細菌の繁殖が活発になる季節です! 食中毒に、 ご用心 細菌やウイルスによる食中毒は、一年中発生していま す。 ノ ロ ウ イ ル ス や ロ タ ウ イ ル ス な ど、 ウ イ ル ス 性 食 中 毒の流行が落ち着いているこの時季、代わって増えてく る の が 細 菌 性 の 食 中 毒 で す。 食 中 毒 の 原 因 菌 は、 高 温 多 湿の環境を好むため、 6月∼ 9月頃にかけてはとくに要 注意! 毎日の予防対策を徹底しましょう 鶏や牛、豚などの腸内に棲みついている 細菌で、食肉︵とくに鶏肉、レバー︶や 二次汚染された井戸水などを介して体内 患者数 ︵人︶ 事件数 ︵件︶ 気温が低く、空気が乾燥する冬場はウイ 痛などの症状を起こすものをいいます。 食中毒とは、食品などを介して細菌や ウイルスが体内に入り、下痢や嘔吐、腹 や牛レバーなどの生食や加熱不十分な肉 牛の腸管に棲みついており、多くは牛肉 れています。腸管出血性大腸菌は、主に いものの、毎年重症例や死亡例が報告さ また、 ﹁腸管出血性大腸菌︵ O157 など︶ ﹂は、発生件数はそれほど多くな いに変化がなければ、﹁腐っていないか ﹁細菌が増殖﹂することと、 ﹁腐 ただ、 敗 ﹂ は 別 の 話 で す。 食 べ も の の 色 や 臭 停止します。 ち、 マ イ ナ ス ℃以 下 に な る と 増 殖 を ℃以 下 で 増 殖 の ス ピ ー ド が ぐ ん と 落 ルスによる食中毒が多発しますが、気温 その他の細菌 カンピロバクター (227件) 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 のスピードがピークに達します。一方、 20 ら 大 丈 夫 ﹂ と 安 心 し が ち で す が、 食 中 に入ることで食中毒を発症します。 500 40 類が原因となっています。 発生件数ナンバーワンは ﹁カンピロバクター﹂ ﹁ 腸 管 出 血 性 大 腸 菌 ﹂は 死亡例も 1000 60 毒 の 原 因 菌 が 増 殖 し て い て も、 腐 敗 菌 カレー、スープ、煮魚、野 菜の煮物など煮込み料理 80 で は な い の で 臭 い、 味、 見 た 目 等 に 変 化はありません。 下痢、腹痛 潜伏期間:6∼18時間 腸炎ビブリオ ウェルシュ菌 1500 100 気温が ℃を超えるこれからの時季、 食中毒から身を守るためには油断せず、 腸管出血性大腸菌 おにぎりなど穀類の加工 品、生菓子、乳製品 ウェルシュ菌 吐き気・嘔吐、下痢、腹痛 潜伏期間:30分∼6時間 ぶどう球菌 (29件) ぶどう球菌 120 予防策を徹底することが大切です。 ぶどう球菌 食肉類(とくに鶏肉)及びそ の加工品、卵及びその加工品 サルモネラ属菌 (34件) 腸管出血性大腸菌 下痢(ときに血便)、腹痛、発熱、 食肉類(とくに牛肉)及びその 吐き気・嘔吐 加工品、食肉類から二次汚染 (O157など) 潜伏期間:2∼7日 された野菜及びその加工品 サルモネラ属菌 下痢、 腹痛、 発熱、 吐き気・嘔吐、頭痛 潜伏期間:6∼72時間 ウェルシュ菌 (19件) カンピロバクター サルモネラ属菌 事件(細菌) 2000 患者(細菌) 140 その他の細菌 (30件) 食肉類(とくに鶏肉)及びそ の加工品 腸管出血性大腸菌 (13件) カンピロバクター 下痢 (ときに粘血性) 、発熱、頭痛 潜伏期間:2∼7日 腸炎ビブリオ (9件) 主な原因食品 [ 食中毒の年間発生状況 ] が上がり、ジメジメする梅雨時から夏場 にかけては、細菌による食中毒が発生し 油断は禁物! 食中毒の原因菌は無味無臭 ℃前 後 ︶ で 増 殖 食 中 毒 を 起 こ す 細 菌 の 多 く は、 室 温 ︵約 ℃︶で活発に増殖し始め、人間の 体 温 く ら い の 温 度︵ 15 10 ※厚生労働省「平成25年 病因物質別月別食中毒発生状況」より 下痢(ときに粘血性)、腹痛、発熱、 生 鮮 魚 介 類 及 び そ の 加 工 吐き気・嘔吐 品、生鮮魚介類から二次汚 潜伏期間:8∼24時間 染された食品 腸炎ビブリオ [ 細菌性食中毒の原因菌別発生状況 ] [ 食中毒のおもな原因菌と特徴 ] 患者(ウイルス) 160 2500 事件(ウイルス) 180 3000 200 30 やすくなります。 なかでも、原因菌として発生件数が最 も多いのは﹁カンピロバクター﹂と呼ば れる細菌で、細菌性食中毒全体の半数以 上を占めています。カンピロバクターは 35 0 !! 20 主な症状 原因菌 け ん ぽト ピックス To p ic s Kenpo ※厚生労働省「平成25年 病因物質別月別食中毒発生状況」より 保健だより 2 014 .6月号 ● 2 食中毒予防のための「3原則」 原因菌を つけない・ ・ふやさない ふやさない・ ・やっつける 食中毒は、細菌が食べものを介して体内に侵入することで発生します。そこで、まずは食べ ものに細菌を「つけない」こと。次に、食べものについた細菌を「ふやさない」こと。そして、 食べものや調理器具についた細菌を「やっつける」こと。この3つが、食中毒予防の基本原則 になります。それぞれの具体的な方法を知り、今日から実践しましょう! つけない 手や調理器具についている細菌が食品につくのを防ごう! ● 調理の前に石けんで手をよく洗う ● タオルやふきんは清潔なものを使う ● 調理器具や食器は熱湯や漂白剤などで消毒して清潔に保つ ● 生の肉や魚を切ったまな板・包丁は必ず洗って、熱湯消毒する ● 生の肉や魚、卵を触ったあとは必ず手を洗う ● 野菜など洗える食材は流水でよく洗う ● 残った食品を保存するときは、 細菌が移らないよう密閉容器に入れるか、ラップをかける ● 焼き肉を食べるときは、生の肉や魚を扱うトング(箸)と食事用の箸を使い分ける ふやさない ● 食品についた細菌を増殖させないようにしよう! 生鮮食品やお惣菜、冷凍食品は、 購入後できるだけ早く冷蔵庫(10℃以下)・冷凍庫(−15℃以下)へ ● 作った料理、買ってきたお弁当・お惣菜は早めに食べる ● 夏場は前日の作りおきをしない ● 冷蔵庫・冷凍庫の詰め込みすぎ、頻繁な開閉は、庫内の温度が上昇するので注意 やっつける しっかり加熱・消毒して殺菌しよう! ● 肉や魚は中までしっかり火を通す(中心部の温度75℃で1分以上加熱) ● 食べるまでに長時間経ったものは、加熱し直す ● 調理器具や食器、ふきんは熱湯や漂白剤などで消毒して清潔に 「食中毒かな?」と思ったら… 下痢や嘔吐を起こしたときは、水やスポーツドリン 薬を飲むよりも、まずは医療機関を受診しましょう。 クでしっかり水分を補給します。食中毒の場合、原因 また、食べたもの、食品の包装、店のレシート、嘔 物質をできるだけ早く体外へ出してしまうことが大切 吐物などが残っていたら、保管しておきましょう。原 です。下痢止めなどの薬をむやみに服用すると、原因 因物質を調べるのに役立ちます。 物質の排出が妨げられる場合があるので、自己判断で 3 ● 2 014 .6月号 保健だより
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