修 士 論 文 の 和 文 要 旨 大学院 電気通信学研究科 氏 論 要 名 文 題 香川 恭介 博士前期課程 システム工学専攻 学籍番号 0535011 目 複数のストレスが存在する場合の最適な加速寿命試験計画 旨 近年、製品の不具合による事故が多発している。その一因として、製品の開発 段階での信頼性試験の結果と実際の使用環境での信頼性が必ずしも一致しない事 が挙げられる。製品の寿命は温度・湿度等の様々な環境要因によるストレスに大 きな影響を受けるため、それらを考慮に入れた信頼性試験が必要とされている。 しかしながら、従来の信頼性試験は単一のストレスに着目する事がほとんどで ある。ストレスの強度と故障するまでのすストレスの回数の関係を表すS-N曲線を 描く場合も、それは同様である。Escobar and Meeker (1995)は、複数のストレス が存在する、場合の最適試験計画の提案をしているが、S-N曲線への応用について は言及されていない。 本研究では、劣化モデルを元に製品の寿命を表す確率分布がワイブル分布に従 うと仮定し、尺度パラメータがストレスに依存する加速試験モデルを扱っている。 尺度パラメータは、逆べき乗則に従うストレス S と、アレニウス則に従う温度に よるストレス E に依存すると仮定し、形状パラメータはストレスに依存しない未 知パラメータとする。 モデル中の未知パラメータを最尤法により推定した場合に、最も推定精度が良 くなる試験方法を検討した。推定精度の尺度として、期待フィッシャー情報量行 列の逆行列を計算する事により得られる漸近分散を用いた。推定対象となる全て のパラメータの漸近分散が最小となる場合の条件を求めることにより、最適な試 験計画を導出した。 研究の結果、以下のような条件で最適な試験が行えることが分かった。 ・ ストレス S とストレス E はそれぞれ2つの水準で試験を行う(それぞれの水準 を S 1 , S 2 と E 1 , E 2 とする)。 ・ S 1 , S2 と E 1 , E 2 はそれぞれ可能な限り離れた値を設定する。 ・ 「 S 1 と E 2 」 、 「 S 2 と E 1 」 と いう 組合 せ での 試験 を 行わ ず、 「 S 1 と E 1 」 と 「 S 2 と E 2 」の組合せに総試験片数を当配分にして試験を行う。 ・ log( S 1 )/ E 1 = log( S 2 )/ E 2 が成り立つようにストレス水準を設定する。 以上のような条件に従い信頼性試験を行うことにより、最も推定精度の高い信頼 性試験を実施し、S-N曲線が描ける事が示せた。
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