生活科学研究誌・Vol. 4(2005) 《居住環境分野》 ぼやけ視と霧視の再現における効果と有効性に関する比較研究 - 環境シミュレーターのための視覚障害の再現実験 今村 顕*1、森 一彦*1、八田 真助*2、宮野 道雄*1 *1 大阪市立大学・生活科学研究科 国立岐阜工業高等専門学校建設工学専攻 *2 Comparative Research into the Effectiveness and Availability of Reproduced Clouded and Blurred Visions ― Experiments of Reproduced Visual Impairments for Environmental Simulator Satoshi IMAMURA *1, Kazuhiko MORI *1, Hatta SHINSUKE *2 and Michio MIYANO *1 Graduate School of Human Life Science, Osaka City University Advanced Engineering Courses, Dept. of Architecture, Gifu National College of Technology *1 *2 Summary We reproduced low vision, a popular visual impairment in aged people, and studied its effectiveness and availability to be applied as environmental simulator. Two types of low vision were reproduced, clouded and blurred visions and the following were observed. Using the clouded vision filter, it was found out that a clue like the shape or color and light were easy to obtain and therefore making the environment easier to distinguish. Using the blurred vision filter(uniformly), subjects could hardly get the clue, therefore making the distinction of the environment difficult. Using the blurred vision filter (spotty), the mistaken image was found out when the subjects got a partial clue. Keywords:visual impairment(視覚障害), environmental simulation(環境シミュレーション) nursing home(高齢者施設) 1 .背景と目的 て Wayfinding Active Simulation System(WASS)の開 近年、高齢者人口の増大により、住みよい環境作り 発を行い、その有効性に関する研究を行ってきた 7 )8 )9 )。 に関する問題解決は急務である。高齢者施設改善におい WASS の利点としては汎用性の高い mpeg 形式のファイ ては、すでに PEAP 等 ルを媒体として使用できる点にあり、媒体に対して様々 1)2) の様々な指針によって、一 般的な高齢化の症状に対する高齢者の支援が行われて なフィルタ処理をほどこすことが可能である。 いるが、実際の症状としては様々であり、きめ細やかな そこで、本研究では、多面的な環境評価を行える環境 対応が望まれる 3 )。従って、多面的な環境評価が必要で シミュレーターへの応用を目的として、高齢者に見られ あり、そのための環境計画手法としては厳密な統制が行 る主な視覚障害としての弱視に着目して再現し、その効 え、かつ繰り返し実験を行うことができる環境シミュレ 果と有効性について検討を行った。具体的には Adobe 社 ーションが有効であると考えられる。これまで環境シミ の After Effects 6 . 5 を使用して弱視の再現を行い、再 ュレーションでは、写真 4 ) やビデオ 5 )、近年では特に 現した画像を用いて視力測定と 1 対比較実験を行い、そ CG の効果と有効性についての検討を行った。 6) によるシミュレーションを用いた実験が多く行わ れている。我々は CG とビデオ映像を媒体として扱える インタラクティブな環境シミュレーションシステムとし ( ) 1 生活科学研究誌・Vol. 4(2005) 2 .方法 まで10% づつ濃度を変えた10種類を準備した。10% の濃 2 - 1 .弱視の再現 度の霧視(まだら)を霧視(まだら)10とし、同様に10 弱視は視野全体がぼやけて見える他覚的病変の見つ 種類の霧視(まだら)フィルタを定義した。霧視(まだ からない視覚障害 ら)フィルタも特性は霧視(均一)フィルタと同様であ 10) と定義されているが、近年では視 覚は視力(網膜の解像度)、水晶体の調節力、視野、ま るが、重ね合わせたスクリーンがまだらであることから、 ぶしさ(ぼやけも含む)、眼球の運動機能、見る人の認 部分的には対象を認識することができる。 知能力・心理的状態で変化することを前提として扱わ 実験においては、これらと元画像をフィルタのかけら れており、弱視の意味する含有範囲は広いものとなって れていないフィルタ無し画像として加えた、合計34種類 いる。そこで、本研究では高齢者に多く見られる症状と の画像を用いた。 して老眼と白内障に着目し、ぼやけ視と霧視の 2 種類の 弱視を再現することにした。視覚障害の再現を行うに当 2 - 2 .被験者 たり眼科医の助言を元に、ぼやけ視は水晶体の調節異常 本研究では視覚障害の再現に関する基礎的な知見を得 によってどこにも焦点が合わず、色調の変化はないが視 ることを目的としており、日常生活において視力に問題 野全体がぼやけた状態。霧視は水晶体の白濁により、コ のない学生を被験者とした(男10名、女10名、19 ∼ 21歳、 ントラストが低下し、ものがかすみ、全体的に霧がかか 平均年齢22. 8 歳)。 ったように白っぽく見える状態とし、Adobe 社の After Effects 6 . 5 のエフェクト機能を用いて、実験対象施設 2 - 3 .視力測定実験 を撮影した画像を編集した。霧視に関しては眼科医の 視角をθとする時、視力(V)= 1 / θ(分)とする 助言によりまだらにエフェクトがかかるものを作成した ランドルト環の定義に従って視力検査画像を作成し、ぼ が、シミュレーションにおける再現として統制のとりや やけ視、霧視(均一)、霧視(まだら)のフィルタ処理 すい均一にエフェクトがかかるものも用意した。 を行ったものと、フィルタのかけられてないフィルタ無 ぼやけ視は After Effects 6 . 5 上でエフェクトコマン し画像を加えた計13種類の視力検査画像使用し、被験者 ドのブラー & シャープのブラー(滑らか)を使用して をノートパソコンのモニタから 2 メートル離れた位置に 画像のぼけを再現した。上記コマンドの値を14段階設定 座らせ、モニタに映し出される視力検査用の画像を評価 して14種類のぼやけ視画像を作成した。コマンドの値が させた。 4 のぼやけ視をぼやけ視004とし、同様に全14種類のぼ 13 やけ視フィルタを定義した。ぼやけ視080の状態では柱 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 等のエッジはおおまかにしか保たれておらず、細かなサ イン等の認識は難しい。色彩や形態は、特に光や面積の 広い部分で保たれており認識することが可能である。 霧視は、元画像に白のスクリーンを重ね合わせること で再現した。また、スクリーンの形状を均一なものとま だらなもの 2 種類を用意し、均一な白いスクリーンを重 ね合わせたものを霧視(均一)、まだら状のスクリーン を重ねあわせたものを霧視(まだら)とした。重ね合わ 図 2 .視力検査画像 せる濃度は 0 % から100% まで設定可能であるが、霧視 (均一) の場合100% の濃度で重ねると、 真っ白になるため、 90% まで10% づつ濃度を変えた 9 種類を作成し、10% の 2 - 4 . 1 対比較実験 濃度の霧視(均一)は霧視(均一)10とし、同様に霧視(均 高齢者施設内の廊下の画像から、17組の同じ写真の組 一)フィルタを 9 種類定義した。霧視(均一)90の状態 み合わせと17組の異なる写真の組み合わせの合計34組の ではコントラストが低く、色彩はほぼ保たれていない。 1 対画像を作成しフィルタ処理を行った。従って、ぼや 霧視(均一)フィルタではぼやけ視のようにぼかしはか け視14種類×34組、霧視(均一) 9 種類×34組、霧視(ま からないため、柱等のエッジは保たれるが、霧視(均一) だら)×34組とフィルタ無し画像× 1 組を合計した1156 90になるとコントラストの低下によってエッジは認識し 枚を提示し、被験者に 1 対画像が同じか否かを判断させ づらくなる。霧視(まだら)フィルタは10% から100% た。 ( ) 2 今村・森・八田・宮野:ぼやけ視と霧視の再現における効果と有効性に関する比較研究-環境シミュレーターのための視覚障害の再現実験 フィルタ無し ぼやけ視004 ぼやけ視024 ぼやけ視050 ぼやけ視008 ぼやけ視028 ぼやけ視060 ぼやけ視012 ぼやけ視032 ぼやけ視070 ぼやけ視016 ぼやけ視036 ぼやけ視080 ぼやけ視020 ぼやけ視040 霧視(均一)10 霧視(均一)40 霧視(均一)70 霧視(均一)20 霧視(均一)50 霧視(均一)80 霧視(均一)30 霧視(均一)50 霧視(均一)90 霧視(まだら)10 霧視(まだら)50 霧視(まだら)80 霧視(まだら)20 霧視(まだら)60 霧視(まだら)90 霧視(まだら)30 霧視(まだら)70 霧視(まだら)100 霧視(まだら)40 図 1 .フィルタ一覧 ( ) 3 生活科学研究誌・Vol. 4(2005) 実験は JAVA 言語によるアプリケーションを用いて、 るが、被験者の視力との平均の差が 0 . 2 であったこと 画像の提示と同時に被験者の回答内容及び回答時間の記 を考慮すると、実際には霧視(均一)80以上から霧視(均 録を行った。また、系列位置効果を考慮し、 1 対の種類 一)フィルタは効果を示し、視力検査結果を低下させる とフィルタの種類数を同一条件にした34試行に分け、各 と考えられる。霧視(均一)フィルタによるコントラス 試行の間に 1 分間の休憩をはさみ実験を実施した。 トの低下では、ぼやけ視フィルタのように直接は最小分 離閾には影響しにくいが、霧視(均一)80以上のコント 3 .結果と考察 ラストが低下した状態ではエッジの判断がしづらくなる 3 - 1 .視力測定実験 と考えられる。 3 - 1 - 1 .被験者の申告視力とフィルタ無し画像との結 霧視(まだら)では霧視(均一)の結果と同様に、被 果比較(表 1 ) 験者の視力との平均の差を考慮すると、霧視(まだら) 表 1 は被験者が申告した視力とあわせて、フィルタ無 90以上から効果を示すと考えられるが、その効果は霧視 し画像の視力測定結果を示している。実験では両眼での (均一)よりも若干弱い。 視力測定を行っており、被験者の左右の申告視力の平均 霧視(まだら)フィルタも霧視(均一)フィルタ同様 との比較を行った。両者の差の平均は 0 . 2 で、申告視 にコントラストを低下させるが、フィルタがまだらであ 力とフィルタ無し画像の視力測定結果に関して、t 検定 るために、霧視(均一)フィルタよりも効果が弱まった を行ったが有意差はみられなかった(p> 0 .528)。 と考えられる。 表 1 .被験者データとフィルタ無し画像の結果 被験者 No.01 No.02 No.03 No.04 No.05 No.06 No.07 No.08 No.09 No.10 No.11 No.12 No.13 No.14 No.15 No.16 No.17 No.18 No.19 No.20 性別 年齢 右 左 フィルタ無し 申告視力との差 女 22 1.2 1.2 0.9 0.3 女 22 1.2 1.2 0.8 0.4 女 23 0.7 1.0 1.0 0.2 女 22 1.2 1.2 1.2 0.0 女 22 0.5 0.5 1.0 0.5 女 22 1.5 1.5 1.5 0.0 男 22 1.2 1.5 0.9 0.5 女 22 1.5 1.5 1.2 0.3 女 23 1.2 1.2 0.9 0.3 女 22 1.2 1.2 1.0 0.2 男 23 1.2 1.5 1.5 0.2 男 23 1.0 1.0 1.0 0.0 男 23 1.0 1.0 1.0 0.0 女 23 1.5 1.5 1.0 0.5 男 24 1.2 0.1 1.0 0.4 男 23 0.7 0.7 0.9 0.2 男 22 1.2 0.8 1.0 0.0 男 24 1.2 1.2 1.2 0.0 男 26 0.8 0.8 1.0 0.2 男 23 0.7 0.7 1.0 0.3 平均 22.8 1.1 1.1 1.1 0.2 フィルタ名 矯正 コンタクト 眼鏡 コンタクト コンタクト コンタクト コンタクト コンタクト 無し コンタクト コンタクト コンタクト コンタクト 眼鏡 コンタクト 無し コンタクト コンタクト コンタクト 眼鏡 眼鏡 3 - 1 - 2 .各フィルタ画像の視力測定結果(図 3 ) 図 3 は視力測定結果において、フィルタ無し画像の結 果を基準とし、各フィルタ処理画像の変化量を示す。図 中には分散分析を行い(ぼやけ視・霧視(均一) ・霧視(ま だら)ともに p< 0 .01)、フィルタ無し画像に対する多重 比較を行った結果を併せて示した。 ほとんどのぼやけ視フィルタ画像でフィルタ無し画像 との有意差がみられた。また、フィルタの強さに反比例 し視力検査結果は低下している。視力検査では線と線の 最小分離閾を測定しているが、ぼやけ視フィルタはピン トをぼかす効果があり、そのため、検査画像の線と線の エッジがぼやけ、ぼやけ視フィルタの効果の度合がその まま検査結果に反映されたと考えられる。 霧視(均一)では霧視(均一)20、霧視(均一)80、 霧視(均一)90で有意差がみられた。霧視(均一)20で はフィルタ無し画像よりも視力検査結果がよくなってい ( ) 4 ぼやけ視004 ぼやけ視008 ぼやけ視012* ぼやけ視016* ぼやけ視020* ぼやけ視024* ぼやけ視028* ぼやけ視032* ぼやけ視036* ぼやけ視040* ぼやけ視050* ぼやけ視060* ぼやけ視070* ぼやけ視080* 霧視(均一)10 霧視(均一)20* 霧視(均一)30 霧視(均一)40 霧視(均一)50 霧視(均一)60 霧視(均一)70 霧視(均一)80* 霧視(均一)90* 霧視(まだら)10 霧視(まだら)20 霧視(まだら)30 霧視(まだら)40 霧視(まだら)50 霧視(まだら)60 霧視(まだら)70 霧視(まだら)80 霧視(まだら)90* 霧視(まだら)100* -1.0 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 フィルタ無し画像に対する視力の増減 ※フィルタ無し画像に対する有意確率 *:p<0.05 図 3 .各フィルタの視力検査結果 今村・森・八田・宮野:ぼやけ視と霧視の再現における効果と有効性に関する比較研究-環境シミュレーターのための視覚障害の再現実験 3 - 2 . 1 対比較実験 回答時間 (h:m:s) 00:00:05 3 - 2 - 1 .各フィルタの 1 問当たりの回答時間(図 4 ∼ 6) 図 4 ∼ 6 は各フィルタ処理された画像に対する正誤 を判断するまでにかかった時間のばらつきを図示したも 00:00:04 のである。図中には分散分析を行い(ぼやけ視・霧視(均 一)・霧視(まだら)ともに p< 0 .01)、フィルタ無し画 像に対する多重比較を行った結果を併せて示した。 00:00:03 ぼやけ視フィルタではフィルタ無し画像との有意差は みられなかった。この結果からは、ぼやけ視フィルタの 強弱が回答時間に影響したとは考えにくい。回答時間は 00:00:02 2 枚の画像の正誤を判別する手掛かりを探す時間である ともいえ、ぼやけ視フィルタをかけても、判別のための 手掛かりは探すことができ、そのため、回答時間にはそ っている。このことから霧視(均一)70以上のコントラ 霧視(均一)90* 霧視(均一)80* 霧視(均一)70* 霧視(均一)60 霧視(均一)50 霧視(均一)40 霧視(均一)30 し画像との有意差がみられ、明らかに回答時間が長くな 霧視(均一)20 フィルタ無し 霧視(均一)では霧視(均一)70以上でフィルタ無 霧視(均一)10 00:00:01 れ程影響しなかったと考えられる。 ※フィルタ無し画像に対する有意確率 *:p<0.05 ○印は極値を示す。 ストが低下した状態では画像の正誤を判断する手掛かり 図 5 .回答時間 - 霧視(均一) を探しづらくなっているといえる。霧視(まだら)では 霧視(まだら)100でフィルタ無しとの有意差がみられ、 回答時間 (h:m:s) 00:00:05 コントラスト低ければまだらであっても、画像の正誤の 判断をする手掛かりを探しづらくなるといえる。しかし ながら、霧視(まだら)100では霧視(均一)ほどの回 答時間の延びはみられなかった。 00:00:04 回答時間 (h:m:s) 00:00:05 00:00:03 00:00:04 00:00:02 00:00:03 霧視(まだら)100* 霧視(まだら)90 霧視(まだら)80 霧視(まだら)70 霧視(まだら)60 霧視(まだら)50 霧視(まだら)40 霧視(まだら)30 霧視(まだら)20 フィルタ無し 00:00:02 霧視(まだら)10 00:00:01 ※フィルタ無し画像に対する有意確率 *:p<0.05 ○印は極値を示す。 ぼやけ視080 ぼやけ視070 ぼやけ視060 ぼやけ視050 ぼやけ視040 ぼやけ視036 ぼやけ視032 ぼやけ視028 ぼやけ視024 ぼやけ視020 ぼやけ視016 ぼやけ視012 ぼやけ視008 ぼやけ視004 フィルタ無し 00:00:01 ※フィルタ無し画像に対する有意確率 *:p<0.05 ○印は極値を示す。 図 4 .回答時間 - ぼやけ視 図 6 .回答時間 - 霧視(まだら) 3 - 2 - 2 .回答時間と提示画像(図 7 ∼ 9 ) 図 7 ∼ 9 は提示した34組の画像に対する各フィルタ の回答時間を図示したものである。 ぼやけ視フィルタでは、ひとつの提示画像に対して、 ( ) 5 生活科学研究誌・Vol. 4(2005) ひとつのフィルタでのみ回答時間が長くなっている例が フィルタがまだら状にしかかかっておらず、のぞきみえ みられるが、一つのフィルタが複数の提示画像の回答時 る部分もあるために提示画像の正誤を判断するための手 間を延ばしている例はみられず、ぼやけ視フィルタが回 掛かりを入手しやすく、ぼやけ視、霧視(均一)フィル 答時間に与えた影響は少なかったと考えられる。よって、 タよりも回答時間が短くなったと考えられる。 被験者はぼやけ視フィルタのかかった状態であっても、 提示画像の正誤を判断するための手掛かりを特に時間を 3 - 2 - 3 .各フィルタ画像の正解率(図10 ∼ 12) かけることなく入手できていたと考えられる。 図10 ∼ 12は各フィルタの正解率を図示したものであ 一方、霧視(均一)フィルタの濃度が高いものは、提 る。図中には分散分析を行い(ぼやけ視・霧視(均一) 示画像によらず、回答時間が長くなっている。濃度の高 p< 0 .01、霧視(まだら)p< 0 .05)、フィルタ無し画像 い霧視(均一)フィルタにおいては、その回答時間の延 に対する多重比較を行った結果を併せて示した。 びから、提示画像の正誤を判断する手掛かりを入手しづ ぼやけ視フィルタでは、ぼやけ視016のフィルタから らいと言える。 正解率は下がっており、ぼやけ視060、ぼやけ視070、ぼ 霧視(まだら)フィルタは 3 つのフィルタの中で回答 やけ視080ではフィルタ無し画像の結果と有意差がみら 時間に関して最もばらつきが少なく、フィルタ無しの場 れた。ぼやけ視060、ぼやけ視70、80でフィルタ無し画 合と似た結果となった。霧視(まだら)フィルタの場合、 像との有意差がみられるものの、正解率に大きな低下は フィルタ無し画像に対する回答時間(霧視(均一)10∼30) フィルタ無し画像に対する回答時間(ぼやけ視004∼020) 00:04.32 00:04.32 00:03.46 00:03.46 00:02.59 00:02.59 00:01.73 00:01.73 00:00.86 00:00.86 00:00.00 00:00.00 -00:00.86 -00:00.86 -00:01.73 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 1718 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 -00:01.73 提示画像番号 ぼやけ視004 ぼやけ視008 ぼやけ視016 ぼやけ視020 ぼやけ視012 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 1718 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 提示画像番号 霧視(均一)10 霧視(均一)20 霧視(均一)30 フィルタ無し画像に対する回答時間(霧視(均一)40∼60) 00:04.32 フィルタ無し画像に対する回答時間(ぼやけ視024∼040) 00:04.32 00:03.46 00:03.46 00:02.59 00:02.59 00:01.73 00:01.73 00:00.86 00:00.86 00:00.00 00:00.00 -00:00.86 -00:00.86 -00:01.73 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 1718 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 -00:01.73 提示画像番号 ぼやけ視024 ぼやけ視028 ぼやけ視036 ぼやけ視040 提示画像番号 霧視(均一)40 霧視(均一)50 霧視(均一)60 フィルタ無し画像に対する回答時間(霧視(均一)70∼90) 00:04.32 フィルタ無し画像に対する回答時間(ぼやけ視050∼080) 00:04.32 00:03.46 00:03.46 00:02.59 00:02.59 00:01.73 00:01.73 00:00.86 00:00.86 00:00.00 00:00.00 -00:00.86 -00:00.86 -00:01.73 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 1718 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 ぼやけ視032 -00:01.73 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 1718 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 1718 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 提示画像番号 提示画像番号 ぼやけ視050 ぼやけ視060 ぼやけ視070 霧視(均一)70 ぼやけ視080 図 7 .回答時間と提示画像 - ぼやけ視 霧視(均一)80 霧視(均一)90 図 8 .回答時間と提示画像 - 霧視(均一) ( ) 6 今村・森・八田・宮野:ぼやけ視と霧視の再現における効果と有効性に関する比較研究-環境シミュレーターのための視覚障害の再現実験 みられず、提示画像の正誤を判断する適切な手掛かりを 正解率 100% 得ることが可能であると考えられる。しかしながら、フ ィルタの設定値が上がると、手掛かりの精度は下がると 考えられる。 80 霧視(均一)フィルタでは、霧視(均一)80からフィ ルタ無し画像との結果に有意差がみられ、霧視(均一) 60 90では明らかな正解率の低下がみられる。霧視(均一) 80以上においては提示画像の正誤を判断するための手掛 かりを特に得づらく、霧視(均一)90においては手掛か 40 りをうまく見つけることが出来ていないのではないかと 考えられる。 20 霧視(まだら)フィルタでは、フィルタ無し画像に対 フィルタ無し画像に対する回答時間(霧視(まだら)10∼40) ぼやけ視080* ぼやけ視070* ぼやけ視050 ぼやけ視040 ぼやけ視036 ぼやけ視032 ぼやけ視028 ぼやけ視024 ぼやけ視020 ぼやけ視016 ぼやけ視012 ぼやけ視008 フィルタ無し ら)においては、フィルタがかからずに正常に見えてい ぼやけ視004 0 ルタほどの正解率の低下もみられなかった。霧視(まだ ぼやけ視060* して有意差はみられなかった。また、霧視(均一)フィ ※フィルタ無し画像に対する有意確率 *:p<0.05 ○印は極値を示す。 00:04.32 00:03.46 図 1 0 .正解率 - ぼやけ視 00:02.59 00:01.73 正解率 100% 00:00.86 00:00.00 -00:00.86 -00:01.73 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 提示画像番号 霧視(まだら)10 霧視(まだら)20 霧視(まだら)30 80 霧視(まだら)40 フィルタ無し画像に対する回答時間(調節異常50∼70) 00:04.32 00:03.46 60 00:02.59 00:01.73 00:00.86 00:00.00 40 -00:00.86 -00:01.73 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 提示画像番号 霧視(まだら)50 霧視(まだら)60 霧視(まだら)70 20 フィルタ無し画像に対する回答時間(調節異常80∼100) 00:04.32 00:03.46 霧視(まだら)80 霧視(まだら)90 霧視(均一)90* 霧視(均一)70 霧視(均一)60 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 提示画像番号 霧視(均一)50 -00:01.73 霧視(均一)40 -00:00.86 霧視(均一)30 00:00.00 霧視(均一)20 フィルタ無し 00:00.86 霧視(均一)10 0 00:01.73 霧視(均一)80* 00:02.59 ※フィルタ無し画像に対する有意確率 *:p<0.05 ○印は極値を示す。 霧視(まだら)100 図 1 1 .正解率 - 霧視(均一) 図 9 .回答時間と提示画像 - 霧視(まだら) ( ) 7 生活科学研究誌・Vol. 4(2005) 正解率 まったためと考えられる。 100% 霧視(均一)フィルタでは、霧視(均一)90では特に 多くの提示画像で不正解率が高くなっている。特に不正 解率の高い提示画像は異なる 1 対の提示画像を同じであ るとする誤りが多い。 80 霧視(均一)90といった特にコントラストの低い状態 では、判断のための手掛かりをうまく抽出できずに異な る画像も同じであると判断してしまうと考えられる。 60 霧視(まだら)では霧視(均一)ほど顕著な不正解率 の高まりはみられないが、グラフの密集具合からぼやけ 視フィルタよりも全般的に不正解率が高いといえる。画 40 像 No.25はいずれのフィルタでも不正解率が高いが霧視 (まだら)フィルタにおいては顕著に不正解率が高くな っている。その他、不正解率の特に高い提示画像には霧 20 視(均一)画像と同様に 1 対の異なる画像を同じである とする誤りが多い 霧視(均一)と同様に判断のための情報を抽出しづら い状況であるといえるが、正常に見えている部分もある ため、そこから手掛かりを入手できることで、霧視(均 霧視(まだら)100 霧視(まだら)90 霧視(まだら)80 霧視(まだら)70 霧視(まだら)60 霧視(まだら)50 霧視(まだら)40 霧視(まだら)30 霧視(まだら)20 霧視(まだら)10 フィルタ無し 0 一)とは正解率に差ができたと考えられる。また、その 一方で、ぼやけ視と霧視(均一)において、不正解率の 高くなった画像が霧視(まだら)において顕著になる例 がみられており、部分的な手掛かりしか得られない場合 に間違えやすい画像がフィルタがまだらであることによ ※フィルタ無し画像に対する有意確率 *:p<0.05 ○印は極値を示す。 ってより顕著になったと考えられる。 図 1 2 .正解率 - 霧視(まだら) 4 .まとめ る部分があり、そこから十分な手掛かりを見つけること 本研究では、多面的な環境評価を行える環境シミュレ ができたため、それほど正解率の低下が見られなかった ーターへの応用を目的として、高齢者に見られる主な視 と考えられる。 覚障害としてぼやけ視と霧視に着目して再現し、その効 果と有効性について検討を行った。その結果、以下のこ 3 - 2 - 4 .正解率と提示画像(図13) とが明らかになった。 図13は34組の提示画像に対する各フィルタでの不正解 ①ぼやけ視フィルタを用いることによって、色や光の大 率を図示したものである。また、不正解率が際立った提 まかな形等の彩度にかかわる手掛かりは環境の区別を行 示画像を併せて示している。 いやすく、入手しやすい手掛かりであることがわかった。 ぼやけ視フィルタでは一つの画像に対して、特定の設 また、ぼやけ視の状態ではピンぼけによって入手できな 定値のフィルタで不正解率が高くなっている。不正解率 い手掛かりも多いことから、彩度に関わる手掛かりに、 の高くなっている提示画像には同じ 1 対の画像を異なっ どれだけ適切に環境を区別できる情報が含まれているの ているとする誤りが多い。ぼやけ視フィルタでは設定値 かが重要である。 が高くなっても色や光の大まかな形は保持されやすいた ②霧視(均一)フィルタを用いることによって、コン め、判断のための手掛かりを入手しやすいと考えられる。 トラストの低い状態では手掛かりの抽出自体が困難とな 一方、同じ画像を異なっていると判断することが多い結 り、環境の区別をつけづらくなることがわかった。極端 果となったのは、設定値が高くフィルタが強いと入手で にコントラストが低い状態においてはエッジも判断しづ きない情報も多くなり、そのことを意識した被験者が同 らくなってしまうことから、窓やアルコーブなどの大き じ画像でも間違っているのではと判断しがちになってし な形態的特長が環境での手掛かりとして重要であると考 ( ) 8 今村・森・八田・宮野:ぼやけ視と霧視の再現における効果と有効性に関する比較研究-環境シミュレーターのための視覚障害の再現実験 フィルタ無し ぼやけ視004 100% 2 80 ぼやけ視080 霧視(均一)10 100% ぼやけ視008 40 ぼやけ視016 60 26 0 19 33 20 ぼやけ視020 ぼやけ視036 霧視(まだら)100 32 霧視(まだら)30 40 30 17 20 0 25 霧視(まだら)90 22 ぼやけ視024 15 3 ぼやけ視028 ぼやけ視032 霧視(まだら)40 霧視(均一)40 25 18 12 霧視(均一)30 8 霧視(均一)80 ぼやけ視040 霧視(まだら)20 80 60 0 25 ぼやけ視050 フィルタ無し 29 40 霧視(均一)90 20 ぼやけ視060 霧視(まだら)10 100% 霧視(均一)20 80 ぼやけ視012 60 ぼやけ視070 フィルタ無し 霧視(均一)70 霧視(均一)50 霧視(まだら)80 24 霧視(まだら)70 霧視(均一)60 No.2(同じ)ぼやけ視004 No.26(同じ)霧視(均一)10 No.17(違う)霧視(まだら)30 No.25(違う)ぼやけ視009 No.29(同じ)霧視(均一)20 No.22(違う)霧視(まだら)50 No.15(同じ)ぼやけ視028 No.33(違う)霧視(均一)30 No.24(違う)霧視(まだら)60 No.12(同じ)ぼやけ視032 No.25(違う)霧視(均一)50 No.25(違う)霧視(まだら)100 No.18(同じ)ぼやけ視050 No.3(違う)霧視(均一)60 No.30(違う)霧視(まだら)100 No.19(同じ)ぼやけ視060 No.8(違う)霧視(均一)80 No.32(同じ)霧視(まだら)100 霧視(まだら)50 霧視(まだら)60 図 1 3 .不 正解率と提示画像 えられる。 参考文献 ③霧視(まだら)フィルタでは、まだらにフィルタがか 1 )ユリエル・コーヘン、ジェラルド・D・ワイズマン かるという特徴から、手掛かりを断片的にしか得られな 著 / 岡田威海監訳、浜崎裕子訳 : 老人性痴呆症のた かった場合に間違えやすい画像が顕著となった。こうい めの環境デザイン , 彰国社(1995) った場所は能力の低下した高齢者にとっては迷いやすい 2 )児玉桂子、足立啓、下垣光、潮谷有二編 : 痴呆性高 場所と言え、特に情報補償が必要な場所であると考えら れる。 齢者が安心できるケア環境づくり、彰国社(2003) 3 )Lawton,M.Powell:Sensory Deprivation and Effect 今回の実験結果からはそれぞれのフィルタが環境改善 of the Environment on Management of the Patient のための指針を得る上で有効であることが明らかになっ with Senile Dementia,Clinic Aspect of Alzheimer's た。環境シミュレーションでは条件を統制した上で繰り Disease and Senile Dementia,Vol 1 .15,Raven 返し実験を行えることから、各種のフィルタを応用する Press,227-251(1981) ことによって、より多面的な環境評価が可能となり、環 4 )河村信治、玉川英則:フォトランゲージによる都市 境改善のために有益な知見を得ることが可能となると考 のイメージの形成プロセスに関する研究、日本建築 えられる。 学会計画系論文集、508、145−151(1998) ( ) 9 生活科学研究誌・Vol. 4(2005) 表 2 .実験結果のまとめ 実験項目 図表番号 ぼやけ視 霧視(均一) 霧視(まだら) 図3 ぼやけ視フィルタはピントをぼかす効果があ り、フィルタの強さに反比例して視力検査 結果は低下する。 霧視(均一)80以上から明らかな視力測定 結果の低下がみられることから、最小分離 閾は保持されやすいものの、極端にコント ラストが低い場合は判断が困難になる。 霧視(均一)と似た傾向にあるが、フィル タ効果がまだらにしかかからないため、効 果は薄まる。 図4∼6 回答時間にはあまり影響がみられず、ぼやけ 視フィルタでの大まかな形や色が判断の手掛 かりとなると考えられる。 霧視(均一)70以上では明らかな回答時間 の延びがみられ、判断のための手掛かりの 入手が困難となると考えられる。 回答時間から霧視(まだら)90以上で明ら かに判断のための手掛かりの入手が困難に なると考えられるが、霧視(均一)ほど困 難な状況ではないと考えられる。 図7∼9 回答時間の延びはフィルタの種類ではな く、画像の種類に対してみられており、弱 視フィルタは回答時間に影響しにくいこと から、判断のための手掛かりは入手しやす かったと考えられる。 霧視(均一)90ではいずれの画像においても 回答時間の伸びがみられ、明らかにフィル タの効果によって回答時間が延びていると 考えられる。 フィルタがまだら状であるため、フィルタ のかかっていない部分からの手掛かりの入 手が可能であることから、若干の回答時間 の延びはあるが、回答時間が延びる画像は フィルタ無しと似た傾向にあった。 図10∼12 正答率に顕著な減少傾向はみられず、大ま かな色や形がわかるだけでも正答率に大き く貢献すると考えられる。 霧視(均一)80以上で正解率の低下に有意 差あり。正解率が大きく低下することから 判断の手掛かりを見つけるのが困難である と考えられる。 フィルタがまだら状にしかかからないた め、正解率の大きな低下は見られなかっ た。 3-2-4.正解率と提示画像 被験者は限られた手掛かりで判断しなけれ ばならないことを理解していると考えら れ、迷いのためか、同じ画像を異なるとし てしまう間違いが多い。 コントラストの低い状態では判断の手掛か りの入手が困難であり、異なる画像を同じ ものであるとする間違いが多い。 ぼやけ視、霧視(均一)で正解率の低かった 画像が霧視(まだら)においては最も顕著に 正解率が低かった。 4.まとめ ぼやけ視フィルタを用いることによって、色 や光の大まかな形等の彩度にかかわる手掛か りは環境の区別を行いやすく、入手しやす い手掛かりであることがわかった。また、 ぼやけ視の状態ではピンぼけによって入手で きない手掛かりも多いことから、彩度に関わ る手掛かりに、どれだけ適切に環境を区別 できる情報が含まれているのかが重要であ る。 霧視(均一)フィルタを用いることによっ て、コントラストの低い状態では手掛かり の抽出自体が困難となり、環境の区別をつ けづらくなることがわかった。しかしなが ら、濃度が濃い状態においてもエッジは保 持されやすいことから、アルコーブなどの 大きな形態的特長がコントラストの低い環 境での手掛かりとして重要であると考えら れる。 まだらにフィルタがかかるという特徴か ら、手掛かりを断片的にしか得られなかっ た場合に間違えやすい画像が顕著となっ た。こういった場所は能力の低下した高齢 者にとっては迷いやすい場所と言え、特に 情報補償が必要な場所であると考えられ る。 視 力 測 定 実 験 3-1.2各フィルタに対する視力検査結 果 1 対 比 較 実 験 3-2-1.各フィルタの1問当たりの回答 時間 3-2-2.回答時間と提示画像 3-2-3.各フィルタ画像の正解率 図13 5 )河野俊樹、瀬田恵之、松本直司、鎌田和徳:動画像 を用いた街路景観評価に関する基礎実験について、 E- 1 分冊 ,899-900(2002) 8 )森一彦、野原裕介、柴田良一、小池啓高 : 探索型ビ 日本建築学会大会学術講演梗概集(1994) デオ環境シミュレーションの再現性に関する考察 - 6 )鄭在熙、奥俊信、舟橋國男、小浦久子、木田道宏: 実環境との探索行動比較実験、日本建築学会計画系 バーチャルリアリティを用いた街路景観の移行変化 と評価に関する研究、日本建築学会計画系論文集、 論文報告集、586、(2004) 9 )今村顕、森一彦、宮野道雄 : 高齢者施設における繰 503、163−169(1998) り返し経路探索と環境要素に関する研究、日本建築 7 )小池啓高、野原裕介、柴田良一、森一彦 : 建築空間 の経路選択シミュレーションシステムの開発に関す 学会計画系論文報告集、 10)丸尾敏夫、西信元嗣、増田寛:眼科学辞典、メディ る基礎的研究 , 日本建築学会大会学術講演梗概集, カル葵出版、192(1991) ぼやけ視と霧視の再現における効果と有効性に関する比較研究 - 環境シミュレーターのための視覚障害の再現実験 今村 顕、森 一彦、八田 真助、宮野 道雄 要旨:本研究では、多面的な環境評価を行える環境シミュレーターへの応用を目的として、高齢者に見られる主な 視覚障害として弱視と霧視に着目して再現し、その効果と有効性について検討を行った。その結果、以下のことが 明らかになった。弱視フィルタを用いることによって、色や光の大まかな形等の彩度にかかわる手掛かりは環境の 区別を行いやすく、入手しやすい手掛かりであることがわかった。霧視(均一)フィルタを用いることによって、 コントラストの低い状態では手掛かりの抽出自体が困難となり、環境の区別をつけづらくなることがわかった。霧 視(まだら)フィルタでは、まだらにフィルタがかかるという特徴から、手掛かりを断片的にしか得られなかった 場合に間違えやすいと考えられる画像が明らかとなった。 ( ) 10
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