貧 血 の 食 事 療 法

平成 17 年 11 月 10 日
第 17回健康教室
貧血によい食事
−鉄欠乏性貧血−
浪打病院 工藤ゆう子
★貧血とは?
血液中に含まれるヘモグロビンの量が減少した状態のこと。
貧血判定基準
ヘモグロビン濃度(Hb)
ヘマトクリット値(Ht)
血液 1dl 中の血色素の
量を示します。
血液中に占める赤血球の
容積を示します。
成人男子
13g/dl 以下
39%以下
成人女子
12g/dl 以下
36%以下
貧血は、血液検
査の結果から判定
されます。貧血の
自覚症状は出にく
いうえ、症状だけで
はほかの病気と区別がつきにくい
からです。
★症状は?
疲れやすい、めまい、動悸、息切れ、立ちくらみ、頭痛、顔色が悪い、イライラする、
爪:もろくかけやすくなり、反り返り中央がくぼんだスプーン状になる、
口:口の両側にただれや亀裂ができ、かさぶたがついた状態になる、
など。
★こんな食事をしている人はいませんか?
*朝食を食べない
*間食をよくする
*外食が多い
*インスタント食品、加工食品に偏っている
*無理なダイエットをしている
* 食事とは関係なく病気が原因で貧血が起こる場合もあります。この場合は、原因となる
病気を早くなおすことが先決です。
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《食事療法のポイント》
<図1 バランスのよい食事>
1.1 日3食、規則正しく食べ 、バランスの良い食事に
しましょう。<図1>
2.鉄分多く含む食品をとりましょう。<図2>
・動物性食品の吸収率 15∼25%
・植物性食品の吸収率 2∼5%
3.ビタミンCを多く含む食品をとりましょう。<図3>
4.良質のタンパク質をしっかりとりましょう。<図3>
5.葉酸やビタミンB12 を多く含む食品をとりましょう。
<図4>
6.酸味を含む食品を上手に利用しましょう。
7.緑茶やコーヒー、紅茶等は鉄の吸収を阻害するため食事中、又、食後すぐに多量にとらないようにしましょう。
8.インスタント食品、加工食品に偏らないようにしましょう。
9.外食の場合は一品ものより定食ものにしましょう。
※特に女性の場合、思春期から妊娠、出産後も鉄の需要は大きいため気をつけましょう。
いずれにせよ、おいしい料理を楽しく食べ、食事療法を根気良く続けることが重要となります。
<図2 ヘム鉄・非ヘム鉄>
<図3>
※植物性食品もこれらと組み合わせると吸収がアップします
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<図4>
《鉄分を多く含む食品》
食品名
使用量(g)
目安量
鉄含有量(mg)
食品名
使用量(g)
目安量
豚レバー
60
7.8
しじみ
鶏レバー
60
5.4
あさり
40
中8個
1.5
牛レバー
60
2.4
凍豆腐
20
1枚
1.4
卵黄
18
1.1
糸引納豆
40
1 パック
1.3
赤貝
50
2.5
焼き豆腐
100
まぐろ赤身
60
小1切
0.7
木綿豆腐
100
1/4
0.9
うなぎ蒲焼
70
中2切
0.6
小松菜
70
約2株
2.0
かつおフレーク
50
1.3
干しひじき
5
2.8
カキ
60
むきみ 3 個
1.1
もずく(塩蔵)
50
0.4
まいわし
60
1尾
1.1
1 個分
3
12
味噌汁一杯
(殻付き 60)
鉄含有量(mg)
0.6
1.6
★おすすめメニュー
<レバーのカレーソテー>
◆材料(2人分)
・豚レバー150g
・こしょう少々
・小麦粉 6g(小さじ2)
・さやえんどう 60g
・サラダ油 4g(小さじ1)
・塩 1.5g(小さじ 1/4)
・カレー粉 2g(小さじ1)
・サラダ油 6g(大さじ 1/2)
・赤ピーマン 40g
・塩少々
◆作り方
1)レバーは血液をとり、水につけて臭みをとり、そぎ切りにして
塩、こしょうをふる。
2)カレー粉、小麦粉を混ぜる。
3)1)の水気をふき、2)をまぶす。
4)フライパンに油を熱し、3)を入れて両面焼いて火を通す。
5)えんどうはすじをとって茹で、油で炒めて塩をふる。赤ピーマ
ンは乱切りにして油で炒め、塩で調味する。
6)器に 4)を盛り、5)を添える。
※エネルギー 174kcal
* レバーには鉄分がたっぷり、さらに造血作用のあるビタミン B6 も多く含まれています。さらに野菜
のソテーなどでビタミン C をプラス。匂いが苦手な方もカレー風味ならおいしくいただけるます。
<アサリと小松菜のクリーム煮>
◆材料(2人分)
・あさりむきみ 60g
・人参 20g
・生姜少々
・牛乳 120g
・こしょう少々
・小松菜 200g
・生椎茸 20g
・サラダ油 8g
・塩 1.6g(小さじ 1/4)
・片栗粉 3g
◆作り方
1)小松菜は熱湯で茹でて水にとり、水気を絞って3cm 長さに
切る。
2)人参は型で抜くか短冊に切る。生椎茸はそぎ切りに切る。
3)フライパンに油を熱し、生姜のせん切り、2)、1)、あさりのむ
きみの順に入れて炒め牛乳を加え、塩、こしょうで調味し、
水溶き片栗粉でとろみをつける。
※エネルギー 111kcal
* 鉄分の多いあさりと小松菜で鉄分補給。さらに小松菜には鉄分の吸収をよくするビタミン C、あさり
には造血作用のある葉酸、そして牛乳にはビタミン B6 が含まれています。
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