第3学年2組 理科学習指導案 平成26年10月15日(水)第5校時 戸田市立笹目中学校 3年2組 在籍生徒数 男子16名 女子16名 指導者 T1 教諭 久保 慶 指導者 T2 教諭 長野 真吾 1 単元名 「生命の連続性」 2 単元について ⑴ 指導観 与えられた課題に対して生徒が興味・関心をもちながら協力して調べ学習を行い、そこで得 た知識をお互いに伝え合うことで、生徒が積極的に学習し、自信を持って伝えようとする自己 肯定感を育みたい。また、お互いに伝え合った内容から課題に対する解答を導き出すことで、 お互いの内容を理解しそれを伝えようとするコミュニケーション能力の向上につなげたい。さ らには、ICT機器(タブレットPC)を使用し、視覚情報を利用して相手にわかりやすく伝 えることで、プレゼンテーション能力の向上につなげたい。 ⑵ 教材観 生物の成長や生殖を細胞のレベルでとらえさせる単元である。その細胞をつかさどるのが遺 伝子やDNAであり、最近ではTVなどでもよく耳にするようになってきた。DNA鑑定、ク ローン技術、iPS細胞、作物の品種改良や遺伝子組み換えによる食物など、遺伝子やDNA に関連した技術は多岐にわたる。今回の教材では、米の品種改良と遺伝子組み換えにふれ、そ の技術がどのようなものか、学習した遺伝子やDNAがどんなところに利用されているかなど、 社会生活と関連づけられるようにしたい。また、その技術の長所や短所も考えることで、生命 の連続性について認識を深め、生命を尊重する態度を育むことも大切にしたい。 ⑶ 生徒観 埼玉県学習状況調査の結果から、本校の生徒は、知識を問われる問題に対する解答の正解率 は比較的高いが、思考を必要とする問題に対する正解率は低くなる傾向が読み取れた。また、 授業における話し合い活動の場面では活発な意見交換が行われず、苦手としている傾向が見ら れる。そこで、話し合い活動を柱とする協調学習(知識構成型ジグソー法)を用いることによ って、授業において受身になりがちな生徒が主体的に活動し、自分の考えを表現する機会をな るべく設けたい。 3 単元の目標及び評価規準 ⑴ 単元の目標 身近な生物についての観察、実験を通して,生物の成長と殖え方、遺伝現象について理解さ せるとともに、生命の連続性について認識を深める。 ⑵ 単元の評価規準 自然事象への関心・ 意欲・態度 生物の細胞分裂、 有性生殖・無性生殖 による殖え方、遺伝 の規則性と遺伝子に 関する事物・現象に ついて関心をもち、 意欲的に探求すると ともに、生命を尊重 しようとする。 科学的な思考・表現 観察・実験の技能 生物の細胞分裂と 染色体、生物の受精 と殖え方、遺伝の規 則性と遺伝子に関す る事物・現象の中に 課題を見いだし、解 決方法を考えて観 察・実験を行い、事 象の生じる要因や仕 組みを科学的に考察 し、課題を解決する ことができる。 生物の細胞分裂、 生物の殖え方、遺伝 の規則性と遺伝子に 関する事物・現象に ついて観察・実験を 行い、基本操作を習 得するとともに、観 察・実験の計画、実 施、結果の記録、考 察などの探求の過程 をとおして、規則性 を見いだしたり、自 らの考えを導き出し たりして創意ある報 告書の作成や発表を 行う。 自然事象についての 知識・理解 生物の成長や細胞 分裂の過程、有性生 殖や無性生殖による 生物の殖え方、減数 分裂や遺伝子の伝わ り方、形質の現れ方 の違いを説明するこ とができ、遺伝の規 則性と遺伝子に関す る事物・現象につい て理解し、知識を身 につける。 4 指導計画(本時 17/17) 段階 時 学習活動 指導上の留意点 1 ・たまねぎの根の成長 展開 染色したタマネギの根の伸 根の先端部分の方が、先端から離れた部分 び方から、成長が起きている部 よりも伸びていることに注目させる。 分と起きていない部分がある ことに気づく。 2 ・細胞分裂と生物の成長 タマネギの根の先端部分と 生徒が根の先端部分の分裂部と伸長部の細 先端から離れた部分の細胞の 胞の大きさや形の違いと核の形が変化してい 大きさや核のようすを観察す る細胞を観察させる。 る。 3 ・細胞分裂の順番 核が変化している細胞の写 分裂によって、細胞のどの部分が変わるの 真を切り分け、細胞分裂のどの か意識させる。 時期にあたるかを話し合う。 4 ・生物のふえ方の特徴 生物のふえ方には無性生殖、 有性生殖には、生殖細胞という特別な細胞 有性生殖があることを知る。 が関わっていることを伝える。 5 ・無性生殖 セイロンベンケイを育てて観 察する。 無性生殖は体細胞分裂のしくみで、新しい 個体をふやしていることを理解させる。 6 ・有性生殖 有性生殖では、減数分裂によ 減数分裂と体細胞分裂と混乱しないように って生殖細胞がつくられるこ 注意させる。 とによって、受精すると染色体 数はもとの数に戻ることを学 ぶ。 7 ・植物の有性生殖 柱頭についた花粉が変化す 観察できない生徒のために、花粉管が伸び るようすを観察する。 るようすを撮影したVTRを用意しておく。 8 知 識 構 成 型 ジ グ ソ ー 法 5 ・動物の有性生殖 受精のしくみと受精卵から 子のからだができるまでの過 程を知る。 生命の尊さにも触れる。 9 ・遺伝 親のもつ特徴が子に伝わる 遺伝という現象に気づかせ、ど のようにして親の形質が子に 伝わるのかを学ぶ。 10 ・ピーターコーンの実験 ピーターコーンの黄色い種 なぜ黄色い種子と白い種子の比が3:1に 子と白い種子の数をそれぞれ なるのか興味をもたせる。 数える。 11 ・メンデルが行った実験 エンドウの種子を用いてメ 遺伝子ならびに減数分裂のしくみから、そ ンデルが行った実験について の規則性を理解させる。 学ぶ。 12 ・遺伝子の本体 遺伝子とDNAについて整 理し、説明してみる。 13 ・遺伝子の変化 DNAはわずかな確率では あるが変化して遺伝子が変わ り、それによって子に伝えられ る形質も変わることがあるこ とを知る。 14 ・遺伝子に関する研究とわたした ちの生活(調べ学習) インターネットなどを利用して、最先端の 遺伝子やDNAに関する研 遺伝子技術などを調べさせる。 究の現状、成果、課題などを知 る。 15 ・遺伝子に関する研究とわたした ちの生活(発表) 調べたことを発表する。 16 ・協調学習(エキスパート活動) 彩のかがやき、赤米、ゴール 品種改良、遺伝子組み換えということにふ デンライスがどのようなもの れられるようにする。 か調べる。 17 ・協調学習(ジグソー活動、クロ ストーク) 調べた内容を発表し合い、ど のお米が一番おすすめかを決 める。 本時の展開 →CoREF「知識構成型ジグソー法を用いた協調学習授業 授業案」に記載 東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF) 知識構成型ジグソー法を用いた協調学習授業 学校名: 戸田市立笹目中学校 授業案 授業者: 授業者: T1 T2 久保 長野 教材作成者: 久保 慶・長野 授業日時 平成26年10月15日(水) 教科・科目 理科 学年・年次 第3学年 児童生徒数 32人 実施内容 遺伝子技術について調べよう 本時/この内容 17/17 を扱う全時数 教科書及び 教科書会社 理科の世界(大日本図書) 慶 真吾 真吾 授業のねらい(本時の授業を通じて児童生徒に何を身につけてほしいか、この後どんな学習に つなげるために行うか) ・身近な米のことについて調べることによって、品種改良、遺伝子組み換えについての認識を深めさせ る。 ・米以外でも、身の回りにある品種改良、遺伝子組み換えされたものについて興味をもたせる。 メインの課題(授業の柱となる、ジグソー活動で取り組む課題) ・彩のかがやき、赤米(古代米) 、ゴールデンライスのどれを一番他人にすすめたいか。 児童生徒の既有知識・学習の予想(対象とする児童生徒が、授業前の段階で上記の課題に対して どの程度の答えを出すことができそうか。また、どの点で困難がありそうか。) ・赤米(古代米)、ゴールデンライスに関する知識はほとんどもっていないと考えられる。 ・彩のかがやきが埼玉県産のお米であることは、何人か知っている生徒がいると考えられる。 ・品種改良、遺伝子組み換えについての知識は、知っている生徒が非常に少ないと考えられる。 期待する解答の要素(本時の最後に児童生徒が上記の課題に答えるときに、話せるようになって ほしいストーリー、答えに含まれていてほしい要素。本時の学習内容の理解を評価するための規準) ・品種改良を重ねることによって、現代のようにおいしい作物ができる。 ・遺伝子組み換えによって育てやすく、足りない栄養を補給できるような作物をつくることができるが、 その安全性が確立されているわけではないので不安も残る。 各エキスパート <対象の児童生徒が授業の最後に期待する解答の要素を満たした解答を出 す ために、各エキスパートで抑えたいポイント、そのために扱う内容・活動を書いてください> A「彩のかがやき」 ポイント:品種改良によっておいしい米が作られていることに気づく。 B「赤米(古代米)」 ポイント:昔の米(古代米)は今の米と違っていて、今の米より短所が多いことに気づく。 C「ゴールデンライス」 ポイント:遺伝子組み換えによって栄養価が高い米になったことに気づく。 ジグソーでわかったことを踏まえて次に取り組む課題・学習内容 品種改良や遺伝子組み換えによって作られた作物が、お米以外にはどのような例があるか考える授業に 発展させていきたい。 本時の学習と前後のつながり 時間 取り扱う内容・学習活動 これ 生物の成長と生殖 まで 到達して欲しい目安 生物がどのように成長しているか、またどの ように生殖するかについて知る。 遺伝や遺伝子について知る。 前時 遺伝子技術について調べよう① 身の回りに、品種改良や遺伝子組み換えによ って操作された作物があることを知る。 本時 遺伝子技術について調べよう② 身の回りの品種改良や遺伝子組み換えによ って操作された作物が、どのように利用され ているか考え、その影響について考える。 次時 次単元 この 後 テスト 上記の一連の学習で目指すゴール 身近な生物についての観察、実験を通して、生物の成長と殖え方、遺伝現象について理解させるとと もに、生命の連続性について認識を深める。 本時の学習活動のデザイン 時間 学習活動 10分 支援等 <導入> 1 普段、家庭で食べる米には、どんな銘柄が ・給食のご飯は何の銘柄か紹介する。 あるか考える。 2 彩のかがやき、赤米(古代米)、ゴールデ ンライスの画像を見せ、どの米を一番他人に ・画像だけでなく、米の特徴をそれぞれ簡 単に述べる。 すすめたいか理由と共に考える。 <課題提示> 彩のかがやき、赤米、ゴールデンライスのどれを一番他人にすすめたいか。 40分 <エキスパート活動> 3 班を3種類に分け、それぞれ彩のかがや き、赤米(古代米)、ゴールデンライスにつ ・A×3、B×3、C×3の計9グループ 作る。 (各グループは3~4人) いてタブレットPCを用いてインターネッ ・できた理由、作り方、地域、栄養価、長 トで調べ、Google Apps for Education のド 所、短所、その他の特徴について調べる キュメントにまとめる。 よう説明をする。 A.彩のかがやき B.赤米(古代米) C.ゴールデンライス ①生徒1人に1台のタブレットPCを配布 し、各自が調べたことを班ごとに1つのド 〈関心・意欲・態度〉 それぞれの米の特性に興味をもち、積 極的に調べ学習をしている。 【教師の観察】 ・各自入力のエリアを決め、他人のエリア に入力しないよう注意させる。 キュメントに同時編集で書き込んでいく。 ②各自の書き込みが終わったところで、班と しての意見をまとめる。 15分 【本時】 <ジグソー活動> 4 A~Cグループでまとめた内容をタブレ ・ジグソー活動の内容について説明する。 ットPCに表示し、お互いに発表し合う。 ・エキスパート活動でまとめたことをお互 いに発表させる。 〈関心・意欲・態度〉 意欲的に話し合い活動に参加してい る。 【教師の観察】 15分 5 発表した内容をもとにどの米を一番他人 にすすめたいか話し合い、班としての回答と その理由をまとめる。 内容をタブレットPCにデジタルペンを ・デジタルペンの使い方について支援する。 使ってまとめる。 10分 <クロストーク> 6 どの米を一番他人にすすめたいかという ・班ごとにデジタルペンで作成した発表用 資料を大型テレビに表示する。 する。 〈思考・表現〉 品種改良、遺伝子組み換えの観点をふ まえて、どの米を一番他人にすすめた いか説明している。 【ワークシート】 7 回答とその理由を大型テレビに表示し、発表 他の班の発表を聞き、疑問に思ったことを 質問して、お互いの考えを深めていく。 10分 <活動の振り返りとまとめ> 8 みんなの意見を聞いた後、自分ではどれが おすすめなのか最終的に一人で決めて、ワー クシートに記入する。 回答例:彩のかがやきを一番他人にすすめたい。 彩のかがやきは品種改良によって赤米よりおいしくなり、栄養価はゴールデン ライスより低いが遺伝子組み換えによる不安が少ないから。 9 彩のかがやき、赤米(古代米)、ゴールデ ンライスについて、教師からの説明を改めて 聞く。 10 品種改良や遺伝子組み換えによる科学の 発展と、その利用についてまとめる。 グループの人数や組み方 エキスパート ・A×3、B×3、C×3の計9グループ ・各グループは3~4人 ジグソー ・A、B、Cを集めたグループを計9グループ ・各グループは3~4人 〈知識・理解〉 品種改良、遺伝子組み換えについて理 解している。 【ワークシート】
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