応用物理学会(神奈川工科大学)チュートリアル 2013年3月27日(水)9時∼12時10分 申込:https://annex.jsap.or.jp/phpESP/public/survey.php?name=2013Sshortcourse4 案内:http://www.jsap.or.jp/activities/annualmeetings/2013/2013s_60_tutorial.html 講演資料の一部です。 半導体、電子デバイス、 配線を回路理論の立場から 学び直してみる 広島大学 天川修平 1 回路理論・電気回路に対する イメージ 講演資料の一部です。 • 「大学初年級で習う科目」 • 易しい,他科目より格下,… • 「回路設計をやってるが意外に使わない」 • 「等価電源の定理」「Δ-Y変換」「Y行列・Z行列」 …,いろいろやったけど何に使うんだ? • 回路シミュレータがあるから理論の必要性は薄い • 「回路図はイメージしやすい」 • それにひきかえ電磁気や量子力学はイメージしにくく て… 2 ○ クイズ 1. 「物理的デバイスモデル」とはデバイス物理に 基づいて導出されたでモデルのことである. 2. 表皮効果の表皮厚さδはω1/2に比例する.し たがって金属の表皮のアドミッタンスYは導電 1/2 率をσとして Y σδ=σω . 3. バンド理論を理解するには量子力学が不可欠で ある 3 想定対象者・ねらい • 前提とする知識 • 工学部レベルの回路理論,電磁気学,半導体デバイ ス,固体物理 • ねらい • 「回路理論」をキーワードに,必ずしも高度ではな いが半導体関係の見落としがちな重要事項や物の見 方をおさらいする • 何か1つでも発見があれば幸いです 4 チュートリアルの内容 • 物理的デバイスモデルとは? • 回路理論のおさらいとデバイスの回路モデル • 基本回路素子と電磁気学 • 基本回路素子とMaxwell方程式 • Loop inductance と partial inductance • 回路理論を利用して物理を理解する • バンド理論入門 5 物理的デバイスモデルとは? • • 一般に回路シミュレーション用デバイスモデル は「物理的」であるのがいいとされる ではデバイスモデルが「物理的」であるとは? • • • デバイス物理に基づいて導出されたモデルが「物理 的」? 電磁気学・初等半導体物理だけ考えればいい?量子 効果も考えなきゃダメ? 「物理的デバイスモデル」とは何か,回路理論 の立場から考えてみる15 クイズ:ゲート容量 • MOSFETのバイアス依存のゲ ート容量の式を使ってゲートに 流れ込む電流を以下のように 表した • このゲート容量モデルは「非物 理的」である可能性が高い. 問題は何か? 16 D G S まとめ:物理的デバイスモデル • 回路の挙動が物理的になるの物理的モデル • 電荷保存則,因果律,… • 回路が物理的か否かを考えるのは比較的やりやすい • 理想回路素子を適切に組み合わせたモデルは物理的 • 物理的考察に基づく導出は必要条件でも十分条 件でもない • だがデバイス物理は非常に強力な武器になる • 回路理論的な見方はデバイス物理を考える際も助けに なる 45 まとめ:電磁気学と回路素子 • 回路的記述が使えるのは寸法 d が波長 λ に比 べて十分小さいとき(たとえば d λ/20) • インダクタンスは元来ループに対して定義され るものだが,パーシャルインダクタンスのネッ トワークとしても表現できる • 寄生インダクタンスはパーシャルインダクタン スのネットワークのまま回路シミュレーション にかければいい 71 チュートリアルの内容 • 物理的デバイスモデルとは? • 回路理論のおさらいとデバイスの回路モデル • 基本回路素子と電磁気学 • 基本回路素子とMaxwell方程式 • Loop inductance と partial inductance ‣ 回路理論を利用して物理を理解する • バンド理論入門 72 回路理論によるバンド理論入門 • バンド理論にまつわる迷信(?) • 「難しさの原因は量子力学」 • 「バンド理論を理解するには量子力学が不可欠」 • 半分は本当だが半分はウソ • バンド形成の本質は周期構造 • 周期構造を持った回路はバンドを持つ • 「工学部2年生のための初めてのバンド理論」 73 周期構造へのアプローチ • 無限に続く周期構造を扱うときの2つの考え方 1. 最初から無限に続く周期構造を考える • バンドに関する情報が直接的に出てくる 2. 構造の繰り返し回数を1回、2回、3回、・・N回、と 増やしていって、Nが大きいときどうなるかを調べる • Nの変化とともに何が起こるかがわかる 74 式の形が同じなら… • The same equations have the same solutions. R. P. Feynman • 理工学で現れる多くの問題は共通または類似し た構造を持つ • 特に定常状態に限定すると,いろいろな問題の構造 が非常に似通ってくる 115 Kronig-Penneyモデル • 固体物理でバンド形成の説明に使われる • 無限に続く城壁状ポテンシャル • 波数kが実数になる範囲を与える式が得られる • 我々の問題は Kronig-Penney モデルの伝送線路版 116 回路でバンド理論を考える利点 • 量子力学が出てこないので,心理的バリアが下 がる • 回路シミュレーションで手軽にいろいろ試せる • 回路で記述しても難しいとしたら,その難しさ の原因は量子力学ではないとわかる 129 まとめ:バンド理論入門 • 周期構造におけるバンド形成は,回路系,電磁 気系,量子系等で普遍的にみられる現象である • N回繰り返し構造を考えると,無限周期構造へ の遷移がとらえやすい • もっとも初等的な回路理論でバンドに触れてお くと,固体のバンド理論に入る際の敷居を下げ ることができる 130 最後のクイズ:ホールの描像 • ホールは電子の海にあいた 「穴」として説明される • ホールの動きを説明する描 像としてどのようなものを 考えたらいいだろうか? 132
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