平成20年度 課題文作成コンペ 設計主旨・感想 (1)課題文タイトル

平成20年度
課題文作成コンペ
設計主旨・感想
参加番号 016番
東京自主勉・チームプラスワン
(1)課題文タイトル
★コンセプト
「子育て支援施設のあるコミュニティセンター」
「地域における子供からお年寄りまで世代をこえたふれあいの場」
(2)設計主旨
この施設は、子供の健全な育成、親子のふれあい、子育て支援を地域と共に支える為の拠点として、及び幅
広い年齢層の地域住民が世代をこえて交流し、文化・教養、健康の維持・増進を図ることを目的とする。施設
の核であるコミュニティホールでのイベントの様子は、2F、3F のギャラリーテラスからも眺められ参加できる。ま
た、コミュニティホール、カフェレストラン、屋外空間であるコミュニティテラス、広場との有機的な繋がりや一体
的利用に配慮することで、多種多様なイベントにも対応可能な空間として地域の活性化を狙うものである。
(3)今回のコンペに提出した感想
まず、テーマの中の「子育て支援」と結びつける要素(空間)としては何が良いのかを考える上で、「子育て、保
育、コミュニティセンター」等に求められる機能、実際の建物の状況、建築の目的、背景、テーマ、コンセプト等
についてのリサーチから進め、それらの内容や周辺知人の子育ての様子を通じ、現代の時代背景として
①女性の社会進出に伴う出生率低下や核家族化等によって、家庭・子供を取り巻く環境の変化が子供の成長
に影響を与える。
②父母の就労等で親子のふれあいの時間が減ると共に放課後保育が必要な小学生が増えている。現在実施
の「学童保育」の中には、スタッフが少なく宿題等をさせているだけなど、子供にとって魅力がなく次第に参
加しなくなるという状況も発生。自宅で親の帰宅を待ちながらゲームや宿題をして子供達だけで過ごしてい
る場合も多く、留守中の子供の状況について、常に親の心配・不安が大きい。
③近隣社会の希薄化の中、地域性に根差した遊び、伝統的な児童文化活動の衰退が問題となっている。
④上記①~③に加え、昨今の子供を巻き込む事故・事件の増加への防衛策として、親や地域の大人達が地
域ぐるみで子供の安全確保のために目が届くような配慮が重要となっている。
⑤一方で、少子高齢化により地域の高齢者人口が増え、仕事をリタイアした後のお年寄りが、地域において充
実した時間を過ごす為には周辺住民との交流やふれあいの場が必要となってきている。
といった点が浮かび上がりました。
そこで、コンセプトを「地域における子供からお年寄りまで世代をこえたふれあいの場」とし、主に次の3点に重
点を置いて計画を進めていくこととしました。
①お年寄り、主婦、大学生(音楽・美術大学他)、会社員、自営業者(飲食店、花店、薬局店、教師、医者、職
人、各専門家等、多様な職業)、在留外国人など世代や職業をこえた地域のマンパワーを積極的に取り入
れ、地域住民が夫々の多様な専門性・得意分野・趣味などを生かし活動のサポート(ボランティア)をする。
②男性の子育て参加も含めて親子のふれあいを重視する。
③子供から大人や高齢者まで、幅広い年齢層が世代をこえて多種多様な講座やイベントに参加することで、
交流し、ふれあい、一緒に楽しみながら遊び学べる活動拠点として地域の活性化を図る。
建物の特徴としては、
第1に「交流、ふれあい」をキーワードとし、「コミュニティ空間の一体化」を図りました。
エントランスホールから続くコミュニティホールを中心として、上階のギャリーテラスからも眺められるようにし、可
動式折れ戸を全開することで、開放感に溢れ自然の光・風を感じながら、コミュニティテラス、広場との有機的
な繋がりや隣接のカフェレストランまでを含めた一体的利用が可能。また天候に左右されずに屋内、屋外、混
合型の多種多様な変化に富んだ内容のイベントを企画・開催することができるものとしました。
第2として、コミュニティ部門では 「食」「花」の両室を屋上庭園と結びつけることで、活動に広がりをもたせ、自
然とふれあい、リフレッシュできる空間としました。また、他の各室とも、親子参加や、幅広い世代を対象とした
多様なコミュニティ活動の場として機能させるように計画しました。
第3として、屋外階段を通じて2F の「キッズスタジオ」から1F の「子育て支援部門」への動線を配慮。学童くらぶ
の子供達が時間利用等にて「プレイ広場」「プレイルーム」で軽運動、遊びを楽しむことが可能としています。
また、「子育て」「キッズ」を上下階で立体的に重ねることで、子供の安全確保のため目が届く配慮もできるだけ
効率的に行なえるようにしています。尚、「誰でも気軽に集う施設」としながらも、不審者の侵入防止や犯罪抑
制効果の点から、道路側に対してはあえてオープンなものとはしない計画としました。
今回の作成の過程においては、各室の使いやすさ、各部屋と部屋、屋内と屋外との繋がりを考慮することで、
空間や活動の広がりが生まれ、建物全体としてより豊かな空間となっていくことを感じ、またプラン内容を図面
化するための文章・言い回しを意識することで学ぶことが多く、良い機会となりました。
以 上
(別紙)
★建物の主な空間構成及び利用例についての企画案
■コミュニティホール
通常は軽量・可動式のテーブル&いすを配置。誰もが自由に集い、くつろげる。隣接するカフェレストランから
テイクアウトした飲み物・菓子等とともにお茶と気ままなおしゃべりを楽しめる「サロン」として開放。
倉庫を隣接させ、必要に応じてテーブル&いすやイベント時使用の楽器・機材等の保管・出し入れが効率的
に行なえるように配慮。
定期的な屋内型のイベントとして「電子ピアノや各種楽器演奏会、歌・コーラス等のコンサート、トークショー、紙
芝居、人形劇、作品発表展示会、クイズ大会、お楽しみ会、七夕会、クリスマス会、パーティ等」に利用。
■ギャラリーテラス(2F,3F)
「ギャラリー」の言葉に由来される「回廊、美術品の展示場、観客席」から「ギャラリーテラス」の名称とした。
コミュニティホールの上部吹き抜けを通じホールと一体化した空間として、ホールで開催されるイベントを上階
から眺められ一緒に楽しめる。また、テラス後方の壁面には展示スペースとして作品をディスプレイする。
■コミュニティテラス
可動式折れ戸(ガラス扉)の開閉により、コミュニティホールに光と風を取り入れる。
天気の良い日は扉をフルオープンにして、ホールから繋がる開放的な屋外サロンとして利用。
■コミュニティ広場
通常は、幅広い世代の地域住民が気軽に遊び、軽スポーツに利用できるように開放。
「一輪車、ローラーブレード、バドミントン、なわとび、輪投げ、竹馬、グラウンドゴルフ他」
定期的な屋外型のイベントとして、「ふれあいスポーツ大会、竹馬、輪投げ大会、餅つき大会、お花見会、夏祭
り、秋祭り、地域祭り、フリーマーケット」他、多様な催しを開催し、地域の活性化を図る。
■コミュニティ空間の一体化
エントランスホールから続くコミュニティホールを中心とし、可動式折れ戸を全開にすることによって、隣接のカ
フェレストラン、テラス、広場との有機的な繋がりと一体的利用が可能となり、屋内・屋外・混合型の多種多様な
変化に富んだ内容のイベントを天候に左右されずに企画・開催することができる。
■子育て支援部門(対象:子供をもつ親と乳児~小学校低学年)
・プレイ広場 ・・・時間利用とし対象者(乳児~小学校低学年)が帰ったあとは、屋外階段にて繋がる2F キッズ
スタジオの学童くらぶの子供達が自由に遊ぶ屋外空間として利用する。
・プレイルーム・・・時間利用とし対象者(乳児~小学校低学年)が帰ったあとは、2F キッズスタジオの学童くら
ぶの子供達が「ミニトランポリン、平均台、跳び箱、卓球等」の軽運動にも利用する。
■キッズスタジオ(対象:小学生~中学生。場合によっては高校生まで。 ※学童くらぶ的な機能として計画)
放課後、地域の子供達が、誰でも気軽に集い、出会い、友達の輪を広げ、学び遊ぶ活動拠点とし、子供達がく
つろぎ、ホッとできるスペースも確保。
・学習室・・・通常は可動式間仕切りによって低学年とその他を分け、宿題や予習復習を自習する。時にはボラ
ンティアの大人が勉強を教えたり、在留外国人による外国語会話講習等も行なう。
・PC コーナー、図書コーナー・・・くつろぎながら情報・知識の収集。
・畳コーナー・・・昔ながらの児童文化や遊びを知るお年寄りの参加によって、「囲碁、将棋、カルタ遊び等」を楽
しむ。床高を上げることでラウンジ側からはベンチのように腰掛けて利用でき、畳下の収納も
確保。
・多目的ラウンジ・・・「友達とのおしゃべりやくつろぎ」の他、「軽食、おやつ等の飲食」や、皆で「折り紙、工作、
ゲーム等」を楽しむ多目的なフリースペースとしている。
■食のスタジオ
「親子でクッキング、おばあちゃんのおばんざい、手打ちうどん、シェフの簡単おつまみ講座他」
昇降式調理台として幅広い年代の利用に配慮。天気の良い日には作った料理を屋上庭園に運び、ガーデン
パーティーを楽しむ。ハーブガーデンで採取したハーブを料理やハーブティーで味わう。
■花のスタジオ
「花、香り」をテーマに、「フラワーアレンジメント、アートフラワー、アロマテラピー、ガーデニング講座他」
ガーデニング講座では屋上庭園に花やハーブを植え育てる。
■創作のスタジオ
「親子工作」や幅広い年代を対象とした「陶芸、工芸, 絵画、手芸他」、あらゆる創作活動を行なう。
■音のスタジオ
楽器演奏に親しむ大人による小・中・高校生への演奏指導やサポート、幅広い年代の各バンド仲間の練習や、
歌、コーラス等ミュージックの練習場として利用。
■リズム&ストレッチ スタジオ
「親子ビクスや親子ヨガ」、幅広い年代を対象とした「リズム体操やストレッチ体操、ウォーキング、ヨガ、エアロビ
クス、フォークダンス、フラダンス他」。体操やダンスを楽しみながら健康の維持・増進を図る。
■図書室・閲覧室
閲覧室をガラス戸、ガラスブロックで囲むことで気軽に入りやすいものとしている。
以 上