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RAFIQの活動は入管への面会から始まった。
私たちは 2002 年から難民支援の活動を行っている。始めに行ったのは茨木市にある西日本入国管
理センター(2015 年 9 月に閉鎖)に収容されているアフガニスタン難民への面会だった。
身分証明書を提出し、面会室に通された。そこはテレビで見た刑務所の面会室と同じで折りたたみ
椅子がギリギリ 3 脚並べられるほどの狭い部屋でアクリルガラス越しに面会した。
そのことで彼らが拘束されていることがわかり非常につらい気持ちになった事を思い出す。
難民を収容する入国管理局
私たちRAFIQは日本に在住している難民支援をしている。
保護されるべき難民が日本では刑務所のようなところで収容されている。
難民条約は本来、国際法なので「難民申請」をした時点で難民の申請が優先されるはずだが、日本で
は先につかまったということで入管法違反が適用される。
外国人に対して疑わしきは収容するという「全件収容」主義で収容される。その結果、偽装難民や
偽装結婚として収容されてしまう。難民申請した本人に立証責任があるとされるが、拘束されてどの
ようにして立証できるのだろうか。
さらに収容されると「送還」ができない方は無期限の収容になる。いつまで収容されているかわか
らないことは、精神的に非常に不安になり「拷問」に等しい。
人権への配慮がない生活
入管は100年前の「監獄法」を基本にした運用を行っており、拘禁施設の国際基準でも問題にな
る処遇である。入管所長にほとんどの権限が与えられ、内容については非公開が多く「密室化」して
いる。職員の暴行事件や人間を梱包しての送還なども起きているが、詳細はわかりにくい。収容者の
一番の要望は「人間らしく扱ってほしい」ということだ。
私たちが2004年西日本入国管理センターの収容者への差し入れで書いていただいたアンケー
トによると、収容が3ヶ月を過ぎる長期収容の80%の方が心身の疼痛を訴えられていた。ほとんど
全員が精神安定剤や睡眠薬を飲んでいた。病状も胃痛や頭痛、腹痛、関節の痛みなどを訴えられてい
る方が多かった。
面会をしていても3ヶ月を過ぎてくると心身ともに衰弱してくる収容者に会うのが本当につらく
なってくる。
入国管理センターを変えるのはあなた。
“人権”を扱っているはずの法務省の施設が行っている人権侵害を見逃しては人権国家とはいえな
い。毎年のように国連の人権機関から「難民の収容」と「外国人収容施設の問題」について勧告され
ている。このような施設に私たちの税金が多額に使われている。
私たちは西日本入国管理センターに対して、
「必要でない収容者の仮放免」と「処遇改善」の要望
書を提出してきた。
2002年に初めて西日本入国管理センターに面会に行ったときは、週2日しか部屋から出ること
ができなかった。電話をするのにも申請が必要だった。その結果、期限のない収容で先が見えず孤立
してしまい、
「自殺未遂」をおこす難民申請者多かった。しかし、被収容者とともに支援者が諦めず
に要請・抗議し、フロアー開放を少しずつ延長させ、電話(有料)はフロアー開放時に自由に利用で
きるようになった。被収容者と支援者の要請により、処遇は少しずつ改善された。
西日本入国管理センターは 2015 年 9 月に閉鎖されたので、2015 年 4 月からの私たちの支援は大阪入
国管理局の収容場と大阪入管から大村入国管理センター(長崎県)へ移送された難民に対して行って
いる。
人権に配慮しているのか? 人道的に適切か? の当たり前の判断を法務省ができるように、市民
の立場から「密室の人権侵害」を許さないように、入国管理局の収容施設に対して関心を持っていた
だきたい。私たちもできるだけ情報を発信して人権国家を作っていきたい。
2017 年1月 改訂 RAFIQ
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入管
法務省入国管理局
入国管理局(Immigration Bureau)は日本の出入国管理を担当している法務省の機関
です。
基本法は「出入国管理及び難民認定法」であり、以下の仕事を行っています
①すべての人の出入国の公正な管理
②外国人の在留の管理
③外国人の退去強制
④出国命令制度
⑤難民の認定
⑥外国人の登録
入国管理局
収容施設
退去強制令書の対象となった外国人で、直ちに送還することが出来ない時に
送還できるようになるまで収容する施設です。まず、地方入管に収容され長期
収容者は「センター」に収容されています。
退去強制となる理由は以下に示すことなどが、あります。
1. 不法入国者 偽造パスポートで入国したもの。
2. 不法上陸者
3. 不法残留者 オーバーステイ
4. 刑罰法令違反者
5. 在留資格外の就労活動
各地方入管に収容場があります。
また長期収容施設として
茨城県牛久市に「東日本入国管理センター」定員 700 人
長崎県大村市に「大村入国管理センター」定員 800 人がある。
2015 年 9 月に「西日本入国管理センター」
(大阪府茨木市)定員 300 人
されました。
が廃止
近年の問題点
・各収容所に収容されている方が不法滞在者が減る中で激減しています。
2011 年の法務省の調査では、東日本 295 人
西日本 78 人
大村
20 人
・大村に大阪・名古屋・関東からも移送。家族や支援者が面会できなくなって
います。また、交通費もかかります。
・長期収容施設が 2 か所しかないので、地方入管で 6 か月以上の長期収容にな
っている人もいます。
難民
収容
日本に来て難民が申請するには、在留資格がある人とない人とでは大きく待遇が違います。
入管に収容されるのは、在留資格のない人です。
日本では、
「難民申請者保護」という観点がなく、一番大変な入国時の保護はありません。
①在留資格がある時の申請…・正規パスポートを持っている。・観光などの在留資格が
ある人。・在留資格があり日本で生活していたが母国の政変などで帰れなくなった人。
難民申請をすると 6 ヶ月の特定活動(難民申請中であるため)の在留資格がもらえます。
この在留資格は難民の決定まで 6 か月毎に更新されます。
最初の 6 か月は、就労資格がありません。
(ここでの生活の保障が大変です。)
次の更新の 6 ヶ月からは就労資格があります。難民が不認定になるとこの資格は取り消
されます。
②在留資格がない時の申請…・正規パスポートを持っていない人。
・(難民は出身国がパスポートを出してもらえなかったり、書類を提出できなかったりが
あるので、ブローカーにパスポートを作ってもらい出国するしかない人がいます。)「不法
入国」
・観光などの短期在留資格(1 ヶ月、3 か月など)があったが、切れてから申請した人。
「不
法残留」
・職務質問、摘発などで在留資格がないことが判明した人。
「不法残留」
・日本での犯罪で刑務所の刑期を終えたが、母国に帰れない人。
「刑罰法令違反」
この人たちは、
「入国管理法違反」で「退去強制令書」がでます。
出入国管理及び難民認定法(入管法)第 24 条で、退去強制事由に該当する外国人とされて
います。
退去強制令書と収容の法律
入管法 39 条…国は退去強制手続きの対象となる外国人は、すべて収容令書に基づき収容す
るのが原則である。
(全件収容主義)
退去強制令書(退令)が出ると、外国人の送還及び送還可能な時まで収容することができ
る。(入管法 52 条)
難民
「難民」とはどういう人たちのことか、その人たちに対してどのように対処しなければな
らないか、などの国際社会の中での規範となる「難民条約」というものがあります。
「難民条約第1条A2項 」
人種・宗教・国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理
由に、迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の保
護を受けられない者、またはそれを望まない者で国籍国の外にいる人。
つまり何か理由があり自分が迫害されるという恐怖を持っており、自分の国に守ってもら
えない人々のことです。そして祖国に戻りたくても、戻ると命の危険があり、戻ることので
きない人々のことでもあるのです。
またその他にも、以下の人々は UNHCR の保護の対象となっています。
帰還民
( Returnees)
庇護希望者
( Asylum seekers)
国内避難民
( Internal displaced
people)
無国籍者
(Stateless people)
故郷に帰ったものの、生活の再建に助けが必要な人
難民と認められるのを待っている人々
条約難民のように、戦争や人権侵害によって住む土地を離れざるを得
ない状況ではあるが、国境を越えていない、越えられない人々
戦争や内戦、人種差別など様々な理由で国籍を無くし、
どの国家からも保護を受けられない人々
(ただし全ての難民が無国籍者とも限らない)
一方、難民と混合されやすいですが、以下の人々は「難民」とは異なります。
移民
( Voluntarily migrants)
経済難民
(?)
自発的により良い生活を求めて国境を越えて定住する人々
経済的な理由により困っている人々。
迫害を受ける恐怖を持つ「難民」とは別のもの
難民になる理由は個人や国など個人の背景により千差万別であり、どの人が難民であるの
かの基準を一般化することはできません。そのため、次の日本のような難民として逃れた国
で、本来保護をされるべき人々が、苦労を強いられているケースが発生し続けているのです。
世界
難民
UNHCRは、毎年 6 月に前年の世界の難民の統計報告書(Global Trends )
を発表しています。なぜ 6 月かというと、2000 年の 6 月 20 日の国連総会で「世
界難民の日」が制定されたからです。
2016 年 6 月に発表された 2015 年の報告書(Global Trends 2015)は以下の内
容でした。
今、世界の難民は戦後最悪になっています。
年 難民数
人 数
・避難 余儀
歳未満
新
万人
昨年
統計 取 始
人
毎分
子
万人多
最多
家 追
人
保護者
庇護申請
迫害 逃
子
万
人
万人
2012 年
2013 年
2014 年
難民
1540 万人
1680 万人
1950 万人
国内避難民
2880 万人
3330 万人
3820 万人
難民申請者
100 万人
110 万人
180 万人
計
4520 万人
5120 万人
5950 万人
一日当たりの
避難者数
23400 人
32200 人
42500 人
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