フランス日本語教師会勉強会 ワークショップ「オンライン日本語アクセント辞書 OJAD とそれを用いた音声指導」 参加報告 パリ・ディドロ第七大学 日本語講師 伊藤文 「音声教育の必要性は感じるけどどうしたらいいのか…」 「スピーチ指導で苦労した経 験がある」など、音声指導について思案した経験のある方も多いだろう。今月 3 日に 峯松信明教授(東京大学大学院工学系研究科)によるワークショップ「オンライン日 本語アクセント辞書 OJAD とそれを用いた音声指導」が行われた。このワークショッ プでは、上述の問いに答えるような音声(韻律)指導の一案が得られたばかりでなく、 理論的側面や OJAD の活用可能性についても学べる大変貴重な勉強会となった。以下、 簡単に報告を行う。 勉強会では、まず、OJAD の開発経緯として、日本語の音声、日本語教育、音声工 学の観点からの理論的背景についての講演が行われ、第 2 部として OJAD の使い方や OJAD を用いた音声指導法についてのワークショップが行われた。 では、OJAD で具体的に何ができるのか、大まかに 2 点挙げると、①『みんなの日 本語』などの一般的な日本語教科書に出てくる単語のアクセントを調べることができ る、②任意のテキストのアクセントおよびイントネーションを表示させることができ る、のである。①の特筆すべき点は、用言の活用形のアクセントも調べられる点であ ろう。また、②を使って、スピーチなどにおける音声(韻律)の指導をすることがで きる。さらに、ピッチパターンを編集することもできるため、共通語以外の方言のア クセントやイントネーションを提示することも可能なのである。 上記以外にも、日本語教科書の語彙帳データベースとして、テスト作成時などに既 習・未習単語かどうか OJAD の単語検索で調べるという活用例も考えられるだろうし、 また、日本語学習者が OJAD を使えるようになれば、韻律の自律学習を支援するリソ ースにもなるだろう。 私自身、これまで、音声指導に関しては見て見ぬふりをしてきた節があるが、これ を機に教室でどのように音声教育を取り上げていくべきか、考え直したいと思う。今 回の勉強会に参加できなかった方も、まずは OJAD がどんなものか実際に見てみてい ただきたい。 OJAD http://www.gavo.t.u-tokyo.ac.jp/ojad/
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