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第19回
これが、スイスインフォの選んだ道…の巻
情報化社会の
CSRナビゲーター
栗崎 由子
外国在住スイス人向けのラジオ放送として始まったスイスイン
フォは、スイス公共放送協会(SRG)の国際サービスの名称だ。
それが、今日では、ラジオを離れ、ウェブ上のメディアプラット
フォームに進化を遂げた。しかも世界に向けた情報提供というサー
ビスの核心を変えないままである。情報化時代に、ラジオはどう変
化していくのか? その一つのあり方が、スイスインフォに見られ
るのではないか。スイスインフォの企画担当、クリストフ・ブルッ
タン氏に、詳しい話を伺った。
スイスインフォの歴史
スイスインフォは、国際短波放
送として始まった。一九三五年八
月一日、スイス建国記念日に、当時
の大統領の声をアメリカに放送し
インターネットや衛星放送が普及
すると、国際的情報提供は、短波
放送の独壇場ではなくなった。
また、政府から、厳しい予算カッ
トの要求が来たため、スイスイン
たのが、正式な開始とされている。 フォは、低予算で今まで通り質の
タルジア”というニックネームで
たのである。当時は、“ラジオノス
を発信するためのラジオ局ができ
国外に住むスイス人に向けて情報
の中心地として広く世界に、また
が設置された。そこで、世界平和
先立つ一九一九年、国際政治の
舞台では、ジュネーブに国際連盟
として再生した。ウェブサイトに
なメディアを包含する情報サイト
をプラットフォームとして、多様
一九九九年、スイスインフォは、
ラジオ放送をやめ、ウェブサイト
ラジオからの転身
それも、短期間で。
アに変わらなければならなかった。
高い情報を世界に発信するメディ
呼ばれた。
立国スイスのラジオは、どの陣営
あり方も、まったく違うビジネス
ラジオからウェブという技術も
視聴者とのコミュニケーションの
ス イ ス 発 の 国 際 ラ ジ オ 放 送 は、 変えたのは、経費が安いからだっ
第二次大戦中と冷戦期には、世界 たと、ブルッタン氏は語る。
にも属さない、唯一の公正な情報
への転換だ。これは大規模なリス
中のリスナーから信頼を得た。中
源だったのである。
供し、また、国際的にはスイスの
識を学び、経験を積んだというか
ウェブの仕事をしながら必要な知
こ う し て、 ス イ ス イ ン フ ォ は、 ト ラ だ が、 レ イ オ フ は な か っ た。
在外スイス人には国内の情報を提 ラ ジ オ の ス タ ッ フ が 一 丸 と な り、
中立を支えるメディアとして、不
ら、驚く。
動の地位を築いた。
ウェブサイトになっても社風は
ところが、一九九〇年代に入り、 22
は、販売企業のそれとは役割が異
前者については、モバイル向け
のコンテンツを提供するかどうか、 なることを感じる。
変わっていない、とブルッタン氏
は胸を張る。今でも、ラジオ時代
多言語はスイスの強み
現在試行中。
と同じように、スイス発のニュー
スの公正な視点と、情報、技術の
ただし、ここで忘れてならない
の は、 ラ ジ オ か ら ウ ェ ブ へ と メ
ディアは変わっても、スイスイン
フォの一貫した情報戦略の基本は
スイスインフォは、フェースブッ
回していく上での悩みと、ブルッ
言語がないことが、日々の仕事を
者がいる。その記者全員に共通の
ニュースは公正中立という評価と
う こ と で あ る。 ス イ ス 発 の 国 際
それは、情報を発信することに
より、外国からの理解を得るとい
変わっていないことだ。
クの読者と直接対話ができる点を
信頼は、今も同じだ。それは、ま
スイスインフォには、一〇の言
語 に つ い て そ れ ぞ れ、 各 言 語 の
高く買っている。フェースブック
タン氏は苦笑いするが、多言語の
た期せずして、欧州の中央に位置
そして、敏しょうであるために
は、ソーシャル・メディア、特に
現代のコミュニケーションの潮
流をにらんだ、スイスインフォの
人材を国内から雇用できるところ
し、大国(軍事的には強国)に囲
質の良さを誇っているのだ。
器 に 対 応 す る こ と。 も う 一 つ は、 に は、 一 〇 ヵ 国 語 で ス イ ス イ ン
目標は二つ。一つは、モバイル機
フォのファンページがあり、情報
が、スイスのすごさだ。国際性の
フ ェ ー ス ブ ッ ク を 活 用 し て い る。 ページを担当する合計六〇人の記
事件・時流の変化に敏しょうに対
の提供とともに、ファンからの情
マルチメディア戦略
応することだ。
ソフト・ディフェンスにもなって
高いスイスの社会資源の豊かさを、 まれたスイスの軍事力を使わない、
道することはないが、「アラブの春」 垣間見る思いがする。
スイスインフォは、ソーシャル・
人を勘定に入れると、この割合は
取得など、スイス国籍を持つ外国
三%。国際結婚によるスイス国籍
る。情報化社会の国際戦略は、積
ますます必要になっていると思え
現代の日本にとって、スイスの
ような情報発信に積極的な姿勢は、
きたのではないだろうか。
メディアの双方向性を、そのエン
極的に情報を出していくことにあ
等、時々刻々変化する状況を、現 ちなみに、二〇一二年現在、ス
場 か ら 入 手 で き る こ と は 大 き い。 イスに住む外国人は、総人口の二
ジンにしているのだ。
もっと増えるだろう。
担当の記者がそれぞれの言語のサ
コミュニケーションの習慣は変化
て、外国との相互理解を深め、世
本人も活発に国外に情報を発信し
る。日本にとって、隣国との距離
世界に向けて情報発信を
が縮まるに従い、国際世論を味方
ソーシャル・メディアの発展な
ど、急激なメディアの変貌により、 につけたい場面は増えている。日
と こ ろ で、 ス イ ス イ ン フ ォ は、
コミュニティーマネジャー(五月
イトを管理、活用している。「私た
しつつある。その中で、スイスイ
号参照)を置いていない。各国語
ちは、読者と(直接)対話をしな
将来を見守りたい。
い」
と語るブルッタン氏の言葉に、 ンフォがどのように変化するのか、 界とより良くつながってほしい。
報道機関にとってのファンページ
23 あけぼの 2013 9
報も得ている。書き込みを直接報
▶現在、スイスインフォは、
日本語を含む ヵ国
語で、テキストの他、ビデオ、写真、スライド
ショーなど、多様なメディアで、スイスの情報
を提供している。スイスインフォの日本語サイ
ト → http://www.swissinfo.ch/jpn/index.html
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