡野町 251.Araneus ventricosus (L. Koch 1878) オニグモ 252.Araneus viridiventris Yaginuma 1969 ハラビロミドリオニグモ 備前市・美咲町 253.Araniella yaginumai Tanikawa 1995 ムツボシオニグモ 254.Argiope amoena L. Koch 1878 コガネグモ 255.Argiope boesenbergi Levi 1983 チュウガタコガネグモ 瀬戸内市・備前市・矢掛町 256.Argiope bruennichi (Scopoli 1772) ナガコガネグモ 257.Argiope minuta Karsch 1879 コガタコガネグモ 258.Chorizopes nipponicus Yaginuma 1963 ヤマトカナエグモ 259.Cyclosa alba Tanikawa 1992 シロゴミグモ 和気町 260.Cyclosa argenteoalba Bös. & Str. 1906 ギンメッキゴミグモ 261.Cyclosa atrata Bös. & Str. 1906 カラスゴミグモ 69 ギンナガゴミグモ 262.Cyclosa ginnaga Yaginuma 1959 赤磐市・高梁市・備前市・真庭市 カギヅメカラスゴミグモ 263.Cyclosa hamulata Tanikawa 1992 鏡野町 264.Cyclosa japonica Bös. & Str. 1906 ヤマトゴミグモ 265.Cyclosa kumadai Tanikawa 1992 クマダギンナガゴミグモ 津山市・美作市 266.Cyclosa monticola Bös. & Str. 1906 ヤマゴミグモ 267.Cyclosa octotuberculata Karsch 1879 ゴミグモ 268.Cyclosa omonaga Tanikawa 1992 シマゴミグモ 269.Cyclosa onoi Tanikawa 1992 オノゴミグモ 総社市・奈義町 270.Cyclosa sedeculata Karsch 1879 ヨツデゴミグモ 271.Cyclosa vallata Keyserling 1886 マルゴミグモ 272.Cyrtarachne bufo (Bös. & Str. 1906) トリノフンダマシ 273.Cyrtarachne inaequalis Thorell 1895 オオトリノフンダマシ 274.Cyrtarachne nagasakiensis Strand 1918 シロオビトリノフンダマシ アカイロトリノフンダマシ 275.Cyrtarachne yunoharuensis Strand 1918 276.Cyrtophora moluccensis (Doleschall 1857) スズミグモ 277.Eriophora astridae (Strand 1917) サガオニグモ 岡山市・笠岡市・鏡野町・吉備中央町 278.Eriophora sachalinensis (S. Saito 1934) カラフトオニグモ 279.Gasteracantha kuhli C. L. Koch 1837 トゲグモ 280.Gibbaranea abscissa (Karsch 1879) キザハシオニグモ 281.Gibbaranea bituberculata (Walckenaer 1802) ダンダラオニグモ 吉備中央町 282.Hypsosinga pygmaea (Sundevall 1831) ヨツボシショウジョウグモ 283.Hypsosinga sanguinea (C. L. Koch 1844) シロスジショウジョウグモ 284.Larinia argiopiformis Bös. & Str. 1906 285.Larinia onoi Tanikawa 1989 コガネグモダマシ ムネグロコガネグモダマシ 岡山市・笠岡市・倉敷市・総社市・瀬戸内市・玉野市 286.Larinioides cornutus (Clerck 1757) ナカムラオニグモ 287.Mangora herbeoides (Bös. & Str. 1906) ゴマジロオニグモ 288.Neoscona adianta (Walckenaer 1802) ドヨウオニグモ 289.Neoscona melloteei (Simon 1895) ワキグロサツマノミダマシ 290.Neoscona nautica (L. Koch 1875) イエオニグモ 291.Neoscona punctigera (Doleschall 1857) コゲチャオニグモ 70 292.Neoscona scylla (Karsch 1879) ヤマシロオニグモ 293.Neoscona scylloides (Bös. & Str. 1906) サツマノミダマシ 294.Ordgarius hobsoni (O. P.-Cambridge 1877) マメイタイセキグモ 295.Ordgarius sexspinosus (Thorell 1894) ムツトゲイセキグモ 笠岡市・久米南町 296.Pasilobus hupingensis Yin, Bao & Kim 2001 ワクドツキジグモ 備前市 297.Poltys illepidus C. L. Koch 1843 ゲホウグモ 赤磐市・総社市・瀬戸内市・津山市・備前市 298.Pronoides brunneus Schenkel 1936 コオニグモモドキ 299.Yaginumia sia (Strand 1906) ズグロオニグモ Lycosidae コモリグモ科 300.Alopecosa moriutii Tanaka 1985 ハタチコモリグモ 301.Alopecosa virgata (Kishida 1909) スジブトコモリグモ 鏡野町 302.Arctosa depectinata (Bös. & Str. 1906) カガリビコモリグモ 303.Arctosa ebicha Yaginuma 1960 エビチャコモリグモ 304.Arctosa ipsa (Karsch 1879) ヒノマルコモリグモ 305.Arctosa kawabe Tanaka 1985 カワベコモリグモ 306.Arctosa stigmosa (Thorell 1875) クロココモリグモ 瀬戸内市・真庭市・鏡野町・矢掛町 307.Lycosa coelestis L. Koch 1878 ハラクロコモリグモ 308.Lycosa suzukii Yaginuma 1960 スズキコモリグモ 309.Pardosa agraria Tanaka 1985 イナダハリゲコモリグモ 310.Pardosa astrigera L. Koch 1878 ウヅキコモリグモ 311.Pardosa brevivulva Tanaka 1975 ヤマハリゲコモリグモ 美作市・鏡野町・吉備中央町・勝央町・美咲町・西粟倉村 312.Pardosa diversa Tanaka 1985 ハタハリゲコモリグモ 313.Pardosa isago Tanaka 1977 イサゴコモリグモ 314.Pardosa laura Karsch 1879 ハリゲコモリグモ 315.Pardosa nojimai Tanaka 1998 カコウコモリグモ 316.Pardosa pseudoannulata (Bös. & Str. 1906) キクヅキコモリグモ 317.Pardosa yaginumai Tanaka 1977 キシベコモリグモ 高梁市 318.Pardosa yamanoi Tanaka & Suwa 1986 テジロハリゲコモリグモ 319.Pirata clercki (Bös. & Str. 1906) クラークコモリグモ 320.Pirata meridionalis Tanaka 1974 ミナミコモリグモ 71 321.Pirata piratoides (Bös. & Str. 1906) イモコモリグモ 322.Pirata procurvus (Bös. & Str. 1906) チビコモリグモ 323.Pirata subpiraticus (Bös. & Str. 1906) キバラコモリグモ 324.Pirata yaginumai Tanaka 1974 ナミコモリグモ 325.Trochosa aquatica Tanaka 1985 ナガズキンコモリグモ 笠岡市・倉敷市 326.Trochosa ruricola (De Geer 1778) アライトコモリグモ Trechaleidae サシアシグモ科 327.Shinobius orientalis (Yaginuma 1967) シノビグモ Pisauridae キシダグモ科 328.Dolomedes pallitarsis Dönitz & Strand 1906 スジブトハシリグモ 329.Dolomedes raptor Bös. & Str. 1906 アオグロハシリグモ 330.Dolomedes saganus Bös. & Str. 1906 スジアカハシリグモ 331.Dolomedes sulfureus L. Koch 1878 イオウイロハシリグモ 332.Perenethis fascigera (Bös. & Str. 1906) ハヤテグモ 笠岡市・玉野市・備前市 333.Pisaura lama Bös. & Str. 1906 アズマキシダグモ Oxyopidae ササグモ科 334.Oxyopes koreanus Paik 1969 コウライササグモ 新見市・備前市 335.Oxyopes licenti Schenkel 1953 クリチャササグモ 336.Oxyopes sertatus L. Koch 1878 ササグモ Zoridae ミヤマシボグモ科 337.Zora spinimana (Sundevall 1833) シボグモモドキ Ctenidae シボグモ科 338.Anahita fauna Karsch 1879 シボグモ Agelenidae タナグモ科 339.Agelena labyrinthica (Clerck 1757) イナズマクサグモ 340.Agelena silvatica Oliger 1983 クサグモ 341.Allagelena opulenta (L. Koch 1878) コクサグモ 342.Tegenaria domestica (Clerck 1757) イエタナグモ Cybaeidae ナミハグモ科 343.Cybaeus hibaensis Ihara 1994 ヒバナミハグモ 344.Cybaeus hiroshimaensis Ihara 1993 アキコガタナミハグモ 井原市 345.Cybaeus jinsekiensis Ihara 2006 高梁市・新見市(Ihara 2006) 72 ジンセキナミハグモ 346.Cybaeus nipponicus (Uyemura 1938) カチドキナミハグモ 347.Cybaeus nojimai Ihara 1993 ノジマコガタナミハグモ 348.Cybaeus okayamaensis Ihara 1993 キビコガタナミハグモ 349.Cybaeus tottoriensis Ihara 1994 イナバナミハグモ 350.Cybaeus tsurusakii Ihara 1993 イズモコガタナミハグモ 351.Cybaeus yoshiakii Yaginuma 1968 ヨシアキナミハグモ 352.Dolichocybaeus ashikitaensis Komatsu 1968 アシキタナミハグモ 353.Dolichocybaeus bitchuensis (Ihara & Nojima 2004) ビッチュウナミハグモ 354.Dolichocybaeus daisen (Ihara & Nojima 2004) ダイセンナミハグモ 355.Dolichocybaeus mimasaka (Ihara & Nojima 2005)ミマサカナミハグモ 356.Dolichocybaeus momotaro (Ihara & Nojima 2005) ビゼンナミハグモ Desidae ウシオグモ科 357.Badumna insignis (L.Koch 1872) クロガケジグモ 倉敷市 358.Badumna longinqua (L.Koch 1867) ハルカガケジグモ 岡山市 359.Paratheuma shirahamaensis (Oi 1960) イソタナグモ Hahniidae ハタケグモ科 360.Hahnia corticicola Bös. & Str. 1906 ハタケグモ 361.Hahnia pinicola Arita 1978 アカマツハタケグモ 津山市 362.Neoantistea quelpartensis Paik 1958 ヤマハタケグモ 新見市・美作市 Dictynidae ハグモ科 363.Brommella punctosparsa (Oi 1957) ナシジカレハグモ 364.Cicurina japonica (Simon 1886) コタナグモ 岡山市・倉敷市・津山市・備前市・奈義町 365.Dictyna arundinacea (Linnaeus 1758) アシハグモ 366.Dictyna felis Bös. & Str. 1906 ネコハグモ 岡山市・笠岡市 367.Dictyna foliicola Bös. & Str. 1906 ヒナハグモ 368.Lathys annulata Bösenerg & Strand 1906 カレハグモ 369.Lathys maculosa (Karsch 1879) ヤマトカレハグモ 岡山市・笠岡市・倉敷市・津山市 370.Lathys sexoculata Seo & Sohn 1984 ムツメカレハグモ Amaurobiidae ガケジグモ科 73 371.Coelotes antri (Komatsu 1961) ホラズミヤチグモ 372.Coelotes decolor Nishikawa 1973 ウスイロヤチグモ 373.Coelotes eharai Arita 1976 ダイセンヤチグモ 津山市・美作市・西粟倉村 374.Coelotes exitialis L. Koch 1878 ヤチグモ 375.Coelotes hiratsukai Arita 1976 コヤチグモ 高梁市・津山市・新見市・真庭市・美作市・吉備中央町・奈義町・ 美咲町・新庄村・西粟倉村 376.Coelotes inabaensis Arita 1974 イナバヤチグモ 377.Coelotes micado Strand 1907 ミカドヤチグモ 高梁市 378.Coelotes personatus Nishikawa 1973 カメンヤチグモ 379.Coelotes tarumii Arita 1976 ヒメヤチグモ 井原市・岡山市・高梁市・津山市・新見市・吉備中央町 380.Coelotes yaginumai Nishikawa 1972 カミガタヤチグモ 381.Iwogumoa insidiosa (L. Koch 1878) シモフリヤチグモ 382.Iwogumoa interuna (Nishikawa 1977) ヒメシモフリヤチグモ 383.Pireneitega luctuosa (L. Koch 1878) メガネヤチグモ 384.Taira flavidorsalis (Yaginuma 1964) セスジガケジグモ 385.Tegecoelotes corasides (Bös. & Str. 1906) ヤマヤチグモ 386.Tegeocelotes michikoae (Nishikawa 1977) ヒメヤマヤチグモ 岡山市・笠岡市・高梁市・津山市・新見市・美作市・久米南町・美咲町 Titanoecidae ヤマトガケジグモ科 387.Nurscia albofasciata (Strand 1907) ヤマトガケジグモ Miturgidae ツチフクログモ科 388.Cheiracanthium erraticum (Walckenaer 1802) アカスジコマチグモ 総社市 389.Cheiracanthium eutittha Bös. & Str. 1906 アシナガコマチグモ 390.Cheiracanthium japonicum Bös. & Str. 1906 カバキコマチグモ 391.Cheiracanthium lascivum Karsch 1879 ヤマトコマチグモ 392.Cheiracanthium unicum Bös. & Str. 1906 ヤサコマチグモ Anyphaenidae イヅツグモ科 393.Anyphaena ayshides Yaginuma 1958 ナガイヅツグモ 久米南町・奈義町・美咲町 394.Anyphaena pugil Karsch 1879 イヅツグモ Liocranidae ウエムラグモ科 395.Agroeca kamurai Hayashi 1992 74 カムラタンボグモ 美作市 396.Itatsina praticola (Bös. & Str. 1906) イタチグモ Clubionidae フクログモ科 397.Clubiona amurensis Mikhailov 1990 キタフクログモ 398.Clubiona corrugata Bös. & Str. 1906 コフクログモ 浅口市・岡山市・笠岡市・倉敷市・瀬戸内市・総社市・玉野市 399.Clubiona deletrix O. P.-Cambridge 1885 マダラフクログモ 岡山市・笠岡市・玉野市 400.Clubiona diversa O. P.-Cambridge 1862 ミチノクフクログモ 岡山市・笠岡市・倉敷市・瀬戸内市・総社市・玉野市・鏡野町 吉備中央町 401.Clubiona iharai Ono 1995 イハラフクログモ 津山市・新見市・真庭市 402.Clubiona japonica L. Koch 1878 ヤマトフクログモ 403.Clubiona japonicola Bös. & Str. 1906 ハマキフクログモ 404.Clubiona jucunda (Karsch 1879) ヤハズフクログモ 405.Clubiona kumadaorum Ono 1992 クマダフクログモ 津山市・真庭市・鏡野町・吉備中央町 406.Clubiona kurilensis Bös. & Str. 1906 ヒメフクログモ 407.Clubiona kurosawai Ono 1986 クロサワフクログモ 408.Clubiona lena Bös. & Str. 1906 トビイロフクログモ 409.Clubiona mandschurica Schenkel 1953 ニシカゼフクログモ 鏡野町 410.Clubiona phragmitis C. L. Koch 1843 ミギワフクログモ 411.Clubiona pseudogermanica Schenkel 1936 カギフクログモ 笠岡市・倉敷市・玉野市 412.Clubiona rostrata Paik 1985 マイコフクログモ 岡山市・笠岡市・総社市・津山市・備前市・鏡野町・吉備中央町 勝央町・奈義町・矢掛町 413.Clubiona uenoi Ono 1986 ウエノフクログモ 津山市・真庭市・鏡野町・奈義町・西粟倉村 414.Clubiona vigil Karsch 1879 ムナアカフクログモ 415.Clubiona yaginumai Hayashi 1989 ヤギヌマフクログモ 津山市・新見市・備前市・美作市・吉備中央町 416.Clubiona zilla Dönitz & Strand 1906 ウコンフクログモ 美作市 Corinnidae ネコグモ科 75 417.Castianeira shaxianensis Gong 1983 オビジガバチグモ 418.Orthobula crucifera Bös. & Str. 1906 オトヒメグモ 419.Otacilia komurai (Yaginuma 1952) コムラウラシマグモ 420.Otacilia vulpes (Kamura 2001) コガネウラシマグモ 備前市 421.Phrurolithus coreanus Paik 1991 キレオビウラシマグモ 422.Phrurolithus labialis Paik 1991 ウスイロウラシマグモ 423.Phrurolithus nipponicus Kishida 1914 ウラシマグモ 424.Phrurolithus pennatus Yaginuma 1967 ヤバネウラシマグモ 425.Phrurolithus sinicus Zhu & Mei 1982 コツブウラシマグモ 426.Trachelas japonicus Bös. & Str. 1906 ネコグモ Zodariidae ホウシグモ科 ドウシグモ 427.Asceua japonica (Bös. & Str. 1906) 高梁市・美咲町 Gnaphosidae ワシグモ科 428.Callilepis schuszteri (Herman 1879) フタホシテオノグモ 429.Cladothela parva Kamura 1991 ヒメチャワシグモ 430.Cladothela unciinsignita (Bös. & Str. 1906) ムナキワシグモ 431.Drassodes serratidens Schenkel 1963 トラフワシグモ 432.Drassyllus sanmenensis Platnick & Song 1986 エビチャヨリメケムリグモ 433.Drassyllus sasakawai Kamura 1987 ヤマヨリメケムリグモ 津山市・鏡野町・奈義町・西粟倉村 434.Drassyllus yaginumai Kamura 1987 ヒメヨリメケムリグモ 435.Gnaphosa kamurai Ovtsharenko Platnick & Song 1992 カワラメキリグモ 岡山市・真庭市 436.Gnaphosa kompirensis Bös. & Str. 1906 メキリグモ 437.Gnaphosa potanini Simon 1895 モリメキリグモ 高梁市・美作市・吉備中央町・勝央町・奈義町 438.Haplodrassus mayumiae Kamura 2007 トカチハイタカグモ 鏡野町 439.Hitobia asiatica (Bös. & Str. 1906) シノノメトンビグモ 440.Kishidaia albimaculata (S.Saito 1934) ヨツボシワシグモ 441.Micaria dives (Lucas 1846) ヒゲナガツヤグモ 442.Micaria japonica Hayashi 1985 ヤマトツヤグモ 真庭市 76 443.Odontodrassus hondoensis (S. Saito 1939) ヤマトフトバワシグモ 444.Phaeocedus braccatus (L.Koch 1866) タソガレトンビグモ 445.Sanitubius anatolicus (Kamura 1989) ナミトンビグモ 新見市・真庭市・美咲町 446.Sergiolus hosiziro (Yaginuma 1960) ホシジロトンビグモ 美咲町 447.Sernokorba pallidipatellis (Bös. & Str. 1906) マエトビケムリグモ 448.Trachyzelotes jaxartensis (Kroneberg 1875) タイリクケムリグモ 岡山市・倉敷市・備前市 449.Zelotes asiaticus (Bös. & Str. 1906) クロチャケムリグモ 450.Zelotes exiguus (Müller & Schenkel 1895) チビケムリグモ 新見市・真庭市・鏡野町・西粟倉村 451.Zelotes potanini Schenkel 1963 ヒロズケムリグモ 玉野市 452.Zelotes tortuosus Kamura 1987 クロケムリグモ 浅口市・笠岡市・倉敷市・真庭市・鏡野町・和気町 Selenopidae アワセグモ科 453.Selenops bursarius Karsch 1879 アワセグモ 津山市・美咲町 Sparassidae アシダカグモ科 454.Heteropoda venatoria (Linnaeus 1767) アシダカグモ 455.Micrommata virescens (Clerck 1758) ツユグモ 456. Sinopoda koreana (Paik 1968) トライコアシダカグモ 久米南町 457.Sinopoda forcipata (Karsch 1881) コアシダカグモ 458.Sinopoda stellatops Jäger & Ono 2002 ヒメアシダカグモ 459.Thelcticopis severa (L. Koch 1875) カマスグモ 瀬戸内市・美作市 Philodromidae エビグモ科 460.Philodromus aureolus (Clerck 1757) コガネエビグモ 461.Philodromus auricomus L. Koch 1878 キンイロエビグモ 462.Philodromus cespitum (Walckenaer 1802) シロエビグモ 463.Philodromus emarginatus (Schrank 1803) キエビグモ 津山市・鏡野町・奈義町 464.Philodromus spinitarsis Simon 1895 キハダエビグモ 465.Philodromus subaureolus Bös. & Str. 1906 アサヒエビグモ 466.Thanatus miniaceus Simon 1880 ヤドカリグモ 77 467.Thanatus nipponicus Yaginuma 1969 ヤマトヤドカリグモ 津山市 468.Tibellus tenellus (L. Koch 1876) シャコグモ Thomisidae カニグモ科 469.Bassaniana decorata (Karsch 1879) キハダカニグモ 470.Boliscus tuberculatus (Simon 1886) イボカニグモ 美咲町 471.Coriarachne fulvipes (Karsch 1879) コカニグモ 笠岡市・和気町 472.Diaea subdola O. P.-Cambridge 1885 コハナグモ 473.Ebelingia kumadai (Ono 1985) クマダハナグモ 474.Ebrechtella tricuspidata (Fabricius 1775) ハナグモ 475.Heriaeus melloteei Simon 1886 アシナガカニグモ 美作市 476.Lysiteles coronatus (Grube 1861) アマギエビスグモ 477.Massuria watari Ono 2002 ワタリカニグモ 吉備中央町 478.Oxytate striatipes L. Koch 1878 ワカバグモ 479.Ozyptila matsumotoi Ono 1988 マツモトオチバカニグモ 総社市 480.Ozyptila nipponica Ono 1985 ニッポンオチバカニグモ 481.Phrynarachne katoi Tikuni 1955 カトウツケオグモ 482.Pistius undulatus Karsch 1879 ガザミグモ 483.Runcinia affinis Simon, 1897 シロスジグモ 484.Synema chikunii Ono 1983 チクニエビスグモ 美作市・西粟倉村 485.Synema globosum (Fabricius 1775) フノジグモ 486.Thomisus labefactus Karsch 1881 アズチグモ 487.Tmarus horvathi Kulczynski 1895 ハナナガトラフカニグモ 吉備中央町 488.Tmarus piger (Walckenaer 1802) トラフカニグモ 489.Tmarus rimosus Paik 1973 セマルトラフカニグモ 490.Xysticus concretus Utochkin 1968 ヤマヤミイロカニグモ 津山市・美作市・奈義町・新庄村・西粟倉村 491.Xysticus croceus Fox 1937 ヤミイロカニグモ 492.Xysticus ephippiatus Simon 1880 カラカニグモ 493.Xysticus hedini Schenkel 1936 クロボシカニグモ 78 494.Xysticus insulicola Bös. & Str. 1906 アズマカニグモ 495.Xysticus kurilensis Strand 1907 チシマカニグモ 新見市 496.Xysticus saganus Bös. & Str. 1906 オオヤミイロカニグモ 497.Xysticus transversomaculatus Bös. & Str. 1906 ヨコフカニグモ 笠岡市 Salticidae ハエトリグモ科 498.Asianellus festivus (L. Koch 1834) ヤマジハエトリ 499.Bristowia heterospinosa Reimoser 1934 マツモトハエトリ 500.Carrhotus xanthogramma (Latreille 1819) ネコハエトリ 501.Euophrys kataokai Ikeda 1996 カタオカハエトリ 502.Evarcha albaria (L. Koch 1878) マミジロハエトリ 503.Evarcha fasciata Seo 1992 マミクロハエトリ 504.Hakka himeshimensis (Dönitz & Strand 1906) イソハエトリ 505.Harmochirus insulanus (Kishida 1914) ウデブトハエトリ 506.Hasarius adansoni (Audouin 1826) アダンソンハエトリ 岡山市・笠岡市 507.Helicius chikunii Logunov & Marusik 1999 チクニハエトリ 笠岡市・瀬戸内市・真庭市 508.Helicius yaginumai Bohdanowicz & Prószynski 1987 ジャバラハエトリ 509.Heliophanus aeneus (Hahn 1831) チビクロハエトリ 510.Heliophanus lineiventris Simon 1868 タカノハエトリ 岡山市・総社市 511.Laufeia aenea Simon 1888 エキスハエトリ 512.Marpissa milleri (Peckham & Peckham1894) オオハエトリ 513.Marpissa pulla (Karsch 1879) ヨダンハエトリ 514.Mendoza canestrinii (Ninni in Canestrini & Pavesi 1868) オスクロハエトリ 515.Mendoza elongata (Karsch 1879) ヤハズハエトリ 516.Mendoza pulchra (Proszynski in Wesołowska 1981) シナノヤハズハエトリ 517.Menemerus fulvus (L. Koch 1878) シラヒゲハエトリ 518.Myrmarachne formicaria (De Geer 1778) タイリクアリグモ 519.Myrmarachne inermichelis Bös. & Str. 1906 ヤサアリグモ 520.Myrmarachne japonica (Karsch 1879) アリグモ 521.Myrmarachne kuwagata Yaginuma 1967 クワガタアリグモ 522.Neon minutus śabka 1985 コガタネオンハエトリ 79 523.Neon ningyo Ikeda 1995 ニンギョウネオンハエトリ 524.Neon nojimai Ikeda 1995 ノジマネオンハエトリ 525.Neon reticulatus (Blackwall 1853) ネオンハエトリ 526.Pancorius crassipes (Karsch 1881) アシブトハエトリ 赤磐市・高梁市・美咲町 527.Phintella abnormis (Bös. & Str. 1906) チャイロアサヒハエトリ 赤磐市・美作市・吉備中央町 528.Phintella arenicolor (Grube 1861) マガネアサヒハエトリ 529.Phintella bifurcilinea (Bös. & Str..1906) キアシハエトリ 530.Phintella linea (Karsch 1879) メガネアサヒハエトリ 531.Phintella versicolor (C. L. Koch 1846) メスジロハエトリ 532.Plexippoides annulipedis (S. Saito 1939) マダラスジハエトリ 533.Plexippoides doenitzi (Karsch 1879) デーニッツハエトリ 534.Plexippus paykulli (Audouin 1826) チャスジハエトリ 535.Plexippus setipes Karsch 1879 ミスジハエトリ 536.Pseudeuophrys erratica (Walckenaer 1826) ヤガタハエトリ 537.Pseudeuophrys iwatensis (Bohdanowicz & Prószyński 1987) イワテハエトリ 538.Pseudicius vulpes (Grube 1861) イナズマハエトリ 539.Rhene albigera (C.L.Koch 1848) ヒメカラスハエトリ 赤磐市・岡山市・倉敷市・瀬戸内市・玉野市・津山市・新見市・真庭市 美作市・久米南町 540.Rhene atrata (Karsch 1881) カラスハエトリ 541.Sibianor japonicus (Logunov, Ikeda & Ono 1997) ヤマトツヤハエトリ 542.Sibianor kochiensis (Bohdanowicz & Prószyński 1987) ナカヒラハエトリ 津山市・新見市・鏡野町・奈義町 543.Sibianor nigriculus (Logunov & Wesołowska 1992) クロツヤハエトリ 544.Sibianor pullus (Bös. & Str. 1906) キレワハエトリ 545.Siler cupreus Simon 1888 アオオビハエトリ 546.Sitticus fasciger (Simon 1880) モンシロコゲチャハエトリ 笠岡市 547.Sitticus penicillatus (Simon 1875) シラホシコゲチャハエトリ 548.Stertinius kumadai Logunov, Ikeda & Ono 1997 コミナミツヤハエトリ 549.Synagelides agoriformis Strand 1906 アメイロハエトリ 550.Talavera ikedai Logunov & Kronestedt 2003 ヒメスジハエトリ 551.Tasa nipponica Bohdanowicz & Prószyński 1987 80 トサハエトリ 552.Yaginumaella striatipes (Grube 1861) ウススジハエトリ 553.Yaginumanis sexdentatus (Yaginuma 1967) ムツバハエトリ 高梁市・新見市・真庭市・奈義町 引用文献 Ihara, Y. 2006. Cybaeus jinsekiensis n. sp., a spider species with protpgynous maturation and mating plugs (Araneae: Cybaeidae). Acta Arachnologica, 55(1): 2944. 岡山県生活環境部自然環境課 2003.岡山県野生生物目録.クモ綱.268-278. 財団法人岡山 県環境保全事業団. 新海明・安藤昭久・谷川明男 2006.県別クモ類分布図 Ver.2006.著者自刊CD. Yoshida, H. 2006. A note on Chrysso vesiculosa (Simon 1895) (Araneae: Theridiidae). Acta Arachnologica, 55(1): 23-24. 81 KISHIDAIA, No.94, Sep. 2008 愛知県産クモ類目録 緒 方 清 人 愛知県産クモ目録を発表するにあたり,池田博明氏,井原庸博士,入江照雄氏, 小野展嗣博士,加村隆英博士、萱嶋泉博士(故),熊田憲一氏,齋藤博氏,新海 栄一氏,田中穂積博士,谷川明男博士,千国安之輔氏(故),Namkung Joon 博 士,西川善朗博士,林俊夫氏,松田まゆみ氏,松本誠治氏,八木沼健夫博士(故), 吉田哉博士には日々ご指導と同定を快く引き受けていただきました.深く感謝申 し上げます.また,標本ならびに資料(画像含む)を提供していただいた,板倉 泰弘氏,大原満枝氏,太田定浩氏,小笠原幸恵氏,緒方潤氏,小鹿亨氏,貝發憲 治氏,木村省吾氏,近藤繁生氏,須賀瑛文氏,杉山時雄氏,鈴木彰氏,徳本洋氏, 長谷川道明氏,初芝伸吾氏,永井均氏,間野隆裕氏,真野徹氏,村上勝氏,矢崎 克彦氏,吉田真博士に心からお礼申し上げます.さらに,新海明氏にはリストの 発表を何回となく勧めていただきました.発表の機会をあたえていただいた新海 明氏にお礼の言葉もありません.目録の校正にあたっては谷川明男博士にお願い をいたしました.さらに,お名前を挙げる事ができなかった日本蜘蛛学会,中部 蜘蛛懇談会,三重蜘蛛談話会の会員諸氏には常日ごろから切磋琢磨の精神を賜り, 浅学な私に多く知恵をいただきました.重ねて深く感謝申し上げます.まだ,同 定の確実性に疑問もありますが,そのつど,校正を重ねて信憑性のある目録にな るように努力したいと思いますので,いっそうのご指導お願いいたします.なお, 科,種名と配列は,「日本産クモ類目録」(谷川 2005)に従いました.最後に なりましたが,大平仁夫博士には,日々の生活のなかでも努力を怠らないように, と常々にご指導を賜っております.この場をお借りして厚くお礼申し上げます. ジグモ科 Atypidae ジグモ Atypus karschi Dönitz 1887 ワスレナグモ Calommata signata Karsch 1879 カネコトタテグモ科 Antrodiaetidae カネコトタテグモ Antrodiaetus roretzi (L. Koch 1878) トタテグモ科 Ctenizidae キシノウエトタテグモ Latouchia swinhoei typica (Kishida 1913) キノボリトタテグモ Ummidia fragaria (Dönitz 1887) 82 イトグモ科 Sicariidae イトグモ Loxosceles rufescens (Dufour 1820) ヤマシログモ科 Scytodidae ユカタヤマシログモ Scytodes thoracica (Latreille 1804) マシラグモ科 Leptonetidae アイチマシラグモ Leptoneta aichiensis Irie & Ono 2007 オガタマシラグモ Leptoneta ogatai Irie & Ono 2007 ヨコフマシラグモ Leptoneta striata Oi 1952 ヤギヌマグモ科 Telemidae ヤマトヤギヌマグモ Telema nipponica (Yaginuma 1972) ユウレイグモ科 Pholcidae オダカユウレイグモ Crossopriza lyoni (Blackwall 1867) ユウレイグモ Pholcus crypticolens Bös. & Str. 1906 イエユウレイグモ Pholcus phalangioides (Fuesslin 1775) ユウレイグモモドキ Smeringopus pallidus (Blackwall 1858) アケボノユウレイグモ Spermophora akebona Komatsu 1961 シモングモ Spermophora senoculata (Duges 1836) エンマグモ科 Segestriidae ミヤグモ Ariadna lateralis (Karsch 1881) コマツエンマグモ Segestria nipponica Kishida 1913 タマゴグモ科 Oonopidae ダニグモ Gamasomorpha cataphracta Karsch 1881 ナルトミダニグモ Ischnothyreus narutomii (Nakatsuji 1942) シャラクダニグモ Opopaea sharakui (Komatsu 1967) オキツハネグモ Orchestina okitui Oi 1958 アカハネグモ Orchestina sanguinea Oi 1955 センショウグモ科 Mimetidae アオグロセンショウグモ Ero cambridgei Kulczyski 1911 センショウグモ Ero japonica Bös. & Str. 1906 ハラビロセンショウグモ Mimetus japonicus Uyemura 1938 オオセンショウグモ Mimetus testaceus Yaginuma 1960 チリグモ科 Oecobiidae チリグモ Oecobius annulipes Lucas 1846 ヒラタグモ Uroctea compactilis L. Koch 1878 ウズグモ科 Uloboridae オウギグモ Hyptiotes affinis Bös. & Str. 1906 マネキグモ Miagrammopes orientalis Bös. & Str. 1906 83 トウキョウウズグモ Octonoba sinensis (Simon 1880) カタハリウズグモ Octonoba sybotides (Bös. & Str. 1906) ウズグモ Octonoba varians (Bös. & Str. 1906) エゾウズグモ Octonoba yesoensis (S. Saito 1934) ホラヒメグモ科 Nesticidae コホラヒメグモ Nesticella brevipes(Yaginuma 1970) チビホラヒメグモ Nesticella mogera Yaginuma 1972 ミカワホラヒメグモ Nesticus mikawanus Yaginuma 1979 ヒメグモ科 Theridiidae ツリガネヒメグモ Achaearanea angulithorax (Bös. & Str. 1906) キヒメグモ Achaearanea asiatica (Bös. & Str. 1906) カグヤヒメグモ Achaearanea culicivola (Bös. & Str. 1906) ヒザブトヒメグモ Achaearanea ferrumequina (Bös. & Str. 1906) ニホンヒメグモ Achaearanea japonica (Bös. & Str. 1906) コンピラヒメグモ Achaearanea kompirensis (Bös. & Str. 1906) キヨヒメグモ Achaearanea oculiprominentis (S. Saito 1939) ハモンヒメグモ Achaearanea simulans(Thorell 1875) オオツリガネヒメグモ Achaearanea tabulata Levi 1980 オオヒメグモ Achaearanea tepidariorum (C. L. Koch 1841) アシブトヒメグモ Anelosimus crassipes (Bös. & Str. 1906) イワワキアシブトヒメグモ Anelosimus iwawakiensis Yoshida 1986 シロカネイソウロウグモ Argyrodes bonadea (Karsch 1881) トビジロイソウロウグモ Argyrodes cylindratus Thorell 1889 フタオイソウロウグモ Argyrodes fur Bös. & Str. 1906 チリイソウロウグモ Argyrodes kumadai Chida & Tanikawa 1999 アカイソウロウグモ Argyrodes miniaceus (Doleschall 1867) ツノナガイソウロウグモ Argyrodes nipponicus Kumada 1990 オナガグモ Ariamnes cylindrogaster (Simon 1888) ヨツコブヒメグモ Chrosiothes sudabides (Bös. & Str. 1906) ギボシヒメグモ Chrysso albipes (S.Saito 1935) オダカグモ Chrysso argyrodiformis (Yaginuma 1952) ホシミドリヒメグモ Chrysso foliata (L.Koch 1878) コガネヒメグモ Chrysso scintillans (Thorell 1895) ヒシガタヒメグモ Chrysso vesiculosa (Simon 1894) サヤヒメグモ Coleosoma blandum O. P.-Cambridge 1882 ヤホシサヤヒメグモ Coleosoma octomaculatum (Bös. & Str. 1906) トガリクサチヒメグモ Coscinida japonica Yoshida 1994 84 シラホシオオノヒメグモ Crustulina guttata (Wider 1834) シモフリミジングモ Dipoena punctisparsa Yaginuma 1967 カレハヒメグモ Enoplognatha abrupta (Karsch 1879) シロタマヒメグモ Enoplognatha margarita Yaginuma 1964 ヤマトコノハグモ Enoplognatha tecta (Keyserling 1884) ヒシガタグモ Episinus affinis Bös. & Str. 1906 ムラクモヒシガタグモ Episinus nubilus Yaginuma 1960 サトヒメグモ Keijia mneon (Bös. & Str. 1906) ムナボシヒメグモ Keijia sterninotata (Bös. & Str. 1906) アイチミジングモ Lasaeloa prona (Menge 1868) ハイイロゴケグモ Latrodectus geometricus (C.L.Koch 1841) ハラナガヒシガタグモ Moneta caudifer Dönitz & Strand 1906) ハイイロヒメグモ Paidiscura subpallens (Bös. & Str. 1906) ハラダカツクネグモ Phoroncidia altiventris Yoshida 1985 ツクネグモ Phoroncidia pilula (Karsch 1879) ヒゲナガヤリグモ Rhomphaea labiata (Zhu & Song 1991) ヤリグモ Rhomphaea sagana (Dönitz & Strand 1906) タカネヒメグモ Rugathodes nigrolimbata (Yaginuma 1972) クロマルイソウロウグモ Spheropistha melanosoma (Yaginuma 1957) ゴマダラヒメグモ Steatoda albomaculata (De Geer 1778) ハンゲツオスナキグモ Steatoda cingulata (Thorell 1890) ナナホシヒメグモ Steatoda erigoniformis (O. P.-Cambridge 1872) シロホシヒメグモ Steatoda grossa (C. L. Koch 1838) マダラヒメグモ Steatoda triangulosa (Walckenaer 1802) スネグロオチバヒメグモ Stemmops nipponicus Yaginuma 1969 バラギヒメグモ Takayus chikunii (Yaginuma 1960) ヒロハヒメグモ Takayus latifolius (Yaginuma 1960) シモフリヒメグモ Takayus lyricus (Walckenaer 1841) コケヒメグモ Takayus subadultus (Bös. & Str. 1906) タカユヒメグモ Takayus takayensis (S. Saito 1939) ユノハマヒメグモ Takayus yunohamensis (Bös. & Str. 1906) ムネグロヒメグモ Theridion pinastri L. Koch 1872 クロササヒメグモ Thymoites okumae (Yoshida 1988) アマミミジングモ Trigonobothrys amamiensis (Yoshida 1985) キベリミジングモ Trigonobothrys flavomarginata (Bös. & Str. 1906) ヤマトミジングモ Trigonobothrys japonica (Yoshida 1985) カニミジングモ Trigonobothrys mustelina (Simon 1888) 85 ボカシミジングモ Yaginumena castrata (Bös. & Str. 1906) マダラミジングモ Yaginumena maculosa (Yoshida & Ono 2000) コアカクロミジングモ Yaginumena mutilata (Bös. & Str. 1906) カラカラグモ科 Theridiosomatidae ヤマジグモ Ogulnius pullus Bös. & Str. 1906 カラカラグモ Theridiosoma epeiroides Bös. & Str. 1906 ナルコグモ Wendilgarda sp. ユアギグモ科 Symphytognathidae ユアギグモ Patu sp. ヨリメグモ科 Anapidae ヨロイヒメグモ Comaroma maculosum Oi 1960 ヨリメグモ Conoculus lyugadinus Komatsu 1940 コツブグモ科 Mysmenidae ヤマトコツブグモ Mysmenella ogatai Ono 2007 ナンブコツブグモ Mysmenella jobi (Kraus 1967) ピモサラグモ科 Pimoidae アシヨレグモ Labulla contortipes (Karsch 1881) サラグモ科 Linyphiidae クロケシグモ Agyneta nigra (Oi 1960) コサラグモ Aprifrontalia mascula (Karsch 1879) ロクショヤミサラグモ Arcuphantes digitatus H.Saito 1992 ザラアカムネグモ Asperthorax communis Oi 1960 ヒメウスイロサラグモ Asthenargus matsudae Saito & Ono 2001 ニホンウスイロサラグモ Asthenargus niphonius Saito & Ono 2001 ダイセツテナガグモ Bathyphantes gracilis (Blackwall 1841) クロテナガグモ Bathyphantes robustus Oi 1960 タテヤマテナガグモ Bathyphantes tateyamaensis (Oi 1960) ヨドテナガグモ Bathyphantes yodoensis Oi 1960 マルサラグモ Centromerus sylvaticus (Blackwall 1841) チビクロマルハラカタグモ Ceratinella brevis (Wider 1834) ハラジロムナキグモ Diplocephaloides saganus (Bös. & Str. 1906) デーニッツサラグモ Doenitzius peniculus Oi 1960 コデーニッツサラグモ Doenitzius pruvus Oi 1960 ナニワナンキングモ Eperigone naniwaense (Oi 1960) マルムネヒザグモ Erigone edentata Saito & Ono 2001 カワリノコギリグモ Erigone koshiensis Oi 1960 ノコギリヒザグモ Erigone prominens Bös. & Str. 1906 86 ハナサラグモ Floronia exornata (L.Koch 1878) ニセアカムネグモ Gnathonarium exsiccatum (Bös. & Str. 1906) アリマケズネグモ Gonatium arimaense Oi 1960 ヤマトケズネグモ Gonatium japonicum Simon 1894 ズキンヌカグモ Gongylidioides cucullatus Oi 1960 カイホツズキンヌカグモ Gongylidioides kaihotsui Saito & Ono 2001 キヌキリグモ Herbiphantes cericeus (S. Saito 1934) キノボリキヌキリグモ Herbiphantes longiventris Tanasevitch 1992 アズミヤセサラグモ Himalaphantes azumiensis (Oi 1980) クロナンキングモ Hylyphantes graminicola (Sundevall 1830) クボミケシグモ Lepthyphantes concavus (Oi 1960) ヒムロホソサラグモ Lepthyphantes himuronsi H.Saito 1993 コアカサナダグモ Nematogmus rutilus Oi 1960 チビアカサラグモ Nematogmus sanguinolentus (Walckenaer 1837) ズダカサラグモ Nematogmus stylitus (Bös. & Str. 1906) ヤガスリサラグモ Neolinyphia albolimbata (Karsch 1879) ハンモックサラグモ Neolinyphia angulifera (Schenkel 1953) チビサラグモ Neriene brongersmai (Helsdingen 1969) コウシサラグモ Neriene clathrata (Sundevall 1830) クスミサラグモ Neriene fusca (Oi 1960) ツリサラグモ Neriene japonica (Oi 1960) フタスジサラグモ Neriene limbatinella (Bös. & Str. 1906) アシナガサラグモ Neriene longipedella (Bös. & Str. 1906) コシロブチサラグモ Neriene marginella (Oi 1960) ヤマジサラグモ Neriene montata (Clerck 1758) ムネグロサラグモ Neriene nigripectoides (Oi 1960) ヘリジロサラグモ Neriene oidedicata (Helsdingen 1969) シロブチサラグモ Neriene radiata (Wakckenaer 1841) ハシグロナンキングモ Neserigone nigriterminorum (Oi 1960) マダラナンキングモ Neserigone torquipalpis (Oi 1960) ナナメケシグモ Nippononeta obliqua (Oi 1960) オガタニッポンケシグモ Nippononeta ogatai Ono & H.Saito 2001 ゴカクケシグモ Nippononeta pentagona (Oi 1960) ツノケシグモ Nippononeta projecta (Oi 1960) ツメケシグモ Nippononeta ungulata (Oi 1960) ホウライケシグモ Nippononeta xiphoidea Ono & H.Saito 2001 ヌカグモ Oedothorax bipunctis Bös. & Str. 1906 87 イマダテテングヌカグモ Oia imadatei (Oi 1964) アバタムナキグモ Orientopus yodoense (Oi 1960) スソグロサラグモ Ostearius melanopygius (O. P.-Cambridge 1879) テングヌカグモ Paikiniana mira (Oi 1960) コテングヌカグモ Paikiniana vulgaris (Oi 1960) ナラヌカグモ Parhypomma naraensis (Oi 1960) ホソテゴマグモ Pseudomicrargus acuitegulatus (Oi 1960) アサカワゴマグモ Pseudomicrargus asakawaensis (Oi 1964) ヒロテゴマグモ Pseudomicrargus latitegulatus (Oi 1960) ヤマトオオイヤマケシグモ Ryojius japonicus Saito & Ono 2001 カワグチココヌカグモ Saitonia kawaguchikonus Saito & Ono 2001 ミノブコヌカグモ Saitonia ojiroensis (H.Saito 1990) ズナガヌカグモ Savignia kawachiensis Oi 1960 アリマネグモ Solenysa mellottei Simon 1894 ヨツボシサラグモ Strandella quadrimacurata (Uyemura 1937) ヒメヨツボシサラグモ Strandella yaginumai H. Saito 1982 オオイオリヒメサラグモ Syedra oii H. Saito 1983 ナンキンヌカグモ Tmeticus neserigonoides Saito & Ono 2001 ユノハマサラグモ Turinyphia yunohamensis (Bös. & Str. 1906) アトグロアカムネグモ Ummeliata feminea (Bös. & Str. 1906) セスジアカムネグモ Ummeliata insecticeps (Bös. & Str. 1906) オオサカアカムネグモ Ummeliata osakaensis (Oi 1960) カントウヒゲヌカグモ Walckenaeria orientalis (Oliger 1985) アシナガグモ科 Tetragnathidae オオクマヒメドヨウグモ Diphya okumae Tanikawa 1995 ヨツボシヒメアシナガグモ Dyschiriognatha quadrimaculata Bös.&Str. 1906 ヒメアシナガグモ Dyschiriognatha tenera (Karsch 1879) オオシロカネグモ Leucauge magnifica Yaginuma 1954 コシロカネグモ Leucauge subblanda Bös. & Str. 1906 キララシロカネグモ Leucauge subgemmea Bös. & Str. 1906 キンヨウグモ Menosira ornata Tikuni 1955 ヤマジドヨウグモ Meta reticuloides Yaginuma 1958 チクニドヨウグモ Metleucauge chikunii Tanikawa 1992 タニマノドヨウグモ Metleucauge kompirensis (Bös. & Str. 1906) メガネドヨウグモ Metleucauge yunohamensis (Bös. & Str. 1906) ササキグモ Okileucauge sasakii Tanikawa 2001 トガリアシナガグモ Tetragnatha caudicula (Karsch 1879) 88 ハラビロアシナガグモ Tetragnatha extensa (Linnaeus 1758) キヌアシナガグモ Tetragnatha lauta Yaginuma 1959 ヤサガタアシナガグモ Tetragnatha maxillosa Thorell 1895 ヒカリアシナガグモ Tetragnatha nitens (Audouin 1827) ミドリアシナガグモ Tetragnatha pinicola L. Koch 1870 アシナガグモ Tetragnatha praedonia L. Koch 1878 シナノアシナガグモ Tetragnatha shinanoensis Okuma & Chikuni 1978 ウロコアシナガグモ Tetragnatha squamata Karsch 1879 シコクアシナガグモ Tetragnatha vermiformis Emerton 1884 エゾアシナガグモ Tetragnatha yesoensis S. Saito 1934 ジョロウグモ科 Nephilidae ジョロウグモ Nephila clavata L. Koch 1878 コガネグモ科 Araneidae ハツリグモ Acusilas coccineus Simon 1895 キジロオヒキグモ Arachnura logio Yaginuma 1956 キザハシオニグモ Araneus abscissus (Karsch 1879) オオクマヤミイロオニグモ Araneus acusisetus Zhu & Song 1994 ナカムラオニグモ Araneus cornutus Clerck 1758 ヌサオニグモ Araneus ejusmodi (Bös. & Str. 1906) ヤミイロオニグモ Araneus fuscocoloratus (Bös. & Str. 1906) イシサワオニグモ Araneus ishisawai Kishida 1928 ヤエンオニグモ Araneus macacus Uyemura 1961 ビジョオニグモ Araneus mitificus (Simon 1886) マメオニグモ Araneus nojimai Tanikawa 2001 オガタオニグモ Araneus ogatai Tanikawa 2001 アオオニグモ Araneus pentagrammicus (Karsch 1879) マルコブオニグモ Araneus rotundicornis Yaginuma 1972 マルヅメオニグモ Araneus semilunaris (Karsch 1879) コケオニグモ Araneus seminiger (L.Koch 1878) カラオニグモ Araneus tsurusakii Tanikawa 2001 ヤマオニグモ Araneus uyemurai Yaginuma 1960 ニシキオニグモ Araneus variegatus Yaginuma 1960 オニグモ Araneus ventricosus (L. Koch 1878) ハラビロミドリオニグモ Araneus viridiventris Yaginuma 1969 ムツボシオニグモ Araniella yaginumai Tanikawa 1995 コガネグモ Argiope amoena L. Koch 1878 チュウガタコガネグモ Argiope boesenbergi Levi 1983 89 ナガコガネグモ Argiope bruennichii (Scopoli 1772) コガタコガネグモ Argiope minuta Karsch 1879 ヤマトカナエグモ Chorizopes nipponicus Yaginuma 1963 ギンメッキゴミグモ Cyclosa argenteoalba Bös. & Str. 1906 カラスゴミグモ Cyclosa atrata Bös. & Str. 1906 ギンナガゴミグモ Cyclosa ginnaga Yaginuma 1959 カギヅメカラスゴミグモ Cyclosa hamulata Tanikawa 1992 ヤマトゴミグモ Cyclosa japonica Bös. & Str. 1906 クマダギンナガゴミグモ Cyclosa kumadai Tanikawa 1992 キジロゴミグモ Cyclosa laticauda Bös. & Str. 1906 ヤマゴミグモ Cyclosa monticola Bös. & Str. 1906 ゴミグモ Cyclosa octotuberculata Karsch 1879 オノゴミグモ Cyclosa onoi Tanikawa 1992 ヨツデゴミグモ Cyclosa sedeculata Karsch 1879 マルゴミグモ Cyclosa vallata Keyserling 1886 トリノフンダマシ Cyrtarachne bufo (Bös. & Str. 1906) オオトリノフンダマシ Cyrtarachne inaequalis Thorell 1895 シロオビトリノフンダマシ Cyrtarachne nagasakiensis Strand 1918 アカイロトリノフンダマシ Cyrtarachne yunoharuensis Strand 1918 スズミグモ Cyrtophora moluccensis (Doleschall 1857) カラフトオニグモ Eriophora sachalinensis (S. Saito 1934) サガオニグモ Eriophora sagana (Bös. & Str. 1906) トガリオニグモ Eriovixia pseudocentrodes (Bös. & Str. 1906) トゲグモ Gasteracantha kuhlii C. L. Koch 1837 ヨツボシショウジョウグモ Hypsosinga pygmaea (Sundevall 1831) シロスジショウジョウグモ Hypsosinga sanguinea (C. L. Koch 1844) コガネグモダマシ Larinia argiopiformis Bös. & Str. 1906 ムネグロコガネグモダマシ Larinia onoi Tanikawa 1989 ゴマジロオニグモ Mangora herbeoides (Bös. & Str. 1906) ドヨウオニグモ Neoscona adianta (Walckenaer 1802) ワキグロサツマノミダマシ Neoscona mellotteei (Simon 1895) イエオニグモ Neoscona nautica (L. Koch 1875) コゲチャオニグモ Neoscona punctigera (Doleschall 1857) ヤマシロオニグモ Neoscona scylla (Karsch 1879) サツマノミダマシ Neoscona scylloides (Bös. & Str. 1906) ヘリジロオニグモ Neoscona subpullata (Bös. & Str. 1906) ホシスジオニグモ Neoscona theisi (Walckenaer 1841) 90 マメイタイセキグモ Ordgarius hobsoni (O. P.-Cambridge 1877) ムツトゲイセキグモ Ordgarius sexspinosus (Thorell 1894) ツシマトリノフンダマシ Paraplectana tsushimensis Yamaguchi 1960 ワクドツキジグモ Pasilodus bufoninus (Simon 1867) ゲホウグモ Poltys illepidus C. L. Koch 1843 コオニグモモドキ Pronous minutus (S. Saito 1939) ナガテオニグモ Singa hamata (Clerck 1758) ズグロオニグモ Yaginumia sia (Strand 1906) コモリグモ科 Lycosidae ハタチコモリグモ Alopecosa moriutii Tanaka 1985 カガリビコモリグモ Arctosa depectinata (Bös. & Str. 1906) エビチャコモリグモ Arctosa ebicha Yaginuma 1960 フジイコモリグモ Arctosa fujiii Tanaka 1985 ヒノマルコモリグモ Arctosa japonica (Simon 1888) カワベコモリグモ Arctosa kawabe Tanaka 1985 クロココモリグモ Arctosa subamylacea (Bös. & Str. 1906) シッチコモリグモ Hygrolycosa umidicola Tanaka 1978 ハラクロコモリグモ Lycosa coelestis L. Koch 1878 イナダハリゲコモリグモ Pardosa agraria Tanaka 1985 ウヅキコモリグモ Pardosa astrigera L. Koch 1878 ヤマハリゲコモリグモ Pardosa brevivulva Tanaka 1975 ハタハリゲコモリグモ Pardosa diversa Tanaka 1985 イサゴコモリグモ Pardosa isago Tanaka 1977 ハリゲコモリグモ Pardosa laura Karsch 1879 カコウコモリグモ Pardosa nojimai Tanaka 1998 キクヅキコモリグモ Pardosa pseudoannulata (Bös. & Str. 1906) キシベコモリグモ Pardosa yaginumai Tanaka 1977 テジロハリゲコモリグモ Pardosa yamanoi Tanaka & Suwa 1986 クラークコモリグモ Pirata clercki (Bös. & Str. 1906) ミナミコモリグモ Pirata meridionalis Tanaka 1974 カイゾクコモリグモ Pirata piraticus (Clerck 1758) イモコモリグモ Pirata piratoides (Bös. & Str. 1906) チビコモリグモ Pirata procurvus (Bös. & Str. 1906) キバラコモリグモ Pirata subpiraticus (Bös. & Str. 1906) コガタコモリグモ Pirata tanakai Brignoli 1983 ナミコモリグモ Pirata yaginumai Tanaka 1974 ナガズキンコモリグモ Trochosa aquatica Tanaka 1985 91 アライトコモリグモ Trochosa ruricola (De Geer 1778) モリコモリグモ Xerolycosa nemoralis (Westring 1861) サシアシグモ科 Trechaleidae シノビグモ Shinobius orientalis (Yaginuma 1967) キシダグモ科 Pisauridae スジボソハシリグモ Dolomedes angustivirgatus Kishida 1936 ババハシリグモ Dolomedes fontus Tanikawa & Miyashita 2008 スジブトハシリグモ Dolomedes pallitarsis Dönitz & Strand 1906 アオグロハシリグモ Dolomedes raptor Bös. & Str. 1906 スジアカハシリグモ Dolomedes saganus Bös. & Str. 1906 イオウイロハシリグモ Dolomedes sulfureus L. Koch 1878 ハヤテグモ Perenethis fascigera (Bös. & Str. 1906) アズマキシダグモ Pisaura lama Bös. & Str. 1906 ササグモ科 Oxyopidae コウライササグモ Oxyopes koreanus Paik 1969 クリチャササグモ Oxyopes licenti Schenkel, 1953 ササグモ Oxyopes sertatus L. Koch 1878 スオウグモ科 Zoropsidae ムロズミソレグモ Takeoa nishimurai (Yaginuma 1963) シボグモ科 Ctenidae シボグモ Anahita fauna Karsch 1879 タナグモ科 Agelenidae イナズマクサグモ Agelena labyrinthica (Clerck 1758) クサグモ Agelena limbata Thorell 1879 コクサグモ Agelena opulenta L. Koch 1878 ナミハグモ科 Cybaeidae エンシュウナミハグモ Cybaeus enshu T.Kobayashi 2006 キリガミネナミハグモ Cybaeus kirigaminensis Komatsu 1963 カチドキナミハグモ Cybaeus nipponicus (Uyemura 1938) イナバナミハグモ Cybaeus tottoriensis Ihara 1994 ミヤマナミハグモ Cybaeus monticolus T.Kobayashi 2006 ヨシアキナミハグモ Cybaeus yoshiakii Yaginuma 1968 ウシオグモ科 Desidae クロガケジグモ Badumna insignis (L.Koch 1872) ハルカガケジグモ Badumna longinqua (L.Koch 1867) ハタケグモ科 Hahniidae ハタケグモ 92 Hahnia corticicola Bös. & Str. 1906 ヤマハタケグモ Neoantistea quelpartensis Paik 1958 ハグモ科 Dictynidae コタナグモ Cicurina japonica (Simon 1886) アシハグモ Dictyna arundinacea (Linnaeus 1758) ネコハグモ Dictyna felis Bös. & Str. 1906 ヒナハグモ Dictyna foliicola Bös. & Str. 1906 ヤマトカレハグモ Lathys maculosa (Karsch 1879) ムツメカレハグモ Lathys sexoculata Seo & Sohn 1984 ガケジグモ科 Amaurobiidae セスジガケジグモ Amaurobius flavidorsalis Yaginuma 1964 ホラズミヤチグモ Coelotes antri (Komatsu 1961) ヤマヤチグモ Coelotes corasides (Bös. & Str. 1906) ウスイロヤチグモ Coelotes decolor Nishikawa 1973 ヤチグモ Coelotes exitialis L. Koch 1878 シモフリヤチグモ Coelotes insidiosus L. Koch 1878 ヒメシモフリヤチグモ Coelotes interunus Nishikawa 1977 メガネヤチグモ Coelotes luctuosus L. Koch 1878 カメンヤチグモ Coelotes personatus Nishikawa 1973 チュウブヤチグモ Coelotes satoi Nishikawa 2003 カミガタヤチグモ Coelotes yaginumai Nishikawa 1972 ヤマトガケジグモ科 Titanoecidae ヤマトガケジグモ Nurscia albofasciata Strand 1907 ツチフクログモ科 Miturgidae アシナガコマチグモ Cheiracanthium eutittha Bös. & Str. 1906 カバキコマチグモ Cheiracanthium japonicum Bös. & Str. 1906 ヤマトコマチグモ Cheiracanthium lascivum Karsch 1879 ヤサコマチグモ Cheiracanthium unicum Bös. & Str. 1906 イヅツグモ科 Anyphaenidae ナガイヅツグモ Anyphaena ayshides Yaginuma 1958 イヅツグモ Anyphaena pugil Karsch 1879 ウエムラグモ科 Liocranidae コウライタンボグモ Agroeca coreana Namkung 1989 カムラタンボグモ Agroeca kamurai Hayashi 1992 イタチグモ Itatsina praticola (Bös. & Str. 1906) フクログモ科 Clubionidae コフクログモ Clubiona corrugata Bös. & Str. 1906 マダラフクログモ Clubiona deletrix O. P.-Cambridge 1885 93 ミチノクフクログモ Clubiona diversa O. P.-Cambridge 1862 イナフクログモ Clubiona inaensis Hayashi 1989 ヤマトフクログモ Clubiona japonica L. Koch 1878 ハマキフクログモ Clubiona japonicola Bös. & Str. 1906 ヤハズフクログモ Clubiona jucunda (Karsch 1879) ヒメフクログモ Clubiona kurilensis Bös. & Str. 1906 クロサワフクログモ Clubiona kurosawai Ono 1986 トビイロフクログモ Clubiona lena Bös. & Str. 1906 オガタフクログモ Clubiona ogatai Ono 1995 カギフクログモ Clubiona pseudogermanica Schenkel 1936 マイコフクログモ Clubiona rostrata Paik 1985 ウエノフクログモ Clubiona uenoi Ono1986 ムナアカフクログモ Clubiona vigil Karsch 1879 ヤギヌマフクログモ Clubiona yaginumai Hayashi 1989 ウコンフクログモ Clubiona zilla Dönitz & Strand 1906 ネコグモ科 Corinnidae オビジガバチグモ Castianeira shaxianensis Gong 1983 ネコグモ Trachelas japonicus Bös. & Str. 1906 オトヒメグモ Orthobula crucifera Bös. & Str. 1906 イナズマウラシマグモ Phrurolithus claripes (Dönitz & Strand 1906) キレオビウラシマグモ Phrurolithus coreanus Paik 1991 コムラウラシマグモ Phrurolithus komurai Yaginuma 1952 ウラシマグモ Phrurolithus nipponicus Kishida 1914 ヤバネウラシマグモ Phrurolithus pennatus Yaginuma 1967 ワシグモ科 Gnaphosidae フタホシテオノグモ Callilepis schuszteri (Herman 1879) チャクロワシグモ Cladothela oculinotata (Bös. & Str. 1906) ムナキワシグモ Cladothela unciinsignita (Bös. & Str. 1906) トラフワシグモ Drassodes serratidens Schenkel 1963 エビチャヨリメケムリグモ Drassyllus sanmenensis Platnick & Song 1986 ヤマヨリメケムリグモ Drassyllus sasakawai Kamura 1987 ヒメヨリメケムリグモ Drassyllus yaginumai Kamura 1987 カワラメキリグモ Gnaphosa kamurai Ovtsharenko, Platnick & Song 1992 メキリグモ Gnaphosa kompirensis Bös. & Str. 1906 シノノメトンビグモ Hitobia asiatica (Bös. & Str. 1906) ヨツボシワシグモ Kishidaia albimaculata (S.Saito 1934) ヒゲナガツヤグモ Micaria dives (Lucas 1846) 94 ヤマトフトバワシグモ Odontodrassus hondoensis (S. Saito 1939) ナミトンビグモ Sanitubius anatolicus (Kamura 1989) ホシジロトンビグモ Sergiolus hosiziro (Yaginuma 1960) マエトビケムリグモ Sernokorba pallidipatellis (Bös. & Str. 1906) タイリクケムリグモ Trachyzelotes jaxartensis (Kroneberg 1875) カバキケムリグモ Urozelotes rusticus (L. Koch 1872) クロチャケムリグモ Zelotes asiaticus (Bös. & Str. 1906) チビケムリグモ Zelotes exiguus (Müller & Schenkel 1895) クロケムリグモ Zelotes tortuosus Kamura 1987 アワセグモ科 Selenopidae アワセグモ Selenops bursarius Karsch 1879 アシダカグモ科 Sparassidae アシダカグモ Heteropoda venatoria (Linnaeus 1758) ツユグモ Micrommata virescens (Clerck 1758) コアシダカグモ Sinopoda forcipata (Karsch 1881) オガタヒメアシダカグモ Sinopoda ogatai Jäger & Ono 2002 カマスグモ Thelcticopis severa (L. Koch 1875) エビグモ科 Philodromidae コガネエビグモ Philodromus aureolus (Clerck 1758) キンイロエビグモ Philodromus auricomus L. Koch 1878 シロエビグモ Philodromus cespitum (Walckenaer 1802) キエビグモ Philodromus flavidus S. Saito 1934 キハダエビグモ Philodromus spinitarsis Simon 1895 アサヒエビグモ Philodromus subaureolus Bös. & Str. 1906 ヤドカリグモ Thanatus miniaceus Simon 1880 ヤマトヤドカリグモ Thanatus nipponicus Yaginuma 1969 スジシャコグモ Tibellus oblongus (Walckenaer 1802) シャコグモ Tibellus tenellus (L. Koch 1876) カニグモ科 Thomisidae キハダカニグモ Bassaniana decorata (Karsch 1879) イボカニグモ Boliscus tuberculatus (Simon 1886) コカニグモ Coriarachne fulvipes (Karsch 1879) コハナグモ Diaea subdola O. P.-Cambridge 1885 アシナガカニグモ Heriaeus mellottei Simon 1886 アマギエビスグモ Lysiteles coronatus (Grube 1861) オオクマエビスグモ Lysiteles okumae Ono 1980 ワタリカニグモ Massuria watari Ono 2002 95 クマダハナグモ Misumenops kumadai Ono 1985 ハナグモ Misumenops tricuspidatus (Fabricius 1775) ワカバグモ Oxytate striatipes L. Koch 1878 マツモトオチバカニグモ Ozyptila matsumotoi Ono 1988 ニッポンオチバカニグモ Ozyptila nipponica Ono 1985 クロスジオチバカニグモ Ozyptila nongae Paik 1974 カトウツケオグモ Phrynarachne katoi Tikuni 1955 ガザミグモ Pistius undulatus Karsch 1879 シロスジグモ Runcinia albostriata Bös. & Str. 1906 チクニエビスグモ Synema chikunii Ono 19833 フノジグモ Synema globosum (Fabricius 1775) ナンゴクフノジグモ Synema nangoku Ono 2003 アズチグモ Thomisus labefactus Karsch 1881 トラフカニグモ Tmarus piger (Walckenaer 1802) セマルトラフカニグモ Tmarus rimosus Paik 1973 ホンクロボシカニグモ Xysticus atrimaculatus Bös. & Str. 1906 ヤミイロカニグモ Xysticus croceus Fox 1937 ヤマヤミイロカニグモ Xysticus dichotomus Paik 1973 カラカニグモ Xysticus ephippiatus Simon 1880 クロボシカニグモ Xysticus hedini Schenkel 1936 アズマカニグモ Xysticus insulicola Bös. & Str. 1906 チシマカニグモ Xysticus kurilensis Strand 1907 オオヤミイロカニグモ Xysticus saganus Bös. & Str. 1906 ヨコフカニグモ Xysticus transversomaculatus Bös. & Str. 1906 オビボソカニグモ Xysticus trizonatus Ono 1988 ハエトリグモ科 Salticidae ヤマジハエトリ Aelurillus festivus (L. Koch 1834) マツモトハエトリ Bristowia heterospinosa Reimoser 1934 ネコハエトリ Carrhotus xanthogramma (Latreille 1819) コゲチャハエトリ Chalcoscirtus fulvus S. Saito 1939 カタオカハエトリ Euophrys kataokai Ikeda 1996 マミジロハエトリ Evarcha albaria (L. Koch 1878) アシブトハエトリ Evarcha crassipes (Karsch 1881) マミクロハエトリ Evarcha fasciata Seo 1992 イソハエトリ Hakka himeshimensis (Dönitz & Strand 1906) ウデブトハエトリ Harmochirus insulanus (Kishida 1914) アダンソンハエトリ Hasarius adansoni (Audouin 1897) 96 チクニハエトリ Helicius chikunii Logunov & Marusik 1999 コジャバラハエトリ Helicius cylindratus (Karsch 1879) ジャバラハエトリ Helicius yaginumai Bohdanowicz & Prószynski 1987 タカノハエトリ Heliophanus lineiventris Simon 1868 エキスハエトリ Laufeia aenea Simon 1888 オオハエトリ Marpissa milleri (Peckham 1894) ヨダンハエトリ Marpissa pulla (Karsch 1879) オスクロハエトリ Mendoza canestrinii (Ninni in Canestrini & Pavesi 1868) ヤハズハエトリ Mendoza elongata (Karsch 1879) キタヤハズハエトリ Mendoza ibarakiensis (Bohdanowicz & Prószyski 1987) シラヒゲハエトリ Menemerus fulvus (L. Koch 1878) タイリクアリグモ Myrmarachne formicaria (De Geer 1778) ヤサアリグモ Myrmarachne inermichelis Bös. & Str. 1906 アリグモ Myrmarachne japonica (Karsch 1879) クワガタアリグモ Myrmarachne kuwagata Yaginuma 1967 キヨトネオンハエトリ Neon kiyotoi Ikeda 1995 コガタネオンハエトリ Neon minutus Zabka 1985 ネオンハエトリ Neon reticulatus (Blackwall 1853) チャイロアサヒハエトリ Phintella abnormis (Bös. & Str. 1906) マガネアサヒハエトリ Phintella arenicolor (Grube 1861) キアシハエトリ Phintella bifurcilinea (Bös. & Str..1906) メガネアサヒハエトリ Phintella linea (Karsch 1879) アサヒハエトリ Phintella parva (Wesolowska 1981) メスジロハエトリ Phintella versicolor (C. L. Koch 1846) マダラスジハエトリ Plexippoides annulipedis (S. Saito 1939) デーニッツハエトリ Plexippoides doenitzi (Karsch 1879) チャスジハエトリ Plexippus paykulli (Audouin 1827) ミスジハエトリ Plexippus setipes Karsch 1879 ヤガタハエトリ Pseudeuophrys erratica (Walckenaer 1825) イワテハエトリ Pseudeuophrys iwatensis (Bohdanowicz & Prószyski 1987) イナズマハエトリ Pseudicius vulpes (Grube 1861) カラスハエトリ Rhene atrata (Karsch 1881) ヒメカラスハエトリ Rhene albigera (Koch 1848) クロツヤハエトリ Sibianor nigriculus (Logunov & Wesolowska 1992) キレワハエトリ Sibianor pullus (Bös. & Str. 1906) キタツヤハエトリ Sibianor aurocinctus (Ohlert 1865) アオオビハエトリ Siler cupreus Simon 1888 97 ヒトリコゲチャハエトリ Sitticus adocator (O.P.-Cambridge1885) モンシロコゲチャハエトリ Sitticus fasciger (Simon 1880) シラホシコゲチャハエトリ Sitticus penicillatus (Simon 1875) コミナミツヤハエトリ Stertinius kumadai Logunov, Ikeda & Ono 1997 アメイロハエトリ Synagelides agoriformis Strand 1906 ヒメスジハエトリ Talavera trivittata Schenkel 1963 ウススジハエトリ Yaginumaella striatipes (Grube 1861) ムツバハエトリ Yaginumanis sexdentatus (Yaginuma 1967) 配列は,「日本産クモ類目録」(谷川 2005)に従う 98 KISHIDAIA 投稿規定 1)投稿資格は本会会員とする.ただし共著者には,会員以外の者を含むことがで きる.依頼原稿については,本会会員でなくとも,運営委員会の承認があれば よい. 2)投稿内容は,クモや東京蜘蛛談話会に関しての論文,解説,記録,紀行文,感 想などとする. 3)原稿の採否については,運営委員会にて決定する.また,原稿に対して加筆・ 削除・訂正などをお願いすることがある. 4)頁数は図表を含めて,刷り上がり 8 頁以内とし,超過頁分は著者負担となる. ただし超過頁分の代金を徴収しない場合があり,別項に記す.超過頁代は 1 頁につき 2500 円とするが,印刷費の変更等により,金額が変ることがある. 5)特別な費用を要する印刷は,その実費を著者負担とする. 6)別刷りは 50 部単位で作成するが,その費用は全額著者負担とする. 7)論文の著者校正は 1 回だけとする.DRAGLINES など短文の場合は著者校正 を省略する場合がある. 超過頁分を徴収しない場合 補 1)談話会活動報告(観察会報告・合宿報告など)は超過頁代を取らない. 補 2)各県別目録を積極的に掲載する方針が 1997 年 4 月の総会で確認され,主 旨に沿う原稿に関しては超過頁代を取らずに掲載する. 補 3)その他運営委員会で認めたもの. 原稿作成上の注意 1)手書き原稿は白紙に黒字,横書きで書いて下さい. 2)文章は 5 行目から書き始め,1 行目にタイトルを,3 行目に著者名を書いて 下さい. 3)ワープロなどで原稿を作成した場合は,プリントアウトしたものではなく FD あるいは CD をお送りください. 4)図は製図用インクなどにて完成したものにして下さい.図,写真などを画像フ ァイルとしてお送りくださる場合には,本文中に貼り付けたものだけではなく, 元の画像ファイルそのものもお送りください.画像解像度は刷り上りのサイズ で 300dpi 以上でないときれいに印刷できません.デジタルカメラで撮影し た写真は解像度などを変更せずにもとのままのファイルでお送りください. 5)原稿は電子メールでも受付けます.ただし添付ファイルが開けない事も予想さ れますのでテキストファイルで送って下さい.なお,原稿ファイルでは,中央 ぞろえや字下げなどの書式の設定は一切行わないでください. 99 東京蜘蛛談話会 運営委員 池田 博明・小野 展嗣・木村 知之・甲野 涼・新海 明・谷川 明男・仲條 竜太・ 萩本 房枝・初芝 伸吾・安田 明雄・八幡 明彦 会 長:新海 栄一 185-0011 東京都国分寺市本多 1-6-6 本 部:小野 展嗣 169-0073 東京都新宿区百人町 3-23-1 国立科学博物館動物研究部 会誌編集:仲條 竜太 362-0071 埼玉県上尾市井戸木 4-15-13 E-mail: [email protected] (原稿送付先) 池田 博明 258-0018 神奈川県足柄上郡大井町金手 1099 E-mail: [email protected] 通信編集:谷川 明男 247-0007 神奈川県横浜市栄区小菅ヶ谷 1-4-2-1416 E-mail: [email protected] 事 務 局:初芝 伸吾 186-0002 東京都国立市東 3-11-18-203(有)エコシス 会 E-mail: [email protected] 計:安田 明雄 231-0861 神奈川県横浜市中区元町 5-219 E-mail: [email protected] 郵便振替:00170-8-74885 東京蜘蛛談話会(年会費一般 3,800 円学生 2,000 円) 会計監査:笠原喜久雄・梅林 力 KISHIDAIA No.94 発行所 2008 年 9 月 30 日 印刷 編集者 仲條竜太 2008 年 9 月 30 日 発行 発行者 新海栄一 東京蜘蛛談話会 東京都新宿区百人町 3-23-1 国立科学博物館動物研究部 印刷 100 株式会社オーエム 大阪市東成区中道 4-5-14-101 小野展嗣方 KISHIDAIA Bulletin of Tokyo Spider Study Group No.94,Sep. 2008 ─ 目 次 ─ 八幡秋山沙和:ズグロオニグモの研究..........……....................................... 1 新井浩司: 「あいのこ」トリノフンダマシに関する情報 ………………………… 11 徳本洋・新海栄一・貞元己良:富山県におけるイソコモリグモの絶滅 ………… 15 新海明:陸中海岸でイソコモリグモの大産地を発見 …………………………… 23 新海明・谷川明男:九州地方のキムラグモ類とトタテグモ類の採集記録 (両者の混棲,トタテグモ類の二枚扉の住居例)…………….……………. 31 西野真由子:野外におけるコガネグモ幼体の占座の限界気温と日周行動 …... 35 DRAGLINES 新海明: 「あいのこ」トリノフンダマシ採集の記録 ……………………...…….. 42 笹岡文雄:キノボリトタテグモの産卵数に関する一事例 ……………...…….. 43 新海明・谷川明男:ハタチコモリグモは地中に管状住居を作る? …………... 43 <目録ドラッグラインズ> 仲條竜太:青ヶ島のクモ ...................................................…………….... 45 笹岡文雄:文献調査による伊豆・小笠原諸島のトタテグモ類 …………………...46 貞元己良:庄内平野で採集したクモ ……………………………………………... 51 野嶋宏一:岡山県産クモ類目録 …………………………………………………… 59 緒方清人:愛知県産クモ類目録 …………………………………………………... 82 101
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