受賞者:山野 友嵩

海霧の経路
― 局所的建築がもつ根源的構築プロセスの再考
山野友嵩
Tomotaka Yamano
2013 年度大江宏賞
2013 年度修士設計 最優秀賞
局所的建築とは都市部のような人口の集中する地域を
中心に、合理性や平等性といった多数派の概念が一般
解として確立される社会において、単純な要素、ある
いは単一の圧倒的な条件下等の特殊な条件下で構築さ
れる建築である。一般解がその時代の表面化した主要
な社会問題に対応し、その時代において汎用性を有す
るものであるのに対し、特殊解とは、社会の潮流から
一定の距離をおいていることでシンプルで極めて根源
的な問題に対峙するという特徴がある。それは過酷な
自然環境下や社会状況下において人々がどのように暮
らし、どのように生きていくかという普遍的な問題に
直面し、その解答が求められる。
年間を通して冷涼な気候や夏場の海霧などの局所的条
件から、量塊による安定した内部空間や空間に広がり
を与える木架構によって全体が構成されている。量塊
と架構という最も根源的な空間構成方法と局所的条件
から自然と導き出された解答として、町と岬を繋ぐよ
うに建築群が連続する。
物事を要素ごとの階層に分類し整理することで把握し
ていく還元主義的な考え方は、一般性や平等性を見い
だす上で、極めてわかりやすく適した概念である。
しかし、生活様式や価値観が多様化し、関係性がより
複雑化する現在進行形の現代社会においては、固定化
された一般解としてその時代に限った汎用性だけでは
なく、特殊解という普遍性の持つ解答が新たな価値体
系へのきっかけになるのではないだろうか。
Master's Diploma Project |
9
構造
JR 落石駅
A/+79/7+*
落石の町構造 / <)*'=,88.>*'-/+79/7+*'23'&?@;;A@;
Nemuro- 根室
落石小学校
公 共 施 設
かつての町の構造に変化を与える
落石町の主な産業は漁業である。漁業とは居住と密接に関係する生業であるため、落石
町の場合も港に隣接するエリアが居住エリアになり、根室市街地からの交通や駅の関係
30min
から北側エリアに小中学校などの公共施設が見られる。そして、かつての無線局がある
岬エリアは現在は昆布干し場や番屋といった生業関係の施設が残るに留まっている。
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落石中学校
公 共 施 設
北
公 共 施 設
居 住・生 業
北
居 住・生 業
Ochiishi- 落石岬
!"#$%&
自
然
新たな要素
自
然
南
一方向的町構造
南
循環する町構造
日本最東端の街「根室」/ !"#$%&'()*+*',-'./'/)*'*.-/'*01'23'4.5.0''
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「一度は行ってみたい街」から「一度は住んでみたい街」へ
根室はかつて「日本最東端の街」
「日の出の昇る街」などとして道内や全国から観光客
居 住・生 業
訪れていたが、その数は平成4 年をピークに漸減傾向を続け平成 20 年度では 41,7 万
人となっている。これは一時的なブームが落ち着いた中、空路・鉄路・道路等交通手
段の利便性が改善されず、首都圏・道央圏から遠距離という時間的条件を払拭できな
Nemuro- 根室
いことが大きな要因となっている。また、大型の宿泊施設がないことや観光地として
の整備が行き届いていないなどの理由から入り込み数に対する宿泊数の少ない、いわ
ゆる通過型の観光地となっている。そこに人口が 3 万人を斬るなどの問題も加わり、
落石港
住宅街中心部
街の活性化が必要不可欠である。しかし、単なる観光地としての整備に留まらず、こ
*$%+",
こでの暮らしを通して根室の魅力を体感してもらえるような方向性が必要である。こ
のような現状を踏まえた上で、単発的な観光で「豊かな自然」や「食」のみに依存す
ることなく新たな取り組みとして中長期的な滞在を基本とする滞在型のイベントの開
催や共同生活を通したワークショップなどを企画し、そこで暮らすというところまで
視野に入れたビジョンが必要であると考えられる。
局所的条件下の暮らし / 6,3*'701*+'.'829.8'9201,/,20
Ochiishi- 落石
対象敷地は根室市の落石岬。
市街地から車で30分ほどの岬にある小さな昆布漁を営む漁師町である。現在の人口
は500人程。根室市街から南に向かい、道道 1123 号線の終点からさらに 20 分ほど
歩いたところに、北海道三大秘岬も選ばれている落石岬がある。高さ 40〜50 メートル
ほどの断崖絶壁と、その手前にあるサカイツツジの湿原はとても対照的な光景となっ
自
ている。また、このサカイツツジの自生は南限地として国の天然記念物にも指定され
ている。岬にはチャシ跡という遺跡も存在する。チャシ跡は 16 世紀〜 18 世紀にアイ
ヌ民族が構築したもので、戦闘時の砦のほか、談判や祭祀を行う場として多目的に使
われたとされる。根室市内には 32 ヶ所のチャシ跡が現存し、そのうち 24 ヶ所が国指
定史跡となっている。多くが「コ」の字形や半円形の壕を、オホーツク海を臨む崖際
に巡らせている。根室半島のチャシ跡は規模が大きく、1789 年のアイヌ民族と和人の
然
Site
戦いであるクナシリ・メナシの戦いと関連するとされ、学術上貴重である。ちなみに
岬には西側にアフラモイチャシ跡、東側にはニノウシチャシ跡の二つが現存する
遺構
高層湿原
%*:.,0
海上を通して世界と繋がったかつての無線局
遺構
海上航路の重要拠点
1908(明治 41)年、北米航路の要衝として船舶や航空機と無線電信を行うため設
落石岬周辺環境
置され、千島・樺太・カムチャツカの陸上局とも固定通信業務を行っていた。開
設当初は落石岬側にあったが、1923(大正 12)年に現在の場所に移設されている。
1929(昭和4)年には、
世界一周中のドイツの飛行船ツエペリン伯号の無線を受信。
またアメリカのリンドバーグがシリウス号で、1931(昭和 6 年)に北太平洋横断
―明治44年創立の落石神社―
飛行を行った時も、無線の誘導により濃霧の中を根室港に着水するという出来事
―正禅寺―
があった。いずれも困難な状況の中、歴史に残る偉業として今も語られている。
また 1945(昭和 20)年、旧ソ連軍(ロシア)の択捉島侵攻の無線電信の第一報
を受信するなど、逸話は多い。施設は 1966( 昭和 41) 年、札幌中央電報局に統合
されることとなり、半世紀を越えるこの地での業務を終えた。その後、荒れてい
た建物を、銅版画家の池田良二・武蔵野美術大学教授が 1985(昭和 60)年より
―岬から見た街の風景―
改修を続け、スタジオとして利用している。
サケ・マスは東京・名古屋・大阪へ出荷
番屋が設けられ春から秋の漁期だけ居住
落石岬灯台霧笛廃止
落石無線電信局廃止
コンブ漁がはじまる
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石盛漁業協同組合設立
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落石駅無人化
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―高台から見た落石港―
―三里浜から見た夕日―
落石岬灯台点灯
厚岸ū落石ū根室の道路が開通、落石は主要な駅となる
落石郵便取扱所開局
無線電信局の開設
落石中学校開校
落石小学校のもとになる教育所の設立
自然環境
!./7+*-
自然
断崖、台地、湿原、海霧、植生
特殊な地形と海霧が育む豊かな生態系
―三里浜から見た落石岬―
―岬に住むエゾシカ―
―車止めゲート―
落石岬は高さ約 50m の海食崖に囲まれた平坦な台地で、約 61ha の岬の中心部に
はアカエゾマツの純林がある高層湿原があり、独特の景観を見せている。その外
縁をとり囲むように草原があり、北方系、高山植物をはじめ数多くの草花が咲く
場所である。高層湿原とは水源が河川や地下水ではない湿原のことで、特徴ある
その植生からミズゴケ湿原ともいわれる。湿原は雪解け水や雨、そして夏 (6?8月 )
に毎日のように発生する海霧 ( うみぎり:地元では「ガス」とも呼ばれる ) を源と
して成り立っている。また海霧は水分だけでなく冷たい空気をともなって、日照を
さえぎり低温にするため根室の夏の気候は、北海道のほかの地域に比べると冷涼
なうえ、落石岬周辺は根室市中心部より更に平均気温が約2℃も低いとされ、そ
の厳しい条件が「どこにいても海が見える」台地の上に、まるで標高 1000m を越
―湿原への入り口―
える高山帯のような自然をつくり出す要因となっている。
生業
;017-/+,*-
周囲を豊かな海に囲まれた小さな漁業の街
生業
海と共に暮らす
サケ・マス・コンブなどを生産する漁場として、落石地区は古くから漁業が営ま
れていた。江戸時代後期には水産物を求める松前藩の力がおよぶようになり、漁
―無線局跡―
場が管理される。明治時代以降、旧国道のルートとして驛逓が置かれ、新たな漁
業入植者などが住むようになり集落ができる。漁法の進歩や北洋への進出と、根
―かつての街区跡―
室市の水産業の一地区(町)として発展。自動車が普及する前の国鉄根室本線の
開通、落石駅の開業は町並み形成のきっかけとなった。またそれ以前のチャシ跡
や竪穴式住居群跡などの遺跡から、より古い時代から落石の豊かな海が、この地
で生きる人びとを支えていたのを知ることができる。海とともに生活する姿は、
今でも変わってはいない。
漁業の種類
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
とれるもの
昆布
ながこんぶ・がっからこんぶ(あつばこんぶ)・ねこあしこんぶ
ほっき
うばがい(ほっきがい)
えぞばふんうに
えぞばふんうに
小定置・底建網
こまい・ます類等
えぞばい
えぞばい
たこかご
みずだこ・やなぎだこ
はなさきがに
はなさきがに
毛がに
めじか延網
たこ空釣
まだら
べにざけ・しろざけ・ぎんざけ・からふとます・ますのすけ
さんま流し網
―灯台へと通じる木道―
毛がに
しろざけ
みずだこ・やなぎだこ
たら延網
さけます流し網
さんま
さんま棒受網
さんま
さけ定置網
しろざけ・からふとます・ますのすけ
刺し網
まだら・すけとうだら・かれい類等
―かつてのアイヌの砦から見る夕日―
―岬の突端に悠然と建つ灯台―
―湿原とアカエゾマツ林―
―岬の輪郭と太平洋―
再評価
配置計画
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岬の上に建てる重要性 / 8'$25-"+#/*,'+-'1.$%0'$+'-/'+),'*#5,
痕跡に触れながら街と岬を繋ぐ配置計画 /
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岬の役割とかつての生活
落石岬ではかつて灯台や無線局が機能していた時期があった。当時は灯台の周辺に拠点施設があり、無線局周
Town
辺は局員の家族など、100 人程が暮らす生活の場でもあった。また、かつてこの地に暮らしていたアイヌの人々
にとっても例外ではなく、チャシと呼ばれる砦の後も岬に2か所残されている。このように落石岬は生活の拠
点でありながら一時的な行事の際にも利用され、この地で暮らす人々にとって欠かすことの出来ない場所であっ
た。
生活の痕跡
灯台守の宿
,-!-0,89
行事の痕跡
無線局の住宅地
チャシ
,--.
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街の生活と関わりを持つ日常のエリア
7153
緩やかな傾斜をのぼり日常と非日常の間の経路
灯台守の宿
無線局の住宅地
ゲートによって分節される日常と非日常の境界
現アトリエスタジオ
チャシ跡
豊かな自然に触れる非日常のエリア
時代を経て再評価されるべき岬の重要性
時代が変化するにつれ、灯台や無線局の役割を終えた岬を訪れる人は、散歩やキノコ採集にくる地元の方や
希少な動植物を見に来る数少ない観光客に留まっている。そこでかつての生活や行事という歴史的、文化的
痕跡を辿りながら再評価することで、そこに新たな価値を吹き込むことを構想する。
日常
非日常
共同生活
日常の暮らし
調査
研究・制作
4,&,#"*)
手がかりの整理 / !"#$%&'()$*)'+),",'#",'#"-./0'+),'&$+,'1,'*-2,'+-'+),'3"-/+
少ない要素の痕跡を辿り再評価する
局所的条件下においては計画の手がかりとなる要素が限られている。これは建物の場合はより切実な問題を孕み、
Natures
一方で全体計画の場合は飛躍と想像の伴った提案性が必要になる。手がかりとなる痕跡を丁寧に読み込み、再評価
することで新たに建てられる建築と結びつける。
建築に取り込む
6つの痕跡
街
と
の
距
離
感
!"#$%!&'($%)*)+++
?
番 屋 と コ ン ブ 干 し 場
街 と 岬 を 繋 ぐ 道
ゲートによる街と岬の境界
無線局とかつての街区
方
位
と
風
向
き
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MISAKI-SECTION
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プログラム
北海道の児童養護施設分布
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自然が繋ぐ3つのプログラム / /0%1)"#-"+.&1+"%1$#((%$,%21341(+,5"%&
付加するもの
【 プログラム 】
長期滞在施設+短期滞在施設
こどもの居場所
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現在根室には児童養護施設が一つもない。豊かな自然
%*56934*6:*3;4*241*:6<
の中での暮らしは子ども達の成長にとっても良い環境
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であり、漁業という生業との関わりや、辺境の地を訪
れた研究者や芸術家との関わりを通して都市部のよう
な雑多なものにまみれるのではない、もう一つの社会
世界との繋がり
自己の形成
性がそこで考えられる。
マクロ
継続した職業体験
農業
道内他地域との繋がり
共生の精神
人間
漁業
自然
!"#$"%&'
全国との繋がり
根室市の宿泊施設分布
特殊な環境下に身を置きながらさまざま地
身近に古くから受け継がれてきた生業があ
皆で協力して暮らすことを、日常的に経験
域、国の人々との共同生活をしながら制作、
ることで、こどもたちは社会に出る前に仕
することで、思いやりや忍耐の精神を学び、
学び通して交流することで、自己と他者の
事というものを体験し、その経験が社会に
社会に出た後に心の折れない精神的な強さ
違いを理解し、個性を育む場。
出た後に生かされる。
を身につけることが出来る。
宿泊施設
!"#()''*
根室市における宿泊施設や休憩所は半島に点在する各
名所やより自然を体感出来る場所には不足し、そのほ
メゾ
非日常の体験
19 C
20 C
21 C
収容所
家庭の模倣
?
とんどが市街地に集中している。また、根室のような
地理的に陸地の端部に位置する地域は一つの大きな欠
点を持っている。それは周遊の経由地には成りにくい
という欠点である。そのため訪問者を受け入れる宿泊
施設が点在する各名所を繋ぐ大きな役割を果たす。
&#+),'
設計ではこちらを選択
単なる見せかけで根本的解決にならない
郊外
一般解
街
特殊解
隔離
唯一の産業遺構
ミクロ
再評価を与えるもの
研究、制作、展示施設
落石岬には貴重な生態系が残されているため、調査や
観測で多くの研究者がこの辺境の地に訪れる。
また、かつての無線局跡地が現在アトリエとして利用
土地の個性
されていること、静かで豊かな自然を有する周辺環境
が写真家、画家等の制作の場として適していることか
経済効果
ら、中期的な滞在が可能な拠点施設が人々を呼び込む
きっかけとなる。
地元住民が日常利用する温泉施設
プロセス
漁業以外の雇用の創出
!"#$%&&
架構
'(&)*"+,*#(
架構
架構
架構
量塊
量塊
架構
・地上に這うように顔を出す架構
量塊
・半地下の居住空間
・内部に光を供給、外部との繋がり ・地熱による熱環境の安定した内部
模型写真
6#2%7&
量塊
架構
量塊
・架構によって外部と接触
・湿地帯から木造の架構を遠ざける
・内部に上部から光を供給
・雨風から木造架構を保護する
量塊
$$$$$"-.#
$$
□ !"#$%"&'()#*+,
女風呂
局所的地形がもたらす豊かなこどもたちの居場所
4K/:$U3,2#)$;)-V#%2
R$)-82#$-C$2"#$,#3$C-9
男風呂
町との距離感が最も近い岬の入り口に位置する斜面地に、子ども達
食堂
!-.-23M3$WRURQO
談話室
の生活の場を設計する。食堂のベランダからは町を見下ろすことが
出来、住民の生活風景を一望することが出来る。エントランスに近
テラス
い方に短期的に訪れたこども達の居場所を設け、長期的にここに住
NOB!17
厨房
むこども達は奥にそれぞれの個室をもつ。また、2つの談話室をバ
ランス良く配置することで、交流の場として利用される。
玄関
ホール
倉庫
5OPB1
菜園
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40$53''$6$7-8*9#
勝手口
職員室
QR!P71
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BS5OOT
長期滞在者用
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プレイルーム兼個室
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I0$J32"$)--.
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短期宿泊者用
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プレイルーム/個室
学習室
職員個室
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Diagram
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安定した半地下の量塊
と
光を取り入れる軽やかな架構
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6
集落のように点在する研究・制作拠点
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海霧の発生時に道標となる壁が集落のように
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点在する研究・制作の拠点施設群を取り巻き
B!:EBA@C
ながら連続するエリア。ここを拠点に活動す
る人達は各々の居場所を持ちながら、壁によっ
て出来た西側のコモンスペースを共有し、互
いに交流を持つことが出来る。また、道に沿
<
うように連続する壁はここを訪れた訪問者に
とって、地形と建築の中間的構築物のように
感じられ、人々をさらに岬の奥へと導く指標
/
となる。
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60(8.99.*(:#&&);#
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<
/
<
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自然を切り取り大地と連続する量塊
局所的自然環境下である岬の台地上では、量
塊によって構築された建築物によって切り取
2L-9$E*3+#%$M%&N#4+
られた風景を見ることができる。右上 ( 平面図
D$%&'+#$&O$+"#$3#*$O&?
1のイメージ ) は垂直に長く延びた空間によっ
!&,&+*P*$IDEDB<
て背後の草原と水平線を見ることができる。
水平的な岬の景色と対比的な空間となってい
る。右下 ( 平面図2のイメージ ) は南の開口部
から差し込む光によって展示物と内部空間を
@<ABCD@!
包み込む。また、量塊ならでは鋭く差し込む
光と、勾配のついた天井や壁面に反射し拡散
@<<E
光となる。
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2.$!"#$34'05+'%#$%&&,
2
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垂 直 に 切り取られ た 風 景
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-#&.%("(/#.01$%&'#"(%)*+,,
トップ ラ イト の 差 し 込 む 休 憩 所
□ !"#$&63#%/*+&%1
人々を導く壁が渦を巻く物見台
9
-
2
群として連続する建築のちょうど中間部に位置する
物見台。壁が渦を巻きながら上へと伸び、東西南北
全ての方向に架構で構築されたボックスが挿入され、
それら高さの異なる位置から岬の情景を見ることが
できる。そこからは普段とは違った視点から落石湿
原とアカエゾマツ林を見ることができる。
物 見 台 へ と 続 く階 段
)2%!"#$%&'#"(%)*+,,
物 見 台 中 央 の 吹 き 抜 け
-.$7(+%*(4#
2.$8*00
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32%!"#$%&'#"(%)*+,,
=
>
霧
+2%!"#$%&'#"(%)*+,,
の
中
の
物
見
台
□ !"#$0&4*0:+1$?*00#%1
局所的体験とアートが融合する展示空間
-
局所的な自然環境とアート作品が融合すること
でここでしか体験できない展示空間となる。右
上 ( 平面図1のイメージ ) は夕日とともに展示さ
れるアート作品を鑑賞する空間。右下 ( 平面図2
のイメージ ) は海霧の発生時にスリットから霧が
2
内部へと入り込んでくる展示空間。
9
4$&506#.01$
-.$!"#$3'(3#+$%&&,
2.$!"#$,:3+$%&&,
根室の沿岸部では現在でも多くのトーチカ跡を見ることができる。トーチカと
9.$!"#$+&5$0:?"+$%&&,
は軍事用の防御陣地で、今はひっそりと海岸線に沿って点々と転がっている。
夕 日 と ア ー ト の 鑑 賞
これは根室の原風景でもあり、自然の岩のように佇む量塊の振る舞いはこの地
でしか見ることのできない、あるいは体験できない場所を創出する。
-
自然と同化する展示空間
2
左上イメージ
左下イメージ
霧
の
入
り
込
む
通
路
!"#$%&'#"(%)*+,,
-#&.%("(/#.01$%&'#"(%)*+,,
□ *+,-.//01102.3405
□ *+,-.//01102.3405
無線局の遺構と呼応する量塊をよりどころに掛けられる架構
断崖に沿う宿泊施設
斜面地とは違い、平坦な湿地上に位置するこのエリアでは、大地か
この連続する建築群の終点に位置する宿泊施設は多くの
ら量塊によって基壇を持ち上げることで湿気から木架構を遠ざけ、
人にとって普段の生活では味わえない体験をすることが
その量塊を拠り所として架構が架けられたような空間構成をとって
できる。地下に掘られた道を抜けるとはじめ天井の高い
いる。湿原への入り口に位置する無線局の痕跡同様に、量塊の強固
宿泊施設のロビーが現れ、合計すると 15m の高低差を
な建築と交換の必要な木架構という両者の対比による空間となって
宿泊客は体験する。各個室は西側の断崖に面して配置さ
いる。
れ、先に見えるのは海のみの壮観な風景となっている。
!6-7538.5/,-+.99
!6-F0CCD
"6-*049,3
"6-?,/,;3405
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下
連
絡
路
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ホ テ ル ロ ビ ー
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