増えている乳がん 外科部長 広瀬宣明 日本人女性の25∼30人に一人が乳がんになると言われています。30∼ 50歳代では、がん死亡の一位で、罹患率(りかん率=かかる率)は女性の がんの中でトップです。増えている要因として食生活の欧米化があげられま す。日本人と日系アメリカ人を比較して日系アメリカ人の罹患率が高いとい うデータもあります。この他、女性の社会進出に伴い、初婚年齢が高くなっ たことやストレスが増えたことなども要因と考えられます。 乳がんの特徴と治療法 乳がんも、他のがんと同様、早く治療しなければ手遅れになります。ただ、 乳がんには化学療法やホルモン療法など薬物を使った治療が効きやすい特 徴があるため、手術とあわせて薬物療法や放射線療法を行なうことで、効果 を上げることができます。 早ければ乳房を残せる 乳がんの手術は、以前は乳房を完全に取っていましたが、今は、取り除く部 分を最小限におさえて乳房を残す「乳房温存療法」が可能になり、手術後の 精神的苦痛も軽減されます。また、以前はわきの下のリンパ節も必ず手術し ていましたが、事前の検査結果がよければその必要もありません。 早期発見のために 早期発見のため月に一度は自己検診を行ないましょう。手で触ってみて、乳 房やわきの下にシコリがある場合や、乳頭がただれたり血性の分泌物がある 場合、また、乳がんは痛みがないことが多いのですが、痛みがある場合も精 密検査が必要です。早期発見にはマンモグラフィー(乳房X線撮影)が有効 です。厚生労働省も40歳以上の女性にはマンモグラフィー検診を実施する よう勧告しており、2005年度から福岡市の乳がん検診にも採用されまし た。30代の女性には乳腺エコー(超音波)検査を併用した検診が威力を発 揮します。下記にあてはまる方には、年に1回のマンモグラフィーを使った 検診をお勧めします。 ・40歳以上 ・30歳以上で未婚 ・初産年齢が30歳以上 ・閉経が55歳以降 ・肥満(標準体重+20%以上)・良性の乳腺疾患にかかったことがある ・乳がんにかかったことがある・母、姉妹など家族が乳がんになった
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