中皮腫の地理学:概観 - Clydebank Asbestos Group

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Pl-1-02 Claudio Bianchi (抄録のみ・英文あり)
中皮腫の地理学:概観
クラウディオ・ビアンチ
イタリア対がん協会・環境がん研究センター[イタリア]
抄録:
中皮腫の地理学における根本的問題として、データの不足があげられる。中皮腫の発症率、
中皮腫による死亡率についての信頼できるデータは、世界の人口の約15%について得られて
いるに過ぎない。とりわけ、アスベストの主要な生産・消費国の大部分においては、中皮腫の疫
学はほとんど知られていない。データが得られる地域においては、中皮腫の発症率に著しいば
らつきがみられる。過去数十年間、工業化された様々な諸国では、中皮腫の発症率は着実に
増加し、オーストラリア、ベルギー、イギリスで最高の数値に達している。これらの諸国において
は、年間の大雑把な発症率は百万人あたり30人である。これとは対極的に、チュニジアやモロ
ッコでは、百万人あたりの発症率はおよそ0.6から0.7人ほどと報告されている。日本は、ここ数
年間、中皮腫死亡率の著しい増加を示している。これら全ての国において、腹膜に対し胸膜の
中皮腫の割合が高いことが観察されている。発症率は、女性よりも男性において顕著に高く、
職種は一つにとどまらず実に多様である。いくつかの業腫(例えば、海運、非アスベスト繊維産
業)は、最近になってようやく、中皮腫のリスクがある職種として認知されてきた。国レベルでは、
異なる地域間で幅広いばらつきが認められる。以上のような特色は、アスベストの使用における
多様性によるものと、おおかた説明できるかもしれない。潜伏期間(アスベストへの初回曝露か
ら中皮腫の診断に至るまでの期間)は、これまでに報告されてきたり、一般に認識されているよ
りも、かなり長い。大規模な調査において、平均潜伏期間は約50年であった。アスベスト曝露の
強度と潜伏期間の長さとの間には、相反する関係が観察されている。将来の中皮腫流行の傾
向を予測するうえでは、一般的な潜伏期間は20∼30年よりも長いことが考慮されなければなら
ない。1970年代の世界的なアスベストの大量消費の結果としての中皮腫発生の波は、まだ現
われてはいない。
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