実践のまとめ(4学年 体育)

平成 23 年度授業力向上研修(小・中)
実践のまとめ(4学年
体育)
平成23年10月21日(金)
指導者
長岡市立中島小学校
教諭
1
第5校時
佐藤
貴幸
単元名
「ソフトバレーボールを楽しもう」
2
単元の目標
(1) ボールの方向に体を向け、レシーブやトスで味方や相手コートにパスや返球をする。
(運動の技能)
(2) コミュニケーションを取り合い、ソフトバレーボールを楽しむ。
(運動への関心・意欲・態度)
(3)
友達のアドバイスなどを参考にし、自分で考えながらルールや作戦、練習方法を工夫する。
(運動についての思考・判断)
3
単元と児童
(1)
単元について
本単元は、新学習指導要領で新しく取り入れられた「ネット型ゲーム」である。ネット型ゲ
ームは、ラリーを続けたりボールをつないだりなどの攻防を楽しむために、使用する用具やル
ールなどの規則を易しくしたゲームである。ネット型の運動は多くの地域で親しまれており、
当校の学区内でも地域住民がバレーボールやインディアカなどを楽しんでいる。体育科改訂の
趣旨の中に、
「生涯にわたって健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現することを重視
し改善を図る」とあるように、小学校の時期にネット型ゲームを経験することは、生涯にわた
って運動に親しむ児童の育成のために非常に重要であると考える。
本単元で取り上げるソフトバレーボールは、ラリーを続けて攻防し合うことが最大の楽しさ
である。また、空中で一つのボールをつなぐという運動の特性から、集団としての一体感を味
わったり達成感を共有したりすることができ、仲間と協力して運動をする楽しさも味わうこと
ができる。それらを可能にするためには、以下の2点が重要である。
①レシーブやトスなどの基本的なボール操作を身に付ける。
②チーム内のよい雰囲気を高める。
ここで問題となるのが、①である。特にボールゲームに対して苦手意識がある児童は、技能
の習得に対して消極的になりがちである。結果として技能が十分に身に付かず、自信をもって
プレーすることができない。そのためにゲーム中にミスをして仲間から責められたり、自責の
念にかられたりして、ますますボールゲームが好きではなくなるという悪循環に陥ってしまう。
また、ボールゲームが得意な児童は、仲間のことを考えないワンマンプレーを追求してしまう
ことがある。しかし、チーム内でプレーについて教え合ったり励まし合ったりするコミュニケ
ーションを活発に行い、チーム内のよい雰囲気を高め全員が安心して運動できる環境が整えば、
ボールゲームの技能が高まり、プレーの質も向上していくと考える。そして、楽しさを実感で
きるとも考える。
学習指導要領の改訂に伴い、小学校体育科では、「運動を楽しく行うこと」「技能を身に付け
ること」がより明確に求められている。その実現のために、道徳教育との関連を図りながら本
単元に取り組んでいく。
(2)
児童の実態
全体的には体を動かすことを好む児童が多く、体育の学習にも意欲的に取り組む。また、休
み時間はもちろんのこと、登校後から朝学習までの僅かな時間にも、約半数の児童が体育館に
出て鬼遊びなどを楽しんでいる。休み時間はボールを使える曜日が学年ごとに決まっているた
め、それほど積極的にボールで遊んでいる姿は見られない。
前学年では、キックベースボール、サッカー、ポートボールを学習した。ネット型ゲームは、
本単元で初めて取り組むことになる。ボールゲームに対する児童の意識は、以下のとおりであ
る。
① ボールゲームは好きか。
好き
44%
やや好き
どちらともいえない
やや好きではない
好きではない
19%
17%
17%
3%
好き5点~好きではない1点としたときの平均値
3.8
<記述から>
・チームで協力して運動するのが楽しい。(好き)
・好きだけど、あまり上手にできない。
(どちらともいえない)
・試合でボールをあまりさわれない。ボールが回ってこない。
(やや好きではない)
「投げたり蹴ったりするのが大好き」というような肯定的な児童が多かった反面、約40%
の児童が、どちらともいえない、あるいは否定的な意見だった。その理由として、上記のよう
に「なかなかボールに触れない、ボールが回ってこない、ボールが上手に扱えない」という意
見が多数を占めた。
②ボールゲームは得意か。
得意
25%
やや得意
どちらともいえない
やや得意ではない
得意ではない
25%
29%
8%
13%
得意5点~得意ではない1点としたときの平均値
3.4
<記述から>
・パスができない。シュートをしても、コントロールがうまくいかない(得意ではない)
・得意なこととそうでないことがある。
(どちらともいえない)
・思い通りにボールを扱えない。休み時間にあまりボールで遊ばない。(やや得意ではない)
ボールの扱いなどの技能面で自信がもてない、あるいはどちらともいえない児童が半数いた。
③体育のボールゲームに、どんなことを望むか。(複数回答)
楽しくプレーしたい
ボールの扱いが上手になりたい
試合に勝ちたい
71%
75%
17%
これまでのボールゲームでの児童の様子を見る限りでは、
「試合に勝つ」という楽しさも十分
に味わっていた。しかし、それ以上に、楽しくプレーをしたり自分の技能を高めたりしたいと
いう思いをもつ児童が多くいることが分かった。
これらの児童の実態を踏まえ、単元を構成していく。
4
単元展開の構想
(1)
研究テーマ
コミュニケーションを取り合い、楽しみながらソフトバレーボールの技能を高めようと
する子どもの育成
(2)
テーマ設定の意図
「小学校学習指導要領体育科
第3学年及び第4学年
2
内容」より抜粋
旧
B ゲーム
(1)
『~簡単な技能を身に付け、ゲームが楽しくできるようにする。』
新
E ゲーム
(1)
『次の運動を楽しく行い、その動きができるようにする。
』
上記の対比からも分かるように、新学習指導要領では児童が楽しく運動を行うとともに、基
本的な技能を身に付けることをより明確に表している。これは、本指導案3の(2)にもある
ように、学年・学級児童の願いとも一致する。そこで、本単元では、ソフトバレーボールの運
動の特性を楽しみながら、レシーブやトスなどの基本的な技能を高めていくために、コミュニ
ケーションを取り合うことを重視して学習に取り組んでいく。
ボールゲームの技能を高めるには、その時間の達成目標を明確にしたり、ボールを使ったド
リルゲーム的な運動に取り組んだりすることが重要である。ボールゲームはチームで行うため、
ドリルゲーム的な運動であっても一人だけで取り組むことは少ない。従って、チーム内の雰囲
気が、楽しさを感じることにも技能の高まりにも大きな影響を与えると考える。児童自身も、
「ボールゲームを楽しく行ったり、もっと上手になったりするために」は、
「チームのみんなで
話し合ったり、教え合ったりする。
(67%)」
「チームの雰囲気がよくなるよう、声をかけ合う。
(71%)」ことが大切だという意識をもっている。
チーム内の雰囲気を高めるためには、コミュニケーションを取り合うことが重要である。よ
いプレーを称賛し合う、ミスしたときに励まし合う、ボールを扱うこつを教え合うなどのコミ
ュニケーションを、「話す・聞く」だけではなく、「書く」活動も含めて深めていきたい。その
ためには、どのようにチーム内の雰囲気を高めていくかを考えたり、コミュニケーションスキ
ルを向上させたりすることが必要である。それらを体育授業だけで学習するのは難しいため、
道徳教育と関連させて学習を進めていく。
(3)
①
研究テーマに迫るために
チーム内の雰囲気やコミュニケーションスキルを高めるための道徳授業の実施
研究テーマ達成のために、道徳授業で学習したことを体育で活用できるようにする。
道徳教育は学校の教育活動全体を通じて行うものである。中学年体育の目標の「(2)協力・
公正などの態度を育てるとともに……最後まで努力して運動する態度を育てる」などは、道徳
教育との関連が不可欠ともいえる。道徳教育と体育を関連させることは、それぞれの指導の効
果を高めるためにも必要なことである。
本単元では、主に中学年道徳の内容の中の「友達と互いに理解し、信頼し、助け合う」との
関連を図る。道徳の授業では、自作資料を活用して協力することの大切さを考えたり、モラル・
スキル・トレーニングを取り入れて具体的な場面からコミュニケーションスキルを学んだりす
ることができるようにする。
②
コミュニケーションの場の設定
練習や試合の前後にコミュニケーションの場を設定する。個人やチームとしてのめあてを確
認したり、振り返りやアドバイスをしたりしながら、意欲や雰囲気、技能の高まりやプレーす
る楽しさを感じることができるようにする。
その際に、言葉だけではなく文字でも互いに伝え合えるよう学習カードを工夫して、書く活
動も積極的に取り入れる。それによって、友達からのアドバイスや称賛などを自分の手元に残
していつでも見ることができるようにする。他者からの評価は、自分の技能の高まりをより強
く実感させることになる。また、自分では気付かない技能面での改善点を指摘してもらうこと
で、それを意識しながら練習や試合に取り組むことができる。
③
児童が意欲をもち、やればできると思えるような課題設定
その時間の課題を示したときに、自信をもてず、がんばってもできそうにない学習課題であ
れば児童は意欲を高めることはできず、授業を楽しいと感じることができない。当然、技能も
高まっていかないであろう。課題設定は、その時間の技能の目標を明確にし、単元が進むにつ
れてより高度になっていく必要がある。
児童の実態を考慮しながら、その時間に努力すれば、あるいはチーム内で教え合いながらで
あれば達成可能と思われるような課題を設定し、段階的に技能が高まっていくような工夫をす
る。また、楽しみながらできるドリルゲームも取り入れる。
④
児童の実態に応じたルールや用具などの工夫
空中で一つのボールをつなぐという特性はソフトバレーボールの楽しさでもあるが、児童に
とってはほとんど経験のない動きである。ラリーを続けて攻防し合う楽しさを味わうために、
ビニール製の適度な重さのボールを使用する。
また、児童の実態に応じて、相手コートに返球する際の回数を増やしたりサーブを投げ入れ
たりする工夫をする。ルールに関しては、チーム内でのコミュニケーションやプレーしての感
想から生まれてくる児童のアイディアを生かし、積極的にゲームの中に取り入れていく。
(4)
①
研究テーマ達成にかかわる評価
授業の楽しさに関する児童の自己評価が、実践前(6月の児童アンケート実施時)より向上
する。
②
技能に関する児童の自己評価が、実践前(6月の児童アンケート実施時)より向上する。
③
コミュニケーションを取り合ったことが自分の技能向上に役立ったと自己評価した児童が、
70%を超える。
A評価…3項目すべて達成
B評価…1~2項目達成
C評価…3項目すべて達成せず
5
単元の評価規準
運動への関心・意欲・態度
運動についての思考・判断
運動の技能
○互いにコミュニケーションを
○自分や友達のプレーのよさや
○ボールの方向に体を向け、レ
取り合いながらソフトバレー
改善点に気付き、助言したり
シーブやトスなどで相手コー
ボールを楽しみ、自分の技能
練習方法を工夫したりする。
トにパスや返球ができる。
を高めようとする。
○より楽しく試合をするためのルール
や、相手に勝つための作戦を考える。
6
次
指導計画(全9時間、本時7/9時間)
時
学習内容
*学年体育7時間、学級体育2時間
学習活動
☆コミュニケーション活動
1
1
ソフトバレーボール
に触れよう(学年)
だけ多くの回数をつなぐ。
のつなぎ方を話し合う。
(評価の観点は技能のみに絞って記述)
弾いて、相手に返球す
・2-(3)友情
ることができる。
「こう言ってほしいな
【行動観察・学習カード】
レシーブやトスでボ
・レシーブやトスの仕方を覚える。 ・レシーブやトスで
ールをつなごう
・レシーブとトスを使って、2人でボー
(学級)
関連する道徳授業
・2人~3人でボールをできる ・両手や片手でボールを
☆回数を増やすためのボール
2
主な評価の観点と方法
ルをできるだけ多くの回数をつなぐ。
☆レシーブやトスのよりよ
相手に返球するこ
とができる。
こう言ったらどう?
こうしてほしいな
こうしたらどう?」
(ロールプレイング)
【行動観察・学習カード】
い仕方を助言し合う。
2
3
チーム内でボールを ・4~5人のチーム内で、レシ ・レシーブやトスで、
・
つなごう
4
(学年・学級)
ーブとトスでできるだけ多
いろいろな相手に
くの回数をつなぐ。
返球することがで
☆回数を増やすため
のボールのつなぎ
きる。
【行動観察・学習カード】
方を話し合う。
5
ラリーゲームを楽し
・
もう(学年)
6
・ネットをはさんで相手チー
・レシーブやトスな
ムとラリーゲームをする。
どで、相手コート
・2-(3)友情
☆ルールを話し合う。
に返球することが
「友達のことを考え
☆相手コートに返球するためのボ
できる。
ールのつなぎ方を話し合う。
【行動観察・学習カード】
る方法を話し合う。
本
時
3回で相手コートに ・3回で返球することを目
・レシーブやトスな
返しながらラリーゲ
標に、ネットをはさんで
どで、味方にパス
ームを楽しもう
相手チームとラリーゲ
をしたり相手コー
ームをする。
トに返球したりで
(学年)
☆3回で返球するた
めのボールのつな
ぎ方を話し合う。
う」
(モラル・スキル・トレーニング)
☆チームの雰囲気を高め
7
て力を合わせよ
きる。
【行動観察・学習カード】
3
8
・ルールや作戦を工夫
・
しながら、ソフトバ
9
レーボールをする。
ソフトバレーボール
を楽しもう
(学年)
・レシーブやトスな
☆自分のチームのよさを考
どで、味方にパス
・1-(2)勤勉努力
えながら、ゲームに勝つ
をしたり相手コー
「『失敗』は『マイナ
ための作戦を話し合う。
トに返球したりで
☆チームの雰囲気を確認し合う。
☆コート内での動き方や
ス』じゃないよ!」
きる。
【行動観察・学習カード】
声のかけ方などににつ
いて助言し合う。
7
本時の計画
(1)
ねらい
○レシーブやトスなどで、味方にパスをしたり相手コートに返球したりできる。(技能)
○称賛や励ましの言葉をかけ合いながら、ラリーゲームを楽しむ。(態度)
○友達のプレーのよさや改善点を見つけたり、3回で相手コートに返球するための方法を考え
たりする。(思考・判断)
(2)
展開の構想
本時は、2次の5時間目である。児童は1次でボールに触れ、レシーブやトスのやり方を覚
えて2~3人組でのパスに取り組む。うまくボールをつなぐためにはたくさんボールに触れる
ことと、的確に助言をし合うことが重要である。ペアやチーム内でのパスゲームを通してアド
バイスし合ったり、道徳で学習した「こう言ってほしいな
しいな
こう言ったらどう?
こうしてほ
こうしたらどう?」を生かしたりして、楽しみながら活動に取り組んでいく。
2次では学級ごとに4~5人のチームを6チームずつ作り、チームでボールをつなぐことに
取り組む。どの時間にもコミュニケーションの場を設定し、その時間のめあてを達成するため
の方法を話し合ったり、お互いのよさや改善点を助言し合ったりする。円陣パスなどのドリル
ゲームの回数などで、児童は技能の向上やコミュニケーションの必要性を実感するであろう。
前時では、ネットをはさんで相手チームとラリーゲームを行う。ラリーゲームは、自コート
での触球数やサーブのやり方などに制限を設けず、とにかく相手コートに返球して相手がミス
すれば得点になる。このラリーゲームを楽しんだ児童には、もっとゲームをしたい、もっと難
しいことに挑戦したいという欲求が生まれると考える。そこで本時では、3回の触球数で相手
コートに返球することをチームのめあてに、レシーブやトスなどで、味方にパスをしたり相手
コートに返球したりできることを個人のめあてに設定する。
本時は、チームでのコミュニケーション活動とゲームをそれぞれ2回設定する。1回目のコ
ミュニケーション活動は、1回目のラリーゲームを行う前である。前時の様子を踏まえながら、
できるだけ3回で返球するための方法を考える。ボールを高く上げる、声をかけ合うなどの具
体的な方法を確認し合う。
3回で返球するには、レシーブやトスをできるだけ正確に行うことが必要である。チーム内
で助言し合うことも重要だが、他チームの児童からも助言をもらえるような工夫をする。ゲー
ムは12チームを3コートに分けて行うため、ゲームに参加していないチームが各コートに2
チームずつ出る。そのチームの児童(アドバイスチーム)が試合をしているチームの児童を観
察し、技能面でのよさや改善点を付箋に書いて助言できるようにする。これも、立派なコミュ
ニケーション活動である。的確に助言できるよう、プレーを観察する視点を明確に示す。
それをもとに、2回目のコミュニケーション活動を行う。1回目のゲームの反省や他チーム
からの助言を生かして、より具体的な方法を導き出す。そして、2回目のゲームで実践し、技
能の向上を実感しながら3次への意欲を高めていく。
本時を含むこの2次では、道徳で学習する「友達のことを考えて力を合わせよう」との関連
を図る。チームでのコミュニケーションやゲームをする中で、よいプレーには称賛の言葉を、
ミスしたときには励ましの言葉をかけることによって、チームの雰囲気が高まる。児童は道徳
の時間にロールプレイングで学習したことを実際の場面で生かすことによって、プレー中の意
欲が高まったりコミュニケーション活動をより円滑に行ったりするようになり、技能の高まり
につながっていくと考える。
(3)
時間
展開
学
*本時では、運動の技能を主として評価する。
習
活
動
○教師の働きかけ
・予想される反応
(分)
□評価
○支援
・留意点
3
1
準備運動
3
2
本時のめあてと流れ
を確認する。
○今日のラリーゲームは、2つのめあてに
向かって活動に取り組みましょう。
○全員がめあてと流れ
を理解できるよう、ホ
<チームのめあて>
<個人のめあて>
ワイトボードに掲示
チーム内でボールを
レシーブやトスなど
する。
つなぎながら、3回
で、味方にパスをし
で相手コートに返そ
たり相手コートに返
う。
したりしよう。
<今日の授業>
①めあてのかくにん
②チームミーティング1
③ラリーゲーム1
④チームミーティング2
⑤ラリーゲーム2
⑥ふり返り
・3回で返すのは難しそうだな。
・協力すればできるかな。
5
3
コミュニケーション
活動①
○3回で相手コートにボールを返すた
○技能面とチームの雰
めにどんなことに気を付ければよい
囲気面の両方から考
か、話し合いましょう。
えられるよう、視点を
・ボールから目を離さないようにしよう。
明確にする。
・できるだけボールを高く上げよう。
・レシーブをしっかりしよう。
・ミスしても声をかけ合っていこう。
・チームのキャプテンが
進行する。
12
4
ラリーゲーム①
5分×2ゲーム
○話し合ったことを意識しながら、ラ
リーゲーム①をしましょう。
<コート2>
○見ているチームは、試合をしている
5-⑥
4-①
チームの人へアドバイスカード①を
1-④
6-⑤
書きましょう。
<コート3>
2組がステー
3-②
ジ側のコート
2-③
・試合をしていないチームは、アド
アドバイスをする人 (
)さん
<ラリーゲームのルール>
・サーブはどこから投げてもよい。
載し、いつでも確認で
きるようにする。
<こんなところをアドバイスしよう!>
・友達のプレーのよさや
○レシーブやトスをするときの体の向き、目線
改善点を見つけ、アド
○レシーブやトスをするときのうでや手の位置
バイスカードに記入
○チームのふんい気をよくするための声がけ
する。アドバイスカー
・A さんのレシーブは、しっかりひじ
バイスチーム。
カードを書く視点は
学習カード裏面に掲
○印が4年2組のチーム
<コート1>
○ゲーム順、アドバイス
が伸びているな。
・B さんは、ミスした人に「次はがん
ドは付箋を使用し、学
習カードに貼ること
ができるようにする。
ばろう」って声をかけているよ。
・相手コートにはレシーブやトスなどで返す。
・同じ人が連続してボールにふれてはいけない
5
5
コミュニケーション
活動②
○ラリーゲーム①での自分たちのプレ ・技能面とチームの雰囲
ーを振り返ったり友達からのアドバ
気面で、それぞれのよ
イスカードを参考にしたりして、3
かったところ、改善す
回で相手コートにボールを返すため
るところを確認し合
に どんな こと に気を 付け ればよい
う。
か、話し合いましょう。
・声が出ていなかったから、「1,2,
3」と声を出していこう。
・ぼくのレシーブはもう少しボールを
高く上げたほうがいいみたいだな。
12
6
ラリーゲーム②
○話し合ったことを意識しながら、ラ ・ラリーゲーム①からの
リーゲーム②をしましょう。見てい
改善点をアドバイス
<コート1> <コート2> <コート3>
るチームは、どんなところがよくな
カードに書く。
1-⑥
6-①
3-③
ったかをアドバイスカード②に書き
5-④
4-⑤
2-②
ましょう。
5分×2ゲーム
□レシーブやトスなど
で、味方にパスをした
5
7
振り返り
○今日のラリーゲームの振り返りを、
学習カードに書きましょう。
り相手コートに返球
したりできる。
・3回で返すラリーゲームは楽しかっ
(ラリーゲーム①②の
たから、「楽しい」に○をつけよう。
行動観察、学習カー
・レシーブやトスで少し失敗したから、
「ややできた」かな。
ド)
8
実践を振り返って
(1)
授業の実際
前時では、ネットをはさんで相手チームとラリーゲームを行った。レシーブやトスなどの技
能に自信をもち始め、さらにチーム内のよい雰囲気も向上していたため、授業後の振り返りで
は50名中45名が「楽しかった」
、5名が「やや楽しかった」と回答した。本時を迎える児童
の意欲は非常に高く、どんな課題にも前向きに取り組もうとする気持ちが見られた。
ここでは、本時の3つのねらいに沿って、授業の実際を振り返る。
①
3回で返球するラリーゲーム(技能面)
本実践では、どの時間も技能に関する個人及びチームのめあてを確認してから授業に臨んだ。
本時はレシーブ(アンダーハンドパス)やトス(オーバーハンドパス)を使って3回で相手コ
ートに返球することをめあてに設定した。児童にとっては少し難しい課題であるが、前時まで
に習得した技能を生かしながら、3回で返球しようと懸命に取り組んでいた。
すべてが3回で返球できたわけではないが、3回で返球するという意識がラリーのテンポを
向上させ、ボールに対してより積極的に向かっていくようになった。前時よりもラリーの回数
が増えたゲームが多く、個人の触球数も確実に増加した。学習指導要領で求められている技能
は、確実に身に付いたといえる。
しかし、アンダーハンドパスを多用する一方で、オーバーハンドパスへの意識がやや低かっ
た。これは技能の習得の段階でのオーバーハンドパスの練習量が少なかったことと、スパイク
を取り入れなかったためオーバーハンドパスのよさを実感できなかったことが原因である。本
時ではバドミントンと同じ高さのネットを使用したが、オーバーハンドパスを意識させるには
ネットをもう少し高くするなどの工夫が必要だった。
②
称賛や励ましの声がけ
~道徳授業との関連~(態度面)
本実践は、道徳授業で学習したことを生かしながらコミュニケーションを取り合ったり、チ
ーム内のよい雰囲気を高めたりすることが、楽しさや技能の向上に影響を及ぼすことを検証す
ることが目的である。(詳しくは「(3)研究テーマに迫るための手だての有効性について」の①に記述)
本時でも、道徳授業やチームミーティングの際に自分たちで考えた以下のようなチームの雰
囲気を高める手段を実行した。
○得点を決めたときにはハイタッチで喜びを分かち
合う
○ゲームの開始前に円陣を組んで一体感を高める
○ミスをしたときには「いいよ」
「ドンマイ」などの
声をかけ合う
○よいプレーをしたときには、
「ナイス」などの言葉
をかける。
プレーしている児童だけではなく、アドバイスチームの児童(観戦している児童)も自然に
称賛や励ましの声をかけたり拍手をしたりしていた。授業後の振り返りでは、50名中35名
が「道徳で学習したことを授業で生かした」と回答した。
③
コミュニケーション活動(思考・判断面)
本時では、2回のチームミーティング(話し合い)を
行い、3回で返球するという課題を達成するための方法
を話し合った。
1回目のミーティングでは、「1・2・3と声を出そう」
「ボールを打つ力の加減に気を付けよう」「ボールの方向
に体を向けよう」などの方法を話し合い、1回目のラリ
ーゲームで実践した。よかった点や改善点などを2回目
のミーティングで確認し、それらを2回目のラリーゲームに生かした。試合後の振り返りでは、
「レシーブやトスで、3回で相手コートに返せるようになった。力の加減が分かってきた。」
「1
回目は失敗が多かったけれど、2回目は声が出ていてよかったと思う。
」などの、ミーティング
の効果を実感する感想が見られた。
また、アドバイスチームの児童(観戦している児童)
○レシーブやトスをするときの体の向き、目線 が、は、プレーを見る視点(図1)に沿って付箋にアドバイ
スを書いて渡す「アドバイスカード」にも取り組んだ。
○レシーブやトスをするときのうでや手の位置
○チームのふんい気をよくするための声がけ
など
図1
もらう児童は自分のプレーのよさや改善点が文字として
手元に残るため、試合後に自分のプレーを振り返る参考
にすることができた。書いて渡す児童も、相手のプレー
のよさを自分自身のプレーに生かすことができるため、双方にとってメリットのある取組だっ
た。しかし、アドバイスを書く視点を技能面と態度面に設定したため、見て善し悪しが分かり
やすい態度面のアドバイスに偏ってしまったことが課題として残った。
(2)
①
研究テーマに迫るための手だての有効性について
チーム内の雰囲気やコミュニケーションスキルを高めるための道徳授業の有効性
「4
単元展開の構想」の(2)で述べたとおり、ボールゲームでは、チーム内の雰囲気が
楽しさを感じることにも技能の高まりにも大きな影響を与えると考える。チーム内のよい雰囲
気を高めるために、単元の指導計画に関連した道徳授業を実施した。
単元の2次では、練習やゲームをチーム単位で行うようになる。そのため、
「友達のことを考
えて力を合わせよう」
(中学年道徳2-(3)友情)の道徳授業を実施し、モラル・スキル・ト
レーニングを取り入れて具体的な場面からコミュニケーションスキルを学習した。(資料1)
失敗して落ち込んでいる児童役と声をかける児童役
に分かれ、全員がロールプレイングを行った。
「たかし
さん、大丈夫だよ。誰でも失敗することはあるよ。
」
「次
はがんばろう。一緒に練習しようよ。
」など、相手の気
持ちを考えながら言葉をかけていた。
授業後の振り返りでは、
「友達がうれしくなるような
言葉をかけて、よいふんい気になるようにすることが
大切だと思いました。」
「ソフトバレーボールで今日勉
強したことをすれば、チームワークがよくなると思うし、言われた人もうれしい気持ちになる
ので、やってみたいと思いました。
」などの感想が多く見られた。
道徳で学習したことは、実際にソフトバレーボールの場
面で実践してこそ意味がある。道徳学習の意識が途切れな
いように、学習した内容やキーワードなどを体育館のホワ
イトボードに掲示し、授業の際は常に児童の目に入る場所
に置いた。
児童は道徳で学習したことを実践し、単元が進むにつれ
て「ナイス!」「大丈夫、大丈夫!」などの声がけ、円陣や
ハイタッチなどの行動が見られるようになり、笑顔も増え
てきた。ソフトバレーボールの学習シ
ートにも、道徳での学習を実践したこ
とによって、楽しさや協力面が向上し
たことが記されている。
(図2)
図2
また、単元終了後の振り返りでは、道徳で学習したことの実践やその効果として、多くの児
童が以下のような記述をした。
○チームではげまし合うようになったら、みんなが落ちこまないでがんばれるようになった。
次の試合のときには、みんなのプレーがどんどん上手になった。
○道徳で学習したこと(円じんやハイタッチ)をしたので、楽しかったりうまくなったりし
たんだな、と思いました。
○道徳をしてチームワークがよくなったので、レシーブとトスが自信をもってできるように
なった。
○今までは失敗しても「ドンマイ」なんて言われなかったけれど、道徳の後は言われてうれ
しかったし、他の人がミスしても、自然に「ドンマイ」
「次、がんばろう」と言えるように
なりました。
○みんなが喜んでいるとまわりのふんい気がよくなる。すごく落ちこんでも声をかけてもら
うとものすごく速く元気になれるってことがよくわかりました。
技能の向上について触れている児童も多かった。これらの記述からも、チーム内の雰囲気や
コミュニケーションスキルを高めるための道徳授業が、ソフトバレーボールの楽しさを感じ技
能を高めていくうえで有効であることが明らかになった。
②
コミュニケーションの場を設定することの有効性
毎時間、練習や試合の前後に2つのコミュニケーション活動を設定した。
1つ目は、その時間の個人やチームのめあてを達成するための方法を話し合うチームミーテ
ィングである。運動量を確保するためにそれほど長い時間話し合うことはできないが、ボール
のつなぎ方やポジションの工夫、声の出し方などを班長の司会で話し合った。話し合いの後に
必ず練習や試合を設けたため、話し合ったことをすぐに実践することができた。
「ミーティング
をするといろいろな意見が出て参考になった。その意見を実行したら、ちょうどいいところに
ボールが打てたから役に立った。」
「ミーティングをするとみんなが同じことを守って、いいプ
レーができた。」という児童の感想にもあるように、チームミーティングによってチームの雰囲
気だけではなく技能面の向上も図られた。
2つ目は、友達のプレーを見て、よさや改善点などを付箋に
書いて渡すアドバイスカード(図3)である。その効果を、児
童は以下のように述べている。
○自分ではなかなか気付けなかったことを教えてもらって、
そこを少しずつ直していけたから役に立った。
○力を加減したほうがいいといわれてやってみたら、本当に
チームの人にしっかりとパスができるようになった。
図3
自分では気付かない技能面での改善点を指摘してもらうこと
で、それを意識しながら練習や試合に取り組むことができた。また、友達からのアドバイスや
称賛などを自分の手元に残しておけるため、カードを振り返ることによって自分の技能の高ま
りを実感することができた。
③
児童が意欲をもち、やればできると思えるような課題設定の有効性
本実践では、その時間の個人・チームのめあてが、その時間の主に技能面での課題になるよ
うに指導計画を作成した。
時
個人のめあて
チームのめあて
1
両手や片手でボールをはじいて、相手にボールを返そう。
ボールを落とさずに、10回以上ボールをつなげよう。
2
レシーブやトスで、相手にボールを返そう。
レシーブやトスで、ボールを落とさずに10回以上ボールをつなげよう。
3
レシーブやトスで、いろいろな相手にボールを返そう。
レシーブやトスで、ボールを落とさずに10回以上ボールをつなげよう。
4
レシーブやトスで、いろいろな相手にボールを返そう。
レシーブやトスで、ボールを落とさずに( )回以上ボールをつなげよう。
5・6
レシーブやトスで、相手コートにボールを返そう。
チーム内でボールをつなぎながら、相手コートに返そう。
7
レシーブやトスなどで、味方にパスしたり相手コートに返したりしよう。
8・9
チーム内でボールをつなぎながら、3回で相手コートに返そう。
チームのよさを考えながら、よい試合をするための作戦を工夫しよう。
※色つきのセルは達成が難しかった課題(児童の自己評価による)
単元が進むにつれてよりめあてが高度になっていくように設定し、意欲を高めるためにチー
ムのめあてにはなるべく数値が入るように工夫した。児童は特にチームのめあて達成に意欲的
で、先述したチームミーティングやアドバイスカードを生かしながら活動に取り組んだ。やや
達成が難しい課題もあったが、児童の自己評価では、課題を達成することができた時間の割合
が非常に高かった。
児童の実態に応じた適切な課題を設定することで児童の意欲が高まり、技能の向上につなが
っていくことが分かった。
④
児童の実態に応じてルールや用具などを工夫することの有効性
本実践では、空中で一つのボールをつなぎラリーを続けて攻防し合う楽しさを味わうために、
ビニール製の適度な重さのボールを使用した。ボールの選択を誤るとソフトバレーボールの楽
しさを味わうことはできないが、単元終了後には90%の児童が「ボールゲームが前より好き
になった」と回答したことから、ボールの選択は正しかったといえる。
返球する際の触球数などのルールは、児童と話し合いながら決めていった。単元が進むにつ
れて自然とより技能を求められるルールになっていき、児童の意欲が失われることがなかった。
児童の実態に応じてルールや用具などを工夫することは、非常に有効だった。
(3)
研究テーマに達成にかかわる評価について
①
授業の楽しさに関する児童の自己評価
その時間の授業の楽しさについて、
「楽しかった・やや楽しかった・どちらともいえない・や
や楽しくなかった・楽しくなかった」の5段階で、毎時間の終わりに自己評価した。
「楽しかっ
た5点」~「楽しくなかった1点」で数値化し、平均を算出した。(図4)
実践前(6月)
ボールゲームは好きか
平均 3.8
図4
実践前のアンケートではボールゲームに苦手意識がある児童の評価が低かったが、本実践で
はほぼ全員がソフトバレーボールの楽しさを十分に味わったといえる結果が得られた。
②
技能向上に関する児童の自己評価およびパスの連続回数
その時間の個人およびチームのめあて(技能面の課題)の達成について、
「できた・ややでき
た・どちらともいえない・ややできなかった・できなかった」の5段階で、毎時間の終わりに
自己評価した。「できた5点」~「できなかった1点」で数値化し、平均を算出した。(図5)
実践前(6月)
ボールゲームは得意か
平均 3.4
図5
技能に関しては自己評価のみでは客観性に欠けるため、チームで輪になって行ったパスの連
続回数の平均を比較した。(2分間の制限時間の中で連続してパスが成功した最高回数)
第3時の平均
9.3回
→
第9時の平均
15.9回
第9時は12チームの中の最高回数が23回だったので、突出して記録がよかったチームが
あったわけではない。第3時のころは輪の外へボールが出ていくことが多かったが、第9時で
は児童一人一人のボールコントロールの技能が向上したため、輪の中でパスを回すことができ
るようになってきた。
これらの結果から、本実践によって、児童のソフトバレーボールの技能向上が図られたとい
える。
③
コミュニケーションを取り合ったことが技能向上に役立ったと自己評価した児童の割合
単元終了時の振り返りの際に実施した。コミュニケーション活動は、先述のとおり「チーム
ミーティング」「アドバイスカード」、そして、道徳で学習したチームの雰囲気を高めるための
励まし合いなども含まれる。
○レシーブやトスが上手になったか
「上手になった」
「やや上手になった」
45名(90%)
5名(10%)
その理由(複数選択)
「道徳の学習をして励まし合ったり声を出し合ったりしたから」
40名(80%)
「チームミーティングをしたから」
36名(72%)
「アドバイスカードをもらったから」
48名(96%)
理由の選択肢の中には「たくさん練習をしたから」という項目もあったが、選択したのはわ
ずか18名(36%)だった。どんな運動も練習を重ねれば多少は技能も向上するだろうが、
様々なコミュニケーション活動に取り組んでいくことで、より楽しさを実感したり技能が向上
したりすることを示す結果であるといえる。
(4)
①
今後の課題
効果的な道徳授業のための自作資料作成
本実践では、チームの雰囲気やコミュニケーションスキルを高めるための道徳授業を実施し
た。指導の効果をより高めるために、児童の発達段階や実態を考慮してロールプレイングを取
り入れたり、自作資料を作成したりした。自作資料は文字どおり一から資料を自作しなくては
ならず、児童の心に染み込むような効果的な資料をつくり出すことへの難しさを感じた。道徳
副読本等で効果的な資料があればそれを使えるが、より児童の実態に即した自作資料には及ば
ないと思う。
チームの雰囲気やコミュニケーションスキルを高めるために道徳授業を関連させることは有
効であるが、そのためには道徳授業の資料を自作しなければならない点が大きな課題である。
②
運動量の確保
チームミーティングやアドバイスカードなどのコミュニケーション活動を重視したため、体
育の授業の中には必ずそれらを取り入れた。特に、第3時以降は1時間の授業の中で2回のチ
ームミーティングを行った。ミーティングで話し合ったことをすぐに実践できるよさがある反
面、時間の関係で運動量の確保が難しかった。
「コミュニケーション活動を重点に置く時間」
「運
動量を確保する時間」に分けるなどの指導計画の見直しが必要である。
③
アドバイスカードを書く視点
アドバイスカードは非常に有効だったが、アドバイスを書く視点を技能面と態度面に設定し
たため、見て善し悪しが分かりやすい態度面のアドバイスが多くなる傾向があった。児童が的
確なアドバイスができるよう、その時間のめあてを考慮しながら、より明確にアドバイスを書
く視点を示す必要があると感じた。
資料1
10月11日
道徳
4年(
)組
名前(
)
☆なわにひっかかって落ちこんでいるたかしさんに、あきおさんは、どんな言葉をかけ
ればよいと思いますか。
たかしさん
あきおさん
<今日のふりかえり>
・友だちのロールプレイングを( 一生けんめい聞いた ・ まあまあ一生けんめい聞いた )
・今日学習したことを、ふだんの生活やソフトバレーボールでつかってみようと思いましたか。
( 思う
・
やや思う
・
どちらともいえない ・
やや思わない
・
思わない
【その理由】
友達のことを考えて力を合わせるには、どんなことが大切だと思いましたか。
)
<おはなし>
1週間後のクラスたいこう大なわとび大会へ向けて、4年3組のみんなは昼休みに
練習をしていました。大なわとび大会は、1分間にどれだけとべるかを競います。4
年3組の目標は、100回でした。1分間で100回とぶには、1回も失敗できませ
ん。これまで何回もちょうせんしてきましたが、まだ100回をとぶことはできませ
んでした。
しかし、今日はみんなの調子がいいようです。何回目かの練習で、ついに残り5秒
で95回まできました。回数を数えるみんなの声も大きくなります。「97、98…」
あと2回です。99回目は、たかしさんの番でした。
たかしさんがなわに入ったそのしゅんかん、「バシ
ッ」という音がしました。なわが足に当たった音でし
た。ひっかかってしまったのです。
「あー!」みんなは
悲鳴のような大きな声を出しました。
「ピーッ」終了の
笛が鳴りました。記録は、98回。それまでの記録は
89回だったので、最高記録は出したことになります。
でも、みんなは「あと少しだったのに!」「あーあ…」
などと、くやしい気持ちと残念な気持ちを表していま
す。
たかしさんは、今にも泣き出しそうな表情で、かたを
落としています。実は、今まで何回もたかしさんの番
でひっかかることが多かったのです。そんなたかしさ
んのところへ、あきおさんが近づいて行きました。