ふたば新聞 No.10

とができなかった。死ぬと無になる、二度と会えないと思っていた。死は無になることではない、ゼロでは
ふたば新聞 No.10 夏号
ないと言われたが信じられなかった。だけど二度と会えないと思うと悲しみから立ち直れなかった。そして
会えないかもしれない、だけどもしかしたらもう一度会えるかもしれないと思うようになった。2 年たってや
っとここに来ることができた。今では泣くこともほとんどなくなって、おいしいものも食べたいと思うようにな
り、夫の名前をつけた猫と仲良く暮らしている。」
皆様いかがお過ごしでしょうか。今年は残暑が厳しく、8 月は暑い日々が続きました。病棟では夏祭りが
盛大に行われ、たこ焼きやカキ氷、ヨーヨーつりや盆踊りなどをして、みんなで楽しいひと時を過ごしまし
た。
ほかにも貴重なご家族の話を伺いながら、みんなで泣いたり、笑ったりという時間をすごしました。同じ
苦しみ、悲しみを体験した仲間同士、『また会える』と信じることのできるような時間となりました。
悲しみの中から、苦しみながらも、成長していかれるご家族の姿に力をもらいながら、スタッフもまた元
気に働いています。今回参加されなかったご家族様も、ぜひ次回参加していただき一緒に泣いたり笑った
りして、少しでも元気になっていただければと思っています。
☆参加されたご家族のアンケート結果&声をお届けします☆
参加数
23名(14組うち子供2人)
回収枚数 21枚
回収率100%
*参加してよかったか
よかった 20
どちらともいえない 1
良くなかった 0
どちらともいえない 4
参加しなくてよい 1
*今後も参加したいか
参加したい 16
2006年7月1日第 10 回ふたばの会が開催され、2005 年 8 月から 12 月に緩和ケア病棟でご家族をなく
された14組23人のご家族が参加されました。今回は長期間入院された患者様のご家族が多いこともあり、
皆さんお互いに顔見知りの方が多く、再会を喜びながら、みんな家族のような雰囲気の会となりました。
はじめにスタッフによる紙芝居と合唱『千の風に乗って』を聞いていただいた後、各テーブルに分かれ、
お茶やコーヒーを飲みながら、ご家族で自己紹介とお互いに大切なご家族をなくされたという体験の苦し
みをわかちあいながら現在の生活や心境などについて報告しあいました。
各テーブルから代表で話していただけた家族のお話しのご紹介をします。
・Tさんのお話(妹さんをなくされました)
「死は私たちから離れた特別なものと思っていた。けれど家族と共に妹が最後の時を迎えるとき、妹は家
族の愛情をうけながら生きてきたように旅立って行った。妹は私たちを笑いながら天国で待っていてくれる
と確信した。妹の死の体験を通してすばらしい時間が与えられた、妹に与えられたようなすばらしい時間
が私たちにも与えられると信じることができた。だから寂しくない、また会えると信じている。以前は辛い思
い出を思い出すのではないかと緩和ケア病棟に来るのが怖かった。来てみると不思議と暖かく、辛い中で
も心温まる思い出の場所に変わっていた。」
・H さんのお話(夫をなくされました)
「亡くなった主人に二度と会えないと思うと辛くて、1年たっても悲しくてなかなかこのふたばの会にくるこ
*会へのお誘いは時期として適切だと思われますか?
早い 0
丁度良い 21
遅い 0
*今後家族同士の交流の場が必要か
必要 18
どちらともいえない 3
必要でない 0
*これからの生活を、心落ち着いて出来そうか。
出来そう 18
出来ない 0
どちらともいえない 2
無記入 1
*悲しさや寂しさを一緒に話せる人はそばにいますか?
いる 16
いない 3
どちらともいえない 0
無記入2
*会に参加しての感想(アンケートより)
・懐かしい方達との再会もあり楽しく、気持ちを整理する良いきっかけにもなった。
・改めて悲しい気持ちになり、少し戸惑っている。でも、きっと良かったと家に着いたら感じると思う。
・心強く思った。
・同じ時期に励ましあった方と会えるので嬉しかった。
・行き届いた配慮だと思う。
・懐かしく嬉しく思う。感謝している。
・皆さんに覚えてもらっていることが嬉しい。
あなたは愛する人にこの悲しみを味あわせることがなかったのです。
・短い期間しかお世話になっていなかったにも関わらず、祖父の性格を理解してくれていて感激した。
2、もはや、その人はこの世のあらゆる苦しみから逃れました
・参加できてよかったが音楽会を同時に行って欲しかった。
この世の悲惨さや残酷さから、悲しみや苦しみから、痛みから忍耐から、その人は、いまや、あらゆる束縛
・参加できて元気をもらった。
から自由になりました。いまは、天使や神の近くにいて幸せなのかも知れません。
・大切な友人ができて前向きに生きていける気がする。
3、その人の優しさ、温かさはあなたの中に受け継がれました
・良い出会いができて感謝している。
その人のことを思い出すとき、その人の優しく温かいシーンばかりが思い出されませんか?あの時に、こ
んなふうに優しい言葉をかけてくれた、こんなふうに気遣ってくれた、というように。生きている間は口げん
会の参加に加え、アンケートご協力ありがとうございました。参加された中には「時期が早い」と思われて
かもしたし、鼻につくところもあったはずです。でも、もうその人は栄誉ある天国の住人ですから、人々に美
いる方もおられました。欠席された方の中にもまだまだ辛い気持ちで過ごされている方もいらっしゃいます。
いい思い出だけを振りまいているのです。こうして、あなたの心の中には、美しい記憶ばかりが残っていく
開催時期・会の内容など今後も検討を重ねていき皆様と共に歩める会でありたいと思います。
のです。
♪参加したスタッフからのコメント♪
【ボランテイア山下さん】
ご遺族は、この病棟で痛みがコントロールされ、その人らしく生きることができ「ここに来られてよかっ
その人の優しさ、温かさはあなたの中に受け継がれました。
♪新しいスタッフの紹介♪
<医師:木元先生>
た」という感謝の気持ちで参加されながらも、「ここに来るとまだ辛い」と笑顔で涙されます。そんな気持ち
今年の5月より緩和ケア病棟で勤務している木元道雄です。これまで20年以上外科医として癌になられ
を表せることができる「ふたばの会」の必要性を改めて感じました。今回は音楽活動に参加されたご遺族
た方々の治療にたずさわってきましたが、これまでの外科の知識も生かしながら緩和治療を専門に行うこ
の方が多く、患者様やご家族、その場を共有された方々の絆を深めた大切な場であったことを伺いました。
とになりました。心ならずも病気になられた方々にその人らしく過ごしていただくためのお手伝いが少しで
それぞれの音楽がグリーフケア(悲嘆のケア)になる事を願っています。
もできればと思っております。宜しくお願いします。
【看護師花浦さん】
<看護師:土江さん>
今回の遺族会は第10回という節目の会でもありました。私は司会という役割を与えて頂き、自己
4 月から緩和ケア病棟で働きはじめて 4 ヶ月がたちました。分からないことばかりですが、病棟のお姉さ
成長へと繫がり様々な課題を考えされられました。今回の節目を機に原点に戻り、遺族会の質の向上
んたちに助けてもらいながら奮闘しているところです。人生について、家族について、生きることについて、
のためスタッフでの話し合いの場が必要とされます。
日々患者様やご家族に教わり、考えさせられる出会いがたくさんあります。これからも、貴重な出会いを大
♪「愛する人を亡くした人の為の 100 の言葉」①♪
この「愛する人を亡くした人の為の 100 の言葉」は、愛する人と死別し、悲しみに身を裂かれるような思いを
している人を慰め、力づけることを目的として書かれています。
書籍のほかインターネット上でも見ることができます。ここでは、その中から一部を抜粋してご紹介してい
切に、笑顔で頑張っていきたいと思います
★今後の活動について★
◎ 新聞の発送は、基本的に2年で終了と考えていますが、これからも支援は続けさせて頂きます
◎ ふたばの会は、将来ご家族の皆さまが中心となって活動できることを目標にしています。
きます。
1、 あなたがこの悲しみを引き受けることにより、その人はこのつらい悲しみを悲しむことがなかったのです
強い絆で結ばれた二人がいたとき、片方が先に旅立ち、片方が残されるのは、この世の宿命です。
人は必ず訣れなければならないと運命づけられています。悲しみを背負って生きていかなくてはいけないの
は、一人だけです。
ご意見や感想がありましたら、下記までご連絡ください。
担当 亀井 角田 大池
住所;高槻市阿武野1−1−1 高槻赤十字病院 緩和ケア病棟
電話;072−692−7915 (病棟直通)
(平成 18年 8 月 作成)