ビジネス会計人クラブ第 207 回定例会(2015 年 4 月 16 日) 「窮地に追い込まれた企業の再生支援事例」受講感想文 税理士 長塚寿夫 B・A・C「企業再生・整理・再起」支援チームによる、チームの紹介と具体例による支援内容の解説の ご説明を頂きました。 「再生」と一言で言っても、税理士一人でできることには限りがあります。 税務のみならず、金融機関対応、法律面や労務面など解決すべき問題が山積するために、士業の先生方が 協業し、問題解決を図っていく必要があるからです。 その意味において、今回のワンストップサービスとしての事例発表とも言える機会に立ち会えたことは 幸運だったと思います。 ご講演は、中小企業診断士の佐々木先生を司会役として、全体の枠組みや戸別の内容をリスクカウンセ ラーの細野先生にご解説頂く形で進んでまいりました。 お話をお伺いしまして、各々の先生方の専門家としての業務のみならず、その業務を支える熱意が「再 生」支援活動には必要なのだと痛感致しました。 再生を必要とする企業の多くはマイナスのオーラを出し続けています。 そのような企業に接するとき、我々税理士だけではなく弁護士などの他の士業の先生方も、そのマイナ スオーラの洗礼を浴びることとなります。 ですから、正直、滅入ることが多々あると思います。 しかしながら、そのマイナスの連鎖を断ち切って、我々からプラスのオーラを対象企業に与えていく義 務感。それが熱意となって伝わっていくのだと感心しながらお話をお聞きしていました。 また、その熱意とともに専門家が関与することで実現していく様々なテクニックによる成果に関しても、 得ることが多かったと思います。 対金融機関との折衝ツールの効果的な作成や対象企業の体制変更などの、人体に例えてみれば「体質改 善」対策を、ある時は厳しく、ある時は思いやりの心で対象企業に処方していくさまは、流石だと思いま す。 加えて、このような処方を、一方的ではなく、対象企業に寄り添うことで実行させていくというお話は、 まるで重篤な病状で緊急病院に担ぎ込まれた患者に、寄り添いながら治療を続けていく名医のようでも ありました。 ただ、思いやりだけでは話は進みません。 メインバンクを最終的に袖にし、準メインバンクの支援を取り付けるなど、現実問題として想像すると 困難な荊棘のような道ではなかったのではないでしょうか? そこで選択される、シンジケートローンの実行という、諸刃の剣のような選択も、専門家の先生方の慎重 な協議の結果だとお聞きして、なるほどと納得した次第です。 対象企業側も無血というわけにはいきません。 所有不動産を売却可能性の高いものから選択・売却し、債務を弁済していくなど、企業活動で増やしてき た資産は切り売りされていくわけです。自ら導いた結果とはいえ、内心穏やかであるわけがありません。 想像しますに、専門家の先生方に対して反発したこともあったに違いありません。そのような反発を受 けながらも再生計画をオーナーに説明し、説得していく専門家の先生方の労力はどれほどであったか、 このご心労を考えるとき、やはり頭が下がる思いを持ちました。 また、弁護士の安達先生による金融機関交渉の極意や特定調定のお話は、まさに目から鱗のような話で した。私も顧問先のリスケ相談を受けることもありますが、このような点も頭に入れて交渉していく必 要性を感じました。 社会保険労務士の川端先生の執行役員制度導入のお話も、その発想の柔軟さはすばらしいと思います。 何故、再生対象企業に執行役員制度などの導入が必要なのだろうかと、正直、疑問に思いながらお聞きし ていましたが、その理由をお伺いして、理解することが出来ました。 今回の事例は、再生しながらの事業承継という「複雑案件」であったとのことです。 ここでも、右山事務所の中村先生からのご説明があったように、流れるような相続対策の提案と実行、そ して現実化した事業承継の実施が、ごく短期間で実行されたとのこと。同じ立場でこのような案件に接 したら、果たしてこのような行動がとれたのであろうか、と自問自答しながらお話をお聞きしていまし た。 経営不振会社、再生可能性企業を持つ身として、今回の事例発表は参考にさせていただくことが多く、収 穫も多かったと思います。 一点、 残念だったのは、ご質問をさせて頂く機会がなかったということです。 講習後の懇親会でお話を伺うことができたので良かったのですが、貴重な事例発表の機会でしたので、 個別具体的な内容に関してのご質問ができれば、尚良かったかと思います。 B・A・C「企業再生・整理・再起」支援チームの先生方には、この場をお借りして御礼申し上げたいと 思います。 以上
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