講義5 支持療法 川地 香奈子 社団法人全国社会保険協会連合会 社会保険看護研修センター 認定看護師教育課程 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 本日のポイント • がん治療に伴って生じる代表的な随伴症状 (副作用・合併症)について知る。 平成24年度 相談支援センター 相談員基礎研修(2) 支持療法 • がん治療(主に抗がん剤治療・放射線治療) に伴って生じる代表的な随伴症状(副作用・ 合併症)に対する支持療法について知る。 • がん治療に伴う支持療法における、がん専門 相談員の役割を考える。 全国社会保険協会連合会 社会保険看護研修センター 認定看護師教育課程 川地香奈子 2 抗がん剤治療の副作用と発現時期 がん治療と副作用・合併症 • • • • • 手術療法 抗がん剤治療 放射線治療 術後肺炎 縫合不全 創部の痛み リンパ浮腫 機能や形態の変 化 • 副作用(骨髄抑制、 肝・腎・心機能障 害、悪心・嘔吐、 下痢・便秘、粘膜 障害、皮膚障害、 神経障害、性腺 機能障害など) • 投与経路の確保 のための身体へ の影響 • アレルギー症状 • 晩期障害 • 二次がん • 有害事象(倦怠感、 放射線宿酔、照 射部位の皮膚障 害・粘膜障害、照 射部位により骨髄 抑制・性腺機能障 害など) • 晩期障害 • 二次がん 患者自身が感じる副作用症状 苦痛を感じる・予防が必要 抗がん剤 投与初日 3 放射線療法の主要な有害事象 線量増加とともに症状増強し、 照射期間中は持続するが治療 後数週間で自然軽快 照射部位の 皮膚障害 遅発性反応:数ヶ月~数年以 降に出現 4 • がんそのものに伴う症状や治療による副作用に 対しての予防策、症状を軽減させるための治療 のこと。 例えば、 口腔・咽頭・ 食道粘膜炎 急性反応:1~3週間 国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」より(一部改変) 支持療法とは 脳浮腫、 脱毛 主要な有害事象は局所的(照 射部位・範囲による) 患者自身は気づかない ことも多い・予防が必要 検査データで観察する 放射線肺臓炎 – 感染症に対する積極的な抗生剤の投与 – 抗がん剤の副作用である貧血や血小板減少に対す る適切な輸血療法 – 吐き気・嘔吐に対する制吐剤(吐き気止め)の使用 下痢・便秘 (直腸炎、膀胱炎、 肛門・会陰部の粘 膜炎による) 長期間持続する可能性がある 全身性の副作用 放射線宿酔、倦怠感 など 骨髄抑制 (国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」がんに関する用語集より) 5 6 1 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 骨髄抑制 患者さんやご家族に情報提供するとき • 白血球減少(感染しやすくなる) • どんなことがおこるのか • いつごろおこるのか • 予防方法・対処方法 – 好中球減少 :好中球500/μℓ以下=好中球低下 これが2週間以上遷延することが予測される 場合を好中球低下遷延例とする – 発熱性好中球減少症 • 病院に連絡しないといけないのはどんなとき か • 病院に連絡する方法 • 患者さんやご家族が自分でできること • 赤血球減少(貧血症状) • 血小板減少(出血しやすくなる) 7 造血幹細胞の分化と好中球減少 8 骨髄抑制:好中球減少時のケア 造血幹細胞の分化が 抑制されることで 汎血球減少が生じる • • • • 白血球の分化が 抑制されることで 好中球減少が 生じる スタンダード・プリコーションの遵守 患者教育 感染症の症状・徴候の観察 身体バリアの保護と温存 – 留置される異物は必要最低限とする – 皮膚・粘膜の清潔ケア • 食事の管理 • G-CSF(granulocyte colony stimulating factor:顆粒 球コロニー刺激因子)製剤 – 「白血球成長因子製剤の使用に関してのガイドライン」 (ASCO)に基づいて投与する • 発熱性好中球減少症がある場合、感染源が明らか である場合、抗生剤投与 10 9 骨髄抑制:血小板減少時のケア 骨髄抑制:Hb値低下時のケア • 血小板輸血 • 患者教育 – 血小板数1‐2万/μℓ以下で実施(血小板輸血に関する ASCOガイドライン・厚生労働省「血液製剤使用指針」) – 発熱、出血症状などの場合はこの限りではない – 症状の現れ方 – 危険防止 – 日常生活の工夫 • 患者教育 • Hb値7g/dlを目安に、臨床症状も考慮して、赤 血球輸血を行う(輸血による合併症に注意) ※エリスロポエチン製剤の投与 – Hb値10g/dl以下が対象 – 血栓症リスク増加が問題視されている – 日本では臨床試験終了 – 症状の現れ方 – 外傷予防と危険防止 – 日常生活の工夫 • 血小板機能に影響する薬剤の制限 • 閉経前女性の月経停止 • 観血的処置を避ける 11 12 2 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 抗がん剤の催吐性リスク分類 悪心・嘔吐 (日本癌治療学会編:制吐薬適正使用ガイドライン2010より一部改変) 悪心 • 咽頭から前胸部、心窩部にかけて感じられる嘔吐がおこりそうな 不快な感覚 嘔吐 急性悪心・嘔吐 インターロイキン2(>12~15u/m2)、ブスルファン、カ ルボプラチン、シクロホスファミド(~1500mg/m2)、シ タラビン(>200mg/m2)、アクチノマイシンD、ダウノル ビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、イホスファミド、 インターフェロンα(1万u/m2~)、イリノテカン、メル ファラン、メトトレキサート(250~1000mg/m2)、オキ サリプラチン(75mg/m2~)、ネダプラチン、エノシタビ ン、プラルビシン、アムルビシン、亜ヒ酸、テモゾロミド 内服薬:ニロチニブ、UFT、S‐1、メルカプトプリン、 ソブゾキサン 遅発性悪心・嘔 吐 • 抗がん剤投 与後24時間 以降に発現 し、数日間 持続する • 抗がん剤投 与後24時間 以内に発現 中等度(催吐性)リスク:頻度30~90% シスプラチン、ダカルバジン、 シクロホスファミド(>1500mg/m2)、 ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)、 エピルビシン+シクロホスファミド(EC) 内服薬:プロカルバジン • 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象 予測性悪心・嘔 吐 • 抗がん剤投 与前に発現 高度(催吐性)リスク:頻度>90% 軽度(催吐性)リスク:頻度10~30% 最小度(催吐性)リスク:頻度<10% インターロイキン2(~12u/m2)、シタラビン (100~200mg/m2)、ドセタキセル、リポソーマ ドキソルビシン、エトポシド、5‐FU、ゲムシタビ ン、インターフェロンα(5000~1万u/m2)、メトト レキサート(50~250mg/m2)、マイトマイシンC、 ミトキサントロン、パクリタキセル、ペメトレキセ ド、ペントスタチン、ニムスチン、ラニムスチン L‐アスパラギナーゼ、ベバシヅマブ、ブレオマイシン、 ボルテゾミブ、セツキシマブ、クラドリビンン、シタラビ ン(<100mg/m2)、フルダラビン、ゲムツズバムオゾ ガマイシン、メトトレキサート(~50mg/m2)、リツキシ マブ、トラスツズマブ、ネララビン、ビンブラスチン、ビ ンクリスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ペプレオマイ シン 13 悪心・嘔吐への関与因子 悪心・嘔吐に対する制吐療法 (日本癌治療学会編:制吐薬適正使用ガイドライン2010より) ・前治療で著明な悪心・嘔吐の経験あり 1)高度催吐性リスクの抗がん剤に対する制吐療法 ・性別(女性)・年齢(若年) 発生頻度があがる 症状コントロール不良 14 ・化学療法や副作用出現に不安がある 薬剤/Day 1 ・同室者の悪心・嘔吐あり アプレピタント ・妊娠中の悪阻(つわり)が強い 5HT3受容体拮抗薬 ・病気に対する思い込みが強い デキサメタゾン 2 125mg内服 80mg内服 3 4 5 80mg内服 ○ 9.9mg点滴 8mg内服 8mg内服 8mg内服 (8mg内服) 2)中等度催吐性リスクの抗がん剤に対する制吐療法 薬剤/Day ・アルコール常用あり 1 5HT3受容体拮抗薬 ・年齢(高齢) デキサメタゾン 9.9mg点滴 ・治療に対する前向きな姿勢がり ・治療前の食事が少なめ 薬剤/Day 15 悪心・嘔吐に対する制吐療法 ①軽度催吐性リスク 3 4 1 デキサメタゾン 皮膚障害 2 3 4 8mg内服 8mg内服 (8mg内服) 2 3 80mg内服 80mg内服 8mg内服 8mg内服 4 5 ○ 9.9mg点滴 5 6.6mg点滴 ②最小度催吐性リスク Day 5 8mg内服 (8mg内服) 16 • 皮膚や爪、毛母細胞などは細胞周期が速く、 抗がん剤や放射線の影響を受けやすい。 3)軽度・最小催吐性リスクの抗がん剤に対する制吐療法 2 4 皮膚および皮膚付属器の障害 (日本癌治療学会編:制吐薬適正使用ガイドライン2010より) 1 125mg内服 5HT3受容体拮抗薬 山本昇:がん化学療法の副作用と対策、西条長宏監、中外医学社,1998,p.101より改変 薬剤/Day 1 アプレピタント ・治療前の睡眠状態が良好 デキサメタゾン 3 *オプション:カルボプラチン、イホスファミド、イリノテカン、メトトレキサートなど使用時 発生頻度がさがる 症状コントロール良好 ・PSが良好 2 ○ 5 ・乾燥性皮膚炎 ・色素沈着 ・手足症候群 皮膚付属器の ・毛根⇒脱毛 ・爪甲障害 障害 通常、予防的な制吐療法は推奨されない 4)予測性悪心・嘔吐予防 ・治療サイクルごとの適正な制吐薬での予防 ・治療前夜と当日朝のロラゼパム0.5~2mg/日を内服 ・治療前からアルプラゾラム0.4~1.6mg/日を1日3回内服 ・行動療法:リラクセーション、イメージ療法、呼吸法など 主要臓器障害への障害と比較すると それ自体が生命を脅かすことはほとんどないが、 容ぼうの変化による心理社会的苦痛の原因となる。 17 18 3 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● がん治療による皮膚障害 手足症候群 • 好発部位は、手、足、爪の四肢末端部 • 症状 放射線の直接刺激 紅斑や色素沈着 ピリピリするような感覚の異常 痛みを伴う手足の発赤・腫脹 乾燥、手掌や足底の角化、 表皮剥離や亀裂 水疱、びらん形成など 知覚過敏,歩行困難, ものがつかめないなどの 症状を訴える。 手足症候群を生じやすい主な薬剤 細胞障害性 抗がん剤 フルオロウラシル テガフール・ギラメル・テオラシルカリウム テガフール・ウラシル カペシタビン 分子標的薬 ソラフェニブ スニチニブ 血流に乗って抗がん剤が影響する 19 手足症候群患者への 手足症候群の強さ チェック項目は、痛みの有無・皮膚の変化・日常生活の影響 Blumの分類 グレード 1 臨床領域 (参考)判定基準にない具 体的症状例 機能領域 しびれ、皮膚知覚過敏、 ヒリヒリ・チクチク感、 無痛性腫脹、無痛性紅斑、 色素沈着、爪の変形 日常生活に制限を受けるこ との無い症状 2 腫脹を伴う有痛性皮膚紅斑、 爪甲の高度な変形・脱落 日常生活に制限を受ける 症状 3 湿性痂皮・落屑、水疱、潰瘍、 強い痛み 日常生活を遂行できない 症状 日常生活の指導 長時間または反復して同じ部位に刺激がかからないこと ①物理的刺激を避ける 締め付けの強い靴下を着用しない 足にあった柔らかい靴を履く エアロビクス、長時間歩行、ジョギングなどの禁止 包丁の使用、ぞうきん絞りを控える 炊事、水仕事の際にはゴム手袋等を用いて、 洗剤類にじかに触れないようにする 爪症状(脱落など痛み を伴うもの) ②熱刺激を避ける 熱い風呂やシャワーを控える 爪症状(機能障害あり) ③皮膚の保護 保湿剤を塗布する 木綿の厚めの靴下を履く 柔らかい靴の中敷を使用する ④二次感染予防 清潔を心がける (対処の必要ないもの) 皮膚、爪の色素沈着 爪の変形 (対処の必要なもの) 皮膚の硬化感 該当する症状のグレードが両基準(臨床領域、機能領域)で一致しない場合は、より適切と判断できる グレードを採用する。 この基準は判定のみに使用され、他の皮膚症状、他部位の皮膚の評価には用いない。 *色素沈着について:色素沈着に対する対処は確立しておらず、また、グレード2,3 (痛みや機能障害)へと進行するものではないため、対処(処置)の必要はないと考 えられる。 ⑤直射日光にあたらない 外出時には日傘、帽子、手袋を使用する 露出部分にはサンスクリーン剤を使用する 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 手足症候群 2010 田口哲也,西村元一監修(2009):手足症候群アトラス ゼローダ投与のマネジメント,p.10,中外製薬 21 手足症候群のマネジメント(ゼローダの場合) 観察期間 投与前 ~ 投与中 予防と対処の ポイント 観察のポイント ○手足の状態の観察 ・白癬や陥没入爪、その他 の皮膚疾患の有無を確認 ・足裏の状態を観察 20 指導のポイント ○スキンケアの実践 ・手足症候群の発現を抑えるため、 日常生活の注意点を患者さんに説明 ・清潔保持 ・保湿 ・皮膚刺激の防止 ・爪の手入れ ○初期症状の有無の観察 ・ゼローダ投与開始後、 手足の感覚異常や発赤の 有無を確認 手足症候群 発現時 ○グレード2への進行症状の確認 ・皮膚の紅斑や腫脹 ・手のひらや足裏に光沢が生じ、 指紋や皮膚○が消え、痛みを感じる ようになるとグレード2に進行する傾 向がみられる。 ○保湿とゼローダの休薬 グレード1:保湿を行い、症状の悪化を防ぐ、ゼローダの投与 は継続 回復期間 ○感染への注意 ・皮膚の亀裂、びらんや潰瘍 が生じている場合は、 感染に注意 ○対処の継続と清潔の保持 ・回復まで対処を継続 ・亀裂、びらんや潰瘍がある場合は、 清潔保持を徹底 回復後 ○再発防止のため手足状態の確認 ・グレード1以下まで回復したら ゼローダ投与再開 ・手足症候群が再度悪化しない よう手足の観察を継続 ○ゼローダの再開と減量 ・回復確認後、ゼローダ投与再開 ・減量の場合も、治療効果に影響が ないことを説明 グレード2以上:ゼローダを休薬し、症状に応じた対処を行う ・ステロイド外用剤 ・安静 田口哲也,西村元一監修(2009):手足症候群アトラス ゼローダ投与のマネジメント,p.38,中外製薬 23 22 分子標的薬(EGFR阻害剤)による 皮膚症状:皮疹 • EGFR(上皮成長因子受容体)は、多くのがんの細胞 膜上にあり、EGF(上皮成長因子)が結合すると活性 化し、細胞分化、増殖させる。 • 皮膚の基底細胞皮膚や毛髪、爪の正常な増殖や分 化に関与している。 EGFR阻害剤 ゲフィチニブ エルロチニブ セツキシマブ パニブムマブ 皮膚のターンオーバーへの影響 ざ瘡様皮疹 脂漏性皮膚炎 乾皮症 爪囲炎 24 4 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 分子標的薬(EGFR阻害剤)による 皮膚症状への対処法 セツキシマブの皮膚症状 • ざ瘡様皮疹 • 皮膚症状の治療 – 好発部位は顔面、頚部、胸部、背部 – 症状:紅斑や膿疱性丘疹 (無菌性であることが多い) – 時期:一般的に、セツキシマブ投与後数日後に発現 し、2~3週間でピークを迎える。 (セツキシマブを例に) – ステロイド剤(外用剤) – 抗生物質(外用剤、内服薬) – 抗ヒスタミン剤(外用剤、内服薬) 抗生剤は、二次感染予防や、抗炎症作用を期待して使用する。 ※掻破の結果生じる、二次的な感染を予防する。 • 乾皮症 – 表皮角化細胞の変性・脱落によって角質層が薄くな り、水分の保持力が弱くなり、皮膚の乾燥が進む。 3週間以降に出現することが多い。 • 分子標的薬開始前から保湿剤・角質軟化剤 を使用したスキンケア セツキシマブ投与開始後、皮膚は徐々に乾燥に向かう。 25 放射線治療による皮膚障害 分子標的薬(EGFR阻害剤)による 皮膚症状への対処法 時期 セツキシマブ使用中のスキンケア指導のポイント ①物理的・化学的刺激を 避ける 皮膚への刺激が少ない弱酸性または低刺激の洗 浄剤を使用する。 直接皮膚に接触する衣類や装飾品に注意する。 ②熱刺激を避ける 熱い風呂やシャワー、長湯は避ける。 電気毛布を使用しない。 ③皮膚の保護 皮膚への刺激が少ない弱酸性または低刺激の洗 浄剤を使用する。 保湿剤を用いて全身の保湿を心がける。 木綿や麻の衣類を着用する。 ④二次感染予防 朝晩1日2回の洗顔、毎日の入浴・シャワー浴で 全身の皮膚を清潔に保つ。 26 照射量 症状 照射開始後 2~3週 20~30Gy 第1度皮膚炎 赤み・脱毛・皮膚乾燥 ⇒治療後2~3ヵ月で回復 照射開始後 3.5~4.5週 35~45Gy 第2度皮膚炎 著明な赤み・腫れ・痛み ⇒色素沈着・皮膚の乾燥状態が残る徐々に正常 皮膚に回復 照射開始後 5~6週 50~60Gy 第3度皮膚炎 水泡・びらん・易出血 ⇒皮膚の萎縮(いしゅく)・色素沈着・永久的脱毛・ 毛細血管の拡張・皮下硬結などが残る 耐用量以上の 照射 第4度皮膚炎 回復不可能な皮膚潰瘍・壊死(えし、皮膚の欠損) ⇒外科的切除・皮膚移植が必要 癌研有明病院チーム・アービタックス®研修テキストより改変 国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」より 27 28 放射線皮膚障害のケア・軟膏処置 がん治療と脱毛 基本的予防ケア 高頻度に現れる 副作用のひとつ :強くこすらない、触らない、余分な軟膏類を塗らない、柔らかい衣服で摩擦をさける ほてりやひりひり感がある場合 :冷やす(皮膚に当たったときに物理的な刺激にならないよう、柔らかく凍ったアイスノ ンやタオルなどを用いる) 皮膚障害の状態(症状) 乾性皮膚炎 脱毛 使用する軟膏例 抗炎症作用のアズノール軟膏 ステロイド入り軟膏:リンデロンアズノール軟膏 かゆみが強く著明な赤みが (0.12%リンデロン VG軟膏250g+アズノール軟膏 みられる場合 750g) トプシムスプレー 皮膚剥離 :びらんがあり湿性皮膚炎 の場合 予防する ことが難 しい 抗生物質入り軟膏:OTCVアズノール軟膏 (塩酸テトラサイクリン5g+アズノール軟膏500g) 患者にとって とても苦痛で ある 治療を拒否 する要因に もなる 抗がん剤・放射線 あらかじめ準備した り、容姿を整える方 法を知ることで、セ ルフケアできる 生命予後に深 く影響しない ので、軽視さ れがち。。。 国立がん研究センターがん対策情報センター「がん情報サービス」より 29 30 5 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● がん治療による脱毛のメカニズム • 毛周期 がん治療による脱毛 • 抗がん剤や放射線による脱毛の現れ方 成長期 2~6年で全体の85~90% 最も活発に細胞分裂している – 髪を軽くとかしたり、寝ているときに枕が触れ るなどの軽い刺激でも頭髪が抜ける – 一過性・可逆的である – 数日で大量に脱毛し、患者の動揺は大きい – 頭髪だけでなく、眉、睫毛や鼻腔、腋下、陰部 などの体毛も抜ける – 再生した毛髪は産毛状となったり、縮れたりし て、脱毛前と髪質が変わる 抗がん剤や放射 線は細胞分裂が 盛んな細胞に 作用するので、 毛母細胞は影響 を受けやすく、 脱毛が起こる 休止期 3~4ヶ月 9~14% 1日50~100本ほど 自然に抜ける 31 32 抗がん剤による脱毛の頻度 がん治療による脱毛の影響 頻度 • 毛髪の大切な役割 50% 以上 – 重金属などの有害物質を排泄する – 脳を極端な高温や低温から守る – 何らかの衝撃から脳や頭皮、皮膚を守る – 直射日光や有害な紫外線から頭皮を守る – 美容・自己イメージ • 脱毛によって生じるトラブル – 頭皮・皮膚の乾燥、汚染、炎症症状 – 外傷のリスクが高まる – ボディイメージの変化に伴う心理的影響 一般名 商品名 適応 73.5% パクリタキセル タキソール 78.4% ドセタキセル タキソテール 乳腺、卵巣、肺、消化器 など 乳腺、肺、消化器など 75.5% エトポシド ベプシド、ラ ステット 65.1% 塩酸エピルビシン ファルモルビ 乳腺、卵巣、泌尿器など シン 61.6% ドキソルビシン アドリアシン 乳腺、リンパ腫、骨肉腫 など 51.2% イホスファミド イホマイド 肺、泌尿器、骨肉腫など 50.3% イリノテカン トポテシン、 カンプト 肺、子宮・卵巣、消化器 など 肺、白血病、消化器、子 宮など 33 34 抗がん剤による脱毛の頻度 頻度 49% 以下 一般名 商品名 脱毛に関する知識の提供 適応がん種 41.9% ビンクリスチン オンコビン 白血病、リンパ腫、小児 など 33.7% アクチノマイシ ンD コスメゲン ウィルムス腫瘍、絨毛 上皮腫など 27.7% ブレオマイシン ブレオ 皮膚、頭頚部、リンパ腫 など 24.3% シクロホスファ ミド エンドキサン 乳腺、白血病、リンパ腫 など 24.2% 硫酸ぺプロマイ ペプレオ シン 19.9% 塩酸ダウノルビ ダウノマイシン 白血病 シン 治療前に行う全般的な情報提供 • • • • 使用する抗がん剤の脱毛の頻度 がん治療による脱毛の機序、時期、現れ方 脱毛の経過(一時的であること) 脱毛しているときに注意が必要なこと – 頭皮への刺激を避けること(傷つけない) – 汚染や乾燥しやすくなること 皮膚、頭頚部、肺、前立 腺、リンパ腫 • 容姿の調整や頭皮の保護の方法 – 事前にできる準備(カット、かつら、キャップ等) – 具体的な方法のメリット・デメリット 35 36 6 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 脱毛が発生したときの対処方法 頭皮のケア 清潔に保つこと 弱酸性、アミノ酸系など刺激の少ないシャンプー 乾燥しすぎないように(適度な保湿) ドライヤーやブラシの刺激は少なく 血行・栄養状態をよくすること 抜け毛の始末 掃除の方法(ガムテープ、ローラー型テープ) ナイトキャップの使用 パーマ・カラー リング 頭皮・頭髪への刺激が強い 頭皮の状態(皮膚統合性:潤い、外傷がないなど)、頭髪 の状態によって医師と相談する 眉毛・まつげ・ 鼻毛の脱毛の 対処 眉毛、まつげ、鼻毛がないことで、ほこりやごみが入りやす くなる 身体のバリア機能が低下するため、好中球減少時の感染 症、血小板減少時の出血予防にも注意が必要 → サングラスの使用 マスクの着用 脱毛・皮膚障害に対する支援 • 支援の目標 – がん治療により生じる脱毛を受け止め、容姿 を自分にできる方法で整えながら、社会生活 を営み、治療を継続できること – 気持ちを聴く姿勢を大切にすること • 脱毛・皮膚障害に関する知識の提供 • 脱毛・皮膚障害発生時の対処方法 • ボディイメージ(≒自己概念)の変化に対 処するための支援 37 ボディイメージ(≒自己概念)の 変化に対処するための支援 38 ボディイメージ(≒自己概念)の 変化に対処するための支援 患者の体験、訴えをそのまま受け止める 容姿を整えるための対応についての情報 • じっくり話を聴く・共感的対応 • 自尊心を著しく傷つける可能性があることを 認識する • 女性に限らず、男性にも十分配慮して関わる • がん治療を否定的に捉えたり、治療を拒否し てしまう要因にもなるので、患者の気持ちを 受け止め、建設的な対処がとれるようにとも に考える • かつら – 事前に用意すると安心 – 脱毛前のイメージでカットしてもらう – 完全に脱毛してしまうとサイズの調整が必要 • 帽子、ウィッグ付キャップ – 通気性のよい素材で、軽いもの – かつらよりも安価で手軽に準備できる – 頭皮を保護する役目もある • メイク・服装の工夫 39 40 がん治療と口内炎のメカニズム がん治療と口内炎 • 抗がん剤・放射線の作用機序 放射線 – 抗がん剤投与や放射線照射は細胞周期サイクル の早い細胞に作用しやすい – 口腔粘膜は7~14日程度のサイクルで再生してお り、血管が豊富であるため、抗がん剤や放射線の 直接的な影響を受けやすい 抗がん剤 – 抗がん剤・放射線の直接作用による口腔粘膜障害 – 骨髄抑制(好中球減少)による局所感染 41 細胞が直接抗がん剤や 放射線の影響を受ける。 このときに影響を受けた 粘膜細胞のターンオーバー が阻害される。 局所の炎症と 粘膜組織の破壊 粘膜の再生が できないため、 組織損傷が進行 更に増強 潰瘍化・ 細菌感染 • がん治療による口内炎のメカニズム 治癒 骨髄回復 骨髄抑制・好中球減少 42 7 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 抗がん剤による口内炎の頻度 抗がん剤による口内炎の頻度 出現頻度 60%以上 出現頻度 一般名(商品名) 10~29% ビンクリスチン(オンコビン) アクチノマイシンD(コスメゲン) ミトキサントロン(ノバントロン) ビンブラスチン(エグザール) マイトマイシンC(マイトマイシン) ドキゾルビシン(アドリアシン) ダウノルビシン(ダウノマイシン) フルオロウラシル(5FU):高用量 30~59% 一般名(商品名) ブレオマイシン(ブレオ) イダルビシン(イダマイシン) 10%以下 シタラビン(キロサイド) フルダラビン(フルダラ)、エトポシド(ベプシド) フルオロウラシル(5FU);週1回投与、ブスルファン(マブリン) メトトレキサート(メソトレキセート) メルファラン(アルケラン)、ヒドロキシウレア(ハイドレア) パクリタキセル(タキソール) シクロホスファミド(エンドキサン)、ニムスチン(ニドラン) ドセタキセル(タキソテール) 43 口内炎の現れ方 44 口内炎の予防策:うがい • 自覚症状としての訴え – 口の中が痛い – 口の中に何かできた – 食事がしみる – 口の中が乾く – 口の中が赤くなった・はれて きた – 口が動かしにくい – 食べ物が飲み込みにくい – 味覚がおかしい – しゃべりにくい • うがいは口腔内を清潔に保つための基本 • 目安は2~3時間ごとに – 毎食前・後、寝る前、夜中に目が覚めたときなど • 水道水でOK!続けられる簡単な方法で! – イソジンガーグルや市販のうがい薬の注意 正しい濃度で使用しないと意味がない 乾燥させ、傷の上皮化を阻害することがある • うがいの後は口唇の保湿を忘れずに! 46 45 口内炎発症時の対応策 口内炎の予防策 痛みがあるとき • クライオセラピーは効果があるか? • 鎮痛剤の使用 – 5FUのボーラス投与の時に実施すると効果があるという報告はある – 投与開始5分前から投与後30分まで氷片をなめる → 持続投与の場合は実施困難 – 血液疾患の化学療法の場合は治療効果に影響? – アセトアミノフェン(NSAIDsは血小板減少時には注意) – 非オピオイド – オピオイド • うがいの工夫 • アロプリノールうがいは効果があるか? – 生理食塩液:水道水のうがいがしみる時 処方してもらう or 自分で作る – キシロカイン・ビスカス®の併用 – 5FUを用いた治療の時に効果があると言われている – 他の薬剤の場合の効果は不明。 • 500mlの水道水または生理食塩液に25ml程度の濃度から試し、 痛みに合わせて調節する • しびれた感じや味覚が鈍くなることを伝える 基本的な口腔衛生ケアなしに 予防効果はありえない • 食事の工夫 47 48 8 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 口内炎発症時の対応策 口内炎発症時の対応策 感染予防と出血予防 悪化させず、改善させるケア 生理食塩液 苦痛が少なく実施でき、粘膜 の回復を促進する 処方してもらうか、水道水と食 塩で作成する エレース® 口内炎によってできた粘膜の 不良組織を除去する 損傷や潰瘍があるとき、損傷 した粘膜が上皮化してきてい るときは使用しない ハチアズレ® 炎症を抑え、痛みを和らげる。 ハチアズレ®には重曹が含ま 組織の再生も促す れるため、爽快感が得られる アズノール® オキシドール 舌苔の除去 10倍希釈で用いる 重曹・ハッカ水 口の中の粘つきを和らげる 市販のものを用いることも可 能。 口腔内保湿ジェ ル 乾燥を和らげ保湿する 眠前に口腔内に塗布すると夜 間の乾燥対策になる • 感染予防 – 口内炎発症時期と好中球減少時期はほぼ一致するので、口内 炎が感染により悪化しやすい – 痛みを和らげ、口腔ケアが継続できるようにする – うがいを苦痛なく、簡単にできることは大切! • 出血予防 – 出血塊が口内に残ると細菌の温床となる – 口腔内の乾燥は損傷から出血を起こしやすい – 血小板減少時期は口の中を傷つけないように、超軟毛の歯ブラ シに変更したり、うがいのみで対応したりする 49 がん患者の味覚障害の原因 味覚障害 • 抗がん剤・放射線の影響で生じる場合 抗がん剤 抗がん剤の直接的な影響による味蕾の機能異常 – 味覚に影響する – 末梢神経障害、粘膜障害によって生じる • • • • • 50 味蕾細胞は約一カ月で新生・交代を繰り返しており、抗がん剤によ る障害を受けやすい。 抗がん剤による末梢神経障害 味細胞の傷害 口腔内の乾燥(唾液分泌の減少) 舌苔の付着(口腔内不衛生による) 嗅覚の変化(鼻粘膜の粘膜障害?) 嗜好の変化 口腔内環境 口腔の清潔習慣 免疫機能低下に起因する口腔内感染症 亜鉛の欠乏 味蕾胞新生時、DNA合成に亜鉛を多量に含む蛋白質や酵素 が必要。 がん治療やがんの進展に伴い食事摂取量が低下すると亜鉛 欠乏症となって味覚異常を起こすことが考えられる。 51 がん患者の味覚障害の原因 52 味覚障害に対するケア 放射線療法 • 口腔内環境の改善 照射野に口腔や唾液腺が含まれる場合、治療に伴う味蕾 細胞の破壊や末梢神経障害、口腔粘膜の炎症反応、唾 液腺分泌機能低下が生じる。 ⇒口腔内の感想が生じ、食べ物の味物質を味細胞へ到 達させる作用が減弱。 また、乾燥により口腔内の清潔保持が難しくなり、舌苔が 発生しやすくなる。 – 口腔ケア • 口腔内環境を良好に保ち、味覚異常を引き起こす要 因を除去する。 – 含嗽:以下の改善を目的に行う。 • 口腔内の清潔が保たれないことによる味蕾感受性低 下 • 口腔内乾燥による唾液量の減少 • 味蕾機能異常 終末期患者(全身状態の悪化により生じる要因) セルフケア能力低下による不十分な口腔ケア⇒口腔内環 境の悪化 免疫低下を伴う場合、カンジダ症などの発生 53 54 9 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 参考:味覚障害と食事 神経障害の種類と代表的な症状 食事内容の工夫例 味覚鈍麻 主な症状 ・濃い味つけ・はっきりした味の料理にする ・だしをきかせたり、薬味・香辛料・酸味などを利用する ・感じにくくなっている味覚を通常より濃い味つけにしうる ・感じにくくなっている味覚があまり影響しない食品・ 料理を選択する 悪味症・異味 症 ・苦味や金属味など違う味がしたり、嫌悪感を覚える食品は 避ける 【苦味・金属味を感じやすいもの: 赤肉・トマト製品・塩・しょうゆなど】 ・塩味をひかえてだしをきかせたり、ごま、ゆずなどの香り や酢を利用する 味覚過敏 ・薄味または素材そのもので食べる食品・料理を選択する 中枢神経系 精神症状:睡眠障害、見当識障害、幻覚、幻聴、不安、 気分の変調など 神経症状:けいれん、麻痺、運動失調、 知覚障害(特に一側性) その他:頭痛、めまい、倦怠感 末梢神経系 ◆感覚神経系・運動神経系 四肢末端のしびれ感、知覚性運動失調、振動覚の低下、 深部腱反射の低下、進行すると筋力低下 ◆自律神経系 便秘、腹痛、排尿障害 55 化学療法と神経障害 56 末梢神経障害をきたす抗がん剤 ビンカアルカロイド系薬剤 • 抗がん剤による薬剤性の神経障害 指先のしびれ、深部腱反射の低下が主な症状 進行すると筋力低下、歩行困難、麻痺などを生じる 自律神経障害として便秘や排尿障害 – 運動系、感覚系、自律神経系の末梢神経線維 (軸索変性、髄鞘障害)の障害または神経細胞 体の障害からなる。 タキサン系薬剤 手首から先と足首から下の部位に、しびれ感・灼熱感や異常感覚が 好発(手袋靴下型) 進行すると振動覚低下、深部腱反射の消失を伴うことあり 蓄積毒性で総投与量の増加とともに発現しやすくなる • 神経軸索は、刺激を伝えるだけでなく、神経細胞体で 作られた種々の物質や栄養因子を輸送しており、末 梢神経の機能や構造の維持に重要であると考えられ ている。 白金製剤 下肢やつま先のしびれに代表される感覚性の障害 が主な症状 57 末梢神経障害の治療 58 末梢神経障害に対するケア • 薬物療法 • 非薬物的な症状緩和方法 – ビタミン剤(ビタミンB6,B12)、非ステロイド性鎮痛薬、 オピオイド系鎮痛薬などを症状緩和目的で用いるこ とがある。 – 靴下や靴の選択 – 温罨法、マッサージ:不快と感じる場合は避ける – 手指の運動 しかし、 神経障害に対する効果的な治療法やケア方法 は確立されていない 神経障害の進行に伴い原因薬剤を一時中止す ることが最善のこともある • 二次的な損傷・傷害の予防 – 転倒、熱傷、損傷など • 心理社会的サポート • セルフケア教育 59 60 10 講義5 「支持療法」 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 肝・腎・心機能障害 腎機能障害 *腎排泄型の抗がん剤 では、排泄遅延により副 作用が強くなることが問 題 肝機能障害 *肝代謝型抗がん剤で は、薬物代謝遅延により 副作用が強くなることが 問題 心機能障害 *重度の不整脈、心筋梗塞 後に注意が必要。心機能障 害をきたす抗がん剤では累 積投与量に注意。 主要な検査データ 支持療法 •24時間クレアチニン・クリアラン ス •クレアチニン(Cre) •血清尿素窒素(BUN) •その他 尿量・体重、尿の性状など •抗がん剤の投与量の減量(腎 機能障害をきたしやすい抗がん 剤の場合) •抗がん剤投与の休薬 •利尿剤の投与 •輸液量の調整 •飲水量の確保 •総ビリルビン値(T‐bil) •肝酵素(GOT・GPT) •血清アルブミン値(Alb) •その他 B型肝炎ウイルス 皮膚や眼球結膜の色 尿の性状など •抗がん剤の投与量の減量 (肝機能障害をきたしやすい抗 がん剤の場合) •肝庇護剤の投与 •B型肝炎ウイルス治療薬の予 防投与 •左室駆出率(EF) •心電図検査 •その他 尿量・体重、心拍、血圧など •アントラサイクリン系抗がん剤 では累積投与量を計算し投与 量を調整する •輸液量の調整 •降圧剤・利尿剤等の投与 相談員に期待する役割 患者・家族が話したいこ とを話せる場、時間と雰 囲気を確保し、内容を整 理する。 治療に伴う、不安を緩和し たり、生活を整える情報が 効果的に得られているか 一緒に考える。 患者が医療者の指示を効果的に実施 できているか、異常時は医療者に伝 えることができるか等自己管理能力を 高める。 61 62 参考文献・サイト まとめ がんの薬物療法全般:がん診療レジデントマニュアル第5版 国立がん研究センター内科レジデント編、医学書院、2010. 悪心・嘔吐に対する薬物療法等:制吐薬適正使用ガイドライン 一般社団法人日本癌治療学会編、金原出版、2010. • がん治療に伴って生じる代表的な随伴症状(副作用・ 合併症)には、治療継続や完遂に影響する様々な苦 痛症状がある。 • がん治療に伴う症状は、全ての人に同じように生じる のではなく、疾患、患者の状態、治療法、時期などに よって異なる現れ方をする。 • その患者・家族がどのような症状体験をしているか、 関心をもって聞くことから相談支援が始まる。 • がん治療(主に抗がん剤治療・放射線治療)に伴って 生じる代表的な随伴症状(副作用・合併症)に対する 支持療法には、薬物療法と非薬物療法がある。 • 苦痛な症状の予防のため、症状を緩和するため、病 院で対処すること、患者や家族にできることを情報提 供し、セルフケアできるように、生活に即して一緒に考 えることが必要である。 薬別の副作用対策:医薬品医療機構情報提供HP http://www.info.pmda.go.jp/ 手足症候群、口内炎、下痢、骨髄抑制等の症状別マニュアル: 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル(医療関係者向け) http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122‐1.html 副作用の判定基準:有害事象共通用語規準 http://www.jcog.jp/doctor/tool/ がんに関する情報全般:がん対策情報センターHP 「がん情報サービス」 http://ganjoho.jp/public/index.html 63 64 11
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