1 TRM/Kyo ラットにおける本態性振戦の原因遺伝子の解明 ○西谷あい 1、田中美有 1、桑村 充 2、佐久間哲史 3、山本 卓 3、吉田裕作 4、 鈴木登志郎 4、庫本高志 1 (1 京大院・医・動物実験施設、2 大阪府大・獣医病理、3 広島大・理、4 日本エス エルシー) 【背景】最近、我々は TRM/Kyo ラットを本態性振戦モデルとして確立した。ま た、本態性振戦は、第 10 染色体上の tm 変異と第 2 染色体上の Hcn1 遺伝子の A354V ミスセンス変異が組合わさることで発症することを見出した (Kuramoto et al., 2015)。 tm 変異は、約 200kb の欠失であり、12 個の遺伝子を含む。このうち、 aspartoacylase 遺伝子(Aspa)が本態性振戦の有力な候補遺伝子であると考えた。そこ で、Aspa 機能欠損変異と Hcn1A354V 変異をともにホモにもつダブルミュータントラ ットを作製した。 【材料と方法】TALEN 法により、Aspa 遺伝子のエクソン 4 に変異を導入し、 Aspa ノックアウトラットを作製した。次いで、Aspa ノックアウトラットと Hcn1A354V をホモに持つ WTC/Kyo ラットを交配させ、F2 産子から Aspa/Hcn1 ダブ ルミュータントラットを得た。 【結果と考察】 Aspa 遺伝子エクソン 4 に 16bp の欠失を持つ変異ラットが得られた。このラット の脳では、Aspa 転写産物と ASPA タンパク共に、発現量の低下が観察された。 Aspa/Hcn1 ダブルミュータントラットは、TRM 同様の振戦を示した。以上、Aspa 遺伝子は、TRM ラットの本態性振戦の原因遺伝子であることが明らかとなった。 -9-
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